repression
強勢は2番目の音節 "pre" にあります。"re" の母音 /ɪ/ は、日本語の『イ』よりも曖昧で、口を少しだけ横に引いて発音します。"sh" の音は、日本語の『シュ』と同じですが、息を強く出すように意識しましょう。"-tion" は「シャン」ではなく「シュン」に近い音になるよう意識すると、より自然に聞こえます。
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抑圧
感情、欲求、反乱などを力で抑えつけ、自由を奪うこと。政治的な弾圧や、心理的な抑圧の両方に使われる。
The government's harsh repression made people afraid to speak freely.
政府の厳しい抑圧が、人々を自由に話すことを恐れさせました。
※ この例文では、政府が国民の自由な発言を力で押さえつける様子を描いています。「repression」は、このように「権力による強制的な抑え込み」という意味でよく使われます。ニュースなどで耳にする機会も多いでしょう。「make + 人 + 動詞の原形」で「~に…させる」という形です。
She felt a lot of anger, but her repression of it caused her stomach to hurt.
彼女はたくさんの怒りを感じていましたが、それを抑圧したことが原因で、胃が痛くなりました。
※ ここでは、自分の感情(怒り)を心の中に閉じ込める「感情の抑圧」を表しています。感情を抑え込むと、体調に影響が出ることもある、というリアルな場面です。「repression of it」で「それを抑圧すること」という意味になります。
After the accident, he suffered from the repression of bad memories.
事故の後、彼は辛い記憶の抑圧に苦しみました。
※ この例文では、辛い過去の記憶を無意識のうちに心の中に閉じ込めてしまう「心理的な抑圧」を意味します。心と体の両方に作用する言葉です。「suffer from ~」は「~に苦しむ」という表現です。「repression of memories」のように、「repression of + 名詞」で「~の抑圧」という形でよく使われます。
鎮圧
暴動やデモなど、社会的な混乱を力ずくで抑え込むこと。軍隊や警察などが動員される場面を想定。
The government used strong repression to stop the large protest in the city square.
政府は、広場での大規模な抗議活動を止めるために、強い鎮圧を行いました。
※ この例文は、政府や権力が民衆の集まりや動きを力ずくで抑え込む、最も典型的な「鎮圧」の場面を描いています。多くの人が広場で声を上げている中、権力がそれを強制的に静止させようとする情景が目に浮かびますね。「strong repression」のように、どのような鎮圧だったかを形容詞で表現することがよくあります。
The dictator ordered the harsh repression of anyone who spoke against him.
その独裁者は、自分に逆らう者全員に残酷な鎮圧を命じました。
※ この例文は、独裁者が自身の権力を維持するために、反対意見を持つ人々を厳しく取り締まる状況を示しています。自由な発言や思想が許されない、少し恐ろしい場面ですね。「harsh repression」は「厳しい鎮圧」を意味し、権力による抑圧の度合いを伝えます。
The police worked hard for hours to achieve the repression of the violent riot.
警察は何時間も懸命に働き、その激しい暴動の鎮圧を成し遂げました。
※ この例文では、警察が混乱した暴動を収拾するために、物理的な力を使って秩序を取り戻す様子が描かれています。緊迫した状況の中で、警察官が奮闘している姿が想像できますね。「the repression of the violent riot」のように、「何に対する鎮圧か」を「of + 名詞」で具体的に示す使い方はとても一般的です。
抑制
感情や衝動を意識的に抑えること。個人的な感情のコントロールや、行動の自制といったニュアンス。
He felt a strong urge to cry, but practiced the repression of his tears.
彼は強く泣きたい衝動に駆られましたが、涙を抑える練習をしました。
※ この例文は、感情を心の中で「抑え込む」心理的な状況を表しています。悲しい時や悔しい時に、人前で涙を見せないようにする、といった場面を想像してみてください。『repression of + 名詞』で「〜の抑制」という形でよく使われます。
The new laws led to the repression of people's basic rights.
新しい法律は、人々の基本的な権利の抑圧につながりました。
※ ここでは『repression』が、政府や権力による「抑圧」や「弾圧」という、より社会的な意味合いで使われています。ニュース記事などで、自由や権利が制限される状況を説明する際によく登場する典型的な使い方です。『lead to X』は「Xにつながる」という意味です。
Parents often teach children the repression of their selfish desires.
