specific
第2音節にアクセント(強勢)があります。曖昧母音 /ə/ は、力を抜いて発音する「あ」に近い音です。/sɪ/の部分は「スィ」のように、唇を横に引いて発音するとよりネイティブの発音に近づきます。最後の/k/は、息を止めてから破裂させるように発音するとクリアに聞こえます。
明確な
漠然とせず、焦点が絞られている様子。一般的なことではなく、特定のものや状況を指す時に使う。例:specific instructions(具体的な指示)
Could you please give me more specific instructions for this task?
この仕事について、もう少し具体的な指示をいただけますか?
※ 会議中、上司の指示が少し曖昧で、どう進めていいか分からず、思い切って質問する場面です。「specific instructions(具体的な指示)」は、仕事や学習で曖昧な指示を明確にしたい時によく使う表現です。相手に詳しく教えてほしい気持ちが伝わります。
Do you have any specific plans for your summer vacation yet?
夏休みについて、もう何か具体的な計画はありますか?
※ カフェで友達と夏休みの話をしていて、相手が「旅行に行きたいな」と漠然と言ったので、もっと具体的な内容を聞き出したい場面です。「specific plans(具体的な計画)」は、日常会話で相手の考えや計画について、より詳しく知りたい時に自然に使えます。ワクワクしながら尋ねる様子が目に浮かびますね。
We need to find the specific reason why the computer is not working.
パソコンが動かない具体的な理由を見つける必要があります。
※ 職場でパソコンが急に動かなくなり、困っている場面です。漠然と「壊れた」で済ませるのではなく、「何が原因なのか」を特定して直したいので、同僚と相談しながら話しています。「specific reason(具体的な理由)」は、問題の原因や解決策など、何かを『特定する』必要がある状況でよく使われます。困惑しながらも解決しようとする気持ちが伝わります。
特殊な
他とは異なり、ある目的や用途に特化しているニュアンス。general(一般的な)の対義語として使われる。例:specific tools(特殊な道具)
I'm looking for a specific book about old cars in this library.
この図書館で、古い車に関する特定の(具体的な)本を探しています。
※ 【情景】図書館で、あなたが司書に「古い車」というテーマの本を探しているけれど、ただ「古い車」ではなく、「こういう内容の、あの本」という特定のものを探している様子です。 【解説】「specific」は、漠然としたものの中から、一点を「これ!」と指し示すような「特定の」「具体的な」という意味でよく使われます。ここでは、「たくさんの本の中から、私が探しているのはこれです」という気持ちが込められています。
I don't have any specific questions about the lesson right now.
今のところ、その授業について何か具体的な質問はありません。
※ 【情景】授業が終わって、先生が「何か質問はありますか?」と尋ねています。あなたは内容を理解しようとしましたが、まだ「ここがわからない」という具体的な疑問は浮かんでいない状況です。 【解説】「specific questions」で「具体的な質問」となります。何か漠然とした不安はあっても、「これについて教えてほしい」という明確な質問がないときに使えます。日常会話でもよく使う表現です。
He has a specific goal he wants to achieve by next year.
彼には来年までに達成したい、具体的な目標があります。
※ 【情景】友人と話していて、あなたの知人が「来年までに何かを成し遂げたい」と話している場面です。漠然とした夢ではなく、「これだ!」という明確な目標を持っていることが伝わってきます。 【解説】「specific goal」で「具体的な目標」という意味になります。「目標」はたくさんあるけれど、その中でも「これ」と決まっている目標を指すときに使います。自分の夢や計画を話すときにも使えます。
詳細
形容詞 specific から派生し、「具体的な情報」という意味合いで使われる。複数形 specifics で用いられることが多い。例:the specifics of the plan(計画の詳細)
The boss urgently asked for a specific about the sales figures before the meeting.
会議の前に、部長は売上数字に関する具体的な(詳細な)情報を緊急に求めた。
※ この例文では、「a specific」が「具体的な数字」や「詳細な情報」を指しています。会議を控えて、上司が部下から重要な数字の詳細を急いで求めている緊迫した場面が目に浮かびますね。
We couldn't decide on our trip until we got a specific about the hotel.
ホテルに関する具体的な(詳細な)情報が得られるまで、私たちは旅行を決められなかった。
※ ここでは、「a specific」が「ホテルの具体的な情報(詳細)」、例えば部屋のタイプや料金、空き状況などを意味しています。友達と旅行の計画を立てているのに、肝心な情報がなくて困っている様子が伝わります。
The patient nervously asked the doctor for a specific about her condition.
