repress
第2音節に強勢があります。/ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開き、短く発音します。語尾の /s/ は無声音で、日本語の『ス』よりも息を強く出すイメージです。また、're' の母音は曖昧母音(シュワー)になる場合もありますが、ここでは比較的はっきりと発音される/ɪ/に近い音を想定しています。
専門的な内容に関するご注意
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抑え込む
感情、衝動、欲求などを意識的に、あるいは強制的に抑制する。社会的な規範や倫理観に基づいて行動を抑制する場合に用いられることが多い。
She tried hard to repress her tears at the sad funeral.
彼女は悲しい葬儀で、涙を必死に抑え込もうとしました。
※ この例文は、感情、特に悲しみや涙を「抑え込む」「こらえる」という状況を鮮やかに描いています。葬儀という場所で、人前で感情を露わにしないよう必死に努力している様子が伝わります。「repress」は、このように強い感情を内側に押しとどめるニュアンスで非常によく使われます。
He tried to repress the painful memories of the accident.
彼はその事故のつらい記憶を抑え込もうとしました。
※ ここでは、過去の「つらい記憶」を心の中から「抑え込む」「考えないようにする」という状況を表しています。人は嫌なことや苦しい記憶を忘れようと努力することがよくありますね。「repress」は、このように意識的に、あるいは無意識のうちに、記憶や思考を押しとどめる際にも使われる典型的な例です。
She had to repress a laugh during the serious meeting.
彼女は真剣な会議中、笑いを抑え込まなければなりませんでした。
※ この例文は、不適切な状況で「笑い」を「抑え込む」「こらえる」場面を描いています。真剣な会議という状況で、思わず笑いそうになるのを必死でこらえている情景が目に浮かびますね。「had to」は「~しなければならなかった」という義務や必要性を表し、笑いをこらえる必要があった状況をより具体的に伝えています。
鎮圧する
反乱、暴動、デモなど、社会的な混乱や抵抗を武力や権力によって抑えつける。政治的、軍事的な文脈で使われる。
The police had to repress the angry crowd that was shouting loudly in the street.
警察は、通りで大声で叫んでいる怒った群衆を鎮圧しなければなりませんでした。
※ この例文は、警察が物理的な力を使って騒がしい群衆の行動を抑え込む、まさに「鎮圧する」という状況を描いています。repressは、このように集団の反抗や暴動などを力ずくで止める際によく使われます。この場合、群衆の動きや声の勢いを「押さえつける」イメージです。
He tried hard to repress his anger so he wouldn't shout at his boss.
彼は上司に怒鳴らないように、必死で怒りを抑え込もうとしました。
※ ここでは、repressが「感情を抑え込む」という意味で使われています。特に、怒りや悲しみ、笑いなど、外に出そうになる強い感情を無理に押しとどめるニュアンスがあります。心の中で葛藤しながら感情をコントロールしようとする、個人的な葛藤の場面でよく使われる表現です。
The strict ruler tried to repress any new ideas from the people.
その厳格な支配者は、人々からの新しい考えを抑圧しようとしました。
※ この例文では、repressが「思想や意見、自由な表現を抑えつける」という意味で使われています。権力者が、自分たちに都合の悪い考えや変化を力で封じ込める様子を表します。人々の自由な発想や進歩を押しとどめる、社会的な抑圧の文脈で用いられます。
隠蔽する
事実、情報、記憶などを意図的に隠す、または表に出さないようにする。秘密裏に行動し、真実を覆い隠すニュアンスがある。
She tried hard to repress her tears in front of her friends.
彼女は友達の前で涙を必死にこらえようとした。
※ この例文は、人前で悲しい気持ちや涙を表に出さないように、グッと「抑え込む」状況を描いています。repress は、このように感情を「抑圧する」「表に出さないようにする」という文脈で非常によく使われます。特に「repress tears(涙をこらえる)」は典型的な表現です。
He tried to repress the painful memories of the accident.
