defeat
強勢は2音節目の /iː/ にあります。日本語の『イ』よりも長く伸ばし、口角を左右に引いて発音します。最初の /dɪ/ は弱く短く発音し、曖昧母音を意識しましょう。語尾の /t/ は破裂音で、息を止めてから開放するイメージです。無理に『ト』と発音しないように注意してください。
打ち負かす
相手を完全に負かす、打ち破るニュアンス。競争、戦闘、議論など、広い範囲で使われる。単に負かすだけでなく、相手の勢いをくじき、圧倒するイメージ。
Our soccer team finally defeated the strong rival team in the championship game.
私たちのサッカーチームは、ついに決勝戦で強敵チームを打ち負かしました。
※ 白熱したサッカーの決勝戦で、ずっと勝ちたかった相手に、ついに勝った!という喜びと達成感が伝わるシーンです。「defeat」はスポーツの試合で相手を「打ち負かす」「破る」という意味で非常によく使われます。過去形「defeated」も自然に覚えられますね。
He worked hard to defeat his fear of public speaking.
彼は人前で話すことへの恐怖を克服するために一生懸命努力しました。
※ 人前で話すのが苦手だった人が、勇気を出して練習を重ね、ついにその苦手意識を乗り越えた瞬間です。「defeat」は、恐怖心や病気、困難といった「目に見えない敵」を「克服する」「打ち勝つ」という意味でも使われます。自分自身の弱点に打ち勝つイメージですね。
The new technology helped them defeat their competitors in the market.
その新しい技術は、彼らが市場で競合他社に打ち勝つのを助けました。
※ 新しい技術を開発した会社が、それによって競合他社より優位に立ち、ビジネスで成功を収める様子が描かれています。「defeat」は、ビジネスや戦略の文脈で、競争相手や課題に「勝利する」「凌駕する」という意味で使われます。勝ち負けがはっきりする場面でよく登場します。
敗北
競争や争いにおける敗北、失敗。具体的な試合や戦争だけでなく、計画や試みの失敗にも使われる。
The team felt deep sadness after their unexpected defeat in the final game.
チームは決勝戦での予期せぬ敗北の後、深い悲しみに包まれました。
※ この例文は、スポーツの試合で「敗北」を経験したときの情景を描いています。選手たちが決勝で負け、その結果に打ちひしがれている様子が目に浮かぶようです。「defeat」は、スポーツやゲームの結果を語る際によく使われる、非常に典型的な単語です。ここでは「unexpected defeat(予期せぬ敗北)」のように、形容詞と一緒に使うことで、どのような敗北だったかを具体的に表現できます。
He bravely accepted his defeat in the election and congratulated his opponent.
彼は選挙での敗北を勇敢に受け入れ、対立候補に祝辞を述べました。
※ この例文は、政治的な競争における「敗北」の場面を描いています。選挙で負けた候補者が、それでも堂々と結果を受け入れている姿から、大人の対応や潔さが感じられますね。「accept one's defeat」は「敗北を受け入れる」という、非常によく使われる表現です。スポーツだけでなく、ビジネスや政治など、様々な競争の場で使われます。
Even after a difficult defeat, she never gave up on her dream.
困難な敗北の後でさえ、彼女は夢を諦めませんでした。
※ この例文は、単なる物理的な敗北だけでなく、人生における大きな挫折や困難な状況での「敗北」を表しています。何か大きな失敗や壁にぶつかっても、決して諦めずに前向きに進む人の強い意志が伝わってきますね。「defeat」は、このように個人の挑戦や困難な状況における「挫折」や「失敗」といった意味合いでも使われます。
くじく
希望や計画、目的などを打ち砕き、意気消沈させるニュアンス。人の気持ちや精神状態に対して使われることが多い。
Our school's small soccer team finally defeated the powerful champion.