患者は不安そうに、自分の病状について具体的な(詳細な)説明を医師に求めた。
※ この文脈では、「a specific」が「病状に関する具体的な情報や説明」を指します。患者さんが自分の体のことなので、一般的な説明だけでなく、もっと詳しく知りたいという切実な気持ちが伝わりますね。
コロケーション
具体的な例
※ 抽象的な議論や概念を明確にするために、特定の事例を挙げる際に用いられます。ビジネスシーンや学術論文などで、議論の説得力を高めるために不可欠です。単に'example'と言うよりも、議論に直接関連する事例であることを強調します。例えば、プレゼンテーションで「具体的な例を挙げます」と言う場合、'Let me give you a specific example'となります。
詳細な情報、詳細な内容
※ 一般的な情報ではなく、特定の、明確な情報が必要な場合に使われます。事件の捜査、契約書の作成、製品の仕様説明など、正確さが求められる場面で頻繁に用いられます。 'details'だけでは漠然としているため、'specific'を付けることで、重要かつ限定的な情報であることを強調します。 'Could you provide the specific details of the incident?'(事件の詳細な情報を教えていただけますか?)のように使用します。
特定の目的
※ 一般的な目的ではなく、限定された、明確な目的を指します。プロジェクトの目標設定、資金の用途、旅行の理由など、意図や目標を明確にする際に使用されます。 'purpose'だけでは曖昧な場合があるため、'specific'を付けることで、目的の焦点が絞られていることを強調します。 'The funds were raised for a specific purpose.'(その資金は特定の目的のために集められました。)のように使われます。
特定の要件、特別な要求
※ 一般的な要件ではなく、個別の状況やニーズに合わせて定められた要件を指します。ソフトウェア開発、建築設計、顧客対応など、標準的な仕様では満たせない特別な要求がある場合に使われます。 'requirements'だけでは一般的な要求と区別がつかないため、'specific'を付けることで、特別な注意が必要な要件であることを強調します。 'The software was developed to meet specific requirements.'(そのソフトウェアは特定の要件を満たすために開発されました。)のように使われます。
具体的な指示、詳細な指示
※ 曖昧な指示ではなく、実行すべき内容が明確に示された指示を指します。機械の操作、料理のレシピ、緊急時の対応など、誤解や曖昧さを排除する必要がある場面で用いられます。 'instructions'だけでは指示の内容が不明確なため、'specific'を付けることで、正確な実行を促す意図を示します。'Follow these specific instructions carefully.'(これらの具体的な指示に注意深く従ってください。)のように使用します。
特定の時間
※ 漠然とした時間ではなく、正確に定められた時間を指します。会議の開始時間、列車の出発時間、締め切り時間など、時間厳守が求められる場面で用いられます。 'time'だけでは時間の範囲が曖昧なため、'specific'を付けることで、時間に対する意識を高める効果があります。 'The meeting will start at a specific time.'(会議は特定の時間に開始されます。)のように使われます。
特定の方法で、特定の手順で
※ 一般的な方法ではなく、限定された、特別な方法を指します。実験の手順、問題の解決方法、データの分析方法など、特定の手順や方法に従う必要がある場合に使われます。 'way'だけでは方法が不明確なため、'specific'を付けることで、方法の重要性を強調します。'The experiment was conducted in a specific way.'(その実験は特定の方法で実施されました。)のように使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。研究対象の特性や範囲を明確にする際に不可欠です。例えば、「この研究は、特定の年齢層の学習者における、特定の教授法の影響を検証する」のように使われます。文語的で厳密な表現が求められる場面で多用されます。
ビジネス文書や会議で、具体的な指示や目標を示す際に使用されます。「具体的な納期を設定する」「特定の顧客層に焦点を当てる」など、曖昧さを避け、明確な行動を促すために重要です。フォーマルな文脈で用いられ、効率的なコミュニケーションに貢献します。
日常会話やニュース記事などで、話題を限定したり、詳細を説明したりする際に使用されます。「特定の種類のコーヒーが好きだ」「特定の地域で流行している」など、興味や関心を共有する際に役立ちます。フォーマルな場面だけでなく、カジュアルな会話でも使用されます。
関連語
類義語
正確で、詳細にわたり、曖昧さがないことを意味する。科学、技術、法律など、正確性が求められる分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"Specific"がある程度絞り込まれていることを示すのに対し、"precise"は寸分の狂いもない正確さを強調する。"Specific"は対象を特定するニュアンスが強いが、"precise"は測定や定義の正確さを指す。 【混同しやすい点】"Specific"が漠然としたものから特定のものを選び出すニュアンスを含むのに対し、"precise"は最初から明確な対象に対して用いられることが多い。例えば、「具体的な指示」は"specific instructions"だが、「精密な測定」は"precise measurement"となる。
