withdraw
最初の 'wɪ' は、日本語の『ウィ』よりも唇を丸めて発音し、舌をリラックスさせることが重要です。アクセントは 'drɔː' に置かれ、ここは長音記号を使って伸ばすことを意識してください。'th' の音(/ð/)は、舌先を上下の前歯で軽く挟んで発音する有声音で、無声音の /θ/ (thinkのth) と混同しないように注意しましょう。日本語にはない音なので、意識的に練習する必要があります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
手を引く
組織や活動から自発的に離れること。投資、提案、約束など、関与していたものから身を引くニュアンスを含む。例:withdraw troops(軍隊を撤退させる), withdraw an offer(申し出を撤回する)
She decided to withdraw from the difficult project.
彼女は、その難しいプロジェクトから手を引くことを決めました。
※ この例文は、個人が困難な状況や責任から身を引く場面を描写しています。プロジェクトが「難しい (difficult)」とあることで、彼女が苦渋の決断をしたことが伝わりますね。「withdraw from 〜」で「〜から手を引く・撤退する」という意味になります。
The injured player had to withdraw from the big game.
その負傷した選手は、大事な試合から辞退せざるを得ませんでした。
※ スポーツの試合や競技から、やむを得ず参加を取りやめる場面でよく使われます。「injured (負傷した)」選手が「big game (大事な試合)」を辞退する、という状況から、選手の無念さや悔しさが伝わってきますね。「had to 〜」は「〜しなければならなかった」という、避けられない状況を表します。
Our company decided to withdraw its offer due to new market conditions.
当社は、新たな市場状況のため、その申し出を取り下げることを決定しました。
※ ビジネスの文脈で、一度出した提案や申し出を「取り下げる」「撤回する」際によく使われる表現です。「new market conditions (新たな市場状況)」という背景があることで、会社が戦略的な判断をしたことが分かりますね。ビジネスシーンで役立つ典型的なフレーズです。
引き出す
預金や貯蓄など、蓄えられたものを取り出すこと。物理的な引き出しだけでなく、情報や感情を引き出す場合にも使う。例:withdraw money(お金を引き出す), withdraw information(情報を引き出す)
I went to the ATM to withdraw some cash for my trip.
私は旅行のためにいくらか現金をATMから引き出しに行きました。
※ この例文は、私たちが普段の生活で最もよく経験する「銀行やATMからお金を引き出す」という場面を描写しています。旅行前の準備として、現金が必要な状況が目に浮かびますね。「withdraw money/cash」は、この意味で非常によく使われる典型的な表現です。
She quickly withdrew her hand from the very hot pan.
彼女はとても熱いフライパンから素早く手を引っ込めました。
※ 料理中に誤って熱いものに触れてしまい、思わず手を「サッと引っ込める」という、反射的な行動が伝わってくる例文です。「withdraw + 体の一部」で、危険や不快なものから体を「引っ込める」「引き抜く」という物理的な動きを表す、非常に自然な使い方です。
He felt tired and decided to withdraw from the long meeting.
彼は疲れていると感じ、長い会議から身を引くことにしました。
※ 長時間続く会議に疲れて、その場から「身を引く」あるいは「退出する」という状況を描写しています。「withdraw from + 場所/活動」は、ある場所や活動から「身を引く」「退出する」「撤退する」という意味で使われ、物理的にその場を離れる場合によく使われる表現です。大人の日常生活でも起こりうる場面ですね。
引っ込める
物理的に後ろに引く、または隠すこと。発言や行動を撤回する場合にも使う。例:withdraw a statement(発言を撤回する), withdraw into oneself(引きこもる)
She quickly withdrew her hand from the hot stove, feeling a sudden burn.
彼女は急な熱さを感じて、熱いストーブから素早く手を引っ込めた。
※ 「withdraw」の最も基本的な使い方は、熱いものや危険なものから手や体などを「サッと引っ込める」動作です。この例文では、熱いストーブに触れそうになって反射的に手を引く、緊急の状況が目に浮かびますね。
I need to withdraw some cash from the ATM before the store closes.
お店が閉まる前に、ATMから現金をいくらか引き出す必要があります。
※ 「withdraw money」は、銀行口座からお金を「引き出す」という意味で非常によく使われる表現です。ATMや銀行の窓口で現金が必要な時に使う、私たちにとってとても身近で日常的な場面ですね。
After careful consideration, he decided to withdraw his job application.
