redeem
最初の 'ri' は、日本語の『リ』よりも舌を少し後ろに引いて発音する短い曖昧母音 /ɪ/ です。二重母音のように聞こえないように注意。強勢は2番目の音節 'diːm' にあります。最後の 'm' は口を閉じて発音し、鼻に響かせるように意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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買い戻す
権利や債務などを、代価を支払って取り戻すこと。担保に入れていたものを買い戻す、ポイントを商品に交換する、といった場面で使われます。元の状態に戻すニュアンスがあります。
She finally had enough money to redeem her grandmother's ring from the pawn shop.
彼女はついに、質屋からおばあちゃんの指輪を買い戻すためのお金が十分にできた。
※ お金が必要で一時的に質屋(pawn shop)に預けていた大切な指輪を、再び自分のものにする(買い戻す)という、この単語の最も典型的な使い方です。指輪を取り戻せてホッとしている情景が目に浮かびますね。
He worked extra hours to earn money and redeem his family's land from debt.
彼は、借金から家族の土地を買い戻すため、残業して稼いだ。
※ 借金のために失いそうになった、あるいは抵当に入れた土地を、お金を払って「取り戻す」という状況です。家族の財産を守るために一生懸命働く、切迫感と達成感が伝わるシーンです。
She returned to the antique shop, hoping to redeem the old clock she had sold years ago.
彼女は、何年も前に売ってしまったあの古い時計を買い戻したいと願い、骨董品店に戻った。
※ 一度手放してしまった大切なものを、後になって「もう一度自分のものにする」ために買い戻す、という気持ちが伝わる例文です。後悔や愛情が背景にある、人間味あふれるシーンを描いています。
名誉を回復する
失われた名声や信用を取り戻すこと。過ちを償ったり、汚名を返上したりする文脈で使われます。良い評判を取り戻すニュアンス。
He made a terrible error in the game, but he redeemed himself with a brilliant assist.
彼は試合でひどいミスを犯しましたが、見事なアシストで名誉を挽回しました。
※ この例文は、スポーツの試合で選手がミスをした後、次のプレーで活躍して汚名を返上する場面を描いています。「redeem oneself」は、「自分の名誉を回復する」という意味で、特に自分の過ちや失敗を挽回する際に非常によく使われる典型的な表現です。ミスをして落ち込んでいる選手が、意地を見せてチームに貢献する、そんな情景が目に浮かびますね。
She made a big error in her last project, but she redeemed her name with a successful new one.
彼女は前回のプロジェクトで大きなミスをしましたが、新しいプロジェクトを成功させて汚名を返上しました。
※ これは、仕事で失敗した人が、次の成功によって失った評価や信頼を取り戻す場面です。「redeem one's name」は、「自分の評判や名誉を回復する」という意味で、ビジネスや社会的な場面で失墜した信頼を取り戻す際によく使われます。前回の失敗で自信を失っていた彼女が、今回は胸を張って成果を発表している、そんな様子を想像してみてください。
He broke his promise to his friend, but he tried hard to redeem himself with honest actions.
彼は友だちとの約束を破ってしまいましたが、誠実な行動で名誉を挽回しようと懸命に努めました。
※ この例文は、人間関係において約束を破ってしまった人が、その後の誠実な行動で相手の信頼を取り戻そうと努力する様子を描いています。個人的な関係での信頼回復の文脈でも、「redeem oneself」は自然に使われます。約束を破って落ち込む彼が、友人のために尽くし、徐々に信頼を取り戻していく、そんなストーリーが見えてきますね。
(義務などを)果たす
約束や誓い、義務などを実行すること。責任を果たす、約束を守る、といった意味合いで使われます。必ずやり遂げるというニュアンスを含みます。
After months of waiting, she finally redeemed her promise to teach me how to bake.
