admire
最初の 'ad-' 部分は、日本語の『ア』よりも曖昧な『曖昧母音 /ə/(schwa)』で発音されることが多いです。口を軽く開けて、力を抜いて『ア』と発音するイメージです。また、強勢は 'mire' の部分(/ˈmaɪər/)に置かれるため、そこを意識して発音するとより自然になります。最後の 'r' は、舌を口の中で丸めるように意識すると、より英語らしい発音になります。日本語の『ル』のような音を当てないように注意しましょう。
尊敬する
相手の能力、業績、人格などを高く評価し、敬意を払う気持ち。単なる好きという感情よりも、理性的な判断に基づいた敬意に近い。
I really admire her paintings because they are so beautiful and unique.
彼女の絵はとても美しくユニークなので、本当に尊敬しています。
※ この例文は、誰かの才能や、その才能から生まれた作品(絵画、音楽、建築など)に深く感動し、高く評価する時に「admire」を使う典型的な場面です。絵を見た時の感動が目に浮かびますね。
My father works very hard, and I admire his dedication to his family.
父はとても一生懸命働いていて、私は家族への彼の献身を尊敬しています。
※ 「admire」は、人の努力や姿勢、性格といった内面的な資質を尊敬する時にもよく使われます。この文では、お父さんの「家族への献身 (dedication)」という姿勢を心から尊敬している様子が伝わります。
Many people admire the athlete for his strong spirit after his injury.
多くの人々は、その選手が怪我から復帰した後の強い精神力を尊敬しています。
※ 困難を乗り越えた人や、特別な能力を持つ人に対して、その精神力や回復力を「admire」と表現することがあります。この例文では、怪我をしたにもかかわらず、強い心で立ち向かうアスリートの姿に多くの人が感銘を受けている状況が目に浮かびます。
称賛する
相手の素晴らしい行いや性質を認め、言葉や態度で表すこと。賞賛の気持ちを込めて、積極的に褒めるニュアンス。
I really admire how hard she works every day.
彼女が毎日どれほど一生懸命働いているか、本当に感心します。
※ 職場で、新しい同僚が毎日一生懸命仕事をしている姿を見て、その真面目さや努力に心から感銘を受けている状況。「すごいな、見習いたいな」という気持ちが込められています。 「admire」の後に「how + 主語 + 動詞」の形で、「どのように~するか」というやり方や努力を称賛する際によく使われます。単に「She works hard.」と褒めるよりも、相手の努力の「仕方」や「姿勢」に注目し、深く尊敬している気持ちが伝わります。
We stood silently, admiring the beautiful painting in the museum.
私たちは美術館で、その美しい絵画を静かに鑑賞していました。
※ 美術館で、目の前にある美しい絵画を静かに、じっと見つめている場面です。その絵の色彩や構図、描かれた世界に深く感動し、心の中で「素晴らしい」と称賛している様子が伝わります。 「admiring」は「~しながら」という同時進行の動作を表す分詞構文です。静かに立ち止まって、絵を「称賛していた」という状況を自然に描写しています。「admire」は人だけでなく、芸術作品や景色など、美しいものや素晴らしいものに対しても使われます。
Everyone admired his courage to try something completely new.
誰もが、彼が全く新しいことに挑戦する勇気を称賛しました。
※ 誰もが、彼がこれまでにない全く新しいことに挑戦しようとする勇気に、心から感心し、尊敬の念を抱いている状況です。新しい挑戦にはリスクや不安が伴うため、その一歩を踏み出す勇気は特に称賛に値します。 「courage to do something」で「~する勇気」という意味になります。「admire」は、人の才能や努力だけでなく、勇気や忍耐力といった内面の強さや精神的な資質を称賛する際にも非常に適した単語です。
羨望する
相手の持っているもの(才能、美貌、幸運など)をうらやましく思い、自分もそうありたいと願う気持ち。妬みや嫉妬のニュアンスを含む場合もある。
Many young fans admire the basketball player's incredible skills.
