deterrent
第一音節の /ɪ/ は、日本語の『イ』よりも口を少し開いて発音する短い母音です。第二音節に強勢があり、/ɜː/ は口を軽く開けて喉の奥から出す『アー』に近い音です。最後の /ənt/ は曖昧母音で弱く発音します。『ラ』は舌先を歯茎につけて発音し、語尾の 't' は破裂させず、息を止めるようにするとより自然に聞こえます。
専門的な内容に関するご注意
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抑止力
相手に攻撃や行動を思いとどまらせる力。軍事力、法制度、セキュリティシステムなど、脅威となるものを事前に示すことで効果を発揮する。
The bright streetlights acted as a good deterrent to theft in the area.
その明るい街灯は、その地域での窃盗に対する良い抑止力となりました。
※ 夜の住宅街で、ピカピカの新しい街灯が設置され、以前より安心して歩けるようになった様子を想像してください。泥棒が隠れる場所がなくなり、諦めて立ち去るイメージです。 「deterrent to X」で「Xに対する抑止力」という形でよく使われ、物理的なものが犯罪を防ぐ例は、最も基本的な使い方の一つです。 「act as a deterrent」は「抑止力として機能する」という自然な表現です。
The school's strict rules were a strong deterrent to students breaking them.
その学校の厳しい規則は、生徒たちが規則を破ることに対する強力な抑止力でした。
※ 校則が厳しく、生徒たちが「見つかったらどうしよう」と内心思いながら、悪いことを思いとどまっている場面を想像してください。先生たちが目を光らせている様子も想像できます。 規則や罰則が人の行動を抑える「抑止力」として働く場面は非常に多く、組織や社会のルールについて話す際によく使われます。 「deterrent to doing something」の形もよく使われ、「~することへの抑止力」という意味になります。
The long, cold winter was a major deterrent to us going outside for fun.
長くて寒い冬は、私たちが楽しく外出することへの大きな抑止力でした。
※ 窓の外は雪景色で、寒くて出かける気になれない。家の中で暖かく過ごすしかない、と家族が話している場面を想像してください。外に出たいけど、寒さがそれを邪魔している状況です。 物理的な障害や不快な状況が、ある行動を思いとどまらせる「抑止力」として使われることもあります。少し比喩的ですが、日常会話で自然に使われます。 「major deterrent」のように、deterrentの前に形容詞を置いて、その抑止力の「強さ」を表すことができます。
抑止的な
何かを思いとどまらせるような性質を持つこと。例えば、「抑止的な措置」は、犯罪などを防ぐための対策を意味する。
The high price of the new game was a deterrent factor for many young students.
その新しいゲームの高価格は、多くの若い学生にとって抑止的な要因でした。
※ 「deterrent factor(抑止的な要因)」は、何かをするのをためらわせる原因や要素を指します。欲しかったゲームが高すぎて買えない、そんな学生たちの残念な気持ちが伝わってきますね。このように「deterrent」は、望ましくない行動を防ぐ効果があるものに対して使われます。
To keep birds away, the farmer used a shiny, deterrent ribbon in his field.
鳥を遠ざけるため、農家は畑に光る抑止的なリボンを使いました。
※ 「deterrent ribbon(抑止的なリボン)」は、鳥が近づくのを嫌がるような効果を持つリボンを指します。農家さんが大切な作物を守るために工夫している様子が目に浮かびます。このように「deterrent」は、動物や人がある場所へ来るのを阻止する物に対しても使われます。
The strong smell of the cleaning solution was a deterrent odor, making me want to open a window.
