precious
第1音節にアクセントがあります。/e/ は日本語の「エ」よりも口を少し横に開いて発音し、/ʃ/ は「シュ」と発音する際に唇を丸めることを意識してください。最後の /əs/ は曖昧母音で、ほとんど聞こえないくらい弱く発音します。強弱のメリハリをつけることが重要です。
かけがえのない
非常に価値が高く、失うことができないほど大切なものを指す。金銭的な価値だけでなく、感情的な価値や精神的な価値を含む。例えば、家族、友人、思い出、健康など。
She gently kissed her sleeping baby, thinking, 'You are so precious to me.'
彼女は眠っている赤ちゃんにそっとキスをしながら、「あなたは何てかけがえのない存在なんだろう」と思った。
※ 【情景】お母さんが、すやすや眠る赤ちゃんを見て、愛情で胸がいっぱいになっている場面です。「precious」は、このように「とても大切で、かけがえのない存在」という深い愛情を込めて、人やペットについて言う時によく使われます。 【ヒント】「precious to me」で「私にとってかけがえのない」という意味になります。心の底から大切に思う気持ちが伝わります。
He carefully held the old photo, a precious memory of his childhood.
彼はその古い写真を大切に手に持った。それは彼の子ども時代の、かけがえのない思い出だった。
※ 【情景】大切な思い出が詰まった古い写真を見つめる男性の姿が目に浮かびますね。物は古くても、その中に含まれる「思い出」が非常に価値がある、つまり「かけがえのない」と感じる時に「precious」を使います。 【ヒント】「a precious memory」のように、「かけがえのない思い出」と名詞を修飾する形で使われることも多いです。物質的な価値よりも精神的な価値に重きを置く時にぴったりです。
Every minute of our family trip was precious, creating beautiful memories.
家族旅行の一瞬一瞬がかけがえのないもので、美しい思い出を作ってくれた。
※ 【情景】家族みんなで過ごす旅行の楽しさや、その時間がどれほど大切かが伝わってきます。時間や経験など、形のないものに対しても「precious」はよく使われます。「二度と戻らない」という意味合いで「かけがえのない」と感じる時にぴったりです。 【ヒント】「Every minute was precious」のように、具体的な「時間」を表す言葉と組み合わせて使うことができます。特に「限られた時間」や「特別な時間」の価値を強調したい時に有効です。
貴重な
希少価値が高く、簡単には手に入らないもの。宝石、骨董品、限定品など、物理的な価値を持つものに対して使われることが多い。
My mother gently hugged her little daughter, saying, 'You are so precious to me.'
お母さんは幼い娘を優しく抱きしめながら、「あなたは私にとって、とても大切な存在よ」と言いました。
※ この例文では、親が子に対して感じる「かけがえのない、とても大切な」という愛情を表しています。物ではなく、人に対して「precious」を使うことで、深い愛情や重要性が伝わります。心温まる親子の情景が目に浮かびますね。
She carefully opened the old box to find her grandmother's precious letters inside.
彼女は古い箱をそっと開け、中に祖母からの大切な手紙を見つけました。
※ ここでは、思い出の品や個人的に非常に価値のあるものに対して「precious」が使われています。古い手紙が単なる紙切れではなく、祖母とのつながりや思い出が詰まった「貴重な」ものであることが伝わる場面です。宝物を扱うような丁寧な動作から、その大切さが感じられます。
In the desert, every drop of water is incredibly precious for survival.
砂漠では、水の一滴一滴が生き残るために信じられないほど貴重です。
※ この例文は、生命維持に不可欠な資源のように、物理的に「価値があり、失うことのできない」ものに対して「precious」を使う場面です。砂漠という極限の状況が、水の「貴重さ」をより鮮明に際立たせています。時間や機会など、限りあるものに対してもよく使われる表現です。
大事な
愛情や敬意を込めて大切にしたい、守りたいものを指す。思い出の品、秘密、約束など、個人的な思い入れがあるものに対して使われる。
A little girl held her precious teddy bear tightly when she went to bed.
小さな女の子は、寝るときに大切なくまのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめました。
※ 暗い部屋で、小さな女の子が安心するように、大好きなくまのぬいぐるみを強く抱きしめている様子が目に浮かびますね。「precious」は、このように「とても大事で、手放したくない」という強い気持ちを込めて使われます。特に、子供が物に対して深い愛着を持っている様子を表すのにぴったりです。
Please don't waste time; every moment is precious for learning new things.
