sacred
第1音節に強勢があります。/eɪ/ は二重母音で、日本語の『エ』から『イ』へスムーズに移行するイメージで発音します。/r/ は舌を丸める音で、日本語の『ラ』行とは異なります。舌先をどこにも触れずに、喉の奥から音を出すように意識しましょう。最後の /ɪd/ は、日本語の『イ』と『ド』の中間のような曖昧な音です。口をあまり大きく開けずに発音すると、より自然になります。
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神聖な
宗教的な意味合いが強く、神や宗教に関連するもの、または非常に重要なものに対して使われる。単に「 مقدس 」と訳すだけでなく、その対象が尊敬や畏敬の念を抱かせるニュアンスを含む。
This ancient temple is a sacred place for local people.
この古いお寺は、地元の人々にとって神聖な場所です。
※ 古く静かなお寺を訪れた時、そこにいる人々が皆、厳かな気持ちでいるのを感じる場面を想像してください。この場所が特別で、大切にされていることが伝わってきます。 「sacred」は、お寺や教会、神社のような宗教的な場所によく使われます。その場所が特別で、敬意を払うべき場所であることを表します。「a sacred place」のように、名詞の前に置いて「神聖な〜」と説明する形容詞として使うのが最も一般的です。
Many people believe that all human life is sacred.
多くの人々は、すべての人の命は神聖だと信じています。
※ ニュースで、命の尊さについて語られているのを聞く場面や、誰かが真剣な表情で「命はかけがえのないものだ」と話している場面を想像してみてください。 「sacred」は、物理的な場所だけでなく、「命」や「約束」といった抽象的な、非常に大切で守られるべきものにも使われます。特に「human life is sacred」は、倫理や哲学の文脈でよく耳にするフレーズです。「believe that S + V」は、「〜だと信じる」という表現で、意見や信念を伝えるときに便利です。
The villagers treat the old forest as a sacred area.
村人たちは、その古い森を神聖な場所として扱っています。
※ 旅行で訪れた場所で、地元の人々が特定の山や森、川をとても大切にしているのを見る場面を思い浮かべてください。彼らにとって、その自然は単なる風景ではなく、特別な意味を持つ存在なのです。 特定の文化や信仰において、自然の場所(山、森、川など)が神聖視されることがあります。「sacred」は、そうした精神的なつながりを持つ場所を表現するのに適しています。「treat A as B」は「AをBとして扱う」という意味で、Aに対する態度や見方を示すのに使われます。
不可侵の
尊重されるべき、侵してはならないという意味合い。権利や約束、個人的な空間など、保護されるべき対象に対して使われる。
Please be quiet. This old temple is a sacred place for us.
静かにしてください。この古いお寺は私たちにとって神聖な場所なのです。
※ 観光客が騒いでいるお寺で、地元のお年寄りが静かにするように優しく促す場面を想像してください。「sacred place」は「神聖な場所」という意味で、敬意を払い、乱してはいけない場所を表します。ここでは、単に「入ってはいけない」だけでなく、「その場所の持つ特別な価値を尊重すべきだ」という気持ちが込められています。
Our family time together is sacred; we never miss dinner.
私たちにとって家族で過ごす時間はとても大切で、夕食を一緒に食べることは決して欠かしません。
※ どんなに忙しくても、家族みんなで食卓を囲む時間を大切にしている家庭の情景です。ここでは「sacred」が「侵してはならないほど大切な」「極めて重要な」という意味で使われています。物理的に侵すのではなく、精神的に大切にすべきもの、優先すべきものに対して使われる典型的な例です。
Many people believe this ancient forest is a sacred home for spirits.