親はしばしば、子供たちに自分勝手な欲望を抑えることを教えます。
※ この例文は、自己の衝動や欲望を「抑制する」という、教育やしつけの文脈で使われる『repression』の例です。子供がわがままを言わず我慢することを学ぶ、といった日常的な場面をイメージできます。『selfish desires』は「自分勝手な欲望」という意味です。
コロケーション
政治的抑圧
※ 政府や権力者が、反対勢力や異論を持つ人々を弾圧・抑圧する行為を指します。言論の自由の制限、集会の禁止、逮捕・投獄、拷問、暗殺など、様々な形をとります。単に意見を封じるだけでなく、体制維持のために組織的に行われる点が特徴です。例えば、独裁政権下での民主化運動の弾圧などが典型例です。形容詞+名詞の組み合わせで、ニュースや歴史的な文脈で頻繁に用いられます。
経済的抑圧
※ 特定の階層やグループに対して、経済的な機会を制限したり、不当な負担を強いたりする行為を指します。具体的には、特定の職業への就業制限、不公平な税制、土地や資源の独占などが挙げられます。政治的な抑圧と結びついている場合も多く、社会全体の不平等感を増幅させる要因となります。例えば、植民地支配下での経済的搾取などが該当します。これも形容詞+名詞の組み合わせで、経済学や社会学の議論で用いられます。
社会的抑圧
※ 社会的な規範や慣習によって、特定の個人やグループが行動や表現の自由を制限されることを指します。性別、人種、宗教、性的指向などに基づく差別や偏見がその典型です。例えば、女性に対する伝統的な役割の押し付けや、LGBTQ+の人々に対する差別などが挙げられます。政治的・経済的抑圧と異なり、目に見えにくい形で作用することが多いですが、人々の自己実現を妨げる深刻な問題です。形容詞+名詞の組み合わせで、社会学や人権に関する文脈で用いられます。
性的抑圧
※ 個人の性的欲求や行動が、社会的な規範や道徳によって抑圧されることを指します。具体的には、性に関する話題をタブー視する、性的な表現を規制する、異性愛以外の性的指向を認めない、などが挙げられます。フロイト心理学の用語としても重要で、個人の精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。例えば、厳格な宗教的背景を持つ社会での性的禁欲などが該当します。形容詞+名詞の組み合わせで、心理学や社会学、文学などの分野で用いられます。
内的抑圧
※ 自分の感情や欲求を意識的に、あるいは無意識的に抑え込むことを指します。特に、不快な感情やトラウマ的な記憶を意識から遠ざけようとする心理的なメカニズムを指すことが多いです。フロイト心理学では、心的外傷体験を忘却することで精神的な安定を保とうとする防衛機制として重要視されています。例えば、辛い過去を思い出さないようにすることで、日常生活を送るなどが該当します。形容詞+名詞の組み合わせで、心理学や精神医学の分野で用いられます。
抑圧的な雰囲気、抑圧された状況
※ 人々が自由に意見を言ったり、行動したりすることをためらうような、息苦しい社会状況を指します。権力による直接的な弾圧だけでなく、相互監視や自己検閲によっても生じます。例えば、秘密警察が暗躍する全体主義国家や、職場でのパワハラなどが該当します。名詞+前置詞+名詞の組み合わせで、政治学や社会学、文学などの分野で用いられます。
抑圧に直面する、抑圧を受ける
※ 個人やグループが、権力や社会的な力によって自由や権利を侵害される状況を指します。具体的には、逮捕、投獄、拷問、言論の自由の制限などが挙げられます。例えば、民主化運動の活動家が政府から弾圧を受けるなどが該当します。動詞+名詞の組み合わせで、ニュースや歴史的な文脈で頻繁に用いられます。
使用シーン
心理学、政治学、歴史学などの分野で、研究論文や学術的な議論において使用されます。例えば、心理学では「感情の抑圧が精神的な問題を引き起こす可能性がある」という文脈で、政治学では「政府による言論の抑圧」といった文脈で使用されます。フォーマルな文体で、客観的な分析や議論を行う際に用いられることが多いです。
ビジネスシーンでは、組織内の問題や市場の動向を分析する際に、比較的フォーマルな文書やプレゼンテーションで使用されることがあります。例えば、「市場競争の激化による価格抑圧」や「組織内の意見抑圧がイノベーションを阻害する」といった文脈で使用されます。日常的な会話よりも、報告書や戦略会議など、より公式な場面で用いられます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで社会問題や歴史的な出来事について語られる際に使用されることがあります。例えば、「北朝鮮における人権抑圧」や「過去の植民地支配における抑圧」といった文脈で用いられます。個人的な感情や経験について話す際には、より平易な言葉が使われる傾向があります。
関連語
類義語