熟考の末、彼は就職の応募を取り下げることに決めました。
※ 「withdraw」は、提案、申請、声明などを「取り下げる」「撤回する」といった意味でも使われます。この例文では、一度出した就職の応募を、様々な理由で「引っ込める」という、少し重いけれど決断を伴う場面を表しています。
コロケーション
軍隊を撤退させる
※ 軍事・政治的な文脈で非常によく使われる表現です。単に『引く』のではなく、組織化された軍事力を戦略的に後退させるニュアンスがあります。例えば、『The president ordered to withdraw troops from the border.(大統領は国境からの軍隊の撤退を命じた)』のように使われます。フォーマルな場面で用いられ、口語ではあまり使いません。
資金を引き出す
※ 銀行口座や投資口座などからお金を引き出す際に使われる、非常に一般的な表現です。日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に登場します。例えば、『I need to withdraw some funds to pay my rent.(家賃を払うために資金を引き出す必要がある)』のように使います。より口語的な表現としては『take out money』がありますが、『withdraw funds』はよりフォーマルな印象を与えます。
申し出を撤回する
※ ビジネスや交渉の場で、提案や申し出を取り消すことを意味します。例えば、採用内定を取り消す場合や、契約条件の提示を撤回する場合などに使われます。『The company had to withdraw their offer due to budget cuts.(会社は予算削減のため、申し出を撤回せざるを得なかった)』のように使われます。似た表現に『retract an offer』がありますが、『withdraw』の方がより一般的な表現です。
競技会から棄権する、撤退する
※ スポーツやコンテストなどの競技から、自らの意思で参加を取りやめることを指します。怪我や病気、個人的な理由など、さまざまな理由で使われます。『He had to withdraw from the race due to a leg injury.(彼は足の怪我のため、レースから棄権せざるを得なかった)』のように使われます。この表現は、単に『辞める』のではなく、正式な競技からの撤退というニュアンスを含んでいます。
発言を撤回する
※ 公式な発言や声明を取り消すことを意味します。政治家や企業の広報担当者が、誤った情報や不適切な発言を訂正する際によく使われます。『The politician was forced to withdraw his statement after public criticism.(その政治家は世論の批判を受け、発言を撤回せざるを得なかった)』のように使われます。似た表現に『retract a statement』がありますが、『withdraw』の方がより穏やかな印象を与えます。
殻に閉じこもる、内向的になる
※ 精神的な状態を表す表現で、他人との交流を避け、自分の内面世界に閉じこもることを意味します。失恋や挫折、精神的なストレスなどが原因で起こることがあります。『After the accident, he began to withdraw into himself.(事故の後、彼は殻に閉じこもるようになった)』のように使われます。比喩的な表現で、文学作品や心理学的な文脈でよく見られます。
同意を撤回する
※ 法的な文脈で、以前に与えた同意を取り消すことを意味します。医療行為や個人情報の利用など、さまざまな場面で使われます。『Patients have the right to withdraw consent at any time.(患者はいつでも同意を撤回する権利がある)』のように使われます。近年、個人情報保護の意識が高まる中で、使用頻度が増している表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、実験結果や調査からの結論を述べる際に使われます。例えば、心理学の研究で「被験者は特定の状況下で協力行動をwithdraw(控える)する傾向が見られた」のように、行動や意見を撤回・抑制する意味で用いられます。また、研究資金のwithdraw(撤回)など、プロジェクトの中止に関連する文脈でも使われます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトからの撤退や提案の取り下げを意味する際に使われます。例えば、「競合他社が市場からwithdraw(撤退)した」というニュース記事や、「交渉が難航したため、提案をwithdraw(取り下げる)することにした」という社内報告などで見られます。また、銀行口座からのwithdraw(引き出し)も、経費精算などの文脈で頻繁に登場します。
