avert
第2音節にアクセントがあります。/ɜː/ は、日本語の「アー」よりも口を少し開き、喉の奥から出すような音です。『ヴァ』は、上の前歯を下唇に軽く当てて発音します。最後の /t/ は破裂させず、軽く止めるように発音すると、より自然に聞こえます。
そらす
視線や顔、注意などを意図的に別の方向へ向けること。不快なもの、危険なもの、または単に目を合わせたくないものから意識を遠ざけるニュアンス。
The little boy averted his face from the broccoli on his plate.
小さい男の子は、お皿のブロッコリーから顔をそらした。
※ 嫌いなものを食べたくなくて顔を背ける、という子供の行動が目に浮かびますね。「avert」は、このように見たくないものや避けたいものから、顔や目を「そらす」ときに使います。この例文では「顔をそらす」という物理的な動作を伝えています。
She quickly averted her gaze when she saw the accident.
彼女は事故を見たとき、すぐに視線をそらした。
※ 思わず目を背けてしまうような、衝撃的な場面が想像できますね。「gaze」は「じっと見つめる視線」という意味。事故のようなショッキングな光景から、意識的に、あるいは無意識に視線を「そらす」状況でよく使われます。感情がこもった動作を表すのにぴったりです。
He felt awkward and averted his eyes when their eyes met.
彼は気まずく感じ、目が合ったとき視線をそらした。
※ 気まずい状況で、相手と目を合わせたくなくて視線をそらす、そんな心の動きがよく伝わりますね。「avert one's eyes」は、目を合わせたくない、あるいは見たくないものから視線を逸らす、という時に非常によく使われる表現です。相手との間に気まずさや不快感がある場合に特に典型的な使い方です。
防ぐ
悪い事態や危険な出来事が起こらないように、事前に何かをすること。事故、災害、紛争などが対象。
The driver quickly hit the brakes to avert an accident.
運転手は事故を防ぐため、素早くブレーキを踏んだ。
※ 車がぶつかりそうになった時、運転手が急ブレーキを踏んで間一髪で事故を防いだ場面です。「avert」は、このように「(望ましくない事態)を防ぐ」「回避する」という時に使われます。特に、危険な状況や事故を未然に防ぐニュアンスが強いです。
She spoke calmly to avert a big argument between them.
彼女は彼らの間の大きな口論を防ぐため、冷静に話した。
※ 二人が口論になりそうな険悪な雰囲気の中、誰かが落ち着いて話すことで、その争いを未然に防いだ場面です。「avert」は、物理的な危険だけでなく、人間関係のトラブルや対立といった「好ましくない状況」を防ぐ際にもよく使われます。
The city worked hard to avert serious damage from the coming storm.
市は、来る嵐による深刻な被害を防ぐために懸命に努力した。
※ 大きな嵐が近づいてくる中、市が市民を守るために懸命に準備をして、被害を最小限に食い止めようとしている場面です。「avert」は、このように「災害」や「大きな損害」など、広範囲に及ぶ悪い影響を防ぐ際にも使われます。ニュースや公式な発表でよく耳にするでしょう。
コロケーション
危機を回避する、未然に防ぐ
※ 差し迫った危機が起こる前に、対策を講じて回避することを意味します。ビジネスや政治など、深刻な事態を避けたい場面でよく用いられます。単に『避ける』だけでなく、『積極的に回避行動を取る』ニュアンスが含まれます。例えば、企業の不祥事や国家間の紛争など、重大な問題に対して使われます。
目をそらす、顔を背ける
※ 不快なもの、見たくないもの、恥ずかしいものなどから目をそらす行為を指します。道徳的な理由や、相手への配慮から目をそらす場合に使われます。例えば、事故現場や、他人のプライベートな場面に遭遇した際に、目をそらすといった状況です。直接的な視線を避けることで、相手への敬意や、不快感を与えないようにする意図が込められています。
惨事を回避する、災難を未然に防ぐ
※ 大災害や悲惨な出来事が起こるのを防ぐことを意味します。『crisis』よりも規模が大きく、壊滅的な状況を回避するニュアンスがあります。自然災害、人災、経済的な大恐慌など、深刻な被害をもたらす可能性のある事態に対して使われます。事前の対策や迅速な対応によって、最悪の事態を免れる状況を表します。
疑いを避ける、嫌疑をかけられないようにする
※ 他者からの疑念や嫌疑を招かないように行動することを指します。犯罪や不正行為に関わっていないことを示すために、意図的に行動する場合に使われます。例えば、アリバイを作ったり、証拠を隠滅したりする行為も含まれます。ビジネスシーンにおいては、インサイダー取引や贈収賄などの疑いを避けるために、慎重な行動が求められます。