彼は事故のつらい記憶を抑え込もうとした。
※ この例文では、過去の嫌な出来事を思い出さないように、心の中から「押し込める」様子が描かれています。repress は、特に「repress a memory(記憶を抑圧する)」のように、忘れ去りたい記憶や心の傷を意識的に、あるいは無意識的に「隠す」「表に出さないようにする」際によく用いられます。
The company tried to repress the negative news from the public.
その会社は、悪いニュースが世間に広まらないように隠蔽しようとした。
※ この例文は、組織が不都合な情報や事実が外部に漏れないように「隠蔽する」「公にしないようにする」状況を示しています。repress は、このように情報や事実が「表に出るのを抑える」意味でも使われ、日本語の「隠蔽する」に近いニュアンスを持ちます。特に「repress the truth(真実を隠蔽する)」といった形で使われることもあります。
コロケーション
笑いをこらえる、吹き出しそうになるのを我慢する
※ 自然に出てくる笑いを意識的に抑える行為を表します。フォーマルな場面や、笑うべきではない状況で、礼儀を保つために使われます。単に 'hold back a smile' と言うよりも、より強い意志で抑え込んでいるニュアンスがあります。例えば、スピーチ中に緊張をほぐそうと冗談を言った後、自分が笑ってしまわないようにするときなどに使えます。構文は 'repress + 感情を表す名詞' で、他の感情('repress anger', 'repress tears'など)にも応用できます。
異論や反体制的な動きを抑圧する
※ 政治的な文脈でよく使われ、政府や権力者が反対意見や抵抗を武力や法律で封じ込めることを指します。単に 'suppress' と言うよりも、より組織的かつ徹底的な抑圧を意味することが多いです。人権侵害や言論の自由の侵害といった深刻な問題と結びついて語られることが多い表現です。ニュース記事や歴史的な分析でよく見られます。
つらい記憶を抑圧する、意識の奥底に封じ込める
※ 心理学的な文脈で、特にトラウマ体験に関連して使われます。人が耐えられないほど苦痛な記憶を、意識的にまたは無意識的に遠ざけようとする心のメカニズムを指します。この表現は、抑圧された記憶が後にフラッシュバックや心的外傷後ストレス障害(PTSD)の形で現れる可能性があるという考え方と関連しています。 'suppress memories' は意識的に抑えるニュアンスが強いのに対し、'repress memories' は無意識的なプロセスを含む場合があります。
欲求を抑える、願望を抑制する
※ 個人的な欲求や衝動を理性や道徳観によって抑え込むことを意味します。ダイエット中の人が食欲を我慢したり、禁欲生活を送る人が性的な欲求を抑えたりする状況などが該当します。'control desires' や 'curb desires' と似た意味ですが、'repress' はより強い力で、あるいは長期にわたって抑え込むニュアンスがあります。文学作品や自己啓発書などでよく見られる表現です。
衝動を抑える、衝動的な行動を抑制する
※ 突発的な行動に出たいという強い欲求を、理性や自制心によって抑え込むことを指します。例えば、怒りの感情に任せて暴力を振るいたくなる衝動や、ギャンブル依存症の人が賭けたいという衝動を抑える場合などに使われます。 'impulse' よりも強い、抑えがたい衝動に対して用いられることが多いです。犯罪心理学や依存症に関する議論でよく登場します。
感情を抑える、感情を表に出さない
※ 喜怒哀楽といった感情を意識的に隠したり、感じないようにしたりすることを指します。感情を表に出すことが適切でない状況や、感情に圧倒されるのを避けたい場合に用いられます。特に、悲しみや怒りといったネガティブな感情を抑える場合に使われることが多いです。 'hide feelings' と似ていますが、'repress' は感情そのものを心の奥底に押し込めるニュアンスがあります。
あくびをこらえる、あくびを我慢する
※ 眠気や退屈さを感じたときに出る生理現象であるあくびを、意識的に抑えることを指します。会議中や授業中など、あくびをすることが失礼にあたる場面でよく行われます。 'hold back a yawn' とほぼ同義ですが、'repress' はより意識的に、そして強く抑え込んでいるニュアンスがあります。日常会話でもビジネスシーンでも使われる表現です。
使用シーン
