induct
第2音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開き、短く発音します。/ʌ/ は曖昧母音で、口を軽く開けて「ア」と「オ」の中間のような音を短く発音します。語尾の /kt/ は、/k/ を発音した後、すぐに /t/ を発音するのではなく、息を止めてから /t/ を発音すると、よりネイティブに近い発音になります。日本語の「クト」のように母音を挟まないように注意してください。
迎え入れる
組織や団体に正式に加入させる、または役職に就任させる意味合い。歓迎のニュアンスを含むことが多い。
The company will induct all new employees into their training program next week.
会社は来週、すべての新入社員を研修プログラムに迎え入れます。
※ この例文は、企業が新しいメンバーを組織に正式に「迎え入れる」場面を描写しています。inductは、単に歓迎するだけでなく、研修や特定のプロセスを経て、組織の一員として導入する、という意味合いが強いです。新入社員が少し緊張しながらも、新しいスタートを切る様子が目に浮かびますね。
They decided to induct the legendary baseball player into the Hall of Fame this year.
彼らは、その伝説的な野球選手を今年、殿堂に迎え入れることを決定しました。
※ この例文は、偉大な功績を称えられ、名誉あるグループや場所(ここでは「殿堂」)に正式に「迎え入れられる」場面です。inductは、このような栄誉ある就任や入会にも使われます。多くのファンが拍手喝采を送る、感動的なセレモニーの様子が想像できます。
Our club will induct new members with a special ceremony next month.
私たちのクラブは来月、特別な式典で新しいメンバーを迎え入れます。
※ この例文は、クラブや団体が、特定の儀式や手続きを経て新しいメンバーを「迎え入れる」様子を表しています。inductは、このように何らかの承認や儀式を経て、正式に仲間に入れる際にぴったりです。新メンバーが少しドキドキしながらも、期待に胸を膨らませて式典に参加する姿が目に浮かびます。
教え込む
(人)に基礎的な知識やスキルを授けること。訓練や指導を通じて、ある分野の基本を身につけさせるイメージ。
The HR team will carefully induct all new hires into our company's rules and systems.
人事チームが、すべての新入社員に会社の規則やシステムを丁寧に教え込むでしょう。
※ 【情景】新入社員が会社に初めて入り、人事部から会社のルールや働き方を丁寧に教わる様子です。 【なぜ典型的か】「induct」は、新しい人が組織やグループに加わる際に、必要な知識やルールを「教え込む」「導入する」という、ややフォーマルな文脈でよく使われます。特に会社では「新入社員研修」のような場面で使われる典型的な表現です。 【文法】「induct A into B」で「A(人)にB(知識やルール)を教え込む、導入する」という意味になります。
The coach spent hours to induct the new player into the team's tactics.
コーチは、新しい選手にチームの戦術を教え込むのに何時間も費やした。
※ 【情景】スポーツチームに新しい選手が加わり、コーチがその選手にチーム特有の戦略や動きを熱心に指導している場面です。コーチの熱意が伝わりますね。 【なぜ典型的か】スポーツチームや軍隊など、特定のルールや技術が必要な集団に新メンバーを迎える際によく使われます。具体的なスキルや戦略を教え込む努力が伝わる例文です。 【文法】「spent hours to induct...」で、「〜を教え込むのに何時間もかけた」という時間や労力を強調できます。
My art teacher will induct us into the basic techniques of oil painting next month.
来月、私の美術の先生が私たちに油絵の基本的な技法を教え込むでしょう。
※ 【情景】美術教室で、先生がこれから始める油絵の基礎的な知識や技術を生徒たちに丁寧に教え始める様子です。新しいことを学ぶワクワク感が伝わります。 【なぜ典型的か】特定のスキルや専門分野の「基礎」や「入門」を教える場合にも使われます。この例文では、新しい趣味や学習分野への「導入」として自然に使われています。 【文法】ここでも「induct A into B」の形で、「A(人)にB(知識や技法)を教え込む」という意味を明確に表しています。
(電気を)流す
物理的な意味で、電気やエネルギーを伝導すること。電気回路や機械システムにおいて、電流を供給する状況で使われる。
The scientist carefully moved the magnet to induct a small current into the coil.
科学者は、小さな電流をコイルに流し込む(誘導する)ため、慎重に磁石を動かしました。
※ この例文は、理科の実験で電磁誘導によって電流を発生させる(流し込む)場面を描写しています。「induct」は、物理学の分野で「電気を誘導して流す」という意味でよく使われます。ここでは、磁石の動きがコイルに電流を『引き起こす』様子が伝わります。
The technician worked hard to induct power into the old, broken machine.
