particular
第一音節にアクセントがあります。「pər」の部分は、日本語の「パー」よりも曖昧な母音(schwa /ə/)に近い音です。口を軽く開け、力を抜いて発音しましょう。「tɪ」は日本語の「ティ」に近いですが、より短く、軽く発音します。「kjə」は「キュ」と「ア」の中間のような音で、曖昧母音です。「lər」は「ラー」よりも舌を丸めるように意識するとよりネイティブに近い発音になります。
特定の
漠然としたものではなく、はっきりと区別できる対象を指す。いくつかある選択肢の中から、特に注目すべきもの、あるいは意図的に選んだものを強調するニュアンスを含む。
Do you have any particular coffee you'd like to try today?
今日、何か特定のコーヒーを試してみたいものがありますか?
※ カフェで店員さんが、たくさんのメニューの中から「特にこれといった」コーヒーがあるか尋ねる場面です。「particular」は、数ある選択肢の中から「特定のひとつ」や「これと決めたもの」を指すときによく使われます。お客さんの好みを探る、親切な質問ですね。
I don't have any particular plans for this weekend yet.
今週末は、まだ特にこれといった予定はありません。
※ 友人に週末の予定を聞かれたけれど、まだ何も決まっていない、という日常会話の場面です。「not any particular + 名詞」の形で「これといって特別な〜はない」というニュアンスを表す典型的な使い方です。肩の力が抜けた、自然な答え方ですね。
The teacher paid particular attention to the new student's questions.
先生は、その新しい生徒の質問に特に注意を払いました。
※ 先生が新しく来た生徒に、他の生徒よりも意識的に、より丁寧に対応している場面です。「particular attention」は「特別な注意」や「特定の関心」という意味でよく使われるフレーズです。先生が新入生を気遣う、温かい情景が目に浮かびますね。
詳細
全体を構成する要素の一つ一つ。特に、他の要素とは異なる、あるいは注目すべき点に着目していることを示す。
Could you please give us the particulars of the new project plan?
新しいプロジェクト計画の詳細を教えていただけますか?
※ 会議室で、プロジェクトリーダーがチームメンバーに新しい計画について説明している場面を想像してください。メンバーは、具体的な内容(予算、スケジュール、担当者など)をもっと知りたいと思っています。「particulars」と複数形で使うことで、「個々の詳しい情報」というニュアンスが伝わります。ビジネスの場で、具体的な情報を求める際によく使われる表現です。
The police officer carefully wrote down the particulars of the witness's statement.
警察官は目撃者の証言の詳細を注意深く書き留めました。
※ 事件現場で、警察官が目撃者から話を聞き、その重要な情報を手帳に一言一句漏らさずにメモしている真剣な様子が目に浮かびます。ここでは「particulars」が、証言に含まれる具体的な事実や細かい情報を指します。何かを正確に記録したり、報告したりする際に「詳細」という意味で使われる典型的な例です。
I called the travel agent to get the particulars about the tour package.
私はツアーパッケージの詳細を知るために旅行代理店に電話しました。
※ 楽しい旅行を計画中で、パンフレットだけでは分からない、出発時間、宿泊施設、食事内容などの具体的な情報をもっと知りたい!という気持ちで、旅行代理店に電話している場面です。個人的な問い合わせや、何かを予約する前に詳しい情報を確認する際によく使われます。この場合も「particulars」は、個々の具体的な情報を指します。
とりわけ
他のものと比較して、特に重要である、あるいは顕著であることを示す。フォーマルな場面で使われることが多い。
I love all kinds of music, but I like classical music in particular.
私はあらゆる種類の音楽が好きですが、とりわけクラシック音楽が好きです。
※ 【情景】友人と音楽の好みについて話している場面。「たくさんあるものの中から、特にこれが好き!」という気持ちが伝わります。 【解説】「in particular」は、「たくさんあるものの中から、特にこれ」と強調したいときに使われる、とても自然な表現です。このフレーズを使うことで、「とりわけ」というニュアンスが明確に伝わります。
The teacher praised all the students, but she mentioned Emma's effort in particular.
先生は全ての生徒を褒めましたが、とりわけエマの努力に言及しました。
※ 【情景】学校の発表会や授業後、先生が頑張った生徒たちを評価している場面。大勢の中から、特に注目すべき点があったことを示しています。 【解説】「in particular」は、全体の中で「特に」「具体的に」何かを指摘したいときに役立ちます。この文のように、多くの人がいる中で特定の一人や一点を強調する際にぴったりです。
Many problems occurred during the project, the lack of communication in particular.