抑圧、鎮圧。感情、情報、反乱などを抑え込む意味で使われる。報道の自由の抑制(suppression of the press)のように、より具体的な対象を対象とする場合が多い。ビジネス、政治、歴史などの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「repression」は心理的な抑圧を指すことが多いのに対し、「suppression」はより外部からの力による物理的・社会的な抑圧を指す。感情の抑圧にも使えるが、反乱や情報の抑圧など、具体的な対象に対する抑圧によく使われる。 【混同しやすい点】どちらも「抑圧」という意味だが、対象が抽象的(感情など)か具体的(情報、反乱など)かで使い分ける。suppressionは報道の自由やデモなど、社会的な文脈でよく使われる。
圧迫、虐待。権力者による不当な支配や迫害を意味する。人種差別、貧困などの構造的な不正義によって人々が苦しむ状況を指すことが多い。政治、社会学、歴史などの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「repression」が個人の内面的な心理的抑圧を指すのに対し、「oppression」は社会構造的な不平等によって生じる抑圧を指す。より広範で長期的な不正義を含む。 【混同しやすい点】どちらも抑圧だが、repressionは個人的な心理、oppressionは社会的な不正義が背景にあるという違いを理解する。oppressionはしばしば組織的な差別や搾取を伴う。
- subjugation
征服、服従。武力や権力によって他者を支配下に置くことを意味する。国家間の戦争や植民地支配などの文脈で使われる。歴史、政治学などの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「repression」が内面的な抑圧や一部の自由の制限を指すのに対し、「subjugation」は完全な支配と服従を意味する。より暴力的で直接的な支配関係を示す。 【混同しやすい点】repressionは必ずしも物理的な支配を伴わないが、subjugationは武力や権力による支配が前提となる。subjugationはより強制的で、自由を完全に奪うニュアンスがある。
抑制、制止。感情や行動を抑制することを意味する。心理学的な文脈で、自己抑制や社会的抑制を指すことが多い。自己啓発、心理学などの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「repression」が無意識的な抑圧を指すことが多いのに対し、「inhibition」は意識的な抑制を指す。また、inhibitionは必ずしもネガティブな意味合いを持たず、状況によっては必要な自己制御を意味する。 【混同しやすい点】repressionは無意識的、inhibitionは意識的な抑制という違いを理解する。inhibitionは社会的マナーや自己制御に関連して使われることが多い。
- curbing
抑制、抑制すること。特に悪いことや望ましくないことを抑制する意味で使われる。支出の抑制(curbing spending)のように、具体的な行動や現象を対象とする場合が多い。ビジネス、政治、経済などの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「repression」が心理的な抑圧を指すことが多いのに対し、「curbing」は具体的な行動や現象の抑制を指す。また、curbingは「抑制する」という行為自体に焦点が当てられる。 【混同しやすい点】repressionは感情や記憶など内面的なものを抑圧するのに対し、curbingは具体的な行動や現象を抑制する。curbingは、例えば「インフレを抑制する (curbing inflation)」のように使われる。
自制、抑制。感情や行動を慎むことを意味する。フォーマルな場面や、感情的な反応を抑える状況でよく使われる。ビジネス、法律、人間関係などの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「repression」が心理的な抑圧を指すのに対し、「restraint」は意識的な自制を意味する。restraintは、感情や行動をコントロールし、適切な範囲に留めることを強調する。 【混同しやすい点】repressionは無意識的な抑圧、restraintは意識的な自制という違いを理解する。restraintは、例えば「感情を抑える (exercise restraint)」のように使われる。
派生語
『抑圧する』という動詞。語源はラテン語の『re-(再び)』+『premere(押す)』。感情や行動を抑制する行為を指し、日常会話からニュース報道まで幅広く使用されます。特に社会問題や政治的な文脈で頻繁に登場します。
- repressed