技術者は、古く壊れた機械に電気を流そうと懸命に作業しました。
※ ここでは、故障した機械に電気を『供給する』『通電する』というニュアンスで「induct power into X」が使われています。技術者が真剣に作業している様子が目に浮かび、単に電気をつけるのではなく、何らかの工夫や試みによって電気を流し込もうとしている状況が表現されています。
This small generator is designed to induct power into the building.
この小型発電機は、建物に電気を流すように設計されています。
※ 発電機が電気を生成し、特定の場所(この場合は建物)に『供給する』『流し込む』機能を説明する場面です。「induct power/electricity into X」は、電気機器やシステムが電気を供給する役割を果たす際に使われることがあります。「be designed to V」は「~するように設計されている」という意味で、製品の機能説明によく使われる表現です。
コロケーション
殿堂入りさせる、~を名誉ある地位に迎える
※ スポーツ選手や著名人を「Hall of Fame(殿堂)」に迎え入れる際に使われる定番の表現です。単に「入会させる」だけでなく、その人の功績を讃え、特別な地位を与えるニュアンスを含みます。例えば、野球の殿堂入りは、その選手にとって最高の栄誉の一つです。文法的には 'induct [人物] into [場所]' の形を取ります。ビジネスシーンでは、優れた業績を上げた社員を特別表彰する際に、比喩的に使われることもあります。
兵役につかせる、徴兵する
※ 主にアメリカ英語で、人を軍隊に正式に入隊させることを指します。義務兵役制度がある国でよく使われます。単に「recruit(募集する)」よりも、より公式な手続きを経て軍人にするという意味合いが強いです。歴史的な文脈や、戦争に関するニュース記事などで頻繁に見られます。例えば「He was inducted into military service during the Vietnam War.(彼はベトナム戦争中に兵役に就いた)」のように使われます。
会員として迎える、入会させる
※ 組織や団体に新しいメンバーを正式に迎え入れる際に使われる表現です。単に「join(参加する)」よりも、入会式などの儀式を経て正式なメンバーとして認めるニュアンスがあります。例えば、「He was inducted as a member of the prestigious club.(彼はその名門クラブの会員として迎えられた)」のように使われます。ビジネスの業界団体や、学術会議などでよく用いられます。
就任させる、就任式を行う
※ 主に政治的な文脈で、選出された役職者(大統領、知事など)を正式に就任させることを指します。就任宣誓などの儀式を経て、正式に職務を開始させる意味合いがあります。「inaugurate」とほぼ同義ですが、「induct」の方がややフォーマルな印象を与えます。ニュース記事や歴史的なドキュメントなどでよく見られます。例えば、「The new president was inducted into office yesterday.(新大統領は昨日就任した)」のように使われます。
正式に就任させる、正式に会員にする
※ 就任や入会などの儀式が正式な手続きを経て行われることを強調する際に使われます。「formally」は「公式に、正式に」という意味の副詞で、「induct」を修飾することで、その行為が単なる形式的なものではなく、正式な手続きに則って行われることを示します。例えば、「He was formally inducted as the chairman of the board.(彼は正式に取締役会長に就任した)」のように使われます。
儀式的に就任させる、儀式的に入会させる
※ 就任や入会などの儀式が、伝統や格式を重んじて行われることを強調する際に使われます。「ceremonially」は「儀式的に」という意味の副詞で、「induct」を修飾することで、その行為が単なる手続きだけでなく、特別な意味を持つ儀式として行われることを示します。例えば、「The new members were ceremonially inducted into the society.(新会員は儀式的に学会に入会した)」のように使われます。
使用シーン
大学の講義や学術論文で、新しい概念や理論を導入する際に使われます。例えば、社会学の授業で「この研究では、〇〇という概念を導入し、分析を行います」のように、研究手法や分析フレームワークの説明で用いられます。
企業の研修や新人研修で、社員を組織の一員として迎え入れる際に使われます。例えば、「新入社員を〇〇部に迎え入れ、OJTを実施します」のように、公式な文書や発表で使われることがあります。また、業界の殿堂入りといった文脈でも使われます。
日常会話ではあまり使いませんが、博物館や美術館で展示物を紹介する際の説明文や、歴史的な人物を顕彰する式典のニュースなどで見かけることがあります。例えば、「〇〇氏を、△△博物館の殿堂に迎え入れました」といった報道で使われます。
関連語
類義語
