retire
強勢は「タ」に置かれます。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも曖昧な音で、口をあまり開けずに発音します。/aɪ/ は二重母音で、「ア」から「イ」へスムーズに変化させます。語尾の /ər/ は、舌を丸めるか、あるいは舌先をどこにもつけない状態で「ア」と「ウ」の中間のような音を出します。アメリカ英語では特に舌を巻く傾向があります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
引退する
仕事や活動から身を引き、余生を送る。年齢や健康上の理由で、第一線から退くニュアンス。
My father finally decided to retire from his long career next year.
父は来年、長年の仕事からついに引退することを決めました。
※ この例文からは、お父さんが長年勤めてきた仕事を終え、新しい生活を始めるという、家族の温かい情景が目に浮かびますね。仕事や組織から身を引く際によく使われる典型的な表現です。「retire from ~」で「~から引退する」という意味になります。
The famous soccer player announced he would retire after this season.
その有名なサッカー選手は、今シーズン後に引退すると発表しました。
※ スポーツ選手や著名人がキャリアを終えるときに使う「引退」の典型的な場面です。大勢のファンの前で、選手がマイクを握り、重大な決断を発表している様子が想像できますね。未来の出来事として「would retire」と表現されています。
Many people retire from their jobs around the age of 65 in my country.
私の国では、多くの人が65歳くらいで仕事を引退します。
※ これは、社会の一般的な慣習や定年退職について話すときによく使われる例文です。特定の個人ではなく、「多くの人」という一般的な事実を述べています。多くの人が経験する人生の節目としての「引退」のイメージが伝わりますね。「around the age of ~」で「~歳くらいで」という意味になります。
退く
特定の場所や状況から離れる。軍隊が撤退したり、議論から身を引いたりする状況で使われる。
My grandmother will finally retire from her job next month.
私の祖母は来月、ついに仕事を定年退職します。
※ この文は、長年頑張って働いた祖母が、来月ついに仕事から解放され、新しい生活を楽しみにしているような温かい場面を描いています。「retire」が最も一般的に使われるのは、会社や仕事から「定年退職する」という意味です。誰かが長年の職務を終える際にぴったりの表現です。
The famous baseball player decided to retire after a long career.
その有名な野球選手は、長いキャリアの後に引退することを決めました。
※ 多くのファンに惜しまれつつも、自身の決断で現役生活に幕を下ろす選手の姿を想像できます。スポーツ選手が「現役を引退する」場合も「retire」を使います。これも非常に一般的な使い方で、華やかなキャリアの終わりを表現するのに適しています。
The old professor decided to retire from his university position.
その老教授は、大学の職を退くことを決めました。
※ 長年研究や教育に尽力した教授が、後進に道を譲り、静かに学術の世界から身を引く様子が目に浮かびます。会社だけでなく、大学の教授や公務員など、特定の「職務」や「役職」から退く際にも「retire from ~ position/post」のように使われます。
償還する
借金などを返済して、義務から解放される。債券やローンなどの金融用語としても使われる。
The company proudly announced it would retire its old debt early, making everyone feel more secure.
その会社は、古い負債を予定より早く償還すると誇らしげに発表し、皆を安心させました。
※ この例文では、会社が過去の借金(負債)を返済し、それを無効にする様子が描かれています。「retire debt」は、企業や政府が債務を返済する際によく使われる典型的な表現です。会社の財務が健全になり、関係者が安心するポジティブな情景が目に浮かびますね。
He worked extra hours to retire his small car loan quickly.
彼は、小さな車のローンを早く償還するために、残業しました。
※ 個人がローンや借金を全額返済する際にも「retire」を使うことができます。この例文からは、彼が借金を早く完済したいという強い気持ちで、一生懸命働いている様子が伝わってきます。借金から解放される達成感や安心感が想像できますね。
The small town worked hard to save money and retire its old debt, aiming for a fresh start.