何ヶ月も待った後、彼女はようやく私にパンの焼き方を教えるという約束を果たしてくれました。
※ この例文では、誰かとの約束を「きちんと実行する」という場面を描いています。長く待たせた約束を果たすことで、相手も自分もホッと安心するような情景が目に浮かびます。「redeem a promise」は英語で非常によく使われる表現で、「約束を果たす」という義務を全うする典型的な使い方です。
The captain knew he had to redeem his team's trust after their last loss.
キャプテンは、前回の敗北の後、チームの信頼を取り戻さなければならないと分かっていました。
※ この例文は、失敗や不名誉な状況の後に「期待に応える」「信頼を回復する」という義務を果たす様子を表しています。キャプテンがチームからの期待や、敗北によって失われた信頼を感じ、その責任を果たすために奮起する場面が想像できます。「redeem trust」や「redeem oneself」は、失った名誉や信頼を取り戻す際に使われることが多いです。
After failing the first test, he studied day and night to redeem himself on the final.
最初のテストに落ちた後、彼は期末試験で挽回するために昼も夜も勉強しました。
※ ここでは、以前の失敗から「挽回する」「汚名を返上する」という義務を果たす場面が描かれています。一度は失敗してしまったけれど、猛勉強して次の機会に良い結果を出すことで、自分の評価や自信を取り戻す、というストーリーです。スポーツの試合などで「前回の不甲斐ない結果を挽回する」といった状況でもよく使われます。
コロケーション
引換券やクーポン、チケットなどを利用する、または現金やサービスと交換する
※ これは、redeemの最も直接的な意味合いの一つで、商業的な文脈で非常によく使われます。単に「使う」と言うよりも、そのvoucher等が持つ価値を最大限に引き出すニュアンスが含まれます。例えば、割引クーポンをredeemすることは、その割引を享受することを意味し、単に提示するだけでなく、その割引が適用された状態を指します。ビジネスシーンや日常会話で頻繁に使われます。
(失敗や過ちの後に)名誉や信用を回復する、挽回する
※ これは比喩的な表現で、文字通り何かを買い戻すわけではありません。過去の失敗や過ちによって失われた信頼や評価を、良い行いや成果によって取り戻すことを意味します。スポーツ選手が不調から脱して活躍したり、ビジネスで失敗した人が新しいプロジェクトで成功を収めたりする状況などで使われます。自己啓発的な文脈でも用いられ、『過去の自分を乗り越える』といった意味合いも持ちます。
誓約や約束を果たす
※ pledgeやpromise(誓約、約束)といった言葉と結びつくと、単に約束を守るだけでなく、その約束が持つ重みや重要性を強調するニュアンスが加わります。政治家が選挙公約をredeemするといった場合、単に実行するだけでなく、有権者との信頼関係を再構築する意味合いが含まれます。フォーマルな場面や、強い責任感が求められる状況で使われることが多いです。
時を贖う、時間を有効活用する
※ これはやや古風な、または宗教的な響きを持つ表現です。聖書(エペソ人への手紙5章16節、コロサイ人への手紙4章5節)に由来し、過ぎ去った時間を後悔するのではなく、今この瞬間を最大限に活用することの重要性を説いています。現代では、ビジネス書や自己啓発書などで、時間の価値を再認識し、無駄な時間を減らすように促す文脈で使われることがあります。日常会話よりも、やや硬い文章や講演などで見かけることが多いでしょう。
償還可能な債券
※ 金融用語としてのredeemableは、「償還可能」という意味を持ちます。redeemable bonds(償還可能な債券)は、発行体(企業や政府など)が満期前に買い戻すことができる債券のことです。投資家にとっては、一定の条件下で早期に現金化できるメリットがあります。金融業界の専門家や投資家が使う専門用語であり、一般の日常会話ではほとんど使われません。
罪や悪から救い出す
※ 宗教的な文脈で使われる表現で、特にキリスト教において、イエス・キリストが人々の罪を贖い、救済することを指します。この場合のredeemは、「買い戻す」という意味合いに加え、「解放する」「救う」といった意味合いが強くなります。日常会話で使うことはほとんどありませんが、宗教的な議論や文学作品などで見かけることがあります。
質に入れた物を取り戻す