多くの人々が、この古代の森は精霊たちの神聖な住処だと信じています。
※ 昔からの言い伝えが残る、神秘的な森の風景を思い浮かべてみてください。この例文では、自然や特定の場所が「神聖なもの」として崇められ、敬意を持って扱われるべきだと考えられている状況を表します。むやみに立ち入ったり、傷つけたりしてはいけない、という「不可侵」のニュアンスが強く出ています。
コロケーション
聖地、神聖な場所;侵してはならない領域
※ 文字通りには宗教的に重要な場所を指しますが、比喩的には「誰にとっても非常に大切で、尊重されるべき領域やテーマ」を意味します。例えば、企業秘密や家族のプライバシーなど、踏み込んではいけない領域を指す際に使われます。'This topic is sacred ground for him.'(この話題は彼にとって聖域だ)のように使われます。形容詞+名詞の組み合わせの典型例で、類似表現として'hallowed ground'があります。
神聖な義務、非常に重要な責務
※ 道徳的、宗教的、または倫理的な観点から、非常に重要で避けてはならない義務を指します。例えば、「投票は国民の神聖な義務だ」のように使われます。しばしばフォーマルな文脈や、演説などで用いられます。'moral obligation'(道徳的義務)よりも強いニュアンスを持ちます。形容詞+名詞の組み合わせです。
聖典、宗教的な文書
※ 特定の宗教において、神聖であるとみなされる文書を指します。聖書、コーラン、仏典などが該当します。比喩的に、ある分野において非常に重要な文献や、絶対に守るべき原則を記した文書を指すこともあります。形容詞+名詞の組み合わせで、学術的な文脈や宗教的な議論でよく用いられます。
神聖な信頼、裏切ってはならない信頼
※ 非常に重要で、絶対に裏切ってはならない信頼関係を指します。例えば、医者と患者、弁護士と依頼人の間にある信頼関係などが該当します。'breach of trust'(信頼の侵害)という表現と関連付けて覚えておくと良いでしょう。形容詞+名詞の組み合わせで、ビジネスや法律の文脈で使われることが多いです。
聖牛、批判や変更が許されないもの
※ インドの聖牛のように、誰もが批判したり変更したりすることをためらう慣習、制度、または信念を指します。例えば、「あの部署の古いやり方は聖牛になっている」のように使われます。'untouchable'(触れてはならない)という言葉で言い換えることもできます。比喩的な表現で、主に組織や社会における問題点を指摘する際に用いられます。形容詞+名詞の組み合わせです。
~を神聖なものとみなす、~を大切にする
※ ある価値観、信念、または関係性を非常に重要であると見なし、尊重し守ることを意味します。例えば、「家族の絆を神聖なものとみなす」のように使われます。'regard something as sacred'と言い換えることも可能です。動詞+目的語の組み合わせで、個人的な価値観や倫理観を語る際に用いられます。
~にとって神聖な、~に捧げられた
※ 何かが特定の人、場所、または目的に対して特別な意味を持つことを示します。例えば、「この場所は私にとって神聖だ」や「この寺院は女神に捧げられている」のように使われます。前置詞+名詞の組み合わせで、感情的なつながりや宗教的な献身を表す際に用いられます。'dedicated to'(~に捧げられた)と類似の意味を持ちます。
使用シーン
宗教学、歴史学、文化人類学などの分野で、宗教的な儀式や場所、概念などを説明する際に使用されます。例えば、「sacred texts(聖典)」、「sacred ground(聖地)」、「sacred rituals(神聖な儀式)」といった表現がよく見られます。また、哲学や倫理学の議論において、価値観や原則が「神聖なもの」として扱われる文脈でも使用されることがあります。
企業の倫理規定やミッションステートメントなど、組織の重要な価値観を表現する際に用いられることがあります。例えば、「sacred trust(神聖な信頼)」という表現で、顧客や従業員に対する責任の重さを強調するような場合です。ただし、日常的なビジネスコミュニケーションでは、より直接的な言葉が好まれるため、使用頻度は高くありません。
日常会話で「sacred」が使われることは稀ですが、個人的な価値観や信念を強調する際に、比喩的に用いられることがあります。例えば、「My Sundays are sacred(私にとって日曜日は大切な時間だ)」のように、何にも邪魔されたくない大切な時間や習慣を表現する際に使われます。また、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、文化遺産や自然保護に関する文脈で、「sacred site(聖地)」という言葉を見かけることがあります。
関連語
類義語
宗教的な意味合いが強く、神聖なもの、宗教的な儀式、場所などに対して使われる。しばしば、特定の宗教に関連付けられる。 【ニュアンスの違い】"sacred"よりも宗教的な意味合いが強く、よりフォーマルで厳粛な印象を与える。日常会話よりも宗教的な文脈や文学的な表現で使われることが多い。 【混同しやすい点】"sacred"がより広い意味で「尊重すべき」「不可侵の」という意味合いを含むのに対し、"holy"は宗教的な神聖さに限定される傾向がある。例えば、「sacred ground(聖地)」は歴史的・文化的な重要性を含む場合があるが、"holy ground"は宗教的な意味合いが強い。
