complain
最初の音節 /kəm/ は、日本語の「カム」に近いですが、/ə/ は曖昧母音なので、口を軽く開けて弱く発音します。「プレィン」の部分は、二重母音 /eɪ/ を意識し、「プ」の後に「レ」と「イ」を滑らかにつなげるように発音するとよりネイティブに近くなります。強勢は2番目の音節 /pleɪn/ にあります。
不満を言う
個人的な不満や苦情を表明する行為。フォーマルな場面からカジュアルな場面まで幅広く使われる。単に意見を述べるだけでなく、改善を求めるニュアンスを含むことが多い。
The customer began to complain about the long waiting time for his food.
そのお客さんは、料理の待ち時間が長いことについて不平を言い始めました。
※ レストランで、お客さんがイライラしながら店員に不満を伝える様子が目に浮かびますね。「complain about A」で「Aについて不満を言う」という、この単語の最も基本的な使い方です。飲食店やお店でよく聞かれる状況です。
My little brother always complains when he has to clean his room.
私の弟は、部屋を掃除しなくてはいけない時、いつも不平を言います。
※ 幼い子が嫌々ながら文句を言っている情景が目に浮かびますね。「complain when S + V」で「SがVする時に不平を言う」という形で、日常の困った状況を表現できます。特に子供がよく使う表現です。
Don't complain about the small problems; let's try to find a solution.
小さな問題について不平を言うのはやめて、解決策を見つけよう。
※ 誰かがネガティブになっている時に、前向きな行動を促す場面ですね。「Don't complain!」は「文句を言うな!」という強い命令形ですが、ここでは優しく諭すようなニュアンスです。仕事やグループ活動で、建設的な姿勢を促す際によく使われます。
訴える
不正や不当な扱いに対して、正式な手続きを通して異議を申し立てる行為。法的措置や公的な機関への申し立てを伴う場合がある。
She politely complained that her coffee was cold.
彼女は、コーヒーが冷めていると丁寧に訴えました。
※ カフェで注文したコーヒーが冷めていて、がっかりした気持ちで店員さんに伝えている場面を想像してみてください。「complain」は「文句を言う」というより、何か問題があるときに「不満を表明する」「改善を求める」というニュアンスでよく使われます。ここでは「politely(丁寧に)」という言葉が加わることで、感情的にならずに状況を伝えている様子が伝わりますね。
My grandpa always complains about his back pain.
私の祖父はいつも腰の痛みを訴えています。
※ おじいちゃんが「ああ、また腰が痛い」と、腰をさすりながら家族に話しているような日常の風景が目に浮かびます。「complain」は、体の痛みや不調を訴えるときにも頻繁に使われます。この文のように「always(いつも)」をつけると、その不満が習慣的であることや、もうおなじみのことであるニュアンスが伝わります。
Many customers complained about the high prices in the store.
多くのお客さんが、その店の高い値段について不満を訴えました。
※ スーパーやデパートで、商品の値札を見て「こんなに高いなんて!」と口々に不満を言っているお客さんたちの様子を思い浮かべてください。個人的な不満だけでなく、このように「多くの人が共通の問題について不満を表明する」場合にも「complain」が使われます。「complain about + 物事」の形は、何に対して不満があるのかを明確に伝えるためによく使われる典型的な表現です。
苦情
不満や不快感を言葉で表したもの。製品やサービスに対する不満、職場環境に対する不満など、様々な状況で使用される。
The customer made a complaint about the cold soup at the restaurant.
その客はレストランで冷たいスープについて苦情を言いました。
※ ここで使われている「complaint(コンプレイント)」は「苦情、不平」という意味の名詞です。よく似た単語に、今回指定された「complain(コンプレイン)」がありますが、こちらは「不平を言う、苦情を言う」という動詞です。つまり、「complain」は「(誰かが)不平を言う」という動作を表し、「complaint」は「(言われた)不平や苦情そのもの」を指します。学習者の皆様に正しい英語を学んでいただくため、今回は「苦情」という名詞の意味合いで正しく使われる「complaint」を用いて例文を作成しました。この例文では、お客様が冷たいスープに対して感じた不満、つまり「苦情」そのものを表現しています。「make a complaint」で「苦情を言う」という、とても典型的な表現です。
My neighbor often sends a complaint about my loud music.
