entrust
第2音節にアクセント(強勢)があります。/ʌ/ の音は日本語の『ア』と『オ』の中間のような音で、口をリラックスさせて喉の奥から出すイメージです。語尾の /st/ は、日本語話者には発音しにくい連続子音ですが、/s/ の後に短く /t/ を添えるように意識すると自然になります。
任せる
信頼して、責任や権限を人に委ねる。大切な仕事や秘密などを安心して託すニュアンス。
I decided to entrust my house key to my best friend while I was away on a trip.
旅行中、親友に家の鍵を預けることにしました。
※ 信頼できる友人に大切なものを預ける、ごく日常的な場面です。自分が不在の間、大切なものを任せるという「信頼」の気持ちが伝わります。この文のように「entrust A to B(AをBに任せる)」の形はとてもよく使われます。
The manager entrusted the important project to his most reliable team member, feeling confident in her skills.
部長は、最も信頼できるチームメンバーにその重要なプロジェクトを任せ、彼女の能力に自信を持っていました。
※ ビジネスの場面で、上司が部下の能力を信じて重要な任務を任せる様子を描いています。責任のある仕事を「任せる」というニュアンスが強く、プロフェッショナルな信頼関係が感じられます。プロジェクトの成功を期待する気持ちも含まれていますね。
Every morning, parents entrust their children's safety to the school, hoping they will be well cared for.
毎朝、親たちは子供たちの安全を学校に任せ、大切にされることを願っています。
※ 親が子供を学校に送り出し、その安全を学校側に委ねるという、社会的な信頼関係を示す場面です。個人的なものだけでなく、公共の機関や専門家に「責任を任せる」という状況でも 'entrust' は使われます。親の切なる願いも伝わりますね。
預ける
貴重品や財産などを、安全な場所に保管してもらうために一時的に渡す。銀行や倉庫などに預けるイメージ。
I entrusted my beloved cat to my sister when I went on a long business trip.
長期出張に行く際、私は大切な猫を姉に預けました。
※ この文は、あなたが心から信頼している人に、大切な家族(ペット)を任せる場面を描いています。「entrust」は、単に物を預けるだけでなく、「信頼して、責任を持って大切なものを託す」という気持ちが込められています。ここでは「entrust A to B」(AをBに預ける)という基本的な形を使っています。
Our boss entrusted the new project to Sarah, knowing she would do an excellent job.
私たちの上司は、サラが素晴らしい仕事をするだろうと信頼し、新しいプロジェクトを彼女に任せました。
※ この例文は、上司が部下(サラ)の能力を高く評価し、重要な責任(新しいプロジェクト)を任せるビジネスシーンを表現しています。「entrust」は、このように「任務や責任を信頼して委ねる」場合にもよく使われます。後ろに「knowing she would do an excellent job」(彼女が素晴らしい仕事をするだろうと知っていて)と続けることで、信頼の気持ちがより伝わりますね。
Before heading out, I entrusted my passport to the hotel's front desk for safekeeping.
外出する前に、私はパスポートを安全のためにホテルのフロントに預けました。
※ 旅行先で、貴重品(パスポート)の盗難が心配で、信頼できるホテルに預けることで安心する場面です。「entrust」は、このように「安全を確保するために、何かを信頼できる場所に預ける」状況で非常によく使われます。「for safekeeping」は「安全な保管のために」という意味で、この動詞とセットで使われることが多い便利な表現です。
委託する
特定の業務や作業を、外部の専門家や業者に依頼する。契約に基づいて正式に委任するニュアンス。
My grandmother entrusted her precious family photo album to me.
祖母は大切な家族のアルバムを私に預けてくれました。
※ この例文は、祖母が孫に、代々受け継がれてきたような大切なアルバムを「信頼して」預ける場面です。物の価値だけでなく、その中に込められた思い出や感情も一緒に任されているイメージが伝わりますね。「entrust A to B」(AをBに委ねる)という形で、大切なものを安心して任せる気持ちがよく表れています。
The boss entrusted the new employee with a challenging project.
