persuasive
第2音節にアクセントがあります。/ər/ は曖昧母音で、日本語の『アー』よりも弱く、口を軽く開けて発音します。/eɪ/ は二重母音で、『エイ』と滑らかにつなげます。最後の /sɪv/ は、日本語の『シ』よりも唇を横に引いて発音し、/v/ は有声の摩擦音なので、上の歯を下唇に軽く当てて震わせるように発音しましょう。"persuade"(説得する)という動詞との関連を意識すると、発音も覚えやすくなります。
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説得力のある
相手を納得させ、行動を促すような力を持つこと。単に論理的に正しいだけでなく、感情に訴えかけるニュアンスも含む。広告、プレゼンテーション、議論などで効果的な主張をする際に用いられる。
His speech was so persuasive that everyone agreed with his idea.
彼のスピーチはとても説得力があったので、みんなが彼の考えに賛成しました。
※ 会議室で、一人の男性が情熱的に話しています。最初は反対していた人々も、彼の言葉を聞くうちに徐々に納得し、最後には全員がうなずいている、そんな場面です。誰かの話や意見が「説得力がある」と言いたいときに、この'persuasive'がぴったりです。「so...that...」は「とても〜なので…だ」と、結果を説明するときに使える便利な表現です。
The advertisement was so persuasive that many people wanted to buy the product.
その広告はとても説得力があったので、多くの人がその商品を買いたがりました。
※ テレビや雑誌で見た広告が、あなたの心を動かし、「これは良いかも!買ってみたい!」と思わせるような場面です。商品やサービスを紹介する広告やプロモーションが、人々の購買意欲を刺激する力を'persuasive'という言葉で表現できます。特にビジネスの文脈でよく耳にする使い方です。
She gave some very persuasive reasons why we should start the project.
彼女は、なぜ私たちがそのプロジェクトを始めるべきかについて、非常に説得力のある理由をいくつか挙げました。
※ チームミーティングで、一人の女性がホワイトボードの前で、新しいプロジェクトの必要性を説明しています。データや具体的な例を交えながら、誰もが納得するような明確な理由を次々と提示している、そんな状況です。「説得力のある理由」は'persuasive reasons'とセットでよく使われる表現で、議論や提案の場で非常に役立ちます。
人を動かす
意見や提案が、人の気持ちを強く揺さぶり、行動を起こさせるほど魅力的であること。演説や文学作品など、人の心を捉える表現について使われる。
Her presentation was so persuasive that we immediately wanted to buy the product.
彼女のプレゼンはとても説得力があったので、私たちはすぐにその製品を買いたくなりました。
※ 会議室で、彼女の熱意のこもったプレゼンを聞き、その内容に心を動かされ、すぐに商品を買いたくなった情景です。`persuasive`は、相手の気持ちや行動に強く影響を与える力があることを表します。`so ~ that ~` は「とても〜なので…だ」という結果を表す、日常会話でもよく使う便利な表現です。
The salesperson gave a very persuasive explanation and got the contract.
その営業担当者は、とても説得力のある説明をして、契約を取りました。
※ 顧客を前に、営業担当者が商品の利点を熱心に説明し、その巧みな話術で相手を納得させ、最終的に契約に結びついた場面です。`persuasive`は、ビジネスの場で相手を納得させる「説得力」を意味するのに頻繁に使われます。`explanation`(説明)や`speech`(スピーチ)など、言葉による働きかけと一緒に使うことが多いです。
The advertisement was so persuasive that many people decided to buy the product.
