devote
第一音節の /ɪ/ は日本語の「イ」よりも曖昧で、口を少し開けて発音します。第二音節の強勢(ˈ)に注意し、「ヴォ」は唇を丸めて前に突き出すように発音しましょう。最後の /t/ は破裂音で、息を止めてから開放するイメージです。日本語の「ト」よりも、息の要素を強く意識してください。
捧げる
時間、労力、愛情などを、ある目的や人に対して惜しみなく費やすこと。対象への強い思い入れやコミットメントが伴うニュアンス。
He devoted his evenings to learning to play the guitar.
彼は毎晩、ギターの練習に時間を捧げました。
※ この例文では、ある人が夜の時間を「ギターを学ぶこと」に集中して使っている情景が目に浮かびます。「devote」は、自分の時間や労力を特定の活動や目標のために惜しみなく使う様子を表すのにぴったりです。特に趣味やスキル習得に熱心に取り組む時に使われます。「devote A to B」で「AをBに捧げる」という形でよく使われます。
She devoted all her energy to finishing the important project on time.
彼女は重要なプロジェクトを期限内に終えるために、全エネルギーを捧げました。
※ この例文からは、締め切りが迫る中で、一人の女性が大変な集中力と努力をもって仕事に取り組む姿が想像できます。「devote」は、仕事や目標達成のために「エネルギー」や「全力を尽くす」という強い決意や献身を示す際によく用いられます。仕事や学業など、成果が求められる場面で自然に使われる表現です。
The mother devoted her life to raising her children well.
その母親は、子供たちを立派に育てることに人生を捧げました。
※ この例文は、子供たちへの深い愛情と、その成長のために惜しみない努力を注ぐ母親の姿を描いています。「devote」は、このように家族や大切な人、あるいは大きな目的のために「人生」や「献身」を捧げるという、深い感情を伴う文脈で使われることがあります。献身的で自己犠牲的な行動を表す際にも適しています。
打ち込む
自分の能力やエネルギーを、特定の活動や目標に集中させること。熱中して取り組む様子を表す。
She decided to devote her evenings to learning Spanish.
彼女は夜の時間をスペイン語の学習に打ち込むことにした。
※ 仕事が終わって家に帰り、ソファでくつろぐ代わりに、机に向かってスペイン語の単語帳を開く女性の姿を想像してください。彼女は、新しい言語を習得したいという強い気持ちから、自分の大切な自由時間を学習に「打ち込む」ことを決めたのです。このように、「devote (時間など) to (〜すること)」という形で、「〜に時間や労力を集中させる」という意味を表します。to の後には動名詞 (learning) が来ることが多いです。
The team decided to devote all their energy to finishing the project on time.
そのチームは、プロジェクトを期限内に終えるために全力を尽くすことにした。
※ 締め切りが迫る中、会議室で夜遅くまで議論し、資料を広げ、全員で協力し合っているチームの様子を思い浮かべてください。彼らは目標達成のため、持てる「全てのエネルギー」をそのプロジェクトに「打ち込む」ことを決意しました。「devote (労力・エネルギーなど) to (〜すること)」は、目標達成のために集中的に努力する様子を表す典型的な表現です。ビジネスシーンでもよく使われます。
He chose to devote his life to helping children in need.