私の隣人はよく私のうるさい音楽について苦情を送ってきます。
※ この例文では、隣人が「うるさい音楽」という具体的な問題に対して「苦情」を伝えている場面が目に浮かびますね。「send a complaint」は、メールや手紙などで正式に苦情を伝える際によく使われる表現です。相手に不満を伝える、という状況で「complaint(苦情)」がどのように使われるか、イメージしてみましょう。
After waiting for an hour, she finally had a complaint about the long delay.
1時間待った後、彼女はついに長い遅延について苦情を言いました。
※ 長い待ち時間にイライラしている彼女の気持ちが伝わってきますね。「have a complaint」は、「苦情を持っている」という意味で、不満や文句がある状態を表します。特に、何か不都合なことがあった際に、その不満を口に出す前の心境や、実際に苦情を述べた状況で使われます。動詞のcomplainと名詞のcomplaintの違いを意識して、使い分けを練習しましょう。
コロケーション
ひどく不満を言う、激しく不平を鳴らす
※ 「bitterly」は「辛辣に」「痛烈に」という意味の副詞で、complainを修飾することで、不満の度合いが非常に強いことを強調します。単に不満を言うだけでなく、怒りや恨みといった感情を伴っているニュアンスが含まれます。例えば、サービスに対する不満や、不当な扱いを受けた際に使われます。ビジネスシーンでも使われますが、個人的な感情が強く出ているため、状況によってはプロフェッショナルさに欠ける印象を与える可能性もあります。
絶え間なく不満を言う、うんざりするほど文句を言う
※ 「incessantly」は「絶え間なく」「ひっきりなしに」という意味の副詞で、complainを修飾することで、不満が止まらない様子を表します。日常的な些細なことから、深刻な問題まで、様々な状況で使われます。ただし、あまりに頻繁に不満を言うと、周囲の人々を疲れさせてしまう可能性があります。例えば、天気や交通機関の遅延など、自分ではどうしようもないことについて延々と文句を言う場合に用いられます。
正式に苦情を申し立てる、苦情を提出する
※ 「lodge」は「(正式に)提出する」という意味の動詞で、ここでは「complaint(苦情)」という名詞と組み合わさり、公式な手続きを経て苦情を申し立てることを意味します。口頭で不満を言うだけでなく、書面やオンラインフォームなどで記録に残る形で苦情を伝える場合に用いられます。消費者問題や職場環境の問題など、より深刻な状況で使われることが多いです。ビジネスシーンや法的な文脈で頻繁に使われます。
苦情を言う理由、不満の根拠
※ 「ground」は「根拠」「理由」という意味の名詞で、「ground for complaint」で「苦情を言うための正当な理由」を表します。例えば、契約違反や商品の欠陥など、何らかの権利が侵害された場合に、「There are grounds for complaint.(苦情を言うだけの理由がある)」のように使われます。法的な文脈や、客観的な根拠に基づいて苦情を述べる際に用いられる表現です。
〜について不満を言う
※ 最も一般的なコロケーションの一つですが、前置詞「about」を伴うことで、不満の内容を具体的に示すことができます。文法的には、"complain about + 名詞/動名詞"の形で使用します。例えば、"complain about the weather"(天気について不満を言う)、"complain about having to work late"(残業しなければならないことについて不満を言う)のように使われます。日常会話からビジネスシーンまで、幅広い場面で使用できます。
〜に不満を言う、〜に苦情を言う
※ 前置詞「to」を伴うことで、不満を伝える相手を明確に示すことができます。文法的には、"complain to + 人"の形で使用します。例えば、"complain to the manager"(マネージャーに苦情を言う)、"complain to customer service"(カスタマーサービスに苦情を言う)のように使われます。誰に苦情を言うべきか、という点を意識することが重要です。
苦情の合唱、多くの人々からの苦情
※ "chorus"は「合唱」という意味ですが、ここでは比喩的に「多くの人々が同時に発する声」を表します。「a chorus of complaints」は、多くの人々が同じ問題について不満を述べている状況を表します。例えば、新製品の欠陥やサービスの低下など、広範囲に影響を与える問題が発生した場合に使われます。集団訴訟や、SNSでの炎上など、社会的な現象を伴う場合に用いられることがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、実験結果や先行研究に対する批判的な視点を述べる際に使用されます。例えば、「先行研究のサンプルサイズが小さいことをcomplainしている」のように、研究の限界や問題点を指摘する文脈で使われます。また、学生が講義内容について質問したり、改善を求めたりする際に、教授に対して「complain」を使うこともあります。
ビジネスシーンでは、顧客からの苦情対応、従業員間の不満、製品やサービスに関する問題など、様々な状況で「complain」が使用されます。例えば、顧客からのメールで「製品の品質についてcomplainする」という文脈や、従業員が上司に対して「ワークロードの偏りについてcomplainする」といった状況が考えられます。フォーマルな報告書や会議の議事録にも登場します。
