distribute
強勢は2番目の音節 /strɪ/ にあります。最初の /dɪ/ は、日本語の『ディ』よりも曖昧な短い母音です。/juː/ は長音記号が付いていますが、日本語の『ユー』より少し短く、口をしっかりすぼめて発音するとより正確です。最後の /t/ は破裂音で、息を止めてから解放するイメージで発音すると自然に聞こえます。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
配る
不特定多数の人に、物を分け与えるイメージ。物理的な配布だけでなく、情報や資源を共有する意味合いも含む。例:チラシを配る、利益を分配する
The teacher began to distribute the worksheets to the students quietly.
先生は静かに生徒たちにワークシートを配り始めました。
※ 教室で先生がプリントや資料を生徒に「配る」という、誰もが経験したことのある身近な場面です。生徒たちが静かに待っている中で、先生が一人ひとりに手渡していく様子が目に浮かびますね。このように、物理的なものを多くの人に手渡す行為に「distribute」が使われます。
Volunteers will distribute free flyers at the entrance of the event.
ボランティアがイベントの入り口で無料のチラシを配ります。
※ イベント会場で、元気なボランティアが来場者にチラシを「配る」という、活気ある場面です。不特定多数の人々に、宣伝や情報のために何かを配る際によく使われます。'free flyers'(無料のチラシ)のように、配るものが具体的に示されることが多いです。
The company decided to distribute their new products to all stores nationwide.
その会社は新製品を全国の全店舗に流通させることを決めました。
※ 新製品が工場からトラックで運ばれ、全国のお店に並ぶ様子が想像できるビジネスシーンです。ここでは単に手渡しするだけでなく、製品を市場全体に「流通させる」「供給する」という意味合いで「distribute」が使われています。規模の大きな「配る」行為にも使われる典型的な例です。
分散させる
ある場所に集中しているものを、意図的に散らすこと。リスク分散、人員配置、配置薬など、偏りをなくす目的で使用される。例:リスクを分散する、人員を各地に分散させる
The teacher began to distribute the test papers to the nervous students.
先生は緊張している生徒たちにテスト用紙を配り始めました。
※ テストの時間が来て、先生が各机にテスト用紙を配っていく、あの独特の緊張感が伝わりますね。生徒たちが固唾をのんで待っている様子が目に浮かびます。学校で「プリントを配る」「テスト用紙を配る」は、最も日常的で具体的な「distribute」の使われ方の一つです。物を手に取って、一人一人に「行き渡らせる」イメージが鮮明です。
Volunteers worked hard to distribute food to families in need.
ボランティアの人たちは、困っている家族に食料を配るために熱心に働きました。
※ 災害時や貧困地域で、ボランティアの人々が、助けを必要としている人々に食料を一つ一つ手渡している、温かい、あるいは切実な場面が想像できます。彼らの努力が伝わりますね。慈善活動や支援の文脈で、「物資を配る」は「distribute」が非常によく使われる場面です。特に「困っている人々に」という目的語が、この単語の「行き渡らせる」という本質を際立たせます。
The company decided to distribute a new product across all stores next month.
その会社は来月、新しい製品を全店舗に流通させることを決めました。
※ 新しい製品が完成し、それが全国の店舗に運ばれていく様子や、店頭に並べられる日が決まって、社内が活気づいているようなビジネスシーンが目に浮かびます。ビジネスにおいて、製品を市場に「流通させる」「販売網に乗せる」という意味で「distribute」は非常に頻繁に使われます。単に物を配るだけでなく、広い範囲に「行き渡らせる」という大規模なイメージを伴います。
広める
情報や知識、意見などを、多くの人に知らせる行為。口コミ、メディア、教育活動などを通じて、影響力を拡大するニュアンス。例:情報を広める、知識を普及させる
The kind volunteers started to distribute free maps to the visitors in the park.
親切なボランティアたちは、公園の訪問者に無料の地図を配り始めました。
※ この例文では、ボランティアが公園で地図を訪問者に手渡している、親切で活気のある情景が目に浮かびますね。「distribute」は、このように物理的な物を多くの人に「配る」「広める」という場合に非常によく使われます。ここでは「to the visitors(訪問者たちに)」と、配る相手が明確に示されています。
The news channel will distribute important information about the storm to everyone.
