dispel
第一音節の /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開いて発音する短い母音です。第二音節にアクセント(ˈ)があるので、「ペ」を意識して強めに発音しましょう。語尾の /l/ は舌先を上前歯の裏につけて発音します。日本語のラ行のような音が入らないように注意してください。
専門的な内容に関するご注意
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払拭する
疑念、不安、誤解などを、議論や証拠によって取り除くこと。雰囲気や感情など、目に見えないものを対象とすることが多い。
The teacher's warm smile helped to dispel my nervousness before the presentation.
先生の温かい笑顔が、プレゼン前の私の緊張を和らげるのに役立ちました。
※ プレゼン前でドキドキしているときに、先生が優しく微笑んでくれて、不安な気持ちがスーッと消えていく様子が目に浮かびます。「dispel」は、このように心の中のネガティブな感情を「追い払う」「和らげる」ときによく使われます。「help to 動詞」で「〜するのを助ける」という意味ですが、「to」は省略されることも多いです(例: help dispel)。
He quickly explained the situation to dispel any misunderstandings among his friends.
彼はすぐに状況を説明し、友達の間にある誤解を解きました。
※ 友達の間でちょっとした誤解が生まれたけれど、彼がすぐに説明してくれたおかげで、わだかまりがすっかりなくなった、そんな場面です。「dispel」は、誤解や間違った情報を「晴らす」ときにも非常に自然に使われます。「to dispel...」は「~するために」という目的を表す不定詞です。「misunderstanding」は「誤解」という意味です。
A good joke can often dispel the tension in a serious meeting.
気の利いたジョークは、真剣な会議の緊張感をしばしば払拭することができます。
※ 真剣な会議でみんなが緊張している中、誰かが気の利いたジョークを言ったことで、張り詰めていた空気が和らぎ、リラックスした雰囲気に変わる様子が想像できます。「dispel」は、空気や雰囲気の中にある「重苦しさ」や「緊張」を「取り除く」ニュアンスで使えます。「tension」は「緊張」という意味の名詞で、心理的な緊張感にも使われます。
追い散らす
群衆、霧、暗雲などを、力や勢いによって四散させること。物理的な対象だけでなく、比喩的に恐怖や絶望などを打ち払う意味でも用いられる。
A teacher's warm smile helped to dispel the children's nervousness on their first day.
先生の温かい笑顔が、子どもたちの初日の緊張を和らげるのに役立ちました。
※ 新しい学校の初日、不安そうな子どもたちに先生が優しく微笑みかけ、彼らの緊張が解けていく様子を描写しています。「dispel」は、心の中にある「不安」や「恐怖」といったネガティブな感情を「追い払う」「払拭する」という文脈で非常によく使われます。ここでは「nervousness(緊張・不安)」が対象です。
His honest apology immediately dispelled all my anger and doubts.
彼の誠実な謝罪は、私の全ての怒りや疑いをすぐに消し去った。
※ 誰かとの間にわだかまりがあったけれど、相手の心からの謝罪によって、怒りや疑念といったネガティブな感情がパッと消え去る瞬間です。「dispel」は、「misunderstanding(誤解)」や「doubt(疑い)」「anger(怒り)」など、人間関係におけるネガティブな感情や認識を「払拭する」際にも頻繁に使われます。
The cheerful music helped to dispel the gloomy atmosphere in the quiet cafe.
