pay
二重母音 /eɪ/ は、日本語の『エ』から『イ』へスムーズに変化させる音です。『ペ』と一気に発音するのではなく、『ペェイ』のように意識して発音すると、より自然になります。口を少し大きく開けて『エ』を発音し、徐々に口角を上げて『イ』に移行するのがコツです。
専門的な内容に関するご注意
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支払う
金銭や労力などを、義務や見返りとして差し出すこと。単に物を渡すのではなく、対価としての意味合いが強い。
I paid for my groceries with my credit card.
私は食料品の代金をクレジットカードで支払いました。
※ スーパーのレジで、たくさんの食料品をカゴに入れ、支払いのためにクレジットカードを差し出す瞬間のイメージです。日常の買い物で最も頻繁に使われる表現の一つで、「pay for 〜」で「〜の代金を支払う」という形が基本です。また、「with my credit card」のように、何で支払ったかを付け加えるのも一般的です。
We pay our rent every month on the first day.
私たちは毎月1日に家賃を支払います。
※ カレンダーを見ながら、月末や月初めに銀行振込やオンラインで家賃を支払っている様子を想像してください。少しホッとしたり、また来月かと溜息をついたりするかもしれません。家賃や公共料金など、定期的に支払う義務があるものについてよく使われます。「pay [何を]」の形で「〜を支払う」と表現します。
He paid the taxi driver after a long ride.
彼は長い乗車の後、タクシーの運転手に料金を支払いました。
※ 夜遅く、目的地に着いたタクシーの中で、運転手にお金を渡す男性の姿を思い浮かべてください。疲れているけれど、無事に着いて安心しているかもしれません。サービスを提供してくれた人に対して、その報酬としてお金を支払う場面でよく使われます。「pay [人]」で「人に支払う」という形になります。例えば、「pay me」は「私に支払う」という意味です。
割に合う
努力や苦労が、それに見合うだけの価値や結果をもたらすこと。投資や行動の正当性を示す際に使われることが多い。
It really pays to get up early and study when the house is quiet.
家が静かな時に早起きして勉強するのは、本当に割に合います。
※ 【情景が目に浮かぶ】朝早く、まだ誰も起きていない静かな家で、集中して机に向かっている自分。この時間が、今日の仕事や学習をスムーズにしてくれる、そう実感する瞬間です。 【なぜこの例文が典型的か】「It pays to do 〜」は、「〜するのは割に合う、得策である」という、非常に典型的な表現です。時間や努力をかけた結果、良いことが返ってくるというニュアンスで使われます。 【文法・会話のヒント】「to get up early and study」のように、「to + 動詞の原形」で「〜すること」という意味のカタマリを作り、それが「割に合う」対象になっています。
Eating healthy food always pays off for your future health.
健康的な食べ物を食べることは、将来の健康のためにいつも割に合います。
※ 【情景が目に浮かぶ】新鮮な野菜や果物を食べている時、少し手間がかかるなと感じるかもしれません。でも、「これは将来の自分の体への投資だ」と納得する気持ち。後々、元気な自分でいられることの喜びを想像する場面です。 【なぜこの例文が典型的か】「pay off」は、「努力が報われる、成果が出る、採算が取れる」という意味でよく使われます。特に、長期的な視点での「割に合う」や「報われる」を表すのに適しています。 【文法・会話のヒント】「for your future health」のように、「for + 名詞」で「〜にとって」や「〜のために」と、その恩恵を受ける対象を示すことができます。
Being patient with children always pays in the end, even when it's hard.
子どもたちに辛抱強く接することは、たとえ大変でも、結局はいつも報われます。
※ 【情景が目に浮かぶ】言うことを聞かない子どもに、ついイライラしそうになっても、ぐっとこらえて優しく接する親や先生。やがて子どもが成長し、感謝の気持ちを表してくれた時、「あの時の辛抱は無駄じゃなかった」と心から報われた気持ちになる場面です。 【なぜこの例文が典型的か】「in the end」は「結局は、最後には」という意味で、困難な状況でも最終的には良い結果が得られる、という文脈で「pay」と非常に相性が良い表現です。 【文法・会話のヒント】「Being patient(辛抱強くあること)」のように、動名詞(-ing形)が文の主語になることで、「〜すること」が割に合う、という形を作れます。
給料
労働の対価として定期的に支払われる金銭。賃金、報酬、サラリーなど、様々な形態がある。
Her first pay felt like a big achievement after months of hard work.