その広告はとても説得力があったので、多くの人がその商品を買うことに決めました。
※ テレビやインターネットで流れる広告が、多くの人の心に響き、実際に商品購入という行動につながった様子です。`persuasive`は、広告やキャンペーンのように、大勢の人の意見や行動に影響を与える力があるものにも使われます。`decided to buy`は「買うことを決めた」という、具体的な行動の変化を表しています。
コロケーション
説得力のある議論、人を納得させる力を持つ主張
※ 最も基本的なコロケーションの一つで、「説得力のある」という形容詞が「議論」という名詞を修飾します。単に「正しい」だけでなく、相手の感情や論理に訴えかけ、行動を促すような主張を指します。ビジネスシーンや法廷での弁論など、相手を動かす必要のある場面で頻繁に使われます。類似表現に"compelling argument"がありますが、こちらは「強制力がある」ニュアンスが強くなります。また、"convincing argument"は、論理的な正しさに重点が置かれます。
聴衆を惹きつけ、考えを変えさせる力を持つ話し手
※ "persuasive"が人の能力を修飾する例です。単に話が上手いだけでなく、聴衆の感情に訴えかけ、行動を促すような話し方を指します。政治家、セールスパーソン、プレゼンターなど、聴衆を動かすことを目的とする職業で重要となる資質です。"eloquent speaker"(雄弁な話し手)は、言葉の美しさや流暢さに重点が置かれるのに対し、"persuasive speaker"は、聞き手に与える影響力に重点が置かれます。
人を説得するための様々な手法や戦略
※ 広告、マーケティング、交渉術など、相手の考えや行動を意図的に変えようとする際に用いられる技術を指します。これには、論理的な説明だけでなく、感情的な訴えかけ、心理的な誘導などが含まれます。倫理的な観点から、"manipulative techniques"(操作的なテクニック)との境界線が問題になることもあります。"rhetorical devices"(修辞技法)は、主に言葉の表現技巧を指しますが、"persuasive techniques"は、より広範な戦略を含みます。
特定の主張を支持し、読者を説得することを目的としたエッセイ
※ 学校教育でよく用いられる形式で、自分の意見を論理的に展開し、証拠や事例を用いて読者を納得させることを目指します。単に意見を述べるだけでなく、反対意見を考慮し、それに対する反論を提示することで、説得力を高めます。"argumentative essay"(議論エッセイ)と似ていますが、"persuasive essay"は、より感情的な訴えかけや価値観への言及も許容されます。
人を説得する力、影響力
※ 抽象的な概念を指す表現で、個人や組織が持つ、他者の考えや行動を変化させる能力を意味します。政治的な影響力、経済的な影響力、個人的な魅力など、様々な要因が組み合わさって生まれます。"influence"(影響力)とほぼ同義ですが、"persuasive power"は、より意図的で直接的な働きかけを伴うニュアンスがあります。
非常に説得力がある
※ "highly"という副詞で「persuasive」の度合いを強調する表現です。ビジネスシーンや学術論文など、客観的な評価が求められる場面でよく用いられます。"very persuasive"よりも、よりフォーマルで洗練された印象を与えます。"extremely persuasive"も同様の意味ですが、"highly persuasive"の方が、より上品な響きがあります。
説得力を持つようになる
※ 能力やスキルが向上し、他人を説得できるようになる過程を表します。訓練や経験を通して、話し方、論理構成、感情表現などを磨くことで、説得力を高めることができます。自己啓発や能力開発の文脈で用いられることが多い表現です。"grow persuasive"も同様の意味ですが、より自然な成長のニュアンスがあります。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで頻繁に使用されます。特に、社会科学、心理学、コミュニケーション学などの分野で、議論や主張の根拠を説明する際に「説得力のある証拠」「説得力のある議論」といった形で登場します。研究者が自身の分析結果の妥当性を示すために用いることが多いです。
ビジネスの提案書、プレゼンテーション、マーケティング資料などで使用されます。顧客や投資家に対して、自社の製品やサービス、戦略の優位性を強調する際に「説得力のある提案」「説得力のあるデータ」といった表現が用いられます。交渉の場面でも、相手を納得させるために使われることがあります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事や意見記事、ドキュメンタリーなどで見かけることがあります。例えば、政治家の演説や広告キャンペーンの効果を評価する際に、「説得力のあるメッセージ」「説得力のある広告」といった形で使われることがあります。フォーマルな場面や議論で使われることが多いです。
関連語
類義語
証拠や論理によって相手を納得させる力があることを意味します。ビジネス、学術、日常会話など、幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】「persuasive」と非常に近い意味ですが、「convincing」は証拠や論理に基づいた説得力があるニュアンスがより強く、客観的な印象を与えます。一方、「persuasive」はより感情的な訴えかけやカリスマ性による説得力を含むことがあります。 【混同しやすい点】「convincing」は形容詞として、名詞(例:a convincing argument)を修飾する形でよく使われます。また、「be convinced that...」の形で「〜を確信する」という意味でも使われるため、混同しないように注意が必要です。