陽気な音楽が、静かなカフェの陰気な雰囲気を追い払うのに役立った。
※ 少し重苦しい雰囲気のカフェに、明るい音楽が流れ始め、その場の空気がパッと明るくなる様子を描写しています。「dispel」は、部屋や場所の「mood(気分)」や「atmosphere(雰囲気)」といった、漠然とした「空気感」を良い方向に変える、つまり「暗いものを追い払う」という意味でも使われます。
コロケーション
疑念を払拭する、疑いを晴らす
※ 「dispel」の最も一般的な使い方のひとつです。漠然とした不安や疑念を、具体的な証拠や説明によって取り除くことを指します。例えば、企業の広報活動で「消費者の懸念を払拭する」といった文脈や、科学的な研究結果が「従来の誤った考えを払拭する」といった場面で使用されます。文法的には「動詞 + 名詞」の組み合わせで、ビジネスシーンや報道など、比較的フォーマルな場面でよく見られます。
恐怖を払拭する、不安を取り除く
※ こちらも非常によく使われる表現で、特に公共の安全や健康に関する不安を鎮める文脈で登場します。政府や医療機関が「新型ウイルスの恐怖を払拭する」ために情報公開を行う、といった状況が考えられます。「doubts」と同様に、「動詞 + 名詞」の構成で、報道や公共アナウンスメントなど、やや硬い文体で使われることが多いです。心理的な恐怖だけでなく、経済的な不安など、幅広い対象に使えます。
幻想を打ち砕く、誤った思い込みを捨てる
※ 「illusion」は「錯覚、幻想」という意味で、現実とは異なる非現実的な考えを指します。このコロケーションは、理想や願望に基づいた甘い考えを、現実を突きつけることで打ち砕くニュアンスを含みます。例えば、「成功への幻想を打ち砕く」といったように、自己啓発やビジネス書などでよく見られる表現です。やや文学的な響きもあり、比喩的な意味合いで使用されることが多いです。
迷信を打ち破る、誤った通説を正す
※ 「myth」は「神話、作り話」という意味ですが、ここでは「根拠のない通説、迷信」といった意味合いで使われます。科学的な根拠や歴史的な事実に基づいて、長年信じられてきた誤った考えを正すことを指します。例えば、「健康に関する迷信を打ち破る」といった文脈で使用されます。学術的な論文や啓蒙活動など、論理的な説明が求められる場面でよく用いられます。
暗闇を払う、暗雲を吹き飛ばす
※ 物理的な暗闇だけでなく、比喩的に「絶望的な状況、困難な状況」を明るくすることを意味します。希望の光を灯す、困難を乗り越えるといったニュアンスを含み、文学作品やスピーチなどでよく使われます。例えば、「希望の光で暗闇を払う」といった表現は、困難な状況にある人々を励ますメッセージとして効果的です。やや詩的な表現であり、感情に訴えかける場面に適しています。
考えを捨てる、先入観をなくす
※ 特定の考えや概念 (notion) が誤っていることを示し、それを捨てさせる、あるいはその考えを払拭することを意味します。例えば、「~は不可能だという考えを捨てる」のように使われます。ビジネスや学術的な議論で、既存の考え方に挑戦する際に用いられることが多いです。少しフォーマルな表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、誤解や先入観を「払拭する」意味で使用されます。例えば、統計データを用いて「従来の仮説をデータによって払拭する」といった文脈で使用されます。研究者が自身の研究の正当性を示す際に用いられる、やや硬い表現です。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、不安や懸念を「払拭する」意味で使用されます。例えば、プロジェクトの遅延に対する「顧客の不安を払拭するために、進捗状況を詳細に報告する」といった状況です。フォーマルな場でのみ使用され、日常会話ではほとんど使われません。
ニュース記事やノンフィクション作品で、噂や迷信を「払拭する」意味で使用されることがあります。例えば、「科学的な証拠が、長年の迷信を払拭した」というような文脈です。日常会話では、より平易な言葉(例えば、get rid of)が好まれます。
関連語
類義語
不要なものや有害なものを完全に取り除く、排除するという意味。ビジネス、科学、政治など、フォーマルな文脈でよく使われる。対象は具体的な物から抽象的な概念まで幅広い。 【ニュアンスの違い】"dispel"が誤解や疑念など、あいまいなものを払拭するのに特化しているのに対し、"eliminate"はより広範な対象に対して、根絶やしにするニュアンスを持つ。また、"eliminate"は計画的、組織的に行うニュアンスが強い。 【混同しやすい点】"dispel"は通常、恐怖や疑念などの感情や考えに対して使われるが、"eliminate"は物理的なものや、問題、障害など、より具体的なものに対して使われることが多い。例えば、「誤解を解く」は"dispel a misunderstanding"だが、「競争相手を排除する」は"eliminate a competitor"となる。