数ヶ月の懸命な仕事の後、彼女の初めての給料は大きな達成感のように感じられた。
※ この例文は、初めての給料を受け取った時の喜びと、それまでの努力が報われた達成感を鮮やかに描いています。「first pay」は、単なる収入以上の、特別な意味を持つことが多いです。ここでは「felt like(〜のように感じられた)」という表現で、具体的な感情を伝えています。
He thinks his pay is too low for all the extra work he does.
彼は、自分がするすべての追加労働に対して給料が低すぎると考えている。
※ この例文は、給料に対する不満や、仕事量と報酬のバランスについて考える日常的な場面を表しています。「pay is too low(給料が低すぎる)」は、不満を表現する際によく使われるフレーズです。誰もが一度は感じたことがあるかもしれない、共感しやすいシチュエーションですね。
My company gives us our pay on the 25th of every month.
私の会社は毎月25日に私たちに給料をくれます。
※ この例文は、会社における給料の支払いサイクルという、非常に実用的で日常的な情報交換の場面を描いています。多くの人にとって「給料日」は大切な日であり、いつ給料がもらえるかという話は頻繁にされます。「on the 25th of every month」のように、具体的な日付や頻度を伝える際によく使われます。
コロケーション
~に敬意を表する、賛辞を贈る
※ もともとは貢物を捧げるという意味から転じて、人や業績、出来事などに対して尊敬や感謝の念を表明する際に用いられます。公式な場(式典、スピーチなど)で使われることが多いフォーマルな表現です。単に「respect」と言うよりも、より深い敬意や感謝の気持ちが込められています。また、亡くなった人に追悼の意を表す際にもよく用いられます。
下積み時代を経験する、苦労を重ねる
※ 組合費(dues)を払うという文字通りの意味から派生し、目標達成のために必要な苦労や努力を経験することを指します。特に、芸能界やスポーツ界など、実力主義の世界で成功を収めるために必要なプロセスを表す際に使われます。「苦労は買ってでもしろ」という日本のことわざに近いニュアンスがあります。
口先だけで~を支持する、おざなりな賛意を示す
※ lip service(おべっか、口先だけのサービス)という名詞句と組み合わさり、「実際には行動を伴わない、口先だけの賛同や支持」を意味します。政治的な文脈や、組織内の建前などを批判的に表現する際に用いられることが多いです。例えば、「企業が環境保護にlip serviceを払っている」という場合、実際には環境保護のための具体的な行動を起こしていないことを示唆します。
~に注意を払う、耳を傾ける
※ heedは「注意、用心」という意味の名詞で、古風な響きを持つ言葉です。そのため、この表現もやや硬い印象を与えます。重要な情報や警告に対して真剣に耳を傾け、注意を払うべき場合に用いられます。例えば、「専門家の意見にpay heed toする」のように使います。日常会話よりも、ビジネスシーンや報道などで見かけることが多いでしょう。
(究極の代償を払う)命を落とす、殉職する
※ ultimate priceは「究極の代償」という意味で、多くの場合、命を失うことを婉曲的に表現します。特に、戦争や事故、災害などで犠牲になった人々を悼む際に用いられます。例えば、「消防士が任務中にpay the ultimate priceを払った」のように使います。非常に重く、悲劇的なニュアンスを持つ表現です。
(投資などが)利益をもたらす、報われる
※ dividendsは「配当金」という意味で、投資や努力が後に良い結果をもたらすことを比喩的に表現します。例えば、「若い頃の努力が、後になってpay dividendsをもたらす」のように使います。ビジネスシーンや自己啓発の文脈でよく用いられ、長期的な視点での投資や努力の重要性を示唆します。
高くつく、大きな代償を払う
※ 文字通りには「高く支払う」という意味ですが、比喩的には、過ちや不注意の結果として、大きな損害や不利益を被ることを意味します。金銭的な損失だけでなく、精神的な苦痛や人間関係の悪化なども含まれます。例えば、「交通違反をするとpay dearlyことになる」のように使います。警告や教訓の意味合いを込めて用いられることが多いです。
使用シーン