戦争を回避する、開戦を阻止する
※ 国家間の武力紛争が始まるのを防ぐことを意味します。外交交渉や平和維持活動など、あらゆる手段を用いて戦争を回避する努力を指します。歴史的な文脈や、国際政治に関する議論でよく用いられます。冷戦時代のように、核戦争の危機が迫っていた状況を回避するために、様々な外交努力が行われた例があります。
視線をそらす
※ 『avert one's eyes』とほぼ同義ですが、より詩的・文学的な表現です。直接的な視線を避ける行為を、感情的なニュアンスを込めて表現します。例えば、恥ずかしさ、罪悪感、または相手への敬意を示すために視線をそらすといった状況です。小説や詩の中で、登場人物の心理描写として用いられることがあります。
リスクを回避する
※ 潜在的な危険や損害を未然に防ぐことを意味します。ビジネスや投資の世界でよく用いられる表現で、リスク管理の一環として行われる様々な対策を指します。例えば、金融市場の変動リスク、自然災害による事業中断リスク、情報漏洩リスクなどを回避するために、様々な戦略が立てられます。リスクアセスメントを行い、適切な対策を講じることで、損失を最小限に抑えることが目的です。
使用シーン
学術論文や教科書で、問題や危機を「回避する」「防ぐ」という意味で使われます。例えば、経済学の論文で「金融危機を回避するために」 (to avert a financial crisis) といった文脈で見られます。また、心理学の研究で「視線をそらす」という意味で、被験者の行動を分析する際に使われることがあります。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、リスクや損失を「回避する」という意味合いで用いられます。例えば、プロジェクトのリスク管理に関する報告書で、「損失を回避するための対策」 (measures to avert losses) という表現が使われることがあります。ややフォーマルな印象を与えるため、日常的な会話よりは書面での使用が一般的です。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事や報道番組で、災害や事故を「防ぐ」という意味で耳にすることがあります。例えば、「大惨事を回避するために」 (to avert a major disaster) といった見出しで使われることがあります。自分自身が積極的に使うというよりは、受け身で理解する単語と言えるでしょう。
関連語
類義語
『避ける』という意味で、危険や不快な状況など、好ましくない事態全般を回避する際に広く使われる。日常会話、ビジネス、学術など様々な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『avert』が視線や顔をそらすことで物理的に回避するニュアンスを含むのに対し、『avoid』は計画的に、あるいは意図的にある状況や場所、人などを避けることを意味する。感情的な回避にも使われる。 【混同しやすい点】『avoid』は他動詞であり、避ける対象を目的語として必要とする。また、動名詞(V-ing)を目的語にとることが多い(例: avoid going)。『avert』のように特定の身体部位の動きを伴うニュアンスは薄い。
『(危険などを)防ぐ』という意味で、攻撃や病気、災難など、積極的に何かを防御し、寄せ付けないようにする際に使われる。フォーマルな場面や、比喩的な表現で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『avert』が瞬間的な回避行動であるのに対し、『ward off』は継続的な防御行動を指すことが多い。また、『ward off』は目に見えないもの(災厄、悪霊など)を防ぐ際にも用いられる。 【混同しやすい点】『ward off』は句動詞であり、目的語の位置に注意が必要(例: ward off danger)。『avert』のように視線をそらす意味は含まない。
『(人や場所などを)避ける』という意味で、嫌悪感や軽蔑から意図的に距離を置く場合に用いられる。しばしば道徳的、社会的な非難を伴うニュアンスを含む。 【ニュアンスの違い】『avert』が一時的な回避であるのに対し、『shun』はより永続的で、社会的な関係を断つような強い意味合いを持つ。個人的な感情だけでなく、社会的な圧力や慣習によって行われることもある。 【混同しやすい点】『shun』は人間関係や社会的な繋がりを対象とすることが多く、視線をそらすといった物理的な行動には使われない。また、道徳的な判断が伴うことが多い点も異なる。
『(方向を)そらす』『(批判などを)かわす』という意味で、物理的な力や攻撃、批判などを逸らす際に使われる。工学、スポーツ、政治など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『avert』が自発的な行動であるのに対し、『deflect』は外部からの力によって方向が変わるというニュアンスが強い。また、責任や批判をかわすという意味合いも持つ。 【混同しやすい点】『deflect』は、何かが元の方向から逸れることを意味し、視線をそらすといった特定の行動に限定されない。比喩的な意味合いで使われることも多い(例:deflect criticism)。
