victory
第1音節 /ˈvɪk/ に強勢があります。母音 /ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し横に開いて短く発音します。最後の /ri/ は、口を軽く開け曖昧母音になるように意識するとより自然です。日本語の『リ』のように舌を強くはじかないようにしましょう。
勝利
競争、戦争、選挙など、困難を乗り越えて目標を達成した状態。単なる成功ではなく、対立や障害を伴う状況で用いられる。
The fans cheered loudly for their team's victory in the final game.
ファンたちは、最終試合でのチームの勝利に大声で歓声をあげました。
※ この例文は、スポーツの試合での「勝利」という、最も身近で感情が伝わりやすい場面を描いています。大勢のファンが、応援するチームが勝った瞬間の興奮と喜びを分かち合っている様子が目に浮かぶでしょう。「cheer for 〜」は「〜を応援する」という意味です。スポーツの文脈で「victory」は非常によく使われます。
Finishing the difficult project was a huge victory for our small team.
その難しいプロジェクトを終えることは、私たち小さなチームにとって大きな勝利でした。
※ ここでは、「victory」が単なる試合の勝利ではなく、困難な目標を達成した時の「達成感」や「成功」を意味しています。小さなチームが協力して大きな課題を乗り越え、ついに目標を達成した時の喜びが伝わりますね。「Finishing the difficult project」という動名詞句が文の主語になっています。「huge victory for 〜」は「〜にとっての大きな勝利」と、誰にとって重要だったかを強調する際によく使われます。
The scientists announced a major victory in the fight against the disease.
科学者たちは、その病気との戦いにおける大きな勝利を発表しました。
※ この例文は、「victory」が、病気や社会問題といった大きな課題に対する「画期的な成功」や「進展」を表す場面です。研究者たちが、人類にとって大きな前進となる成果を発表している、希望に満ちた雰囲気が感じられます。「announce a victory」で「勝利を発表する」という意味。「in the fight against 〜」は「〜との戦いにおいて」という、ニュースなどでもよく使われる典型的な表現です。
戦勝
特に軍事的な戦いにおける勝利。外交交渉やスポーツなど、戦争以外の文脈ではあまり使われない。
Our team celebrated their great victory with all the cheering fans.
私たちのチームは、応援するすべてのファンとともに、素晴らしい勝利を祝いました。
※ サッカーの試合などで、チームが勝ち、スタジアムが歓声に包まれるような場面です。「victory」はスポーツの試合や競技会での「勝利」によく使われます。特に「celebrate victory」で「勝利を祝う」はとても自然な表現です。
She finally achieved a personal victory over her long illness.
彼女はついに、長い病気との個人的な戦いに打ち勝ちました。
※ 長い間病気と闘っていた人が、ついに病気を克服して健康を取り戻した場面です。ここでの「victory」は、単なる勝ち負けではなく、困難な状況を乗り越えた「達成」や「克服」を意味します。「achieve victory」で「勝利を達成する」、「victory over 〜」で「〜に対する勝利」という形もよく使われます。
After many years, the country finally found peace after a great victory.
何年も経って、その国は大きな勝利の後、ついに平和を見つけました。
※ 長い戦争が終わり、国が大きな勝利を収めて、ようやく平和な日々が訪れた歴史的な場面です。「victory」は、戦争や大きな衝突での「戦勝」という意味でも使われます。ここでは「after a great victory」(大きな勝利の後で)のように、出来事の結果として勝利が語られています。
克服
困難や障害、病気などを乗り越えて良い状態になること。個人的な試練や課題を乗り越えた場合に適している。
After months of hard work, walking again was a great victory for him.
何ヶ月もの努力の末、再び歩けるようになったことは、彼にとって大きな克服でした。
※ この例文は、長いリハビリを経て、ついに自分の足で歩けるようになった人の姿を想像させてくれます。痛みや諦めそうになった日々を乗り越え、「やった!」という達成感に満ちた瞬間です。 「victory」は、単なる競争に勝つだけでなく、困難な状況や病気、障害などを「克服」したことに対しても使われます。特に、個人的な挑戦や努力の結果として得られる「達成」を表現するのにぴったりです。 文法的に「walking again」のように動名詞を主語にすると、「〜すること」という行動全体を指すことができます。
Giving the presentation was a personal victory for her, as she was very shy.
