Initiative
第一音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開き、短く発音します。/ʃ/ は『シ』と発音する際、舌先をどこにもつけずに摩擦音を出すイメージです。最後の /v/ は有声の摩擦音で、上の前歯を下唇に軽く当てて息を出すように発音します。日本語の『ブ』のような破裂音にならないように注意しましょう。
主導権
自ら率先して行動を起こすこと。問題解決や目標達成に向けて、最初に動き出す積極的な姿勢を指す。ビジネスシーンで「イニシアチブを取る」のように使われる。
In the team meeting, Ken bravely took the initiative to present his new idea.
チーム会議で、ケンは勇敢にも新しいアイデアを発表し、主導権を握った。
※ 誰も発言しない中、ケンが自ら動き出し、場の流れを自分のものにする様子が描かれています。「take the initiative」は「率先して行動する」「自ら主導権を握る」という、この単語の最も典型的な使い方の一つです。会議やプロジェクトで、誰かが積極的に行動を起こす場面によく使われます。
After the excellent defense, our team finally gained the initiative in the game.
見事なディフェンスの後、ついに私たちのチームが試合の主導権を握った。
※ この例文は、スポーツの試合で状況が変わり、優位に立つ瞬間を捉えています。「gain the initiative」は「主導権を得る」「優勢になる」という意味で、競争や対決の場面でよく使われます。それまで相手が優勢だったが、ある行動をきっかけに自分たちのペースになった、という具体的な情景が目に浮かびますね。
My daughter showed great initiative by starting her homework without being asked.
娘は頼まれもしないのに宿題を始め、素晴らしい主体性(主導権)を発揮した。
※ ここでは「initiative」が「自ら考えて行動する力」「主体性」という意味合いで使われています。「show initiative」は「主体性を示す」「率先して行動する」という表現です。親が何も言わないのに、子どもが自分でやるべきことを見つけて行動する、という微笑ましいシーンが描かれており、日常生活でよくある状況です。
新企画
新しい計画や事業。特に、組織や社会に変化をもたらす可能性のある、意欲的な試みを指す。政府や企業が発表する政策やプロジェクトに対して使われることが多い。
The company launched a new **initiative** to develop eco-friendly products next year.
その会社は来年、環境に優しい製品を開発する新しい**企画**を立ち上げました。
※ 【情景】会議室で、担当者が熱意を込めて新しい製品開発の計画を発表している場面です。 【なぜ典型的か】「initiative」は、企業が新しい事業やプロジェクト、戦略などを始める際に非常によく使われる言葉です。会社全体で取り組むような、未来に向けた大きな「新企画」というニュアンスが伝わります。 【ヒント】「launch an initiative(企画を立ち上げる)」のように、特定の動詞と組み合わせて使われることが多いです。
Students started a creative new **initiative** to collect old books for the local library.
生徒たちは、地域の図書館のために古本を集める創造的な新しい**企画**を始めました。
※ 【情景】学校の廊下で、生徒たちが笑顔でポスターを貼ったり、友達に呼びかけたりしている様子です。 【なぜ典型的か】学校や地域コミュニティなど、みんなで協力して何かを始める「新企画」にも「initiative」はぴったりです。社会貢献や文化活動など、前向きな取り組みによく登場します。 【ヒント】「creative new initiative」のように、形容詞を伴ってその企画の特徴を説明することもよくあります。
Her new **initiative** to teach coding to seniors received a lot of positive feedback.
お年寄りにプログラミングを教えるという彼女の新しい**企画**は、多くの好意的な反響を得ました。
※ 【情景】ある女性が、目を輝かせながら、自身の新しい挑戦について楽しそうに話している場面です。 【なぜ典型的か】個人的なアイデアや提案が、具体的な行動やプロジェクトとして実現する際にも「initiative」が使われます。誰かの「思いつき」が、周囲を巻き込む「新企画」として形になる様子が伝わります。 【ヒント】「initiative」は数えられる名詞なので、「a new initiative」や「new initiatives」のように使われます。
提案
問題解決や状況改善のために、具体的な行動計画を示すこと。会議や交渉の場で、相手に働きかける意図を持って提示されることが多い。
Everyone smiled when my neighbor proposed a great initiative to fill the empty park with flowers.