多くの若いファンが、そのバスケットボール選手の驚くべき技術に感嘆しています。
※ この例文は、特に若い世代が、スポーツ選手や有名人の「素晴らしい能力」や「才能」に対して抱く憧れや尊敬の気持ちを表現する典型的な場面です。試合中に見せる見事なプレイに、思わず「すごい!」と心が動かされる様子が目に浮かびますね。admire は、このように「尊敬する」「感心する」といったポジティブな感情を伴って使われます。
I deeply admire my father's hard work and dedication to his family.
私は父の勤勉さと家族への献身を心から尊敬しています。
※ この例文は、身近な人の「努力」や「献身」といった内面的な資質や行動に対して、深く敬意を払う気持ちを表しています。お父さんが家族のために一生懸命働く姿を見て、「自分もあんな風になりたい」「本当にすごい人だ」と感じる、温かい情景が想像できます。「deeply」を加えることで、その尊敬の念が非常に強いことが伝わります。
When we visited Kyoto, we admired the peaceful Japanese garden for a long time.
京都を訪れた際、私たちはその穏やかな日本庭園を長い間じっと眺め、その美しさに感動しました。
※ この例文は、美しい景色や芸術作品、建造物など、「素晴らしいもの」をじっくり鑑賞し、その美しさや素晴らしさに感動する際に非常によく使われます。京都の静かで美しい庭園を前に、時間を忘れて見入ってしまうような、心安らぐ情景が目に浮かびます。このように、admireは「じっくり見てその素晴らしさに感心する」という意味でも使われます。
コロケーション
遠くから憧れる、遠巻きに見ている
※ 物理的な距離だけでなく、心理的な距離がある状態を示唆します。直接的な交流を避けつつ、尊敬や憧憬の念を抱いている状況を表し、恋愛感情や畏敬の念を含むことが多いです。例えば、有名人や手の届かない存在に対して使われます。使用頻度は中程度で、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用可能です。
~の粘り強さに感服する、~の不屈の精神を称賛する
※ 困難な状況にも屈せず、目標に向かって努力し続ける人を賞賛する際に用います。ビジネスシーンやスポーツなど、目標達成のために努力する場面でよく使われます。tenacity は「粘り強さ」「執着」という意味で、日本語の「根性」に近いニュアンスも持ちますが、より知的な印象を与えます。例:I admire his tenacity in pursuing his dreams despite the setbacks.(挫折にもめげず夢を追い続ける彼の粘り強さには感服します)。
職人技に感嘆する、その技巧を高く評価する
※ 単に「技術」を褒めるのではなく、熟練した職人による手仕事や芸術性を評価する際に使われます。例えば、家具、陶芸、建築物など、細部にまでこだわりが感じられる作品に対して用いられます。craftsmanship は「職人技」「手腕」という意味で、単なる技術を超えた芸術的な価値を含むニュアンスがあります。使用頻度は中程度で、美術や工芸に関わる場面でよく使われます。
景色を堪能する、景観に見惚れる
※ 自然の美しさや壮大な景色に心を奪われる様子を表します。単に「景色を見る」のではなく、感動や感銘を受けるニュアンスが含まれます。例えば、旅行先での絶景や、季節の移り変わりを感じさせる風景に対して使われます。scenery は「景色」「風景」という意味で、特に自然が織りなす美しい景観を指すことが多いです。旅行記や紀行文でよく見られる表現です。
大胆さに感心する、その無謀さをある意味認める
※ 通常はネガティブな意味合いを持つ「大胆さ」「厚かましさ」に対して、驚きや面白さを感じて、ある程度肯定的に評価するニュアンスを含みます。必ずしも賞賛するわけではなく、その行動の異質さや予想外な展開に感心する気持ちを表します。ビジネスシーンやエンターテイメントの世界で、型破りな発想や行動に対して使われることがあります。Audacityは「大胆不敵」「向こう見ず」といった意味合い。
ひそかに憧れる、密かに尊敬する
※ 表には出さない感情を表す際に使われます。公にはできない理由がある場合や、恥ずかしさ、遠慮などから感情を隠している状況を示します。恋愛感情や、立場が上の人への尊敬の念を抱いている場合などに用いられます。例えば、職場の同僚や上司、憧れの芸能人などに対して使われます。使用頻度は中程度で、小説や映画などの物語でよく見られる表現です。