その洗浄液の強い匂いは抑止的な匂いで、窓を開けたくさせました。
※ 「deterrent odor(抑止的な匂い)」は、人がその匂いを避けたがるような効果を持つ匂いを表します。思わず顔をしかめて窓を開ける、そんな日常の一コマです。このように「deterrent」は、特定の行動(この場合はその場に留まること)を阻止するような、感覚的なものにも使えます。
コロケーション
重大な抑止力
※ 「major」は「大きい」「重要な」という意味で、「a major deterrent」は、何かを思いとどまらせる非常に強力な要因を指します。犯罪抑止における刑罰の重さや、ビジネスにおける高額な初期投資など、具体的な行動を抑制する主要な要素として使われます。例えば、「The high cost of housing is a major deterrent to young people moving to the city.(住宅費の高さは、若者が都市に移住する大きな抑止力となっている)」のように使われます。フォーマルな場面でよく用いられます。
抑止力として機能する
※ 「serve as」は「~として役立つ」という意味で、「serve as a deterrent」は、あるものが抑止力としての役割を果たすことを表します。例えば、「The presence of security cameras serves as a deterrent to crime.(防犯カメラの存在は犯罪の抑止力として機能する)」のように使われます。この表現は、ある対策や存在が、望ましくない行動を未然に防ぐ効果があることを強調する際に用いられます。ビジネスや政治の文脈でよく見られます。
効果的な抑止力
※ 「effective」は「効果的な」という意味で、「an effective deterrent」は、目的とする行動を抑止するのに十分な効果があるものを指します。単に抑止力があるだけでなく、実際に効果を発揮していることを強調したい場合に用います。例えば、「Strict laws are an effective deterrent against drunk driving.(厳格な法律は飲酒運転に対する効果的な抑止力となる)」のように使われます。政策や戦略の有効性を議論する際によく使われます。
信頼できる抑止力
※ 「credible」は「信頼できる」という意味で、「a credible deterrent」は、相手がその抑止力を本気で受け止めるような、信頼性のある抑止力を指します。例えば、軍事的な文脈で、ある国が十分な軍事力を持っており、実際にそれを行使する意思があることを示す場合に、「a credible deterrent」という表現が用いられます。単に力があるだけでなく、その力を行使する意思と能力が相手に信じられていることが重要です。
抑止効果
※ 「deterrent effect」は、ある措置や制度が、特定の行動を思いとどまらせる効果を指します。例えば、「The death penalty is believed by some to have a deterrent effect on violent crime.(死刑は、暴力犯罪に対する抑止効果があると信じられている)」のように使われます。この表現は、政策や法律、あるいは何らかの対策が、人々の行動に与える影響を評価する際に用いられます。社会科学の研究や政策立案の文脈でよく見られます。
抑止力となるものを提供する
※ 「provide a deterrent」は、何かを抑止するための手段や環境を整えることを意味します。例えば、「Increased police presence can provide a deterrent to street crime.(警察官の増員は、路上犯罪に対する抑止力となる)」のように使われます。この表現は、具体的な対策を講じることで、望ましくない行動を未然に防ぐことを強調する際に用いられます。ビジネスや公共政策の分野でよく使われます。
抑止力なしに、何の妨げもなく
※ 「without deterrent」は、何かを抑止するものが何もない状態、つまり、何の妨げもなく行動できる状況を指します。例えば、「The criminals operated without deterrent because the police were understaffed.(警察の人員が不足していたため、犯罪者たちは何の妨げもなく活動していた)」のように使われます。この表現は、法や規則、あるいはその他の抑止力が欠如しているために、問題がエスカレートする状況を描写する際に用いられます。ニュース記事や報告書などでよく見られます。