彼は困っている子どもたちを助けることに人生を捧げることを選んだ。
※ 自分の利益よりも、他者のために尽くすことを選んだ男性の姿を想像してください。彼が、遠く離れた場所で、貧しい子どもたちに勉強を教えたり、食事を与えたりしている様子が見えてきませんか?彼は、自分の「人生そのもの」をその活動に「捧げる」ことを決意したのです。「devote (oneself/one's life) to (〜すること)」は、「自分自身や自分の人生を何かに捧げる、献身する」という、より深いレベルの『打ち込み』を表します。人道支援や研究など、大きな目的のために尽くす場合によく使われます。
コロケーション
~に身を捧げる、~に専念する
※ 最も一般的なコロケーションの一つで、ある活動、目標、または人物に対して時間、エネルギー、才能などを惜しみなく費やすことを意味します。特に、自己犠牲的なニュアンスを含む献身的な行為に使われます。例えば、研究、慈善活動、家族の世話などに用いられます。文法的には 'devote oneself to + 名詞/動名詞' の形を取ります。'dedicate oneself to' とほぼ同義ですが、'devote' の方がより感情的な献身を表すことが多いです。ビジネスシーンでも使われますが、文学作品やスピーチなどでより感動的に表現される傾向があります。
時間・エネルギー・資源を費やす
※ 具体的な資源を何かに投入することを意味する、非常に汎用性の高い表現です。ビジネス、学術、個人的なプロジェクトなど、幅広い場面で使用されます。'devote significant time to' のように、形容詞を加えて費やす量や程度を強調することもできます。類似表現として 'allocate' や 'dedicate' がありますが、'devote' は単に割り当てるだけでなく、より熱意や重要性を持って投資するニュアンスを含みます。例えば、'devote resources to environmental protection' (環境保護に資源を投入する) のように使われます。
~に注意を払う、~に集中する
※ 特定の事柄に意識を集中させ、注意深く取り組むことを意味します。会議での議論、問題解決、学習など、注意を要するあらゆる状況で使用されます。'pay attention to' と似ていますが、'devote attention to' はより意識的かつ積極的に注意を向けるニュアンスがあります。例えば、'devote attention to detail' (細部に注意を払う) のように使われます。ビジネスシーンや学術的な文脈でよく見られます。
生涯を~に捧げる
※ 文字通り、人生の全てをある目的や活動に捧げることを意味する、非常に強い献身を表す表現です。科学者、芸術家、宗教家、社会活動家など、特定の分野に人生を捧げた人物を語る際に用いられます。'dedicate one's life to' とほぼ同義ですが、'devote' の方がより深い感情的な結びつきや犠牲を伴うニュアンスがあります。例えば、'devote one's life to finding a cure for cancer' (癌の治療法を見つけるために生涯を捧げる) のように使われます。文学作品や伝記などでよく見られます。
(書籍などで)~の章を割く
※ あるテーマやトピックについて、書籍や論文の中で特定の章を設けて詳細に議論することを意味します。学術的な文脈やノンフィクション作品でよく用いられます。例えば、'devote a chapter to the history of the internet' (インターネットの歴史に1章を割く) のように使われます。比喩的に、ある事柄について集中的に議論する時間を設けるという意味でも使えます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、時間や労力を特定の研究テーマや活動に「捧げる」という意味で使用されます。例えば、「研究者は長年、このテーマの解明に全力を注いできた (The researcher has devoted many years to elucidating this theme)」のように、研究への献身を示す文脈でよく見られます。学生が論文で引用する際にも使用頻度が高いです。
ビジネスシーンでは、プロジェクトや顧客へのコミットメントを強調する際に使われます。例えば、「当社は顧客満足度向上に全力を捧げます (Our company is devoted to improving customer satisfaction)」のように、企業の姿勢を示す声明や、上司が部下に対して「このプロジェクトに専念してほしい」と伝える場面などで用いられます。ただし、日常的な会話よりは、ややフォーマルな文書やプレゼンテーションで使われる傾向があります。
日常会話ではあまり頻繁には使いませんが、趣味やボランティア活動など、情熱を注いでいる対象について話す際に使用することがあります。例えば、「週末はガーデニングに時間を捧げている (I devote my weekends to gardening)」のように、自分の時間を何に費やしているかを説明する際に使われます。ニュース記事やドキュメンタリーでは、特定の活動に献身的に取り組む人物を紹介する際にも使われることがあります。
関連語
類義語
