decline
第2音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開き、短く発音します。/aɪ/ は二重母音で、「ア」から「イ」へスムーズに移行します。最後の /n/ は、舌先を上の歯の裏につけて発音します。
専門的な内容に関するご注意
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衰える
徐々に、または不可逆的に質や量が低下していく様子。健康、経済、人気など、広い範囲で使用される。類似語:weaken, deteriorate
My grandpa's memory started to decline slowly.
祖父の記憶力はゆっくりと衰え始めました。
※ この文は、高齢の祖父が少しずつ物忘れをするようになり、家族が心配しているような情景を描いています。「decline」は、人の身体能力や精神的な能力が「衰える」時によく使われる、非常に自然な表現です。特に高齢化社会ではよく耳にするでしょう。「started to decline」のように「~し始める」という形で使うと、変化の始まりを表現できます。
The old shopping street began to decline after the new mall opened.
新しいモールがオープンした後、その古い商店街は衰退し始めました。
※ かつて賑わっていた商店街が、新しい大型商業施設の出現で客足が遠のき、寂れていく様子を想像してください。「decline」は、地域経済や産業、人気などが「衰退する」という意味でも非常に頻繁に使われます。社会やビジネスのニュースでもよく登場する典型的な使い方です。「begin to decline」も「~し始める」という形で、変化を表すのに適しています。「after ~」で原因やきっかけを示すことができます。
If you don't practice, your piano skills will decline over time.
練習しないと、あなたのピアノの腕前は時間とともに衰えていきますよ。
※ せっかく身につけたピアノの技術が、練習不足のために徐々に落ちていくことを想像させます。少し残念な気持ちが伝わるかもしれません。個人の能力やスキル、成績などが「低下する」「衰える」場合にも「decline」は自然に使われます。努力を怠るとどうなるか、という教訓的な文脈で使われることもあります。「If you don't practice,...」のように条件節と組み合わせると、「もし~しなければ、…となる」という未来の状況を表現できます。「over time」は「時間が経つにつれて」という意味で、ゆっくりとした変化を表す際によく使われます。
断る
申し出や依頼などを、丁寧に、または正式な形で拒否する。Refuseよりも丁寧なニュアンスを含む。
I had to decline her invitation to the party because I was sick.
体調が悪かったので、彼女のパーティーへの招待を断らざるを得ませんでした。
※ 友達からの楽しいパーティーの誘いを、残念な気持ちで断る場面を想像してください。体調不良など、やむを得ない理由で「お断りする」際に、この 'decline' がよく使われます。「decline an invitation」は非常によく使われる組み合わせです。
She decided to decline the job offer as it was too far.
彼女はあまりにも遠かったので、その仕事のオファーを断ることに決めました。
※ 新しい仕事のチャンスが目の前にあっても、通勤距離など現実的な理由で、熟考の末に「やめておこう」と決断する場面です。ビジネスの場で、丁寧にオファーを断る際によく使われます。「decline a job offer」も非常によく使う表現です。「as」は「because(なぜなら)」と同じ意味で使われています。
The museum had to decline the donation due to lack of space.
その美術館は、スペース不足のため寄付を断らざるを得ませんでした。
※ 善意の申し出であっても、受け入れ側の事情で、やむを得ず「お断りする」場面です。個人的な感情ではなく、組織や公共の場で、きちんとした理由を添えて断る際に 'decline' が使われます。「due to ~」は「~のために、~が原因で」と理由を説明する際に便利な表現です。
低下
質、量、価値などが下がること。動詞declineに対応する名詞。
He felt a sharp decline in his energy after the long walk.
長い散歩の後、彼はエネルギーの急激な低下を感じた。
※ この文は、おじいさんや病み上がりの人が、長い距離を歩いた後に感じる急激な疲労感を想像させます。「decline」は体力やエネルギーの減少を表す際によく使われます。「decline in X」で「Xの低下」という意味になり、とても一般的な表現です。「sharp decline」は「急激な低下」を意味し、状況の深刻さを強調します。
The small shop owner worried about the sudden decline in sales.
その小さな店の店主は、突然の売上の低下を心配した。
※ 売上が下がって困っているお店の人の気持ちが伝わってきますね。「decline」はビジネスや経済の文脈で「売上(sales)」「利益(profit)」「株価(stock price)」などの減少を表すのに非常によく使われます。「sudden decline」は「突然の低下」という意味で、経済ニュースやビジネス会話で頻繁に聞かれる表現です。
Many residents noticed a sad decline in the park's natural beauty.