そのニュースチャンネルは、嵐に関する重要な情報をみんなに広めるでしょう。
※ テレビのニュース速報が流れ、人々が真剣に画面を見つめているような情景が想像できます。「distribute」は、情報やニュースなどを広く「伝える」「広める」という意味でも頻繁に使われます。特に、緊急性の高い情報や、多くの人に知ってもらうべき内容について使われることが多いです。
The company will distribute its new game to many stores across the country.
その会社は、新しいゲームを全国の多くの店に流通させるでしょう。
※ 新しいゲームが箱に詰まって、トラックで全国のゲームショップに運ばれていく様子が目に浮かびますね。「distribute」は、製品や商品を市場に「流通させる」「販売網を広げる」という意味で、ビジネスの場面で非常によく使われます。新製品が消費者の手に届くまでの大切なプロセスを表しています。
コロケーション
チラシを配布する
※ 最も直接的かつ一般的なコロケーションの一つです。イベントの告知、商品の宣伝、政治活動など、様々な目的で使われます。単に『配る』だけでなく、『不特定多数に広く行き渡らせる』ニュアンスがあります。文脈によっては 'hand out leaflets' と言い換えることも可能ですが、'distribute' はより組織的な印象を与えます。ビジネスシーンや公的な場面でよく用いられます。
資源を分配する、配分する
※ 経済学、社会学、経営学などで頻繁に使われる表現です。資金、人員、物資など、限られた資源をどのように割り当てるかという問題意識と結びついています。単に『分ける』だけでなく、『公平性』や『効率性』といった価値判断が伴うことが多いのが特徴です。例えば、'distribute resources equitably'(資源を公平に分配する)のように、副詞を伴って使われることも多いです。
富を分配する、富を分散させる
※ 経済格差の問題と密接に関連する表現です。社会全体の富が一部の人々に集中するのを防ぎ、より多くの人々に富が行き渡るようにすることを意味します。政治的な文脈でよく使われ、累進課税制度や社会保障制度などが 'wealth distribution' の手段として議論されます。'redistribute wealth'(富を再分配する)という表現も頻繁に使われます。
責任を分担する、責任を分散させる
※ 組織論やプロジェクトマネジメントで重要な概念です。特定の個人に責任が集中するのを避け、チーム全体で責任を共有することで、リスクを軽減し、効率を高めることを目指します。'delegate responsibility'(責任を委譲する)と似ていますが、'distribute' はより水平的な分担を意味することが多いです。例えば、プロジェクトの各フェーズごとに担当者を決める場合などに使われます。
信号を配信する、信号を分配する
※ 電気通信や情報技術の分野で使われる表現です。テレビ放送、ラジオ放送、インターネット通信など、様々なメディアを通じて情報を伝達することを意味します。'broadcast a signal' とほぼ同義ですが、'distribute' はより技術的なニュアンスが強く、特定の受信者に向けて情報を送信する場合にも使われます。例えば、ケーブルテレビ局が番組を各家庭に配信するような場合です。
アンケート用紙を配布する
※ 市場調査や社会調査などでよく使われる表現です。アンケート調査票を対象者に配り、回答を求めることを意味します。'hand out questionnaires' とほぼ同義ですが、'distribute' はより組織的で大規模な調査を連想させます。例えば、企業が新製品の市場調査を行う際に、街頭でアンケート用紙を配布するような場合です。
チラシを配布する
※ 'leaflets' とほぼ同義ですが、'flyers' はよりカジュアルで宣伝色の強い印象を与えます。イベントの告知、バーゲンセールの宣伝、クラブの宣伝など、比較的若い層をターゲットにした場面でよく使われます。'hand out flyers' と言い換えることも可能ですが、'distribute' はより効率的に、広範囲に配布するニュアンスがあります。例えば、学生が学園祭の宣伝のためにキャンパス内でチラシを配るような場合です。
使用シーン
学術論文や教科書で頻繁に使用されます。例えば、統計学の論文で「データセットを均等に分散させる(distribute a dataset evenly)」、経済学の論文で「資源を効率的に配分する(distribute resources efficiently)」、心理学の論文で「アンケートを回答者に配布する(distribute questionnaires to respondents)」といった文脈で使われます。研究者が研究結果や理論を説明する際に不可欠な語彙です。
ビジネス文書や会議で、製品の流通、資源の配分、情報の伝達といった意味で使用されます。例えば、「新製品を全国の店舗に流通させる(distribute the new product to stores nationwide)」、「予算を各部門に配分する(distribute the budget to each department)」、「会議の議事録を関係者に配布する(distribute the meeting minutes to stakeholders)」といった場面で使われます。プロジェクトマネージャーや経営者が戦略や計画を説明する際に重要な語彙です。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、食料の配給、パンフレットの配布、遺産の分配といった意味で使用されることがあります。例えば、「被災地に救援物資を配給する(distribute relief supplies to the disaster area)」、「イベントでパンフレットを配布する(distribute pamphlets at the event)」、「遺産を相続人に分配する(distribute the inheritance to the heirs)」といった文脈で使われます。教養として知っておくと、より幅広い情報を理解するのに役立ちます。