神に由来する、神の、という意味。神の性質を持つものや、非常に優れているものに対して使われる。文学的、宗教的な文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"sacred"が「尊重されるべき」というニュアンスを含むのに対し、"divine"は神そのもの、または神の力に直接関連する。より抽象的で、詩的な表現。 【混同しやすい点】"divine"は名詞(神)としても形容詞としても使われるが、"sacred"は主に形容詞として使われる。また、"divine"は比喩的に「素晴らしい」という意味で使われることがあるが、"sacred"にはその用法はない。
- hallowed
非常に尊敬され、神聖にされている状態を表す。古風で、文学的な表現。しばしば、伝統や歴史的な重要性を持つ場所や物に使われる。 【ニュアンスの違い】"sacred"よりもさらにフォーマルで、古めかしい印象を与える。現代の日常会話ではあまり使われない。歴史的な重みや伝統的な価値を強調する。 【混同しやすい点】"hallowed"は過去分詞形としても使われるため、"hallowed ground"(神聖な場所)のように、受け身の形で使われることが多い。"sacred"よりも使用頻度が低く、現代英語ではやや特殊な語彙。
- consecrated
正式に宗教的な目的のために聖別された、という意味。教会や墓地など、宗教的な儀式によって神聖なものとされた場所や物に対して使われる。 【ニュアンスの違い】"sacred"よりも具体的な宗教的行為(聖別)によって神聖化されたことを強調する。より儀式的な、宗教的な文脈で使用される。 【混同しやすい点】"consecrated"は動詞(consecrate:聖別する)の過去分詞形であり、形容詞として使われる場合でも、聖別の行為が完了していることを示す。"sacred"はより一般的な「神聖な」という意味で、聖別の有無を問わない。
- revered
深く尊敬され、敬意を払われている状態を表す。人、場所、概念など、尊敬の対象となるもの全般に使える。 【ニュアンスの違い】"sacred"が宗教的な神聖さを含むのに対し、"revered"は必ずしも宗教的でなくても、深い尊敬の念を表す。歴史上の人物、伝統、価値観など、幅広い対象に使われる。 【混同しやすい点】"revered"は感情的な尊敬の念を強調するが、"sacred"は必ずしも感情を伴わない、客観的な神聖さを示す場合がある。例えば、「sacred texts(聖典)」は宗教的な意味合いが強いが、「revered leader(尊敬される指導者)」は単に尊敬されている人物を指す。
- inviolable
侵害してはならない、不可侵の、という意味。権利、原則、約束など、尊重され、保護されるべきものに対して使われる。 【ニュアンスの違い】"sacred"が宗教的または道徳的な神聖さを含むのに対し、"inviolable"は法的な、または倫理的な不可侵性を強調する。より形式的で、法律や政治的な文脈で使われることが多い。 【混同しやすい点】"inviolable"は具体的な対象物よりも、抽象的な概念(権利、原則など)に対して使われることが多い。"sacred"は具体的な場所や物にも使われる。また、"inviolable"は法的な拘束力や倫理的な義務を伴うことが多い。
派生語
『聖別する』という意味の動詞。接頭辞『con-(共に)』と組み合わさり、『共に聖なるものとする』というニュアンス。教会や聖堂などの奉献式で使われるほか、比喩的に『〜のために捧げる』という意味でも用いられる。ややフォーマルな場面で使用。
- desecrate
『神聖を汚す』という意味の動詞。接頭辞『de-(分離・否定)』がつき、『聖なるものから分離する』、つまり神聖を冒涜するという意味になる。宗教的な場所や象徴に対する冒涜行為を指すことが多い。学術的な文脈や報道などで使われる。
- sacrament
『聖餐』『秘蹟』を意味する名詞。元々は『聖なる行為』を意味し、キリスト教の儀式を指す。日常会話では稀だが、宗教・歴史関連の文献では頻出。語源的には『sacred』と共通のルーツを持ち、神聖な行為を通じて神との繋がりを深めるという意味合いを持つ。
反意語
- profane
『神聖でない』『世俗的な』という意味の形容詞。また、『冒涜する』という意味の動詞にもなる。『sacred』が宗教的な神聖さを示すのに対し、『profane』は日常的で世俗的な事柄を指す。芸術作品における宗教的テーマと世俗的テーマの対比などで用いられる。
『世俗的な』『宗教的でない』という意味の形容詞。『sacred』が宗教的な領域に属するのに対し、『secular』は宗教とは分離された社会や文化の領域を指す。政治、教育、法律などの分野で、宗教からの独立性を強調する際に用いられる。日常会話でも使われる。
『ありふれた』『平凡な』という意味の形容詞。『sacred』が特別な神聖さを持つものを示すのに対し、『mundane』は日常的で面白みのないものを指す。日常会話でよく使われ、『sacred』な体験(特別な体験)と『mundane』な日常(ありふれた日常)を対比させることで、そのコントラストを際立たせることができる。
語源