多くの住民が、その公園の自然の美しさの悲しい低下に気づいた。
※ 昔は美しかった公園が、手入れ不足や開発などで荒れていく様子を見て、地域の人々が残念に思っている情景です。「decline」は「美しさ(beauty)」や「質(quality)」「人口(population)」など、社会や環境の質の変化にも使われます。「sad decline」は、単に低下するだけでなく、それが悲しい結果をもたらしていることを示唆します。
コロケーション
招待を断る
※ 「invitation」は、結婚式、パーティー、会議など、様々な催しへの招待を指します。単に「no」と言うよりも丁寧で、社会的な礼儀をわきまえた断り方です。ビジネスシーンやフォーマルな場面で特に適しています。類似表現として「turn down an invitation」がありますが、こちらはよりカジュアルなニュアンスを含むことがあります。例文: "I regret to decline your kind invitation due to a prior engagement."
要求を拒否する
※ 「request」は、何かを頼む行為、またはその頼み自体を指します。「decline a request」は、相手の要望に応じられないことを丁寧に伝える表現です。ビジネスシーンでは、予算の都合や人員不足など、具体的な理由を添えて伝えるのが一般的です。類似表現として「reject a request」がありますが、「reject」はより強い拒絶のニュアンスを持ちます。例文: "We had to decline their request for additional funding due to budget constraints."
急激に減少する、急落する
※ 株価、気温、人気など、数値や程度が急激に下がる様子を表します。「sharply」は「急激に」という意味の副詞で、「decline」の程度を強調します。経済ニュースや気象情報などでよく使われます。類似表現として「plummet」がありますが、「plummet」はより劇的な急落を意味します。例文: "The company's stock price declined sharply after the announcement of the scandal."
着実な減少、持続的な低下
※ 何かが徐々に、しかし確実に減少していく状態を表します。「steady」は「安定した、着実な」という意味の形容詞で、「decline」の進行が止まらないことを示唆します。人口減少、景気後退、健康状態の悪化など、長期的なトレンドを説明する際に用いられます。類似表現として「gradual decline」がありますが、「gradual」はより緩やかな減少を意味します。例文: "The city has experienced a steady decline in population over the past decade."
健康の衰え
※ 健康状態が悪化することを意味します。特に高齢者の健康状態について用いられることが多い表現です。「health」は「健康」という名詞で、「decline」の対象を示します。例文: "His decline in health was noticeable after his retirement."
責任を拒否する、責任を回避する
※ 本来引き受けるべき責任や義務を放棄することを意味します。ビジネスや政治の文脈で、問題や失敗に対する責任を逃れようとする場合に用いられます。類似表現として「shirk responsibility」がありますが、「shirk」はより積極的に責任を回避するニュアンスを持ちます。例文: "The manager declined responsibility for the project's failure."
コメントを差し控える
※ 報道機関や公の場で、特定の事柄について発言することを拒否する際に用いられる表現です。政治家や企業の広報担当者が、デリケートな問題についてコメントを避けたい場合にしばしば使われます。例文: "When asked about the allegations, the CEO declined to comment."
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用される。例えば、経済学の論文で「出生率の低下 (decline in birth rate)」について議論したり、医学の研究で「患者の健康状態の悪化 (decline in patient's health)」を分析したりする場合に使われる。動詞としては、「~という傾向がみられる」という意味で、統計データや実験結果の分析において客観的な記述をする際に用いられる。
ビジネス文書や会議で、業績の低下、市場シェアの減少、提案の辞退などを表現する際に使われる。例えば、「売上の低下 (decline in sales)」を報告したり、「申し出を丁重に断る (decline an offer politely)」といった場面で用いられる。フォーマルな文脈で使われることが多い。