(人や物を)正式な場所に据え付ける、設置する。特に、役職や地位に就かせる場合に使われることが多い。物理的な設置にも使われる。ビジネスや技術分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"Induct"は、儀式的な要素やグループへの迎え入れの意味合いが強いのに対し、"install"はより実務的・機能的な意味合いが強い。例えば、ソフトウェアをインストールするように、物理的なモノやシステムを設置する際に使われる。 【混同しやすい点】"Induct"は人に対してのみ使えることが多いが、"install"は人にも物にも使える。また、"install"はしばしば技術的な文脈で使われる。
(人を)ある組織や活動に加入させる、始める。秘密結社や特定のグループへの加入儀式を伴う場合にも使われる。学術的な文脈や、プロジェクトの開始などにも使われる。 【ニュアンスの違い】"Induct"は、既存のメンバーが主体となって迎え入れるニュアンスがあるのに対し、"initiate"は、加入する側が主体的に行動を開始するニュアンスを含むことがある。また、"initiate"は、新しい活動やプロジェクトを開始するという意味合いも持つ。 【混同しやすい点】"Initiate"は、人だけでなく、プロセスやプロジェクトを開始するという意味でも使われるため、"induct"よりも広い意味を持つ。また、"initiate"はしばしば新しいことを始めるという積極的な意味合いを伴う。
(人や物を)ある場所や組織に入れることを許可する。病院への入院、学校への入学、クラブへの入会など、幅広い場面で使われる。日常会話でもよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"Induct"は、迎え入れる側の歓迎の意や儀式的な要素を含むことが多いのに対し、"admit"は、単に許可するという意味合いが強い。例えば、コンサート会場への入場を許可する場合など、形式ばらない場面で使われる。 【混同しやすい点】"Admit"は、過ちを認めるという意味も持つため、文脈によって意味が大きく異なる。また、"admit"は、場所や組織への物理的な入場だけでなく、概念的な入場も意味することがある。
(人)を登録する、名簿に載せる。学校やコース、プログラムなどに参加するために登録する際に使われる。教育関連の文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"Induct"は、迎え入れる側の歓迎の意や儀式的な要素を含むことが多いのに対し、"enroll"は、参加者が自らの意思で登録するというニュアンスが強い。また、"enroll"は、特定のコースやプログラムへの参加を前提とすることが多い。 【混同しやすい点】"Enroll"は、登録手続きが必要な場合にのみ使われる。例えば、大学の授業に登録する場合や、スポーツクラブに入会する場合などに使われる。
(物や考え)を取り入れる、組み込む。組織を法人化するという意味もある。ビジネスや法律、学術分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"Induct"は、人を組織に迎え入れるという意味に特化しているのに対し、"incorporate"は、物や考えを組み込むという意味合いが強い。また、組織を法人化するという意味も持つ。 【混同しやすい点】"Incorporate"は、人を迎え入れるという意味ではほとんど使われない。主に、要素やアイデアをシステムや計画に組み込む場合に使われる。
- usher in
(新しい時代や状況)を招き入れる、先導する。新しい時代や変化の到来を告げる際に使われる。やや文学的な表現。 【ニュアンスの違い】"Induct"は、人を組織に迎え入れるという意味に特化しているのに対し、"usher in"は、新しい時代や状況の到来を告げるという意味合いが強い。また、"usher in"は、良い変化や歓迎すべき状況に対して使われることが多い。 【混同しやすい点】"Usher in"は、人を迎え入れるという意味では使われない。主に、抽象的な概念や状況の到来を告げる場合に使われる。
派生語
名詞。「就任」「導入」「帰納法」など、文脈によって意味が変化する。動詞「induct」の行為や状態を表し、学術論文(帰納法)、ビジネス(新入社員の導入)、社会(殿堂入り)など幅広い分野で使用される。抽象的な概念を扱うため、日常会話よりもフォーマルな場面で頻出。
- inductive
形容詞。「帰納的な」「誘導的な」という意味。主に学術的な文脈で使用され、「帰納的推論」のように具体的な名詞を修飾する。-iveは「〜の性質を持つ」という意味合いを付与し、induction(帰納)という概念の性質を表す。
- inductee
名詞。「入会者」「新会員」「就任者」など、inductされた人(受動的な立場)を指す。例えば、Hall of Fame inductee(殿堂入りした人)のように使われる。接尾辞-eeは「〜される人」という意味合いを付与する。
反意語
