sanction
第一音節にアクセントがあります。母音 /æ/ は日本語の『ア』と『エ』の中間のような音で、口を横に広げて発音します。『ン』は、舌先をどこにもつけずに鼻から息を抜くように発音すると、より自然な英語の鼻音になります。最後の /ʃən/ は『シャン』と発音しますが、日本語の『シャ』よりも唇を少し突き出すようにすると、より英語らしい音になります。
専門的な内容に関するご注意
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制裁
国際法や国内法に違反した行為に対して科される罰。経済的な制限や貿易の禁止などが含まれる。公式な決定に基づく措置であることを強調する。
Many countries placed a new sanction on the nation after its actions.
多くの国が、その国の行動の後、新たな制裁を課した。
※ テレビのニュースで、ある国が国際的なルールを破ったため、世界中の国々がその国に対して経済的な罰則(制裁)を課すことを決めた、という場面を想像してください。「placed a sanction on」は「~に制裁を課す」という、この単語が使われる最も典型的な表現の一つです。この文脈での「sanction」は、国や国際機関が、他の国や組織の行動を制限するために使う「罰則」や「措置」を指します。
The player received a severe sanction for breaking the rules.
その選手は規則を破ったため、厳しい制裁を受けた。
※ スポーツの試合で、選手が禁止されている薬を使った、あるいは反則行為を繰り返した結果、出場停止や罰金などの「厳しい罰則(制裁)」を言い渡された場面です。選手はうつむき、悔しそうな顔をしているかもしれません。「receive a sanction」は「制裁を受ける」という意味でよく使われます。スポーツ団体や企業など、組織内のルール違反に対する罰則としても「sanction」が使われます。
The company faced a large sanction for polluting the river.
その会社は川を汚染したことで、多額の制裁に直面した。
※ ある会社が、工場から汚い水を川に流して環境を汚染してしまいました。その結果、政府や環境保護団体から「多額の罰金」や「事業停止」といった「大きな罰則(制裁)」を課せられ、困っている場面です。「face a sanction」は「制裁に直面する」という意味で、不本意ながら罰則を受ける状況を表します。企業が法律や規制に違反した際に課せられる罰則にも「sanction」が使われます。
許可する
公式に承認を与えること。特に、権限を持つ者が何かを認めるニュアンス。文書や計画などを承認する際に使われる。
The city council sanctioned the plan to build a new park in the area.
市議会は、その地域に新しい公園を建設する計画を許可しました。
※ この例文は、市議会のような「権限のある組織」が、公共のプロジェクトを「公式に承認する」場面を描いています。Sanctionは、単に許可するだけでなく、規則や権威に基づいて正式に認める、というフォーマルなニュアンスが強いのが特徴です。会議室で議論の末、重要な決定が下されるような情景をイメージしてください。
The university officially sanctioned the student's ambitious research project.
大学は、その学生の意欲的な研究プロジェクトを正式に許可しました。
※ ここでは、大学という「学術機関」が、学生の「研究活動」を正式に認める場面です。学生が一生懸命準備した企画が、大学の審査を経て承認された、という喜びや達成感が伝わってきますね。学術的な提案や活動を公式に承認する際にも、sanctionがよく使われます。「officially」を加えることで、より公式な許可である点が強調されています。
The company management finally sanctioned her request for a long-term leave.
会社の経営陣は、ついに彼女の長期休暇の申請を許可しました。
※ この例文は、会社という「組織」が、従業員の「個人的な要求」を正式に承認するビジネスシーンを表しています。彼女が休暇を申請し、経営陣が検討の末にそれを認めた、という状況が見えますね。Sanctionは、このように組織や上層部が、個人の要求や計画を公式に承認する場合にも自然に使えます。「finally」という言葉から、彼女がその許可を待ち望んでいた様子がうかがえます。
罰する
違反行為に対して罰を与えること。名詞の「制裁」と同様に、公式な措置として行われるニュアンス。
The player was sanctioned from the game for breaking the rules.