時間を無駄にしないでください。新しいことを学ぶためには、どの瞬間も貴重です。
※ あなたが何か新しいことを学ぼうとしている時、集中して取り組むべきだ、というメッセージが伝わってきます。一瞬一瞬が学びのチャンスだと感じられますね。「precious」は、このように「かけがえのない、価値のある」という意味で、時間や機会など、形のないものに対しても使われます。特に、限られた資源や機会の重要性を強調したい時によく使われる表現です。
He carefully carried his precious old guitar, a gift from his father.
彼は父親からの贈り物である、大切な古いギターを慎重に運びました。
※ 壊さないように、そっとギターを運ぶ男性の姿が見えます。単なる楽器ではなく、父親との思い出が詰まった、かけがえのない品であることが伝わりますね。「precious」は、このように「思い出が詰まっている」「感情的な価値がある」といった、物質的な価値だけでなく精神的な価値を持つものにも使われます。特に、人から贈られたものや、長年大切にしてきたものに対してよく使われます。
コロケーション
貴金属
※ 金、銀、プラチナなど、希少価値が高く、装飾品や投資の対象となる金属を指します。鉱物資源としての希少性に加え、耐腐食性や加工のしやすさといった特性も価値を高めています。経済ニュースや金融市場に関する記事で頻繁に見られる表現です。
宝石
※ ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドなど、美しさ、希少性、耐久性を兼ね備えた鉱物。装飾品として珍重され、文化的、歴史的な価値を持つものも多いです。'gemstones'という表現もほぼ同義ですが、'precious stones'の方がよりフォーマルな印象を与えます。
ほとんど~ない
※ 数量や程度が非常に少ないことを強調する表現。'very little'と似た意味ですが、'precious little'の方が、その少なさに対する不満や失望感が込められていることが多いです。例えば、「彼はその問題についてprecious little知識しかない」のように使います。
貴重な時間
※ かけがえのない、大切にすべき時間を指します。特に、期限が迫っている場合や、限られた時間の中で何かを成し遂げなければならない状況で使われます。「precious timeを無駄にするな」のように、忠告や後悔の念を込めて用いられることもあります。
貴重な瞬間、忘れがたい一瞬
※ 人生における特別な、記憶に残る瞬間を指します。家族や友人との温かい触れ合い、美しい景色との出会い、目標達成の瞬間など、個人的な感情と深く結びついた場面で使われることが多いです。写真や日記に記録されるような、特別な思い出を表現するのに適しています。
貴重な積み荷、大切な人
※ 文字通りには、非常に価値のある貨物を指しますが、比喩的には、保護や注意を要する人(特に子供)を指すことがあります。例えば、妊婦さんを指して'precious cargo'と表現することもあります。安全第一で運搬・保護されるべき対象というニュアンスが含まれています。
大切な思い出
※ 過去の出来事の中で、特に心に残る、かけがえのない記憶を指します。個人的な経験、家族との時間、特別な場所など、感情的な価値が高い思い出を表現する際に用いられます。写真アルバムや回顧録など、過去を振り返る文脈でよく使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや資源の重要性を強調する際に使われます。例えば、研究で使用した貴重なサンプルを 'precious samples' と表現したり、得られたデータの重要性を示すために 'precious data' と表現したりします。文語的な表現であり、客観性と正確さが求められる文脈で使用されます。
ビジネスシーンでは、特に顧客やパートナーとの関係性を重視する場面で使われます。例えば、顧客からの貴重なフィードバックを 'precious feedback' と表現したり、重要な取引先を 'precious client' と表現したりすることがあります。フォーマルな文脈で、感謝や敬意を示すために用いられます。
日常会話では、大切な人や物を表現する際に使われます。例えば、家族や親友を 'precious family' や 'precious friend' と表現したり、思い出の品を 'precious memories' と表現したりします。感情を込めて、愛情や感謝の気持ちを伝えるために用いられます。また、皮肉を込めて使うこともあります(例:時間が貴重なのに、無駄な会議に出席させられた場合など)。
関連語
類義語
価値がある、高価な、という意味で、物質的な価値や重要性を表す場合に使われる。ビジネス、経済、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"precious"よりも客観的な価値を指すことが多く、感情的な意味合いは薄い。物や情報など、価値を測れるものに対して使われる。 【混同しやすい点】"valuable"は主に物質的な価値や実用的な価値を指し、感情的なつながりや個人的な思い入れといったニュアンスは少ない。また、不可算名詞として「貴重品」という意味もある。
