initiate
強勢は「ニ」の部分にあります。最初の 'i' は日本語の「イ」よりも弱く、曖昧母音に近い音です。'tiate' の部分は、アメリカ英語では 'sh' の音に近くなる傾向があります。最後の 't' は破裂音ですが、軽く発音するとより自然です。'eɪ' の二重母音は、日本語の「エイ」よりも少し口を大きく開けて発音すると、より英語らしい響きになります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
始める
何か新しい事(プロジェクト、活動、議論など)をスタートさせる、または最初のステップを踏み出すという意味。フォーマルな文脈でよく使われる。
Our company will initiate a new project to help the local community next spring.
私たちの会社は、来春、地域社会を助けるための新しいプロジェクトを始める予定です。
※ この例文は、会社が地域貢献という目的を持って、計画的に新しい活動を「始める」場面を描写しています。「initiate」は、特にビジネスや組織において、新しいプロジェクトや計画を公式に「開始する」際によく使われます。春の始まりとともに、期待感のある前向きなスタートがイメージできますね。
He bravely decided to initiate a conversation with the quiet new neighbor.
彼は勇気を出して、静かな新しい隣人との会話を始めようと決めた。
※ この例文は、少し勇気を振り絞って、自分から隣人との関係を「始める」様子が伝わります。「initiate」は、特に人間関係において、自分から働きかけて会話や交流を「始める」ときに自然に使われます。相手を待つのではなく、積極的に行動を起こすニュアンスが込められています。
The police decided to initiate a full investigation into the mysterious incident.
警察は、その謎の事件について本格的な捜査を始めることを決定した。
※ この例文は、警察が「謎の事件」に対して、本格的な調査という公式な手続きを「開始する」緊迫した場面を表しています。「initiate」は、このように、権限のある機関が、調査、手続き、交渉などを正式に「始める」際に非常に頻繁に用いられます。単なる「start」よりも、より計画的で公式な行動の始まりを示します。
仕掛ける
(特に秘密裏に)策略や計画を実行に移すという意味合い。ネガティブなニュアンスを含むことが多い。
She decided to initiate a talk to solve the problem with her friend.
彼女は、友達との問題を解決するために、話し合いを仕掛ける(始める)ことにしました。
※ 友達との間の「問題解決のための話し合いを自分から始める」という、少し勇気のいる行動がイメージできますね。「initiate」は、特に自分から率先して何かを始める、というニュアンスが強いです。
Our team leader decided to initiate a new project to increase sales.
私たちのチームリーダーは、売上を増やすために新しいプロジェクトを仕掛ける(始める)ことを決めました。
※ 会社で「新しいプロジェクトを立ち上げる」という、ビジネスシーンでよく使われる典型的な例です。リーダーが率先して行動を起こす様子が伝わります。「initiate」は、計画や活動などを「開始する」「仕掛ける」という意味で頻繁に使われます。
The city decided to initiate a project to build a new park for everyone.
市は、みんなのための新しい公園を建設するプロジェクトを仕掛ける(始める)ことを決めました。
※ 市が市民のために「新しい公園を作るプロジェクトを始める」という、公共の利益のための大きな計画がイメージできます。政府や組織が公式に何かを始める際にも「initiate」はよく使われます。
入会させる
会員制の組織や秘密結社などに、正式な手続きを経て参加させること。儀式的な意味合いを含む場合がある。
The club president proudly initiated all the new members at the first meeting.
クラブの部長は、最初のミーティングで、すべての新入生を誇らしげに正式なメンバーとして迎え入れました。
※ 学校の部活動やサークルで、新入生が初めて正式な仲間として認められる場面です。「initiate」は「(正式に)入会させる、加入させる」という意味で使われています。部長の「誇らしげな」様子が、新入生たちの期待感を表現していますね。
The neighborhood association will initiate new families into the community next Sunday.
町内会は次の日曜日、新しい家族を地域社会に迎え入れます。
※ 新しい住民が引っ越してきた際に、町内会や地域コミュニティが彼らを正式な一員として受け入れる場面です。「initiate A into B」の形で、「AをBに加入させる」という典型的な使い方です。新しい家族が温かく迎えられる様子が目に浮かびます。
The company plans to initiate all new hires with a special training program.