使用シーン
学術論文、特に政治学、国際関係論、法学などの分野で、「核抑止力 (nuclear deterrent)」や「犯罪抑止力 (crime deterrent)」といった概念を議論する際に頻繁に用いられます。また、社会学や心理学の研究で、特定の政策や措置が望ましくない行動を抑制する効果を分析する文脈でも使用されます。例:「死刑制度は犯罪に対する有効な抑止力となりうるか?」といった研究テーマで議論されることがあります。
ビジネス文書や会議で、リスク管理や競争戦略に関連する文脈で使われることがあります。例えば、「競合他社の新規参入に対する抑止力 (deterrent to new entrants)」や、「従業員の不正行為に対する抑止力 (deterrent to employee misconduct)」といった形で、対策や戦略の効果を説明する際に用いられます。ただし、より一般的な表現(例:preventative measure)が好まれる傾向があります。
日常会話ではほとんど使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、犯罪、テロ、国際紛争といった深刻な問題に関する議論の中で見かけることがあります。例えば、「防犯カメラの設置は犯罪の抑止力になる (CCTV acts as a deterrent to crime)」といった文脈で使われることがあります。ただし、日常会話では「prevent(防ぐ)」や「discourage(思いとどまらせる)」のような、より平易な表現が一般的です。
関連語
類義語
『予防』『防止』という意味で、病気、犯罪、事故などが起こる前に防ぐことを指す。名詞。 【ニュアンスの違い】"Deterrent"は抑止力を持つもの(例えば、罰則や軍事力)を指すのに対し、"prevention"は単に何かが起こるのを防ぐ行為や手段を指す。したがって、"deterrent"はより積極的な抑止力というニュアンスを含む。 【混同しやすい点】"Prevention"は具体的な対策や行動を伴うことが多いが、"deterrent"は必ずしも具体的な行動を伴わなくても、潜在的な抑止効果を持つ場合に用いられる。
『妨げ』『障害』という意味で、何かの進行や達成を遅らせたり、困難にしたりするものを指す。名詞。 【ニュアンスの違い】"Deterrent"は何かをさせないようにするための抑止力であるのに対し、"hindrance"は単に何かの進行を妨げるもの。"hindrance"は意図的でない場合も含む。 【混同しやすい点】"Deterrent"は未来の行動を抑止するが、"hindrance"は現在進行中の行動を妨げるという時間的な違いがある。
『抑制』『自制』という意味で、感情や行動を抑えることを指す。名詞。 【ニュアンスの違い】"Deterrent"は外部からの抑止力であるのに対し、"restraint"は内部からの自制心や抑制力を指す。"restraint"は個人的な行動や感情に対して用いられることが多い。 【混同しやすい点】"Deterrent"は他者に対して効果を発揮するが、"restraint"は自分自身に対して効果を発揮するという対象の違いがある。
- discouragement
『落胆』『失望』という意味の他に、『思いとどまらせること』『阻止』という意味も持つ。名詞。 【ニュアンスの違い】"Deterrent"がより強い抑止力を意味するのに対し、"discouragement"はより弱い、心理的な抑止力や思いとどまらせる効果を指す。例えば、厳しい言葉による批判は "discouragement" となりうる。 【混同しやすい点】"Discouragement"は、必ずしも物理的な障壁や罰則を伴わなくても、心理的な影響によって行動を抑制するという点で、"deterrent"とは異なる。
『障害』『妨害』という意味で、目標達成を妨げるもの、または行動を遅らせるものを指す。名詞。 【ニュアンスの違い】"Deterrent"は意図的に設けられた抑止力であるのに対し、"impediment"は意図的であるか否かにかかわらず、単に障害となるものを指す。例えば、言語の壁はコミュニケーションの "impediment" となる。 【混同しやすい点】"Impediment"は抽象的なものから具体的なものまで幅広い対象を指すが、"deterrent"は通常、罰則や軍事力など、より具体的な抑止力を意味する。