学術論文では、研究対象のコストや対価、あるいは努力が報われるかどうかを議論する際に使われます。例えば、経済学の論文で「人的資本への投資は長期的に見てpay off(割に合う)」といった表現や、心理学の研究で「特定の行動がどのような報酬(payoff)をもたらすか」を分析する際に用いられます。学生が論文を読む際や、研究発表を聞く際に目にする機会があります。
ビジネスシーンでは、給与や報酬、支払いといった意味で頻繁に使用されます。例えば、人事部が従業員の給与体系について説明する際に「給与(pay)は経験と能力に基づいて決定される」と説明したり、経理部が請求書の支払いを管理する際に「請求書を期日までに支払う(pay)」といった表現を使います。また、投資の文脈で「この投資は将来的にpay off(利益を生む)」というように、費用対効果を議論する際にも用いられます。会議でのプレゼンテーションや報告書で頻繁に登場します。
日常会話では、買い物の支払いやアルバイトの給料など、身近な事柄について話す際に頻繁に使われます。例えば、友人との会話で「ランチ代は私が払うよ(I'll pay for lunch)」と言ったり、アルバイトをしている学生が「今月の給料(pay)が入った」と話したりする場面が考えられます。また、「クレジットカードで支払う(pay by credit card)」といった表現もよく使われます。映画やドラマの日常シーンでも頻繁に耳にする単語です。
関連語
類義語
補償する、埋め合わせる、賠償する。損害や損失に対する埋め合わせとして金銭やサービスを提供する場面で使われる。ビジネスや法律関連の文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"pay"が単に金銭を支払う行為を指すのに対し、"compensate"は相手に生じた損害や苦痛に対する埋め合わせというニュアンスが強い。よりフォーマルで、義務や責任を伴う場合が多い。 【混同しやすい点】"pay"は一般的な支払い全般に使えるが、"compensate"は損害や損失に対する補填に限定される。また、"compensate"は自動詞としても使われ、"compensate for..."(~を補う)という形で用いられる。
払い戻す、弁償する。経費や立て替えた費用などを後から支払う場合に用いられる。ビジネスシーンや個人的なやり取りで使われる。 【ニュアンスの違い】"pay"よりも、すでに相手が支払った金額を返す、というニュアンスが強い。特に経費精算や医療費の払い戻しなど、特定の目的のために支払われたお金を返す場合に限定される。 【混同しやすい点】"pay"は広い意味での支払いを指すが、"reimburse"は「立て替え」や「払い戻し」という状況が前提となる。また、reimburseは必ず他動詞であり、目的語(払い戻す対象)が必要となる。
- remunerate
報酬を支払う、給与を支払う。労働やサービスに対する対価として金銭を支払う場合に用いられる。ビジネスや人事関連の文脈で、特にフォーマルな場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"pay"が一般的な支払い行為を指すのに対し、"remunerate"は労働やサービスに対する正式な報酬を支払うという意味合いが強い。よりフォーマルで、契約や法律に基づいた支払いを示唆する。 【混同しやすい点】"pay"は幅広い状況で使えるが、"remunerate"は労働やサービスに対する対価に限定される。日常会話ではあまり使われず、ビジネス文書や契約書などで用いられることが多い。
(勘定などを)決済する、(紛争などを)解決する。金銭的な問題を解決したり、合意に達したりする場面で使われる。ビジネス、法律、日常会話など幅広い文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】"pay"が単に支払う行為を指すのに対し、"settle"は未解決の問題や議論を終わらせる、という意味合いを含む。借金の清算、訴訟の和解、紛争の解決など、最終的な決着をつけるニュアンスが強い。 【混同しやすい点】"pay"は一方的な支払い行為だが、"settle"は双方が合意した上で問題を解決する、というニュアンスがある。また、"settle"は自動詞としても使われ、「落ち着く」「定住する」という意味も持つ。
- defray