日常会話では、銀行口座からお金をwithdraw(引き出す)という文脈で使われることがあります。しかし、よりカジュアルな表現としては「take out money」が一般的です。また、議論や口論の際に「I withdraw my statement(発言を撤回します)」のように、フォーマルな場面で自分の意見を取り下げる意味で使われることもありますが、日常会話ではやや硬い印象を与えます。
関連語
類義語
『撤回する』『取り消す』という意味。発言や約束、主張などを取り下げる際に用いられる。ビジネスや政治、報道などで使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『withdraw』が物理的な引き出しや、後ろに引く動作を含むのに対し、『retract』は言葉や声明などを公式に取り消すニュアンスが強い。しばしば、誤りや不適切さを認める含みを持つ。 【混同しやすい点】『retract』は他動詞として使われることがほとんどで、対象を明確にする必要がある。日本語の『撤回』と同様、フォーマルな場面で使われるため、日常会話では不自然になる場合がある。
『(公式に)取り消す』『無効にする』という意味。法律、許可、免許などを取り消す場合に使われる。非常にフォーマルな語彙。 【ニュアンスの違い】『withdraw』よりも権威ある立場からの公式な取り消しを意味する。個人的な関係や日常的な状況には適さない。『revoke』はより法的、行政的な文脈で使用される。 【混同しやすい点】『revoke』は許可証、ライセンス、法律など、公的なものに対してのみ使用される。個人的な感情や行動に対しては使われない。法律や契約に関する文章で頻繁に見られる。
『(徐々に)後退する』『退く』という意味。物理的な後退だけでなく、感情や影響力が弱まる様子にも使われる。文学的な表現にも用いられる。 【ニュアンスの違い】『withdraw』が能動的な引き出しや撤退を意味するのに対し、『recede』は徐々に、自然に後退していく様子を表す。波が引く様子や、記憶が薄れる様子などを描写するのに適している。 【混同しやすい点】『recede』は自動詞として使われることが多く、目的語を取らない。『withdraw』のように能動的な行為主体がいる場合に違和感が生じる。比喩的な意味合いで用いられることが多い。
『退却する』『撤退する』という意味。軍事的な撤退や、困難な状況から逃れる場合に使われる。比喩的に、静養や隠遁の意味も持つ。 【ニュアンスの違い】『withdraw』が一般的な撤退を意味するのに対し、『retreat』はより戦略的な、あるいは緊急的な撤退を意味することが多い。危険や脅威からの回避というニュアンスを含む。 【混同しやすい点】『retreat』は軍事的な文脈でよく使われるため、日常的な状況では大げさに聞こえることがある。また、精神的な休息や隠遁を意味する場合もあり、文脈によって意味が大きく異なる。
『抽出する』『抜き出す』という意味。物理的な抽出だけでなく、情報やデータを取り出す際にも使われる。科学技術分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『withdraw』が引き出す、取り出すという意味で一般的なのに対し、『extract』はより専門的な、または技術的な方法で何かを取り出すことを意味する。元の場所から分離させるニュアンスが強い。 【混同しやすい点】『extract』は、取り出す対象が具体的な物質やデータであることが多い。感情や意見など、抽象的なものを引き出す場合には適さない。化学、医学、情報科学などの分野で頻繁に使われる。
『取り除く』『除去する』という意味。物理的な除去だけでなく、抽象的なもの(例えば、感情、疑念)を取り除く際にも使われる。日常会話でもビジネスでも使える。 【ニュアンスの違い】『withdraw』がある場所から引き離すイメージなのに対し、『remove』は完全に存在しなくなるように取り除くイメージが強い。邪魔なもの、不要なものを排除するニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】『remove』は対象を完全に除去するニュアンスがあるため、一時的に引き離すという意味合いの『withdraw』とは異なる。例えば、『remove a file from the computer』はファイルを完全に削除することを意味する。
派生語
名詞で「引き出し」「撤退」「禁断症状」といった意味。「withdraw」の行為・状態を表す抽象名詞。銀行からの引き出し(money withdrawal)、軍隊の撤退(military withdrawal)、薬物依存からの禁断症状(withdrawal symptoms)など、幅広い文脈で使用される。日常会話からビジネス、学術論文まで頻出。
形容詞で「引っ込み思案な」「内気な」「孤立した」といった意味。「withdraw」の過去分詞形が形容詞として転用されたもの。人や態度を修飾し、社会的な交流を避けている状態を表す。心理学や文学作品で人物描写に用いられることが多い。
- withdrawing