※ 質屋に預けた品物を、お金を払って取り戻す行為を指します。これは、redeemの「買い戻す」という文字通りの意味合いに近いですが、単に物を買うのとは異なり、一時的に手放したものを再び自分のものにするというニュアンスがあります。経済的な苦境を脱した後に、大切な品物を取り戻すといった文脈で使われることがあります。一般的な日常会話でも使われますが、質屋の利用頻度によって使用頻度は異なります。
使用シーン
学術論文や研究発表において、データや理論の検証、あるいは過去の過ちを正当化する文脈で使用されます。例えば、経済学の論文で「過去の政策の失敗をredeemするために、新たな政策を提言する」といった形で使われます。また、哲学の分野では、思想や概念の再評価において「redeem」が用いられることがあります。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの失敗からの回復や、顧客からの信頼回復といった文脈で使われます。例えば、プレゼンテーションで「顧客からの信頼をredeemするために、今回の不祥事の原因究明と再発防止策を徹底する」と述べる場合や、マーケティング戦略において「過去のネガティブなイメージをredeemするために、ブランドイメージを一新する」といった形で使用されます。
日常会話ではあまり使われませんが、ポイントを商品と交換する、クーポンを利用するといった意味で使われることがあります。例えば、クレジットカードのポイントプログラムで「ポイントをredeemして商品券と交換する」という表現や、ゲームアプリ内で「ゲーム内アイテムをredeemする」という形で使われることがあります。また、比喩的に「失敗から立ち直る」という意味で使われることもあります。
関連語
類義語
『取り戻す』『回復する』という意味。失ったもの、健康、地位などを取り戻す際に使われる。ビジネス、医療、日常会話など幅広い場面で使用。 【ニュアンスの違い】『redeem』は抽象的な価値や義務の回復に使われることが多いのに対し、『recover』は物理的なものや具体的な状態の回復に使われることが多い。また、『recover』は自然な回復や努力による回復を含むが、『redeem』は償いや代償を伴うニュアンスがある。 【混同しやすい点】『recover』は自動詞としても他動詞としても使えるが、『redeem』は基本的に他動詞。また、『redeem』は道徳的な意味合いを含む場合があるが、『recover』は中立的。
『権利を取り戻す』『奪われたものを取り返す』という意味。所有権、土地、名誉などを取り戻す際に使われる。法律、政治、歴史などの文脈でよく見られる。 【ニュアンスの違い】『redeem』が義務や約束の履行によって価値を取り戻すニュアンスがあるのに対し、『reclaim』は正当な権利の回復を強調する。また、『reclaim』は以前に所有していたものを再び手に入れるという意味合いが強い。 【混同しやすい点】『reclaim』は他動詞であり、取り戻す対象が明確である必要がある。『redeem』は必ずしも具体的な対象を必要としない場合がある(例:reputationをredeemする)。
『取り出す』『検索する』という意味。情報、データ、物などを取り出す際に使われる。IT、図書館、軍事などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『redeem』が価値の回復や償いを意味するのに対し、『retrieve』は単に失われたものや隠されたものを取り出すというニュアンスが強い。また、『retrieve』は物理的な行動を伴うことが多い。 【混同しやすい点】『retrieve』は他動詞であり、取り出す対象が明確である必要がある。情報検索の文脈でよく使われるため、『redeem』との意味のズレに注意。
『再び得る』という意味。失ったもの、能力、自信などを再び得る際に使われる。スポーツ、ビジネス、政治など幅広い場面で使用。 【ニュアンスの違い】『redeem』が失われた価値や名誉を回復させるという意味合いが強いのに対し、『regain』は単に以前の状態に戻る、または以前持っていたものを再び得るという意味合いが強い。『regain』は必ずしも努力や代償を伴わない。 【混同しやすい点】『regain』は他動詞であり、取り戻す対象が明確である必要がある。『redeem』は抽象的な概念(例:reputation)に対しても使えるが、『regain』はより具体的な対象に使われることが多い。
- atone
