depression
第2音節(pre)にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開いて発音する短い母音です。/ʃ/ は「シ」と「シュ」の中間のような音で、舌先を上の歯茎に近づけて息を摩擦させます。最後の /ən/ は曖昧母音で弱く発音します。全体として、メリハリのある発音を心がけましょう。
専門的な内容に関するご注意
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意気消沈
一時的な落ち込みではなく、持続的な悲しみや絶望感を表す。精神的な健康問題として扱われることが多い。
He couldn't hide his depression after failing the important exam.
彼は大事な試験に落ちた後、意気消沈しているのを隠せませんでした。
※ 試験に落ちた時の、言葉にならないが顔や態度に出てしまうほどの落ち込みを表しています。目標達成ができなかった時の、誰にでも起こりうる感情ですね。「hide A」で「Aを隠す」という意味です。感情が抑えきれない様子を「couldn't hide his ~」で表現しています。
The whole team felt a deep depression after losing the final game.
決勝戦に負けた後、チーム全体が深い意気消沈を感じていました。
※ チーム全員が目標を失い、静かに、しかし深く落ち込んでいる様子が伝わります。集団で共通の目標を失った時の、連帯感のある落ち込みを表現するのに典型的な例です。「feel a depression」で「意気消沈を感じる」という意味で使われます。「deep depression」は一時的な深い落ち込みを表すのに使えます。
The gloomy, rainy weather often brings a sense of depression to many people.
じめじめした雨の天気は、多くの人に意気消沈した気分をもたらすことがよくあります。
※ どんよりした空や雨の音が、なんとなく気分を沈ませる、日常のささいな感情を表しています。環境が人の気分に影響を与える、普遍的な現象ですね。「bring a sense of ~」で「~な感覚をもたらす」という意味です。この「sense of depression」は、病的なものではなく、気分が少し沈むような「ちょっとした落ち込み」にも使える、やわらかい表現です。
不況
経済活動が著しく停滞し、失業率が上昇する状態。長期にわたる景気後退を指す。
My grandfather often talks about the hard times during the Great Depression.
私の祖父は、大恐慌の間の大変だった時代についてよく話します。
※ この例文では、おじいちゃんが昔の苦労話をしている情景が目に浮かびます。「Great Depression(大恐慌)」は、1929年に始まった世界的な大不況を指す固有名詞で、歴史の教科書にも出てくるほど有名です。このように、「depression」は特定の歴史的な経済の低迷期を表す際にも使われる、非常に典型的な場面です。
Because of the depression, many people are worried about their jobs.
不況のせいで、多くの人々が仕事について心配しています。
※ ニュースで経済の話題を聞いたり、周りの人々の会話から「不況が私たちの生活にどんな影響を与えているか」を感じる場面です。人々の不安な気持ちが伝わってきます。「because of ~」は「~のせいで」「~が原因で」と理由を説明する時によく使われます。「worried about ~」は「~について心配している」という、日常会話でも頻出の表現です。
The government is trying hard to end the depression and create more jobs.
政府は不況を終わらせ、より多くの雇用を生み出そうと懸命に努力しています。
※ 政府が経済を立て直すために様々な政策を打ち出している、そんなニュースを耳にする場面です。不況はただ待つだけでなく、人々が協力して乗り越えようとする姿勢が描かれています。「end the depression」で「不況を終わらせる」という、不況に対する行動を表す典型的なフレーズです。「create jobs」は「雇用を生み出す」という意味で、不況対策としてよく使われます。
低迷
活動や機能が低下し、停滞している状態。経済、気象、生物学など、幅広い分野で使用される。
The country is facing a deep economic depression.
その国は深刻な経済不況に直面しています。
※ 【情景】テレビのニュースで、経済アナリストが暗い顔でグラフを指し、国家の厳しい経済状況を伝えている場面を想像してみてください。 【解説】「economic depression」は「経済不況」や「大恐慌」を意味する、非常によく使われる表現です。国全体の景気が大きく落ち込んでいる状態を表します。「face a depression」で「不況に直面する」という形でよく使われます。
The stock market has been in a depression for months.
株式市場は数ヶ月間、低迷が続いています。
※ 【情景】投資家がパソコンの画面に映る株価の推移を見て、ため息をついている場面です。なかなか株価が上がらず、諦めムードが漂っています。 【解説】「stock market」は「株式市場」のことです。市場の動きが鈍く、全体的に株価が低い状態を「in a depression」と表現します。ここでは「for months(数ヶ月間)」と期間を示すことで、低迷が続いている様子が伝わります。
Many companies are suffering from the current business depression.