日常生活では、友人や家族との会話、SNSの投稿、レビューサイトなど、様々な場面で「complain」が使われます。レストランでの食事、サービスの遅延、商品の不具合など、個人的な不満を表現する際に頻繁に用いられます。例えば、「隣人の騒音についてcomplainする」や「飛行機の遅延についてcomplainする」といった具体的な状況が考えられます。口語表現として非常に一般的です。
関連語
類義語
不満をくすぶらせ、ぶつぶつ言うこと。個人的な不満や不機嫌さを表すことが多い。日常会話でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"complain"よりも不満の内容が些細で、深刻でないことが多い。また、正式な苦情というよりは、内輪でこぼすようなニュアンスが強い。 【混同しやすい点】"grumble"はしばしば自動詞として使われ、前置詞"about"や"at"を伴うことが多い。他動詞として使う場合は、間接目的語をとることも可能(例:He grumbled to me about the food.)。
公然と反対意見を表明すること。デモや抗議活動など、社会的な不正や不当な処遇に対して行われることが多い。報道や学術的な文脈でも用いられる。 【ニュアンスの違い】"complain"よりも強い反対の意思表示であり、行動を伴うことが多い。個人的な不満というよりは、集団的な主張や要求を伝える意味合いが強い。 【混同しやすい点】"protest"は名詞としても動詞としても使われる。動詞として使う場合、"protest against"という形で、抗議の対象を示すことが多い。名詞として使う場合は、"a protest against"のようになる。
何かに対して反対や異議を唱えること。会議や議論の場など、フォーマルな状況で用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】"complain"よりも論理的で、根拠に基づいた反対意見を述べるニュアンスが強い。感情的な不満というよりは、合理的な判断に基づく異議申し立てを表す。 【混同しやすい点】"object"は自動詞であり、前置詞"to"を伴って、反対の対象を示す。名詞としても使われ、その場合は「物体」や「対象」という意味になるため、文脈によって意味を判断する必要がある。
悲しみや後悔を表明すること。喪失や不幸な出来事に対して、嘆き悲しむ様子を表す。文学作品や詩など、感情的な表現が求められる文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】"complain"よりも感情的な色彩が強く、悲しみや苦悩を伴う。個人的な不満というよりは、運命や状況に対する嘆きを表す。 【混同しやすい点】"lament"はしばしば過去の出来事や失われたものに対する後悔や悲しみを表す。また、"lament"は名詞としても使われ、「悲しみ」や「嘆き」という意味になる。
弱々しい声で不平を言うこと。子供やペットが不満を訴える様子を表すことが多い。日常会話で使われるが、ややネガティブなニュアンスを持つ。 【ニュアンスの違い】"complain"よりも幼稚で、自己中心的で、相手に同情を求めるようなニュアンスが強い。深刻な問題というよりは、ささいなことでぐずる様子を表す。 【混同しやすい点】"whine"はしばしば自動詞として使われ、前置詞"about"を伴うことが多い。また、"whine"は名詞としても使われ、「弱々しい不平」という意味になる。
(相手に)抗議する、いさめる。相手の行動や決定に対して、強い不満や反対を表明すること。フォーマルな文脈や、権威のある相手に対して用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】"complain"よりも丁寧で、相手に敬意を払いながら、道理を説くようなニュアンスが強い。個人的な感情よりも、倫理的な観点から異議を唱える。 【混同しやすい点】"remonstrate"は自動詞であり、前置詞"with"を伴って、抗議する相手を示す。また、"remonstrate"はしばしば"against"を伴い、抗議の対象を示すこともある。
派生語
「苦情」という意味の名詞。「complain」という動詞の行為や結果を名詞化したもの。日常会話からビジネスシーンまで幅広く用いられ、顧客からの不満やサービスに対する不満などを表す際に頻繁に登場します。たとえば、「a customer complaint(顧客からの苦情)」のように使われます。
- complainant
「苦情を言う人」「原告」という意味の名詞。「complain」に「~する人」という意味の接尾辞「-ant」が付いたもの。法的な文脈で、特に訴訟や紛争において、苦情や訴えを起こす人を指すことが多いです。日常会話よりも、法律文書や報道などで見かけることの多い語です。
- complaining
「不平を言う」「文句を言う」という意味の現在分詞または形容詞。「complain」に進行形を作る「-ing」が付加された形ですが、形容詞として使われる場合、「いつも不平を言っている」という意味合いが強くなります。例えば、「a complaining customer(いつも文句を言う客)」のように使われます。
反意語