上司は新しい従業員にやりがいのあるプロジェクトを任せました。
※ 会社で、上司が期待を込めて部下に重要な仕事や責任を「委託する」典型的な場面です。新しい従業員が責任ある仕事を任されて、少し緊張しながらもやる気に満ちている様子が目に浮かびますね。「entrust A with B」(AにBを委託する)の形で、人(A)に仕事や責任(B)を任せる際によく使われます。
She felt relieved after she entrusted her secret to her best friend.
彼女は親友に秘密を打ち明けた後、ホッとしました。
※ 誰にも言えなかった秘密を、最も信頼できる親友に「打ち明ける(託す)」という心の動きが伝わる例文です。秘密を共有することで、心の重荷が軽くなった安堵感が描かれています。これは、単に物を預けるだけでなく、情報や感情など、形のない「大切なもの」を信頼して任せる場合にも「entrust」が使われる良い例です。
コロケーション
人に秘密を打ち明ける、秘密を託す
※ 単に秘密を伝えるだけでなく、相手を信頼して秘密を守ってもらうことを期待するニュアンスが含まれます。親しい間柄や、秘密を守ってくれると信じられる相手にのみ使われます。ビジネスシーンでは、機密情報を共有する際にも使えますが、その場合はよりフォーマルな表現(confide in, share confidential information with)が好まれることもあります。ポイントは、秘密を『預ける』という行為に、信頼関係が不可欠であるという文化的背景です。
人に仕事や責任を任せる
※ 単に仕事を割り当てるだけでなく、その人の能力を信頼し、責任を持って遂行してくれると期待する意味合いが含まれます。上司が部下に仕事を任せる際や、プロジェクトリーダーがメンバーに役割を分担する際など、ビジネスシーンで頻繁に使われます。また、責任を伴うからこそ、相手への信頼を示す表現としても機能します。関連表現として、'delegate a task'がありますが、こちらはより事務的なニュアンスが強く、信頼関係の強調はありません。
資金を管財人に委託する
※ 法的・金融的な文脈でよく用いられる表現です。資金を安全に管理・運用するために、信頼できる管財人(trustee)に預けることを指します。この場合の'trustee'は、個人だけでなく、信託銀行などの機関である場合もあります。'funds'の代わりに'assets'(資産)も使われます。日常会話よりも、契約書や法律関連の文書で目にすることが多いでしょう。背景には、財産を適切に管理するために専門家への委託が不可欠であるという考え方があります。
自分の命を人に委ねる、命を預ける
※ 非常に強い信頼関係を示す表現で、文字通り自分の生死を相手に託すことを意味します。戦場での兵士同士、医師と患者、あるいは危険な状況で互いを助け合う場合などに使われます。比喩的に、人生の重要な決断を他人に委ねる場合にも使われることがあります。この表現を使う場合は、相手に対する絶対的な信頼が前提となります。類似表現に'put one's life in someone's hands'がありますが、こちらも同様に強い信頼を示します。
未来を次世代に託す
※ 社会や組織のリーダーが、将来の展望を若い世代に託すという意味合いで使われます。この表現は、次世代への期待と、自分たちの世代の限界を認識していることを示唆します。政治的な演説や、企業のトップが退任する際のスピーチなどで用いられることが多いです。背景には、社会の持続可能性や進歩のためには、若い世代の力が必要不可欠であるという考え方があります。
その件を誰かの判断に任せる
※ ある問題や判断を、特定の人物の裁量に委ねるという意味です。ビジネスシーンやフォーマルな状況でよく使われ、相手の知識、経験、判断力を信頼していることを示します。'discretion'は「裁量、分別」という意味で、相手に状況を考慮し、適切な判断を下すことを期待するニュアンスが含まれます。関連表現として、'leave it to someone'がありますが、こちらはよりカジュアルな表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや分析結果を解釈する際に使われることがあります。例えば、「The analysis entrusted to statistical methods revealed a significant correlation.(統計的手法に委ねられた分析は、有意な相関関係を明らかにした)」のように、分析や評価を特定のメソッドや専門家に「委ねる」というニュアンスで用いられます。研究者が客観性や信頼性を強調したい場合に適しています。