特定の、特別な、という意味。全体の中の特定の部分や要素を指す。日常会話、ビジネス、学術など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Specific"が一般的なものからの区別を強調するのに対し、"particular"は関心や注意を引く特定のものを指すことが多い。"Particular"は好みや選択に関連することがある。 【混同しやすい点】"Specific"は客観的な区別を意味することが多いが、"particular"は主観的な選択や好みが含まれることがある。「特定の場所」は"specific place"でも"particular place"でも良いが、「特に好きな場所」は"particular place"が適切。
明白な、明示的な、という意味。曖昧さや疑いの余地がないほど明確に表現されていることを指す。契約書、取扱説明書、法律文書などでよく使われる。 【ニュアンスの違い】"Specific"が対象を明確にすることに重点を置くのに対し、"explicit"は表現方法が明確であることを強調する。隠された意味や暗示がないことが重要。 【混同しやすい点】"Specific"は情報の内容に焦点を当てるが、"explicit"は情報の伝達方法に焦点を当てる。「具体的な計画」は"specific plan"だが、「明示的な指示」は"explicit instructions"となる。
正確な、厳密な、という意味。誤差やずれがないことを強調する。数学、科学、会計などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"Specific"がある程度の範囲を絞り込むことを意味するのに対し、"exact"は完全に一致することを意味する。"Exact"は数量や測定に関連することが多い。 【混同しやすい点】"Specific"は対象の性質を特定するのに対し、"exact"は数値的な正確さを強調する。「具体的な数字」は"specific number"だが、「正確な数字」は"exact number"となる。
明確な、確定的な、という意味。疑いや曖昧さがなく、はっきりと定まっていることを指す。計画、決定、約束など、将来に関する事柄について使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"Specific"がある程度詳細であることを意味するのに対し、"definite"は最終的で変更の余地がないことを意味する。"Definite"は不確実性がないことを強調する。 【混同しやすい点】"Specific"は内容の明確さを指すのに対し、"definite"は決定の確定性を指す。「具体的な日付」は"specific date"だが、「確定的な日付」は"definite date"となる。
確かな、確実な、という意味。疑いや不安がなく、確信を持っていることを指す。事実、知識、予測などについて使われる。 【ニュアンスの違い】"Specific"がある程度限定されていることを意味するのに対し、"certain"は疑いの余地がないことを意味する。"Certain"は主観的な確信や客観的な証拠に基づいている。 【混同しやすい点】"Specific"は対象を特定するのに対し、"certain"は真実性や信頼性を強調する。「具体的な情報」は"specific information"だが、「確かな情報」は"certain information"となる。
派生語
『特定する』という意味の動詞。名詞の『specific』に動詞化の接尾辞『-fy』が付加され、『〜にする』という意味合いが加わった。契約書や取扱説明書など、詳細を明確にする場面で頻繁に使われる。日常会話よりもビジネスや技術的な文脈でより一般的。
『仕様』、『明細』という意味の名詞。『specify』の行為や結果を表す抽象名詞化。製品の設計書、契約書、技術文書などで頻繁に見られる。具体的にどのような要素や条件を満たす必要があるのかを明確に記述する際に不可欠。
『明確に』、『具体的に』という意味の副詞。『specific』に副詞化の接尾辞『-ally』が付加された形。ある事柄を限定したり、詳細を強調したりする際に用いられる。学術論文やビジネス文書で、あいまいさを避け、正確さを期すために使われる頻度が高い。
反意語
『一般的な』、『全体的な』という意味の形容詞。『specific』が特定のものに焦点を当てるのに対し、『general』は広く全体を指す。日常会話から学術論文まで幅広く使われる。例えば、『specific instructions(具体的な指示)』に対して『general guidelines(一般的な指針)』のように対比される。
『曖昧な』、『漠然とした』という意味の形容詞。『specific』が明確で詳細な状態を表すのに対し、『vague』は不明瞭で定義が曖昧な状態を表す。日常会話や文学作品で、意図的に曖昧さを残す場合や、情報が不足している状況を描写する際に用いられる。『specific details(具体的な詳細)』に対して『vague memories(曖昧な記憶)』のように対比される。
『広い』、『広範な』という意味の形容詞。『specific』がある特定の範囲に限定されているのに対し、『broad』は広い範囲や対象を指す。例えば、『specific example(具体的な例)』に対して『broad overview(広範な概観)』のように使われる。ビジネスや学術分野で、対象範囲を議論する際に重要な対比となる。