近所の人が、空き地になっている公園を花でいっぱいにする素晴らしい提案をした時、みんなが笑顔になった。
※ この例文は、地域の人々が協力して何か良いことを始めようとする、温かい情景を描いています。「initiative」はここでは「新しい、前向きな変化をもたらすためのアイデアや計画」という意味で使われています。誰かが「〜しよう」と提案する際に「propose an initiative」という形でよく使われます。
At the meeting, a young colleague eagerly presented a new initiative to reduce overtime work.
会議で、若い同僚が残業を減らすための新しい提案を熱心に発表した。
※ この例文は、職場の会議で、若手が意欲的に業務改善のアイデアを提案する場面を表しています。「initiative」は、特にビジネスの文脈で「新しいプロジェクトや取り組み」を指すことが多いです。「present an initiative」で「提案を発表する」という典型的な使い方です。
The city launched a new initiative to help children read more books, and many parents were happy.
市は、子どもたちがもっと本を読むのを助けるための新しい提案(取り組み)を開始し、多くの親が喜んだ。
※ この例文は、行政や大きな組織が市民のために新しい企画を立ち上げる場面を描いています。「launch an initiative」は「提案を開始する」「新しい企画を立ち上げる」という意味で、大規模な活動やプログラムを始める際によく使われます。ここでは単なるアイデアではなく、具体的な行動計画が伴う「取り組み」というニュアンスが強いです。
コロケーション
主導権を握る、率先して行動する
※ 「initiative」が持つ『開始』『第一歩』という意味合いが強く出る表現です。受動的な立場ではなく、自ら積極的に動き出すことを指します。ビジネスシーンでよく使われ、プロジェクトを成功させるために、誰かが率先して行動を起こす必要がある場合などに用いられます。文法的には動詞 + 名詞の組み合わせで、行動の主体性を強調します。単に『行動する (act)』よりも、計画性や目的意識が伴うニュアンスがあります。
新しい取り組みを開始する、事業を立ち上げる
※ 「launch」は『打ち上げる』という意味で、新しいプロジェクトや計画を大々的にスタートさせるイメージです。ビジネスや政治の文脈でよく使われ、単に始めるだけでなく、社会的な影響や波及効果を期待するニュアンスが含まれます。例えば、企業のCSR活動や政府の政策など、規模の大きな取り組みに対して用いられることが多いです。類似表現に『start a project』がありますが、『launch an initiative』の方がより公式で、戦略的な印象を与えます。
共同の取り組み、共同事業
※ 複数の組織や個人が協力して行う事業や活動を指します。「joint」は『共同の』という意味で、単独ではなく、連携して行うことを強調します。国際的なプロジェクトや企業間の提携など、複数の主体が関わる場合に用いられます。例えば、『a joint initiative between the two companies』のように使われます。類似表現に『collaborative project』がありますが、『a joint initiative』の方がより公式で、組織間の合意に基づいた連携を意味することが多いです。
草の根運動、地域住民による自発的な取り組み
※ 「grassroots」は『草の根』という意味で、地域住民や一般の人々が自発的に行う活動を指します。政府や大企業が主導するのではなく、地域社会のニーズに応えるために、地域住民が主体となって行う活動を強調します。例えば、環境保護活動や地域活性化プロジェクトなどが該当します。ボトムアップ型の活動であり、地域に根ざした活動であることが特徴です。類似表現に『community-based project』がありますが、『a grassroots initiative』の方がより自発的で、地域住民の主体性を強調するニュアンスがあります。
政策提言、政策イニシアチブ
※ 政府や政党が新しい政策を提案・推進することを指します。「policy」は『政策』という意味で、政府や政党が社会問題の解決や経済発展のために行う具体的な施策を意味します。例えば、少子高齢化対策や環境問題対策などが該当します。政策の方向性を示すだけでなく、具体的な実行計画や予算措置も含まれることが多いです。政治や経済のニュースでよく使われる表現で、政策の実現可能性や効果について議論されることが多いです。
和平提唱、和平イニシアチブ
※ 紛争解決や和平実現のために、関係国や国際機関が行う外交努力や提案を指します。「peace」は『平和』という意味で、紛争当事者間の対話や交渉を促進し、平和的な解決を目指す活動を意味します。例えば、停戦合意の締結や和平交渉の開催などが該当します。国際政治の文脈でよく使われる表現で、紛争の根本原因の解決や和平構築に向けた長期的な取り組みが含まれることが多いです。