『償う』『罪滅ぼしをする』という意味。罪、過ち、不正などを償う際に使われる。宗教、倫理、道徳などの文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『redeem』は広い意味での回復や償いを意味するのに対し、『atone』は特に罪や過ちに対する償いを強調する。また、『atone』はより深刻な状況や道徳的な責任を伴う場合に使われる。 【混同しやすい点】『atone』は自動詞として使われることが多い(例:atone for sins)。『redeem』は他動詞として使われ、償う対象を伴う(例:redeem oneself)。
『相殺する』『埋め合わせる』という意味。損失、費用、影響などを相殺する際に使われる。ビジネス、経済、環境などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『redeem』が全体的な価値の回復を意味するのに対し、『offset』は特定の要素を打ち消す、またはバランスを取るという意味合いが強い。『offset』はしばしば数値的なバランスを意味する。 【混同しやすい点】『offset』は他動詞であり、相殺する対象と相殺される対象が明確である必要がある。『redeem』は必ずしも具体的な対象を必要としない場合がある。また、ビジネスシーンで頻繁に使われる。
派生語
名詞で「買い戻し」「償還」「救済」を意味します。動詞redeemから派生し、抽象的な概念を表す接尾辞「-tion」が付加されています。金融(債券の償還)、宗教(罪からの救済)、マーケティング(ポイントの利用)など、幅広い分野で使用されます。redeemの行為や状態そのものを指すことが多いです。
- redeemer
「買い戻す人」「救済者」を意味する名詞です。動詞redeemに「〜する人」という意味の接尾辞「-er」が付加された形です。キリスト教におけるイエス・キリストを指す用法が代表的ですが、比喩的に困難な状況から救い出す人を指すこともあります。やや格式ばった表現です。
- irredeemable
「買い戻し不能な」「救いようのない」という意味の形容詞です。接頭辞「ir-」(否定を表す)がredeemable(買い戻し可能な、救済可能な)に付いた形です。倫理的な文脈で「どうしようもない」「救いようがない」といった意味合いで使われることが多いです。例えば、「irredeemable damage(取り返しのつかない損害)」のように使われます。
反意語
「失う」という意味で、redeemが「取り戻す」「回復する」という意味合いを持つ場合に反対語となります。例えば、redeem a reputation(名声を取り戻す)に対して、lose a reputation(名声を失う)のように使われます。抽象的な概念だけでなく、物理的なものを失う場合にも使われる汎用性の高い語です。
「(権利などを)失う」「没収される」という意味です。redeemが「権利を回復する」という意味合いを持つ場合に、その反対語となります。契約違反などによって権利や財産を失う状況で使われることが多いです。例えば、forfeit a deposit(保証金を没収される)のように使われます。ややフォーマルな場面で使用されます。
「非難する」「有罪判決を下す」という意味で、redeemが「(名誉などを)回復する」という意味合いを持つ場合に反対語となりえます。redeem oneself(汚名返上する)に対して、be condemned(非難される、有罪判決を受ける)のように使われます。道徳的、倫理的な文脈で使われることが多いです。
語源
"redeem"は、ラテン語の"redimere"に由来します。これは"re-"(再び、戻って)と"emere"(買う、手に入れる)という二つの要素から構成されています。文字通りには「買い戻す」という意味合いです。古代ローマでは、捕虜や奴隷を身代金を払って解放することを指していました。この「買い戻す」という概念から、罪や過ちを償って名誉を回復するという意味に発展しました。例えば、失敗を取り返して信用を「買い戻す」イメージです。また、義務や約束を果たすという意味にもつながり、債務を「買い戻す」、つまり完済するというニュアンスで使用されます。日本語で例えるなら、「挽回する」という言葉が近いかもしれません。失ったものを取り戻し、元の状態に戻す、あるいはそれ以上の状態を目指すというニュアンスが含まれています。
暗記法