学術論文や専門書で、心理学、社会学、政治学などの分野において、感情、行動、社会現象などを「抑圧する」「抑制する」という意味合いで使われます。例:『抑圧された記憶がトラウマの原因となる』という心理学の研究論文や、『政府が反対意見を抑圧する』という政治学の分析で用いられます。
ビジネスシーンでは、フォーマルな文書や会議で、感情や情報を「抑制する」「隠蔽する」という意味で使われることがあります。例:『コスト増加の傾向を抑え込む』という経営報告書や、『リスク情報を隠蔽する』という内部調査報告書などで見られます。ただし、より直接的な表現が好まれる場合もあります。
日常会話では、あまり使われません。ニュース記事やドキュメンタリーなどで、事件や社会問題に関して「抑圧する」「鎮圧する」という意味で使われることがあります。例:『警察がデモを鎮圧した』というニュース記事や、『貧困が人々の可能性を抑圧している』というドキュメンタリー番組などで見かけることがあります。
関連語
類義語
感情、情報、反乱などを『抑えつける』という意味。公式な権力や力を使って何かを鎮圧する場面で使われることが多い。報道管制、デモの鎮圧、感情の抑制など、比較的強い力や権威が背景にある場合に用いられる。ビジネス、政治、報道などフォーマルな文脈で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"repress"よりも意図的かつ積極的に抑え込むニュアンスが強く、しばしば道徳的、倫理的な問題を含んでいる。また、"repress"が個人の内面的な感情や記憶に対して使われることが多いのに対し、"suppress"はより外部的な、社会的な現象や行動に対して使われることが多い。 【混同しやすい点】感情を抑える場合、"suppress"は意識的に抑えるニュアンスが強く、無理に感情を表に出さないようにするイメージ。一方、"repress"は無意識的に感情が抑え込まれるニュアンスを含む場合がある。また、報道管制のように情報に対して使う場合は"repress"は不適切。
行動、反応、成長などを『抑制する』という意味。心理的な要因や障害によって自然な行動や反応が妨げられる状況で使われることが多い。科学、医学、心理学などの学術的な文脈や、フォーマルなビジネスシーンでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"repress"よりも穏やかで、自然な流れを妨げるニュアンスが強い。また、"inhibit"は、あるプロセスや機能の働きを弱める、または停止させるという意味合いも持つ。例えば、酵素の働きを阻害する、などの用法がある。 【混同しやすい点】"repress"は感情や記憶など、内面的なものに対して使われることが多いのに対し、"inhibit"は行動や成長など、より広範囲な対象に対して使われる。また、"inhibit"は他動詞としてのみ使用されるが、"repress"は自動詞としても使用される場合がある(ただし稀)。
行動、感情、自由などを『抑制する』という意味。物理的な力や規則、自己制御によって何かを制限する状況で使われる。犯罪者の拘束、感情の抑制、行動の制限など、具体的な行動の制限を伴う場合に用いられる。日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】"repress"よりも直接的で、具体的な制限や制御を意味する。また、"restrain"は、物理的な束縛や行動の制限だけでなく、感情や欲望などを理性によって抑えるという意味合いも持つ。 【混同しやすい点】"repress"は無意識的な抑制を含む場合があるのに対し、"restrain"は意識的な抑制を意味することが多い。また、"restrain"は物理的な制限を伴う場合があるが、"repress"は通常、物理的な制限を伴わない。
欲求、感情、行動などを『抑制する』という意味。特に、好ましくないものや過度なものを抑制する際に使われる。インフレの抑制、衝動の抑制、行動の抑制など、ネガティブな側面を抑制するニュアンスが強い。ニュース記事や政策に関する議論など、比較的フォーマルな文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"repress"よりも、問題となる可能性のあるものを未然に防ぐ、または軽減するというニュアンスが強い。また、"curb"は、勢いを弱める、または制御するという意味合いも持つ。 【混同しやすい点】"repress"は感情や記憶など、内面的なものに対して使われることが多いのに対し、"curb"は行動や欲求など、より具体的なものに対して使われる。また、"curb"は名詞としても使用され、「縁石」という意味を持つ。