その小さな町は、お金を貯めて古い負債を償還するために懸命に働き、新たな出発を目指しました。
※ 自治体(町や市など)が財政を健全化するために、過去の借金(負債)を返済する状況を表しています。町全体で協力して困難を乗り越え、新しい未来を目指す、という希望に満ちた情景が目に浮かびます。「retire debt」は、公的な機関が債務を管理する文脈でも自然に使われます。
コロケーション
円満に引退する、潔く身を引く
※ 単に職を辞めるだけでなく、その後の人間関係や評判を損なうことなく、周囲に良い印象を残して引退することを指します。スポーツ選手や政治家などが、批判やスキャンダルを避けて、自ら進んで引退する場合によく用いられます。対義語は 'retire in disgrace'(不名誉な引退)。 'gracefully' は、動作の優雅さだけでなく、状況をわきまえた賢明さ、大人の分別といったニュアンスを含みます。
怪我で途中退場する(スポーツ)
※ 主にクリケットや野球などのスポーツで使われる表現で、怪我のために試合を続けることができなくなり、途中退場することを意味します。文字通り『傷ついて退く』状態を表し、選手本人の意思とは関係なく、身体的な理由で試合を離れざるを得ない状況を指します。比喩的に、プロジェクトやキャリアから『怪我』によって離脱する状況にも使えます。
無敗のまま引退する
※ 主にボクシングや総合格闘技などの格闘技で使われる表現で、一度も負けることなく引退することを意味します。非常に稀なケースであり、偉業として称えられます。単に『引退』するだけでなく、『最強のまま伝説を築き上げる』というニュアンスを含みます。比喩的に、他の分野でも圧倒的な成功を収めた人物が引退する際に使われることがあります。
世間から忘れ去られてひっそりと引退する
※ 'obscurity' は『不明瞭さ』や『人目に触れない状態』を意味し、引退後に公の場から姿を消し、人々の記憶から薄れていく様子を表します。政治家や芸能人などが、引退後にメディアへの露出を避け、静かな生活を送る場合に用いられます。必ずしもネガティブな意味ではなく、本人が望んで静かに暮らす場合もあります。
早期退職する
※ 定年よりも前に退職することを指します。経済的な余裕がある場合や、健康上の理由、あるいは新しいキャリアを追求するために早期退職を選択する人がいます。近年、ワークライフバランスを重視する考え方が広まり、早期退職を選ぶ人が増えています。'take early retirement' とも言います。
田舎に隠居する、田舎暮らしを始める
※ 都会の喧騒を離れ、静かな田舎で余生を送ることを意味します。自然に囲まれた環境で、のんびりとした生活を送ることをイメージさせます。イギリス英語圏でよく使われる表現で、歴史的な背景として、貴族や地主が領地に戻って隠居生活を送る習慣がありました。 'country' は、田園風景や牧歌的なイメージを含みます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、研究対象や分析結果の傾向を説明する際に使われます。例:『この研究では、高齢者が早期に退職する傾向が観察された (In this study, a tendency for older adults to retire early was observed.)』。統計データや社会調査の結果を述べる文脈で、客観的な記述として用いられることが多いです。
ビジネスシーンでは、従業員の退職や、投資における債券の償還について言及する際に使われます。例:『彼は来年3月に退職する予定です (He is scheduled to retire next March.)』。また、事業からの撤退や、古いシステムからの移行を意味する際にも用いられます。例:『その製品ラインは廃止される予定です (That product line is scheduled to be retired.)』。フォーマルな報告書や会議での発表で使われることが多いです。
日常会話では、定年退職について話す際に使われることがあります。例:『父は65歳で退職しました (My father retired at 65.)』。ニュース記事やドキュメンタリーで、著名人やスポーツ選手の引退について報道される際にも見られます。ただし、日常会話ではよりカジュアルな表現(例:quit working, stop working)が好まれる傾向があります。
関連語
類義語
『辞任する』『辞職する』という意味で、会社や組織での役職を自らの意思で辞めることを指します。主にビジネスや政治の文脈で使用されます。 【ニュアンスの違い】『retire』は一般的に定年退職を意味しますが、『resign』は必ずしも年齢によるものではなく、個人的な理由やキャリアアップなど様々な理由で職を辞める場合に用いられます。フォーマルな響きがあります。 【混同しやすい点】『retire』は自動詞・他動詞両方で使用できますが(例:He retired. / He retired from his job.)、『resign』は自動詞として使う場合、前置詞『from』を伴うことが多いです。また、『resign』は必ずしも完全に職場から離れることを意味せず、役職だけを辞める場合もあります。