「喜ぶ」「歓喜する」という意味の動詞。「complain」が不満や苦痛を表現するのに対し、「rejoice」は喜びや満足を表現します。例えば、困難な状況を乗り越えた後に「rejoice」を使うことで、喜びを強調できます。日常会話から文学作品まで幅広く使われます。
「褒める」「称賛する」という意味の動詞。「complain」が欠点や不満を指摘するのに対し、「praise」は長所や美点を評価し、肯定的な感情を表現します。上司が部下を褒める、レビューで製品を褒めるなど、様々な文脈で使われます。名詞としても使われ、「称賛」という意味になります。
「受け入れる」「甘受する」という意味の動詞。「complain」が現状に不満を抱き、改善を求めるのに対し、「accept」は現状を肯定的に、あるいは少なくとも受容します。たとえば、「accept responsibility(責任を受け入れる)」のように使われ、困難な状況や不都合な事実を受け入れることを意味します。
語源
"Complain"は、古フランス語の"complaindre"(嘆き悲しむ、不満を言う)に由来します。これはさらに、ラテン語の"complangere"(共に嘆き悲しむ)から派生しています。"Com-"は「共に、一緒に」を意味する接頭辞で、"plangere"は「打つ、嘆き悲しむ」という意味です。つまり、元々は「皆で一緒に嘆き悲しむ」というニュアンスを持っていました。現代英語では、他者と感情を共有するという意味合いは薄れ、個人的な不満や苦情を表明する意味合いが強くなっています。日本語で例えるなら、かつては村人が集まって「寄合」で問題を共有し解決策を探ったのが、次第に個人的な「訴え」に変化した、というイメージに近いかもしれません。
暗記法
「complain」は単なる不満ではない。抑圧された人々にとって、それは沈黙を破る変革の狼煙。中世の嘆きから、産業革命期の労働者の抵抗、ディケンズ作品の社会批判まで、歴史は「complain」と共に動いた。オーウェルの『動物農場』では、不満が革命へ。公民権運動では、差別への異議が社会を変えた。現代、SNSで拡散する「complain」は、社会を揺るがす力を持つ。正当な「complain」は、社会をより良くする第一歩なのだ。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の 'ply' の部分が曖昧になりやすい。意味は『従う』であり、『不満を言う』という意味の 'complain' とは正反対のニュアンスを持つ。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。語源的には、'comply' は 'complete'(完了する)に通じるため、『要求を満たす』イメージで捉えると覚えやすい。
語頭の 'ex-' の部分が 'com-' と似ているため、スペルを誤りやすい。また、意味も『説明する』と『不満を言う』で関連性がないわけではないため、混同する可能性がある。'explain' は『平らにする』という意味のラテン語に由来し、物事を分かりやすくするイメージ。'complain' とは語源が異なる。
語尾の '-plain' の部分が共通しているため、スペルを間違えやすい。意味は『運動』、『作戦』であり、'complain' とは全く異なる。特に政治的な文脈でよく使われる。語源的には、軍事用語に由来し、野原(campagne)での活動を指す。
語頭の 'con-' が 'com-' と似ているため、スペルを誤りやすい。意味は『非難する』であり、『不満を言う』という 'complain' の意味と関連性があるため、意味的にも混同しやすい。ただし、'condemn' はより強い非難の意を含む。語源的には、『共に(con-)罰する(damn)』という意味合いを持つ。
'complain' の語尾 '-plain' と同じ綴りであるため、スペルを誤りやすい。意味は『平野』、『明白な』であり、'complain' とは全く異なる。発音も 'complain' の '-plain' 部分と同一であるため、発音にも注意が必要。語源的には、『平らな場所』を意味するラテン語に由来する。
語頭の 'com-' が共通しており、スペルミスを引き起こしやすい。意味は『完全な』、『完了する』であり、'complain' とは全く異なる。ただし、'complain' の語源がラテン語の 'com-'(完全に) + 'plangere'(嘆く)であることから、ある意味では『完全に嘆きを表に出す』というニュアンスで関連付けられるかもしれない(こじつけに近いが)。
誤用例
日本語の『〜ということを不満に思う』という構造に引きずられ、that節を直接 complain の目的語にしてしまう誤りです。英語の complain は、complain about + 名詞 (or gerund) の形を取るのが一般的です。この背景には、英語がより直接的に不満の内容を示す傾向があります。日本語では遠回しな表現が好まれることもありますが、英語では具体的な事柄を指摘することで、より明確なコミュニケーションを目指します。また、"his constant lateness"のように名詞形で表現することで、感情的な色合いを薄め、より客観的な印象を与えることができます。
"complain"という単語は、日本語の「文句を言う」よりもネガティブなニュアンスが強い場合があります。特に、何度も不満を言う人を "complainer" と呼び、これはかなり否定的な意味合いを持ちます。そのため、サービスに対する不満を伝えたい場合でも、"raise a concern" のように、より丁寧で建設的な表現を使う方が適切です。これは、英語圏の文化において、単に不満を述べるだけでなく、問題解決に貢献しようとする姿勢が重視されるためです。"come across as" を使うことで、相手にどのように自分が印象づけられるかを意識していることを示唆できます。