多くの企業が現在の景気低迷に苦しんでいます。
※ 【情景】会社の会議で、上司が厳しい表情で業績報告をしている場面です。売上が伸び悩み、従業員も不安な顔をしています。 【解説】「business depression」は「景気低迷」や「不況」を意味し、特に企業活動全体が落ち込んでいる状況を指します。「suffer from ~」は「~に苦しむ」という意味で、不況による企業の苦境を具体的に描写しています。
コロケーション
臨床的うつ病
※ 「clinical」は「臨床的な」「医学的な」という意味で、単なる気分の落ち込みではなく、医学的に診断される必要のある、より深刻なうつ病の状態を指します。専門家の治療が必要な状態であることを示唆するため、自己診断ではなく、医師の診断に基づいて使用されるべき表現です。使用頻度は高く、医療や心理学の分野でよく用いられます。形容詞 + 名詞の組み合わせの典型例です。
産後うつ病
※ 「postpartum」は「出産後」という意味で、出産後の女性が経験するうつ病を指します。ホルモンバランスの変化や育児のストレスなどが原因と考えられています。社会的な認知度が高まっており、メディアや医療機関でも頻繁に使用される表現です。深刻な場合は専門家のサポートが不可欠であることを示唆します。形容詞 + 名詞の組み合わせです。
うつ状態に陥る
※ 「fall into」は「~に陥る」という意味で、徐々にうつ状態になっていく過程を表します。突然ではなく、時間経過とともに状態が悪化していくニュアンスを含みます。「slip into depression」も同様の意味で使用できますが、「fall into」の方がより一般的です。動詞 + 前置詞 + 名詞の組み合わせで、口語的にもビジネスシーンでも使用可能です。
うつ病と闘う、うつ病を克服しようとする
※ 「fight off」は「~を撃退する」「~と闘う」という意味で、うつ病に積極的に立ち向かう姿勢を表します。治療や自己啓発など、具体的な行動を伴うニュアンスが含まれます。「struggle with depression」も同様の意味で使えますが、「fight off」の方がより積極的な印象を与えます。動詞 + 副詞 + 名詞の組み合わせです。
重度のうつ病
※ 「major」は「重大な」「深刻な」という意味で、日常生活に著しい支障をきたすほどの重症のうつ病を指します。「severe depression」も同様の意味ですが、「major depression」の方が医学的な文脈でよく用いられます。診断基準に基づいて使用されることが多く、専門的な治療が必要な状態を示唆します。形容詞 + 名詞の組み合わせです。
一時的なうつ状態、うつ病の発作
※ 「bout」は「(病気などの)発作」「一続きの期間」という意味で、一時的にうつ状態になることを指します。慢性的なうつ病ではなく、一時的な気分の落ち込みやストレスによるうつ状態を表す際に用いられます。「a spell of depression」も同様の意味で使えますが、「bout」の方がやや口語的です。名詞句 + of + 名詞の組み合わせです。
うつ病を治療する
※ 「treat」は「治療する」という意味で、薬物療法や精神療法など、うつ病に対する治療行為全般を指します。医師や医療機関が提供する治療だけでなく、患者自身が行うセルフケアも含まれる場合があります。「manage depression」は症状を管理することに重点を置くのに対し、「treat depression」は根本的な改善を目指すニュアンスがあります。動詞 + 名詞の組み合わせです。
使用シーン
学術論文や心理学、経済学などの講義で頻繁に使用されます。心理学の分野では、個人の精神状態や感情を説明する際に「うつ病」や「抑うつ状態」といった意味で用いられます。経済学の分野では、「不況」や「景気後退」を指す言葉として、経済指標の分析や政策の議論で使われます。例:『本研究では、若年層におけるdepressionの傾向と、その社会経済的要因との関連性を分析した。』
ビジネスシーンでは、経済状況や市場の低迷を指す際に使われることが多いです。また、従業員のモチベーション低下や業績不振を間接的に表現する際にも使用されることがあります。ただし、直接的な表現は避けられ、より婉曲的な表現が好まれる傾向があります。例:『市場のdepressionにより、当社の売上高は大幅に減少した。』
日常会話では、一時的な落ち込みや意気消沈を表す際に使われることがあります。ただし、深刻な精神状態を指す場合は、より具体的な言葉を選ぶことが一般的です。ニュースやドキュメンタリーなどでは、社会問題としてのうつ病や経済不況について言及される際に使われることがあります。例:『最近、仕事がうまくいかなくて少しdepression気味だ。』
関連語
類義語