関連語
類義語
『割り当てる』という意味で、資源、予算、時間などを特定の目的や人に割り当てる場合に使われる。ビジネス、政府、プロジェクト管理などの文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『distribute』が単に配る行為を指すのに対し、『allocate』は計画的に、特定の基準に基づいて割り当てるニュアンスが強い。公正さや効率性を重視する場面で使われることが多い。 【混同しやすい点】『allocate』は通常、具体的な目的語(資源、予算など)を伴い、『to + 対象』または『for + 目的』の形で使われる。例えば、『allocate resources to the project』や『allocate funds for research』のように使う。
『分配する』、『与える』という意味で、特に薬やサービス、正義などを提供する際に使われる。医療、法律、公共サービスなどの分野でよく見られる。 【ニュアンスの違い】『distribute』よりもややフォーマルで、権威ある立場の人が何かを分け与えるイメージが強い。また、薬を調剤する意味合いも持つ。 【混同しやすい点】『dispense』はしばしば『dispense with』という句動詞の形で、『〜なしで済ませる』という意味で使われる。この用法は『distribute』とは全く異なるため注意が必要。
『流通させる』、『回覧する』という意味で、情報、噂、血液などが広範囲に広がる様子を表す。ニュース、医学、組織運営などの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】『distribute』が一方的な配布を意味するのに対し、『circulate』は循環し、広がるイメージが強い。情報が自然に、または意図的に広まる様子を表す。 【混同しやすい点】『circulate』は自動詞としても他動詞としても使えるが、他動詞として使う場合は目的語に注意が必要。例えば、『circulate a memo』のように、情報などを回覧する場合に使う。
- apportion
『(割合に応じて)割り当てる』という意味で、資源、責任、利益などを公平に分配する際に使われる。法律、会計、政治などの分野で用いられる。 【ニュアンスの違い】『distribute』よりも厳密で、割合や比率を考慮して分配するニュアンスが強い。公平性や客観性が求められる場面で使われる。 【混同しやすい点】『apportion』はしばしば『apportion blame』や『apportion responsibility』のように、責任や非難を割り当てる際に使われる。この用法は『distribute』とは異なり、より責任の所在を明確にする意味合いを持つ。
『分かち合う』という意味で、物、情報、感情などを複数人で共有する際に使われる。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『distribute』が一方的な配布を意味するのに対し、『share』は双方向的な共有を意味する。親近感や協力関係を強調する場面で使われることが多い。 【混同しやすい点】『share』は名詞としても動詞としても使われる。動詞として使う場合は、『share something with someone』という形で、共有する対象と相手を明示することが多い。また、『share』はSNSなどで情報を共有する意味でも使われる。
『配る』という意味で、カードゲームでカードを配る際や、薬物などを売買する(スラング)際に使われる。 【ニュアンスの違い】『distribute』よりも口語的で、非公式な場面で使われることが多い。カードゲーム以外では、ややネガティブな意味合いを持つことがある。 【混同しやすい点】『deal』は名詞としても動詞としても使われ、意味が多岐にわたる。カードを配る意味以外にも、『deal with』(対処する)、『a good deal』(たくさん)など、様々な用法があるため注意が必要。
派生語
『分配』『流通』を意味する名詞。動詞distributeから派生し、行為や状態を表す接尾辞『-tion』が付加された。ビジネス、経済、統計など幅広い分野で、資源や情報の配分を指す際に頻繁に使用される。抽象的な概念を表すため、学術論文や専門的な文書で特に多く見られる。
『販売業者』『卸売業者』を意味する名詞。動詞distributeに、人を表す接尾辞『-or』が付加された。製品やサービスを流通させる役割を担う企業や個人を指し、ビジネスや経済の文脈で頻繁に登場する。特にサプライチェーンやマーケティングに関する議論で重要な語彙となる。
- distributive
『分配的な』『配分に関する』という意味の形容詞。distributeに性質を表す接尾辞『-ive』が付加された。資源、利益、負担などを分配する性質や方法を指す際に用いられ、経済学、政治学、法律などの分野で頻繁に使用される。例えば、「分配的正義」のように、特定の概念を修飾する形で用いられることが多い。