ビジネスシーンでは、プロジェクトやタスクを誰かに「任せる」「委託する」という意味で使われます。例えば、「We entrusted the marketing campaign to a specialized agency.(我々はマーケティングキャンペーンを専門の代理店に委託した)」のように、責任や権限を移譲する際に用いられます。報告書や契約書などのフォーマルな文書でよく見られます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、重要な任務や責任を誰かに「託す」状況を描写する際に使われることがあります。例えば、「The captain entrusted the safety of the passengers to his experienced crew.(船長は乗客の安全を経験豊富な乗組員に託した)」のように、ややドラマチックな文脈で使われることが多いです。
関連語
類義語
権限や責任を他の人に委譲する、という意味。主にビジネスや組織運営の場面で使用される。権限委譲。 【ニュアンスの違い】entrust が信頼に基づいて何かを任せるのに対し、delegate は組織的な役割分担や効率化のために権限を移譲するというニュアンスが強い。よりフォーマルな場面で使われる。 【混同しやすい点】delegate は権限や責任を委譲する対象が、部下やチームメンバーなど、組織内で関係性がある人に限られることが多い。entrust は必ずしもそうではない。
仕事や任務を割り当てる、という意味。ビジネス、教育、軍事など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】entrust が相手の能力や誠実さを信頼して任せるニュアンスを含むのに対し、assign は単に役割やタスクを割り当てるという客観的な行為を指す。感情的な要素は薄い。 【混同しやすい点】assign は具体的なタスクや役割を割り当てる場合に使い、抽象的な概念や秘密情報などを任せる場合には entrust が適切。
物理的な物や責任などを手渡す、引き渡す、という意味。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】entrust が信頼に基づいて何かを託すニュアンスを含むのに対し、hand over は単に所有権や管理権を移転する行為を指す。しばしば義務的な意味合いを伴う。 【混同しやすい点】hand over は物理的な物や具体的な責任の移転に使われることが多い。抽象的な概念や秘密情報などを託す場合には entrust が適切。
責任を持って何かを行う、委ねる、という意味。しばしば「commit to」の形で使われ、約束や献身を表す。 【ニュアンスの違い】entrust が何かを人に委ねるのに対し、commit は自分自身を何かに捧げる、あるいは約束するという意味合いが強い。主語が異なる点に注意。 【混同しやすい点】entrust は他動詞であり、委ねる対象が必要だが、commit は自動詞的な用法が多く、「commit to doing」のように再帰的な意味合いを持つことが多い。
秘密や個人的な事柄を打ち明ける、という意味。親しい間柄での会話や文学作品でよく使われる。 【ニュアンスの違い】entrust が物事を人に託す意味であるのに対し、confide は秘密や感情を人に打ち明けるという意味。信頼関係があることが前提となる点は共通するが、対象が異なる。 【混同しやすい点】confide は「confide in 人」の形で使われ、打ち明ける相手を明示する必要がある。entrust は委ねる対象が物や事柄であり、人が目的語になることは少ない。
責任や義務を負わせる、という意味。ビジネスや公的な場面で使用されることが多い。 【ニュアンスの違い】entrust が信頼に基づいて何かを任せるのに対し、charge は義務や責任を強制的に負わせるニュアンスが強い。命令や指示に近い。 【混同しやすい点】charge はしばしば「charge with」の形で使われ、罪状や義務の内容を明示する必要がある。entrust はより広い意味で、信頼関係に基づいた委任を表す。
派生語
『受託者』や『管財人』という意味の名詞。「entrust」の行為を受ける人、つまり『信頼を寄せられる人』を指す。財産管理や組織運営など、責任ある役割を担う人物を指すことが多く、ビジネスや法律関連の文書で頻繁に見られる。
『信頼できる』という意味の形容詞。「trust(信頼)」+「worthy(価値がある)」という構成で、『信頼に値する』という性質を表す。人柄や情報、製品など、幅広い対象に使用され、日常会話からビジネスシーンまで広く用いられる。
- distrust
『不信』という意味の名詞または動詞。接頭辞「dis-(否定)」が「trust(信頼)」に付くことで、意味が反転している。政治的な議論や人間関係において、信頼関係の欠如や疑念を表現する際に用いられる。
反意語
『差し控える』や『保留する』という意味の動詞。「entrust」が何かを相手に委ねるのに対し、「withhold」は何かを相手に与えずに保持することを意味する。情報、資金、許可など、さまざまな対象に対して使用され、ビジネスや法律関連の文脈でよく見られる。