「withdraw」の現在分詞形。動詞として「引き込んでいる」「撤回している」という意味だけでなく、形容詞的に「引きこもりがちな」「内向的な」という意味合いでも使われる。例えば、「withdrawing behavior(引きこもりがちな行動)」のように用いられる。
反意語
「預ける」「堆積させる」という意味。銀行にお金を預ける(deposit money)のように、文字通り「引き出す」の反対の行為を示す。比喩的には、感情や信頼を「預ける」という意味でも使われる。日常会話、ビジネス、金融関連の文脈で頻繁に登場する。
「前進する」「進歩する」「昇進する」という意味。「退く」「撤退する」という「withdraw」の空間的な意味合いと対照的に、前向きな動きを示す。軍事的な意味だけでなく、ビジネスや学術分野でも進歩や発展を表す際に用いられる。
「投資する」という意味。資金や時間、労力などを「投入する」という点で、「引き出す」「撤回する」という「withdraw」と対照的な行為を示す。ビジネス、金融、経済の文脈で頻繁に使われ、将来的な利益を期待して資源を投入する行為を指す。
語源
「withdraw」は、古英語の「wiþ」 (反対、離れて) と「dragan」 (引く、運ぶ) が組み合わさってできた単語です。接頭辞「with-」は、現代英語では「共に」という意味合いが強いですが、元々は「反対に」「後ろに」といった意味を持っていました。したがって、「withdraw」は文字通りには「後ろに引く」という意味合いを持ちます。たとえば、会社から「手を引く」、銀行からお金を「引き出す」、軍隊を「撤退させる」など、文字通りの意味から派生した様々な状況で使われます。日本語で例えるなら、「退散」や「撤退」といった言葉が近いニュアンスでしょう。「後ろに引く」というイメージを持つことで、この単語の意味をより深く理解できるはずです。
暗記法
「withdraw」は単なる撤退ではない。騎士が社交界から退くのは抗議、修道院への隠遁は世俗からの離脱。政治家の公約撤回は信頼の崩壊、企業の市場撤退は苦境の兆し。芸術家の作品撤回は抵抗、科学者の論文撤回は誠実さの証。社会、倫理、感情が絡み合う、深遠な意味を持つ言葉。背後にある物語を想像せよ。
混同しやすい単語
『withdraw』と語尾の綴り(-draw, -dth)が似ているため、スペルミスしやすい。意味は『幅』で、名詞である点が『withdraw』(動詞)と異なる。発音も異なるため、スペルを意識すれば区別できる。
『withdraw』と前半部分(with-)が共通しているため、意味的にも混同しやすい。意味は『保留する』、『差し控える』であり、似ているが異なる。『withdraw』がお金や物理的なものを引き出すのに対し、『withhold』は情報や許可などを保留するニュアンス。税金の源泉徴収(withholding tax)でよく使われる。
スペルが非常に似ており、特に手書きの場合など誤って書いてしまう可能性が高い。意味は『刈り取った作物を列状に並べたもの』で、農業用語。日常会話ではほとんど使われない。
『withdraw』と語頭の with- が共通しているため、スペルミスしやすい。意味は『~なしに』という前置詞であり、文法的な役割が大きく異なる。発音も異なるため、注意すれば区別できる。
『withdraw』の語尾部分であるため、動詞の活用形と勘違いしやすい。意味は『描く』、『引く』など多岐にわたる動詞。名詞としても『くじ引き』などの意味がある。『withdraw』は『draw』に『with-』(離れて、後ろに)という接頭辞がついたものと考えると、語源的に理解しやすい。
『withdraw』と前半部分(with-)が共通しているため、意味的に混同しやすい。意味は『耐える』、『抵抗する』であり、物理的な力や圧力に耐えるニュアンスが強い。withdraw が文字通り「引く」意味合いなのに対し、withstand は「立ちはだかる」イメージ。
誤用例
『withdraw』は、物理的な撤退や、銀行口座からお金を引き出す際に使われることが多い単語です。意見や発言を『撤回する』という意味で使うことも可能ですが、よりフォーマルで丁寧な印象を与えるには『retract』が適切です。日本人が『withdraw』を選んでしまう背景には、日本語の『取り下げる』という言葉が、物理的なものにも抽象的なものにも使えるため、その直訳として安易に『withdraw』を選んでしまう傾向があります。英語では、意見や発言の撤回には、より専門的な語彙を使うことで、相手への敬意を示すことができます。
『withdraw oneself』は、文字通りには『自分自身を引っ込める』という意味になり、物理的にその場から立ち去る場合に使うのが自然です。会話から『身を引く』というニュアンスを伝えたい場合、『excuse oneself』を使う方が適切です。これは、単に場所を離れるだけでなく、相手に断りを入れるという文化的ニュアンスを含んでいます。日本人が『withdraw oneself』を選んでしまうのは、日本語の『身を引く』という表現を直訳しようとするためですが、英語では、社交的な場面での立ち振る舞いには、より洗練された表現が求められます。