その会社は、特別な研修プログラムをもってすべての新入社員を正式に迎え入れる予定です。
※ 企業が新しく採用した社員を、単に雇うだけでなく、正式な「一員」として組織に組み入れるような場面です。研修(training program)は、新しい環境に慣れ、組織の一員として活動を始めるための大切なステップですね。
コロケーション
訴訟手続きを開始する
※ 「proceedings」は法的な手続きや訴訟を指します。「initiate proceedings」は、裁判所に訴状を提出したり、正式な調査を開始したりするなど、法的なアクションを起こすことを意味します。ビジネスや法律関連の文書でよく見られるフォーマルな表現です。日常会話ではあまり使いません。類似の表現として、より一般的な「start legal action」があります。
対話を開始する、話し合いを始める
※ 「dialogue」は意見交換や交渉を含む、より深いレベルの会話を指します。「initiate a dialogue」は、単に会話を始めるだけでなく、問題解決や相互理解を目的とした建設的な話し合いを始めるニュアンスを含みます。ビジネス、政治、外交など、様々な分野で使用されます。類似表現として「start a conversation」がありますが、「initiate a dialogue」の方がよりフォーマルで、目的意識が強い印象を与えます。
連絡を取り始める、接触を開始する
※ 「contact」は連絡、接触を意味します。「initiate contact」は、誰かと初めて連絡を取る、またはしばらく連絡を取っていなかった相手に再び連絡を取ることを指します。ビジネスシーンで、顧客に営業をかける際や、採用担当者が候補者に連絡を取る際などによく使われます。また、事件や事故の捜査で警察が関係者に接触を開始する際にも使われます。類似表現として「make contact」がありますが、「initiate contact」の方が、より意図的で計画的なニュアンスを含みます。
プロジェクトを開始する、事業を開始する
※ 「project」は計画された事業や活動を意味します。「initiate a project」は、新しい事業や計画を立ち上げ、実行に移すことを指します。ビジネスシーンで、新しい製品の開発、市場調査、キャンペーンの実施など、様々なプロジェクトの開始に使われます。類似表現として「start a project」がありますが、「initiate a project」の方が、よりフォーマルで、組織的な印象を与えます。
変化を起こす、変革を開始する
※ 「change」は変化、変革を意味します。「initiate change」は、現状を改善するために、新しい方法やシステムを導入したり、組織の構造を変えたりすることを指します。ビジネスシーンで、企業の経営戦略の変更、新しい技術の導入、組織文化の改革など、様々な変化の開始に使われます。リーダーシップやマネジメントに関する議論でよく用いられます。類似表現として「start change」は不自然で、「implement change」は変化を実行に移す意味になります。
治療を開始する
※ 「treatment」は治療を意味します。「initiate treatment」は、病気や怪我に対して、薬物療法、手術、リハビリテーションなどの治療を開始することを指します。医療現場で、医師が患者に対して治療方針を決定し、治療を開始する際に使われます。また、依存症や精神疾患の治療を開始する際にも使われます。類似表現として「start treatment」がありますが、「initiate treatment」の方が、より専門的で公式な印象を与えます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、新しいプロジェクトや研究を開始する際に使われます。例えば、「本研究では、新たなアプローチをinitiateした(開始した)」のように、研究の新規性を強調する文脈で用いられます。また、ある反応やプロセスを「引き起こす」という意味でも使用され、「〜という反応をinitiateする」のように、専門的な議論の中で見られます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトやイニシアチブを「開始する」という意味で使われます。例えば、プロジェクトマネージャーが「新しいマーケティングキャンペーンをinitiateする(開始する)」と報告したり、リーダーシップ研修で「変化をinitiateする(仕掛ける)」重要性を説いたりする場面が考えられます。比較的フォーマルな文脈で使用され、日常会話よりは文書やプレゼンテーションでよく見られます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、社会的な運動や変化を「始める」「仕掛ける」という意味で使われることがあります。例えば、「市民グループが新たな環境保護活動をinitiateした(始めた)」というような報道で目にすることがあります。ただし、よりカジュアルな会話では、startやbeginのような、より一般的な単語が好まれます。
関連語
類義語
