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【ご注意】
この記事には、健康、金融、法律など、読者の人生に大きな影響を与える可能性のある情報が含まれています。内容は一般的な情報提供を目的としており、専門的なアドバイスに代わるものではありません。重要な判断を下す前には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
株式よりもリスクが低いとされる「債券」。国が発行する「国債」を中心に、満期になるとお金が戻ってくる仕組みと金利との関係を学びます。
この記事で抑えるべきポイント
- ✓債券とは、国や企業が資金調達のために発行する「借用証書」であり、投資家は発行体にお金を貸すという仕組みであること。
- ✓債券には「満期」が設定されており、満期を迎えると投資した元本(額面価格)が全額返還(償還)されるという特徴があること。
- ✓債券を保有中は定期的に利子(クーポン)を受け取ることができ、市場価格の変動によって投資収益率である「利回り」は変化すること。
- ✓株式に比べてリスクは低いとされる一方、発行体の財政が悪化する「信用リスク」や、市場金利の変動で価格が変わる「金利変動リスク」が存在すること。
債券とは ― 国や会社にお金を貸す仕組み
「貯金だけでは不安、でも株式投資は少し怖い…」そう感じたことはありませんか?実は、より安定した選択肢として「国や会社にお金を貸す」という方法があります。この記事では、株式とは異なる魅力を持つ「債券」の世界、特に国が発行する「国債」を中心に、その堅実な仕組みと、私たちの資産形成にどう関わるのかを紐解いていきます。
What Are Bonds? — The Mechanism of Lending Money to Governments and Companies
Have you ever felt that savings alone are not enough, but stock investment seems a bit daunting? In fact, there is a more stable option: 'lending money to governments and companies.' In this article, we will unravel the world of 'bonds,' which hold a different appeal from stocks, focusing especially on government-issued bonds and how their solid mechanism relates to our asset building.
そもそも「債券」とは? ― あなたも国や会社の債権者に
まず、債券(bond)とは、国や地方公共団体、企業といった組織が、広く一般の投資家から資金を調達するために発行する「借用証書」のようなものです。これを購入した投資家は、その組織、すなわち発行体(issuer)にお金を貸していることになります。これは、会社の「オーナーになる権利」である株式とは本質的に異なります。債券は、あらかじめ定められた満期まで定期的に利子を受け取り、最後に元本が戻ってくるという、一種の「貸付契約」と考えるとしっくりくるでしょう。
What Are 'Bonds' in the First Place? — You as a Creditor to Governments and Companies
First, a bond is like an 'IOU' issued by an organization, such as a country, local government, or company, to raise funds from the general public of investors. An investor who purchases a bond is essentially lending money to that organization, the issuer. This is fundamentally different from stocks, which represent the 'right to own a part of the company.' It is more fitting to think of a bond as a type of 'loan agreement,' where you receive interest payments periodically until a predetermined maturity date, at which point the principal amount is returned.
約束されたゴール「満期」と「償還」の仕組み
債券を理解する上で欠かせないのが、「満期」と「償還」という概念です。すべての債券には、元本が返済される期限日である満期(maturity)が設定されています。そして、その日を迎えると、投資した元本、つまり額面価格(face value)が全額返還されます。このプロセスを償還(redemption)と呼びます。例えば、額面価格100万円、満期10年の債券を購入した場合、10年後には100万円が手元に戻ってくることが約束されているのです。この「約束されたゴール」があることこそ、債券が比較的安定した投資対象と見なされる大きな理由です。
The Promised Goal: The Mechanism of 'Maturity' and 'Redemption'
The concepts of 'maturity' and 'redemption' are essential to understanding bonds. Every bond has a set maturity date, which is the deadline for the principal to be repaid. When that date arrives, the invested principal, or face value, is returned in full. This process is called redemption. For example, if you purchase a bond with a face value of 1 million yen and a 10-year maturity, it is promised that you will get the 1 million yen back after 10 years. This 'promised goal' is a major reason why bonds are considered a relatively stable investment.
利益の源泉 ―「クーポン」と「利回り」はどう違うのか
では、債券投資の利益はどこから生まれるのでしょうか。その源泉は主に二つあります。一つは、定期的に受け取ることができる利子、すなわちクーポン(coupon)です。これは発行時に利率が決められていることが多く、保有者にとっては安定した収入となります。一方で、もう一つの重要な指標が利回り(yield)です。これは、投資した金額に対して年間でどれくらいの収益が得られるかを示す実質的な収益率です。債券は市場で売買されるため、その価格は日々変動します。購入価格が額面価格より安ければ、その差額も利益になります。この価格変動を含めて計算されるのが利回りであり、経済ニュースで語られる金利と債券価格の関係を理解する鍵となります。
The Source of Profit: What Is the Difference Between 'Coupon' and 'Yield'?