『withdraw』は、物理的な撤退や、継続的な支援の中止を意味するのに対し、『rescind』は、公式な決定や合意を無効にすることを指します。問題となっているプロジェクトへの『支持』は、単なる好意的な態度ではなく、企業としての公式なコミットメントであるため、『rescind』がより適切な語彙となります。日本人が『withdraw』を選んでしまうのは、公式な決定の重みを軽視しがちなためかもしれません。英語では、ビジネスや法的な文脈においては、言葉の選択が非常に重要であり、誤った単語を使うことで、意図しない意味合いを伝えてしまう可能性があります。
文化的背景
「withdraw」は、単に物理的な撤退や引き出しを示すだけでなく、社会的な合意や約束、あるいは自己との繋がりからの離脱を意味することがあります。この単語は、時に責任からの逃避、関係性の終焉、精神的な内向といった、より深い心理的、社会的な背景を伴って用いられます。
歴史的に見ると、「withdraw」は軍事的な撤退を指す言葉としてよく用いられました。これは、戦場からの物理的な撤退だけでなく、戦略的な後退、あるいは敗北を意味することがありました。中世の騎士道物語では、名誉を重んじる騎士が不当な扱いを受けた際に、社交界から「withdraw」することが描かれています。これは、単なる隠遁ではなく、社会的な抗議の意思表示であり、自らの価値観を守るための行動でした。また、修道院への隠遁も、世俗的な生活からの「withdraw」と解釈できます。これは、物質的な欲望や社会的な義務から離れ、精神的な探求に専念することを意味しました。
現代社会においては、「withdraw」は金融取引の文脈で頻繁に用いられますが、その意味はより広範に及んでいます。例えば、政治家が公約を「withdraw」する場合、それは有権者との信頼関係の破綻を意味することがあります。また、企業が市場から「withdraw」する場合、それは経済的な苦境や戦略的な転換を示すことがあります。心理学の分野では、「social withdrawal(社会的引きこもり)」という言葉があり、これは個人が社会的な交流を避け、孤立することを指します。これは、精神的な苦痛や不安、あるいは社会に対する不信感から生じることがあります。
このように、「withdraw」は単なる物理的な移動を示すだけでなく、社会的な規範、個人的な感情、そして倫理的な決断と深く結びついた言葉です。この単語を理解することは、表面的な意味だけでなく、その背後にある複雑な文化的、社会的な文脈を理解することにつながります。例えば、芸術家が作品を公の場から「withdraw」することは、自己表現の自由に対する抑圧への抵抗を意味することがあります。あるいは、科学者が研究成果を「withdraw」することは、科学的な誠実さを守るための重要な決断となることがあります。このように、「withdraw」という言葉は、個人の内面的な葛藤から社会的な変革まで、幅広い意味を内包しているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。稀にリスニング
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも稀に出題
- 文脈・例題の特徴: ビジネス、社会問題、環境問題など幅広いテーマで出題。会話文での使用例も
- 学習者への注意点・アドバイス: 「撤回する」「引き出す」「退会する」など複数の意味を文脈に応じて判断する必要がある。類義語(revoke, retractなど)との使い分けも重要
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で比較的頻出
- 文脈・例題の特徴: 主にビジネスシーン(契約、金融、人事など)での使用例が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「引き出す(お金)」の意味でbank withdrawなど金銭に関する文脈で登場することが多い。同義語のremoveやcancelとの区別を意識する
- 出題形式: リーディング、ライティング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 研究論文、学術記事など、抽象的な内容で用いられることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「撤回する」の意味で論文の撤回などアカデミックな文脈で使用されることが多い。名詞形 withdrawal のスペルにも注意。
- 出題形式: 長文読解、和訳、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、経済、歴史など、硬めのテーマで登場することが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が重要。「withdraw from~(~から撤退する)」の形で使われることが多い。多義語であるため、文脈に応じた適切な訳語を選択する必要がある