彼女はとても内気だったので、プレゼンテーションをやり遂げたことは個人的な克服でした。
※ 人前で話すのが苦手だった人が、震える声でも一生懸命にプレゼンを終え、ほっと胸をなでおろしている場面を思い浮かべてください。大きな拍手を受け、自信に満ちた表情をしています。 「personal victory」は、他人との競争に勝つのではなく、自分自身の弱点や苦手なことを乗り越えた「個人的な達成」を意味します。内向的な人が人前で話す、高所恐怖症の人が高い場所に行くなど、精神的な壁を乗り越える際によく使われる表現です。 「as she was very shy」は理由を説明する「as節」です。「〜なので」「〜だから」という意味で、文に深みを与えます。
For the team, finishing the difficult project on time was a big victory.
チームにとって、その難しいプロジェクトを期日までに終えることは大きな克服でした。
※ この例文は、締め切りが迫り、多くの課題に直面しながらも、チーム全員が協力して夜遅くまで働き、ついにプロジェクトを完成させた瞬間の安堵と達成感を想像させてくれます。みんなでハイタッチを交わしているかもしれませんね。 「victory」は、個人の克服だけでなく、チームや組織が直面する困難な課題を乗り越えた達成にも使われます。「期限内に」「予算内で」「多くの問題を解決して」など、具体的な課題を克服した状況で適切です。 「For the team」のように、「For + 人/組織」で「〜にとって」という対象を示すことができます。
コロケーション
割に合わない勝利、代償が大きすぎる勝利
※ 古代ギリシャのピュロス王の戦いに由来する表現で、勝利はしたものの、自軍の損害が甚大で、とても勝利とは言えないような状況を指します。ビジネスシーンや政治的な文脈で、表面的な成功の裏にある大きな損失を指摘する際に用いられます。例えば、値下げ競争で一時的にシェアを拡大しても、利益が大幅に減少し、結果的に経営を圧迫するようなケースが該当します。文化的背景を知ることで、単なる『勝利』以上のニュアンスを理解できます。
むなしい勝利、内容を伴わない勝利
※ 表面上は勝利に見えるものの、喜びや達成感が伴わない、空虚な勝利を意味します。例えば、相手のミスによって偶然得られた勝利や、不正な手段を使って得た勝利などが該当します。『hollow』は『空洞の』という意味で、勝利の中身が空っぽであることを示唆しています。スポーツや競争の文脈で、正々堂々とした戦いの結果ではない勝利に対して用いられることが多いです。
勝利を宣言する、勝利を主張する
※ 選挙や競争などにおいて、結果が確定する前に、自分が勝利したと発表することを指します。政治的な文脈でよく使われ、自信を示すため、あるいは相手を牽制するために行われます。ただし、誤った情報を流布するリスクもあるため、慎重な判断が求められます。類似表現に『declare victory』がありますが、ニュアンスはほぼ同じです。
敗北寸前から勝利を奪い取る、土壇場で逆転勝利する
※ 絶望的な状況から奇跡的に勝利を収めることを意味する、非常にドラマチックな表現です。『jaws of defeat』は『敗北の顎』、つまり敗北がすぐそこまで迫っている状態を指します。スポーツ中継やニュース記事などで、劇的な逆転劇を伝える際によく用いられます。比喩的な表現であり、文字通りに『敗北の顎』があるわけではありません。
勝利は確実だ、勝利は間違いない
※ 勝利がほぼ確定している状況を表すフレーズです。政治演説やスポーツの試合前など、自信を示すために使われます。『assured』は『保証された』という意味で、勝利が確実であることを強調します。ただし、過信は禁物であり、最後まで油断しないことが重要です。
勝利と成功、大勝利
※ triumphとvictoryはどちらも勝利を意味しますが、triumphはより大規模で華々しい勝利、成功を表します。この表現は、個々の勝利というよりも、一連の戦いや努力の末に得られた総合的な成功を強調する場合に使われます。文学作品や歴史的な出来事を語る際など、やや格式ばった文脈で用いられることが多いです。
苦労して得た勝利、辛勝