感情、声、創造性などを『抑え込む』という意味。窒息させる、または息苦しくさせるような状況で使われる。感情を押し殺す、創造性を抑圧する、咳をこらえるなど、何かを完全に抑え込むニュアンスが強い。文学作品や感情的な会話など、比較的感情的な文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"repress"よりも強く、完全に抑え込むニュアンスがあり、しばしばネガティブな結果を伴う。また、"stifle"は、自由や個性を奪うような抑圧を意味することが多い。 【混同しやすい点】"repress"は無意識的な抑制を含む場合があるのに対し、"stifle"は意識的かつ強制的な抑制を意味することが多い。また、"stifle"は比喩的に「窒息させる」という意味合いを持つため、物理的な状況にも使える。
感情、火、成長などを『覆い隠す』『窒息させる』という意味合いで使われる。愛情を過剰に与えて相手を束縛する、火を覆って消す、といった状況で使われる。感情や愛情を過剰に表現することで、相手を圧倒したり、自由を奪ったりするニュアンスを含む。日常会話や文学作品など、感情表現が豊かな文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】"repress"よりも、何かを覆い隠してしまう、または完全に消してしまうニュアンスが強い。過保護な親が子供の個性を抑えつける、といった状況でよく用いられる。 【混同しやすい点】"repress"は感情や記憶など、内面的なものを抑えるのに対し、"smother"は感情や愛情を過剰に与えることで相手を抑圧する、という点が大きく異なる。また、"smother"は物理的に何かを覆うという意味合いも持つ。
派生語
名詞で「抑圧」「抑制」を意味します。動詞「repress」に名詞化の接尾辞「-ion」が付いた形で、個人的な感情の抑圧から、政治的な弾圧まで、幅広い文脈で使用されます。心理学、社会学、歴史学などの学術分野でも頻繁に登場します。repressが「行為」を表すのに対し、repressionは「状態」や「制度」を表すことが多いです。
形容詞で「抑圧的な」「抑制的な」という意味です。「repress」に形容詞化の接尾辞「-ive」が付加された形です。性質や傾向を表し、repressive regime(抑圧的な政権)、repressive measures(抑圧的な措置)のように使われます。ニュースや政治学の議論でよく見られます。repressが「一時的な行為」を指すのに対し、repressiveは「持続的な状態」を表すニュアンスがあります。
- irrepressible
「抑えきれない」「抑制不能な」という意味の形容詞です。接頭辞「ir-」は「否定」を表し、「repressible(抑圧できる)」の反対を意味します。「repress」の持つ「押さえつける」というイメージを打ち消し、感情、エネルギー、ユーモアなど、内側から湧き上がるものを表現する際に用いられます。文学作品や日常会話で比喩的に使われることもあります。
反意語
動詞で「表現する」「表出する」という意味です。「repress(抑圧する)」とは反対に、内にある感情や考えを外に出す行為を指します。日常会話からビジネス、学術論文まで幅広く使用されます。repressが感情などを「内にとどめる」のに対し、expressは「外に出す」という明確な対比構造を持ちます。
動詞で「解放する」「解き放つ」という意味です。抑えられていたもの(感情、情報、エネルギーなど)を自由にするという意味で、「repress」の対義語として機能します。ニュース記事やビジネス文書、日常会話など、様々な文脈で使用されます。repressが「拘束」を意味するのに対し、releaseは「解放」を意味します。
動詞で「励ます」「奨励する」という意味です。人の行動や感情を積極的に促すという意味で、「repress」の対義語として捉えられます。特に、創造性や自己表現を抑圧するのではなく、むしろ促進するという文脈で対比されます。教育やマネジメントの分野で頻繁に使用されます。repressが「行動の抑制」を意味するのに対し、encourageは「行動の促進」を意味します。
語源
"repress"は、ラテン語の"reprimere"に由来します。これは、"re-"(再び、後ろへ)と"premere"(押す、圧力をかける)という二つの要素から構成されています。つまり、文字通りには「押し戻す」という意味合いを持ちます。例えば、何かを「repress(抑圧)する」とは、感情や衝動などを内側に押し込めて、表に出さないようにすることを指します。日本語で言うと、ダムが決壊しないように水門を閉めて「堰き止める」イメージに近いです。心理学の分野では、無意識的に不快な記憶や感情を抑え込むことを指す場合もあります。このように、"repress"は、物理的な圧力だけでなく、心理的な圧力をかけるニュアンスも含む単語です。