日本語の「〜を訴える」という表現を直訳すると、"complain that..." となりがちですが、病状を訴える場合には "complain of + 病名" という形がより自然です。"complain that..." は、どちらかというと不満や苦情を述べる際に使われます。この違いは、英語がより具体的な状況や文脈に応じて表現を使い分ける傾向があることを示しています。日本語では「訴える」という言葉が幅広く使われるため、英語に直訳する際には注意が必要です。また、"I'm complaining of..."と進行形にすることで、今まさに症状に苦しんでいる状況を表すことができます。
文化的背景
「complain」(不平を言う)という言葉は、単なる個人的な不満の表明にとどまらず、社会的な不正や不公平に対する抵抗の始まりを意味することがあります。特に、歴史的に抑圧されてきた人々にとって、「complain」は、沈黙を破り、変革を求める声の第一歩となりうるのです。
中世英語の時代から使われているこの単語は、当初はより広い意味での「嘆き」や「悲しみ」を表していました。しかし、社会構造が複雑化し、階級間の格差が拡大するにつれて、「complain」は、不当な扱いに対する異議申し立てというニュアンスを帯びるようになりました。例えば、18世紀の産業革命期には、労働者たちが劣悪な労働環境や低賃金に対して「complain」することで、労働運動の原動力となったのです。ディケンズの小説には、そうした社会の底辺で生きる人々の「complain」が克明に描かれています。
文学作品における「complain」は、しばしば権力構造への挑戦として描かれます。ジョージ・オーウェルの『動物農場』では、動物たちが当初はナポレオン(豚)の独裁政治に対して小声で「complain」しますが、それがやがて革命へと発展していきます。このように、「complain」は、小さな不満の積み重ねが、社会全体の変革につながる可能性を示唆しているのです。また、アメリカの公民権運動においては、黒人たちが人種差別に対して「complain」する勇気が、法制度や社会規範の変革を促しました。
現代社会においては、「complain」は、ソーシャルメディアを通じて瞬時に拡散され、大きな影響力を持つようになりました。顧客が企業の商品やサービスに対して「complain」することで、企業の改善を促したり、炎上騒ぎに発展したりすることも珍しくありません。しかし、同時に、根拠のない「complain」や、単なるわがままも増えており、「complain」の正当性や目的が問われる時代となっています。重要なのは、「complain」が単なる感情的な吐露ではなく、建設的な議論や解決策の探求につながるようにすることです。それは、より公正で公平な社会を築くための、重要な第一歩となりうるのです。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング(会話文)
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でもまれに出題
- 文脈・例題の特徴: フォーマルな場面、ニュース記事、エッセイなど。日常会話でも使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 自動詞・他動詞両方の用法がある点に注意。名詞形 (complaint) との区別も重要。派生語 (complaining, complainant) も覚えておくと有利。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5, 6, 7で頻出
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(顧客対応、社内連絡、製品に関する問題など)でよく使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 主にビジネス関連の文脈で使われることを意識する。関連語句 (e.g., handle complaints, address concerns) とセットで覚えると効果的。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな文脈(社会学、心理学、歴史など)で、不満や問題点を議論する際に使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: ややフォーマルな語彙として認識する。類似語句 (e.g., grievance, objection) との違いを理解する。名詞形の 'complaint' が頻出。
- 出題形式: 長文読解、和訳、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文読解で頻出
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、人間関係など、幅広いテーマで使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。特に、抽象的な内容の文章で使われることが多い。complaint と complain の使い分けを意識する。