反意語
『収集する』『集める』という意味の動詞。distributeが広範囲に分散させるのに対し、collectは一点に集約する動作を表す。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで幅広く使用され、情報、物品、資金など、様々な対象に対して用いられる。例えば、データをdistribute(配信)するのに対し、データをcollect(収集)する。
『統合する』『まとめる』という意味の動詞。複数の要素を一つにまとめる行為を指し、distributeが分散させるのとは対照的な意味を持つ。ビジネス、政治、組織運営などの文脈で頻繁に使用され、資源、権限、事業などを統合する際に用いられる。例えば、複数の事業部門をconsolidate(統合)し、効率化を図ることがある。
『保留する』『差し控える』という意味の動詞。distributeが何かを分け与えるのに対し、withholdは与えるのを控える、つまり分配しないことを意味する。情報、資金、許可など、様々な対象に対して用いられ、法的な文脈や秘密保持に関する議論で特に重要となる。例えば、証拠をwithhold(隠蔽)する、情報をwithhold(公開しない)といった使い方がある。
語源
"Distribute"は、ラテン語の"distribuere"に由来します。これは「分割して与える」という意味で、"dis-"(分離、ばらばらに)と "tribuere"(割り当てる、与える)という二つの要素から構成されています。"Tribuere"は、さらに "tribus"(部族)という語に遡ります。古代ローマにおいて、部族ごとに土地や権利を割り当てる行為が、"distribuere" の根本的な意味合いを形成しました。つまり、「distribute」は元々、部族のようにグループに対して何かを分配するイメージだったのです。現代英語では、物理的な物を配るだけでなく、情報や資源を広範囲に「分散させる」「広める」といった抽象的な意味合いも持つようになりました。例えば、商品を流通させることや、情報を配信することも "distribute" と表現します。日本語の「配布する」という言葉が、物を配るだけでなく、資料や情報を配る際にも使われるのと似ています。
暗記法
「distribute」は単なる分配を超え、社会秩序を映す鏡。中世の領主による土地の分配は忠誠を繋ぎ、教会は慈善で支持を得た。しかし、その裏には不平等と搾取の影も。ロビン・フッドは不当な分配への抵抗の象徴だ。近代では富の分配が格差を生み、情報技術は新たな情報格差を生んだ。現代では機会、権利、責任の分配へ。社会の公正さを測る、理想と現実が交錯する言葉、それが「distribute」。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の母音の有無が曖昧になりやすい。'distribute' は『分配する』という意味の動詞だが、'attribute' は『属性』という意味の名詞、または『〜のせいにする』という意味の動詞。アクセントの位置も異なる(distr**i**bute vs. attr**i**bute)ため、注意が必要。語源的には、'attribute' は 'ad-'(〜へ)+ 'tribuere'(割り当てる)から来ており、何かを特定のものに割り当てるイメージ。
語尾が '-ribute' で共通しており、スペルが酷似しているため混同しやすい。'distribute' は全体を分けるイメージだが、'contribute' は一部を付け加えるイメージ(『貢献する』)。語源的には、'contribute' は 'con-'(共に)+ 'tribuere'(割り当てる)から来ており、共に何かを割り当てる、つまり貢献するという意味合い。
語尾が '-ribute' で共通しており、スペルが似ている。'distribute' は動詞だが、'tribute' は『賛辞』『貢ぎ物』という意味の名詞。'contribute' と同様に 'tribuere'(割り当てる)を語源に持つが、意味は大きく異なる。歴史的な文脈では、征服された側が征服者に貢ぎ物をすることで忠誠を示す意味合いがあった。
語頭の 'dist-' が共通しているため、関連があるように感じてしまうかもしれない。'distribute' は動詞だが、'district' は『地区』という意味の名詞。'district' の語源はラテン語の 'districtus'(強制)であり、元々は法的な管轄区域を意味していた。
語頭の 'dist-' が共通しており、スペルも似ているため混同しやすい。'distribute' は『分配する』という意味だが、'destruction' は『破壊』という意味の名詞。意味は全く異なる。'destruction' は 'de-'(分離)+ 'struct'(建てる)から来ており、建てられたものを分離する、つまり破壊するというイメージ。
語頭の 'dist-' が共通しており、スペルも似ているため混同しやすい。意味も、'distribute' が『分配する』という意味であるのに対し、'disturbance' は『妨害』『騒乱』といった、秩序を乱すニュアンスがあり、関連性を想起させやすい。'disturbance' は 'dis-'(分離)+ 'turbare'(かき乱す)から来ており、元々は平静をかき乱すことを意味していた。
誤用例