『障害』『邪魔』という意味で、文字通り、物理的な障害物から、抽象的な困難まで幅広く用いられる。名詞。 【ニュアンスの違い】"Deterrent"は何かをさせないようにするための積極的な抑止力である一方、"obstacle"は単に何かの進行を妨げるもの。"obstacle"は必ずしも意図的なものではない。 【混同しやすい点】"Obstacle"は乗り越えるべき課題というニュアンスを含むことが多いが、"deterrent"はそもそも行動を起こさせないようにするという点で異なる。
派生語
『思いとどまらせる』という動詞。deterrentの直接的な動詞形で、何かが起こるのを防ぐ行為を表します。日常会話よりも、公式な文書やニュース記事で、犯罪や攻撃などを防ぐ文脈で使われることが多いです。
- deterrence
『抑止(力)』という意味の名詞。deter(思いとどまらせる)という行為の結果、生まれる状態や効果を指します。軍事戦略、犯罪学、国際政治などの分野で頻繁に使用され、ある行為を思いとどまらせるための手段や能力を意味します。
- undeterred
『ひるまない』、『くじけない』という意味の形容詞。接頭辞 'un-' が 'deterred'(思いとどまらせられた)を否定し、困難や脅威にもかかわらず目標に向かって進む様子を表します。ビジネスや自己啓発の文脈で、強い意志や決意を示す際に使われます。
反意語
『誘因』、『動機』という意味の名詞。deterrentが何かを抑制するのに対し、inducementはある行動を促すものです。経済学、心理学、マーケティングなどの分野で、人々に特定の行動をとらせるための刺激や魅力として使われます。
『奨励』、『報奨』という意味の名詞。deterrentが罰などによって行動を抑制するのに対し、incentiveは報酬や利益によって行動を促します。ビジネス、教育、政策などの分野で、目標達成のために与えられる動機付けとして用いられます。
『励まし』、『奨励』という意味の名詞。deterrentが恐怖や不安によって行動を抑制するのに対し、encouragementは自信や希望を与えることで行動を促します。日常会話からビジネス、教育まで幅広い場面で、他者を支援し、勇気づけるために使われます。
語源
"deterrent"は、「抑止するもの」という意味ですが、その語源はラテン語に遡ります。 "deterrent"は、"deter"という動詞に由来し、さらに"de-"(離れて、遠ざけて)と"terrere"(恐怖で満たす、脅かす)という要素から構成されています。つまり、元々は「恐怖によって遠ざけるもの」という意味合いがありました。この"terrere"は、"terror"(恐怖)という単語の語源でもあります。したがって、"deterrent"は、恐怖や脅威を与えることによって、何かを思いとどまらせる、または妨げるものを指すようになりました。例えば、犯罪に対する抑止力としての刑罰や、戦争を抑止するための軍事力などが挙げられます。日本語で例えるなら、「鬼瓦」が魔除けとして家を守るように、"deterrent"は何かを悪い方向へ向かわせないようにする存在と言えるでしょう。
暗記法
「抑止力(deterrent)」は、冷戦下の核兵器競争が生んだ、皮肉な均衡の概念。相互確証破壊(MAD)という、狂気の淵を覗くような状況が、全面戦争を奇妙にも防いだ。しかし、それは万能ではない。テロや予測不能な事態は抑止を無効にする。現代ではサイバー攻撃も脅威となり、抑止の概念は複雑化の一途。恐怖と希望が交錯するこの言葉は、平和への問いかけとして、常に私たちの傍らにある。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の '-ent' の部分が曖昧になりやすい。スペルも 'deterrent' と 'detergent' で、'r' の有無だけが大きく異なる点であり、視覚的にも混同しやすい。意味は『洗剤』であり、抑止力という意味の『deterrent』とは全く異なる。日本人学習者は、発音を意識的に区別し、スペルを丁寧に確認する必要がある。語源的には、どちらもラテン語の『detergere(拭き取る、きれいにする)』に由来するが、意味の発展が異なっている。