心から尊敬する、本当に感服する
※ 飾らない、偽りのない尊敬の念を表す際に使われます。表面的な評価ではなく、内面から湧き上がる敬意や感銘を表したい場合に用います。ビジネスシーンや人間関係において、相手の誠実さや能力を高く評価する際に使われます。genuinely は「心から」「本当に」という意味で、感情の真実性を強調します。例:I genuinely admire his dedication to his work.(彼の仕事への献身ぶりには心から感服します)。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで、研究対象や先行研究に対して客観的な評価を示す際に用いられます。例えば、「先行研究の斬新なアプローチを高く評価する(admire)」のように、研究の貢献度や独自性を認める文脈で使われます。また、歴史学においては、過去の偉人の業績を評価する際に使用されることもあります。
ビジネスシーンでは、相手の能力や実績を称賛する際に、ややフォーマルな表現として用いられます。例えば、上司が部下のプロジェクト成功を「彼の粘り強さを高く評価する(admire)」と述べる場合や、取引先の革新的な技術を「御社の技術力に感銘を受けております(admire)」と伝える場面などが考えられます。日常的な会話よりは、書面や公式な場での使用が目立ちます。
日常会話では、尊敬や称賛の気持ちを伝える際に使われますが、「respect」や「look up to」などのより口語的な表現が好まれる傾向があります。例えば、「彼女の勇気を尊敬する(admire)」と言う代わりに、「彼女の勇気はすごいと思う」と言うことが多いです。ただし、著名人や歴史上の人物に対して尊敬の念を抱いていることを語る場合など、やや改まった場面では使用されることがあります。
関連語
類義語
尊敬する、敬意を払う。相手の能力、人格、業績などを高く評価し、敬意を抱く感情を表す。ビジネスシーンやフォーマルな場面でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】「admire」は憧れや感嘆のニュアンスを含むのに対し、「respect」はより冷静で客観的な評価に基づく敬意を表す。対象が人だけでなく、法律や規則など抽象的なものにも使われる。 【混同しやすい点】「admire」は対象の美点に感銘を受けるニュアンスが強いが、「respect」は必ずしも好意的な感情を伴わない場合がある。例えば、「I respect his achievements, but I don't admire him as a person.(彼の業績は尊敬するが、人としては尊敬できない)」のように使える。
高く評価する、尊重する。相手の資質や能力を高く評価し、敬意を払うこと。フォーマルな文脈や文学的な表現で用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】「admire」よりもさらに形式的で、客観的な評価のニュアンスが強い。日常会話ではあまり使われず、文章語として用いられることが多い。 【混同しやすい点】「esteem」は「self-esteem(自尊心)」という複合語でよく使われるため、「自分自身を尊重する」という意味合いが強いと誤解されやすいが、他者に対しても使用できる。ただし、使用頻度は「respect」よりも低い。
崇拝する、敬虔な気持ちで敬う。非常に高い尊敬の念を抱き、畏敬の念を伴う。宗教的な文脈や歴史上の人物など、特別な対象に対して用いられる。 【ニュアンスの違い】「admire」よりもはるかに強い尊敬の念を表し、ほとんど崇拝に近い感情を表す。対象が神仏や聖人、偉人など、特別な存在であることが多い。 【混同しやすい点】日常的な尊敬の念を表す「admire」とは異なり、「revere」は対象を神聖視するニュアンスを含むため、使用場面が限定される。例えば、「I admire her dedication to her work.(彼女の仕事への献身を尊敬する)」とは言えるが、「I revere her dedication to her work.」とは通常言わない。
- look up to
尊敬する、手本とする。尊敬の念を抱き、模範とすること。日常会話でよく用いられる口語的な表現。 【ニュアンスの違い】「admire」よりも親しみやすく、尊敬の対象を身近に感じているニュアンスを含む。ロールモデルやメンターなど、個人的な関係性の中で用いられることが多い。 【混同しやすい点】「look up to」は句動詞であり、目的語の配置に注意する必要がある。「I look up to my father.」のように、目的語は「to」の後に置かれる。また、「admire」よりも対象を具体的な人物に限定する傾向がある。