「distribute」は物理的な分配や配布を意味合いが強く、ボーナスのように抽象的なものを「公平に分配する」場合は、より公平性・公正さを強調する「allocate equitably」や「apportion fairly」が適切です。日本人が『分配』という言葉から直訳的にdistributeを選びがちですが、英語では文脈によって単語のニュアンスを使い分ける必要があります。特に、目に見えない資源や権利の分配にはallocateが適しています。
「distribute」は物理的なものや情報などを広範囲に配る意味合いが強く、感謝の気持ちのような抽象的なものを『配る』という表現には適しません。感情を表す場合は「express」や「convey」を使うのが自然です。日本語の『(感謝を)配る』という表現を直訳しようとするとdistributeを選んでしまいがちですが、英語では感情を『配る』という概念自体があまり一般的ではありません。むしろ、『表現する』という行為に焦点を当てた方が自然な英語になります。
「distribute」は意図的に何かを配布・配信するニュアンスが強く、ニュースや噂などが自然に広がる様子を表す場合は「spread」がより適切です。日本語の『(ニュースが)広まる』という表現を英語にする際に、distributeを使ってしまうのは、情報が『配信』されるイメージに引っ張られている可能性があります。しかし、英語では意図的な配信よりも、自然発生的な広がりを表すspreadの方が、ニュースの伝播には自然です。
文化的背景
「distribute」は、単に物を配るという行為を超え、権力、資源、情報などの分散と再分配という、社会の根幹に関わる概念を内包しています。その語源と歴史を辿ると、公平性、正義、そして時には革命といった、人間社会の理想と葛藤が浮かび上がってきます。
中世ヨーロッパにおいて、「distribute」は教会や領主が所有する土地や富を、臣下や農民に分配する行為を指していました。この分配は、単なる施しではなく、社会秩序を維持するための重要な手段でした。領主は土地を分け与えることで忠誠心を繋ぎ止め、教会は慈善活動を通じて信者の支持を得ました。しかし、この分配は常に公平とは限らず、しばしば不平等や搾取を生み出し、社会不安の種となりました。ロビン・フッドのような物語は、不当な分配に対する民衆の抵抗を象徴しています。
近代に入ると、「distribute」は経済学や政治学の重要な概念として登場します。資本主義社会における富の分配は、常に議論の的であり、格差や貧困といった問題と深く結びついています。マルクス主義は、資本家による富の独占を批判し、労働者への公平な分配を主張しました。また、情報技術の発展は、情報の「distribute」のあり方を大きく変えました。インターネットを通じて、誰もが情報を発信し、共有できるようになった一方で、フェイクニュースや情報格差といった新たな問題も生じています。
現代社会において、「distribute」は単なる物の分配にとどまらず、機会、権利、責任といった、より抽象的な概念の分配を意味するようになりました。例えば、教育機会の均等な分配、男女間の権利の平等な分配、環境保護の責任の公平な分配などが挙げられます。これらの分配は、社会の公正さを測る指標となり、社会全体の幸福度を左右する重要な要素となっています。「distribute」という言葉の背後には、常に社会の理想と現実、そしてそれらをめぐる葛藤が存在しているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで出題されるが、社会問題や科学技術関連の長文でよく見られる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「分配する」「配布する」という意味だけでなく、「分布する」「配置する」という意味も重要。名詞形(distribution)も合わせて覚えること。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解)。
- 頻度と級・パート: 頻出単語。Part 5では語彙問題、Part 7では文脈理解が問われる。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(会議、マーケティング、サプライチェーンなど)でよく使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「配布する」「流通させる」という意味合いで使われることが多い。文脈から適切な意味を判断することが重要。
- 出題形式: リーディングセクション(長文読解)。
- 頻度と級・パート: 頻出単語。アカデミックな長文でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、社会科学、歴史など、幅広い分野のアカデミックな文章で登場する。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「分配する」「分布させる」という意味に加え、「分類する」という意味も持つ。学術的な文脈での使用例を多く学習すること。
- 出題形式: 長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的な単語帳には掲載されている。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで出題される。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、文脈に応じた柔軟な解釈が求められる。関連語(distribution, distributorなど)も覚えておくこと。