その選手はルールを破ったため、試合から罰則を科されました。
※ スポーツの試合で、選手がルールを破ってしまい、審判から退場などの罰則を受けた場面です。sanctionは、スポーツやビジネスなど、ある組織や団体が定めるルールに違反した際に、公式に罰則を与える場合によく使われます。「be sanctioned for ~ing」で「~したことで罰せられる」という形です。
The company was sanctioned by the government for polluting the environment.
その会社は環境を汚染したため、政府から罰則を受けました。
※ ニュースで、ある会社が環境を汚染したことが明らかになり、政府から厳しい罰則が科せられたと報じられている場面です。企業や団体が法律や規則に違反した場合、政府や監督機関から「制裁」を受けるという文脈で非常によく使われます。「by the government」で「政府によって」と、誰が罰則を与えたのかを示しています。
The country was sanctioned for attacking its neighbor.
その国は隣国を攻撃したため、制裁を科されました。
※ 国際会議で、ある国が隣国を攻撃したことに対し、他の国々が協力して経済的な制裁などを科すことを決定した場面です。国際関係において、ある国が国際法や協定に違反した場合、他国や国際機関が経済的・政治的な「制裁」を科す際に最も頻繁に使われる単語の一つです。「for attacking」で「攻撃したことに対して」と理由を示しています。
コロケーション
制裁を科す
※ 国家や国際機関が、特定の国や団体に対して経済的、政治的な圧力を加える際に用いられる、非常に一般的な表現です。文法的には「動詞 + 名詞」の組み合わせで、制裁措置の発動を意味します。類語としては 'place sanctions' もありますが、'impose' の方がより公式なニュアンスを持ち、報道や政府声明などで頻繁に見られます。単に 'sanction' だけを使うよりも、動詞と組み合わせることで、行為の主体や対象を明確にできます。
制裁を解除する
※ 「impose sanctions」と対になる表現で、制裁措置の終了を意味します。これも「動詞 + 名詞」の組み合わせです。制裁が目的を達成した場合や、状況の変化に応じて用いられます。ニュース記事や外交関連の文書でよく見られ、口語的な表現ではありません。例えば、「制裁解除の条件」を議論する際に 'conditions for lifting sanctions' のように使われます。
経済制裁
※ 特定の国や団体に対して、貿易制限、資産凍結、金融取引の禁止など、経済的な圧力を加える制裁の種類を指します。「形容詞 + 名詞」の組み合わせで、制裁の中でも最も一般的な形態の一つです。政治的な目的を達成するために用いられ、国際関係において重要な役割を果たします。例えば、「経済制裁の影響」を分析する際に 'the impact of economic sanctions' のように使われます。
武器禁輸制裁
※ 特定の国や地域への武器の輸出入を禁止する制裁措置を指します。紛争の激化を防ぐため、または国際的な平和と安全を維持するために用いられます。「名詞 + 名詞」の組み合わせですが、'arms embargo' 全体で一つの形容詞のように機能し、'sanctions' を修飾します。より限定的で具体的な制裁の種類を指す場合に用いられます。例えば、「武器禁輸制裁の実施状況」を評価する際に 'the enforcement of arms embargo sanctions' のように使われます。
多国間制裁
※ 複数の国が共同で実施する制裁措置を指します。単独の国による制裁よりも効果が高く、国際的な合意に基づいて行われることが多いです。「形容詞 + 名詞」の組み合わせで、制裁の実施主体が複数であることを強調します。例えば、「多国間制裁の効果」を検証する際に 'the effectiveness of multilateral sanctions' のように使われます。
標的型制裁
※ 特定の個人や団体、または特定の産業部門に限定して実施される制裁措置を指します。一般市民への影響を最小限に抑えつつ、制裁の効果を高めることを目的としています。「形容詞 + 名詞」の組み合わせで、制裁の対象が限定的であることを強調します。例えば、「標的型制裁の対象」を特定する際に 'identifying the targets of targeted sanctions' のように使われます。
制裁を回避する