- think highly of
高く評価する、良い印象を持つ。相手の能力や人格を高く評価し、肯定的な印象を持つこと。ややフォーマルな場面でも使用できる。 【ニュアンスの違い】「admire」よりも客観的な評価のニュアンスが強く、感情的な要素は少ない。ビジネスシーンなどで、相手の能力を評価する際に用いられることが多い。 【混同しやすい点】「think highly of」は間接的な表現であり、直接的な尊敬の念を表す「admire」とは異なる。例えば、「I admire her courage.(彼女の勇気を尊敬する)」とは言えるが、「I think highly of her courage.」と言うと、勇気そのものではなく、彼女の勇気に対する自分の評価を述べていることになる。
感謝する、価値を認める。相手の行為や性質に対して感謝の気持ちを持つ、またはその価値を認めること。ビジネスシーンや日常会話で幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】「admire」は相手の優れた点に感嘆するのに対し、「appreciate」は相手の行為や存在そのものに感謝するニュアンスが強い。例えば、才能を褒める場合はadmireを、助けてもらったことに対して感謝する場合はappreciateを使う。 【混同しやすい点】「appreciate」は感謝の気持ちを表すことが多いが、価値を認めるという意味もあるため、「I appreciate your efforts.(あなたの努力に感謝します)」と「I appreciate the beauty of nature.(自然の美しさを高く評価します)」のように、文脈によって意味が異なる点に注意が必要。
派生語
『賞賛』という名詞。動詞『admire』から派生し、行為や感情を表す抽象名詞化接尾辞『-ation』が付加された。日常会話はもとより、文学作品や報道記事など、幅広い文脈で用いられる。具体例:『彼女への賞賛は尽きない』
『称賛に値する』という意味の形容詞。動詞『admire』に、『〜に値する』という意味合いを付与する接尾辞『-able』が付いた。人の性質や行いを評価する際に用いられ、フォーマルな場面でも使用される。具体例:『彼の努力は称賛に値する』
- admirer
『崇拝者』や『ファン』を意味する名詞。動詞『admire』に、人を表す接尾辞『-er』が付加された。特定の人物や才能に対する好意的な感情を持つ人を指し、日常会話やメディアで頻繁に使用される。具体例:『彼女には多くの崇拝者がいる』
反意語
『軽蔑する』という意味の動詞。『admire』が尊敬や好意の念を抱くのに対し、こちらは嫌悪感や見下す感情を表す。両者は感情のスペクトラムにおいて対極に位置し、道徳的な判断や人間関係を描写する際に用いられる。具体例:『彼は嘘つきを軽蔑する』
『ひどく嫌う』という意味の動詞。『admire』とは対照的に、強い嫌悪感や憎悪の感情を示す。despiseよりも感情の強度が強く、個人的な嫌悪感や道徳的な嫌悪感を表現する際に用いられる。具体例:『彼は不公平な扱いをひどく嫌う』
『嫌う』という意味の動詞。接頭辞『dis-』は否定的な意味合いを付与し、『admire』の対象を好ましく思わない感情を示す。感情の強さとしては『despise』や『detest』よりも弱く、日常的な好みの違いを表す際に用いられる。具体例:『彼女は辛い食べ物を嫌う』
語源
"Admire」は、ラテン語の「admirari(驚き、感嘆する)」に由来します。これは「ad-(〜へ)」と「mirari(驚く)」が組み合わさった言葉です。「mirari」はさらに「mirus(驚くべき、素晴らしい)」という形容詞から派生しています。つまり、元々は「何かに向かって驚き、感嘆する」という意味合いでした。日本語で例えるなら、「素晴らしいものに目を奪われ、心を惹かれる」といった感覚に近いでしょう。時を経て、「尊敬する」「称賛する」といった意味合いへと発展しました。何かに対して深い感銘を受け、その価値を認めるという、より精神的なニュアンスが加わったのです。
暗記法
「admire」は単なる好きという感情を超え、尊敬や憧憬、理想化を含んだ特別な感情です。中世の騎士道物語では、高貴な人々への敬意として描かれ、ルネサンス期には古代の美や知性への憧れと結びつきました。文学作品では、社会的な地位や恋愛感情との複雑な関係性が描かれています。現代では、卓越した才能や社会貢献への賞賛として表現され、私たちが何を「admire」するかは、私たち自身の価値観を映し出す鏡となるのです。