So, where do the profits from bond investments come from? There are mainly two sources. One is the interest received periodically, known as the coupon. The interest rate is often fixed at the time of issuance, providing a stable source of income for the holder. On the other hand, another important indicator is the yield. This is the effective rate of return, showing how much profit can be earned annually on the invested amount. Since bonds are traded in the market, their prices fluctuate daily. If the purchase price is lower than the face value, the difference also becomes a profit. The yield is calculated including these price fluctuations and is key to understanding the relationship between interest rates and bond prices discussed in economic news.
「安全資産」は本当か? ― 債券に潜む2つのリスク
債券は「安全資産」というイメージが強いですが、リスクがゼロというわけではありません。最も注意すべきなのが、発行体の財政状況が悪化し、利払いや元本の返済が約束通りに行われなくなる信用リスク(credit risk)です。最悪の場合、この債務不履行、すなわちデフォルト(default)に陥る可能性もあります。一般的に、企業が発行する社債よりも、国が発行する国債(government bond)の方が信用度は高いとされています。なぜなら、国には税金を徴収する力があるからです。しかし、その国の財政が極度に悪化すれば、国債であってもリスクは存在します。
Is It Truly a 'Safe Asset'? — Two Risks Hidden in Bonds
Bonds have a strong image as a 'safe asset,' but they are not without risk. The most important risk to be aware of is credit risk, where the issuer's financial situation deteriorates, and they are unable to make interest payments or repay the principal as promised. In the worst-case scenario, this could lead to a state of default. Generally, government bonds issued by countries are considered to have higher creditworthiness than corporate bonds issued by companies, because governments have the power to collect taxes. However, if a country's finances deteriorate severely, even government bonds carry risk.
結論
この記事では、債券が国や会社にお金を貸し、満期になると元本が戻ってくる仕組みを持つ、比較的安定した資産形成の選択肢であることを解説しました。株式のような大きな値上がり益は狙いにくい反面、クーポンによる安定した収益が期待でき、計画的な資産運用に適しています。この記事を通して、経済ニュースで「国債の利回り」という言葉を聞いたとき、その背景にある経済のダイナミクスをより深く理解する一助となれば幸いです。
Conclusion
In this article, we explained that bonds are a relatively stable option for asset building, with a mechanism of lending money to governments and companies and having the principal returned at maturity. While you cannot aim for large capital gains like with stocks, you can expect stable income from coupons, making them suitable for planned asset management. We hope that through this article, when you hear the term 'government bond yield' in the economic news, it will help you to more deeply understand the economic dynamics behind it.
テーマを理解する重要単語
bond
この記事の主題である「債券」を指す最重要単語です。国や企業が資金調達のために発行する借用証書であり、株式との違いを理解することが記事全体の読解の鍵となります。金融文脈以外では人と人との「絆」という意味も頻繁に使われるため、両方の意味を覚えておくと表現の幅が広がります。
文脈での用例:
The company issued bonds to raise funds for its new factory.
その会社は新工場の資金を調達するために債券を発行した。
yield
投資額に対する年間の実質的な収益率を示す指標です。定期的な利子(クーポン)だけでなく、購入価格と額面価格の差額も考慮するため、債券の収益性をより正確に表します。この記事では、経済ニュースで語られる金利と債券価格の関係を理解する鍵として登場し、投資判断に不可欠な概念です。
文脈での用例:
This year's rice yield was much higher than expected.
今年の米の収穫量は予想をはるかに上回った。
principal
投資における「元本」、つまり最初に投じた資金を指します。この記事では、満期になると返還されるお金として登場し、「face value(額面価格)」とほぼ同義で使われています。金融文脈以外では「校長」や「主要な」という意味もあり、文脈に応じた使い分けが求められる重要な多義語です。
文脈での用例:
You are guaranteed to get your principal back when the bond matures.
債券が満期になれば、元本が戻ってくることが保証されています。
asset
個人や企業が所有する、経済的価値のあるもの全般を指します。この記事では、債券が株式や貯金と並ぶ「資産形成」の選択肢の一つとして位置づけられています。この単語は、投資や経済に関する議論の基礎となるため、その幅広い意味を理解しておくことが、金融リテラシー向上に繋がります。
文脈での用例:
His assets include stocks, bonds, and real estate.