※ 制裁の対象となっている国や団体が、制裁の網をくぐり抜けて経済活動を継続する行為を指します。「動詞 + 名詞」の組み合わせで、制裁の効果を弱める行為を意味します。例えば、「制裁回避の手段」を講じる際に 'employing methods to circumvent sanctions' のように使われます。多くの場合、不正な取引や秘密裏な資金移動などが伴います。
使用シーン
学術論文、特に政治学、経済学、国際関係学などの分野で頻繁に使用されます。名詞の「制裁」の意味で、国際的な制裁措置や、ある国に対する経済制裁について議論する際に使われます。例:『The impact of economic sanctions on regime change』(政権交代に対する経済制裁の影響)といった論文タイトルや、研究発表で「本研究では、イランに対する制裁の効果を分析する」のように使われます。また、動詞の「許可する」の意味で、研究倫理の文脈で「倫理委員会がこの研究計画をsanctionした」のように使われることもあります。
ビジネス文書や会議で、特に国際ビジネスや法務関連の文脈で登場します。名詞の「制裁」の意味で、貿易制裁や輸出規制について議論する際に使用されます。例:契約書で「違反行為があった場合、制裁が科される」と規定したり、社内会議で「米国政府による対ロシア制裁の影響について検討する」といった場面で使用されます。動詞の「許可する」の意味で、上司がプロジェクトを「sanctionする」という形で承認を表すこともあります。例:「The CEO sanctioned the new marketing campaign.」(CEOは新しいマーケティングキャンペーンを承認した。)
日常会話で使われることは稀ですが、ニュース記事や報道番組で国際情勢や経済制裁について報道される際に耳にする機会があります。例:ニュースで「ロシアに対する新たな制裁が発表された」という報道を聞いたり、SNSで「制裁の影響で物価が上昇している」といったコメントを見かけることがあります。動詞の「罰する」の意味で、スポーツのルール違反に対する「sanction」が用いられることもあります。例:「The player was sanctioned for unsportsmanlike conduct.」(その選手はスポーツマンシップに反する行為で罰せられた。)
関連語
類義語
違反行為に対する罰則、刑罰、制裁金などを意味します。法律、契約、スポーツなど、ルール違反に対する結果として科されることが多いです。名詞。 【ニュアンスの違い】"sanction" が許可や是認の意味も持つ一方で、"penalty" は純粋に罰則の意味合いしか持ちません。また、"penalty" は個々の違反行為に対して科されることが多いですが、"sanction" は国や団体が特定の行為を抑制するために広範囲に適用されることがあります。 【混同しやすい点】"sanction" が制裁措置だけでなく、許可の意味も持つことを理解していないと、文脈によっては意味を誤解する可能性があります。"penalty" は常に罰則の意味であるため、誤解は少ないでしょう。
特定の国や地域に対する貿易や商業活動の禁止を意味します。政治的な理由で行われることが多く、経済的な圧力をかける手段として用いられます。名詞。 【ニュアンスの違い】"sanction" がより広範な制裁措置を指すのに対し、"embargo" は貿易に限定された制裁措置です。"sanction" は経済的なものだけでなく、外交的な措置を含むこともあります。 【混同しやすい点】"sanction" が貿易だけでなく、様々な分野での制裁措置を指すのに対し、"embargo" は貿易に限定される点を理解していないと、文脈によっては意味を誤解する可能性があります。
特定の製品、サービス、組織などに対する不買運動を意味します。抗議や圧力の手段として、消費者や団体が行うことがあります。名詞、動詞。 【ニュアンスの違い】"sanction" が政府や国際機関など、より公式な主体によって行われる制裁措置であるのに対し、"boycott" は一般市民や団体によって行われることが多いです。また、"boycott" は特定の対象に限定されることが多いです。 【混同しやすい点】"sanction" が公式な制裁措置であるのに対し、"boycott" は市民運動や抗議活動の一環として行われるという違いを理解する必要があります。