混同しやすい単語
『admire』と『advise』は、どちらも動詞で、スペルも似ているため混同しやすいです。『advise』は「忠告する、助言する」という意味で、発音も /ədˈvaɪz/ と異なります。特に、名詞形の『advice』(忠告、助言)との区別が重要です。動詞は '-ise'、名詞は '-ice' で終わることを覚えておきましょう。
『admire』と『desire』は、どちらも願望を表す動詞で、語尾が '-ire' で終わる点も共通するため、混同されることがあります。『desire』は「強く望む、欲する」という意味で、発音は /dɪˈzaɪər/ です。意味の違いを意識して使い分けることが大切です。また、名詞としても使われます。
『admire』と『acquire』は、語頭の 'a' と、続く子音字が似ているため、スペルミスしやすい単語です。『acquire』は「獲得する、習得する」という意味で、発音は /əˈkwaɪər/ です。ビジネスシーンでよく使われる単語なので、しっかり区別できるようにしましょう。
『admire』と『assure』は、どちらも感情や心理状態に関連する動詞であり、語頭の 'a' の後に続く子音の並びが似ているため、スペルが混同されやすいです。『assure』は「保証する、安心させる」という意味で、発音は /əˈʃʊər/ です。特に、'sure' という単語との関連性を意識すると覚えやすいでしょう。
『admire』の語尾の「-ire」と『matter』の「-tter」のスペルが似ているため、スペルミスにつながることがあります。『matter』は「重要である」「問題」という意味で、発音は /ˈmætər/ です。特に、動詞として使われる場合と名詞として使われる場合で意味が異なる点に注意が必要です。
『admire』と『admit』は、語頭が同じ 'ad-' で始まるため、意味や用法が混同されることがあります。『admit』は「認める、入場させる」という意味で、発音は /ədˈmɪt/ です。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。語源的には、'ad-' は「〜へ」という意味の接頭辞で、その後に続く語根の意味を理解すると、より深く理解できます。
誤用例
『Admire』は、相手の行動や性質に対して純粋な尊敬や称賛の気持ちを表す際に用います。しかし、この例文のように、相手の犠牲に対して「やりすぎだ」という批判的なニュアンスを伴う場合には、皮肉や反感を込めていると解釈される可能性があります。より客観的に敬意を示す『respect』を使用する方が適切です。日本人は、相手の行動を率直に評価する際に、つい『admire』を使ってしまいがちですが、英語では感情のニュアンスがより強く伝わるため、注意が必要です。日本語の『感心する』が必ずしもポジティブな意味合いだけを持たないのと同様に、英語の単語も文脈によって意味合いが変わることを意識しましょう。
『Admire』は、動詞として使用する場合、直接目的語を取ります。『admire someone for something』という構文が一般的で、『admire someone to be...』という形は不自然です。日本人は、『〜することを尊敬する』という日本語の構造に引きずられて、不定詞(to be)を使いたくなる傾向がありますが、英語では名詞形(fluency)を使う方が自然です。また、英語では具体的なスキルや能力を評価する際に、そのスキル自体を目的語にすることが一般的です。例えば、『I admire your skill.』のように表現します。これは、英語がより直接的で具体的な表現を好む文化的な背景によるものです。
『Admire』は、単に『良いな』『素敵だな』と思うよりも、もっと深い尊敬や感嘆の念を表す言葉です。高価なバッグを見て『素敵だな』と思う程度であれば、『like』や『appreciate』を使う方が自然です。日本人は、つい『admire』を『良いと思う』の程度の意味で使ってしまいがちですが、英語ではより強い感情を表す言葉であることを意識する必要があります。例えば、芸術作品や偉業に対して『admire』を使うのは適切ですが、日常的な物に対して使うと、大げさな印象を与えることがあります。英語では、感情の強さに応じて言葉を選ぶことが重要です。
文化的背景
「admire」は、単なる好意を超え、尊敬、畏敬、理想化といった感情を込めて、相手の卓越した能力や美徳を認める際に用いられます。特に、自己の価値観や理想を体現する存在に対して抱く感情であり、社会的な尊敬や模範となる人物像と深く結びついてきました。