※ 多くの困難や努力を乗り越えて、ようやく手に入れた勝利を意味します。『hard-won』は『苦労して得られた』という意味で、勝利の背後にある苦労や努力を強調します。スポーツやビジネスなど、競争の激しい分野で、勝利の価値をより高めるために用いられます。反対に、容易に得られた勝利は『easy victory』と表現されます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、特定の理論や仮説が支持されたり、実験結果が肯定的な結果を示したりした場合に使われます。例:『The data provides a clear victory for the proposed model.(データは、提案されたモデルに明確な勝利をもたらしている)』のように、成果や優位性を強調する際に用いられます。
ビジネスシーンでは、競争優位性や目標達成、市場シェアの拡大などを表現する際に用いられます。例えば、プレゼンテーションで『This product launch represents a major victory for our company.(この製品の発売は、当社にとって大きな勝利を意味します)』と、成功をアピールする際に使われます。また、プロジェクトの完了報告で、困難を『克服』した意味合いで使うこともあります。
日常会話では、スポーツの試合やゲームでの勝利、個人的な目標達成などを表現する際に使われることがあります。ただし、やや大げさなニュアンスを含むため、よりカジュアルな『win』や『success』が好まれる傾向があります。例:『It was a hard-fought victory for our team.(それは我々のチームにとって苦労して勝ち取った勝利だった)』のように、ニュースやスポーツ報道で聞くことが多いでしょう。
関連語
類義語
勝利、成功、偉業。勝利の中でも特に困難を乗り越えて得た、華々しい成功や勝利を指す。文学作品や歴史的な記述でよく用いられる、やや格式ばった言葉。 【ニュアンスの違い】単なる「勝利」よりも、努力や苦難の末に得られた勝利、あるいは圧倒的な勝利というニュアンスが強い。勝利の規模や重要性が強調される。感情的な高揚や誇りを含むことが多い。 【混同しやすい点】日常会話での使用頻度はvictoryよりも低い。triumphは名詞として使われることが多いが、動詞としても使用可能。動詞の場合、「勝利する」「打ち勝つ」という意味になる。
勝利、獲得。最も一般的で日常的な「勝利」を表す言葉。スポーツ、ゲーム、選挙、競争など、幅広い状況で使用される。 【ニュアンスの違い】victoryよりも口語的で、フォーマルな場面には不向きな場合もある。単に「勝つ」という事実を伝えるニュアンスが強く、感情的な要素は少ない。 【混同しやすい点】winは動詞としても名詞としても使われる。名詞として使う場合、単数形・複数形に注意(a win, wins)。動詞として使う場合は、目的語が必要な他動詞(例:win a game)と、目的語を必要としない自動詞(例:Our team won)の両方の用法がある。
成功、達成。目標を達成すること、または望ましい結果を得ることを指す。ビジネス、学業、個人的な目標など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】victoryが特定の競争や戦いにおける勝利を指すのに対し、successはより広い意味での成功を指す。必ずしも競争を伴うとは限らない。長期的な努力や計画の結果としての成功を表すことが多い。 【混同しやすい点】successは不可算名詞であり、「a success」とは通常言わない(「a successful person/thing」のように形容詞を伴う場合は別)。また、victoryが「勝利」という具体的な結果を指すのに対し、successは「成功」という状態やプロセスを指す。
征服、克服。武力や策略によって領土や権力を獲得すること、または困難や障害を克服することを指す。歴史的な文脈や、困難な目標達成について語る際に用いられる。 【ニュアンスの違い】victoryよりも、より積極的で支配的なニュアンスを持つ。武力による征服や、強い意志による克服といった意味合いが強い。対象は領土、敵、困難など、広範囲に及ぶ。 【混同しやすい点】conquestは、しばしば否定的な意味合いを伴うことがある(例:植民地支配)。また、個人的な成功よりも、国家や組織による大規模な征服を指すことが多い。