私たちの学校の小さなサッカーチームは、ついに強力なチャンピオンチームを打ち負かしました。
※ この例文では、スポーツの試合で「相手チームを打ち負かす」という、最も分かりやすい『defeat』の使い方を示しています。練習を重ねてきた小さなチームが、これまで勝てなかった強豪に挑み、見事に勝利する感動的な瞬間が目に浮かびませんか?『defeat』は、相手を明確に『負かした』ときに使われます。
Don't let your past failures defeat your courage to try again.
過去の失敗が、もう一度挑戦するあなたの勇気をくじかないように。
※ ここでは、『defeat』が「勇気」や「希望」といった、目に見えない精神的なものを『くじく』という意味で使われています。過去の失敗で落ち込んでいるけれど、もう一度頑張りたい、という人の心の葛藤が感じられますね。『Don't let A defeat B』は、「AがBをくじくのを許さないで」という意味で、ネガティブな感情や状況に負けないで、と励ます際によく使われる表現です。
The mayor's new plan was defeated by a majority vote in the city council.
市長の新しい計画は、市議会で多数決により否決されました。
※ この例文では、『defeat』が「提案や計画などを否決する、無効にする」という意味で使われています。市議会というフォーマルな場で、市長の計画が多くの反対票によって通らなかった情景が目に浮かびます。このように、会議や議論の場で何かが『否決される』ときも、『be defeated by ~』(~によって否決される)という受動態の形でよく使われます。
コロケーション
圧倒的な敗北、手も足も出ないような大敗
※ 単なる敗北ではなく、相手に全く抵抗できずに打ちのめされた状況を表します。形容詞"crushing"は、物理的に押しつぶされるイメージから来ており、精神的なショックや落胆の度合いを強調します。スポーツ、選挙、ビジネスなど、競争的な状況で広く使われます。例えば、選挙で対立候補に大差をつけられた場合などに用いられます。口語でもビジネスシーンでも使えますが、やや感情的なニュアンスを含むため、冷静さを求められる場面では注意が必要です。
敗北を喫する、負けを経験する
※ 「敗北」という結果を経験した、という客観的な事実を述べる表現です。"suffer"は「苦しむ」という意味合いを持ちますが、ここでは単に「経験する」という意味で使われています。この表現は、感情的なニュアンスを抑え、フォーマルな場面やニュース記事などでもよく用いられます。類義語として"experience defeat"がありますが、"suffer defeat"の方がやや格式高い印象を与えます。例えば、戦争や紛争、ビジネス上の競争など、深刻な状況で使われることが多いです。
敗北を認める、負けを潔く認める
※ 競争や争いの後、相手の勝利を認め、自らの敗北を受け入れる行為を指します。"concede"は「譲歩する」「(事実を)認める」という意味を持ち、単に負けたという事実だけでなく、相手の勝利を認めるというニュアンスを含みます。特に選挙戦で候補者が敗北を認める際に使われることが多いですが、スポーツやビジネスなど、あらゆる競争の場面で使用可能です。潔さやスポーツマンシップを示す表現として、ポジティブな意味合いで用いられることが多いです。
勝利目前で逆転負けを喫する、あと一歩のところで失敗する
※ 文字通りには「勝利の顎から敗北を奪い取る」という意味で、非常に惜しい状況で失敗に終わることを表すイディオムです。この表現は、勝利がほぼ確実と思われた状況から一転して敗北するという劇的な展開を描写します。スポーツ、ビジネス、政治など、あらゆる分野で使用されますが、特に予想外の結果に対する驚きや落胆を強調する際に効果的です。例えば、試合終了間際に逆転ゴールを決められたり、契約直前に条件が覆されたりするような状況で使われます。
~に敗北を味わわせる、~を打ち負かす
※ "inflict"は「(苦痛などを)与える」という意味で、ここでは「敗北」という苦痛を相手に与える、つまり打ち負かすという意味になります。この表現は、単に相手が負けたというだけでなく、こちら側が積極的に相手を打ち負かしたというニュアンスを含みます。軍事的な文脈や、スポーツ、ビジネスなど、競争的な状況でよく使われます。例えば、「わが軍は敵軍に大打撃を与えた」のように使われます。
