英単語学習ラボ

dispense

/dɪˈspɛns/(ディˈスペンス)

第2音節にアクセントがあります(ˈ)。母音/ɪ/は日本語の「イ」よりも口を少し開けて短く発音します。また、最後の/s/は無声音ですので、日本語の「ス」のように母音を伴わないように注意しましょう。唇と舌を意識して、息だけで音を作るイメージです。

専門的な内容に関するご注意

このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。

動詞

分配する

必要なものを必要な人に、計画的に分け与えるイメージ。お金、薬、情報などを配る際に使う。自動販売機が飲み物を「提供する」意味合いにも近い。

The pharmacist carefully dispensed the medicine to the patient.

薬剤師は患者に薬を丁寧に分配しました。

この例文は、薬局で薬剤師が患者に薬を渡す、ごく一般的な場面を描いています。「dispense」は、特に薬や物資などを「必要な人に配る」「供給する」という意味で非常によく使われます。誰に渡すかを明確にするために「to the patient」のように「to + 人」の形がよく使われます。

This machine can dispense coins after you buy a ticket.

この機械は、チケットを買った後でコインを出すことができます。

自動販売機や券売機などが、お金やお釣り、飲み物などを自動で「供給する」「出す」際にも「dispense」が使われます。機械が何かを自動的に提供する様子が目に浮かびますね。「can dispense」で「〜を供給できる」という能力を表しています。

Volunteers happily dispensed free meals to the homeless people.

ボランティアは、ホームレスの人々に無料で温かい食事を喜んで分配しました。

この例文は、慈善活動などで食料や物資を多くの人々に「分け与える」場面を表しています。ボランティアの人々が、笑顔で温かい食事を困っている人々に手渡す情景が目に浮かびます。「happily」のような副詞を加えることで、その行動がどのような気持ちで行われたのかが伝わり、より鮮やかなシーンになります。

動詞

免除する

義務や責任などを特別に免除すること。規則や通常の手続きを適用しないニュアンスを含む。例えば、特定の条件を満たす場合に、税金やサービスの支払いを免除する。

The teacher decided to dispense with homework for the long holiday break.

先生は長い休暇の間、宿題を免除することにしました。

この例文は、学校や組織が一時的に規則や義務を「免除する」「なくす」という、よくある場面を描いています。生徒たちが宿題なしで休みを楽しめることに、きっと喜びを感じるでしょう。「dispense with A」で「Aを免除する」「Aなしで済ます」という意味になり、公式な決定によく使われます。

Since we were in a hurry, we had to dispense with our usual long goodbyes.

私たちは急いでいたので、いつもの長いお別れの挨拶は抜きにしなければなりませんでした。

この文は、時間がなく、普段行っている習慣や形式的なことを「省略する」「なくす」必要がある状況を表しています。空港や駅で、名残惜しい気持ちを抱えながらも、急いで別れを告げる様子が目に浮かびます。「had to」は「~しなければならなかった」という意味で、避けられない状況で何かを省略する際に使えます。

For this urgent project, we might need to dispense with some of the normal procedures.

この緊急プロジェクトのため、通常の手順の一部を省く必要があるかもしれません。

ビジネスやプロジェクトの現場で、時間や効率を優先するために、通常の手順や規則の一部を「不要にする」「省略する」という場面です。締め切りが迫る中で、チームが真剣に話し合い、効率化を図る様子が想像できます。「might need to」は「~する必要があるかもしれない」と、可能性を示唆する際に便利な表現です。

動詞

実行する

薬を処方する、法律を執行するなど、権限を持って何かを行うこと。特に、正式な手続きやルールに沿って行う場合に使う。

The pharmacist carefully dispensed the medicine to the patient, who looked relieved.

薬剤師は、安心した様子の患者に慎重に薬を調剤(提供)しました。

この例文は、専門家がその役割として「薬を調剤する」という行為を『実行する』典型的な場面です。患者さんが薬を受け取ってホッとしている様子が目に浮かびますね。医療の現場で、規則や手順に基づいてサービスを提供する際に使われます。

The vending machine immediately dispensed a cold juice after I inserted the exact coins.

私がちょうど良い硬貨を入れると、自動販売機はすぐに冷たいジュースを出しました。

ここでは、機械がその機能として『飲み物を出す』という動作を『実行する』ことを表しています。コインを入れたら、すぐに冷たいジュースが出てくる、そんなちょっとした嬉しい瞬間が伝わってきますね。機械が物資を自動的に供給する場面でよく使われます。

My kind teacher always dispenses valuable advice to students who are struggling with their studies.