日常会話では、フォーマルな響きがあるため、あまり頻繁には使われない。ただし、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、社会問題や環境問題について議論する際に、「人口の減少 (population decline)」や「道徳心の低下 (decline in morality)」といった表現で見かけることがある。また、招待を断る際に、少し丁寧な言い方として使われることもあるが、一般的には「turn down」の方がより自然。
関連語
類義語
申し出、招待、提案などを『拒否する』という意味。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】"decline"よりも直接的で、より強い拒絶の意思を示すことが多い。相手の申し出をはっきりと断りたい場合に適している。 【混同しやすい点】"decline"よりも口語的で、フォーマルな場面では"decline"の方が適切。また、"refuse"は名詞としても使われる(例:a refusal)。
申請、アイデア、製品などを『拒絶する』という意味。提案やアイデアが受け入れられない場合や、製品の品質が基準に満たない場合などに使用される。審査や選考の文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"decline"よりも強い否定的な意味合いを持ち、より公式な場面で使用されることが多い。感情的な拒絶というよりは、論理的な判断に基づく拒絶というニュアンス。 【混同しやすい点】"reject"は、しばしば「不合格にする」という意味で使われるため、個人的な申し出を断る場合には不適切。相手に不快感を与える可能性がある。
申し出や招待などを『断る』という意味の句動詞。日常会話でよく使われ、カジュアルな印象を与える。 【ニュアンスの違い】"decline"よりもくだけた言い方で、親しい間柄での使用に適している。フォーマルな場面では"decline"を使う方が無難。 【混同しやすい点】句動詞であるため、目的語の位置に注意が必要(例:turn down the offer)。また、音量を下げるという意味もあるため、文脈によって意味を判断する必要がある。
数量、程度、価値などが『減少する』という意味。数値データや抽象的な概念の減少を表現する際に用いられる。自動詞・他動詞両方で使用可能。 【ニュアンスの違い】"decline"が緩やかな減少を意味するのに対し、"decrease"はより客観的で、必ずしもネガティブな意味合いを持たない。単に数値が減るという事実を述べる場合に適している。 【混同しやすい点】"decline"はしばしば品質や健康状態の悪化を伴う減少を意味するが、"decrease"は必ずしもそうではない。たとえば、「気温がdecreaseする」のように使う。
数量、重要性、力などが『減少する』という意味。徐々に小さくなる、弱まるというニュアンスを含む。感情や記憶など、抽象的なものが薄れる場合にも使われる。 【ニュアンスの違い】"decline"と同様に、ネガティブな意味合いを含むことが多いが、"decline"よりも緩やかで、目に見えにくい減少を意味することが多い。徐々に価値が失われるような状況を表すのに適している。 【混同しやすい点】"diminish"は、徐々に減少していくプロセスに焦点を当てている点が"decline"と異なる。また、他動詞として使う場合は、他者の行為によって減少させられるという意味になる。
力、影響力、人気などが『衰える』という意味。徐々に弱まっていく様子を表す、やや文学的な表現。 【ニュアンスの違い】"decline"よりも緩やかで、不可逆的な衰退を意味することが多い。月が欠けていく様子など、自然な減少プロセスを連想させる。 【混同しやすい点】"wane"は日常会話ではあまり使われず、フォーマルな文脈や文学作品で目にすることが多い。また、健康状態の悪化というよりは、抽象的な概念の衰退を表すことが多い。
派生語
名詞で「低下、衰退、辞退」といった意味。動詞 decline から派生し、抽象的な概念を表す際に用いられる。ビジネスや学術論文で、数値や状況の下降を示す際によく使われる。例えば、「経済の衰退 (economic declination)」のように使う。また、天文学では「赤緯」という意味も持つ。
- declining
現在分詞または動名詞として使用され、「低下している」「衰退している」という意味を持つ形容詞的な用法もある。例えば、「減少傾向にある人口 (a declining population)」のように使う。現在進行形の状態や、徐々に悪化していく状況を表す際に適している。ビジネスシーンでは、業績の悪化などを表現する際によく用いられる。
- declinable
文法用語として「活用できる」という意味を持つ形容詞。主に言語学の分野で使用され、名詞や形容詞などが語形変化(格変化、数変化など)することを指す。日常会話での使用頻度は低いが、外国語学習や文法研究においては重要な概念となる。
反意語
「増加する、増える」という意味の動詞で、decline の最も直接的な反対語の一つ。数値、量、程度などが大きくなることを表す。ビジネス、経済、人口など、様々な文脈で使用され、decline が示す減少や衰退とは対照的な状況を表す。例えば、「利益の増加 (increase in profits)」のように使う。