行動、活動、またはアクセスに対する制限を意味します。範囲や程度は様々で、法律、規則、または個人的なポリシーによって課されることがあります。名詞。 【ニュアンスの違い】"sanction" が制裁措置として課される制限であるのに対し、"restriction" はより一般的な制限を指します。"restriction" は必ずしも罰則的な意味合いを持つとは限りません。 【混同しやすい点】"sanction" が制裁措置という強い意味合いを持つ一方で、"restriction" は単なる制限を意味する場合もあるという点を理解する必要があります。
抑止力、妨げになるものを意味します。特に犯罪や攻撃を思いとどまらせるための手段や措置を指します。名詞。 【ニュアンスの違い】"sanction" が違反行為に対する事後的な制裁であるのに対し、"deterrent" は違反行為を未然に防ぐための予防的な措置です。制裁(sanction)は実際に違反があった後に適用されますが、抑止力(deterrent)は違反が起こらないようにするためのものです。 【混同しやすい点】"sanction" が事後的な制裁であるのに対し、"deterrent" は予防的な措置であるという時間軸の違いを理解する必要があります。
是認、承認、許可を意味します。計画、提案、行動などが認められることを指し、ポジティブな意味合いを持ちます。名詞。 【ニュアンスの違い】"sanction" が制裁と許可という二つの対照的な意味を持つ一方で、"approval" は常に肯定的な意味合いを持ちます。"sanction" の許可の意味合いは、公式な承認や是認に近いですが、制裁の意味合いとは対照的です。 【混同しやすい点】"sanction" が制裁と許可の両方の意味を持つため、文脈によって意味を正しく判断する必要があります。"approval" は常に肯定的な意味合いを持つため、誤解は少ないでしょう。
派生語
- sacrosanct
『神聖不可侵な』という意味の形容詞。ラテン語の『sacro-(神聖な)』と『sanct-(sanctionの語幹)』が組み合わさり、『神聖な制裁によって守られている』というニュアンスから。法律、宗教、倫理などの文脈で、非常に重要な原則や権利を指す際に使われる。日常会話よりは、ややフォーマルな場面や学術的な議論で用いられることが多い。
『聖人』を意味する名詞。sanction と同じくラテン語の 'sanctus'(神聖な)に由来し、元々は教会の sanction (認可) を受けた人を指した。宗教的な文脈が強いが、比喩的に非常に道徳的な人を指すこともある。歴史的な意味合いを理解することで、sanction の語源的なつながりをより深く理解できる。
- sanctify
『神聖にする』という意味の動詞。sanction の語幹 'sanct-' に動詞化の接尾辞 '-ify' が付いた形。宗教的な儀式や行為によって、何かを神聖なものとして認めることを意味する。転じて、比喩的に何かを非常に重要視したり、特別な意味を与えたりする際にも使われることがある。
反意語
『報酬』を意味する名詞または動詞。sanctionが規則違反に対する罰則や制裁を意味するのに対し、rewardは規則遵守や功績に対する肯定的な報奨を意味する。ビジネスや日常生活において、インセンティブとペナルティという対照的な概念として用いられる。例えば、『違反者にはsanctionが科せられ、模範的な行動にはrewardが与えられる』というように使われる。
『誘因』や『動機』を意味する名詞。sanction が行動を抑制する力として働くのに対し、incentive は行動を促進する力として働く。経済学や心理学の文脈で、人々の行動を促すための刺激策として用いられる。sanction がネガティブな動機付けであるのに対し、incentive はポジティブな動機付けであるという点で対照的である。
『許可』を意味する名詞。sanction が公式な認可や制裁を意味するのに対し、permission はより一般的な許可や許諾を意味する。sanction は権威ある機関からの承認を伴うことが多いが、permission は個人間の同意や許可も含む。例えば、『政府は貿易sanctionを発動する』のに対し、『先生は生徒に外出のpermissionを与える』というように、権限のレベルや文脈が異なる。
語源
"Sanction」は、ラテン語の「sanctio(神聖な法令、厳粛な処置)」に由来します。さらに遡ると、「sancire(神聖にする、厳粛に定める)」という動詞から来ています。この動詞は、「sacrare(神聖にする)」と関連があり、「sacred(神聖な)」という単語の語源でもあります。つまり、「sanction」の根底には、「神聖さ」や「法的な拘束力」といった意味合いがあるのです。当初は「承認」「是認」といった意味合いで使用されていましたが、時を経て、法的な強制力を持つ「制裁」という意味も持つようになりました。これは、法を「神聖なもの」とみなし、違反に対する罰を「神聖な処置」と捉える考え方に根ざしています。現代の日本でも、法律や規則を「聖域」とまでは言いませんが、社会秩序を維持するための重要なものとして捉える点で共通する感覚があるでしょう。