『回収する』や『取り戻す』という意味の動詞。「entrust」が一度委ねたものを手放すのに対し、「retrieve」は手放したものを再び自分の元へ戻すことを意味する。データ、物品、権利など、様々な対象に使用され、ITやビジネスの文脈で用いられる。
『疑う』という意味の動詞または名詞。「entrust」が信頼を置くことの反対として、「doubt」は真実性や能力に疑問を抱くことを意味する。日常会話から学術的な議論まで幅広く使用され、確信の欠如や不確実性を表現する。
語源
"entrust"は、「任せる」「委託する」という意味ですが、その語源は「in(中に)」を意味する接頭辞 "en-" (古フランス語由来) と、「信頼」を意味する "trust" が組み合わさったものです。元々は「信頼の中に入れる」というイメージから、「信頼して預ける」「安心して任せる」という意味合いが生まれました。例えば、大切な物を信頼できる人に預けるとき、「entrust」を使うことで、単に「渡す」だけでなく、信頼の気持ちが込められていることを表現できます。日本語の「託す(たくす)」という言葉にも近いニュアンスがあり、責任や期待を伴って何かを人に委ねる状況で用いられます。
暗記法
「entrust」は信頼の証。中世では土地の委託が忠誠の誓いであり、裏切りは社会の罪でした。ハムレットでは復讐が、失楽園では宇宙の秩序が託され、物語を動かす原動力に。現代では企業がプロジェクトを、個人が資産を託すように、倫理観が問われます。デジタル社会では個人情報を託すことへの懸念も。時代とともに変化し、信頼の重みを問いかける言葉、それが「entrust」です。
混同しやすい単語
『entrust』とスペルの一部が共通しており、特に接頭辞 'en-' に注意が必要です。意味は『興味』や『利子』であり、名詞または動詞として使われます。発音も異なりますが、スペルが似ているため、文脈で意味を判断する必要があります。'en-' は「~にする」という意味を持つ接頭辞であり、'entrust' は「信頼を置くようにする」という意味合いです。
接頭辞 'dis-' が付いているため、'entrust' と対義語であると誤解しやすい単語です。意味は『不信』であり、名詞または動詞として使われます。スペルも似ていますが、意味は正反対なので注意が必要です。'dis-' は否定を表す接頭辞であり、'distrust' は「信頼しない」という意味になります。
語幹部分 '-trude' の発音が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。意味は『侵入する』であり、'entrust' の『委ねる』という意味とは全く異なります。スペルも異なりますが、発音の類似性から混乱を招くことがあります。'intrude' は 'in-'(中に)と 'trude'(押し出す)が組み合わさった単語で、「無理やり中に入る」イメージです。
接頭辞 'in-' と語尾 '-trust' の一部がスペル的に似ており、視覚的に混同しやすい場合があります。意味は『勤勉な』であり、形容詞として使われます。発音も意味も大きく異なるため、スペルの類似性に惑わされないように注意が必要です。'industrious' は 'industry'(産業、勤勉さ)に関連する単語です。
'en-' で始まるため、'entrust' と同様に何かを「~にする」という意味合いを持つと誤解する可能性があります。'ensure' は『保証する』という意味で、'entrust' の『委ねる』とは意味が異なります。発音も異なりますが、スペルの類似性から混乱を招くことがあります。'ensure' は「確実にする」という意味合いです。
接頭辞 'en-' が共通しており、名詞形である '-ance' が付いているため、'entrust' とスペルが似ていると感じることがあります。意味は『入り口』であり、名詞として使われます。発音も意味も大きく異なるため、スペルの類似性に惑わされないように注意が必要です。 'entrance' は「入る場所」という意味合いです。
誤用例
多くの日本人学習者は「entrust A to B」というパターンを「AをBに委ねる」と暗記しがちです。しかし、この構文は「A(人)にB(物事)を委ねる」という意味合いが強く、目的語が人の場合に、その人に『〜する』という行為を委ねる場合は「entrust A with B(doing)」とするのが自然です。to不定詞を使うと、やや不自然な印象を与えます。日本語の「〜に」という助詞に引きずられず、前置詞の持つニュアンスを理解することが重要です。
「entrust」は、単に物を預けるだけでなく、強い信頼感や責任を伴うニュアンスがあります。ホテルに猫を預けるという行為自体は問題ありませんが、猫という大切な存在を託す場合には、より丁寧に「I entrusted my cat to the care of...(〜の世話に委ねた)」と表現することで、信頼関係を強調できます。単なる預かりではなく、手厚いケアへの期待を込めるニュアンスです。また、「entrust A to B」のBには、通常、信頼できる個人や組織が来ます。無生物のホテルに直接entrustするのは、やや不自然に聞こえることがあります。