"sacred」は、「神聖な」や「不可侵の」という意味を持つ英単語です。その語源はラテン語の「sacer」(神聖な、聖なる)に遡ります。さらに遡ると、インド・ヨーロッパ祖語の「*sak-」(聖別する)に由来すると考えられています。この語根は、「聖域」や「聖なる場所」といった概念と深く結びついており、神聖なもの、尊重すべきものに対する畏敬の念を表しています。日本語で例えるなら、「神聖」という言葉が持つ重みや、神社などの「聖域」が持つ特別な意味合いを考えると、「sacred」のニュアンスを理解しやすいでしょう。つまり、この単語は、長い歴史の中で、人間が神や宗教的な存在に対して抱いてきた特別な感情や、それらを保護しようとする意識が凝縮された言葉なのです。
暗記法
「sacred」は西洋で神聖、畏敬、不可侵を意味します。古代ローマでは「神に捧げられた」「呪われた」という二面性を持ち、侵害は災いを招くとされました。キリスト教では聖書や教会を指し、王権神授説を支えるなど世俗にも影響。文学では王の地位や誓いの神聖さを描き、聖杯伝説は精神的探求の象徴です。現代では環境保護で守るべき自然を指すことも。「sacred」は西洋の歴史、文化、価値観を映し、畏敬、倫理、愛情を呼び起こす言葉なのです。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の -ed の発音が曖昧になると区別が難しくなる。'sacred' は『神聖な』という意味の形容詞だが、'scared' は『怖がった』という意味の形容詞(または動詞 scare の過去形・過去分詞)。意味が全く異なるため、文脈で判断する必要がある。また、'scared' は受動的な感情を表すことが多いのに対し、'sacred' は対象の性質を表す。
最初の2音節の発音が似ており、特に早口で話されると区別が難しい。綴りも 'secr-' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすい。'sacred' は宗教的な意味合いが強いのに対し、'secret' は秘密や内緒といった意味を持つ。品詞も異なり、'sacred' は形容詞だが、'secret' は名詞または形容詞として使われる。アクセントの位置も異なる(sacred は第1音節、secret は第1音節)。
発音が似ている上に、綴りも 'scar-' の部分が共通しているため、混同しやすい。'scarred' は『傷跡のある』という意味の形容詞(または動詞 scar の過去形・過去分詞)。'sacred' が精神的・宗教的な意味合いを持つ一方、'scarred' は物理的な傷跡を表すため、意味は大きく異なる。特に過去分詞として用いられる場合、受動的な意味合いを含む点も 'sacred' と異なる。
スペルが類似しており、特に語尾の '-ry' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。'sacristy' は『聖具室』という意味の名詞で、教会などの建物の一部を指す。意味は 'sacred' の派生語ではあるものの、具体的な場所を表すため、抽象的な概念を表す 'sacred' とは異なる。'sacred' が形容詞であるのに対し、'sacristy' は名詞である点も重要。
最初の部分 'sacri-' が共通しており、発音も似ているため、混同しやすい。'sacrifice' は『犠牲』という意味の名詞または動詞。'sacred' が神聖な性質を表すのに対し、'sacrifice' は何かを捧げる行為を意味する。語源的にはどちらもラテン語の 'sacer'(神聖な)に由来するが、意味の発展が異なる。'sacrifice' は、神聖なもの(神など)に何かを捧げるという行為から、『犠牲』という意味になった。
発音記号が似ており、特に母音と子音の組み合わせが近いため、発音を聞き間違えやすい。綴りも 'secr-' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすい。'secrete' は『分泌する』という意味の動詞で、'sacred' とは意味が全く異なる。アクセントの位置も異なり、'secrete' は第2音節にアクセントがある。生物学や医学系の文脈でよく使われる単語である。
誤用例
『Sacred』は神聖なもの、宗教的に重要なものに対して使われることが一般的です。ビジネスの成功に土地が不可欠であることを表現したい場合、より適切なのは『integral』や『essential』といった語です。日本人が『sacred』を安易に使う背景には、日本語の『神聖』が比喩的に幅広い対象に使われることがあるため、その感覚で英語に直訳してしまう傾向があります。英語では、ビジネスの成功のような世俗的な事柄に対して『sacred』を使うと、大げさで不自然な印象を与えます。
『Sacred』は時間のような抽象的な概念に対しても使えなくはないですが、非常にフォーマルで、宗教的なニュアンスが残ります。日常会話やビジネスシーンでは、自分の時間を大切にしていることを伝えたい場合、『value』や『cherish』を使う方が自然です。日本人が『sacred』を選んでしまうのは、『貴重』や『大切』といった言葉をそのまま英訳しようとする際に、辞書で最初に目につく単語を選んでしまうことが原因かもしれません。しかし、英語には文脈に応じた語の使い分けがあり、『sacred』は日常的な貴重さを表すには硬すぎる表現です。