一般的な悲しみを表す言葉。日常会話で広く使われ、一時的な感情や状態を指すことが多い。 【ニュアンスの違い】"depression"よりも深刻度が低く、持続性も短い。原因が特定できる悲しみにも使われる。 【混同しやすい点】"sadness"は一時的な感情を表すのに対し、"depression"はより深刻で長期的な精神疾患を指すことが多い点を理解することが重要。
物思いにふけるような、もの悲しい感情。文学的な表現や、過去を振り返るような場面で使われることが多い。古風な印象を与える場合もある。 【ニュアンスの違い】"depression"のような深刻な絶望感はなく、むしろ美しいものや過ぎ去ったものへの憧憬を含む。知的で内省的な雰囲気を伴う。 【混同しやすい点】"melancholy"は感情の深さに重点が置かれ、必ずしも機能不全を伴わないが、"depression"は日常生活に支障をきたす状態を指す点が異なる。
死別や喪失など、特定の出来事に対する深い悲しみ。個人的な出来事だけでなく、集団的な悲しみにも使われる。 【ニュアンスの違い】"depression"と異なり、悲しみの原因が明確である。時間の経過とともに軽減していくことが多い。 【混同しやすい点】"grief"は原因が特定できる悲しみであるのに対し、"depression"は原因が特定できない場合や、原因に対する反応が過剰である場合がある。
絶望感。希望を失い、どうすることもできない状態を表す。しばしば宗教的、哲学的な文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】"depression"よりも強い絶望感を伴い、しばしば自殺願望や自暴自棄な行動につながる。状況が極めて困難であるという認識が含まれる。 【混同しやすい点】"despair"は感情の強さに重点が置かれ、行動を伴うことが多いが、"depression"は感情の持続性と機能不全に重点が置かれる。
- blues
一時的な憂鬱な気分。軽い落ち込みや気分の沈みを表す。日常会話でよく使われるカジュアルな表現。 【ニュアンスの違い】"depression"よりもずっと軽く、一時的なものである。「憂鬱な気分」や「気が滅入る」といった程度の意味合い。 【混同しやすい点】"blues"は一時的な気分の落ち込みを指すのに対し、"depression"はより深刻で持続的な精神疾患を指す。深刻さの度合いが大きく異なる。
失望と落胆が混ざった感情。予期せぬ悪い知らせや出来事に対する反応として使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"depression"よりも特定の出来事に起因する感情であり、驚きや落胆の要素が強い。必ずしも長期的な感情ではない。 【混同しやすい点】"dismay"は失望感が強く、特定の出来事に対する一時的な反応であることが多い。一方、"depression"はより根深く、原因が特定できない場合もある。
派生語
『意気消沈させる』という動詞。ラテン語の『押し下げる』に由来し、人の気分や経済活動を沈み込ませる意味合いを持つ。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用される。
『意気消沈した』、『憂鬱な』という意味の形容詞。depressの過去分詞形であり、人の感情や気分を表す際によく用いられる。医学的な文脈でも、うつ病患者の状態を指す。
『憂鬱にさせる』という意味の形容詞。depressの現在分詞形であり、状況や環境が人に与える影響を表す。ニュース記事や評論などで、社会情勢や経済状況を表現する際にも使われる。
うつ病のこと。depressに名詞化の接尾辞-ionがつき、心理状態を表す言葉として医学、心理学分野で用いられる。経済用語としても、景気後退を意味する。
反意語
『高揚』、『向上』を意味する名詞。物理的な高さだけでなく、気分や地位の上昇も表す。depressionが精神的な落ち込みを指すのに対し、elevationは精神的な高まりを示す。学術的な文脈や比喩表現で用いられる。
『陽気さ』、『快活さ』を意味する名詞。人の性格や雰囲気を表し、depressionが個人的な感情の落ち込みを指すのに対し、cheerfulnessは明るく前向きな状態を示す。日常会話でよく用いられる。
- exaltation
『高揚』、『歓喜』を意味する名詞。elevationよりもさらに強い感情の高ぶりを表し、宗教的な文脈や文学作品で用いられる。depressionが深い絶望を表すのに対し、exaltationは至上の喜びを示す。
語源
「depression」は、ラテン語の「depressio(押し下げること)」に由来します。これは「de-(下に)」+「premere(押す)」から構成されています。「de-」は「下へ、離れて」という意味を表し、日本語の「下降」や「低下」の「下」に通じるイメージです。「premere」は「押す、圧迫する」という意味で、圧力やプレッシャーといった言葉にも繋がります。つまり、「depression」は元々「押し下げること」を意味し、物理的に押し下げるだけでなく、精神的に押し下げる、つまり意気消沈させる、という意味合いを持つようになりました。経済の「不況」や「低迷」という意味も、活動が押し下げられた状態として捉えることができます。このように、語源を知ることで、単語の持つイメージや意味の広がりをより深く理解することができます。