業績、成果。努力や才能によって達成された優れた結果を指す。学術、芸術、スポーツ、ビジネスなど、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】victoryが競争や戦いにおける勝利を指すのに対し、achievementは個人の能力や努力によって達成された成果を指す。必ずしも他人との競争を伴うとは限らない。自己啓発や能力向上といったニュアンスを含む。 【混同しやすい点】achievementは可算名詞であり、具体的な成果を指す場合は複数形(achievements)が用いられることが多い。また、victoryが一時的な勝利を指すのに対し、achievementはより長期的な努力の結果としての成果を指す。
熟達、習熟。特定の技能や知識を完全に習得すること。芸術、スポーツ、学問など、専門的な分野で使用される。 【ニュアンスの違い】victoryが特定の時点での勝利を指すのに対し、masteryは長期的な学習と実践の結果として得られる能力を指す。単なる勝利よりも、深い理解と高度な技能を伴う。 【混同しやすい点】masteryは不可算名詞であり、具体的な成果を指すのではなく、状態や能力を指す。また、victoryが他人との競争における勝利を指すのに対し、masteryは自己の能力向上を目的とする。
派生語
『勝利を得た』という意味の形容詞。『victory』に形容詞を作る接尾辞『-ous』が付加され、勝利の状態や性質を表す。スポーツ記事や歴史的記述で頻繁に使われ、勝利の場面を強調する。
- victor
『勝利者』を意味する名詞。『victory』から派生し、勝利を収めた人を指す。スポーツ、政治、競争など、様々な分野で勝者を表現する際に用いられる。日常会話よりも、報道や記録において使われることが多い。
- victimize
『犠牲にする』という意味の動詞。『victim(犠牲者)』という名詞から派生したが、『victory』と語源を共有する。『勝利』を得るために誰かを犠牲にするというニュアンスを含む。ニュースや社会問題の議論でよく見られる。
『潔白を証明する』という意味の動詞。ラテン語の『vindicare(権利を主張する、守る)』が語源で、『victory』と同じく『vin-(力、勝利)』の語根を持つ。無実を証明し、名誉を回復する意味合いで、法廷や議論の文脈で用いられる。ややフォーマルな語。
反意語
『敗北』を意味する名詞であり、『victory』と直接的な対義語。軍事的敗北、スポーツでの敗戦、ビジネスでの失敗など、広範な文脈で使用される。日常会話でも頻繁に使われ、具体的な出来事から抽象的な概念まで幅広く適用可能。
『失敗』を意味する名詞。『victory』が成功を表すのに対し、計画や試みが目標を達成できない状態を指す。ビジネス、学業、個人的な目標など、様々な領域で用いられる。単に失敗したという事実だけでなく、その原因や結果に焦点を当てる場合が多い。
『喪失』、『失うこと』を意味する名詞。『victory』が何かを得ることを意味するのに対し、『loss』は何かを失うことを指す。物質的なものだけでなく、機会、希望、愛する人など、抽象的なものにも用いられる。悲しみや後悔の感情を伴うことが多い。
『降伏』を意味する動詞または名詞。軍事的な状況で敵に屈することを指す場合が多いが、比喩的に困難な状況や誘惑に屈することも意味する。『victory』が戦いや競争の勝利であるのに対し、『surrender』は戦いを放棄し、相手に譲歩することを意味する。自己啓発や精神的な文脈でも用いられる。
語源
"victory」は、ラテン語の「victoria」(勝利)に由来します。この「victoria」は、さらに「victor」(勝利者)という単語から派生しています。「victor」は、ラテン語の動詞「vincere」(征服する、打ち勝つ)の完了分詞の語幹に由来し、これは「vinco, vincere, vici, victum」という活用形で表されます。つまり、「victory」は、何かを征服し、打ち勝つ行為、またはその結果としての勝利の状態を意味するようになったのです。日本語で「必勝」という言葉がありますが、これはまさに「必ず勝つ」という意味であり、「victory」の持つ力強いイメージと共通する部分があります。この語源を知ることで、「victory」が単なる結果だけでなく、努力と克服の過程を含む言葉であることが理解できます。
暗記法