人や組織が、他者の行動や意見に影響を与える力を持っていることを意味します。政治、経済、社会など、影響力を持つ存在について語る際に用いられます。 【ニュアンスの違い】「persuasive」が説得によって相手を動かすのに対し、「influential」は立場や権威、カリスマ性などによって間接的に影響を与えるニュアンスが強いです。必ずしも言葉による説得を必要としません。 【混同しやすい点】「influential」は「影響力のある〜」という意味で使われ、人(例:an influential leader)やメディア(例:an influential newspaper)を修飾することが多いです。「persuasive」のように直接的に人を説得するという意味合いは薄いです。
議論や主張が、明確で論理的、かつ説得力があることを意味します。学術論文や法律文書など、論理的な厳密さが求められる場面でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】「persuasive」よりもフォーマルで、論理的な整合性や証拠に基づいた説得力を強調します。感情的な訴えかけよりも、客観的な事実や理屈に基づいて相手を納得させるニュアンスが強いです。 【混同しやすい点】「cogent」は日常会話ではあまり使われず、アカデミックな文脈で使用されることが多いです。また、議論や主張そのものを評価する際に用いられ、人を修飾する形ではあまり使われません。
注意を引きつけ、強く興味を抱かせる力があることを意味します。物語、芸術作品、主張など、人の心を捉えるものについて語る際に用いられます。 【ニュアンスの違い】「persuasive」が説得力によって人を動かすのに対し、「compelling」は強い魅力や説得力によって人の心を捉え、行動を促すニュアンスが強いです。感情的な要素やストーリー性が含まれることが多いです。 【混同しやすい点】「compelling」は、人を「説得する」というよりも、「心を奪う」「引きつける」というニュアンスが強い点に注意が必要です。物語や芸術作品など、感情に訴えかけるものに対して使われることが多いです。
一見すると真実らしく、もっともらしいことを意味します。仮説、説明、言い訳など、真偽が定かでないものについて用いられます。 【ニュアンスの違い】「persuasive」が実際に相手を説得する力があるのに対し、「plausible」は表面上はもっともらしいが、必ずしも真実とは限らないというニュアンスを含みます。疑念や不確実性が残る状況で使用されることが多いです。 【混同しやすい点】「plausible」は、必ずしも肯定的な意味合いを持つとは限りません。表面上はもっともらしいが、実際には誤っている可能性も示唆するため、文脈によって意味合いが大きく変わる点に注意が必要です。
- inducive
行動や感情を引き起こす、または促す性質を持つことを意味します。主に何らかの行動や状態変化を促す要因について説明する際に使用されます。 【ニュアンスの違い】「persuasive」が言葉や議論によって相手を説得するのに対し、「inducive」は特定の状況や条件が、結果として行動や感情を引き起こすというニュアンスがあります。直接的な説得というよりも、間接的な影響力に着目します。 【混同しやすい点】「inducive」は、直接的な説得行為というよりも、ある状況や条件が結果として特定の行動や感情を引き起こすという間接的な影響力に着目する点で、「persuasive」とは異なります。因果関係を説明する際に用いられることが多いです。
派生語
『説得する』という動詞。「persuasive」の直接の語源であり、中心的な意味を持つ。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用される。語源はラテン語の『per-(完全に)』+『suadere(勧める)』。
『説得』という名詞。行為や能力、状態を表す。ビジネス、政治、広告など、影響力を行使する文脈で頻繁に使われる。抽象名詞化によって議論や分析の対象となりやすい。
- persuasiveness
『説得力』という名詞。「persuasive」に名詞化の接尾辞『-ness』が付いた形。より抽象的な概念を指し、人の性質や議論の質を評価する際に用いられる。ビジネスや学術的な文脈で、客観的な分析対象として扱われることが多い。
反意語
『説得力がない』という意味。「convincing(説得力のある)」に否定の接頭辞『un-』が付いた形。「persuasive」よりも主観的な印象を強調するニュアンスがある。議論やプレゼンテーションの評価において、聞き手の感じ方を表す際に使われる。
『抑止するもの』という意味。説得によって行動を促す「persuasive」とは対照的に、行動を思いとどまらせる効果を持つ。主に法律、犯罪、安全保障などの文脈で、望ましくない行動を防ぐ手段として用いられる。
『落胆させる』という意味。「courage(勇気)」を失わせるニュアンスがあり、行動への意欲を削ぐ点で「persuasive」と対立する。ビジネスや教育の現場で、モチベーションや積極性を阻害する要因を指す際に使われる。
語源