プロジェクト中に多くの問題が発生しましたが、とりわけコミュニケーション不足でした。
※ 【情景】会議でプロジェクトの反省点について話し合っている場面。複数の問題があった中で、最も重要だった点を強調しています。 【解説】この例文のように、「in particular」は、問題点や課題など、ネガティブな要素の中で「特にこれ」と指摘したい場合にも使えます。文末に置くことで、直前の内容を具体的に補足し、強調する効果があります。
コロケーション
特に、とりわけ
※ 何かを強調したり、一般的な事柄から特定の事例に焦点を移す際に使われます。文頭、文中、文末のどこにでも置けますが、文末に置くとより強調するニュアンスが出ます。例えば、"I like all kinds of fruit, but apples in particular."(あらゆる種類の果物が好きですが、特にリンゴが好きです。)のように使います。ビジネスシーンでも口語でも使用頻度は高く、フォーマルな印象を与えます。
特に理由はない
※ 何か行動や選択をした理由を聞かれた際に、明確な理由がないことを伝えるフレーズです。日常会話で非常に頻繁に使われます。例えば、"Why did you choose this restaurant?" "No particular reason, I just felt like it."(なぜこのレストランを選んだの?」「特に理由はないよ、ただそうしたかったんだ。」)のように使います。カジュアルな表現ですが、ビジネスシーンでも問題なく使用できます。
〜にうるさい、〜にこだわる
※ "be particular about"の形で使われ、好みや基準が厳しく、細かい点まで気にするという意味を表します。例えば、"He is very particular about his coffee."(彼はコーヒーにとてもうるさい。)のように使います。食べ物、服装、仕事のやり方など、様々な対象に対して使えます。少しネガティブなニュアンスを含むこともあります。
特定のブランド
※ 漠然としたブランドではなく、具体的に名前が挙がるブランドを指す際に使われます。マーケティングや消費者行動の議論でよく用いられます。例えば、"Consumers are loyal to a particular brand of coffee."(消費者は特定のコーヒーブランドに忠実です。)のように使います。他の言い方として、"specific brand"もありますが、"particular"の方が、より個別性や選好のニュアンスが強くなります。
特定の点、ある特定の点
※ 議論や説明の中で、注目すべき特定の箇所や論点を指し示す際に使われます。プレゼンテーションや論文など、フォーマルな場面でよく用いられます。例えば、"I want to emphasize a particular point in this report."(この報告書で、ある特定の点を強調したいと思います。)のように使います。"specific point"とほぼ同義ですが、"particular"の方がややフォーマルな印象を与えます。
この特定の場合には
※ 一般的な状況とは異なり、特定の状況や事例に限定して議論を進める際に使われます。法律、ビジネス、医療など、様々な分野で使用されます。例えば、"In this particular case, the patient requires immediate surgery."(この特定の場合には、患者は直ちに手術を必要とします。)のように使います。"specific case"とほぼ同義ですが、"particular"の方が、より個別の事情に焦点を当てているニュアンスがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。特に、研究対象を特定したり、特定の条件を強調したりする際に用いられます。例:「In this particular study, we focused on the effects of X on Y.」(この特定の研究では、XがYに与える影響に焦点を当てました。)文語的で、客観性と正確さが求められる場面でよく見られます。
ビジネス文書や会議などで、特定の事項を明確にするために使用されます。例:「We need to pay particular attention to the details in this contract.」(この契約書の細部に特に注意を払う必要があります。)フォーマルな場面で、誤解を避けるために用いられることが多いです。プレゼンテーション資料などでも見られます。
日常会話やニュース記事などで、特定の事柄を強調する際に使用されます。例:「I'm not a big fan of any particular sport.」(特に好きなスポーツはありません。)または、「That particular restaurant is known for its delicious pasta.」(あのレストランは美味しいパスタで有名です。)比較的フォーマルな言い方で、カジュアルな会話でも使われますが、より自然な表現としては "specific" などが用いられることもあります。
関連語
類義語