敗北を覆す、敗戦から立ち直る
※ 一度は負けた状況から、形勢を逆転させて勝利を収めることを意味します。"reverse"は「逆転させる」「覆す」という意味を持ち、困難な状況を乗り越えて成功を収めるというニュアンスを含みます。スポーツ、ビジネス、政治など、あらゆる分野で使用されますが、特に粘り強さや不屈の精神を強調する際に効果的です。例えば、最初は不利な状況だった企業が、革新的な戦略によって市場で成功を収めるような場合に用いられます。
使用シーン
学術論文やディスカッションで、理論や仮説が反証されたり、既存の研究を覆したりする文脈で使われます。「The hypothesis was defeated by the experimental results.(その仮説は実験結果によって否定された)」のように、客観的な事実を示す際に用いられます。また、歴史学の研究で、ある勢力が別の勢力に敗北した状況を記述する際にも見られます。
ビジネスシーンでは、競争相手を打ち負かす、計画が頓挫する、といった文脈で使われます。例えば、プレゼンテーションで競合他社の戦略を分析し、「Our strategy will defeat their approach.(我々の戦略は彼らのアプローチを打ち負かすだろう)」と述べる場合や、プロジェクトが失敗に終わった際に「The project was defeated by unforeseen circumstances.(そのプロジェクトは予期せぬ事態によって頓挫した)」のように、やや硬い表現で使われることがあります。
日常会話では、スポーツの試合結果やゲームで負けた場合などに使われることがあります。ただし、よりカジュアルな表現(lose, beatなど)が好まれる傾向にあります。ニュース記事やドキュメンタリーなどで、政治的な対立や災害など、深刻な状況を伝える際に「The city was defeated by the flood.(その都市は洪水によって打ちのめされた)」のように使われることがあります。
関連語
類義語
- vanquish
(特に戦争や競争において)相手を完全に打ち負かす、征服するという意味。文学的、またはフォーマルな文脈で使用されることが多い。他動詞。 【ニュアンスの違い】"Defeat"よりも相手を圧倒し、完全に屈服させるというニュアンスが強い。また、抽象的な概念(例:恐怖、困難)を打ち破る際にも用いられる。 【混同しやすい点】"Vanquish"は日常会話ではあまり使われず、やや古風な響きを持つため、使用場面を選ぶ必要がある。また、具体的な敵だけでなく、抽象的な概念にも使える点が"defeat"と異なる。
(困難、問題、感情など)を乗り越える、克服するという意味。個人的な努力や精神的な強さによって困難を克服する状況で使われる。他動詞。 【ニュアンスの違い】"Defeat"が相手を打ち負かすという外部的な行為であるのに対し、"overcome"は困難や弱さを克服するという内面的な行為を指すことが多い。自己啓発や精神的な成長に関連する文脈でよく使われる。 【混同しやすい点】"Overcome"は必ずしも競争相手を打ち負かすという意味ではなく、個人的な障壁や困難を克服するという意味合いが強い。また、受動態で使われることも多い(例:to be overcome by grief)。
(国、地域、人々など)を征服する、支配するという意味。軍事的な文脈や歴史的な出来事を語る際に用いられることが多い。他動詞。 【ニュアンスの違い】"Defeat"よりも相手を完全に支配下に置くというニュアンスが強い。文化的な影響や政治的な支配を含む、より広範な意味合いを持つ。 【混同しやすい点】"Conquer"は通常、国や地域、人々など、大規模な対象を征服する場合に用いられる。個人的な競争やゲームなど、小規模な状況では不自然に聞こえることがある。
(相手を)打ち負かす、負かすという意味。日常会話でよく使われるカジュアルな表現。スポーツやゲームなど、競争的な状況で用いられることが多い。他動詞。 【ニュアンスの違い】"Defeat"よりもくだけた言い方で、より直接的で感情的な響きを持つ。また、比喩的に「〜を打ち破る」「〜より優れている」という意味でも使われる。 【混同しやすい点】"Beat"は非常に一般的な単語であり、様々な意味を持つため、文脈によって意味を判断する必要がある。また、"beat"は名詞としても使われ、「鼓動」「リズム」などの意味を持つ。