『始める』という意味で、最も一般的かつ中立的な語。日常会話、ビジネス、学術など、あらゆる場面で使用可能。 【ニュアンスの違い】『initiate』よりもフォーマル度が低く、より広い範囲の『始まり』を指す。『initiate』が計画的、組織的な開始を意味するのに対し、『begin』は必ずしもそうではない。 【混同しやすい点】『begin』は自動詞としても他動詞としても使えるが、『initiate』は基本的に他動詞である。また、『begin』は進行形(beginning)で用いられることが多いが、『initiate』はそうではない。
『始める』という意味で、『begin』とほぼ同義だが、より口語的でカジュアルな印象を与える。機械やプロセスなどの起動にも使われる。 【ニュアンスの違い】『initiate』よりもインフォーマルで、より直接的な『開始』を意味する。『initiate』がプロジェクトや改革など、より大規模で複雑な事柄の開始に使われることが多いのに対し、『start』はより単純な行為やプロセスに用いられる。 【混同しやすい点】『start』も自動詞、他動詞の両方で使用可能。『start a car(車を始動する)』のように物理的な動作を伴う場合に適している。『initiate a discussion(議論を開始する)』のような抽象的な概念には不向き。
『開始する』『打ち上げる』という意味で、新しい製品、プロジェクト、キャンペーンなどを大々的に開始する際に用いられる。ビジネスやマーケティングの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『initiate』よりも積極的かつ大規模な開始を意味し、しばしば宣伝や告知を伴う。『initiate』が準備段階を含む開始を意味するのに対し、『launch』は実行段階への移行を強調する。 【混同しやすい点】『launch』は文字通り『ロケットを打ち上げる』という意味でも使われる点が『initiate』とは異なる。また、『launch』はしばしば受動態で用いられ、『A new product was launched.(新製品が発売された)』のように表現される。
『始める』という意味のフォーマルな語。式典、会議、法的文書など、公式な場面で用いられる。 【ニュアンスの違い】『initiate』よりもさらにフォーマルで、厳粛な印象を与える。『initiate』が比較的広い範囲の開始を指すのに対し、『commence』はより正式な手続きや儀式を伴う開始に用いられる。 【混同しやすい点】日常会話ではほとんど使われず、ビジネスシーンでもやや硬い表現。『The meeting will commence at 10 a.m.(会議は午前10時に開始されます)』のような定型表現で使われることが多い。口語表現では『start』や『begin』が好まれる。
『就任させる』『開設する』という意味で、新しい指導者や組織の正式な開始、または新しい施設や制度の開設を意味する。政治、ビジネス、文化の分野で用いられる。 【ニュアンスの違い】『initiate』よりも公式な承認や就任式典を伴う開始を意味する。『initiate』が一般的な開始を指すのに対し、『inaugurate』は公的な承認や祝福を伴う特別な開始を意味する。 【混同しやすい点】『inaugurate』は人(指導者)や物(施設)が主語になることが多い。『The new president was inaugurated.(新大統領が就任した)』のように受動態で用いられることもある。『initiate』のように抽象的な概念(議論など)には使いにくい。
『扇動する』『そそのかす』という意味で、特に悪いことや紛争などを引き起こす場合に用いられる。ネガティブな意味合いが強い。 【ニュアンスの違い】『initiate』とは異なり、意図的に何か悪いことを始める、または他人をそそのかして始めさせるという意味合いが強い。『initiate』が中立的な開始を意味するのに対し、『instigate』は否定的な結果を伴う開始を意味する。 【混同しやすい点】『instigate』は常にネガティブな意味合いを持つため、良い意味での『開始』には決して使えない。『He instigated a rebellion.(彼は反乱を扇動した)』のように、犯罪や紛争など、好ましくない事態を引き起こす場合にのみ用いられる。
派生語
『最初の』『初期の』という意味の形容詞。動詞『initiate』が持つ『開始する』という核となる意味から派生し、『開始時点における』状態を表す。ビジネスや学術分野で、計画やプロジェクトの初期段階を指す際によく用いられる。例:initial investment(初期投資)。
『主導権』『率先』『発議』などを意味する名詞。動詞『initiate』の『開始する』という意味から、『自ら何かを始める行為』を指す。ビジネスシーンでは『イニシアチブを取る』という表現で、プロジェクトなどを主導することを意味する。政治や社会運動においては、『国民発案』のように、新たな政策や運動を始めることを指す場合もある。
『開始』『導入』『入会』などを意味する名詞。『initiate』の行為やプロセスそのものを指す抽象名詞。例えば、新会員の入会式や、新しいプロジェクトの開始など、何らかの活動やプロセスが始まる時点や儀式を指す。学術論文や技術文書でも、新しい手法や技術の導入について言及する際によく用いられる。
反意語
『終了する』『終わらせる』という意味の動詞。『initiate』が何かを開始するのに対し、『terminate』はそれを終わらせることを意味する。プロジェクトや契約、雇用関係など、様々な文脈で用いられる。ビジネスシーンでは、契約の解除やプロジェクトの中止などを意味することが多い。