追放する、払いのけるという意味。文学的な表現や、強い感情を伴う状況で使われることが多い。人や考えなどを強制的に排除するニュアンス。 【ニュアンスの違い】"dispel"が対象を徐々に消し去るイメージなのに対し、"banish"は強制的に、かつ完全に排除するイメージ。また、"banish"は比喩的に、ネガティブな感情や考えを追い払う意味でも使われるが、より劇的な状況で用いられる。 【混同しやすい点】"dispel"は対象が必ずしもネガティブなものではない場合もあるが、"banish"は通常、ネガティブなものに対して使われる。また、"banish"は人を追放するという意味合いもあるため、対象が人である場合は"dispel"とは置き換えられない。
徐々に消えてなくなる、散逸するという意味。気体や液体、エネルギーなどが拡散していく様子や、感情や希望などが薄れていく様子を表す。物理的な現象から抽象的な概念まで幅広く使える。 【ニュアンスの違い】"dispel"が能動的に何かを消し去るのに対し、"dissipate"は自然に消えていくニュアンス。また、"dissipate"は時間経過とともに徐々に消えていくイメージが強い。 【混同しやすい点】"dispel"は他動詞で、主体が何かを消し去る行為を表すが、"dissipate"は自動詞で、何かが自然に消えていく状態を表す。例えば、「霧を晴らす」は"dispel the fog"だが、「霧が晴れる」は"The fog dissipates"となる。
苦痛や困難などを軽減する、和らげるという意味。医療、福祉、経済など、苦しみや問題を緩和する文脈で使われる。症状や問題を一時的に軽くするニュアンス。 【ニュアンスの違い】"dispel"が完全に消し去るのに対し、"alleviate"は苦しみや問題を一時的に軽減する意味合いが強い。また、"alleviate"は苦痛や困難など、ネガティブなものに対してのみ使われる。 【混同しやすい点】"dispel"は抽象的な概念(疑念、不安など)を対象とするが、"alleviate"は苦痛や困難など、より具体的な問題を対象とする。例えば、「不安を解消する」は"dispel anxiety"だが、「痛みを和らげる」は"alleviate pain"となる。
問題や疑問などを解決する、解明するという意味。ビジネス、法律、人間関係など、対立や不明確さを解消する文脈で使われる。困難を乗り越えて解決するというニュアンス。 【ニュアンスの違い】"dispel"が誤解や疑念などを払拭するのに対し、"resolve"はより複雑な問題や対立を解決する意味合いが強い。また、"resolve"は時間と労力をかけて解決するというニュアンスを含む。 【混同しやすい点】"dispel"は感情や考えを対象とするが、"resolve"は問題や対立など、より具体的な状況を対象とする。例えば、「疑念を晴らす」は"dispel doubts"だが、「紛争を解決する」は"resolve a conflict"となる。
反論する、論破するという意味。議論や討論など、相手の主張の誤りを指摘する文脈で使われる。証拠や論理を用いて反駁するニュアンス。 【ニュアンスの違い】"dispel"が漠然とした疑念や不安を払拭するのに対し、"refute"は明確な主張や意見に対して反論する意味合いが強い。また、"refute"は証拠や論理を用いて相手を打ち負かすというニュアンスを含む。 【混同しやすい点】"dispel"は感情や考えを対象とするが、"refute"は主張や意見など、言葉で表現されたものを対象とする。例えば、「疑念を晴らす」は"dispel doubts"だが、「主張を論破する」は"refute an argument"となる。
派生語
『追い出す、追放する』という意味の動詞。『ex-(外へ)』+『pel(押す、駆り立てる)』という語構成で、『dispel(四方へ追い散らす)』と近いイメージを持つ。フォーマルな場面で使われ、比喩的に感情や考えを追い払う意味でも用いられる。
『撃退する、反発する』という意味の動詞。『re-(再び、後ろへ)』+『pel(押す)』で、『押し返す』というイメージ。物理的な意味だけでなく、感情的な反発を表す際にも使われる。科学的な文脈でも頻繁に登場する。
『強制する、強いる』という意味の動詞。『com-(共に、強く)』+『pel(押す)』で、『強く駆り立てる』というイメージ。義務感や必要性に迫られて何かをせざるを得ない状況を表す。ビジネスや法律関連の文書でよく見られる。
反意語
『集める、収集する』という意味の動詞。『dispel』が何かを拡散させるのに対し、『gather』は一点に集約する。情報、人々、物など、様々な対象に対して用いられる。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで幅広く使用される。