ある目的や活動のために、時間、エネルギー、資源などを捧げる、という意味。フォーマルな場面や文書でよく使われ、目標や理想のために尽力するニュアンスが強い。ビジネス、学術、宗教など幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「devote」と非常に近い意味だが、「dedicate」はより公式な文脈や、記念碑の献呈など、特別な目的のために捧げるというニュアンスが強い。また、「dedicate」は作品を人に捧げる意味でも使われる。 【混同しやすい点】「devote」と同様に他動詞であり、再帰代名詞を伴う場合がある(例:dedicate oneself to)。ただし、「dedicate」は記念碑や本などを『献呈する』という意味合いでも使われるため、文脈によって意味を誤解しやすい。
時間、エネルギー、資源などを特定の目的や活動に費やす、という意味。責任感や義務感を伴うことが多い。ビジネスや政治、個人的な関係など、様々な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】「devote」よりも、より強い義務感や責任感、決意が込められていることが多い。また、「commit」は犯罪を犯すという意味もあるため、文脈によっては注意が必要。 【混同しやすい点】「commit」は「commit oneself to」の形で、自己を捧げる、献身するという意味になるが、「devote」よりも強い決意や責任感が伴う。また、「commit」は犯罪を犯すという意味も持つため、文脈をよく理解する必要がある。
神聖な目的のために捧げる、聖別する、という意味。宗教的な文脈でよく使われ、教会や聖職者を聖別する際などに用いられる。非常にフォーマルで、日常会話ではほとんど使われない。 【ニュアンスの違い】「devote」よりも宗教的な意味合いが強く、神聖なものや場所を清め、特別な目的のために捧げるというニュアンスが強い。日常的な活動に「consecrate」を使うことはない。 【混同しやすい点】「consecrate」は宗教的な文脈でのみ使用されるため、「devote」の一般的な意味合いとは大きく異なる。誤って日常会話で使用すると、不自然な印象を与える。
与える、提供する、という意味。「give time」、「give effort」のように、時間や努力を捧げるという意味でも使用できる。非常に一般的な語彙で、日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】「devote」よりも直接的で、フォーマルではない表現。時間や努力を「give」する場合、必ずしも自己犠牲的なニュアンスは含まれない。より一般的な行為を表す。 【混同しやすい点】「give」は非常に広範な意味を持つため、「devote」のように特定の目的のために時間やエネルギーを捧げるというニュアンスを正確に伝えるためには、具体的な表現を補う必要がある(例:give all one's time to...)。
努力や能力を何かに向ける、集中させる、という意味。「apply oneself to」の形で、熱心に取り組むという意味になる。ビジネスや学術的な文脈で使用されることが多い。 【ニュアンスの違い】「devote」よりも、特定のタスクや目標に対して意識的に努力を集中させるというニュアンスが強い。「devote」がより包括的な献身を表すのに対し、「apply」は具体的な行動に焦点を当てる。 【混同しやすい点】「apply」は「申し込む」という意味も持つため、文脈によって意味を誤解しやすい。「apply oneself to」の形で使用される場合は、「devote」に近い意味になるが、ニュアンスの違いに注意が必要。
資源(時間、資金、人員など)を特定の目的のために割り当てる、という意味。ビジネスやプロジェクト管理の文脈でよく使われ、効率的な資源配分を意味する。 【ニュアンスの違い】「devote」が自己犠牲的な献身を含むのに対し、「allocate」はより客観的で、戦略的な資源配分を意味する。感情的なニュアンスはほとんど含まれない。 【混同しやすい点】「allocate」は資源を割り当てるという意味であり、自己を捧げるという「devote」のニュアンスとは大きく異なる。人的資源を割り当てる場合に、誤って「devote」を使用しないように注意が必要。
派生語
「献身」「熱愛」を意味する名詞。動詞「devote」から派生し、接尾辞「-tion」が付くことで抽象名詞化。個人的な感情や宗教的な文脈で、深い愛情や忠誠心を表す際に用いられる。例:家族への献身、神への信仰。
「献身的な」「熱心な」を意味する形容詞。「devote」の過去分詞形が形容詞として転用されたもの。特定の対象に愛情や努力を惜しまない様子を表し、日常会話や文学作品で人物描写に用いられる。例:献身的な看護師、熱心なファン。
「信奉者」「熱心な愛好家」を意味する名詞。「devote」に接尾辞「-ee」が付加され、「〜される人」の意味合いを持つ。宗教的な文脈や、特定の趣味・スポーツなどを熱心に支持する人を指す。例:仏教の信奉者、熱心なゴルフ愛好家。
反意語
「怠る」「無視する」を意味する動詞。「devote」が時間や労力を積極的に注ぎ込むのに対し、「neglect」は注意を払わず放置することを指す。日常的な義務や責任を怠る場合に使われ、devoteとは対照的な状況を表す。例:育児を怠る、仕事を無視する。