私の親切な先生は、勉強に苦しんでいる生徒たちにいつも貴重なアドバイスを与えてくれます。

この例文は、人が『アドバイスを与える』という無形の行為を『実行する』ことを示しています。困っている生徒に、先生が心を込めて助言している温かい情景が目に浮かぶでしょう。誰かに情報や助言などを提供する際にも 'dispense' が使われます。

コロケーション

dispense justice

正義を行う、裁判を行う、刑罰を科す

「正義を分配する」というイメージで、裁判官や司法制度が公平に裁きを下すことを意味します。単に「justice」を「do」や「make」するよりも、より公式で厳粛なニュアンスがあり、法廷や公的な声明などでよく用いられます。比喩的に、個人的な争いごとで「正当な報いを与える」という意味でも使われますが、フォーマルな響きが残ります。

~なしで済ます、~を不要とする、~を省略する

「with」を伴うことで、それまで必要とされていたもの、あるいは慣習的に行われてきたことを「取り除く」「不要とする」という意味になります。たとえば、"We can dispense with the formalities."(形式的なことは抜きにしましょう)のように使います。ビジネスシーンや会議などで、効率化や簡略化を提案する際に便利です。類似表現に "do without" がありますが、こちらは単に「~なしで我慢する」という意味合いが強く、積極的に省略するニュアンスの "dispense with" とは異なります。

dispense advice

助言を与える、アドバイスをする

「助言を分け与える」というイメージで、特に経験豊富な人が、知識や知恵を共有するニュアンスがあります。単に「give advice」と言うよりも、少し堅く、権威のある人が助言を与えるような印象を与えます。フォーマルな場面や、専門家が意見を述べる際に適しています。例えば、"The professor dispensed valuable advice to his students."(教授は学生たちに貴重な助言を与えた)のように使われます。

dispense medicine

薬を調剤する、薬を出す

医療の現場で、薬剤師や医師が患者に薬を渡す行為を指します。薬局や病院でよく使われる表現で、一般的には「prescribe medicine(薬を処方する)」とセットで使われることが多いです。「Medicine」の代わりに「drugs」も使えますが、ややくだけた印象になります。

dispense information

情報を伝える、情報を提供する

情報を広く行き渡らせる、あるいは公式に発表するニュアンスがあります。ニュース記事や報道、企業の広報活動などでよく用いられます。単に「give information」と言うよりも、組織的な情報伝達を意味することが多いです。例えば、"The government dispensed information about the new policy."(政府は新政策に関する情報を発表した)のように使われます。

dispense charity

慈善を施す、施しを与える

恵まれない人々に対して、金銭や物資を与える行為を指します。やや古風な言い回しで、現代ではあまり一般的ではありませんが、歴史的な文脈や文学作品などで見られます。慈善団体や宗教団体が、支援活動を行う際に使われることがあります。例えば、"The church dispensed charity to the poor."(教会は貧しい人々に施しを与えた)のように使われます。

使用シーン

アカデミック

学術論文や教科書で、抽象的な概念やシステムにおける「分配」や「実行」を説明する際に使われます。例えば、経済学の論文で「政府が資源をどのように分配するか」を議論する際や、医学研究で「薬物が体内でどのように作用するか(実行されるか)」を説明する際に用いられます。文語的な表現です。

ビジネス

ビジネス文書やプレゼンテーションで、やや形式ばった表現として用いられます。例えば、人事評価において「公平に機会を分配する」という文脈や、プロジェクトの進捗報告で「役割を割り当てる(実行する)」という文脈で使用されることがあります。日常的なビジネス会話よりは、書面でのコミュニケーションで使われる傾向があります。

日常会話

日常会話ではあまり使われませんが、医療機関や自動販売機など、特定の状況下で「dispenser(分配器)」という名詞形で接する機会があります。また、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、例えば「正義を実行する」といったやや硬い表現として見かけることがあります。

関連語

類義語

  • 『分配する』『配る』という意味で、物資や情報などを複数の人に分け与える場面で使われる。ビジネスシーンや公式な場面でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『dispense』よりも広い意味を持ち、単に分け与える行為を指すことが多い。『dispense』は、より組織的、計画的な分配、または特定の目的のために供給するというニュアンスがある。 【混同しやすい点】『distribute』は、物理的なものだけでなく、情報や責任など抽象的なものにも使える点が『dispense』よりも広い。また、『distribute』は自動詞として使われることもあるが、その場合は『分布する』という意味になる。