スペルの一部('-ent')が共通しており、特に急いで読んだり書いたりする際に、スペルミスをしやすい。発音も、語尾が似ているため、注意が必要。『異なる』という意味であり、『deterrent』とは意味が全く異なる。日本人学習者は、スペルを丁寧に確認し、文脈から意味を判断する必要がある。また、'different' は日常会話で頻繁に使われるため、'deterrent' と区別できるように意識することが重要。
語尾の '-ent' が共通しており、スペルが似ているため、混同しやすい。発音も、語尾が似ているため、注意が必要。『被告』という意味であり、『deterrent』とは意味が全く異なる。法律関係のニュースなどで目にすることがあるため、意味の違いを理解しておくことが重要。日本人学習者は、文脈から意味を判断する必要がある。特に法律関係の文章を読む際には注意が必要。
発音が似ている上に、スペルも 'erent' の部分が共通しているため、混同しやすい。『固有の』という意味であり、意味もやや抽象的なため、文脈によっては誤解を生む可能性がある。日本人学習者は、発音を意識的に区別し、意味の違いを明確に理解しておく必要がある。例えば、『inherent risk(固有のリスク)』という表現はよく使われる。
語頭の 'deter-' の部分が共通しており、スペルが似ているため、混同しやすい。発音も、最初の部分が似ているため、注意が必要。『損失』や『損害』という意味であり、ネガティブな意味合いを持つ。『deterrent』が抑止力というポジティブな意味合いを持つ場合もあるのとは対照的である。日本人学習者は、意味の違いを明確に理解しておく必要がある。
語尾の '-rent' が共通しており、スペルが似ているため、混同しやすい。発音も、最後の部分が似ているため、注意が必要。『激流』や『奔流』という意味であり、『激しい勢い』というイメージがある。日本人学習者は、文脈から意味を判断する必要がある。例えば、『torrential rain(豪雨)』という表現はよく使われる。
誤用例
日本語の『抑止力』という言葉から、安易に『deterrent = 効果的な抑止力』と捉えがちですが、英語ではdeterrentは必ずしも効果的とは限りません。この文脈では、少額の罰金が彼にとって抑止力として機能していないことを示すために、『hardly』のような否定的なニュアンスを加える必要があります。日本語の『〜は抑止力になった』という表現を直訳しようとする際に、英語のニュアンスとのズレが生じやすい典型例です。
『deterrent』は通常、前置詞『to』を伴い、『deterrent to something』という形で、『〜に対する抑止力』という意味を表します。日本語の『〜に対する』という表現に引きずられて、『against』を使ってしまうのはよくある間違いです。英語の『to』は、方向性や目的を示す場合に用いられ、『crime』という対象への抑止という意図を示す場合に適しています。また、よりフォーマルな文脈では 'deterrent from' も使用可能です。
上記同様に、前置詞の誤用です。"deterrent for" は文法的に誤りではありませんが、意味が異なってしまいます。"deterrent for dating" とすると、まるで「デートという行為そのものを抑止するもの」という意味になり、不自然です。正しい "deterrent to dating" は「デートすることに対する抑止力」であり、彼の悪い評判がデートを遠ざける原因となっている状況を適切に表します。日本語の「〜にとっての抑止力」という発想から "for" を選択しがちですが、英語では "to" を用いて対象への関連性を示すのが自然です。
文化的背景
「deterrent(抑止力)」という言葉は、核兵器の登場以降、国際政治の冷酷なリアリズムを象徴するキーワードとなりました。国家間のパワーバランスを保ち、破滅的な戦争を未然に防ぐという、希望と恐怖が入り混じった概念を体現しているのです。
冷戦時代、アメリカとソ連は互いに膨大な核兵器を保有し、「相互確証破壊(Mutual Assured Destruction, MAD)」という戦略に基づいていました。これは、どちらかが核攻撃を仕掛ければ、確実に報復を受け、両国とも壊滅するという考え方です。このMADこそが、究極の「deterrent」として機能し、皮肉にも全面的な核戦争を回避させたと考えられています。映画『博士の異常な愛情』は、この狂気じみた状況をブラックユーモアで描き出し、抑止力の危うさを私たちに突きつけました。抑止力は、単なる軍事力ではなく、相手に「それを行えば、甚大な損失を被る」と信じさせる心理的な影響力なのです。