『蓄積する、積み重ねる』という意味の動詞。『dispel』が何かを消散させるのに対し、『accumulate』は徐々に量を増やす。富、知識、経験など、抽象的な概念にも適用される。経済や科学の分野でよく用いられる。
『育む、促進する』という意味の動詞。『dispel』が何かを打ち消すのに対し、『foster』は成長や発展を助ける。才能、関係、アイデアなど、ポジティブなものを育てる文脈で使われる。教育やビジネスの分野で頻出する。
語源
"Dispel"は、ラテン語の"dispellere"に由来します。これは"dis-"(分離、否定の意味)と"pellere"(押す、駆り立てるの意味)という二つの要素から構成されています。つまり、文字通りには「押し離す」「追い払う」という意味合いを持ちます。現代英語における「払拭する、追い散らす」という意味は、この語源的な意味が拡張されたものです。たとえば、日本語で「霧を晴らす」という表現がありますが、これは比喩的に疑念や不安を「dispel」することと似ています。何かを力強く押しやって取り除くイメージとして捉えると、記憶に残りやすいでしょう。
暗記法
「dispel」は、悪霊を祓う儀式にルーツを持つ言葉。中世の迷信深い時代から、理性で無知を打ち払う啓蒙思想の中で使われてきた。シェイクスピア作品では、疑念を「dispel」できないことが悲劇を生む。現代では、フェイクニュースを「dispel」し、心の闇を克服する希望の光。社会と個人の両面で、負の力を払拭し、解放するイメージを想起させる。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語頭の母音部分が曖昧になりやすい。スペルも 'disp-' と 'exp-' の接頭辞部分のみが異なるため、視覚的にも混同しやすい。『expel』は『追放する』という意味で、強制的に何かを追い出すニュアンスがあるのに対し、『dispel』は疑念や恐怖などを晴らす意味で使われる。日本人学習者は、接頭辞の意味の違い('dis-' は分離、'ex-' は外へ)を意識すると区別しやすい。
語尾の音が似ており、特に早口で発音された場合に聞き間違えやすい。スペルも 'p' と 'sp' の違いのみ。意味は『訴える』、『魅力がある』などで、根本的に異なる。ただし、比喩的な用法では『dispel』が『(誤解などを)払拭する』という意味で使われるのに対し、『appeal』が『(感情に)訴える』という意味で使われることがあり、文脈によっては意味の関連性も感じられるかもしれない。注意点として、'appeal' は可算名詞としても使用される。
スペルが似ており、特に語頭の 'dis' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。意味は『展示する』、『表示する』で、『dispel』とは全く異なる。ただし、'display' が『(感情などを)見せる』という意味で使われる場合、『dispel』が『(感情などを)取り除く』という意味で使われる場合、両者は対照的な意味合いを持つ。日本人学習者は、語尾の 'play' に注目すると区別しやすい。Play には『演じる』という意味合いが含まれる。
発音がやや似ており、特に語尾の 'spair' の部分が共通しているため、混同しやすい。スペルも似ている。意味は『絶望』であり、『dispel』とは全く異なる。ただし、『despair』が名詞として使われる場合、『dispel』が動詞として使われるため、品詞が異なることを意識すると区別しやすい。語源的には、'despair' は 'hope' (希望) を失うことを意味する。
スペルの一部が共通しており、特に 'spell' 自体が単語を『綴る』という意味を持つため、スペルミスをしやすい。意味は『呪文』、『綴る』などであり、『dispel』とは全く異なる。ただし、『dispel』が『(疑念などを)晴らす』という意味で使われるのに対し、『spell』が『(魔法で)操る』という意味で使われる場合、両者は対照的な意味合いを持つ。日本人学習者は、'dis-' の接頭辞の意味(分離、否定)を意識すると区別しやすい。
発音が似ており、特に語尾の '-el' の部分が共通しているため、混同しやすい。スペルも 'dispel' と 'rebel' は文字数が近く、視覚的に似ている。『rebel』は『反逆者』、『反逆する』という意味で、政治的な意味合いが強い。一方、『dispel』は抽象的な概念を打ち消す意味合いが強い。日本人学習者は、語頭の 're-' の接頭辞の意味(再び、反対)を意識すると区別しやすい。例えば、'repeat' と 'defeat' のように、接頭辞が意味を大きく変える例を参考にすると良い。
誤用例