「上昇する、立ち上がる」という意味の動詞。decline が示す低下や下落とは反対に、位置や価値が上がることを表す。比喩的な意味合いも強く、社会的地位の向上や精神的な高揚なども表すことができる。例えば、「株価の上昇 (rise in stock prices)」や「人気の上昇 (rise in popularity)」のように使う。
「前進する、進歩する」という意味の動詞。decline が示す後退や衰退とは対照的に、状況や能力が改善・向上することを表す。技術革新や社会の発展など、ポジティブな変化を表す際に用いられる。例えば、「技術の進歩 (advance in technology)」のように使う。
語源
「decline」は、ラテン語の「declinare」に由来します。これは「傾ける、そらす」という意味で、「de-」(下へ、離れて)と「clinare」(傾ける)から構成されています。「clinare」はさらに、印欧祖語の語根である「*klei-」(傾く、寄りかかる)に遡ることができます。つまり、もともとは物理的に傾いたり、それることを意味していました。そこから派生して、「衰える」という意味では、何かが本来の状態から下り坂に向かうイメージ、「断る」という意味では、申し出から身を引く、つまり「そらす」イメージ、「低下」という意味では、数値などが下へ「傾く」イメージとして捉えられます。日本語の「斜め」や「傾斜」といった言葉も、同じように物理的な傾きから派生した意味を持つことを考えると、「decline」の意味の広がりも理解しやすいでしょう。
暗記法
「decline」は単なる減少でなく、権威、美、道徳の喪失を指す、文化的ニュアンスに富む言葉。ローマ帝国の衰亡は、政治腐敗、経済困窮、道徳退廃を象徴し、ギボンの著作にその重みが刻まれます。文学では主人公の没落や社会崩壊を暗示。現代では産業衰退、都市過疎化、個人の健康悪化も指し、喪失感と結びつきます。夕日の「decline」は例外だが、多くは失われたものへの恐れや悲しみを背景に持つ、深い言葉です。
混同しやすい単語
『decline』と語頭の 'de-' が共通しており、続く 'fine' と 'cline' の部分も音の響きが似ているため、特に発音を聞き間違えやすい。意味は『定義する』であり、動詞である点は共通しているが意味は大きく異なる。日本人学習者は、語尾の子音の響きを意識して聞き分ける必要がある。語源的には、'define' は『境界線を定める』という意味合いが強く、declineとは異なる。
『decline』と語尾の '-cline' が共通しており、スペルが非常によく似ているため、視覚的に混同しやすい。意味は『傾斜する』、『~したい気持ちにさせる』であり、自動詞・他動詞両方の用法がある。decline が『断る』という意味で使われる場合とは意味が大きく異なる。接頭辞 'in-' と 'de-' の意味の違いを意識すると区別しやすい(in- は内へ、de- は下へ、というイメージ)。
『decline』と同様に、語尾の '-cline' が共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。意味は『寄りかかる』、『もたれかかる』であり、主に自動詞として使われる。視覚的な類似性に注意し、文脈から意味を判断する必要がある。re- は再び、cline は傾く、というイメージで語源的に区別すると覚えやすい。
語頭の 'de-' が共通しており、発音も最初の部分が似ているため、聞き間違えやすい。意味は『引き留める』、『拘留する』であり、decline の『断る』という意味とは全く異なる。detain は、tain(保持する)という語幹に de-(分離)がついたもので、本来あるべき場所から引き離すイメージ。
'decline' と母音の響きが似ており、特に弱い母音で発音される場合に聞き取りにくい。スペルも 'i' と 'l' の違いのみで、視覚的に混同しやすい。意味は『神の』、『神聖な』であり、形容詞として使われることが多い。発音記号を確認し、/aɪ/ と /ɪ/ の違いを意識して発音練習すると良い。語源的には、divine は deus(神)に由来する。
語尾の子音の響きと、語構成のパターンが類似しているため、潜在的に混同しやすい単語。意味は『設計(する)』であり、名詞・動詞両方の用法がある。decline が『減少する』という意味で使われる場合とは意味が大きく異なる。発音の違い(/zaɪn/ vs /klaɪn/)を意識することが重要。sign(印)という語幹にde-(下へ)が付いたもので、計画を書き下ろすイメージ。
誤用例
日本語の『断る』という言葉に引きずられると、つい『decline』を使ってしまいがちですが、日常的な申し出や依頼を断る場合には『refuse』の方が自然です。『decline』は、よりフォーマルな場面や、招待、称号、権限などを辞退する場合に使われます。例えば、爵位を辞退する、会社の合併提案を拒否する、といった状況です。日本人が相手の気持ちを慮って婉曲的な表現を好むのに対し、英語では状況に応じて適切な語を選ぶことが重要です。ここでは、相手の感情を気遣う気持ちは理解できますが、『refuse』の方が直接的で誤解を招きにくいでしょう。