暗記法
「depression」は、個人的な落ち込みを超え、社会の重苦しさを象徴する言葉。シェイクスピア悲劇の「melancholy(憂鬱)」は、人間の苦悩と結びつき、ロマン主義では創造の源泉に。世界恐慌では、失業、貧困、絶望と結びつき社会全体の病理へ。現代では、過労や孤独、SNSでの比較から新たな形も。社会構造の変化と深く関わる、現代を映す言葉として記憶しましょう。
混同しやすい単語
『depression』と語尾の '-pression' が共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。意味は『抑圧』であり、精神的な落ち込みを表す『depression』とは異なる。品詞はいずれも名詞。発音記号も似ているため、文脈で判断する必要がある。接頭辞 'op-' は『〜に向かって』という意味合いがあり、'press' (押す) という語幹と組み合わさって、外部からの強い圧力をイメージすると覚えやすい。
こちらも語尾が '-pression' で共通しており、スペルミスしやすい。意味は『印象』であり、気分の落ち込みとは無関係。ただし、『印象』が『憂鬱な印象』のように使われる場合もあり、意味の関連性が全くないわけではない。'im-' は 'in-' の変形で『中に』という意味合いがあり、'press' (押す) という語幹と組み合わさって、心に押し付けられたように残るイメージだと捉えると良い。
語尾が同じ '-pression' で、スペルも似通っているため注意が必要。『抑制』という意味で、感情や行動を抑えることを指す。たとえば、『咳をsuppressする』のように使う。接頭辞 'sup-' は 'sub-' の変形で『下に』という意味合いがあり、下から押さえつけるイメージを持つと良い。発音も似ているため、文脈で区別する必要がある。
これも語尾が '-pression' であり、スペルが似ていて混乱しやすい。意味は『表現』であり、感情を表に出すことを指す。ただし、『表情』という意味もあり、『depressed expression (憂鬱な表情)』のように使われる場合もある。接頭辞 'ex-' は『外に』という意味で、感情や考えを外に出すイメージ。
発音の強勢の位置が異なるが、スペルの一部が共通しており、特に '-cession' の部分が似ているため混同しやすい。『景気後退』という意味で、経済状況を表す。品詞は名詞。語源的には、're-' (後ろに) と 'cede' (行く) が組み合わさって、『後ろに退く』イメージ。発音が似ているため、リスニングの際には注意が必要。
接頭辞 'de-' が共通しており、語幹の音も似ているため、なんとなく意味を混同してしまう可能性がある。『国外追放』という意味であり、全く異なる概念である。'de-' は『離れて』という意味合いがあり、'port' (港、運ぶ) と組み合わさって、『国から運び出す』イメージ。
誤用例
日本語の『憂鬱』という言葉に引きずられ、『depression』を安易に名詞として使ってしまう誤用です。英語の『depression』は、医学的な『うつ病』や、経済的な『不況』といった、より深刻な状態を指します。雨で気分が沈む程度であれば、形容詞の『depressed』を使うのが適切です。日本語では『憂鬱だ』という状態を名詞で表現できますが、英語では状態を形容詞で表現する方が自然です。背景には、英語が状態をより具体的に表現しようとする言語であるという特徴があります。また、深刻な病気を軽く扱うことへの文化的配慮も必要です。
『in depression』という表現は文法的に誤りではありませんが、非常に直接的で、まるで『彼はうつ病の中にいる』というような印象を与えます。より自然な英語では、『experiencing depression』のように、動詞を使って状態を表す方が一般的です。これは、英語が状態を動的に捉える傾向があるためです。また、精神的な状態を直接的な表現で示すことを避け、婉曲的な表現を用いることで、相手への配慮を示すという文化的背景もあります。日本語では『彼は落ち込んでいる』のように、状態を間接的に表現することが多いですが、英語でも同様の配慮が必要です。状態の深刻さを和らげる意図もあります。
『depression』は経済用語としては『大恐慌』を指す非常に深刻な状態であり、一時的な株価の下落には通常使いません。この文脈では、より穏やかな表現である『downturn』を使うのが適切です。日本語では『不況』という言葉を比較的広い範囲で使うことがありますが、英語の『depression』はそれよりも深刻な状態を指すため、注意が必要です。また、株価が少し下がっただけで『depression』という言葉を使うと、大げさな印象を与え、相手に不快感を与える可能性もあります。語感のずれに注意し、文脈に合った適切な表現を選ぶことが重要です。特に、金融関係のニュースを翻訳する際など、日本語の『不況』を安易に『depression』と訳さないように注意が必要です。