起業家精神、事業を起こすための自発的な行動
※ 新しいビジネスを創造し、リスクを冒して事業を始める意欲や行動力を指します。「entrepreneurial」は『起業家の』という意味で、革新的なアイデアやビジネスモデルを開発し、市場に新たな価値を提供する活動を意味します。例えば、スタートアップ企業の設立や新規事業の立ち上げなどが該当します。経済成長の原動力として重要視され、政府や企業が起業家を支援する政策やプログラムを実施することがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用される。例えば、「学生の学習に対する主体性(initiative)を高めるための教育方法」といった研究テーマや、「新たな研究イニシアチブ(initiative)を立ち上げる」という文脈で使われる。教養科目や専門科目を問わず、主体的な行動や新しい試みを指す場合に適している。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの提案や新規事業の立ち上げ、または従業員の主体性を評価する際に用いられる。「新規事業イニシアチブ(initiative)の提案」「従業員の主体性(initiative)を評価する制度」などのように使用される。会議や報告書など、フォーマルな場面で使われることが多い。
日常会話ではあまり使われないが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで見かけることがある。「地域の環境保護イニシアチブ(initiative)」や「若者の政治参加を促すイニシアチブ(initiative)」など、社会的な活動や提案を指す場合に用いられる。ニュースを理解する上で知っておくと役立つ。
関連語
類義語
事業、企画、冒険的な試み。特に商業的な意味合いが強く、利益を追求する活動を指すことが多い。大規模なプロジェクトや会社設立などにも用いられる。 【ニュアンスの違い】Initiativeが個人の発案や行動を強調するのに対し、Enterpriseは組織的な活動や事業全体を指す。InitiativeはEnterpriseの一部として存在しうる。Enterpriseはよりフォーマルでビジネスライクな文脈で使用される。 【混同しやすい点】Initiativeは抽象的な概念(主導権、率先)を表すのに対し、Enterpriseは具体的な事業や企業を指すことが多い。Initiativeを「企業」の意味で使うのは不適切。
推進力、意欲、精力。目標達成のために積極的に行動するエネルギーや、物事を前進させる力強さを表す。ビジネスシーンでは、プロジェクトを推進する力や個人のモチベーションを指すことが多い。 【ニュアンスの違い】Initiativeが新しいことを始める主導権を意味するのに対し、Driveは既存の計画やプロジェクトを力強く進めるエネルギーを指す。DriveはInitiativeの結果として発揮されることが多い。 【混同しやすい点】Initiativeは名詞として「主導権」の意味で使われるが、Driveは名詞として「推進力」、動詞として「運転する」「駆り立てる」など複数の意味を持つ。文脈によって意味を判断する必要がある。
- Proactiveness
自発性、先見性を持って行動すること。問題が発生する前に予測し、事前に対策を講じる積極的な姿勢を指す。ビジネスや自己啓発の分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】Initiativeが具体的な行動の開始を意味するのに対し、Proactivenessは問題解決や目標達成に向けて積極的に行動する姿勢全体を表す。ProactivenessはInitiativeを発揮するための前提となる。 【混同しやすい点】Proactivenessは抽象的な概念(積極的な姿勢)を表すのに対し、Initiativeは具体的な行動(主導権を握る、率先して始める)を指す。Proactivenessを行動そのものとして捉えないように注意する。
指導力、統率力。組織やグループをまとめて目標達成に導く能力。リーダーシップを発揮することで、周囲を鼓舞し、協力関係を築き、成果を上げることができる。 【ニュアンスの違い】Initiativeが個人の発案や行動を意味するのに対し、Leadershipは集団を率いる能力を指す。InitiativeはLeadershipの一部として、リーダーが率先して行動する際に発揮される。 【混同しやすい点】Initiativeは必ずしもリーダーである必要はないが、Leadershipは集団を率いる立場にあることが前提となる。InitiativeはLeadershipを発揮するための要素の一つと考えることができる。
- Dynamism