「浪費する」「無駄にする」を意味する動詞。「devote」が貴重な資源を特定の目的のために使うのに対し、「waste」はそれらを無益に消費することを意味する。時間、お金、エネルギーなど、様々な資源の浪費に対して用いられ、devoteとは反対の概念を表す。例:時間を浪費する、お金を無駄にする。
「無視する」「軽視する」を意味する動詞。「devote」が注意を払い、重視するのに対し、「disregard」は意図的に無視したり、重要視しないことを意味する。規則、意見、感情など、様々な対象に対して用いられ、devoteとは対照的な態度を示す。例:警告を無視する、他人の意見を軽視する。
語源
"devote」はラテン語の「vovere(誓う、約束する)」に由来します。これに接頭辞「de-(完全に、徹底的に)」が付いた「devovere」が語源です。つまり、「devote」は元々「誓って捧げる」「完全に約束する」という意味合いを持っていました。何かを「捧げる」「打ち込む」という現代的な意味は、この「誓い」という概念から派生しています。たとえば、日本の武士道における「忠誠を誓う」という行為は、まさに自分の時間や能力を主君に「devote」することに相当します。何かに対して全力を尽くす、献身的に取り組むというニュアンスは、語源にある「誓い」の強さを今もなお受け継いでいると言えるでしょう。
暗記法
「devote」は、元は神への献身を意味し、騎士道や修道士の生き方に宿る精神でした。アーサー王の騎士たちは理想を追求し、キュリー夫人は研究に、マンデラは社会変革に人生を捧げました。現代では自己実現や社会貢献と結びつき、個人の価値観に沿った献身を意味します。自己犠牲と献身の精神は、私たちが人生で何を大切にするのかを問いかけます。
混同しやすい単語
『devote』と『vote』は、語尾の子音を除いて発音が非常に似ています。特に、母音部分の発音が曖昧になりやすく、区別が難しいことがあります。『vote』は『投票する』という意味の動詞または『投票』という意味の名詞であり、意味も品詞も異なります。日本人学習者は、文脈から判断するだけでなく、発音を意識して区別するように心がけることが重要です。語源的には、『vote』はラテン語の『votum』(誓い、願い)に由来し、意思表示の厳粛さを表しています。
『devote』と『devout』は、スペルが非常に似ており、特に語尾の『-te』と『-out』の違いを見落としがちです。『devout』は『信心深い』という意味の形容詞であり、品詞が異なります。意味も全く異なるため、注意が必要です。英語学習者は、スペルを丁寧に確認し、形容詞と動詞の区別を意識することが大切です。語源的には、『devout』も『devote』と同じラテン語の『votum』(誓い、願い)に由来し、神への献身的な態度を表しています。
『devote』と『divot』は、最初の2音節の発音が似ており、特に早口で発音された場合、聞き間違えやすいことがあります。『divot』はゴルフで使われる言葉で、芝を削り取った跡のことを指します。意味が全く異なるため、文脈から判断することが重要です。英語学習者は、単語の全体的な発音だけでなく、各音節を意識して聞く練習をすることが効果的です。
『devote』と『denote』は、最初の音節の発音が似ており、特に母音の発音が曖昧になりやすい日本人学習者にとっては、聞き分けが難しいことがあります。『denote』は『示す』、『意味する』という意味の動詞であり、意味が異なります。英語学習者は、単語の全体的な形だけでなく、意味の違いを意識して覚えることが重要です。語源的には、『denote』はラテン語の『notare』(印をつける、注意する)に由来し、何かを明確に示すという意味合いがあります。
『devote』と『evoke』は、どちらも動詞であり、語尾の音も似ているため、混同しやすいことがあります。『evoke』は『呼び起こす』という意味であり、感情や記憶などを呼び起こす場合に使われます。意味が異なるため、文脈から判断することが重要です。英語学習者は、単語の意味をしっかりと理解し、例文を通して使い方を学ぶことが効果的です。語源的には、『evoke』はラテン語の『vocare』(呼ぶ)に由来し、何かを呼び出す、引き出すという意味合いがあります。
『devote』と『detonate』は、どちらも動詞であり、語頭の音が似ているため、混同しやすいことがあります。『detonate』は『爆発させる』という意味であり、意味が大きく異なります。特に、ニュース記事などで使われることが多いため、注意が必要です。英語学習者は、単語の意味をしっかりと理解し、例文を通して使い方を学ぶことが効果的です。語源的には、『detonate』はラテン語の『tonare』(雷鳴がとどろく)に由来し、爆発音のイメージを表しています。
誤用例
『devote』は、時間、エネルギー、リソースなどを、重要な目的や活動に『捧げる』『費やす』という意味合いが強く、自己犠牲や献身的なニュアンスを含みます。週末にビールを飲むという行為は、多くの場合、リラックスや娯楽を目的としており、深刻さや献身とは結びつきにくいため、不適切です。よりカジュアルな表現である『dedicate』や『spend』を使う方が自然です。また、週末のビールをより具体的に『craft beer』とすることで、大人の趣味としてのニュアンスを加えています。日本語の『〜に費やす』という表現を直訳しようとすると、このような語感のずれが生じやすいです。