『終える』『結論を出す』という意味の動詞。『initiate』が行動の開始を指すのに対し、『conclude』はその行動や議論の終結を意味する。会議や議論、論文などの文脈で、最終的な結論やまとめを示す際に用いられる。学術的な文脈では、研究結果の結論を導き出す際に頻繁に使用される。
『完了する』『完成させる』という意味の動詞。『initiate』が開始を表すのに対し、『complete』はそのプロセスが完全に終了した状態を表す。プロジェクトやタスク、研究などが完全に終了したことを示す場合に使用される。形容詞としては『完全な』という意味になり、名詞としては『完成』という意味になる。
語源
"Initiate"は、ラテン語の"initiare"(始める、開始する)に由来します。さらに遡ると、"initium"(始まり、開始)という名詞があり、これは"in-"(~の中に)と"ire"(行く)という動詞から構成されています。つまり、文字通りには「中に入っていく」という意味合いが含まれています。これは、新しい活動やプロセス、グループに「入っていく」、つまり「始める」「参加させる」というイメージにつながります。例えば、新しいプロジェクトを「initiate(開始する)」とは、そのプロジェクトという「中に入っていく」行為と捉えられます。また、秘密結社への「入会」も、その世界に「入っていく」という意味で、この語源的な背景が感じられます。日本語で言えば、「端緒を開く」という表現が近いかもしれません。新しいことの「糸口(initium)」を見つけ、そこから進んでいく様子が想像できます。
暗記法
「initiate」は、選ばれた者だけが足を踏み入れることを許される、変容と知識への入り口。それは古代の秘儀宗教から、中世騎士道の入団儀式、現代の社交クラブまで、洋の東西を問わず、秘密めいた通過儀礼を想起させる。単なる開始ではなく、新しい世界への挑戦、自己変革への扉を開く、特別な行為や経験を意味する言葉として、その文化的意義を今に伝える。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の 'tial' の部分が混同されやすいです。'initial' は『最初の』という意味の形容詞で、'initiate'(始める)とは品詞も意味も異なります。スペリングも似ているため、注意が必要です。'initial' は 'in-'(中に)+ 'ire'(行く)が語源で、『最初の一歩を踏み入れる』イメージです。
発音が似ており、特にアクセントの位置が紛らわしいです。'imitate' は『模倣する』という意味の動詞で、'initiate' とは意味が全く異なります。スペルも似ていますが、'im-'(中に)と 'in-'(中に)という語源的な違いがあります。'imitate' は『相手の中に自分を重ねる』イメージです。
語頭の 'in-' の部分が共通しており、続く子音も似ているため、発音とスペルで混同しやすいです。'insist' は『主張する』という意味の動詞で、意味も文脈も異なります。'insist' は 'in-'(中に)+ 'sistere'(立つ)が語源で、『その場に立ち続ける』イメージです。
'initiate'と'integrate'はどちらも動詞であり、語頭の 'in-' と、それに続く母音の組み合わせが似ているため、発音とスペルで混同されることがあります。'integrate'は『統合する』という意味で、全体をまとめるニュアンスがあります。接頭辞'inter-'(間に)+ 'teg'(触れる)が語源で、『全体を触れ合わせて一つにする』イメージです。
語頭の 'in-' が共通しており、発音の響きも似ているため、特にリスニング時に混同しやすいです。'intuitive' は『直感的な』という意味の形容詞で、'initiate' とは品詞も意味も異なります。スペリングも似ているため、注意が必要です。 'intuitive' は 'in-'(中に)+ 'tueri'(見守る)が語源で、『内側から見守る』イメージです。
'initiate'と'innate'は、どちらも形容詞として使われる場合があり、語頭の 'in-' に続く子音と母音の組み合わせが似ているため、発音とスペルで混同される可能性があります。'innate'は『生まれつきの』という意味で、人が元々持っている性質を表します。'innate'は 'in-'(中に)+ 'natus'(生まれた)が語源で、『生まれたときから備わっている』イメージです。
誤用例
『Initiate』は『始める』という意味を持ちますが、日常会話で気軽に『会話を始める』というニュアンスにはやや硬すぎます。より自然な表現は『start』です。日本人は、学校教育で『initiate』のような少し難しい単語を覚えると、つい使いたくなりますが、英語では状況に合わせた適切な語彙を選ぶことが重要です。日本語の『開始する』を直訳的に当てはめようとする際に起こりがちな誤りです。英語のネイティブスピーカーは、フォーマルな場面や、新しいプロジェクトやプロセスを開始する際に『initiate』を好んで使用します。
『Initiate』は『(秘密や奥義などを)教え込む』という意味でも使えますが、『秘密結社への入会』のような、ある種の儀式を伴う場合に使われることが多いです。単に『教える』という意味であれば、『induct』が適切です。日本人は、秘密や奥義という言葉から、つい『initiate』を選んでしまいがちですが、英語では、その行為が持つ文化的・儀式的な背景を考慮する必要があります。たとえば、武道の段位授与式などは『initiation ceremony』と表現できます。