(費用などを)支払う、負担する。費用や経費を負担するという意味合いで、特に組織や団体が費用を肩代わりする場合に使われる。フォーマルな文脈やビジネスシーンで用いられる。 【ニュアンスの違い】"pay"よりも、特定の目的のための費用を負担するというニュアンスが強い。例えば、出張費用、医療費、教育費など、特定の用途が定められた費用を支払う場合に用いられる。 【混同しやすい点】"pay"は一般的な支払い行為を指すが、"defray"は特定の目的の費用を負担するという意味に限定される。日常会話ではあまり使われず、ビジネス文書や公式な場面で用いられることが多い。
(義務などを)果たす、(借金などを)返済する。義務や責任を全うしたり、借金を完済したりする場面で使われる。法律、ビジネス、フォーマルな文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】"pay"が単に金銭を支払う行為を指すのに対し、"discharge"は義務や責任を果たして解放される、というニュアンスが強い。借金の完済、契約の履行、義務の完了など、何らかの責任から解放される意味合いを持つ。 【混同しやすい点】"pay"は一般的な支払い行為を指すが、"discharge"は義務や責任の完了、解放というニュアンスが伴う。また、"discharge"は「放出する」「解雇する」など、文脈によって様々な意味を持つ。
派生語
『支払い』を意味する名詞。動詞『pay』に名詞化の接尾辞『-ment』が付加されたもので、行為(支払い)そのもの、または支払われた金額を指す。日常会話、ビジネス文書、会計報告など、あらゆる場面で頻繁に使用される。動詞の『pay』が具体的な行為を表すのに対し、『payment』は抽象的な概念や記録を指すことが多い。
- payee
『受取人』を意味する名詞。動詞『pay』に『〜される人』を表す接尾辞『-ee』が付加されたもので、支払いを受け取る人を指す。小切手や契約書など、法的な文脈でよく用いられる。動詞の『pay』が能動的な行為であるのに対し、『payee』は受動的な立場にある人を表す。
『給与支払い』または『給与台帳』を意味する名詞。『pay』(支払い)と『roll』(名簿)が組み合わさった複合語で、企業が従業員に支払う給与の総額や、その管理台帳を指す。ビジネスシーンで頻繁に使用され、特に人事や会計の分野で重要となる。従業員への支払いを管理するという具体的な業務と密接に結びついている。
『支払い可能な』を意味する形容詞。動詞『pay』に形容詞化の接尾辞『-able』が付加されたもので、支払う必要がある、または支払い期日を迎えていることを示す。会計や財務の文脈でよく用いられ、未払いの勘定や負債などを指す。例えば、『accounts payable(買掛金)』のように使われる。
反意語
『不履行』を意味する。支払い義務を『pay』しない状態を指し、契約、ローン、債務など、様々な文脈で用いられる。日常会話からビジネス、法律まで幅広く使われる。単に『pay』しないだけでなく、義務を果たすことができない、というニュアンスを含む点が重要。
『差し控える』『保留する』を意味する。支払いを意図的に遅らせたり、一時的に停止したりする行為を指す。税金の源泉徴収(tax withholding)のように、特定の目的のために支払いを保留する状況で使われる。単に『pay』しないだけでなく、何らかの理由で支払いを保留するというニュアンスを含む。
『罰金』を意味する。義務を『pay』しないことによって生じる金銭的なペナルティ。交通違反や契約違反など、法的な文脈で用いられることが多い。自発的な支払いである『pay』とは異なり、強制的な支払いである点が対照的。
語源
"pay"の語源は、ラテン語の「pācāre(平和にする、満足させる)」に由来します。これは「pāx(平和)」という単語から派生したもので、元々は「相手を満足させることで争いを避ける」という意味合いがありました。中世フランス語を経由して英語に入り、「代償を払う」「義務を果たす」といった意味に変化しました。つまり、何かを得るために必要な対価を「平和裡に」相手に渡す、というイメージです。現代英語の「給料」という意味も、労働という義務を果たすことに対する「満足」として捉えることができます。日本語の「支払い」という言葉も、単に金銭を渡すだけでなく、義務や責任を果たすニュアンスを含んでいる点において、「pay」の語源的な意味合いと共通する部分があります。
暗記法