『抑圧された』という過去分詞・形容詞。心理学の文脈で、無意識に抑え込まれた感情や記憶の状態を表すのに使われます。日常会話でも『抑圧された感情』のように比喩的に用いられることがあります。
『抑圧的な』という意味の形容詞。接尾辞『-ive』は性質や傾向を表し、『抑圧する性質を持つ』という意味合いを強調します。政治体制や社会規範など、権力による自由の制限を指す場合に使われ、学術論文や報道でよく見られます。
反意語
『表現』という意味の名詞。『ex-(外へ)』+『premere(押す)』が語源で、『内にあるものを外へ押し出す』イメージ。感情や思考を自由に表出することを指し、『repression(抑圧)』とは対照的な概念です。日常会話から芸術論まで、幅広い文脈で使用されます。
『解放』、『解放する』という意味の名詞・動詞。『re-(再び)』+『lease(緩める)』が語源。抑圧からの解放、束縛からの解放を意味し、『repression』によって生じた状態からの脱却を表します。ニュースやビジネス、日常会話など、非常に広範な場面で使われます。
『解放』という意味の名詞。抑圧的な状態からの自由を意味し、特に政治的、社会的な文脈で使われます。『repression』が社会や体制による抑圧を指すのに対し、『liberation』はその抑圧からの脱却を強調します。学術的な議論や社会運動のスローガンとしても用いられます。
語源
「repression」は、ラテン語の「reprimere」(押し戻す、抑制する)に由来します。これは、接頭辞「re-」(再び、後ろへ)と「premere」(押す、圧迫する)から構成されています。「premere」は、英語の「press」(押す)の語源でもあり、圧力をかけるイメージが共通しています。つまり、「repression」は、何かを再び押し戻す、あるいは圧力をかけて抑え込むという基本的な意味合いを持ちます。心理学の文脈では、不快な感情や記憶を意識から押し込めることを指し、社会的な文脈では、反体制的な動きなどを力で抑えつけることを意味します。日本語の「抑圧」という言葉が、まさにこの語源的な意味を的確に表現していると言えるでしょう。
暗記法
「抑圧」は、ヴィクトリア朝の道徳的束縛から、全体主義国家の思想統制まで、社会規範や権力構造による自由の制限を意味します。フロイトは、抑圧された感情が精神疾患の原因と考えました。オーウェルの『1984年』は、抑圧社会の恐怖を描き出しています。この言葉は、個人の内面と社会のあり方を問い、文学や映画で人間の本質や社会の矛盾を表現する普遍的なテーマです。
混同しやすい単語
『repression』とスペルが非常に似ており、接頭辞 're-' と 're-' の違いのみであるため、視覚的に混同しやすい。意味は『後退、退行』であり、心理学や統計学でよく使われる。発音も似ているため、文脈で判断する必要がある。
語尾の '-pression' が共通しているため、スペルと発音の両面で混同しやすい。『表現』という意味で、心理学的な文脈では『感情表現』など、意味の関連性も若干あるため注意が必要。スペルの先頭部分の違いを意識することが重要。
『repression』とスペルが似ており、接頭辞 'op-' と 're-' の違いのみ。意味は『抑圧、圧迫』であり、政治的な文脈でよく使われる。意味が似ているため、文脈によっては誤解が生じやすい。発音も似ているため、注意が必要。
『repression』と同様に、語尾の '-pression' が共通しているため、スペルと発音の両面で混同しやすい。『鎮圧、抑制』という意味で、医学的な文脈では『症状の抑制』など、関連する意味合いを持つ場合がある。接頭辞 'sup-' の意味を理解すると区別しやすい。
語尾の '-pression' が共通しているため、スペルと発音の両面で混同しやすい。『印象、感銘』という意味で、心理学的な文脈でも使われることがある。特に発音記号が似ているため注意が必要で、最初の母音の発音の違いを意識すると良い(repression: /rɪˈpreʃən/, impression: /ɪmˈpreʃən/)。
スペルが似ており、're'と'pre'が入れ替わった形であるため、視覚的に混同しやすい。意味は『歳差運動』であり、天文学の専門用語である。発音も似ているため、文脈で判断する必要がある。接頭辞の意味を理解すると区別しやすい。
誤用例
「repression」は、心理学的な意味合いが強く、感情や記憶などを意識的または無意識的に抑圧することを指します。政治的な文脈で言論統制を指す場合は、より直接的な「suppression」が適切です。日本人は「抑圧」という言葉から、政治的な圧力を連想しがちですが、英語の「repression」は個人の内面的な抑圧を指すことが多いという語感の違いを理解する必要があります。日本語の「抑圧」を安易に「repression」と訳してしまうことが原因です。