「勝利」は、単なる成功を超え、文化の深層で輝く概念です。古代ローマでは女神として崇拝され、凱旋式で国家の威信を示しました。中世には精神的な意味合いを帯び、善が悪を打ち破る象徴に。現代ではスポーツやビジネスでの達成を彩りますが、勝利至上主義への警鐘も忘れてはなりません。時代と共に意味を変えながらも、「victory」は常に人間の進歩と克服の物語を語り継ぎます。
混同しやすい単語
『victory』と語源が同じで、意味も関連するため混同しやすい。しかし、『victory』は名詞(勝利)であるのに対し、『victorious』は形容詞(勝利した)である。文中で使う際には品詞の違いに注意する必要がある。例えば、『a victory』と『a victorious team』のように使う。
最初の数文字が同じであるため、スペルを見たときに混同しやすい。しかし、意味は全く異なり、『victim』は『犠牲者』を意味する。文脈をよく読み、意味を正確に理解することが重要。語源的には、『victim』はもともと『生贄』を意味していた。
語尾の 'tory' の部分が似ているため、発音やスペルで混同する可能性がある。意味は全く異なり、『history』は『歴史』を意味する。ただし、『history』には『物語』という意味合いもあり、勝利の物語(a victory story)と関連付けて覚えることもできる。
『victory』とは直接的な関連はないが、語感や音の響きが似ているため、特に発音練習の際に混同しやすい。『veto』は『拒否権』を意味する。政治や国際関係のニュースでよく使われる単語なので、意味をしっかり区別しておくと良い。
最初の 'vic-' の部分が共通しているため、スペルで混同しやすい。『vicinity』は『近隣、付近』という意味。場所を表す単語であり、『victory』とは意味が全く異なる。例えば、『in the vicinity of the station』(駅の付近)のように使う。
発音がやや似ており、特に母音の部分で混同しやすい可能性がある。意味は『美徳、長所』であり、『victory』とは全く異なる。道徳的な文脈で使われることが多い単語。例えば、『patience is a virtue』(忍耐は美徳である)のように使う。
誤用例
『victory』は確かに『勝利』を意味しますが、病気や困難など個人的な克服に対しては、少し大げさで仰々しい印象を与えます。より自然な英語としては、『triumph』や『overcome』が適切です。日本人は『勝利』という言葉を字義通りに捉えがちですが、英語では状況によって適切な語を選ぶ必要があります。日本語の『勝利』は、個人的な努力の末の克服から、国家間の戦争まで幅広く使われますが、英語ではそれぞれに適した語彙が存在します。ここでは、日本語の『〜に打ち勝つ』という発想から、安易に『victory over』という表現を選んでしまったと考えられます。
プロジェクト完了後に『victoryを宣言する』という表現は、英語では不自然です。まるで戦争が終わったかのような印象を与えてしまいます。『victory』は競争や対立の末に得られる勝利に対して使われることが多いのに対し、プロジェクトの成功は協力や努力の成果であり、祝うべきものです。日本人は、目標達成を『勝利』と捉えがちですが、英語では文脈によって使い分ける必要があります。ここでの誤用は、『成功=勝利』という日本語的な発想から生まれたものでしょう。英語では、プロジェクトの成功は『success』として捉え、『celebrate』のような喜びを表す動詞と組み合わせるのが自然です。
試験合格を『victoryを味わう』と表現すると、これもまた少し大げさになります。『victory』はより大きな、または困難な状況での勝利を指すことが多いです。試験合格のような個人的な成功を表現するなら、『success』を『savor(味わう)』するのが適切です。ここでの誤用は、日本語の『勝利の美酒に酔う』のような表現を直訳しようとした結果と考えられます。英語では、成功の喜びを表現する場合、より穏やかで個人的なニュアンスを持つ『savor』などの動詞が好まれます。また、文化的な背景として、英語圏では成功を大げさにアピールすることを避ける傾向があり、控えめな表現が好まれることも影響しているかもしれません。
文化的背景