「pay」は単なる支払いではない。中世では、領主への貢納は忠誠の証であり、騎士の戦いは恩義への報い。税金は社会の一員としての義務だ。文学では、裏切りへの報復、搾取の象徴としても描かれる。現代では「注意を払う」という敬意、「苦労する」という成功への代償も意味する。「pay」は、義務、敬意、報復、そして人間関係や社会秩序を維持する、深遠な文化的契約を象徴する言葉なのだ。
混同しやすい単語
『pay』と発音が似ており、特に母音部分が曖昧になりやすい。意味は『湾』や『月桂樹』などがあり、『pay』の『支払う』とは全く異なる。文脈で判断する必要がある。また、『bay window(出窓)』のように複合語で使われる場合もある。
発音が似ており、特に語尾の子音がないため区別が難しい。スペルも一文字違いで視覚的に混同しやすい。意味は『エンドウ豆』であり、『pay』とは全く異なる。複数形は『peas』となる。
発音が似ており、特にカタカナ英語で『パイ』と言う場合に混同しやすい。意味は『パイ』であり、お菓子や料理を指す。スペルも似ているため注意が必要。例えば、『apple pie(アップルパイ)』のように使われる。
発音が似ており、特に語頭の子音の有無が聞き取りにくい。意味は『獲物』であり、『pay』とは全く異なる。スペルも似ているため注意が必要。『predator and prey(捕食者と被食者)』のように使われる。
スペルが似ており、特に語頭の文字が異なるだけなので視覚的に混同しやすい。発音も似ている部分がある。意味は『遊ぶ』や『劇』であり、『pay』とは異なる。動詞、名詞として使われる。
発音が『pay』と非常に似ており、特に母音部分が同じように聞こえる。意味は『重さを量る』であり、『pay』の『支払う』とは全く異なる。スペルは全く異なるが、発音の類似性から混同しやすい。例えば、『weigh yourself(体重を量る)』のように使われる。
誤用例
日本語の『敬意を払う』という表現を直訳すると、つい単数形の 'respect' を使ってしまいがちです。しかし、英語では抽象的な概念としての『敬意』を表す場合でも、特に儀礼的な文脈では 'respects' と複数形を使うのが一般的です。これは、個々の行為や態度を通して、多方面から敬意を示すというニュアンスを含んでいるためです。背景には、西洋文化における形式を重んじる価値観や、抽象概念を具体的に表現しようとする言語習慣があります。日本人学習者は、つい『〜を』という助詞に引きずられて、単数形を選んでしまう傾向があります。
日本語で『お金を払う』という場合、『支払う』という行為そのものに焦点が当たります。しかし、英語の 'pay' は、何か特定の対価に対してお金を支払う、つまり『〜の代金を払う』というニュアンスが強いです。問題解決のために『お金を使った』という状況を表現したい場合は、'spend' を使う方が自然です。 'pay' は、例えば 'pay the bill' (請求書を払う) や 'pay for the service' (サービスの代金を払う) のように、具体的な対象物やサービスに対して使われます。日本人は、つい汎用性の高い『払う』という言葉を英語に直訳しようとし、'pay' を使いすぎてしまうことがあります。
'Pay attention'自体は正しい表現ですが、相手の意見を尊重するという文脈では、やや直接的すぎる印象を与える可能性があります。特にビジネスシーンやフォーマルな場面では、'take into consideration' の方が、より丁寧で相手への配慮を示す表現として適切です。日本人は、相手の意見を『注意して聞く』というニュアンスで 'pay attention' を選びがちですが、英語では単に聞くだけでなく、その意見を真剣に検討し、考慮に入れるという姿勢を示すことが重要です。文化的背景として、欧米では相手の意見を尊重するだけでなく、その意見を積極的に取り入れようとする姿勢が評価される傾向があります。
文化的背景
「pay」という言葉は、単に金銭を支払う行為を表すだけでなく、義務の履行、敬意の表出、そして時には報復や代償といった、より深い文化的意味合いを内包しています。それは、人間関係や社会秩序を維持するための、目に見えない契約を象徴する言葉なのです。
中世の封建制度において、「pay」は単なる貨幣のやり取り以上の意味を持っていました。領主への貢納は、農民が土地を利用する権利に対する対価であり、同時に忠誠の証でもありました。騎士が戦場で命を懸けて戦うことは、領主からの恩恵に対する「payback」(恩返し)であり、名誉と義務が深く結びついていました。この時代の「pay」は、経済的な価値だけでなく、社会的な地位や身分を維持するための重要な要素だったのです。現代においても、税金を「pay」することは、社会の一員としての義務を果たす行為であり、公共サービスの恩恵に対する対価という意味合いを持ちます。