「persuasive(説得力のある)」は、ラテン語の「persuadere(説得する、納得させる)」に由来します。これは、「per-(完全に、徹底的に)」と「suadere(勧める、助言する)」という二つの要素から構成されています。「suadere」は、甘い、心地よいという意味合いを含み、「甘言をもって勧める」といったニュアンスがあります。つまり、「persuasive」は、相手を徹底的に、そして心地よく説得し、行動を促す力を持つことを意味します。日本語で例えるなら、「あの人の話は、まるで蜜のように心に染み渡り、いつの間にか納得してしまう」といった状況を表すのに近いでしょう。この語源を知ることで、「persuasive」が単なる論理的な説得だけでなく、感情に訴えかける力も内包していることが理解できます。
暗記法
「persuasive」は、古代ギリシャの修辞学に源流を持ち、単なる論理ではなく、話し手の信頼性や感情への訴えかけを含む総合的な説得力を指します。中世では宗教的文脈で信仰を促し、現代では広告や政治で影響力を行使。しかし、その力は操作的にもなり得るため、情報を受け取る側の批判的思考が不可欠です。言葉の裏にある意図を見抜く目を養いましょう。
混同しやすい単語
『persuasive』と『pervasive』は、最初の母音と語尾の母音が同じ 'a' の音で、スペルも非常によく似ているため、混同しやすいです。『pervasive』は『広範囲に浸透する』という意味で、ネガティブな文脈で使われることが多いです。品詞は形容詞で、意味が大きく異なるため注意が必要です。発音記号も /pərˈveɪsɪv/ と /pərˈsweɪsɪv/ で、アクセントの位置は同じですが、母音と子音が異なります。
『persuade(説得する)』と『pursue(追求する)』は、発音が似ており、特に語頭の音が /pər/ で共通しているため、混同しやすいです。また、どちらも動詞であるため、文法的な役割も似ています。『pursue』は『追求する』という意味で、目標、夢、あるいは人などを追いかける場合に使われます。スペルも似ているため注意が必要です。語源的には、『pursue』はラテン語の『prosequi(追いかける)』に由来し、『persuade』は『suadere(勧める)』に由来します。
『persuasive』と『precious』は、どちらも形容詞であり、語尾の音が '-cious' と '-suasive' で似た響きを持つため、混同される可能性があります。また、スペルも 'pre-' と 'per-' の部分が似ているため、視覚的な混同も起こりやすいです。『precious』は『貴重な』という意味で、価値の高いものや大切なものを指します。発音記号は /ˈpreʃəs/ で、『persuasive』とは大きく異なります。
『persuasive』と『perspective』は、どちらも 'pers-' で始まるため、スペルが似ており、混同しやすいです。『perspective』は『視点』や『観点』という意味の名詞で、意見や考え方を表します。ビジネスシーンなどでも頻繁に使われる単語です。発音記号は /pərˈspektɪv/ で、アクセントの位置は同じですが、母音の音が異なります。語源的には、『perspective』はラテン語の『perspicere(見通す)』に由来します。
『persuasive』と『perseverance』は、どちらも 'per-' で始まり、スペルが長く、複雑であるため、混同しやすいです。『perseverance』は『忍耐力』や『根気』という意味の名詞で、困難な状況でも諦めずに努力し続けることを指します。発音記号は /ˌpɜːrsɪˈvɪərəns/ で、アクセントの位置も異なり、『persuasive』とは発音が大きく異なります。語源的には、『perseverance』はラテン語の『perseverare(固守する、やり抜く)』に由来します。
『persuasive』と『perceive』は、最初の音が /pər/ で共通しており、スペルも 'per-' で始まるため、混同しやすいです。『perceive』は『知覚する』や『認識する』という意味の動詞で、五感を通して何かを理解することを指します。発音記号は /pərˈsiːv/ で、アクセントの位置は同じですが、母音の音が異なります。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。例えば、「I perceive a problem.(問題があることに気づく)」のように使われます。
誤用例
日本語の『説得力がある』に引きずられると、persuasiveを安易に『良い意味』で使ってしまうことがあります。しかし、persuasiveは中立的な意味合いが強く、必ずしも肯定的なニュアンスを含みません。むしろ、相手をmanipulate(操作)するようなニュアンスを含むこともあります。そのため、例文のように『必要ないものを買わされた』という文脈では、sales tactics(販売戦術)のような言葉を添えて、persuasiveの持つ中立性・負の側面を明確にする必要があります。日本人は『良いことは良い言葉で表現する』という傾向が強いため、この語感のズレに注意が必要です。
この誤用は、persuasiveを『感動的』『心を打つ』といった意味で捉えてしまうことから生じます。persuasiveは、あくまで『説得力がある』という意味であり、感情に訴えかけるニュアンスは薄いです。世界平和のような、感情的な共鳴を呼び起こしたいテーマのスピーチには、compelling(心を揺さぶる、説得力に加えて感情的な訴求力を持つ)やmoving(感動的な)といった言葉がより適切です。日本人は『説得』という言葉に、感情的な影響も含まれると考えがちですが、英語ではpersuasionは論理的な説得に重点が置かれることを理解する必要があります。