「redeem」は単なる買い戻しに非ず。失われた名誉や価値、魂を回復させる、希望と救済の物語を秘めた言葉。キリストの贖罪、捕虜の解放、文学作品での道徳的再生…西洋文化では、罪からの解放や自己の価値を再評価する意味合いを深く帯びる。企業イメージの回復やポイント交換にも、単なる経済行為を超えた、信頼回復や努力が報われる肯定的な意味が込められている。西洋倫理観を映す、奥深い言葉なのだ。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の子音を意識しないと聞き間違えやすい。意味は『(~と)見なす』であり、redeemが『買い戻す、償う』という意味であるのとは異なる。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。redeemはre-(再び)+ deem(思う)という語源から、『再び良い状態だと思う』という意味合いを持つことを覚えておくと区別しやすい。
語尾の発音が似ており、特にカタカナ英語に慣れていると混同しやすい。redeemは動詞だが、regimeは『政権、体制』という名詞である。スペルも異なるため、注意が必要。フランス語起源の単語であることも覚えておくと、発音の区別に役立つ。
意味が一部redeemと重なる(お金を取り戻す)場合があるため、混同しやすい。refundは『払い戻し』という意味で、主に金銭的な文脈で使用される。redeemは、金銭的な意味だけでなく、名誉や評判を回復するという意味も持つ点が異なる。prefix(接頭辞)のre-(再び)とfund(資金)から成るrefundと、re-(再び)とdeem(評価する)から成るredeemという語源の違いを意識すると、意味の区別がしやすい。
redeemの最初の2文字が同じで、re-という接頭辞が共通しているため、混同しやすい。redoは『やり直す』という意味で、動詞として使われる。redeemは『買い戻す、償う』という意味で、より広い意味を持つ。re-という接頭辞が『再び』という意味を持つことを意識すると、それぞれの単語のニュアンスを理解しやすい。
語頭の音が似ているため、聞き間違えやすい。revengeは『復讐』という意味で、名詞または動詞として使われる。redeemとは意味が全く異なるため、文脈で判断する必要がある。語源的には、revengeは古フランス語のrevenger(復讐する)に由来し、redeemはラテン語のredimere(買い戻す)に由来する。
スペルの一部(特に中央のdamの部分)が視覚的に似ているため、急いで読んでいるときなどに混同しやすい。randomは『無作為の、手当たり次第の』という意味で、形容詞として使われる。redeemとは意味が全く異なるため、注意が必要。randomは古フランス語のrandon(勢い、速度)に由来し、redeemはラテン語のredimere(買い戻す)に由来する。
誤用例
日本語の『取り戻す』という言葉に引きずられ、無意識に『redeem』を使ってしまう例です。確かに『redeem』は『買い戻す』という意味合いを持ちますが、時間や機会などの抽象的な概念に対して使うと、やや大げさで宗教的なニュアンスが強くなります。より自然な英語としては、『make up for』や『catch up on』を使う方が適切です。背景として、日本人は『時間を大切にする』という価値観を強く持っているため、『取り戻す』という表現に強く惹かれがちですが、英語では時間や機会は『浪費した分を埋め合わせる』という考え方が一般的です。
この誤用は、日本語の『名誉挽回』や『罪滅ぼし』といった言葉を、安易に『redeem』に置き換えてしまうことから生じます。『redeem』は、元々『身請けする』という意味合いが強く、そこから『(義務などを)果たす』という意味に派生しました。しかし、道徳的な過ちや失敗を償うという意味合いでは、『atone for』や『make amends for』がより適切です。背景として、日本人は『過ちを償う』という行為に、損害を埋め合わせるだけでなく、精神的な浄化や社会的な許しを得ることを期待しますが、英語ではより直接的に『償い』や『埋め合わせ』を意味する表現が好まれます。また、『redeem』は、キリスト教的な文脈で『救済する』という意味合いも持つため、政治家の行動を説明する際には、意図しない宗教的なニュアンスを与えてしまう可能性があります。
この誤用は、クーポン券を『redeem(換金する)』という行為を、単に『使う』という意味で捉えてしまうことから生じます。『redeem』は、クーポン券やポイントなどを現金や商品と交換する際に用いるのが一般的です。単にクーポン券を提示して割引を受けるだけであれば、『use』がより自然な表現です。背景として、日本人は『クーポンを使う』という行為に、単なる割引以上の価値、つまり『お得感』や『賢く利用する』といった意味合いを込める傾向がありますが、英語ではクーポンはあくまで『割引券』であり、それ以上でもそれ以下でもありません。そのため、『use』というシンプルな表現で十分意図が伝わります。