暗記法
「repress(抑圧する)」は、感情や欲求が社会規範や権力に押し込められる様を表し、自由との緊張を象徴します。ヴィクトリア朝の道徳、フロイトの精神分析、イプセンの『人形の家』、オーウェルの『1984年』…これらは全て「repress」が社会や個人の内面に及ぼす影響を描いています。感情、自由、そして社会。この単語は、それらが織りなす複雑な物語を語るのです。
混同しやすい単語
『repress』と『suppress』は、どちらも何かを抑えつける意味合いを持ちますが、ニュアンスが異なります。『repress』は感情や欲求を意識的、無意識的に抑え込むのに対し、『suppress』は情報や活動などを物理的、制度的に抑圧することを指します。接頭辞 're-' は「再び」を、'sup-' は「下から」を意味し、語源からもニュアンスの違いが理解できます。発音も似ているため、文脈で判断する必要があります。
『repress』と『express』は、スペルが似ており、接頭辞 're-' と 'ex-' の違いが混乱を招きやすいです。『repress』が抑圧する意味であるのに対し、『express』は表現するという正反対の意味を持ちます。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なるため注意が必要です(re-PRESS vs. ex-PRESS)。'ex-' は「外へ」という意味を持ち、感情や考えを外に出すイメージです。
『repress』と『oppress』は、どちらも圧力をかける意味合いを持ち、意味が混同されやすいです。『repress』が内面的な感情を抑圧するのに対し、『oppress』は権力などを用いて他者を抑圧することを指します。接頭辞 'op-' は「〜に対して」という意味合いを持ち、他者への圧力をイメージできます。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なるため注意が必要です(re-PRESS vs. op-PRESS)。
『repress』と『depress』は、どちらも心理的な状態を表す単語であり、意味が混同されやすいです。『repress』が感情を抑え込むことであるのに対し、『depress』は意気消沈させる、憂鬱にさせるという意味です。接頭辞 'de-' は「下へ」という意味合いを持ち、気分が落ち込むイメージです。スペルも似ているため、文脈で判断する必要があります。
『repress』と『address』は、スペルの一部が共通しており、視覚的に混同しやすいです。『repress』が抑圧する意味であるのに対し、『address』は住所、演説する、対処するという意味を持ちます。意味も品詞も大きく異なるため、文脈で判断する必要があります。ただし、心理学の文脈では『address』が「(問題などに)取り組む」という意味で使われることもあり、間接的に感情のコントロールに関連することもあるため、注意が必要です。
『repress』と『regress』は、接頭辞 're-' を共有しており、スペルも似ているため混同しやすいです。『repress』が抑圧する意味であるのに対し、『regress』は後退するという意味を持ちます。発音も似ていますが、アクセントの位置が若干異なります(re-PRESS vs. RE-gress)。'regress' は「再び(re-)歩む(gress)」という語源から来ており、過去の状態に戻るイメージです。
誤用例
『repress』は感情や欲求、衝動などを抑圧する意味合いが強く、ニュースのような情報を抑える場合は『suppress』が適切です。日本人は『抑える』という言葉から安易に『repress』を選んでしまいがちですが、『repress』は心理的な圧力を伴うニュアンスが強い単語です。例えば、フロイト心理学で『抑圧』を意味する際に使われます。情報統制の文脈では、より中立的な『suppress』が自然です。日本語の『抑える』が持つ幅広い意味合いが、誤用の原因と言えるでしょう。