『(仕事や学校などを)辞める』という意味で、よりカジュアルな表現です。必ずしも正式な手続きを踏むニュアンスは含まれません。日常会話でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】『retire』や『resign』よりも直接的で、しばしばネガティブな状況や感情を伴います。例えば、不満や嫌気がさして辞めるような場合に使われます。 【混同しやすい点】『quit』は他動詞として使われることが多く(例:He quit his job.)、具体的な対象が必要です。『retire』のように、漠然と『引退する』という意味では使いにくいです。また、フォーマルな場面には適しません。
『辞任する』『退陣する』という意味で、特に役職や地位から退くことを指します。責任ある立場からの辞任に使われることが多いです。ビジネスや政治の文脈で使われます。 【ニュアンスの違い】『retire』は定年退職を連想させますが、『step down』は必ずしも年齢によるものではなく、任期満了や個人的な理由、スキャンダルなど、様々な理由で辞任する場合に使われます。責任を取る意味合いを含むこともあります。 【混同しやすい点】『step down』は自動詞として使われ、多くの場合『from』を伴います(例:He stepped down from his position.)。『resign』と似ていますが、『step down』の方が、より公的な、責任ある立場からの辞任を強調する傾向があります。
『撤退する』『手を引く』という意味で、物理的な場所や活動、計画などから離れることを指します。軍事、ビジネス、政治など、様々な文脈で使用されます。 【ニュアンスの違い】『retire』が主に仕事や活動からの引退を意味するのに対し、『withdraw』はより広範な意味を持ちます。例えば、投資からの撤退や、交渉からの撤退などにも使われます。 【混同しやすい点】『withdraw』は他動詞として使われることが多いですが、自動詞としても使われます(例:He withdrew from the competition.)。『retire』のように、個人の定年退職を意味する用法はありません。また、物理的な撤退だけでなく、精神的な撤退も意味することがあります。
『去る』『離れる』という意味で、場所、人、組織など、様々な対象から離れることを指します。非常に一般的な単語で、日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使われます。 【ニュアンスの違い】『retire』が引退という特定の状況を指すのに対し、『leave』はより一般的な離脱を意味します。必ずしも完全に離れることを意味せず、一時的な離脱や、一部の関係性を残したままの離脱も含まれます。 【混同しやすい点】『leave』は他動詞として使われることが多いですが、自動詞としても使われます(例:He left the company. / He left early.)。『retire』のように、定年退職という特定の意味合いはありません。また、『leave』はしばしば感情的なニュアンスを伴います(例:He left me.)。
- go into retirement
『引退生活に入る』という意味で、『retire』とほぼ同義ですが、より口語的な表現です。日常会話でよく使われます。 【ニュアンスの違い】『retire』が動詞として直接引退を意味するのに対し、『go into retirement』は『retirement』という名詞を用いて、引退生活という状態に入ることを表します。少し回りくどい言い方ですが、より自然な響きがあります。 【混同しやすい点】『go into retirement』は、あくまで引退生活という状態に入ることを意味するため、具体的な役職や仕事から離れることを強調する場合には適しません。例えば、『He went into retirement from his position as CEO.』は不自然です。『He retired from his position as CEO.』がより適切です。
派生語
名詞で「退職、引退」の意味。動詞 retire から派生し、状態や行為を表す接尾辞「-ment」が付加された。個人のキャリアの終焉や、会社・組織からの離脱を指す。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる。
- retiring
形容詞で「内気な、控えめな」という意味。動詞 retire の「引っ込む、人目につかないようにする」という側面から派生。性格を表す際に用いられ、日常会話で使われる頻度はそこまで高くないが、心理学や文学作品などで見られる。
形容詞で「退職した、引退した」という意味。動詞 retire の過去分詞形が形容詞として用いられる。高齢者のライフスタイルや、スポーツ選手の引退など、特定の活動から身を引いた状態を表す。新聞記事やニュースなどで頻繁に使われる。
反意語
「始める、開始する」という意味の動詞。retire が活動を終えることを意味するのに対し、begin は活動を開始することを意味する。プロジェクトやキャリア、人生の新たな段階など、様々な文脈で retire と対比して用いられる。日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に使われる。
「継続する、続ける」という意味の動詞。retire が活動を中断・終了することを意味するのに対し、continue は活動を継続することを意味する。プロジェクトの進捗状況や、習慣、関係性など、様々な文脈で retire と対比して用いられる。ビジネス文書や学術論文などでも頻繁に使われる。