暗記法
「sanction」は許可と制裁、二つの顔を持つ言葉。古代ローマでは法を神聖化し、違反を罰する権威でした。国際政治では制裁として、秩序維持の道具に使われますが、人道的な問題も孕みます。文学では社会規範の象徴となり、主人公の葛藤を描きます。現代ではSNSの炎上も一種の社会的制裁。人々の行動を縛り、社会秩序を保つ、多面的な単語なのです。
混同しやすい単語
『sanction』と発音が似ており、特に語頭の母音と 'n' の音が共通しているため混同しやすい。意味は『塗油(聖油を塗ること)』であり、宗教的な儀式で使われることが多い。品詞は名詞。日本人学習者は、文脈から意味を判断する必要がある。接頭辞 'un-' は『〜に油を塗る』という意味合いを持つ。
『sanction』と語尾の '-tion' が共通しており、発音が似ているため混同しやすい。意味は『部分、区分』であり、文章や場所などを区切る際に使われる。品詞は名詞。日本人学習者は、語頭の 'sanc-' と 'sec-' の違いに注意する必要がある。語源的には、'section' は『切る』という意味のラテン語に由来する。
『sanction』の語源であるラテン語 'sanctus'(神聖な)と関連があり、意味が連想される可能性がある。発音も最初の音が似ている。意味は『聖人』であり、宗教的な意味合いが強い。品詞は名詞。スペルも似ているため、注意が必要。'saint' は古フランス語を経て英語に入ってきた。
語尾の '-tion' が共通しており、発音の類似性から混同しやすい。意味は『機能』であり、機械や組織の役割を表す。品詞は名詞または動詞。'sanction' が持つ『制裁』の意味とは大きく異なるため、文脈で判断する必要がある。語源的には、'function' は『実行する』という意味のラテン語に由来する。
『sanction』の語源であるラテン語 'sanctus'(神聖な)と意味的に関連があり、発音も最初の部分が似ているため混同しやすい。意味は『神聖な、神に捧げられた』であり、宗教的な意味合いが強い。品詞は形容詞。スペルも一部似ているため、注意が必要。'sacred' は 'sanctus' から派生したフランス語を経由して英語に入ってきた。
語尾の '-sion' の発音が似ており、語頭の母音の響きも近いため混同しやすい。意味は『上昇、昇天』であり、特にキリスト教の文脈で使われることが多い。品詞は名詞。スペルも 'san-' と 'asc-' の違いに注意が必要。語源的には、'ascension' は『登る』という意味のラテン語に由来する。
誤用例
多くの日本人学習者は『sanction』を『制裁』という意味で覚えているため、良い行いに対する『是認』や『奨励』の意味があることを知らないことが多いです。日本語の『お墨付きを与える』という表現を直訳しようとして、誤って肯定的な文脈で『sanction』を使ってしまうことがあります。英語では、良い意味で使う場合は『commend』、『praise』、『laud』などが適切です。また、日本語の『制裁』という言葉の持つネガティブな響きが強いため、『sanction』のポジティブな意味合いが認識されにくいという側面もあります。
『sanction』は『許可』という意味も持ちますが、フォーマルな文脈、特に法的な許可や公式な承認を意味することが多いです。ビジネスの現場など、日常的な会話やメールで『許可』の意味で使うと、少々硬すぎる印象を与えます。より自然な英語としては、『approve』や『authorize』を使用するのが適切です。日本人が『sanction』を『許可』と安易に捉え、ビジネスシーンで多用すると、相手に堅苦しい印象を与えたり、文脈によっては誤解を招いたりする可能性があります。日本語の『決裁』をすぐにsanctionに変換してしまう癖がある場合に起こりがちです。
この例では、『sanction』の持つ複数の意味(許可・制裁)と、発音の類似性からくる混乱が組み合わさっています。前半の『sanctions』は『許可する』という意味で概ね正しいですが、後半の『sanctions』は明らかに不適切です。ここでは『reservations(懸念、疑念)』を使うべきです。日本語の『個人的な制裁』という表現を直訳しようとした結果、このような誤りが生まれることがあります。英語では、個人的な意見や懸念を表す場合は、『reservations』、『misgivings』、『concerns』などを使うのが適切です。また、発音が似ている単語を混同しやすいのも、日本人学習者の特徴です。