  • 『割り当てる』という意味で、資源、予算、時間などを特定の目的や人に割り当てる場面で使われる。プロジェクト管理や財務などの分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『dispense』よりも、より計画的かつ意図的な割り当てを意味する。通常、限られた資源を効率的に分配するというニュアンスがある。 【混同しやすい点】『allocate』は、通常、組織や権限を持つ者が、計画に基づいて資源を割り当てる場合に用いられる。『dispense』は、必ずしも計画的ではなく、その場の状況に応じて提供するという意味合いも含む。

  • 『投与する』『管理する』という意味で、薬や治療を患者に施したり、法律や規則を施行したりする場面で使われる。医療や法務などの専門分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『dispense』が単に『提供する』という意味合いが強いのに対し、『administer』は、専門的な知識や権限に基づいて管理・実行するというニュアンスがある。 【混同しやすい点】『administer』は、薬や治療だけでなく、試験やアンケートなどを実施する意味でも使われる。また、組織や制度などを管理・運営するという意味も持つ。

  • 『提供する』という意味で、必要なものやサービスを誰かに与える場面で使われる。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『dispense』よりも一般的な言葉で、特定の状況や目的を伴わない、より広い意味での提供を指すことが多い。『dispense』は、しばしば自動的な、または義務的な提供というニュアンスを含む。 【混同しやすい点】『provide』は、具体的な物だけでなく、情報、アドバイス、機会など、抽象的なものも提供できる。『dispense』は、より具体的な物やサービスを提供するイメージが強い。

  • 『供給する』という意味で、必要な物資や資源を継続的に提供する場面で使われる。経済や産業などの分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『dispense』よりも、より大規模で、継続的な供給を意味する。しばしば、需要を満たすために計画的に供給するというニュアンスがある。 【混同しやすい点】『supply』は、名詞としても動詞としても使われる。名詞としては『供給(量)』という意味を持つ。『dispense』は、通常、動詞として使われ、名詞としては『調剤』という意味を持つ。

  • 『配る』という意味で、物を複数の人に分け与える場面で使われる。日常会話でよく用いられるカジュアルな表現。 【ニュアンスの違い】『dispense』よりもくだけた言い方で、公式な場面やビジネスシーンには適さない。『dispense』は、よりフォーマルで、組織的な配布を意味することが多い。 【混同しやすい点】『give out』は句動詞であり、しばしば非公式な状況で使われる。一方、『dispense』は、より客観的で中立的な表現であるため、状況に応じて使い分ける必要がある。

派生語

  • 『薬局』や『配給所』を意味する名詞。元々は『dispense(分配する)』場所を指し、薬や物資を人々に分配・供給する場所として発展。医療や福祉関連の文脈で使われることが多い。

  • dispensation

    『分配』『配給』という意味の名詞。さらに『(法や規則の)免除』という意味も持つ。これは、特定の人に特別な計らいとして『dispense』されることから派生。法律、宗教、ビジネス文書などで見られる。

  • 接頭辞『in-(否定)』と接尾辞『-able(〜できる)』がつき、『不可欠な』という意味の形容詞。つまり『dispense(取り除く)』ことが『in-(できない)』状態。ビジネスや学術論文で、必要不可欠な要素を強調する際に頻繁に使われる。

反意語

  • 『(何かを)保留する』『与えない』という意味の動詞。『dispense』が何かを『分配する』のに対し、『withhold』は意図的にそれを『保持する』という対比構造を持つ。税金の源泉徴収(tax withholding)など、ビジネスや法律の文脈でよく使われる。

  • 『集める』という意味の動詞。『dispense』が『分散させる』のに対し、『collect』は一点に『集約する』という反対の動作を表す。データ収集(data collection)など、様々な文脈で使われ、日常会話でも頻繁に登場する。

  • 『(物などを)ため込む』という意味の動詞。単に集めるだけでなく、必要以上に蓄積するニュアンスが強い。『dispense』が『必要に応じて分配する』のに対し、『hoard』は『手放さずに独占する』という対比関係にある。比喩的に、情報や知識を独占する場合にも使われる。

語源

「dispense」は、ラテン語の「dis-」(分離、離れて)と「pendere」(量る、つり下げる、支払う)が組み合わさった「dispendere」(量って分配する、支払う)に由来します。つまり、元々は何かを量って分け与える、必要な分だけ配るという意味合いでした。「dis-」は「バラバラに」というニュアンスを持ち、「pendere」は「ペンデュラム(振り子)」や「ポンド(通貨の単位)」などにも見られるように、「重さ」や「価値」と関連があります。そこから、現代英語の「分配する」という意味に繋がりました。また、「免除する」という意味は、義務や責任を「量って」減らす、つまり免除するというイメージから派生したと考えられます。さらに、薬を「調剤する」という意味合いも、「必要な量を量って提供する」という原義が反映されています。