『Initiate』は『始める』という意味ですが、『instigate』と混同されやすいです。『instigate』は、特に議論や紛争など、好ましくない事態を引き起こすニュアンスが強い単語です。予算に関する議論を提案する文脈では、『initiate』が適切ですが、『扇動する』という意味で『instigate』を使ってしまうと、意図しない誤解を招く可能性があります。日本人は、『議論を始める』という表現から、単純に『start』よりも難しい単語を使おうとして、意味のニュアンスの違いを考慮せずに単語を選んでしまうことがあります。英語では、単語の持つ感情的な響き(connotation)を理解することが大切です。
文化的背景
「Initiate」は、単に「始める」という意味を超え、秘儀や儀式への参加、新しい世界への門出を象徴する言葉として、西洋文化において特別な響きを持ちます。古代ローマの秘儀宗教における入信儀式から、現代社会の秘密結社、大学の fraternities and sororities (社交クラブ)まで、「initiate」は選ばれた者だけが足を踏み入れることを許される、変容と知識への入り口を意味してきました。
中世ヨーロッパの騎士道物語では、若い騎士が一人前の騎士として認められるための「initiation」の儀式が描かれています。それは、剣を授けられ、忠誠を誓い、厳しい試練を乗り越えることで、騎士団の一員としての資格を得る過程でした。この儀式は、単なる技能の習得だけでなく、騎士道精神、名誉、勇気といった価値観を受け継ぐことを意味しました。「initiate」は、個人が社会の一員として認められ、特定の役割を担うようになるための通過儀礼としての意味合いを持っていたのです。
近代以降、「initiate」は組織や活動への参加だけでなく、自己啓発の文脈でも用いられるようになりました。例えば、「新しいプロジェクトを始める」「新しい趣味を始める」といった場合にも「initiate」を使うことができます。しかし、その根底には、新しい段階への移行、未知の世界への挑戦といった、秘儀的なニュアンスが残っています。自己啓発書では、「inner journey(内なる旅)」を「initiate」するための具体的な方法が紹介されたりします。これは、自分自身を変革し、新たな自己を発見するという、一種の「入信儀式」と捉えることができるでしょう。
現代社会においても、「initiate」は、単なる「開始」ではなく、何か特別な意味を持つ行為や経験を指す言葉として、その文化的意義を保ち続けています。新しいプロジェクトチームに加わること、大学のクラブ活動に参加すること、あるいは、新しい人生の段階を迎えること。それらはすべて、何らかの形で「initiate」という言葉が持つ、変容と成長の物語と結びついているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、稀にリスニング
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級で重要
- 文脈・例題の特徴: やや硬めの文章、ビジネスや社会問題に関連する話題
- 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「始める」「着手する」の意味と、名詞としての「発端」「第一歩」の意味を区別。関連語のinitiative(主導権、率先)と混同しないように。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め), Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5でたまに出題。Part 7でも読解語彙として重要
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文書、プロジェクト開始や新しい取り組みに関する内容
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでの「開始する」「始める」の意味で使われることが多い。同義語のstart, beginとのニュアンスの違い(initiateはより正式な印象)を理解する。
- 出題形式: リーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 学術論文、研究、歴史、社会科学など
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念の導入や、新しいプロセスの開始を意味することが多い。関連語のinitialとの区別(initiateは行動を起こす意味合いが強い)。
- 出題形式: 長文読解、語彙問題
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出
- 文脈・例題の特徴: 評論、論説文、物語など幅広い
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が重要。多義語であるため、文脈に応じた適切な訳語を選ぶ必要がある。類似語のstart, begin, commenceとのニュアンスの違いを理解しておく。