文化的背景
「depression(鬱)」は、単なる個人的な感情の落ち込みを超え、社会全体を覆う重苦しい空気や閉塞感を象徴する言葉として、その文化的意義を深めてきました。特に、経済的な困窮や社会不安が蔓延する時代において、人々の心に深く根を下ろす感情として認識されてきました。
「depression」という言葉が現代的な意味合いを持つようになったのは、20世紀初頭の経済学や精神医学の分野においてです。しかし、その感情自体は、古くから文学や芸術の中で表現されてきました。例えば、シェイクスピアの悲劇に登場する人物たちは、しばしば「melancholy(憂鬱)」と呼ばれる感情に苛まれ、それが彼らの運命を大きく左右します。この「melancholy」は、現代の「depression」に通じる感情であり、人間の存在の儚さや、人生の苦悩に対する深い洞察と結びついていました。また、ロマン主義の時代には、芸術家たちが「憂鬱」を創造性の源泉と捉え、内面の葛藤や感情の起伏を表現することで、新たな芸術の可能性を切り開きました。
20世紀に入り、世界恐慌という未曾有の経済危機が世界を襲うと、「depression」は、個人的な感情の問題から、社会全体の病理を象徴する言葉へと変化しました。失業、貧困、絶望といった言葉が、「depression」と結びつき、社会全体を覆う重苦しい空気を作り出しました。アメリカのニューディール政策は、この「depression」からの脱却を目指したものであり、その政策の成否は、アメリカ社会の未来を大きく左右しました。この時代以降、「depression」は、経済的な危機や社会不安と結びついた、否定的な感情として、人々の心に深く刻まれることになりました。
現代社会においては、「depression」は、精神的な病気として認識される一方で、過労やストレス、孤独感といった現代社会特有の問題と密接に結びついています。ソーシャルメディアの普及は、人々のつながりを促進する一方で、他人との比較や承認欲求を満たすことの難しさから、新たな「depression」の形を生み出しています。「depression」は、単なる個人的な感情の問題ではなく、社会構造や価値観の変化と深く関わっていることを理解することが、現代社会における「depression」の意味を深く理解するために不可欠です。
試験傾向
準1級以上で語彙問題・長文読解で出題される可能性あり。1級ではエッセイのトピックとしても考えられる。**出題形式**: 語彙問題(同意語選択、空所補充)、長文読解。**頻度と級・パート**: 準1級〜1級。**文脈・例題の特徴**: 社会問題、心理学、ニュース記事など。**学習者への注意点・アドバイス**: 名詞の「憂鬱、不況」だけでなく、比喩表現や関連語句(depressed, depressive)も合わせて学習。深刻度合いによって使い分ける。
Part 5, 6, 7で出題される可能性あり。特にPart 7の長文読解で、企業業績や経済状況を説明する文脈で登場することがある。**出題形式**: 短文穴埋め問題、長文読解。**頻度と級・パート**: 全パート。**文脈・例題の特徴**: 経済ニュース、企業報告書、ビジネスレターなど。**学習者への注意点・アドバイス**: ビジネスシーンでの「不況、業績不振」の意味合いを理解。関連語句(economic depression)も重要。
リーディングセクションで頻出。アカデミックな文脈、特に社会科学系のテーマ(心理学、経済学など)で登場する。ライティングセクションでも使用可能。**出題形式**: リーディング(同意語選択、文章要約)、ライティング(エッセイ)。**頻度と級・パート**: リーディングセクション。**文脈・例題の特徴**: 心理学研究、経済学論文、社会問題に関する議論など。**学習者への注意点・アドバイス**: アカデミックな文章における正確な意味を把握。類義語(melancholy, sadness)とのニュアンスの違いを理解。名詞・動詞の用法を区別。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。社会問題や心理学に関するテーマで登場することが多い。**出題形式**: 長文読解(内容一致、空所補充、内容説明)。**頻度と級・パート**: 難関大学の入試問題。**文脈・例題の特徴**: 社会問題、心理学、哲学など。**学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から意味を推測する練習が必要。比喩表現や抽象的な概念との関連性を理解。関連語句(depressed, depressing)も重要。