- turn away
『顔を背ける』『拒否する』という意味で、物理的に顔を背ける場合と、要求や助けを拒否する場合の両方に使われる。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】『avert』が不快なものを見ないようにする意図を含むのに対し、『turn away』は単に顔を背けるという行為を表す場合もある。また、拒否するという意味合いでは、『avert』にはない。 【混同しやすい点】『turn away』は句動詞であり、文字通りの意味(顔を背ける)と比喩的な意味(拒否する)の両方で使用される。文脈によって意味が異なるため注意が必要。また、『avert』よりも口語的な表現。
派生語
名詞で『嫌悪感、反感』。動詞『avert(避ける)』から派生し、『何かを避ける気持ち』を表す。日常会話よりも、心理学や社会学の文脈で、特定の対象への強い嫌悪感を示す際に用いられることが多い。
- avertable
形容詞で『回避可能な』。動詞『avert』に『〜できる』という意味の接尾辞『-able』が付いた形。災害、事故、紛争など、ネガティブな事態について『回避できる』というニュアンスで、報道や政策文書などで使用される。
- inadvertent
形容詞で『不注意な、うっかりした』。接頭辞『in-(否定)』が付き、『意図せずに(avertせずに)何かをしてしまう』という意味合い。ビジネス文書や法的な文脈で、過失やミスのニュアンスを伝える際に用いられる。
語源
"avert」はラテン語の「avertere」に由来します。これは「av-」(離れて、遠ざけて)と「vertere」(向ける、回す)という二つの要素から構成されています。つまり、文字通りには「(何かを)遠ざけるように向ける」という意味合いです。日本語で例えるなら、「目を背ける」という表現が近いでしょう。危険や不快な事態から目をそらすように、何かを回避したり、防いだりする意味へと発展しました。日常会話では、事故や災難などを「未然に防ぐ」といったニュアンスで使われることが多いです。例えば、「危機を回避する」は英語で「avert a crisis」と表現できます。
暗記法
「avert」は単なる視線移動ではない。不運や災厄から目を背け、回避する積極的な防御のニュアンスを持つ。古代ローマでは邪視を払う呪文とともに、中世では神の怒りを鎮める祈りとして用いられた。ゴシック小説では禁断の知識から精神を守り、ホラー映画では恐怖を増幅させる。現代では、地球規模の問題から個人の危機まで、困難に立ち向かう姿勢を示す。目を背けたくなる現実から目を逸らさず、未来を築く希望が込められている。
混同しやすい単語
『avert』とスペルが似ており、特にタイプミスで間違えやすい。意味は『注意を向ける』であり、動詞として使われるが、現代英語ではやや古風な表現。混同を避けるためには、文脈をよく確認し、意図した単語が適切かどうかを検討することが重要です。'advertisement'(広告)という名詞で使われることの方が多いです。
『avert』と語頭の 'a' と、続く子音字が似ているため、スペルミスで混同しやすい。意味は『警戒させる』、『油断なく注意する』であり、動詞、形容詞、名詞として使われる。発音も似ているため注意が必要。緊急事態や危険を知らせる際に使われることが多い点を覚えておくと、区別しやすいでしょう。
『avert』と語尾の 'vert' が共通しているため、スペルが似ていると感じやすい。意味は『転換する』、『改造する』であり、宗教や意見を変える場合にも使われる。発音も似ているため、文脈から判断することが重要です。接頭辞 'con-' が『共に』という意味を持つことを知っておくと、語源的に理解しやすくなります。
『avert』とスペルが似ており、特に語頭の文字が入れ替わっているため、視覚的に混同しやすい。意味は『公然の』、『明白な』であり、形容詞として使われる。発音も似ているため注意が必要。隠されたものではなく、はっきりと見える状態を表すことを覚えておくと、区別しやすくなります。
『avert』とスペルが似ており、特に語頭の文字が入れ替わっているため、視覚的に混同しやすい。意味は『逆にする』、『転倒させる』であり、動詞として使われる。数学や科学の分野でよく使われる単語です。接頭辞 'in-' が『内側に』という意味だけでなく『反対に』という意味を持つことを知っておくと、語源的に理解しやすくなります。
『avert』と意味が一部重なる(避ける)ため、混同しやすい。スペルと発音は大きく異なるが、文脈によっては誤って使用される可能性がある。『evade』は『(ずる賢く)回避する』という意味合いが強く、責任や義務を逃れるニュアンスを含むことが多い。『avert』は『(意識的に)防ぐ』という意味合いが強いので、意図的な行動の方向性が異なります。