「参加する、加わる」という意味の動詞。retire が組織や活動から離れることを意味するのに対し、join は組織や活動に参加することを意味する。クラブ活動への参加、会社への入社など、特定のグループや活動に新たに加わる際に用いられ、日常会話やビジネスシーンで使われる。
語源
"Retire"は、フランス語の"retirer"(引き下がる、取り除く)に由来し、さらに遡るとラテン語の"retrahere"(再び引く、引き戻す)にたどり着きます。この"retrahere"は、接頭辞"re-"(再び、後ろへ)と動詞"trahere"(引く、引っ張る)から構成されています。つまり、文字通りには「後ろに引く」という意味合いです。軍隊が「退却する」イメージや、ビジネスから「身を引く」といった意味合いにつながります。日本語で例えるなら、「一線を退く」という表現が近いでしょう。文字通り、第一線から後ろに下がるイメージです。定年退職後、趣味に没頭するような状況は、まさに"retire"の語源が持つ「引き下がる」から派生した意味合いを体現していると言えるでしょう。
暗記法
「retire」は単なる退職にあらず。中世の騎士が戦を終え隠遁する姿、貴族が政争から身を引く姿にその源流を辿れる。世俗を離れ、内面と向き合う静謐な時間。現代では定年退職という形に。しかし、社会との繋がりを失う側面も。近年、早期リタイアという選択肢も登場し、人生の転換期をより豊かにする概念へと変化。日常からの離脱と新たな生活への移行、普遍的な人間の願望を映す言葉。
混同しやすい単語
『retire』と『retreat』は、どちらも『後退する』という意味合いを持ちますが、『retreat』はより戦闘や困難な状況からの撤退を意味します。発音も似ており、特に語頭の 're-' の部分が共通しているため、混同しやすいです。品詞はどちらも動詞ですが、『retreat』は名詞としても使われ、『避難』や『隠れ家』といった意味を持ちます。日本人学習者は、文脈からどちらが適切かを判断する必要があります。語源的には、're-' は『再び』を意味し、'treat' は『扱う』という意味合いがあります。つまり、『retreat』は『再び扱う』、転じて『引き返す』という意味合いになります。
『retire』と『entire』は、発音が似ていますが、意味は全く異なります。『entire』は『全体の』、『完全な』という意味の形容詞です。スペルも似ているため、特にリスニングの際に混同しやすいです。日本人学習者は、単語の品詞と意味をしっかりと区別する必要があります。語源的には、'entire' は『触れられていない』、『完全な状態』という意味合いがあります。
『retire』と『require』は、語頭の 're-' の部分が共通しているため、発音とスペルの両方で混同しやすいです。『require』は『必要とする』という意味の動詞であり、意味も全く異なります。日本人学習者は、文脈からどちらが適切かを判断する必要があります。語源的には、're-' は『再び』を意味し、'quire' は『求める』という意味合いがあります。つまり、『require』は『再び求める』、転じて『必要とする』という意味合いになります。
『retire』と『rewrite』は、語頭の 're-' の部分が共通しているため、発音とスペルの両方で混同しやすいです。『rewrite』は『書き直す』という意味の動詞であり、意味も全く異なります。日本人学習者は、文脈からどちらが適切かを判断する必要があります。また、'write' の発音を正確に区別することも重要です。語源的には、're-' は『再び』を意味し、'write' は『書く』という意味合いがあります。つまり、『rewrite』は『再び書く』、転じて『書き直す』という意味合いになります。
『retire』と『refire』は、語頭の 're-' の部分が共通しているため、発音とスペルの両方で混同しやすいです。『refire』は『再び火をつける』という意味の動詞であり、あまり一般的な単語ではありませんが、特定の文脈では使用されます。日本人学習者は、'fire' の発音を正確に区別することも重要です。語源的には、're-' は『再び』を意味し、'fire' は『火をつける』という意味合いがあります。つまり、『refire』は『再び火をつける』という意味合いになります。
『retire』と『relate』は、語頭の 're-' の部分が共通しているため、発音とスペルの両方で混同しやすいです。『relate』は『関連付ける』、『話す』という意味の動詞であり、意味も異なります。特に、文章中で使われる際に、どちらの単語が適切かを判断する必要があります。語源的には、're-' は『再び』を意味し、'late' は『運ぶ』という意味合いがあります。つまり、『relate』は『再び運ぶ』、転じて『関連付ける』という意味合いになります。
誤用例
日本語の『会社に退職する』という表現を直訳すると、つい『to』を使ってしまいがちですが、英語では『from』を使うのが一般的です。これは、退職が会社への所属の終わり、つまり『離れる』というニュアンスを含むためです。英語では、所属の終わりを『from』で表すことが多いことを覚えておきましょう。また、日本語の『退職』は、会社との関係が完全に切れるイメージですが、英語圏では退職後もコンサルタントとして関わったり、OBとして会社に貢献するケースも多く、関係性の変化というニュアンスが含まれることもあります。
『retire』は人がある職務や活動から身を引く意味合いが強く、アイデアや提案を引っ込める場合には不自然です。アイデアや提案を取り下げる場合は『withdraw』を使うのが適切です。日本人は、提案を『引っ込める』という行為を、あたかも『引退』させるかのように捉えがちですが、英語では提案はあくまで『撤回』されるものと考えます。日本語の比喩的な表現に引きずられないように注意が必要です。