歴史的に見ると、「admire」は、貴族や英雄といった、社会的に高い地位にある人々に対して向けられる感情として発展してきました。中世の騎士道物語では、騎士が美しい貴婦人や勇敢な君主を「admire」する様子が描かれ、その感情は忠誠心や献身と結びついていました。ルネサンス期には、古代ギリシャ・ローマの芸術や文化への憧憬が強まり、その理想的な美や知性に「admire」の念を抱くことが、知識人や芸術家の間で一般的になりました。このように、「admire」は、社会的な階層や権威、そして理想的な美や知性といった要素と深く結びついて、その意味合いを深めてきたのです。
文学作品においても、「admire」は重要な役割を果たしています。例えば、ジェーン・オースティンの作品では、登場人物たちが互いを「admire」する感情を通じて、社会的な地位や価値観、そして恋愛感情が複雑に絡み合って描かれています。シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』では、主人公がミスター・ロチェスターの知性と強さに「admire」の念を抱きつつも、彼の秘密や社会的な制約との間で葛藤する様子が描かれています。これらの作品は、「admire」が単なる好意ではなく、尊敬、憧憬、そして時には批判的な視点を含む、複雑な感情であることを示唆しています。
現代社会においては、「admire」は、スポーツ選手や芸術家、科学者など、特定の分野で卓越した能力を発揮する人々に対して向けられることが多くなりました。また、社会的な貢献や慈善活動を行う人々に対しても、その行為を「admire」する感情が表明されます。しかし、「admire」は、単に相手を賞賛するだけでなく、自己の価値観や理想を再確認する機会でもあります。私たちが誰を「admire」するかは、私たちがどのような価値観を重視し、どのような社会を理想とするかを反映していると言えるでしょう。そのため、「admire」の感情は、個人的な感情であると同時に、社会的な価値観や文化的な背景と深く結びついているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、まれにリスニング
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。特に長文読解
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで出題されるが、評論文や物語文で人の心情を表す際に使われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「尊敬する」「感嘆する」の意味を理解し、対象(人、物事、性質)を把握。同義語(respect, appreciate)とのニュアンスの違いも意識する
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5、7で時々見られる程度。頻度は高くない
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの人物評価や企業理念など、ややフォーマルな文脈で使用される
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス関連の文書で「称賛する」の意味で使われることを意識。類義語(value, praise)との使い分けを理解する
- 出題形式: 主にリーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学など、学術的な内容の文章で、研究者や思想家に対する尊敬の念を表す際に使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 学術的な文脈での使用例を多く学習し、対象への深い敬意や評価を示す語であることを理解する。名詞形(admiration)も重要
- 出題形式: 主に長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で頻出
- 文脈・例題の特徴: 評論文や物語文で、登場人物の心情や筆者の意見を表現する際に使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から正確な意味を判断する練習が必要。「尊敬する」「感嘆する」の意味に加え、対象への肯定的評価を含むことを理解。派生語(admirable, admiringly)も重要