『明確に特定された』という意味で、曖昧さを排除し、詳細な情報や正確な記述を必要とする場面で使われる。ビジネス、学術、技術分野で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】"particular"が『個々の』『特定の』という意味合いで、あるグループの中の個別の要素を指すのに対し、"specific"はより厳密に、対象を絞り込んだり、詳細を明確にしたりするニュアンスが強い。"specific example"(具体的な例)のように、事例やデータを示す際によく用いられる。 【混同しやすい点】"particular"は一般的な状況や好みにも使われるが、"specific"はよりフォーマルで客観的な文脈に限定される傾向がある。例えば、"I have no particular reason"(特に理由はない)を"I have no specific reason"とは言わない。
『他と明確に区別できる』という意味で、識別可能性や独自性を強調する際に用いられる。学術的な議論や、ブランド戦略、芸術分野などでよく使われる。 【ニュアンスの違い】"particular"がある集団の中の個々の要素を指すのに対し、"distinct"は、その要素が他の要素とはっきり異なっていることを強調する。"distinct characteristics"(明確な特徴)のように、差異を際立たせる場合に適している。 【混同しやすい点】"particular"は『個々の』という意味合いが強いのに対し、"distinct"は『異なる種類』というニュアンスを含むことがある。"particular"は漠然とした選好にも使えるが、"distinct"は通常、明確な違いが存在する場合にのみ使用される。
『疑いの余地がない』という意味で、確実性や自信を表す際に用いられる。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】"particular"が『特定の』という限定的な意味合いであるのに対し、"certain"は『確かな』『確信している』という確実性を強調する。"I am certain that..."(私は〜だと確信している)のように、主観的な確信を表す場合によく用いられる。 【混同しやすい点】"a certain person"のように"certain"が『ある〜』という意味で使われる場合、"particular"と似たニュアンスになることがあるが、"certain"はどちらかというと匿名性やぼかしのニュアンスを含む。また、"particular"は名詞を修飾するが、"certain"はbe動詞の補語になることもある。
『個々の』『個別の』という意味で、集団の中の単一の要素を強調する際に用いられる。社会科学、心理学、法律などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"particular"がある集団の中の個々の要素を指すのに対し、"individual"は、その要素が独立した存在であることを強調する。"individual rights"(個人の権利)のように、個人の尊厳や自由を語る際によく用いられる。 【混同しやすい点】"particular"は、必ずしも独立性を意味しないが、"individual"は常に独立性を伴う。また、"particular"は好みや選好にも使えるが、"individual"は通常、客観的な文脈で使用される。
『特別な』『他とは異なる』という意味で、重要性や希少性を強調する際に用いられる。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】"particular"がある集団の中の個々の要素を指すのに対し、"special"はその要素が他の要素よりも重要、または価値があることを示唆する。 "special occasion" (特別な機会) のように、重要性や特別な意味合いを強調する際に用いられる。 【混同しやすい点】"particular"は単に「特定の」という意味だが、"special"は常に肯定的な意味合いを含む。また、"particular"は可算名詞、不可算名詞の両方を修飾できるが、"special"は通常、可算名詞を修飾する。
『単一の』『唯一の』という意味で、他にはない独自性や特異性を強調する際に用いられる。文学、芸術、科学分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"particular"がある集団の中の個々の要素を指すのに対し、"singular"はその要素が他に類を見ないほど独特であることを強調する。 "singular talent" (並外れた才能) のように、希少性や卓越性を表現する際に用いられる。 【混同しやすい点】"particular"は複数の要素の中から一つを選ぶニュアンスを含むことがあるが、"singular"は唯一無二であることを意味する。また、"singular"は文語的な表現であり、日常会話ではあまり使われない。
派生語
『特に』という意味の副詞。『particular』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。ある事柄を強調する際に用いられ、日常会話からビジネス文書、学術論文まで幅広く使用される。意味は『詳細に』から『特に』へと発展し、焦点を絞るニュアンスを持つ。
- particularity
『特殊性』や『特異性』を意味する名詞。『particular』に名詞化の接尾辞『-ity』が付いた形。抽象的な概念を表すため、学術論文や専門的な議論で用いられることが多い。個々の具体的な事柄に注目する際に、その独自性を強調するニュアンスが含まれる。
- particularize
『具体的に述べる』という意味の動詞。『particular』に動詞化の接尾辞『-ize』が付いた形。抽象的な概念を具体的に説明したり、詳細を述べたりする際に使用される。契約書や仕様書など、詳細な情報が求められる場面で特に有用。