(敵などを)潰走させる、完膚なきまでに打ち破るという意味。軍事的な文脈で使われることが多い、ややフォーマルな表現。他動詞。 【ニュアンスの違い】"Defeat"よりも一方的な、圧倒的な勝利を示す。敵が完全に混乱し、逃走するような状況を指す。 【混同しやすい点】"Rout"は日常会話ではほとんど使われず、軍事史や歴史的な文脈で目にすることが多い。発音が「ルート」に近く、綴りも似ているため、混乱しやすい。
- subdue
(感情、反乱、敵など)を鎮圧する、抑えるという意味。力や権力を用いて、抵抗を抑え込む状況で使われる。他動詞。 【ニュアンスの違い】"Defeat"が単に打ち負かすという意味であるのに対し、"subdue"は相手を服従させ、コントロール下に置くというニュアンスが強い。反乱や暴動、強い感情などを抑え込む際に用いられる。 【混同しやすい点】"Subdue"は物理的な力だけでなく、精神的な力を使って感情を抑えるという意味でも使われる。また、"subdued"という形容詞は、「静かな」「控えめな」という意味で、異なる文脈で使われる。
派生語
- defeatism
『敗北主義』という意味の名詞。『defeat』に、主義・傾向を表す接尾辞『-ism』が付加。単なる敗北ではなく、諦めや悲観的な考え方を指す。政治や社会情勢の議論で用いられる。
- defeated
『打ち負かされた』、『敗北した』という意味の形容詞または過去分詞。『defeat』に過去分詞を作る『-ed』が付加。スポーツ、選挙、戦争など、競争や対立の結果を表す文脈で使用される。感情を表す場合もある(例:defeated look)。
- defeasible
『無効にできる』、『取り消し可能な』という意味の形容詞。『defeat』に『-able』が付加され、法律用語として使われることが多い。契約や権利などが後から覆される可能性を示す。
反意語
『勝利』という意味の名詞。『defeat』と直接的な対義語であり、競争、戦争、選挙など、あらゆる対立において成功を収めることを指す。日常会話から報道、歴史的記述まで幅広く使われる。
『勝利』、『成功』という意味の名詞または動詞。より高揚感や華やかさを伴う勝利を意味する。『defeat』が単なる敗北であるのに対し、『triumph』は圧倒的な勝利や困難を乗り越えた成功を表す。文学作品や歴史的な文脈でよく用いられる。
『成功』という意味の名詞。『defeat』が目標の失敗を意味するのに対し、『success』は目標達成や望ましい結果を得ることを指す。ビジネス、学業、個人的な目標など、幅広い文脈で使用される。
語源
"defeat」は、古フランス語の「desfaire(打ち壊す、破壊する)」に由来します。これは「des-(分離、否定)」と「faire(作る、行う)」が組み合わさったものです。「des-」は英語の「dis-」と同じで、何かを否定したり、取り除いたりする意味を持ちます。一方、「faire」はラテン語の「facere(作る、行う)」に遡り、英語の「factory(工場)」や「fact(事実)」など、多くの単語の語源となっています。つまり、「defeat」は元々「作ることをやめる」「破壊する」といった意味合いを持っており、そこから「打ち負かす」「挫折させる」という意味に発展しました。日本語で例えるなら、「成し遂げる」の反対で「志半ばで終わらせる」といったニュアンスに近いかもしれません。
暗記法
「defeat」は単なる敗北にあらず。ローマ帝国の崩壊、騎士道物語の名誉喪失、文学作品における主人公の変容…歴史と物語は、この言葉に重い意味を刻み込んできた。ヘミングウェイの老人はサメに勝利を奪われ、オーウェルの主人公は全体主義に屈する。しかし、敗北は終わりではない。それは成長の糧、新たな可能性の বীজ(たね)。敗北の歴史を知ることで、「defeat」は単なる挫折以上の意味を持つ言葉となる。
混同しやすい単語
発音とスペルが同一であり、意味も同じ名詞。動詞としては『打ち負かす』、名詞としては『敗北』を意味する。品詞の違いに注意が必要。