『repress』は、湧き上がる感情を意識的に、かつ強く抑え込むニュアンスがあります。単に笑いをこらえる、吹き出しそうになるのを我慢する程度であれば、『stifle』がより適切です。日本語の『(笑いを)抑える』という表現は、必ずしも強い意志を伴わないため、つい『repress』を選んでしまうことがあります。しかし、英語では感情の強さによって適切な動詞を選ぶ必要があります。『stifle』は、くしゃみやあくびなど、生理現象に近いものを抑える際にも使われます。
『repress』は、意見や考えを『抑圧する』という意味で使うと、心理的な負担や葛藤が伴うニュアンスになります。会議で単に意見を『控える』という意図であれば、『withhold』を使う方が適切です。日本人は、空気を読んで発言を控えることが美徳とされる文化の中で育つため、自分の意見を言うことをためらう状況を『抑圧』と捉えがちです。しかし、英語では、より客観的に『差し控える』というニュアンスの『withhold』が、穏当な表現として好まれます。また、日本語の『意見を抑える』という表現を直訳的に『repress』と結びつけてしまう傾向も、誤用の原因の一つと考えられます。
文化的背景
「repress(抑圧する)」という言葉は、個人の感情や欲求が社会的な規範や権力によって押し込められる状況を指し、しばしば社会の安定と個人の自由の間にある緊張関係を象徴します。特に、ヴィクトリア朝時代のような道徳規範が厳格な時代には、多くの人々が自身の感情や性的欲求を抑圧することを強いられ、それが様々な社会問題や精神的な苦しみを生み出しました。
精神分析学者のジークムント・フロイトは、「抑圧」という概念を人間の精神構造の重要な要素として提唱しました。彼によれば、抑圧された感情や記憶は無意識の中に蓄積され、神経症的な症状や行動として現れることがあります。フロイトの理論は、当時の社会における抑圧的な雰囲気に対する批判的な視点を提供し、芸術や文学にも大きな影響を与えました。例えば、ヘンリック・イプセンの戯曲『人形の家』では、主人公のノラが夫や社会からの抑圧に気づき、自己の解放を求めて家を出ていく姿が描かれています。この作品は、当時の女性の抑圧された状況を浮き彫りにし、社会的な議論を呼び起こしました。
また、「repress」は政治的な文脈でも頻繁に使用されます。独裁的な政権は、反対意見や自由な表現を抑圧することで権力を維持しようとします。ジョージ・オーウェルの小説『1984年』では、全体主義国家が国民の思考や感情を徹底的に管理し、抑圧する様子が描かれています。このような文学作品は、権力による抑圧の危険性を警告し、自由と民主主義の重要性を訴えています。現代社会においても、「repress」は言論の自由の制限や少数派の権利の侵害など、様々な形で存在しており、常に監視と批判の対象となっています。
「repress」という言葉は、単に感情や行動を抑えるという意味だけでなく、社会的な力関係や個人の内面における葛藤を反映する言葉として、文化的な背景を理解することで、より深くその意味を捉えることができるでしょう。文学作品や歴史的な出来事を通して、「repress」がどのように人々の生活や社会に影響を与えてきたかを学ぶことは、現代社会における自由と権利の重要性を再認識する上で不可欠です。
試験傾向
準1級、1級の長文読解で出題される可能性あり。1次試験の語彙問題で、類義語や反意語を選択する形式で問われることも。心理学や社会問題に関する文章で使われることが多い。抑圧する対象(感情、欲求、記憶など)を意識して文脈から意味を推測することが重要。関連語句(repression, suppressed)も覚えておくと役立つ。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で、稀に出題される可能性がある。ビジネスシーンよりも、ニュース記事や科学記事など、やや硬めの文章で使われることが多い。文脈から「抑える」「抑制する」といった意味を判断する必要がある。TOEIC対策としては、優先順位は高くない。
リーディングセクションで、アカデミックな文章中によく登場する。心理学、社会学、歴史学などの分野で、感情や行動の抑制について説明する際に使われることが多い。文脈から正確な意味を把握する必要がある。ライティングセクションでは、意見を述べる際に使用できる。同義語(restrain, control, inhibit)も覚えておくと良い。
難関大学の長文読解問題で出題されることがある。心理学、社会学、歴史学などのテーマで、抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。文脈から「抑圧する」「抑制する」といった意味を正確に把握する必要がある。また、比喩的な意味で使われることもあるので注意が必要。関連語句(repression, suppressed)も覚えておくと役立つ。