『money』は漠然とした『お金』を指しますが、退職後の生活費を稼ぐという文脈では、より具体的な『income(収入)』を使う方が適切です。退職後の生活設計というフォーマルな話題においては、口語的な『money』よりも、フォーマルな『income』を使う方が、大人の会話として自然です。また、退職という人生の転換期においては、経済的な理由をストレートに表現するよりも、婉曲的に『income』を使うことで、品位を保つという文化的配慮も含まれます。
文化的背景
「retire」は、単に職を辞めるだけでなく、社会的な役割や責任から身を引き、静穏な生活へと移行するイメージを伴います。かつては貴族や軍人が戦場から退き、領地で余生を送る姿を連想させましたが、現代では会社員が定年を迎え、趣味や家族との時間を楽しむ姿へと変化しています。
中世ヨーロッパにおいて、騎士が戦いを終えて隠遁生活に入ることは、一種の理想とされていました。戦いの喧騒から離れ、自らの内面と向き合い、神に仕える修道院生活を選ぶ者もいました。これは、retireという言葉が持つ「世俗的な活動からの離脱」というニュアンスの源流と言えるでしょう。また、王侯貴族が政争から身を引いて領地で隠居することも、retireの初期の用法として見られます。彼らは、権力闘争のストレスから解放され、静かな環境で学問や芸術に親しむことを選びました。この背景から、「retire」には、単なる退職以上の、精神的な充足を求める意味合いが込められるようになったと考えられます。
現代社会においては、retireは主に定年退職を意味しますが、その背後には、長年の労働から解放され、自由な時間を謳歌するという期待感があります。しかし、同時に、社会との繋がりを失い、アイデンティティの喪失に苦しむ人も少なくありません。特に、高度経済成長期を支えた世代にとっては、仕事が生活の中心であったため、retire後の生活設計は大きな課題となります。近年では、早期退職(アーリーリタイア)という選択肢も登場し、経済的な自由を早期に手に入れ、自分の好きなことに時間を使うライフスタイルが注目されています。これは、retireの概念が、単なる高齢者の退職から、より積極的な人生設計の一部へと変化していることを示唆しています。
「retire」という言葉は、時代とともにその意味合いを変化させてきましたが、常に「日常からの離脱」と「新たな生活への移行」という二つの側面を持ち続けています。それは、戦場から故郷へ帰る騎士の姿から、オフィスを後にする現代の会社員の姿まで、普遍的な人間の願望を反映していると言えるでしょう。この言葉の奥深さを理解することで、私たちは、retireという人生の転換期を、より豊かに、そして意味のあるものとして捉えることができるはずです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、まれにリスニング
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題可能性あり
- 文脈・例題の特徴: ビジネス、社会問題、科学など幅広いテーマで登場。退職、引退、撤退など文脈に応じた意味が問われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞 (retirement) と動詞 (retire) の使い分け、自動詞/他動詞の区別に注意。類似語 (withdraw, resign) との違いを理解することが重要
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め), Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で中頻度。特にビジネス関連の長文で登場しやすい
- 文脈・例題の特徴: 主にビジネスシーン(人事、組織変更、プロジェクト完了など)での退職、引退、撤収の意味合いで使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての retire が頻出。類似語 (resign, step down) とのニュアンスの違いを理解。retirement benefit(退職金)などの関連語も覚えておくと有利
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で中程度の頻度
- 文脈・例題の特徴: 学術的な内容(歴史、社会学、経済学など)で、人の引退や、政策・戦略の撤退などの意味で使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な文脈で使われることが多い。文脈から意味を推測する練習が必要。名詞 retirement の形でも頻出。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも出題可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、文化、歴史など幅広いテーマで登場。比喩的な意味合いで使われることもある
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を判断する能力が重要。retirement age(定年)などの関連語句も覚えておくこと。多義語であるため、文脈に応じた適切な訳語を選択できるように練習する