文化的背景
「redeem」という言葉は、単に「買い戻す」という意味を超え、失われた名誉、価値、あるいは魂を回復させるという、深い精神性と倫理観を伴う概念を表します。それはまるで、暗闇に閉ざされた魂を光の中へ導き出すかのような、希望と救済の物語を想起させる言葉なのです。
「redeem」の文化的背景を考える上で、キリスト教における贖罪(しょくざい)の概念は避けて通れません。イエス・キリストが人類の罪を贖うために十字架にかけられたという物語は、「redeem」が持つ「罪からの解放」「救済」といった意味合いを強く印象づけています。中世のヨーロッパにおいては、捕虜の身代金を支払って解放することを「redeem」と表現し、文字通り「買い戻す」という意味合いで使用されましたが、同時に、自由を奪われた状態からの解放、そして新たな人生の始まりを象徴する言葉としても捉えられていました。文学作品においても、「redeem」はしばしば主人公の道徳的な再生や、過去の過ちを償う行為と結び付けられます。例えば、ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』において、ジャン・バルジャンが司教の慈悲によって人生をredeemする(贖う)場面は、その代表的な例と言えるでしょう。
現代社会においても、「redeem」は単なる経済的な行為に留まらず、深い意味合いを持ち続けています。例えば、企業が環境保護活動に積極的に取り組むことを「redeem their image(イメージを回復する)」と表現したり、政治家が過去の失言をredeemするために政策を転換したりするケースが見られます。これは、企業や政治家が社会的な信頼を「買い戻す」という行為を通じて、自らの価値を再評価し、社会からの評価を回復しようとする試みであると言えるでしょう。また、ポイントプログラムなどで「ポイントをredeemする」という表現は、蓄積された価値を具体的な商品やサービスと交換することで、その価値を最大限に引き出すという行為を意味しています。この場合、「redeem」は単なる交換行為を超え、努力や貢献が報われるという肯定的な感情と結びついています。
このように、「redeem」は時代や文化を超えて、人間の希望、救済、そして自己再生への願望を象徴する言葉として、深く根付いています。それは単なる「買い戻し」ではなく、失われた何かを取り戻し、より良い未来を創造しようとする、人間の普遍的な営みを表現する言葉なのです。この言葉を理解することは、英語の語彙を増やすだけでなく、西洋文化における倫理観や価値観を深く理解することにも繋がるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 多様な文脈で登場。償う、回復する、引き換えるなど
- 学習者への注意点・アドバイス: 多義語なので文脈に応じた意味を把握する必要がある。過去問で様々な用法を確認。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め), Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 7でやや頻出。ビジネス関連の文脈が多い
- 文脈・例題の特徴: ポイントやクーポンと交換する、損失を埋め合わせるなど
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでよく使われる意味(引き換える、償還する)を優先的に覚える。
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: アカデミックな長文で時々見られる
- 文脈・例題の特徴: 抽象的な概念や倫理的な議論の中で用いられることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な文脈での「redeem」の意味(名誉回復、挽回など)を理解しておく必要がある。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 社会問題や歴史的な出来事に関する文章で登場することがある
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。類義語(compensate, recover)との違いも意識する。