persuasiveという言葉は、弁護士のような職業を修飾する際に、ややネガティブな印象を与える可能性があります。あたかも『言葉巧みに人を騙す』ようなイメージを連想させるためです。弁護士の能力を肯定的に表現したい場合は、skilled(熟練した)、competent(有能な)、effective(効果的な)といった言葉を使う方が適切です。日本人は『説得力=能力』と考えがちですが、英語では、特にプロフェッショナルな文脈においては、persuasiveは倫理的な疑念を抱かせる可能性があることを意識しましょう。
文化的背景
「persuasive(説得力のある)」という言葉は、単に論理的な正しさだけでなく、話し手の人間性や感情への訴えかけ、そして社会的な影響力をも含んだ、総合的な説得の力を意味します。古代ギリシャの修辞学から現代の広告戦略まで、この言葉は常に、聞き手の心を動かし、行動を促すための技術と密接に結びついてきました。
古代ギリシャにおいて、説得術(rhetoric)は政治的なリーダーシップに不可欠な要素でした。アリストテレスは『修辞学』の中で、「エトス(話し手の信頼性)」「パトス(聞き手の感情)」「ロゴス(論理)」という3つの要素が説得の力を構成すると説きました。Persuasiveであるためには、単に論理的に正しいだけでなく、話し手自身が信頼できる人物であり、聞き手の感情に訴えかけ、共感を呼ぶ必要があったのです。この考え方は、民主主義が機能するために、市民が議論を通じて合意形成を図る必要があった社会背景から生まれました。したがって、古代ギリシャ人にとって、persuasiveであることは、単なる技術ではなく、市民としての義務であり、美徳でもあったのです。
中世に入ると、説得術は宗教的な文脈で重要な役割を果たすようになります。聖職者たちは、聖書の教えを広め、信者を増やし、異端を論破するために、説得力のある演説を必要としました。この時代、説得の対象は主に人々の信仰心であり、論理的な議論よりも、感情的な訴えかけや奇跡の物語が重視されました。また、説得はしばしば、神の意志を代弁するという権威を伴っていました。そのため、persuasiveであることは、単なる個人的な能力ではなく、神から与えられた使命を果たすための手段とみなされることもありました。
現代社会においては、persuasiveという言葉は、広告、マーケティング、政治キャンペーンなど、様々な分野で用いられています。企業は、消費者の購買意欲を刺激するために、説得力のある広告を作成し、政治家は、有権者の支持を得るために、説得力のある演説を行います。しかし、現代社会における説得は、必ずしも倫理的なものではありません。企業は、消費者の感情を操作したり、誤解を招くような情報を流したりすることがあります。また、政治家は、対立を煽ったり、嘘を広めたりすることがあります。そのため、現代社会においては、persuasiveという言葉は、しばしば、manipulative(操作的)という言葉と結びつけて考えられることがあります。私たちは、情報を受け取る際に、その情報が本当に信頼できるものなのか、感情に訴えかけるだけで論理的な根拠がないのではないか、といった点を批判的に吟味する必要があります。persuasiveという言葉の背後には、常に、誰かが何かを伝え、誰かを動かそうとする意図があることを意識することが重要です。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。主に語彙問題、長文読解で登場
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など硬めのテーマで、意見論述に関連して登場しやすい
- 学習者への注意点・アドバイス: 同意語(convincing, compelling)や反意語(unconvincing)も合わせて覚える。名詞形(persuasion)や動詞形(persuade)も重要。長文では文脈から意味を推測する練習を。
- 出題形式: 主にPart 5, 6, 7(短文穴埋め、長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的高頻度。ビジネス文書(提案書、報告書、メール)で登場
- 文脈・例題の特徴: マーケティング、交渉、プレゼンテーションなど、ビジネスコミュニケーションに関連する文脈が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでの類義語(influential, effective)との使い分けを意識する。形容詞として修飾する名詞(argument, reason, strategy)をセットで覚える。
- 出題形式: リーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 学術的な論文、研究報告、歴史的文書などで、意見や主張を展開する際に用いられる
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を説明する文脈で使われることが多いので、文脈全体を理解することが重要。同義語(cogent, sound)を知っておくと役立つ。
- 出題形式: 長文読解、自由英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文で頻出。英作文でも使えると高評価
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで登場。意見を述べたり、読者を説得したりする場面で使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が不可欠。英作文では、自分の意見を説得力のある言葉で表現するために積極的に使う。語源(persuade)を理解すると暗記しやすい。