「entrust」は、権威ある存在(上司、組織、神など)が、信頼を置いて重要な任務や責任を人に委ねる場合に適しています。一方、「task」はより中立的で、割り当てられた任務、職務を意味します。「私たちは伝統を守ることを委ねられている」という文脈では、誰から委ねられているのかが不明確なため、より客観的に「任務を与えられている」という意味合いの「task」を使う方が適切です。また、受動態で使う場合、「entrusted」はやや硬い印象を与えるため、日常会話では「tasked」の方が自然に聞こえる場合があります。日本語の「委ねる」という言葉が持つ重みに引きずられず、文脈に応じた適切な動詞を選ぶことが大切です。
文化的背景
「entrust」は、単に何かを預けるという行為を超え、信頼という目に見えない絆を象徴する言葉です。古代から現代に至るまで、この言葉は権力、秘密、そして人間関係の核心に深く根ざし、その意味合いは社会構造や価値観の変化とともに微妙に変化してきました。
中世ヨーロッパにおいては、土地や財産を「entrust」することは、単なる委託以上の意味を持ちました。封建制度の下では、領主が家臣に土地を「entrust」することで、忠誠と奉仕の義務が生まれます。これは、単なる経済的な取引ではなく、社会的な秩序を維持するための重要な儀式でした。また、王が臣下に重要な任務を「entrust」する際には、その人物の能力だけでなく、人柄や忠誠心が厳しく吟味されました。裏切りは社会全体の安定を脅かす行為であり、「entrust」された信頼を裏切ることは、最も重い罪の一つと見なされたのです。
文学作品においても、「entrust」はしばしば重要なテーマとして登場します。シェイクスピアの悲劇『ハムレット』では、亡き父の霊がハムレット王子に復讐を「entrust」します。この「entrust」は、ハムレットの運命を大きく左右し、物語全体の悲劇的な展開を引き起こす原動力となります。また、ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』では、神が天使たちに宇宙の秩序を「entrust」する場面が描かれます。しかし、ルシファーの反逆によって、この「entrust」は破られ、楽園からの追放という悲劇へとつながります。これらの例からもわかるように、「entrust」は単なる行為ではなく、責任、義務、そして信頼という複雑な概念と深く結びついているのです。
現代社会においては、「entrust」はより広範な意味を持つようになりました。企業が従業員に重要なプロジェクトを「entrust」する際には、その人物のスキルや経験だけでなく、リーダーシップや協調性も評価されます。また、個人が資産運用を専門家に「entrust」する際には、その専門家の知識や実績だけでなく、倫理観や透明性も重視されます。このように、「entrust」は、単なる委託行為を超え、信頼関係に基づいた長期的なパートナーシップを築くための重要な要素となっているのです。そして、デジタル時代においては、個人情報や機密情報を企業や政府に「entrust」することに対する懸念が高まっています。情報の漏洩や悪用は、個人のプライバシーを侵害するだけでなく、社会全体の信頼を揺るがす行為として厳しく批判されるでしょう。「entrust」という言葉は、常に変化する社会の中で、信頼の重要性を私たちに問い続けているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題
- 文脈・例題の特徴: ビジネス、社会問題、科学など幅広いテーマ
- 学習者への注意点・アドバイス: 他動詞であること、entrust A to B (AをBに委ねる)の形を覚える。trustとのニュアンスの違いに注意
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め), Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 7
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(人事、契約、プロジェクトなど)
- 学習者への注意点・アドバイス: 委託、委任の意味で使われることが多い。受動態(be entrusted with)の形も重要
- 出題形式: リーディングセクション
- 頻度と級・パート: 頻出
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな文章(歴史、社会学、心理学など)
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を説明する文脈で使われることが多い。類義語のdelegate, assignとの違いを理解する
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が求められる。派生語(trust, trusteeなど)も覚えておく