活力、躍動感。変化や成長を生み出す力強いエネルギー。組織や社会が活気に満ち溢れている状態を表す。 【ニュアンスの違い】Initiativeが特定の行動の開始を意味するのに対し、Dynamismは全体的な活力や勢いを指す。InitiativeはDynamismを生み出す要因の一つとなりうる。 【混同しやすい点】Initiativeは具体的な行動や計画を指すことが多いが、Dynamismは抽象的な概念(活力、勢い)を表す。Initiativeを「活力」の意味で使うのは不適切。
動機、意欲。目標達成に向けて行動を起こす内的な原動力。モチベーションが高い状態では、困難に立ち向かい、努力を継続することができる。 【ニュアンスの違い】Initiativeが行動の開始を意味するのに対し、Motivationはその行動を起こすための動機や意欲を指す。MotivationはInitiativeを発揮するための重要な要素となる。 【混同しやすい点】Initiativeは具体的な行動を指すのに対し、Motivationは抽象的な概念(意欲、動機)を表す。Initiativeを「意欲」の意味で使うのは不適切。
派生語
『始める』『開始する』という意味の動詞。名詞の『initiative』から派生し、行動を起こすことを意味します。ビジネスシーンでプロジェクトや活動を開始する際や、学術的な文脈で新しい研究を始める際に使われます。日常会話でも、何かを率先して始める際に使用されます。
『最初の』『初期の』という意味の形容詞。『initiative』の根本にある『始まり』という概念を形容詞として表現しています。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使われ、プロジェクトの初期段階や、イニシャルコスト(初期費用)のように使われます。
『開始』『入会』『伝授』などの意味を持つ名詞。『initiate』の行為やプロセスを名詞化したもので、組織への入会式や、新しいプロジェクトの開始式など、特定の儀式や手続きを伴う場面で使われることが多いです。学術論文でも、新しい理論や方法論の導入について言及する際に使われます。
反意語
『無関心』『無気力』という意味の名詞。『initiative』が積極的に行動を起こすことを意味するのに対し、『apathy』は行動を起こす意欲がない状態を表します。政治的な文脈で市民の無関心さを示す際や、個人の心理状態を説明する際に用いられます。日常会話でも使われますが、ややフォーマルな印象を与えます。
- passivity
『受動性』『消極性』という意味の名詞。『initiative』が自発的な行動を意味するのに対し、『passivity』は指示待ちや受け身の姿勢を指します。ビジネスシーンで、従業員の積極性の欠如を指摘する際や、心理学的な文脈で個人の性格特性を説明する際に使われます。学術論文でも、社会現象に対する個人の無力感を表現する際に用いられます。
『辞任』という意味の他に、『諦め』『甘受』という意味も持ちます。『initiative』が積極的に状況を改善しようとする姿勢を表すのに対し、『resignation』は困難な状況を受け入れ、変化を求めない状態を表します。ビジネスや政治の文脈で、問題に対する解決策を見出すことを諦めた状態や、個人の心理的な諦観を表現する際に使われます。
語源
「Initiative」は、ラテン語の「initium」(始まり、開始)に由来します。さらに遡ると、「inire」(入る、始める)という動詞にたどり着きます。「in-」(中に)+「ire」(行く)という要素から成り立ち、「中に入っていく」というイメージが「始める」という意味につながりました。英語の「enter」(入る)とも語源的に関連があります。「Initiative」は、この「initium」から派生した「initiatus」(開始された、始めた)という過去分詞が語源です。つまり、何か新しいことを「始める力」「先導する力」といった意味合いが、この単語に込められています。日本語で例えるなら、「イニシアチブを取る」というように、物事を率先して始める、主導権を握る、といった意味合いで使われることが多いでしょう。
暗記法
「イニシアチブ」は、単なる主導権ではない。それは、停滞を打破する「最初の一歩」であり、個人の自由と責任を象徴する。アメリカンドリームの根底にある自力で成功を掴む精神と共鳴し、社会の活力となる。文学では主人公が運命を切り開く象徴となり、映画では社会不正への抵抗として描かれる。ただし、権力者が独占すれば抑圧の道具にも。誰が、何のために使うのかを見極める必要がある。イギリス英語では、役割分担を明確にする意味合いも持つ。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の 'ive' と 'ate' の区別が難しいことがあります。'Initiate' は動詞で「開始する」「始める」という意味を持ち、名詞としては「新会員」を意味します。 'Initiative' は名詞で「主導権」「率先」という意味なので、品詞と意味が大きく異なります。'Initiate' は行動を起こす *人* や *行為* に焦点を当て、 'Initiative' は行動を起こす *能力* や *計画* に焦点を当てます。