暗記法

「dispense」は分配の背後にある物語。中世教会が罪の赦しを「分配」した事実は、単なる宗教行為に留まらず、権力の行使でもありました。免罪符販売への批判は宗教改革の狼煙となり、社会構造を揺るがす事態に。慈善活動や自販機、医療制度もまた、「dispense」の変遷を物語ります。誰が、何を、誰に分配するのか?その問いは、社会の公平性、正義、そして権力構造と深く結びつき、歴史を彩ってきました。

混同しやすい単語

『dispense』とスペルが似ており、語頭の『dis-』が共通するため意味も混同しやすい。『disperse』は『分散させる』という意味の動詞であり、自動詞としても使われます。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なります(dispense: /dɪˈspens/, disperse: /dɪˈspɜːrs/)。日本人学習者は、スペルだけでなくアクセントの位置も意識して区別する必要があります。語源的には、disperseは『ばらばらに(dis-)まく(sparse)』という意味合いです。

『dispense』と発音が部分的に似ており、特に語尾の『-ense』の部分が共通するため、聞き間違いやすいことがあります。また、スペルも似ていると感じる人もいるかもしれません。『defense』は『防御』という意味の名詞であり、品詞が異なります。アメリカ英語では『defence』と綴られることも覚えておくと良いでしょう。日本人学習者は、文脈から意味を判断することが重要です。語源的には、defenseは『守る(fend)』という概念に関連しています。

『dispense』と語尾の『-ense』が共通しており、発音も似ているため、特にリスニング時に混同しやすい可能性があります。『expensive』は『高価な』という意味の形容詞であり、品詞が異なります。日本人学習者は、文脈や品詞の違いから判断する必要があります。expensiveは、ラテン語の『expendere(払い出す)』が語源で、お金を『払い出す』イメージから『高価な』という意味に繋がっています。

『dispense』と語頭の音が似ているため、特に発音が不明確な場合や早口で話された場合に聞き間違えやすいことがあります。『depend』は『頼る』という意味の動詞であり、意味も文法的な構造も異なります。日本人学習者は、前後の文脈から判断する必要があります。dependは『ぶら下がる(pend)』が語源で、『何かにぶら下がって頼る』イメージです。

スペルが似ており、『dispense』と『expend』はどちらも『~に使う、消費する』という意味合いを持つため、意味的にも混同しやすい可能性があります。『expend』は主に時間、エネルギー、お金などを『費やす』という意味で使われます。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なります(dispense: /dɪˈspens/, expend: /ɪkˈspend/)。日本人学習者は、使われる文脈の違いを意識する必要があります。expendは『外に(ex-)重さをかける(pend)』というイメージです。

condense

『dispense』と語尾の『-ense』が共通しており、発音も似ているため、特にリスニング時に混同しやすい可能性があります。『condense』は『凝縮する』という意味の動詞であり、品詞が異なります。また、意味も全く異なります。日本人学習者は、文脈から意味を判断することが重要です。condenseは『一緒に(con-)厚くする(dense)』というイメージです。

誤用例

✖ 誤用: The university dispenses knowledge to its students.
✅ 正用: The university imparts knowledge to its students.

『dispense』は『(機械などを使って)分配・供給する』という意味合いが強く、知識のような抽象的なものを『与える』という文脈には不自然です。知識や教育といった無形のものを伝える場合は、『impart』を使う方が適切です。日本語の『知識を授ける』という表現から直訳すると、つい『dispense』を選んでしまいがちですが、英語ではよりフォーマルで、授与という行為そのものに焦点を当てる『impart』が好まれます。

✖ 誤用: I can dispense with your opinion.
✅ 正用: I can do without your opinion.

『dispense with』は『(不要なものを)省く、済ませる』という意味ですが、人の意見に対して使うと、非常に直接的で失礼な印象を与えます。より丁寧で控えめな表現としては、『do without』が適しています。日本人は相手の意見を尊重する文化を持つため、直接的な否定を避けがちですが、英語では婉曲的な表現を選ばないと、意図せず相手を傷つけてしまうことがあります。また、日本語の『あなたの意見は結構です』というニュアンスで直訳すると、どうしても強い言い方になりがちです。

✖ 誤用: The pharmacist dispensed justice by refusing to sell addictive drugs to the addict.
✅ 正用: The pharmacist exercised their professional judgment by refusing to sell addictive drugs to the addict.