誤用例
日本語の『目をそらす』という表現を直訳すると"avert one's eyes"となりがちですが、英語の"avert"は、より深刻な事態や危険を避けるニュアンスが強く、単に恥ずかしいから目をそらす、という状況には不自然です。"avert"は例えば"avert a disaster(災害を回避する)"のように使われます。この場合は、単純に"look away"が適切です。日本人は謙遜の文化から、褒められた時に照れて目をそらす行動をしますが、英語圏では目をそらす=何か隠している、または失礼な態度と解釈される可能性もあります。文化的な背景の違いも考慮する必要があります。
"avert"は、何か良くない事態が発生するのを防ぐという意味合いが強い単語です。既に起きてしまった事実、特にスキャンダルなどの『真実』を隠蔽しようとする場合には、"suppress"(抑圧する、隠蔽する)や"cover up"(隠蔽工作をする)がより適切です。日本語の『目をそらす』という表現が、事実から目を背けるという意味にも解釈できるため、誤って"avert"を選んでしまう可能性があります。しかし、英語では、"avert"はあくまで未来に起こりうる事態への対処に使われるという点を意識する必要があります。
会話を『避ける』という意味で"avert"を使うのは不自然ではありませんが、この単語はより意識的で、かつ積極的に何かを回避するニュアンスを持ちます。元恋人との会話を避けるという状況では、単に"avoid"(避ける)を使う方が、より自然で一般的な表現です。"avert"を使うと、まるで元恋人との会話が重大な危機であるかのような印象を与えてしまう可能性があります。日本語では『避ける』という言葉が様々なシチュエーションで使われるため、英語に直訳する際に、単語の持つニュアンスの違いを意識することが重要です。
文化的背景
「avert」は、単に視線を逸らすだけでなく、不運や災厄から目を背け、それを回避しようとする、積極的な防御のニュアンスを伴います。この単語が持つ「目をそらす」という行為は、しばしばタブーや不吉なものへの直視を避ける文化的、心理的なメカニズムと深く結びついています。
歴史的には、「avert」は宗教的な文脈で、悪魔や邪視(evil eye)から身を守る儀式的な行為を表現するために用いられました。例えば、古代ローマでは、特定の呪文を唱えながら目をそらすことで、邪悪な影響を払いのけると信じられていました。中世ヨーロッパでは、疫病や飢饉などの災厄が頻発し、人々は神の怒りや悪霊の仕業と解釈しました。そのため、「avert」は祈りや懺悔といった宗教的な行為を通じて、神の怒りを鎮め、災いを避けるという意味合いで使用されたのです。このように、「avert」は単なる物理的な行為を超え、精神的な防衛手段として捉えられてきました。
文学作品においても、「avert」は重要な役割を果たしています。例えば、ゴシック小説では、主人公が禁断の知識や恐ろしい光景に直面した際に、目をそらすことで精神的な崩壊を食い止めようとする場面が描かれます。また、悲劇においては、登場人物が運命から逃れようと必死になる姿を、「avert」という言葉を通じて表現することで、読者に深い共感を呼び起こします。映画の世界でも、ホラー映画などで、登場人物が恐ろしいものを見ないように目をそらすシーンは、恐怖を増幅させる効果的な演出として多用されます。これらの例からもわかるように、「avert」は人間の根源的な恐怖や、それを克服しようとする意志を象徴する言葉として、文化的な想像力の中で重要な位置を占めています。
現代社会においても、「avert」は、気候変動や貧困といった地球規模の問題から、個人的な危機まで、様々な困難に立ち向かう姿勢を表す言葉として使われています。目をそらすのではなく、目を背けたくなるような現実から目を逸らさずに、積極的に解決策を探し、行動することで、より良い未来を築こうとする意識が、「avert」という言葉に込められていると言えるでしょう。このように、「avert」は、過去から現在に至るまで、人間の生存本能や倫理観、そして未来への希望と深く結びついた、豊かな文化的背景を持つ言葉なのです。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題で出題される可能性あり。長文読解で、文脈から意味を推測させる問題も考えられる。リスニングでの出題は比較的少ない。
Part 5, 6(短文穴埋め、長文穴埋め)で、語彙知識を問う形で出題される可能性がある。ビジネス関連の文章で使われることが多い。
リーディングセクションで、アカデミックな文章中で頻出。文脈から類義語を選ぶ問題や、文章全体の意味を理解する上で重要な語として問われる。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。文脈から意味を推測する問題や、内容一致問題でキーワードとなる場合がある。