綴りと発音が似ており、特に 'Intuitive' の方が日本人には馴染みのある単語かもしれません。'Intuitive' は形容詞で「直感的な」という意味です。'Initiative' が「自発性」や「主導権」を表すのに対し、'Intuitive' は「直感」に基づくことを表します。文脈によって意味が大きく異なるため注意が必要です。語源的には、'Intuitive' は「内側を見る」という意味合いがあります。
語頭の 'In-' が共通しており、スペルも似ているため混同しやすいです。'Incentive' は名詞で「動機」「刺激」という意味で、何かを促すための報酬や誘因を指します。'Initiative' が「自発的な行動」であるのに対し、'Incentive' は「外部からの刺激によって引き起こされる行動」です。'Incentive' は「歌を歌わせる(encantare)」というラテン語に由来し、人を惹きつける魅力があることを示唆します。
'Inceptive'は 'Initiative' と同様に 'In-' で始まり、 '-tive' で終わるため、スペルミスや発音の混乱が起こりやすいです。'Inceptive' は形容詞であり、「開始の」「初めの」という意味を持ち、主に文法用語として使われます(例えば「開始相」)。日常会話では 'Initiative' の方が圧倒的に使用頻度が高いため、 'Inceptive' は学術的な文脈で出会うことが多いでしょう。
先頭の 'Ini-' が共通しているため、発音を聞き間違える可能性があります。'Iniquity' は名詞で「不正」「不道徳」という意味で、道徳的に非常に悪い行為を指します。'Initiative' がポジティブな意味合いを持つことが多いのに対し、 'Iniquity' はネガティブな意味合いを持ちます。'Iniquity' は「平等でない(aequus でない)」というラテン語に由来し、公正さの欠如を示唆します。
スペルと発音の類似性が低いものの、語頭の 'In-' が同じであり、どちらも抽象的な概念を表す名詞であるため、意味の面で混同される可能性があります。'Inertia' は「慣性」「無気力」という意味で、変化や行動への抵抗を指します。物理学の用語としても使われます。'Initiative' が行動を起こす力であるのに対し、'Inertia' は行動を妨げる力です。'Inertia' は「技術や芸術がない(arsがない)」という意味のラテン語に由来し、動けない状態を示唆します。
誤用例
日本語の『イニシアチブ』は『主導権』や『率先力』の意味で使われることが多いですが、英語の『initiative』は『自発的な行動』や『新しい計画・戦略』を指します。そのため、単に『意欲』を伝えたい場合は『motivation』を使う方が適切です。日本人が『〜するイニシアチブがある』と表現しがちなのを直訳すると、不自然な英語になります。むしろ、'take the initiative to...' のように、具体的な行動を伴う場合に 'initiative' を使うのが自然です。
『initiative』は抽象的な『良い取り組み』という意味ではなく、具体的な計画や戦略を指します。そのため、『良いイニシアチブがある』という日本語を直訳すると、意味が不明瞭になります。『initiative』を使う場合は、どのような取り組みなのかを具体的に示す必要があります。例えば、顧客サービスを改善するための主要な取り組み、など。日本人が漠然と『良いこと』を表現したい場合に、安易にカタカナ英語を当てはめる傾向がありますが、英語では具体性が求められます。
『initiative』は名詞として単独で使うよりも、『take the initiative』というフレーズで使う方が一般的です。これは、『率先して〜する』という意味合いで、自発的な行動を強調する際に適しています。『show initiative』という表現も間違いではありませんが、やや形式的で、日常会話では『take the initiative』の方が自然です。日本人が『彼のイニシアチブを示した』のように、対象を示す場合に 'show' を選びがちですが、英語では行動自体に焦点を当てることが多いです。
文化的背景
「イニシアチブ(Initiative)」は、単に「主導権」を意味するだけでなく、個人の自発性、組織の変革力、そして社会全体の進歩を象徴する言葉として、西洋文化において重要な位置を占めてきました。特に、停滞した状況を打破し、新たな道を切り開くための「最初の重要な一歩」を踏み出す勇気と責任を体現する言葉として、様々な文脈で用いられてきました。