「repression」は名詞として、感情や行動が抑圧されている状態を指しますが、人が何かを『見せる』対象としては不自然です。ここでは、感情を抑えて冷静さを保つという意味で「restraint」を使うのが適切です。日本人は感情を『抑える』という行為そのものに注目しがちですが、英語では『抑えた結果、どう振る舞ったか』に焦点を当てることがあります。日本語の『抑える』を直訳しようとすると、不自然な英語になる典型例です。
「repression」は無意識的な抑圧を意味し、心理学用語として使われることが多いです。外的な要因で記憶が抑え込まれる場合は、「suppression」がより適切です。日本人はトラウマという単語から精神的な影響を強く連想するため、「repression」を選びがちですが、ここでは記憶が『抑え込まれた』という客観的な事実を述べるため、「suppression」が適切です。記憶の『抑圧』という日本語表現に引きずられて、無意識的なニュアンスを持つ『repression』を選んでしまう典型的な誤用です。
文化的背景
「抑圧(repression)」という言葉は、個人の内面における感情や欲求の押し込めという心理的な意味合いと同時に、社会的な権力構造による自由の制限や思想の統制といった、より広範な文脈で用いられてきました。特に、社会全体が特定の価値観や規範を強く押し付ける時代や場所において、この言葉は重みを増します。
19世紀のヴィクトリア朝時代は、「抑圧」という言葉が社会規範と深く結びついていた時代でした。厳格な道徳観が社会全体を覆い、性的な欲望や感情は公然と表現されることが禁じられました。フロイトの精神分析学が台頭する背景には、このような抑圧された社会に対する反発があり、彼は無意識の領域に抑圧された感情が精神疾患の原因となると考えました。ヴィクトリア朝の社会では、女性の役割は家庭に限定され、知的な活動や社会参加は抑制されました。男性もまた、感情を抑制し、冷静沈着であることが求められました。このような社会的な抑圧は、文学作品にも反映され、シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』やエミリー・ブロンテの『嵐が丘』などの作品には、抑圧された感情や欲望が爆発する様子が描かれています。
20世紀に入ると、「抑圧」は政治的な意味合いを強めました。全体主義国家においては、政府が国民の思想や行動を厳しく統制し、反対意見や自由な表現を抑圧しました。ソ連のスターリン体制やナチス・ドイツなどがその典型的な例です。これらの国々では、秘密警察が国民を監視し、言論の自由は制限され、異論を唱える者は処罰されました。ジョージ・オーウェルの小説『1984年』は、このような抑圧された社会の恐ろしさを描き出しています。また、冷戦時代には、東西両陣営が互いに相手側の「抑圧」を非難し、プロパガンダの道具として利用しました。現代においても、言論の自由が制限されている国や地域は存在し、「抑圧」という言葉は、人権侵害や民主主義の危機を訴える際に用いられます。
「抑圧」は、単なる心理学用語や政治用語にとどまらず、社会のあり方や人間の本質を深く問いかける言葉です。感情や欲望を抑圧することの是非、社会的な規範と個人の自由とのバランス、権力による抑圧に対する抵抗など、この言葉は様々な問題を提起します。文学や映画などの芸術作品は、「抑圧」をテーマに、人間の内面や社会の矛盾を描き出し、私たちに深く考えさせるきっかけを与えてくれます。例えば、映画『ショーシャンクの空に』は、不当な投獄という抑圧に屈せず、希望を持ち続ける主人公の姿を描き、多くの人々に感動を与えました。このように、「抑圧」という言葉は、人間の精神の強さや、自由の尊さを象徴する言葉としても用いられるのです。
試験傾向
準1級・1級で語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。1級ではエッセイで高度な語彙力として使用できると高評価につながります。文脈から意味を推測する問題や、類義語・反意語を選ぶ問題に注意してください。
TOEICでは、この単語が直接問われることは比較的少ないですが、ビジネス関連の長文読解でテーマに関連する単語として登場する可能性があります。Part 7の読解問題で、間接的に意味を理解する必要があるかもしれません。
TOEFLのリーディングセクションで、心理学、社会学、歴史などのアカデミックな文脈で出題される可能性があります。抽象的な概念を説明する際に使われることが多いので、文脈から正確な意味を把握する練習が必要です。ライティングで使用すると高評価につながる可能性があります。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、内容一致問題で間接的に問われることが多いでしょう。心理学や社会学系のテーマで出題される可能性が高いです。