非常に価値が高く、値段をつけられないほど貴重なことを意味する。芸術作品や歴史的遺産、思い出など、金銭的な価値を超えたものに使われる。 【ニュアンスの違い】"precious"よりも価値の高さが強調され、代替不可能な唯一無二の存在であることを示唆する。感情的な価値や精神的な価値が高いものに対して使われる。 【混同しやすい点】"priceless"は文字通り「値段がない」という意味だが、実際には非常に高価であることを意味する。また、皮肉として「価値がない」という意味で使われることもある。
大切にされている、可愛がられている、という意味で、愛情や感謝の気持ちを込めて使われる。家族、友人、思い出など、個人的に大切なものに使われる。 【ニュアンスの違い】"precious"と同様に感情的な価値を表すが、愛情や親愛の情がより強く込められている。大切に保管したり、常に身につけていたいと思うようなものに使われる。 【混同しやすい点】"cherished"は過去分詞形であり、形容詞として使われることが多い。また、受動的な意味合いが含まれており、誰かによって大切にされているというニュアンスがある。
- treasured
非常に大切にされている、貴重にされている、という意味で、価値を認めて大切に保管している状態を表す。思い出の品、コレクション、才能など、長く大切にしたいものに使われる。 【ニュアンスの違い】"precious"よりも大切に保管されている状態が強調され、将来にわたって価値を維持したいという気持ちが込められている。時間や労力をかけて守り育てていくようなものに使われる。 【混同しやすい点】"treasured"も過去分詞形であり、形容詞として使われることが多い。また、"cherished"よりもフォーマルな印象を与える。
親愛なる、大切な、という意味で、愛情や友情を込めて使われる。手紙の宛名、親しい友人、家族など、親しい関係にある人に対して使われる。 【ニュアンスの違い】"precious"よりも親しみやすさや愛情表現が強く、より個人的な関係性を示す。日常会話や手紙など、親密なコミュニケーションで使われる。 【混同しやすい点】"dear"は名詞としても使われ、「~さん」という呼びかけの言葉になる。また、形容詞としては「高価な」という意味もある。
非常に美しい、素晴らしい、洗練されている、という意味で、芸術作品や自然の美しさ、優れた才能など、高度な美しさや技術に対して使われる。 【ニュアンスの違い】"precious"が感情的な価値を含むのに対し、"exquisite"は美しさや完成度の高さに焦点を当てる。美術、音楽、文学など、美的感覚を刺激するものに使われる。 【混同しやすい点】"exquisite"は主に視覚的な美しさや技術的な完成度を指し、感情的なつながりや個人的な思い入れといったニュアンスは少ない。また、フォーマルな場面で使われることが多い。
派生語
「precious」の語源であるラテン語の「precium(価値)」が変化した「appretiare(価値を認める)」に由来。「~に感謝する」「~を高く評価する」という意味の動詞。価値を認識し、尊重する意味合い。「precious」が持つ「貴重さ」の認識が、感謝や評価の行動に繋がる。日常会話、ビジネス、フォーマルな場面で広く使用される。
「appreciate」の名詞形。「感謝」「評価」「鑑賞」などの意味を持つ。動詞「appreciate」が持つ「価値を認める」という行為や状態を名詞化したもの。美術鑑賞や不動産の価値評価など、具体的な対象への価値認識から、抽象的な感謝の気持ちまで、幅広い文脈で使用される。ビジネス文書や学術論文でも頻出。
「precious」と同じ語源「precium(価値)」を持つ。「価格」「代償」という意味の名詞。元々は「価値」そのものを指していた言葉が、取引における交換価値を表すようになった。「precious」が内的な価値を指すのに対し、「price」は市場における価値を指す。日常会話やビジネスシーンで不可欠な語彙。
反意語
「価値がない」「無価値な」という意味。「precious」が持つ「非常に価値がある」という肯定的な意味合いと明確な対立構造を持つ。接尾辞「-less」は「~がない」という意味を付与し、「worth(価値)」を否定する。日常会話で、物質的な価値だけでなく、アイデアや感情など、抽象的な概念に対しても使用される。
「安い」「安価な」という意味。「precious」が高価で希少なものを指すのに対し、「cheap」は安価で手に入りやすいものを指す。価格という明確な基準において対立する。ただし、「cheap」は「安っぽい」「粗悪な」という意味合いも含むため、文脈によっては「precious」の完全な対義語とは言えない場合がある。日常会話、ビジネスシーンで使用頻度が高い。
「ありふれた」「普通の」という意味。「precious」が希少性や特別な価値を持つことを強調するのに対し、「common」は一般性や普遍性を示す。抽象的な文脈では、「precious」がかけがえのないものを指すのに対し、「common」はどこにでもある、誰でも手に入れられるものを指す。日常会話や学術論文など、幅広い文脈で使用される。
語源