語源
"Specific"は、ラテン語の"species"(種類、外観)と"facere"(作る、行う)を組み合わせた"specificare"(特定する、明確にする)に由来します。"Species"は「見る」を意味する"specere"と関連があり、元々は「外から見える形」を指していました。"Specificare"は、「ある種類に属するものとして明確にする」という意味合いを持ち、これが英語の"specific"へと発展しました。つまり、"specific"は「ある特定のグループやカテゴリーに属し、他と区別できるほど明確な特徴を持つ」という意味合いを含んでいます。日本語で例えるなら、「詳細を仕様(specification)として定める」という時の「仕様」という言葉が、"specific"の語源的な意味合いと近いと言えるでしょう。
暗記法
「Specific」は単なる「特定」に非ず。西洋では「責任の明確化」を意味し、契約社会の根幹をなす。曖昧さを排し、具体的な行動と結果に焦点を当てる姿勢は、信頼構築と義務遂行の基盤だ。中世の口約束から、ルネサンス期の契約重視へ。ホームズが「specific details」から真実を導くように、目標設定も具体性が鍵。西洋文化における契約、責任、科学的思考と深く結びつき、その奥行きは深い。
混同しやすい単語
『specific』と『pacific』は、スペルと発音が非常に似ており、特に語尾の発音が曖昧になりやすい点が混同の原因です。『pacific』は『太平洋の』または『平和的な』という意味の形容詞であり、名詞としても使われます。品詞と意味が異なるため、文脈で判断することが重要です。英語の先生が『specific』と言ったつもりが、生徒には『Pacific Ocean』に聞こえてしまう、という笑い話もあります。
『specific』と『specify』は、語源が同じ(ラテン語の『species(種類)』に由来)ため、スペルも発音も似ています。『specify』は動詞で、『特定する』『明示する』という意味です。日本人学習者は、名詞(specific)と動詞(specify)の使い分けに注意する必要があります。たとえば、『具体的に言ってください』は『Please be specific』ですが、『具体的に指定してください』は『Please specify』となります。
『specific』と『special』は、スペルの一部が共通しており、『sp』という子音連結も共通しているため、視覚的に混同しやすいです。『special』は『特別な』という意味の形容詞です。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なります。『specific』は第二音節にアクセントがあるのに対し、『special』は第一音節にアクセントがあります。また、specialは「特別の」という意味合いが強く、specificは「明確な、特定の」という意味合いが強いです。
『specific』と『species』は、語源が同じ(ラテン語の『species(種類)』に由来)であり、スペルも似ています。『species』は『種(しゅ)』という意味の名詞です。生物学でよく使われる単語ですが、日常会話でも使われます。複数形も『species』なので、注意が必要です。発音は『スピーシーズ』と、specificよりも母音が長く、よりはっきり発音されます。
『specific』と『scientific』は、どちらも『sci』という接頭辞を持ち、スペルが似ているため、視覚的に混同しやすいです。『scientific』は『科学的な』という意味の形容詞です。発音も似ていますが、音節数が異なります。『specific』は3音節ですが、『scientific』は4音節です。また、アクセントの位置も異なります。『scientific』は第三音節にアクセントがあります。
『specific』とは意味も品詞も大きく異なりますが、語頭の『sp』という子音連結が共通しているため、発音を聞き間違える可能性があります。『splice』は『(ロープなどを)継ぎ合わせる』という意味の動詞、または『継ぎ目』という意味の名詞です。たとえば、遺伝子工学でDNAを『スプライスする』というように使われます。発音は『スプライス』と、specificよりも短く、強い音です。
誤用例
日本語の『詳細』という言葉に引きずられ、『specific』を名詞として使ってしまう誤用です。英語では、詳細を指す場合は通常、複数形の『specifics』を用います。これは、詳細が単一の要素ではなく、複数の要素から構成されるという認識に基づいています。単数形の『specific』は形容詞であり、『特定のもの』という意味で使用されます。例えば、『a specific example』のように使います。日本人がつい『〜のspecific』という形にしてしまいがちですが、英語では形容詞の安易な名詞化は避けられる傾向にあります。名詞として使いたい場合は複数形のspecificsを使いましょう。
『specific』は『明確に特定された』という意味合いが強く、単に『ある特定の』という意味で使うと、やや不自然に聞こえる場合があります。例えば、漠然と『特定の車が欲しい』というニュアンスを伝えたい場合、より自然なのは『particular』を使うことです。『particular』は『特別な』という意味合いも持ち、話者の好みが反映されているニュアンスを含みます。日本人が『特定』という言葉を字義通りに捉えすぎると、このような語感のズレが生じやすくなります。英語では、状況やニュアンスに応じて、より適切な語を選ぶことが重要です。また、「have a particular car in mind」という表現は、「心に思い描いている特定の車がある」という、より丁寧で婉曲的な言い方です。ビジネスシーンなど、相手に押し付けがましくない表現をしたい場合に有効です。