動詞。「追放する」「除名する」という意味。inductが組織や地位に迎え入れるのに対し、expelはそこから排除する。学校からの退学(expulsion)や、国からの追放(deportation)などが該当する。inductが「内部へ導く」のに対し、expelは「外部へ押し出す」というイメージ。
動詞。「追い出す」「罷免する」という意味。特に権力や地位から強制的に排除する場合に使われる。inductが新たな地位への就任を意味するのに対し、oustは既存の地位からの失脚を意味する。政治的な文脈で頻繁に使用される。
動詞。「解放する」「退院させる」「解任する」などの意味を持つ。induct が義務や責任を負わせるのに対し、discharge はそれらを免除する。軍隊からの除隊(military discharge)や病院からの退院(hospital discharge)など、特定の組織や状態からの解放を意味する。
語源
"induct」はラテン語の「inducere(導き入れる、連れて行く)」に由来します。これは「in-(中に)」と「ducere(導く)」という2つの要素から構成されています。「in-」は文字通り「中に」という意味で、場所や状態への導入を示唆します。「ducere」は「導く、引く」という意味で、英語の「duke(公爵)」や「conduct(指揮する)」といった単語とも関連があります。つまり、「induct」は元々、「中に導き入れる」という文字通りの意味合いを持っていました。そこから、「組織や地位に迎え入れる」「(知識や技術を)教え込む」といった意味に発展し、さらに電気を「流す」という意味合いも派生しました。何かを新しい状態や環境に導く、というイメージで捉えると記憶しやすいでしょう。
暗記法
「induct」は単なる入会や就任ではない。中世騎士の叙任式を思い描けば、その重みがわかるだろう。名誉と義務、社会への責任を伴う、人生の転換点なのだ。大学の殿堂入りも同様で、選ばれた者だけが特別な共同体へ迎えられる。組織への統合は、その文化への適応を意味する。新入社員研修は、単なる業務伝達ではなく、理念や規範の共有なのだ。責任と名誉、そして帰属意識。「induct」は文化的な意味合いを深く宿している。
混同しやすい単語
『induct』と『instruct』は、接頭辞が異なるものの、語幹が似ているため混同しやすいです。『instruct』は「教える、指示する」という意味で、品詞は動詞です。発音も似ていますが、『in-』と『ins-』の部分に注意して聞き分ける必要があります。特に、動詞の活用形(instructed, instructingなど)も考慮すると、さらに混同しやすくなるため、文脈で判断することが重要です。
『induct』と『inflict』は、語頭の『in-』が共通しており、後の子音も似ているため、スペルミスや発音の聞き間違いが起こりやすいです。『inflict』は「(苦痛などを)与える、負わせる」という意味で、ネガティブな意味合いが強い動詞です。語源的には、『flict』は「打つ」という意味に関連しており、そこから「苦痛を与える」という意味に発展しました。一方、『duct』は「導く」という意味なので、語源を知ることで区別しやすくなります。
『induct』と『deduct』は、語尾の『-duct』が共通しているため、スペルを間違えやすいです。『deduct』は「差し引く、控除する」という意味で、会計や税金の文脈でよく使われます。接頭辞『de-』は「下へ」という意味合いを持ち、そこから「差し引く」という意味につながっています。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なるため(inductは語尾、deductは語頭)、意識して発音することで区別できます。
『induct』と『conduct』は、どちらも『-duct』という語尾を持ち、発音も似ているため混同しやすいです。『conduct』は「行う、実施する」という意味の動詞、または「行動、 conduct」という意味の名詞として使われます。接頭辞『con-』は「共に」という意味合いを持ち、そこから「一緒に導く」→「行う」という意味に発展しました。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。
『induct』と『inject』は、語頭の『in-』が共通しており、後の子音も似ているため、発音やスペルで混同しやすいです。『inject』は「注入する、注射する」という意味で、医療や技術の文脈で使われます。語源的には、『ject』は「投げる」という意味に関連しており、「中に投げ入れる」→「注入する」という意味に発展しました。『duct』が「導く」という意味なのに対し、『ject』は「投げる」という意味なので、語源を知ることで区別しやすくなります。
『induct』と『endure』は、発音が部分的(特に語尾の母音)に似ており、スペルも文字数が近く、視覚的に混同しやすい場合があります。『endure』は「耐える、我慢する」という意味で、困難な状況や苦痛に耐え忍ぶことを表します。発音記号を確認し、母音の質の違いを意識することで区別できます。また、意味も全く異なるため、文脈から判断することが重要です。
誤用例