発音が似ており、特に語尾の子音の響きが近い。スペルも 'ea' と 'ec' の違いのみで、視覚的にも混同しやすい。意味は『欠陥』であり、文脈が大きく異なる。アクセントの位置も異なり、'defeat' は二音節目にアクセントがあるのに対し、'defect' は名詞の場合は一音節目にアクセントがある。
発音が非常に似ており、特に母音部分が同じように聞こえやすい。スペルも 'feat' と 'af' の部分が異なるのみで、視覚的にも混同しやすい。意味は『耳が聞こえない』であり、まったく異なる概念を表す。'deaf' は古英語の 'dēaf' に由来し、元々は『感覚がない』という意味合いだった。
'defeat' の後半部分 'feat' と発音が似ている。スペルも 'f' で始まり、'eat' という共通の文字を含むため、視覚的な類似性がある。意味は 'foot' の複数形で『足』を意味し、まったく異なる概念を表す。発音記号を確認し、母音の違い(/iː/ 対 /iːt/)を意識することが重要。
語尾の 'eat' の部分の発音が似ているため、混同しやすい。スペルも 'eat' の部分が共通しているため、視覚的な類似性がある。意味は『扱う』『ごちそうする』などであり、文脈が異なる。'treat' は古フランス語の 'traiter'(扱う)に由来し、語源的にも異なる。
語尾の 'eat' の発音とスペルが共通しているため、混同しやすい。特に、早口で発音された場合に聞き間違えやすい。意味は『繰り返す』であり、文脈が異なる。接頭辞 're-' がついていることに注意し、'再び行う' という意味合いを理解すると区別しやすい。
誤用例
日本語の『〜によって負けた』という表現を直訳すると、受動態で『be defeated by 〜』としがちですが、この場合の『defeat』は『打ち負かす』という能動的な意味合いが強く、主語は通常、勝利する側(人や組織)になります。ピクニックが雨によって『打ち負かされた』という比喩的な表現を使う場合は、ピクニックを主語にするのが自然です。日本人は、主語を『人』にすることを好む傾向があるため、このような誤りが生じやすいです。英語では、無生物主語構文も頻繁に使われ、事象や状況をより客観的に表現できます。
『defeat』は、主に競争や戦闘において相手を打ち負かす意味合いが強く、抽象的な感情や困難に対して使うと、大げさで不自然な印象を与えます。感情や困難を乗り越える場合は、『overcome』や『conquer』を使うのが適切です。日本人は、困難に立ち向かうことを『打ち破る』と表現することが多いため、『defeat』を安易に用いてしまいがちですが、英語では、感情に対してはより穏やかな表現が好まれます。また、日本語の『〜を克服する』という表現に引きずられて、安易に『defeat』を選んでしまう傾向もあります。
同じ語を繰り返すことは、英語では避けられる傾向があります。特に『defeated』を感情を表す形容詞として使う場合、より自然な表現として『disheartened』(落胆した)や『discouraged』(意気消沈した)などが適切です。日本人は、同じ語を繰り返すことを避けようとしない場合があり、また、感情を表す語彙のバリエーションが少ないことが、この誤りの原因の一つと考えられます。英語では、感情を細やかに表現するための語彙が豊富であり、状況に応じて使い分けることが重要です。
文化的背景
「defeat」は単なる敗北を意味するだけでなく、個人の尊厳、国家の威信、あるいは理想そのものの崩壊を象徴することがあります。この言葉は、歴史の転換点や文学作品における悲劇的な結末を語る際に、重い響きを持って用いられてきました。
古代ローマにおける「defeat」は、単に戦いに負けること以上の意味を持っていました。それは、軍団の解体、領土の喪失、そして何よりもローマの「インペリウム(支配権)」の失墜を意味したのです。カンネーの戦いにおけるハンニバルの勝利は、ローマにとって壊滅的な「defeat」であり、その後の数年間、ローマは存亡の危機に瀕しました。同様に、中世ヨーロッパの騎士道物語では、「defeat」は名誉の喪失と深く結びついていました。騎士が戦いに敗れることは、単に武力で劣ることを示すだけでなく、騎士道精神に背いたと見なされ、社会的な地位を失うことにもつながったのです。