『Sacred』は宗教的な意味合いが強く、政治的な文脈で使用すると、意図しない宗教的な含みが生じる可能性があります。憲法の重要性や不変性を強調したい場合は、『inviolable(不可侵の)』や『sacrosanct(神聖不可侵の)』といった語がより適切です。日本人が『sacred』を選んでしまうのは、憲法を『神聖なもの』として捉える心情が反映されているのかもしれませんが、英語では政治的な文脈で宗教的な言葉を使う際には、慎重な配慮が必要です。特に、政教分離の原則が確立されている国では、『sacred』の使用は誤解を招く可能性があります。
文化的背景
「sacred」は、西洋文化において神聖さ、畏敬の念、そして触れてはならない領域を象徴する言葉です。それは単に宗教的な意味合いに留まらず、社会的な価値観、倫理観、そして個人の内面における最も大切なものを表す概念として深く根付いています。
古代ローマにおいては、元来「神に捧げられた」「呪われた」という二つの意味合いを持っていました。これは、神聖なものは同時に人間の領域から隔絶され、侵害すれば災いがもたらされるという考え方を反映しています。時を経て、キリスト教が広まるにつれて「sacred」は、聖書、教会、聖職者など、神に関連する事物や概念を指す言葉として確立されました。しかし、その影響は宗教的な領域に留まらず、王権神授説のように、世俗的な権力さえも神聖なものとして正当化するイデオロギーを支える役割を果たしました。
文学作品においても、「sacred」は重要なテーマとして登場します。例えば、シェイクスピアの作品では、王の地位や誓いが「sacred」なものとして扱われ、その侵害は悲劇的な結末をもたらします。また、聖杯伝説のように、「sacred」な探求は、人間の精神的な成長や救済の象徴として描かれることもあります。現代においては、環境保護運動において「sacred」な場所という概念が用いられるように、宗教的な意味合いを超えて、守るべき自然や文化遺産を指す言葉としても使われています。
「sacred」という言葉は、単なる辞書的な定義を超えて、西洋社会の歴史、文化、そして価値観を反映する鏡のような存在です。それは、神聖なものへの畏敬の念、倫理的な責任、そして守り抜くべき大切なものへの深い愛情を呼び起こします。この言葉の背後にある文化的背景を理解することで、私たちは西洋文化の深層に触れ、より豊かな人間性を育むことができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(準1級以上)。ライティングで高度な語彙として使用できる場合もある。
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でもテーマによっては出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 宗教、歴史、文化に関するアカデミックな文章でよく見られる。環境問題など、現代社会の重要なテーマに関連して登場することも。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「神聖な」「不可侵の」といった意味を理解し、文脈に応じて使い分けられるようにする。同義語(holy, divine)や反意語(profane, secular)も合わせて学習すると理解が深まる。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)。
- 頻度と級・パート: TOEIC全体としては頻度は高くないが、宗教や文化に関連する内容で稀に出題される。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでは稀だが、企業理念やCSR(企業の社会的責任)に関する文章で、「sacred values(神聖な価値観)」のように使われることがある。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEIC対策としては優先順位は低いが、語彙力強化の一環として覚えておくと良い。「神聖な」という意味だけでなく、「非常に重要な」という意味合いで使われる場合もあることを理解する。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションで高度な語彙として使用できる。
- 頻度と級・パート: TOEFL iBTリーディングで頻出。
- 文脈・例題の特徴: 歴史、文化、宗教、哲学など、アカデミックなテーマの文章でよく見られる。抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。「神聖な」という意味だけでなく、「尊重すべき」「不可侵の」といったニュアンスも理解する。同義語や関連語(reverence, sanctity)も合わせて学習すると理解が深まる。
- 出題形式: 主に長文読解問題。文脈把握問題や内容一致問題で問われることが多い。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で頻出。標準的なレベルの大学でも、テーマによっては出題される可能性がある。
- 文脈・例題の特徴: 歴史、宗教、文化、環境問題など、幅広いテーマの文章で登場する。抽象的な概念や比喩表現として使われることもある。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。「神聖な」という意味だけでなく、「尊重すべき」「不可侵の」といったニュアンスも理解する。類義語や反意語を合わせて覚えることで、語彙力を強化する。