「victory(勝利)」は、単なる試合や戦闘の成功を超え、文化的には個人の達成、国家の繁栄、そして善が悪に打ち勝つ普遍的な物語を象徴する言葉として深く根付いています。古代ローマの凱旋式から現代のスポーツイベントまで、「victory」は常に人間の努力、戦略、そして何よりも「克服」という精神を体現してきました。
古代ローマにおいては、「victory」は女神ウィクトリア(Victoria)として神格化され、軍事的な成功と国家の威信を象徴していました。凱旋将軍は、戦利品と捕虜を伴い、市民の熱狂的な歓迎を受ける凱旋式を行い、その勝利を神々に捧げました。この儀式は、単なる軍事的勝利を超え、ローマの秩序、力、そして文化的な優位性を内外に示すものでした。勝利は、政治的な正当性と社会的な安定を支える重要な要素であり、その象徴は建築物や芸術作品に刻まれ、ローマ帝国のアイデンティティを形成しました。
中世以降、キリスト教的な価値観が浸透するにつれて、「victory」は単なる軍事的、政治的な成功を超え、精神的な意味合いを帯びるようになりました。善と悪の戦いにおける善の勝利、信仰の勝利、そして自己克服の勝利といった概念が重要視されるようになります。例えば、聖ジョージが竜を退治する物語は、キリスト教的な善が異教的な悪に打ち勝つ象徴として広く受け入れられました。文学作品や絵画においても、「victory」はしばしば天使や聖人の姿で表現され、精神的な高みを目指す人間の努力を鼓舞するものとして描かれました。
現代においては、「victory」はスポーツ、ビジネス、科学など、あらゆる分野における競争と達成を象徴する言葉として使われています。オリンピックにおける勝利は、国家の威信を高め、国民の誇りを掻き立てるだけでなく、個人の努力と才能が世界に認められる瞬間を象徴します。ビジネスの世界では、市場競争における勝利は、革新的なアイデア、効率的な経営、そして顧客満足度を追求した結果として捉えられます。しかし、同時に、「勝利至上主義」が倫理的な問題を引き起こす可能性も指摘されており、フェアプレーの精神や敗者への敬意といった価値観も重要視されています。「Victory」は、今もなお、人間の進歩と達成を象徴する強力な言葉であり続ける一方で、その意味合いは時代とともに変化し続けています。
試験傾向
1. 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。まれにリスニングでも。2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、科学など幅広いテーマで登場。4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての意味だけでなく、比喩的な意味合いでも理解しておくこと。動詞形(triumph)や形容詞形(victorious)も合わせて学習。
1. 出題形式: Part 5, 6 (語彙・文法問題)、Part 7 (長文読解)。2. 頻度と級・パート: 比較的頻出。特にPart 7。3. 文脈・例題の特徴: 企業業績、市場競争、プロジェクト成功など、ビジネス関連の文脈で登場。4. 学習者への注意点・アドバイス: 「achieve victory」「claim victory」のようなコロケーションを覚えておく。類義語(success, triumph)とのニュアンスの違いを理解。
1. 出題形式: リーディングセクションで頻出。2. 頻度と級・パート: 高頻度。3. 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容(歴史、社会学、科学など)で、抽象的な概念や議論の中で使われることが多い。4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての意味だけでなく、文章全体における役割(例:勝利がもたらす影響)を理解することが重要。同義語(triumph)との使い分けを意識。
1. 出題形式: 主に長文読解。文脈把握問題や内容一致問題で問われる。2. 頻度と級・パート: 大学によって異なるが、難関大学ほど頻出。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、科学など幅広いテーマで登場。4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習を重ねる。比喩表現や抽象的な文脈での使用に注意。関連語(victorious, vanquish)も合わせて学習。