"precious」は、ラテン語の「pretiosus」(価値のある、高価な)に由来します。これはさらに、「pretium」(価格、価値)から派生しています。「pretium」は、何かを得るために支払うべきもの、つまり「代償」という概念を含んでいます。したがって、「precious」は、単に値段が高いだけでなく、それ以上の価値、つまりかけがえのなさや重要性を示唆する言葉として発展しました。日本語で例えるなら、「宝物」という言葉が近いでしょう。金銭的な価値を超えて、心の豊かさや思い出といった、計り知れない価値を持つものに対して使われるように、「precious」もまた、そのような深い意味合いを持つ言葉なのです。
暗記法
「precious」は単なる高価なものではなく、愛情や思い出、かけがえのなさを含む特別な存在を指します。ゴラムにとっての指輪のように、時に執着や依存の対象にもなり得ます。失われた時間や思い出への愛惜、持続可能性への意識も内包し、倫理的な消費と結びつくことも。「precious」は、時代と共に意味を変え、人々の価値観を映し出す鏡のような言葉です。
混同しやすい単語
スペルミスとして最も多いのがこれです。「precious」の正しいスペルを覚えていないと、単純に間違えてしまう可能性があります。特に、母音の並び順に注意が必要です。意味は同じ『貴重な』ですが、スペルが違うと意味をなしません。
発音が似ており、特に語尾の子音の響きが似ているため、聞き間違いやすい単語です。「precise」は『正確な』という意味の形容詞で、品詞も意味も異なります。発音記号を確認し、語尾の子音を意識して発音練習することが重要です。
スペルが似ており、特に「pre...ious」という接頭辞と接尾辞が共通しているため、混同しやすいです。「previous」は『前の』という意味の形容詞で、時間的な順序を表します。意味も品詞も異なるため、文脈で判断することが重要です。
発音が部分的(最初の音節)に似ており、語感もなんとなく似ていると感じるかもしれません。「perish」は『滅びる』という意味の動詞で、意味合いが大きく異なります。preciousのポジティブな意味合いと、perishのネガティブな意味合いの違いを意識すると覚えやすいでしょう。
発音が似ており、「precious」の複数形と勘違いする可能性があります。「prices」は「price(値段)」の複数形で、名詞です。文脈によっては意味が通じることもありますが、品詞が異なるため注意が必要です。
最初の音節の発音が似ており、スペルも一部共通しているため、混同しやすいです。「pressure」は『圧力』という意味の名詞で、比喩的に『プレッシャー』のように使われます。意味と品詞が異なるため、文脈で判断することが重要です。語源的には、どちらもラテン語の「primere(押す)」に由来しており、関連性がないわけではありません。
誤用例
日本語の『貴重』という言葉に引きずられ、『precious』を安易に用いる誤用です。確かに『precious』は『貴重な』という意味を持ちますが、感情的な価値や思い出の品に対して使うと、やや大げさな印象を与え、人によってはナルシスティックに聞こえる可能性があります。『precious』は、非常に高価で替えがたいもの、あるいは、時間や命など、かけがえのないものに対して使うのが適切です。ここでは、祖母からもらったという思い出の品なので、『valuable』(価値がある、大切な)を使う方が、より自然で控えめな表現になります。日本人は、直接的な感情表現を避け、間接的で控えめな表現を好む傾向があるため、英語でも同様の表現を選ぼうとして、不自然になることがあります。
ここでも『precious』は誤用ではありませんが、『cherished』の方がより適切です。『precious』は、時間や機会に対して使う場合、その価値を強調する意味合いが強くなります。一方、『cherished』は、過去の経験や思い出を大切にしている気持ちを表すニュアンスがあります。この文脈では、共に過ごした時間を懐かしみ、大切に思っている気持ちを伝えたいので、『cherished』がより適しています。日本人は、過去の思い出を美化し、大切にする傾向があるため、『precious』を使ってその価値を強調しようとしがちですが、英語では『cherished』の方が感情的な温かみが伝わる表現となります。また、日本語の『貴重な時間』という表現を直訳しようとするあまり、英語の語感を考慮せずに『precious time』を選んでしまうことも原因の一つと考えられます。
'Precious' を人に対して使う場合、非常に特殊なニュアンスを持ちます。文字通り解釈すると『高価な女性』となり、客観的に見て価値がある、という意味合いを含んでしまいます。これは現代英語では非常に不自然で、性差別的とも捉えられかねません。人に対して使う場合は、子供や恋人など、非常に親しい間柄で愛情を込めて使うか、皮肉を込めて使うかのどちらかです。一般的な場面では、尊敬や好意を表す場合は 'wonderful', 'remarkable', 'admirable' などを使う方が適切です。日本語では、相手を褒める際に『貴重な人』と言うことがありますが、この感覚で 'precious' を使うと、大きな誤解を招く可能性があります。相手の内面や人格を褒める場合は、より一般的な形容詞を選ぶようにしましょう。
文化的背景