彼の資産には、株式、債券、そして不動産が含まれます。
fluctuate
債券の市場価格が日々変動する様子を表す動詞です。この価格変動があるからこそ、投資収益率である「利回り(yield)」も変わります。この記事では、債券価格と利回りの関係性を理解する上でこの動的な側面を捉えることが重要だと示唆しており、市場の動きを語る際に頻出する単語です。
文脈での用例:
The price of oil continues to fluctuate.
石油価格は変動を続けています。
coupon
債券を保有している間に定期的に受け取れる利子のことです。この記事では、債券投資における安定した利益の源泉として紹介されています。元々は紙の債券に付いていた「利札(クーポン)」を切り取って利子を受け取っていた名残で、債券投資の収益構造を理解する上で基本となる単語です。
文脈での用例:
This bond pays a 5% coupon annually.
この債券は年5%のクーポンを支払う。
creditor
お金を貸している側の人のことで、債券の文脈では、債券を購入した投資家を指します。この記事の「あなたも国や会社の債権者に」という見出しは、債券投資の本質を端的に表しています。この単語を理解することで、発行体(issuer)との関係における自身の立場を明確に認識できます。
文脈での用例:
When a company goes bankrupt, it must pay its creditors first.
会社が倒産すると、まず債権者に支払わなければならない。
daunting
難しさや大きさから、人を尻込みさせるような課題や状況を表現する形容詞です。記事の冒頭で「株式投資は少し怖い(daunting)」と使われ、読者の不安な気持ちに寄り添っています。金融の専門的な内容に入る前に、感情に訴えかけるこの単語が、読者の共感を引き出す役割を果たしています。
文脈での用例:
Starting a new business can be a daunting task.
新しい事業を始めるのは、気の遠くなるような仕事かもしれない。
maturity
債券の元本が返済される「満期日」を指す、この記事の核心概念の一つです。「約束されたゴール」として本文で表現されているように、この満期があることが債券の安定性をもたらす大きな要因です。金融以外の文脈では、人の精神的な「成熟」を指す言葉としても広く使われます。
文脈での用例:
This bond will reach maturity in five years.
この債券は5年で満期を迎える。
default
信用リスクが現実となった最悪の事態、「債務不履行」を指します。発行体が利払いや元本返済の約束を守れなくなった状態のことです。この記事では、債券投資の最大のリスクとして登場します。金融用語としてだけでなく、コンピュータの「初期設定」など、多様な意味を持つ単語です。
文脈での用例:
If you default on your loan, the bank can seize your property.
ローンを債務不履行にすると、銀行はあなたの資産を差し押さえることができます。
issuer
債券や株式などを「発行する」組織(国、企業など)を指します。この記事では、誰が資金を必要としているのか、つまり誰にお金を貸すのかという債券の基本的な関係性を理解するために不可欠な言葉です。この単語を知ることで、投資家と発行体の関係性が明確になります。
文脈での用例:
Investors should always check the creditworthiness of the bond issuer.
投資家は常に債券発行体の信用度を確認すべきだ。
redemption
満期を迎えた債券の元本が投資家に全額返還されるプロセスを指します。この記事では「償還」と訳されており、「maturity(満期)」とセットで理解すべき重要な専門用語です。この言葉は、債券投資における「約束されたゴール」の具体的な行動を表しており、投資の出口を理解する上で欠かせません。
文脈での用例:
The redemption of the bond will occur on the maturity date.
その債券の償還は満期日に行われる。
face value
債券が満期になった際に投資家に返還される、券面に記載された金額のことです。日本語では「額面価格」と訳され、利子(クーポン)の計算基準にもなります。市場での売買価格とは異なる場合があるため、この概念を理解することが、利回りを正確に把握するための第一歩となります。
文脈での用例:
He bought the bond for less than its face value.
彼はその債券を額面価格より安く購入した。
credit risk
債券が「安全資産」とは限らないことを示す重要な概念です。発行体の財政状況が悪化し、利払いや元本の返済が滞る可能性を指します。この記事では、債券投資に潜むリスクとして具体的に解説されており、投資対象の信用度を見極める必要性を理解する上で欠かせない用語です。
文脈での用例:
Government bonds generally have lower credit risk than corporate bonds.
国債は一般的に社債よりも信用リスクが低い。
government bond
国が発行する債券のことで、この記事では中心的なテーマとして扱われています。国は税金を徴収する権限を持つため、企業が発行する社債に比べて信用リスクが低いと一般的に考えられています。この単語は、経済ニュースで頻出する「国債の利回り」の背景を理解するための出発点となります。
文脈での用例:
Many conservative investors prefer government bonds for their safety.
多くの保守的な投資家は、その安全性のために国債を好む。