しかし、「deterrent」は常に成功するとは限りません。テロリストやならず者国家のように、報復を恐れない相手に対しては、その効果は限定的です。また、誤算や偶発的な事故によって、抑止が破綻するリスクも常に存在します。近年では、サイバー攻撃や宇宙空間における軍事利用など、新たな脅威が登場し、「deterrent」の概念はより複雑化しています。従来の軍事力による抑止だけでなく、経済制裁や外交的な圧力など、多様な手段を組み合わせた「総合的な抑止力」が求められるようになっているのです。
「deterrent」は、単なる軍事用語ではなく、人間の恐怖と希望、そして国際社会の複雑な力関係を反映した言葉です。核兵器の時代が終わっても、「deterrent」という概念は、紛争を予防し、平和を維持するための重要な要素として、今後も議論され続けるでしょう。この言葉を理解することは、現代社会の抱えるリスクと向き合い、より平和な未来を模索するための第一歩となるはずです。
試験傾向
準1級以上で語彙問題、長文読解で出題される可能性があります。1級ではエッセイでの使用も考えられます。
1. 出題形式:語彙問題(空所補充)、長文読解(内容一致、同意語選択など)、英作文(1級)
2. 頻度と級・パート:準1級以上。級が上がるほど頻度も高まります。特に長文読解セクションで重要。
3. 文脈・例題の特徴:社会問題、環境問題、国際関係など、硬めのテーマの長文で登場しやすいです。例:"The high cost of security cameras acts as a deterrent to shoplifters."
4. 学習者への注意点・アドバイス:名詞(抑止力)としての用法が基本ですが、動詞(deter:抑止する)も重要です。関連語句(deterrence, deter)も合わせて覚えましょう。類義語(hindrance, obstacle)とのニュアンスの違いを理解することが大切です。
Part 5, 6, 7 で出題される可能性があります。しかし、英検に比べると頻度は低めです。
1. 出題形式:Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(読解問題)。語彙問題として問われることが多いです。
2. 頻度と級・パート:TOEIC全体での出題頻度は中程度。Part 7の長文読解で稀に見られます。
3. 文脈・例題の特徴:ビジネスシーン、特にセキュリティ、リスク管理、法律関連の文脈で登場しやすいです。例:"Strong passwords are a deterrent to cyber attacks."
4. 学習者への注意点・アドバイス:ビジネス英語特有の言い回しを意識しましょう。文脈から意味を推測する練習が重要です。TOEICでは時間配分が重要なので、わからない問題は後回しにするのも戦略です。
リーディングセクションで頻出。ライティングセクションでの使用も考えられます。
1. 出題形式:リーディング(語彙問題、内容一致問題)、ライティング(独立問題、統合問題)
2. 頻度と級・パート:TOEFL iBTのリーディングセクションで頻繁に出題されます。アカデミックな内容の文章でよく使用されます。
3. 文脈・例題の特徴:環境問題、社会問題、歴史、科学など、アカデミックなテーマで登場しやすいです。例:"The threat of punishment serves as a deterrent against criminal behavior."
4. 学習者への注意点・アドバイス:アカデミックな文章で頻出する単語なので、論文や学術記事を読む練習をしましょう。類義語(prevention, discouragement)とのニュアンスの違いを理解することが重要です。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。標準的なレベルの大学では、あまり見かけません。
1. 出題形式:長文読解(内容一致、空所補充、同意語選択など)。文脈から意味を推測する問題が多いです。
2. 頻度と級・パート:難関大学の入試問題で出題される可能性があります。標準的なレベルの大学では、あまり見かけません。
3. 文脈・例題の特徴:社会問題、環境問題、科学技術など、硬めのテーマの長文で登場しやすいです。評論文や論説文でよく使われます。
4. 学習者への注意点・アドバイス:文脈の中で意味を理解する練習をしましょう。過去問を解いて、どのような文脈で出題されるかを確認することが重要です。難易度の高い単語帳で語彙力を強化しましょう。