『specific』は意見の内容が明確であることを意味しますが、意見の強さを表す言葉ではありません。日本語の『具体的な意見』という表現に引きずられると、誤って使ってしまうことがあります。意見の強さを強調したい場合は、『strong』や『firm』などの形容詞を使うのが適切です。また、『hold a strong opinion』という表現は、『強い意見を持っている』という意味で、意見の強さをより強調する言い方です。英語では、抽象的な概念を表現する場合、より具体的な動詞や形容詞を選ぶことで、ニュアンスを豊かにすることができます。日本人がつい直訳的な発想で英語を組み立ててしまうと、このような表現の幅を狭めてしまう可能性があります。
文化的背景
「Specific」は、単なる「特定」を超え、西洋社会においては「責任の所在を明確にする」という文化的ニュアンスを強く帯びています。曖昧さを排し、具体的な行動や結果に焦点を当てる姿勢は、契約社会や個人主義が根強い欧米において、信頼関係を築き、義務を果たすための基盤となる価値観と深く結びついています。
中世ヨーロッパの封建制度において、土地の所有権や義務は口頭での約束事が多く、しばしば紛争の種となりました。しかし、ルネサンス期以降、商業の発展とともに契約の概念が進化し、権利と義務を「specifically(明確に)」定めることの重要性が高まりました。例えば、商取引においては、商品の品質、数量、納期などを詳細に記述することで、後々のトラブルを未然に防ぐ必要がありました。この流れは、近代法体系の確立にも影響を与え、「specific performance(特定履行)」という法的な概念を生み出しました。これは、契約違反があった場合に、金銭的な賠償だけでなく、契約内容どおりの履行を求めることができるという考え方です。
文学作品においても、「specific」はしばしば重要な役割を果たします。例えば、シャーロック・ホームズは、曖昧な状況証拠ではなく、「specific details(具体的な詳細)」に着目することで、難解な事件を解決に導きます。彼の観察眼は、単なる知識の蓄積ではなく、具体的な事象から本質を見抜く能力を象徴しており、科学的な思考方法の重要性を物語っています。また、ビジネスシーンにおいても、「specific」は、目標設定や戦略立案において不可欠な要素です。SMARTの法則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)は、目標を具体的に設定することで、達成可能性を高めるためのフレームワークとして広く知られています。
このように、「specific」は、西洋文化における契約、責任、科学的な思考、そして目標達成といった、様々な側面と深く結びついています。単に「特定」という意味だけでなく、その背後にある文化的背景を理解することで、この単語の持つ奥行きをより深く感じることができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも長文読解で登場の可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。科学、社会問題、文化など。長文読解では、specific details(特定の詳細)のような形で問われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞としての用法が基本だが、名詞のspecifics(詳細)も重要。類義語のparticularとの使い分けも意識する
- 出題形式: Part 5, 6, 7(読解問題)
- 頻度と級・パート: 頻出単語。特にPart 7の長文読解で詳細を問う設問で重要
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文書(メール、報告書、契約書など)で頻繁に使用される。Specific requirements(特定の要件), specific examples(具体的な例)のような形で登場
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでの具体的な指示や要件を示す際に使われることを意識。漠然とした表現との対比で理解を深める
- 出題形式: リーディング、ライティング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 学術論文、エッセイなどで、具体的な例を挙げる際や、特定の条件を示す際に使われる。Specific research findings(特定の研究結果), specific criteria(特定の基準)のような形で登場
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を具体化する役割を理解する。ライティングでは、具体例を挙げる際に積極的に使用する
- 出題形式: 長文読解、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで登場。文脈から意味を推測する能力が求められる
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈における意味の把握が重要。類義語(particular, precise)との違いを理解し、使い分けられるようにする。英作文では、具体例を挙げる際に活用する