『decline』と『decrease』はどちらも『減少する』という意味ですが、減少の度合いやニュアンスが異なります。『decline』は、勢いや質が徐々に衰退していくイメージが強く、回復が難しい状況を示唆することがあります。一方、『decrease』は単に量が減ることを意味し、一時的な現象である可能性も含まれます。経済不況による一時的な利益減少を表現するならば、『decrease』が適切です。日本人は『衰退』という言葉に強いイメージを持ちがちですが、英語では状況に応じてニュアンスを使い分ける必要があります。
『decline to comment』は報道会見などでよく使われる表現ですが、やや直接的でぶっきらぼうな印象を与える可能性があります。特に、相手への配慮が求められる場面では、『I'm afraid...』などのクッション言葉を加えることで、丁寧さを表現できます。日本人は直接的な表現を避けがちですが、英語でも同様に、状況に応じて丁寧な表現を選ぶことが重要です。また、ビジネスシーンでは、時間的な制約を意味する『at this moment』よりも、より広い意味を持つ『at this time』を使う方が一般的です。
文化的背景
「decline」という言葉は、単に「減少する」という意味だけでなく、権威、美、道徳、健康といった、かつて高く評価されていたものが徐々に失われていく過程を指し示す、深い文化的ニュアンスを帯びています。それは、栄華を誇った文明の衰退、老いによる肉体の衰え、あるいは社会全体の価値観の崩壊など、喪失感や悲観的な感情と結びつきやすい言葉です。
古代ローマ帝国の滅亡は、「decline」という言葉が持つ重みを象徴する出来事の一つです。長きにわたり地中海世界を支配した帝国の衰退は、政治的な腐敗、経済的な困窮、そして道徳的な退廃といった複合的な要因によって引き起こされました。エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は、この壮大な衰退の過程を詳細に描き出し、「decline」という言葉に歴史的な深みを与えています。同様に、文学作品においても、「decline」は主人公の運命や社会全体の崩壊を暗示するキーワードとして用いられます。例えば、シェイクスピアの悲劇では、主人公の高潔さや権力が徐々に失われていく様子が、「decline」のイメージと重ね合わされることがあります。
現代社会においても、「decline」は様々な文脈で使用されます。例えば、製造業の衰退や地方都市の過疎化は、「industrial decline」「urban decline」といった言葉で表現されます。これらの現象は、単なる経済的な問題にとどまらず、地域社会のアイデンティティや文化の喪失といった、より深刻な問題を引き起こす可能性があります。また、個人の健康や能力の衰えも、「decline」の対象となります。高齢化社会においては、「cognitive decline(認知機能の低下)」や「physical decline(身体機能の低下)」といった問題が、社会全体で取り組むべき課題となっています。
「decline」という言葉は、常にネガティブな意味合いを持つとは限りません。例えば、夕日が沈む様子は「the decline of the sun」と表現されますが、そこには一日の終わりを告げる静けさや、新たな始まりへの期待感が込められています。しかし、多くの場合、「decline」は喪失感や悲観的な感情と結びついており、その背景には、かつて存在したものが失われていくことへの人々の普遍的な恐れや悲しみが存在すると言えるでしょう。この言葉を理解することは、単に語彙を増やすだけでなく、文化的な背景にある人間の感情や価値観を理解することにもつながります。
試験傾向
1. 出題形式:語彙問題、長文読解、リスニング。2. 頻度と級・パート:準1級以上で頻出。1級でも出題される。3. 文脈・例題の特徴:フォーマルな文章、ニュース記事、エッセイなど。4. 学習者への注意点・アドバイス:名詞(減少、衰退)、動詞(断る、傾く、衰退する)の意味の区別を理解する。類義語 (reduce, refuse) との使い分けも重要。
1. 出題形式:Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(読解問題)。2. 頻度と級・パート:頻出。特にPart 5, 7。3. 文脈・例題の特徴:ビジネスシーン(業績の悪化、申し出の辞退など)。4. 学習者への注意点・アドバイス:ビジネスにおける「辞退する」の意味でよく使われる。increase, acceptなど反対の意味を持つ語彙との識別が重要。
1. 出題形式:リーディングセクション。2. 頻度と級・パート:頻出。アカデミックな文章でよく使われる。3. 文脈・例題の特徴:学術論文、科学記事、歴史的記述など。4. 学習者への注意点・アドバイス:名詞・動詞両方の意味を理解し、文脈から適切な意味を判断する。抽象的な概念や統計データと関連付けて使われることが多い。
1. 出題形式:長文読解、語彙問題。2. 頻度と級・パート:難関大学ほど頻出。3. 文脈・例題の特徴:評論、説明文、物語など多様な文脈で登場する。4. 学習者への注意点・アドバイス:文脈に応じた意味の理解が重要。特に比喩的な意味や、抽象的な概念を表す場合に注意する。 decline A for B (BのためにAを断る) のような構文も覚えておくと有利。