文学作品においても、「pay」はしばしば重要なテーマとして登場します。例えば、シェイクスピアの作品では、裏切りや陰謀に対する「payback」(報復)が物語を動かす原動力となることがあります。また、ディケンズの小説では、貧困層が搾取される状況が描かれ、「pay」という言葉が不平等な社会構造を象徴するものとして使われています。これらの作品を通して、「pay」は単なる金銭のやり取りではなく、正義、道徳、そして人間の尊厳といった、より普遍的なテーマと結びついていることがわかります。
現代社会では、「pay」は多様な意味合いを持つようになりました。例えば、「pay attention」(注意を払う)という表現は、相手に対する敬意や関心を示す行為であり、人間関係を円滑にするための重要な要素です。また、「pay your dues」(苦労する)という表現は、成功するためには努力や犠牲が必要であることを意味し、個人の成長や達成感と結びついています。このように、「pay」は単なる経済的な行為を超えて、人間の感情、価値観、そして社会的なつながりを表す、豊かな文化的背景を持つ言葉なのです。
試験傾向
1. **出題形式**: 語彙問題、長文読解、ライティング(自由英作文)、リスニング。
2. **頻度と級・パート**: 2級以上で頻出。特に準1級、1級の語彙問題、長文読解でよく見られる。ライティングの自由英作文でも使用頻度が高い。
3. **文脈・例題の特徴**: 幅広い文脈で登場。社会問題、環境問題、ビジネス、教育など、多様なテーマで使われる。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 基本的な意味(支払う)だけでなく、自動詞としての「割に合う」「得になる」の意味も重要。`pay attention to`(注意を払う)、`pay off`(報われる)などの熟語も必須。
1. **出題形式**: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
2. **頻度と級・パート**: 全パートで頻出。特にPart 5, 6では語彙問題として直接問われることが多い。Part 7では文脈理解が重要。
3. **文脈・例題の特徴**: ビジネスシーンでの使用が圧倒的に多い。給与、経費、請求、支払いなど、ビジネスに関連する文脈で頻繁に登場する。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 名詞としての`pay`(給与)の意味も重要。`paid leave`(有給休暇)、`pay raise`(昇給)などの表現も覚えておくこと。動詞としての自動詞的な用法(割に合う)も意外と盲点。
1. **出題形式**: リーディング、リスニング。
2. **頻度と級・パート**: リーディングセクションで頻出。アカデミックな内容の文章でよく見られる。
3. **文脈・例題の特徴**: 学術的な文脈で使われることが多い。研究、経済、社会問題など、論理的な文章で登場する。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 動詞の様々な意味(支払う、割に合う、注意を払うなど)を理解しておくこと。名詞としての`pay`はTOEICほど頻繁には出ないが、覚えておくと役立つ。類義語との区別(compensate, remunerateなど)も意識すること。
1. **出題形式**: 長文読解、文法・語彙問題、英作文(自由英作文、和文英訳)。
2. **頻度と級・パート**: 難関大学ほど頻出。標準的なレベルの大学でも、長文読解で必ずと言っていいほど登場する。
3. **文脈・例題の特徴**: 幅広い文脈で登場。評論文、物語文、説明文など、様々なジャンルの文章で使われる。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 基本的な意味に加えて、`pay attention to`、`pay off`などの熟語を確実に覚えること。文脈によって意味が異なる場合があるので、前後の文脈から判断する練習をすること。和文英訳では、日本語の「払う」に安易に`pay`を当てはめないように注意。