反意語
『一般的な』や『全体的な』という意味の形容詞。『particular』が特定の事柄に焦点を当てるのに対し、『general』は全体や共通の特徴を指す。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使用され、具体的な詳細よりも大まかな傾向や原則を述べるときに用いられる。
『普遍的な』という意味の形容詞。『particular』がある特定の状況や対象に限定されるのに対し、『universal』はすべての場合や対象に当てはまることを意味する。哲学や科学の分野でよく用いられ、普遍的な真理や法則を議論する際に重要な概念となる。
『包括的な』という意味の形容詞。『particular』が個々の詳細に注目するのに対し、『comprehensive』は全体を網羅し、あらゆる側面をカバーする。調査報告書や計画書など、全体像を把握する必要がある場合に用いられる。
語源
"particular"は、ラテン語の"particula"(小さな部分)に由来します。これは"pars"(部分)という語の指小辞形で、「ほんの小さな部分」や「細部」といった意味合いを持ちます。英語の"part"(部分)と同根です。この「部分」という概念から、「全体の中の特定の一部分」を指すようになり、「特定の」「個々の」という意味が生まれました。さらに、細部に注目することから、「詳細な」という意味も派生しました。日本語で例えるなら、「全体」に対する「一部」という関係性が、特定の物事を指し示すニュアンスに繋がっていると考えると理解しやすいでしょう。例えば、全体会議の中での「特定の」議題、あるいは「詳細な」報告書といった具合です。このように、「部分」という原義から意味が拡張してきたのが"particular"という単語の成り立ちです。
暗記法
「particular」は単なる特定ではない。西洋個人主義の隆盛と結びつき、ルネサンス期以降、個人の独自性が重視されるようになった。シェイクスピアの個性豊かな登場人物は好例だ。科学においては、個々の現象への徹底的な探求が知識の進歩を支えた。現代では、顧客の「particular」なニーズに応える商品が求められる。この言葉は、西洋文明の根幹をなす価値観を反映しているのだ。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の '-ticular' と '-ticle' の区別が難しい。スペルも似ているため、聞き間違いやスペルミスが起こりやすい。『particle』は『粒子』という意味で、非常に小さな物を指す。文脈から判断する必要がある。
語尾の '-ticular' と '-tical' の発音が似ているため、聞き取りにくい。スペルも似ており、特に母音字の違いに注意が必要。『practical』は『実用的な』という意味で、抽象的な概念である『particular(特定の)』とは意味が大きく異なる。形容詞である点も異なる。
スペルが似ており、特に 'p-e-c-' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も母音の組み合わせが似ているため、注意が必要。『peculiar』は『奇妙な、独特の』という意味で、ネガティブなニュアンスを含むことが多い。語源的には、ラテン語の『peculiaris(私有の)』に由来し、『他とは違う』という意味合いを持つ。
語尾の '-tico' の部分のスペルと発音が 'particular' の '-ticu-' の部分と類似しており、特に発音において混同が生じやすい。意味は『柱廊玄関』であり、建築用語として使われる。語源的には、イタリア語を経由してラテン語の『porticus(柱廊)』に由来する。
'art-' の部分が共通しており、スペルが似ている。また、発音も母音の配置が似ているため、混同しやすい。『articulate』は『はっきりとものを言う』という意味の動詞、または『明確な』という意味の形容詞として使われる。語源的には、ラテン語の『articulare(関節で分ける)』に由来し、『明確に区切る』というイメージを持つ。
接頭辞の 'part-' が共通しており、スペルが似ているため、視覚的に混同しやすい。発音も最初の音節が似ているため、注意が必要。『participate』は『参加する』という意味の動詞。語源的には、ラテン語の『pars(部分)』と『capere(取る)』が組み合わさり、『一部を取る』、つまり『参加する』という意味合いを持つ。
誤用例
日本語の『特にこだわりはない』を直訳的に『not particular』と表現すると、ネイティブスピーカーにはやや不自然に聞こえます。英語では、好みや選り好みを表す際に『particular about』を否定形で使うことは可能ですが、より自然な表現は『have particular preferences』を否定する形です。これは、英語では好みや選択に関する意思表示を、より直接的に表現する傾向があるためです。また、日本語の『こだわり』には、単なる好みを超えた強い思い入れや信念が含まれることがありますが、英語の『particular』はそこまで強い意味合いを持ちません。そのため、文脈によっては『fussy』や『picky』といった語がより適切かもしれません。