文学作品における「defeat」は、しばしば主人公の成長や変容の触媒として描かれます。例えば、アーネスト・ヘミングウェイの『老人と海』では、老漁師サンチャゴは巨大なカジキマグロとの死闘の末、勝利を収めますが、帰港するまでにサメの襲撃を受け、カジキマグロは骨だけになってしまいます。一見すると「defeat」のように見えるこの結末は、サンチャゴの不屈の精神と、自然の力に対する人間の限界を象徴しています。また、ジョージ・オーウェルの『1984』では、主人公ウィンストン・スミスは全体主義国家の圧力に屈し、最終的に「defeat」を受け入れます。この「defeat」は、個人の自由と尊厳が権力によっていかに容易に踏みにじられるかを痛烈に描き出しています。
現代社会においても、「defeat」はスポーツ、ビジネス、政治など、様々な分野で競争の厳しさを表す言葉として用いられます。しかし、単なる結果としての敗北だけでなく、そこから学び、立ち直る力こそが重要であるという認識も広まっています。スポーツの世界では、オリンピックにおける敗北が、次の大会へのモチベーションとなり、より大きな成功につながることがあります。ビジネスの世界では、新規事業の失敗(「defeat」)から得られた教訓が、その後のイノベーションを生み出す原動力となることもあります。このように、「defeat」はネガティブな意味合いだけでなく、成長の機会や新たな可能性を秘めた言葉としても捉えられるようになっています。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解。
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。1級でも出題される可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、科学など幅広いテーマで、議論や意見を述べる文脈で登場しやすい。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「打ち負かす」「失敗させる」の意味だけでなく、名詞としての「敗北」「失敗」の意味も重要。派生語の「defeated」「defeating」の形容詞としての用法も押さえること。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
2. 頻度と級・パート: 比較的頻出。特にPart 7のビジネス関連の長文で登場しやすい。
3. 文脈・例題の特徴: 競争、市場、プロジェクトなど、ビジネスシーンにおける失敗や競争での敗北を表す文脈で使われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス英語特有の言い回しの中で使われることが多いので、類義語(overcome, beat)とのニュアンスの違いを理解することが重要。名詞形と動詞形を区別して理解すること。
1. 出題形式: リーディングセクション。
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、科学、社会科学など、学術的なテーマの文章で、理論や仮説が反証される文脈、または競争における優劣を示す文脈で使われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 他の単語とのコロケーション(defeat + 目的語)を意識して覚えることが重要。また、文章全体の内容を理解する中で、defeatがどのような意味合いで使われているかを把握する必要がある。類義語(thwart, foil)との使い分けも意識。
1. 出題形式: 長文読解、和訳問題、英作文(テーマによっては使用)。
2. 頻度と級・パート: 標準的なレベルの単語で、難関大学ほど頻出。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、歴史、科学など、幅広いテーマで、議論や意見を述べる文脈で登場しやすい。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で正確な意味を把握することが重要。特に、比喩的な意味で使われる場合もあるので注意が必要。過去問などで実際の使われ方を確認すること。