文化的背景
「sanction」は、一見すると正反対の意味、つまり「許可・是認」と「制裁・禁止」の両方を内包する、極めて興味深い単語です。これは、権威という概念が持つ両義性、すなわち「認める力」と「禁じる力」を象徴的に表しています。古代ローマにおいて「sanctio」は、法を神聖なものとして保護し、違反者には罰を与えるという二面性を持っていました。この二面性が現代英語の「sanction」にも色濃く残っているのです。
「制裁」としてのsanctionは、国家間の外交や政治において頻繁に用いられます。特に20世紀以降、国際連合などの国際機関が、国際法違反や人道に対する罪を犯した国に対して経済制裁や軍事制裁を発動する際に、この言葉が頻繁に登場します。制裁は、問題行動を抑止し、国際秩序を維持するための重要な手段とされていますが、一方で、制裁対象国の一般市民の生活を困窮させ、人道的な問題を引き起こす可能性も指摘されています。そのため、sanctionの発動は、常に慎重な検討とバランス感覚が求められる、政治的駆け引きの道具でもあるのです。
文学作品における「sanction」は、しばしば社会の規範や道徳観念を象徴する言葉として登場します。例えば、ある小説の中で、主人公が社会のsanctionに反する行動をとった場合、それは主人公が既存の価値観に挑戦し、自己の信念を貫こうとする姿勢を表していると解釈できます。また、sanctionが単なる規則や法律としてではなく、人々の内面に深く根ざした道徳的な強制力として描かれることもあります。このように、文学作品におけるsanctionは、人間の行動や心理を深く理解するための手がかりとなるのです。
現代社会において、sanctionは単なる法的・政治的な概念にとどまらず、個人の行動や人間関係にも影響を与える可能性があります。例えば、SNS上での炎上や、職場での同僚からの無視といった行為は、一種の社会的sanctionと見なすことができます。これらのsanctionは、公式なものではないものの、人々に大きな精神的苦痛を与え、社会からの排除を促す力を持っています。このように、sanctionは、社会のあらゆるレベルで、人々の行動を規制し、秩序を維持するための重要なメカニズムとして機能しているのです。
試験傾向
準1級・1級で語彙問題、長文読解で出題される可能性があります。1級ではエッセイでの使用も考えられます。
1. 出題形式:語彙問題、長文読解、英作文
2. 頻度と級・パート:準1級以上で頻出。1級では英作文でも使用。
3. 文脈・例題の特徴:政治・経済・社会問題に関する長文、意見論述。
4. 学習者への注意点・アドバイス:名詞(制裁、是認)と動詞(制裁する、是認する)の両方の意味を理解し、文脈に応じて使い分ける。類義語であるpenalty, punishmentなどとのニュアンスの違いを理解する。
Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)で出題される可能性があります。
1. 出題形式:短文穴埋め、長文読解
2. 頻度と級・パート:Part 5, Part 7
3. 文脈・例題の特徴:ビジネス関連の記事、契約書、国際情勢に関するニュース記事。
4. 学習者への注意点・アドバイス:主に「制裁」の意味で使われることが多い。ビジネスの文脈では、貿易制裁や経済制裁などに関する内容で登場しやすい。動詞としての用法も押さえておく。
リーディングセクションで頻出。ライティングセクションでの使用も考えられます。
1. 出題形式:リーディング、ライティング
2. 頻度と級・パート:リーディングセクションで頻出
3. 文脈・例題の特徴:アカデミックな文章、政治、経済、歴史、社会学など。
4. 学習者への注意点・アドバイス:名詞(制裁、是認)と動詞(制裁する、是認する)の両方の意味を理解する。アカデミックな文脈では、よりフォーマルな言い回しで使用されることが多い。
長文読解問題で出題される可能性があります。
1. 出題形式:長文読解
2. 頻度と級・パート:難関大学の入試問題で頻出
3. 文脈・例題の特徴:政治、経済、社会問題、国際関係など。
4. 学習者への注意点・アドバイス:文脈から意味を推測する能力が重要。「制裁」の意味で使われることが多いが、「是認」の意味もあることを覚えておく。類義語との区別も重要。