『devote』は通常、名詞または動名詞(-ing形)を伴う前置詞『to』と組み合わせて使用されます。『devote to doing』の形が正しい構文です。『to be』は不定詞であり、この文脈では文法的に誤りです。日本人は、英語の不定詞を安易に使う傾向がありますが、文法構造を正しく理解することが重要です。彼は人生を捧げて成功したビジネスマンになった、という意図を伝えるには、動名詞を用いることで、『成功したビジネスマンになること』という行為に人生を捧げた、というニュアンスを正確に表現できます。
『devoted』は、愛情や忠誠心といった感情的なつながりを示す場合にも使われます。仕事に対する献身を表現する場合には、『dedicated』の方がより客観的で適切です。また、後半部分も、日本人の美徳である謙虚さを意識した表現に修正しました。『doesn't talk about it much』を『maintains a modest demeanor about her accomplishments』とすることで、控えめな態度を保っていることをより洗練された形で表現しています。英語では、直接的な自己主張を避ける代わりに、行動や態度で示すことが好まれる場合があります。日本語の『あまり多くを語らない』を直訳するのではなく、文化的背景を考慮した表現を選ぶことが大切です。
文化的背景
「devote」は、自己の資源や時間、情熱を神聖な目的や価値ある対象に捧げる行為を表し、献身的な愛や忠誠心といった、人間が理想とする精神性を象徴する言葉です。元来、宗教的な文脈で神への献身を意味していましたが、時を経て、芸術、学問、社会運動など、より広範な対象への深いコミットメントを示すようになりました。
中世ヨーロッパにおける騎士道精神は、「devote」の語源的な意味合いと深く結びついています。騎士は、主君への忠誠、弱者救済、そして神への信仰に自らの命を捧げることを誓いました。アーサー王物語に登場する円卓の騎士たちは、理想の追求に人生を「devote」する姿を体現しており、彼らの献身的な行動は、後の時代における英雄的な行動の原型となりました。また、修道院における修道士たちの生活も、「devote」の精神を色濃く反映しています。彼らは、祈り、労働、そして清貧の生活に身を捧げ、神との一体化を目指しました。このような献身的な生き方は、社会的な規範となり、人々に深い影響を与えました。
近代に入ると、「devote」は、宗教的な意味合いから解放され、より世俗的な分野での献身を意味するようになりました。科学者は研究に、芸術家は創作に、活動家は社会変革に、それぞれ情熱を注ぎ込みます。例えば、マリー・キュリーは、放射能研究に人生を「devote」し、科学の発展に大きく貢献しました。ネルソン・マンデラは、アパルトヘイト撤廃という目標に人生を「devote」し、人種差別のない社会の実現に尽力しました。彼らのように、困難な状況にも屈せず、目標達成のために努力する姿は、人々に勇気と希望を与え、「devote」という言葉に新たな意味を付加しました。
現代社会においては、「devote」は、自己実現や社会貢献といった、より個人的な価値観と結びついて使われることが多くなりました。趣味やスキルアップに時間を費やすこと、ボランティア活動に参加すること、家族や友人を大切にすることなど、人々はそれぞれの価値観に基づいて、人生を「devote」する対象を選択します。しかし、「devote」の根底にある、自己犠牲と献身の精神は、今も変わらず、人々の心を揺さぶり、行動を促す力を持っています。それは、単なる時間の費やし方ではなく、人生をかけて何を大切にするのか、という根源的な問いかけなのです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級で重要
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など幅広いテーマで登場
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「devote A to B (AをBに捧げる)」の形を暗記。類義語 (dedicate, commit) との使い分けを理解。
1. 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)
2. 頻度と級・パート: Part 7で比較的よく見られる
3. 文脈・例題の特徴: 企業活動、社会貢献、自己啓発などビジネス関連の文脈
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「devote time/resources to」の形で頻出。to の後に名詞または動名詞が続く点に注意。
1. 出題形式: リーディングセクション
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、科学、社会学など、学術的なテーマで登場
4. 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念や理論の説明で使われることが多い。文脈から正確な意味を把握する練習が重要。
1. 出題形式: 長文読解、文法問題(語彙選択)
2. 頻度と級・パート: 難関大学で頻出
3. 文脈・例題の特徴: 環境問題、社会問題、科学技術など、評論的なテーマで登場
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が必要。「devote oneself to」の形で使われる場合、再帰代名詞に注意。