『particular』は『特定の』という意味を持ちますが、理由を説明する文脈では『specific』を使う方がより適切です。日本語の『特定の理由』を直訳すると『particular reason』となりがちですが、英語では理由や詳細を明確にする場合には『specific』が好まれます。『particular』は、より広範なカテゴリーやグループの中から一つを選ぶニュアンスがあり、理由を述べる場合には少し曖昧に聞こえる可能性があります。英語では、情報を伝える際に具体性と正確さを重視する傾向があるため、『specific』のような直接的な表現が好まれます。
『particular』は『細かい』『几帳面な』という意味でも使えますが、人柄を表す場合には、しばしばネガティブなニュアンス(神経質、気難しいなど)を含みます。日本語の『彼はとても几帳面な人だ』をそのまま『particular』で表現すると、意図せず相手に不快感を与えてしまう可能性があります。よりポジティブな意味合いで几帳面さを表現したい場合は、『meticulous』や『diligent』といった語を使うのが適切です。英語では、人柄を評価する際に、言葉の選択によって相手への印象が大きく変わるため、注意が必要です。
文化的背景
「particular」は、単に「特定」を意味するだけでなく、個々の事物や状況が持つ独自性や重要性を強調する言葉です。それは、全体の一部でありながら、全体を代表しうる、あるいは全体に影響を与えうる特別な存在を指し示す、一種の選ばれたるものへの眼差しを含んでいます。
この言葉が持つニュアンスは、西洋における個人主義の隆盛と深く結びついています。中世社会では、個人のアイデンティティは、ギルドや教会、領主といった共同体への帰属によって規定されることが多く、個々の差異よりも共通性が重視されました。しかし、ルネサンス期以降、芸術や科学の分野で才能を開花させる個人が現れ、彼らの個性や業績が社会の進歩に不可欠であることが認識されるにつれて、「particular」な存在、つまり、他とは異なる独自の価値を持つ個人や事物への注目が高まりました。シェイクスピアの劇に登場する個性豊かなキャラクターたちは、まさにこの「particular」な存在の好例と言えるでしょう。彼らは、普遍的な人間の感情や葛藤を体現しながらも、それぞれが独自の背景、動機、運命を持っており、観客に強烈な印象を与えます。
さらに、「particular」は、近代科学の発展とも密接に関わっています。ニュートン力学のような普遍的な法則が発見される一方で、科学者たちは、個々の現象を詳細に観察し、その背後にあるメカニズムを解明しようと努めました。この「particular」な事例への徹底的な探求こそが、科学的知識の進歩を支える原動力となったのです。現代社会においても、「particular」なニーズに応える製品やサービスが重視される傾向にあります。大量生産・大量消費の時代から、顧客一人ひとりの要望に合わせたカスタマイズされた商品が求められるようになり、「particular」なニーズを的確に捉えることが、ビジネスの成功に不可欠な要素となっています。
このように、「particular」は、単なる「特定」という訳語では捉えきれない、文化的、歴史的な重みを持った言葉です。それは、個人主義、科学的探求、そして現代のカスタマイズされた消費文化といった、西洋文明の根幹をなす価値観を反映していると言えるでしょう。「particular」という言葉を使うとき、私たちは、単に何かを特定しているだけでなく、その対象が持つ独自性や重要性、そしてそれが全体に及ぼす影響を意識しているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。級が上がるほど出現頻度も高まる。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで出題されるが、やや硬めの文章で使われる傾向がある。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「特定の」「特別な」という意味の使い分け、関連語(particularly)との区別を意識。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)。
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的頻出。Part 5でも稀に出題される。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの契約、報告書、メールなどで使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞としての用法がメイン。「詳細」という意味合いで使われることが多い。
- 出題形式: リーディングセクションが中心。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会学など、学術的な内容の文章でよく見られる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞、形容詞両方の用法を理解する必要がある。文脈から意味を推測する練習を。
- 出題形式: 長文読解、和訳問題、空所補充問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準〜難易度の文章で登場。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで出題される。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈に応じた適切な訳語を選ぶ必要がある。「particular about」のような熟語も覚えておく。