「dispel」は、不安、疑念、迷信など、抽象的で非物質的なものを払拭する際に用いられることが多いです。経済危機のような大規模な問題に対しては、それを完全に消し去るのではなく、軽減・緩和するというニュアンスの「alleviate」や「mitigate」がより適切です。日本人が『払拭する』という言葉から安易に『dispel』を選んでしまうのは、日本語の抽象的な表現が英語にそのまま対応しない典型的な例です。より具体的な対策を講じるニュアンスを出すには、'address'や'tackle'も使えます。
「dispel」は、内面的な感情を『追い払う』ニュアンスで使うことは可能ですが、怒りを爆発させるという行為には適合しません。ここでは、怒りを外に『発散する』という意味の「vent」が適切です。日本人は『怒りを解消する』という表現から、単純に『解消=dispel』と捉えがちですが、英語では感情の表出方法によって適切な動詞を選ぶ必要があります。文化的な背景として、英語圏では感情をストレートに表現することが、ある程度許容される傾向があり、その表出方法を表す語彙も豊富です。
「dispel」は、何かを追い払う主体が、ある程度の能動性や意図を持っている場合に適しています。太陽光のように自然発生的な現象が暗闇を消し去る場合には、「dissipate」(徐々に消滅させる)がより自然です。日本人は『太陽が暗闇を打ち払う』という表現から、力強いイメージで『dispel』を選んでしまうことがありますが、英語では現象の主体と客体の関係性を考慮して適切な動詞を選ぶ必要があります。また、'dispel' はしばしば比喩的な意味合いで使用され、物理的な現象には 'scatter' や 'banish' がより適切かもしれません。
文化的背景
「dispel」は、単に何かを消し去るだけでなく、特に不安や疑念、誤った考えなど、人々の心や社会全体を覆う負の力を払拭し、解放するイメージを伴う言葉です。中世の迷信が色濃く残る時代から、理性と科学の光で無知や偏見を打ち払うという啓蒙思想の文脈で頻繁に用いられてきました。
「dispel」が持つ文化的背景を理解する上で興味深いのは、かつて人々が病気や災厄を悪霊の仕業と信じていた時代の名残です。悪霊を追い払う儀式や祈祷は、まさに「dispel」の原点とも言えるでしょう。シャーマンや聖職者が行う祓魔の儀式は、目に見えない力に対する人々の恐怖を「dispel」しようとする試みでした。シェイクスピアの戯曲『マクベス』には、魔女たちが登場し、マクベスを惑わす予言をしますが、彼が最終的に破滅するのは、この予言に囚われ、疑念を「dispel」できなかったからだとも解釈できます。文学作品において、「dispel」は、登場人物が真実を見抜き、心の闇を克服する過程を描写する上で重要な役割を果たしてきました。
現代社会においても、「dispel」は重要な意味を持ち続けています。フェイクニュースや誤情報が蔓延する情報過多の時代において、真実を明らかにし、人々の疑念や不安を「dispel」することは、民主主義社会の健全性を保つ上で不可欠です。科学的な研究やジャーナリズムの役割は、客観的な証拠に基づいて誤った情報を「dispel」し、人々に正しい知識を提供することにあります。また、社会的な偏見や差別を「dispel」するためには、教育や啓発活動を通じて、人々の意識を変革していく必要があります。「dispel」は、単なる言葉ではなく、より良い社会を築くための希望の光を象徴する言葉と言えるでしょう。
さらに、「dispel」は、個人的な心の葛藤を乗り越える際にも用いられます。過去のトラウマや心の傷によって生じたネガティブな感情を「dispel」し、心の平穏を取り戻すことは、精神的な健康を維持する上で重要です。セラピーや瞑想などの実践は、自己理解を深め、心の奥底に潜む不安や恐れを「dispel」する手助けとなります。このように、「dispel」は、個人レベルから社会全体まで、幅広い文脈で使用され、人々の心に希望と解放をもたらす力強い言葉として、文化の中に深く根付いています。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題で出題される可能性あり。長文読解で文脈から意味を推測させる形式も考えられる。ライティングで高度な語彙として使用できると加点対象になることも。注意点としては、やや硬い表現なので、日常会話での使用は避けるのが無難。
Part 5, 6の語彙問題でまれに出題される。Part 7の長文読解で、間接的に意味を理解する必要がある場合もある。ビジネスシーンでの使用頻度は低め。
リーディングセクションで、アカデミックな文章の中で見かけることがある。科学、社会科学系の文章で、誤解や疑念を払拭するという文脈で用いられることが多い。ライティングセクションで、議論を展開する際に使用できると高評価につながる可能性がある。
難関大学の長文読解で出題される可能性がある。文脈から意味を推測させる問題や、同意語・反意語を選ぶ問題として出題されやすい。dispelのコアイメージ(追い払う)を理解しておくことが重要。