『Induct』は人がある地位や組織に迎え入れられる際に使われます。新しい建物や施設に対しては、開始や開設を意味する『inaugurate』が適切です。日本人が『導入する』という日本語に引きずられ、物を対象に『induct』を使ってしまう誤りが多いです。英語では、無生物に対しては『introduce』や『establish』などが使われます。背景には、日本語の『導入』が非常に広範な意味を持つことが影響しています。
『Induct』は、ある組織や地位に『正式に迎え入れる』という意味合いが強く、感情の状態を表すのには不適切です。より感情が深く沈み込むイメージを表すには、『plunge』が適しています。日本人は、状態が『導入された』という直訳的な発想から『induct』を選んでしまうことがあります。英語では、感情の状態変化には、より直接的な表現や、状態の変化の度合いを表す動詞が好まれます。
『Induct』は人に対して使われ、規則やシステムに対しては『implement』(実行する、実施する)が適切です。日本人が『導入する』という日本語に影響され、『induct』を規則やルールに適用してしまうのはよくある間違いです。英語では、規則やシステムなどの抽象的な概念の『導入』には、『implement』の他に『introduce』も使えますが、この場合は『導入して周知する』というニュアンスが含まれます。
文化的背景
「induct」という単語は、単なる導入や就任という事実を超え、しばしば伝統、名誉、そして新たな共同体への受け入れという文化的意義を伴います。それは、個人が既存の社会構造や価値観の中に迎え入れられ、その一員として認められる儀式や過程を象徴しているのです。
「induct」が持つ重みは、歴史的な文脈において特に顕著です。中世の騎士叙任式を想像してみてください。若者が騎士道精神を誓い、剣で肩を叩かれることで正式に騎士団の一員となる瞬間、それはまさに「induct」の典型的な例です。この儀式は単なる入団手続きではなく、名誉、義務、そして社会的な責任を伴う、人生における大きな転換点を示していました。同様に、大学の名誉殿堂入りや、科学アカデミーへの加入なども、「induct」が単なる加入以上の意味を持つことを示しています。これらの場面では、個人がその分野における卓越した貢献を認められ、選ばれた者だけが参加できる特別な共同体への仲間入りを果たすのです。
現代社会においても、「induct」は組織やコミュニティへの統合を意味するだけでなく、その組織が持つ価値観や文化を受け入れることを示唆します。例えば、企業が新入社員を「induct」する際には、単に業務内容を教えるだけでなく、企業の理念や行動規範を共有し、組織文化への適応を促します。これは、新入社員が単なる労働力としてではなく、組織の一員として成長し、貢献することを期待しているからです。また、政治の世界では、新任の大臣や議員が就任宣誓を行うことも「induct」の一種であり、彼らが国民に対して責任を負い、公共の利益のために働くことを誓う重要な儀式となっています。
このように、「induct」は単なる手続き的な行為ではなく、文化的な意味合いを深く含んだ言葉です。それは、個人が新たな共同体の一員として認められ、その価値観や文化を受け入れる過程を象徴し、名誉、責任、そして所属意識といった感情と結びついて、人々の記憶に深く刻まれるのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出
- 文脈・例題の特徴: 学術的な内容、ニュース記事など
- 学習者への注意点・アドバイス: 「就任させる」「導入する」など複数の意味があるので、文脈判断が重要。関連語のinduction, inductiveなども合わせて学習。
- 出題形式: 主にPart 5, 6 (語彙・文法問題)、Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 7で稀に出題される程度
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(新入社員研修、役員の就任など)
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス関連の文脈で「就任させる」「(新しいシステムなどを)導入する」の意味で使われることが多い。類義語のappoint, introduceとの使い分けを意識。
- 出題形式: 主にリーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で時々見られる
- 文脈・例題の特徴: 学術論文、歴史的な記述
- 学習者への注意点・アドバイス: やや硬い表現なので、アカデミックな文脈での意味(「就任させる」「加入させる」)を理解しておく。名詞形inductionも重要。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で稀に出題される
- 文脈・例題の特徴: 評論文、論説文
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が問われる。単語集だけでなく、実際に文章の中でどのように使われているかを確認することが大切。