『dispense』は、法律や規則などを『執行する』という意味で使われることもありますが、この文脈では、薬剤師が個人的な正義感で行動しているように聞こえ、不適切です。薬剤師はあくまで専門的な判断に基づいて行動すべきであり、『exercise professional judgment』のような表現が適切です。日本人は『正義』という言葉を道徳的な意味で捉えがちですが、英語ではより客観的で、法的な文脈で使われることが多いです。そのため、『正義を執行する』という日本語をそのまま英語にすると、意味がずれてしまうことがあります。

文化的背景

「dispense」は、元来「分配する」「施す」という意味合いを持ち、特に制度や組織を通じて資源やサービスを公平に、あるいは権威的に提供するニュアンスを含みます。この語は、中世の教会における恩赦や特免の授与、近代の慈善活動、そして現代の医療制度や自動販売機に至るまで、社会的な分配のあり方と深く結びついてきました。

中世ヨーロッパにおいて、教会は罪の赦しや免罪符を「dispense」する権限を持つとされ、その行為は精神的な救済の分配であると同時に、権力の行使でもありました。富裕層は寄付によって免罪符を得ることで、現世での罪を軽減し、来世での救済を期待しました。この慣習は、宗教改革の引き金となり、マルティン・ルターによる免罪符販売への批判は、教会の権威に対する根本的な問い直しへと繋がりました。このように、「dispense」は、単なる分配行為を超え、社会的な正義や倫理観、そして権力構造と密接に結びついた概念として、歴史の中で重要な役割を果たしてきたのです。

近代以降、「dispense」はより世俗的な文脈で使用されるようになります。慈善団体が貧困層に食料や衣類を「dispense」する行為は、社会福祉の概念の萌芽を示すものでした。また、自動販売機が飲料や軽食を「dispense」する様子は、効率的かつ匿名的なサービス提供の象徴と言えるでしょう。現代社会においては、医療制度が医薬品や治療を「dispense」する役割を担い、国民の健康を維持するための重要な機能となっています。このように、「dispense」は、時代とともにその意味合いを変化させながらも、社会的な必要性に応じた資源の分配という本質的な概念を保ち続けています。

「dispense」という言葉の背後には、常に「誰が、何を、誰に、どのような基準で分配するのか」という問いが存在します。それは、中世の教会における恩赦の授与から、現代の医療制度における医薬品の供給まで、一貫して社会的な公平性や正義、そして権力構造と深く関わってきたのです。この語を理解することは、単に語彙を増やすだけでなく、社会における資源分配の歴史と倫理について深く考えるきっかけとなるでしょう。

試験傾向

英検

- 出題形式: 主に語彙問題(短文空所補充)、長文読解

- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でもまれに出題

- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。科学、医療、社会問題などアカデミックな文脈が多い

- 学習者への注意点・アドバイス: 「与える」「分配する」「調剤する」など複数の意味を理解。文脈に応じた適切な意味を選べるように。名詞形(dispenser)も重要。

TOEIC

- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)

- 頻度と級・パート: 比較的頻出。特にPart 7で登場しやすい

- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文書(契約書、報告書、メールなど)で使われることが多い

- 学習者への注意点・アドバイス: 「(サービスなどを)提供する」「(薬などを)調剤する」といった意味で使われることが多い。自動詞としての用法(dispense with)も覚えておくと有利。

TOEFL

- 出題形式: リーディングセクション

- 頻度と級・パート: 頻出単語。アカデミックな文章でよく見られる

- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学など、アカデミックな内容の文章で頻繁に使用される

- 学習者への注意点・アドバイス: 「分配する」「(法律などを)施行する」といった意味で使われる。抽象的な概念や制度に関する文脈で使われることが多い。類義語 (allocate, distribute) とのニュアンスの違いを理解しておくこと。

大学受験

- 出題形式: 長文読解、語彙問題(空所補充、同意語選択など)

- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でもまれに出題

- 文脈・例題の特徴: 幅広いテーマで登場。評論文、物語文など

- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が必要。「(不要なものを)なしで済ませる (dispense with)」というイディオムも重要。派生語(indispensable, dispensable)も覚えておくと有利。

免責事項

英単語学習ラボは生成AIで機械的に意味や英語表現を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。

このページについて

作成:英単語学習ラボ
生成支援:Google Gemini
最終更新:2025年7月18日

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