「イニシアチブ」という言葉が持つ文化的重みは、個人の自由と責任を重んじる価値観と深く結びついています。特にアメリカ文化においては、自己啓発の精神や起業家精神と結びつき、「自分の人生を切り開く」という積極的な姿勢を奨励する文脈で頻繁に用いられます。これは、アメリカンドリームの根幹をなす「自力で成功を掴む」という価値観と共鳴し、個人のイニシアチブが社会全体の活力につながると信じられています。政治の世界では、新しい政策や改革を打ち出す際に「イニシアチブ」という言葉が用いられ、リーダーシップの象徴として強調されます。たとえば、大統領が新たな環境保護政策を打ち出す際、「グリーン・イニシアチブ」といった名称が用いられることがあります。これは、単に政策の内容を伝えるだけでなく、大統領自身が環境問題に対して積極的に取り組む姿勢を示す効果があります。
文学作品においても、「イニシアチブ」はしばしば重要なテーマとして扱われます。例えば、主人公が困難な状況に立ち向かい、自らの意志で行動を起こす姿は、「イニシアチブ」の象徴として描かれることがあります。古典的な冒険物語から現代の社会派小説まで、主人公が「イニシアチブ」を発揮することで、物語が展開し、読者に感動を与えるのです。映画の世界でも同様で、主人公が自らの「イニシアチブ」によって運命を切り開く物語は、観客に勇気と希望を与えます。特に、社会的な不正や抑圧に立ち向かう主人公を描いた作品では、「イニシアチブ」が抵抗の象徴として描かれることがあります。
ただし、「イニシアチブ」という言葉は、常に肯定的な意味合いを持つとは限りません。組織や権力者が「イニシアチブ」を独占し、個人の自由や権利を侵害するような場合もあります。このような状況では、「イニシアチブ」は抑圧や支配の手段として用いられることがあります。したがって、「イニシアチブ」という言葉を理解する際には、それが誰によって、どのような目的で使用されているのかを注意深く見極める必要があります。また、イギリス英語においては、アメリカ英語ほど「イニシアチブ」が個人の積極性を強調するニュアンスは強くない場合があります。むしろ、組織や集団における役割分担や責任範囲を明確にするために用いられることが多いようです。
試験傾向
準1級以上で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主に長文読解、語彙問題。
2. **頻度と級・パート**: 準1級、1級でまれに出題。長文読解パートでの出現頻度が高い。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、ビジネス、環境問題など、幅広いテーマで登場。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「率先」「主導権」といった意味を理解し、関連語(initiative, take the initiative)も覚えておく。動詞形(initiate)との関連も意識。
Part 5, 6, 7で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主に穴埋め問題(Part 5, 6)、長文読解(Part 7)。
2. **頻度と級・パート**: Part 7で比較的高頻度で出現。ビジネス関連の文書でよく使われる。
3. **文脈・例題の特徴**: プロジェクト、戦略、改革など、ビジネスシーンでよく見られる文脈。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「主導権」「イニシアチブ」といった意味を理解し、ビジネスシーンでの使われ方を把握する。関連語句 (show initiative, take the initiative) をセットで覚える。
リーディング、ライティングで出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主にリーディングセクションの長文読解。ライティングセクションでの使用も考えられる。
2. **頻度と級・パート**: リーディングセクションで中程度の頻度で出現。アカデミックな文章でよく使われる。
3. **文脈・例題の特徴**: 研究、政策、理論など、学術的な文脈で登場することが多い。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「主導性」「構想」といった意味を理解し、アカデミックな文章での使われ方を把握する。抽象的な概念を表すことが多い。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主に長文読解問題。
2. **頻度と級・パート**: 難関大学の入試で比較的頻繁に出題。標準的なレベルの大学では稀。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマで登場。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から意味を推測する能力が重要。「主導権」「率先」といった基本的な意味に加え、文脈に応じたニュアンスを理解する必要がある。類義語(leadership, enterprise)との使い分けも意識する。