「precious(貴重な)」という言葉は、単に価値が高いだけでなく、愛情や深い思い入れ、かけがえのなさを伴う特別な存在に向けられます。それは、失われたら二度と取り戻せない、心の一部を失うような感覚と結びついており、文化的な文脈においては、金銭的な価値を超越した、精神的な豊かさや人間関係の深さを象徴することがあります。
「precious」が持つ独特のニュアンスは、物語の中で特に際立ちます。例えば、J.R.R.トールキンの『指輪物語』に登場する「My precious(いとしいしと)」という表現は、主人公の一人であるゴラムが指輪に対して抱く異常な執着と依存心を象徴しています。ゴラムにとって指輪は、単なる宝物ではなく、彼の存在意義そのものであり、それなしでは生きられないほど大切なものなのです。この例からもわかるように、「precious」は、対象に対する極端な愛情や執着、時には破滅的な依存といった感情を表現するために用いられることがあります。
また、「precious」は、失われた時間や過ぎ去った思い出など、二度と戻らないものへの愛惜の念を表現する際にも用いられます。家族の古い写真、祖母が編んでくれたセーター、子供の頃に遊んだおもちゃなど、物質的な価値は低いものの、個人的な思い出や感情が詰まっている品々は、「precious」な存在と言えるでしょう。これらの品々は、過去とのつながりを保ち、アイデンティティを形成する上で重要な役割を果たします。このように、「precious」は、単なる物質的な価値を超え、人々の感情や記憶、人間関係といった、目に見えない大切なものを表現する言葉として、文化的に深い意味を持っています。
現代社会においては、「precious」は、持続可能性や倫理的な消費といった価値観とも結びついています。大量生産・大量消費の時代を経て、人々は、本当に価値のあるもの、長く大切にできるものを選ぶ傾向が強まっています。手作りの品、フェアトレード商品、環境に配慮した製品などは、「precious」なものとして捉えられ、消費者の支持を集めています。これは、「precious」という言葉が、単なる高級品や希少品を指すのではなく、倫理的な価値観や持続可能な社会への貢献といった、より深い意味を持つようになったことを示しています。つまり、「precious」は、時代とともにその意味を変化させながら、人々の価値観や社会の変化を反映する鏡のような存在と言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。稀にリスニングでも。
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも稀に出題される可能性あり。パートは語彙問題、長文読解。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。環境問題、歴史、文化など、硬めの話題が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「貴重な」「大切な」という意味に加え、「高価な」という意味も持つことを覚えておく。文脈によって意味を判断する必要がある。類義語(valuable, important)との使い分けも意識する。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)。
- 頻度と級・パート: Part 5, 7 で中程度の頻度。高得点を目指す場合は対策必須。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(契約、人事、マーケティングなど)で、資源や時間、人材などが「貴重」であることを表す際に使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 主に形容詞として使われる。名詞(preciousness)の形も覚えておくと良い。同義語のvaluable, costlyとのニュアンスの違いを理解しておく。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで高頻度。アカデミックな内容の文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学など、アカデミックな文脈で、資源や文化遺産、研究データなどが「貴重」であることを表す際に使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念(時間、経験、知識など)が「貴重」であることを表す場合もある。文脈から正確な意味を把握する必要がある。類義語(invaluable, priceless)との使い分けを意識する。
- 出題形式: 主に長文読解問題。文法問題や語彙問題で問われることもある。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いテーマで登場。社会問題、環境問題、科学技術など、硬めの話題が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「貴重な」「大切な」という意味に加え、「高価な」という意味も持つことを覚えておく。文脈によって意味を判断する必要がある。類義語(valuable, important)との使い分けも意識する。また、反意語(worthless)も覚えておくと役立つ。