intention
第2音節(ˈテン)にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開いて発音する短い母音です。/ʃ/ は日本語の『シ』よりも唇を丸めて息を強く出す音です。最後の /ən/ は曖昧母音で弱く発音されることが多いですが、はっきりと発音することも可能です。
意図
何かをしようと心に決めていること。計画や目的意識を伴う場合に使う。「〜するつもり」「〜しようという気持ち」といった意味合い。
He smiled strangely at me, and I couldn't understand his intention.
彼は私に変な笑顔を向けたので、私は彼の意図が理解できませんでした。
※ 【情景】誰かがあなたに不思議な笑顔を向け、その行動の裏にある気持ちや目的が掴めない状況です。「なぜ私にこんな笑顔を?」という戸惑いが伝わります。 【解説】「intention」は、人の行動の「目的」や「考え」を指す名詞です。この文では、相手の行動の真意が分からず困惑している様子を表しています。
My intention is to speak English fluently by next year.
来年までに英語を流暢に話せるようになるのが私の意図です。
※ 【情景】あなたが英語学習の目標を熱心に語っている場面です。未来に向けての明確な計画や強い決意が感じられます。 【解説】「My intention is to do something」は、「~することが私の意図です」「~するつもりです」と、自分の明確な目的や計画を伝える際によく使われる表現です。
He seemed angry, but his intention was really to protect his friend.
彼は怒っているように見えましたが、彼の意図は本当は友達を守ることでした。
※ 【情景】誰かの行動が誤解されがちな状況で、その人の本当の気持ちや目的を説明している場面です。見た目と内面のギャップが描かれています。 【解説】「intention」は、このように「(誰かの)意図は~だった」と、行動の背後にある動機を説明する際にも使われます。ここでは「怒っている」ように見えた行動の、真の「意図」を明らかにしています。
目的
達成したい目標やゴール。単なる願望ではなく、具体的な行動を伴う計画的な目標を指すことが多い。「〜を目指して」「〜を期して」というニュアンス。
What was the true intention behind his words?
彼の言葉の裏にある本当の目的は何だったのだろう?
※ 誰かの言動に対して、その真意や動機を探っている場面です。例えば、友達が不思議なことを言った時などに「本当に何を考えていたの?」と尋ねるような状況で使えます。「behind his words」は「彼の言葉の裏に隠された」というニュアンスで、言葉の表面だけでなく、その奥にある本当の気持ちや目的を問う時に使われる典型的な表現です。
My only intention was to make everyone smile.
私の唯一の目的は、みんなを笑顔にすることでした。
※ 何か行動を起こした人が、その動機や純粋な目的を説明している場面です。例えば、サプライズパーティーを企画した人が、その理由を語るような状況です。「My intention was to do...」は「私の目的は〜することだった」という形で、自分の行動の『つもり』や『目的』を説明する時によく使われます。「only」は「唯一の」という意味で、純粋な気持ちを強調しています。
She had no intention of hurting you.
彼女はあなたを傷つけるつもりは全くありませんでした。
※ 誰かが誤解されたり、意図せず誰かを傷つけてしまったりした際に、「故意ではなかった」と説明する場面です。例えば、友達がケンカしてしまった時、「彼女は悪気がなかったんだよ」と伝えるような状況です。「have no intention of -ing」という形は、「〜する意図が全くない」という意味で、日常会話で非常によく使われる重要な表現です。
本気
心からそう思っている、または行動する覚悟があること。表面的なものではなく、真剣な気持ちを表す。「〜する覚悟」「〜という決意」といった意味合い。
The new employee worked hard, showing his intention to succeed in the project.
その新入社員は一生懸命働き、プロジェクトを成功させる本気を示していました。
※ この例文は、「新入社員が初めての大きな仕事で、成功するために一生懸命頑張っている」という場面を描いています。`intention` は、ある目標に向かって「本気で取り組む姿勢」や「強い決意」を示すときによく使われます。彼の努力する行動から、その「本気」が伝わってきますね。`showing his intention to do something` の形で、「~する本気を示す」という表現はとても便利です。
My mother spoke to me with a firm intention to help me quit bad habits.
母は私が悪い習慣をやめるのを助けるという固い本気で私に話しました。
※ この例文は、「お母さんが、子どもの悪い習慣を直させようと、真剣な気持ちで話している」という場面です。`intention` は、誰かに対して「本気で何かをしようとする強い意志」を伝える際にも使われます。`firm intention` で「固い決意」「断固たる本気」という強いニュアンスが出ています。`with a firm intention` のように、`with an intention` の形で「~する意図(本気)を持って」という状況を表せます。
She told me her clear intention to move abroad next year.
彼女は私に、来年海外へ引っ越すという明確な本気を伝えました。
※ この例文は、「友人が、来年海外に引っ越すという大きな計画について、本気で考えていることを打ち明けている」という場面を描いています。`intention` は、将来の計画や目標に対して「本気でそれを実行するつもりである」という強い気持ちを表すのにぴったりです。`clear intention` で「明確な本気」を強調しています。`her intention to do something` の形で、「~する彼女の本気」というように、誰かの意図や決意を説明するのに使えます。
コロケーション
善意をもって、良い意図で
※ 「good intention」は、行動の動機が善良であることを示す一般的な表現です。複数形の「good intentions」もよく使われ、『良かれと思ってやった』というニュアンスが強まります。ただし、『善意から』という言い訳が、必ずしも良い結果に繋がらないことも暗示します。例えば、『with good intentions, he made things worse(彼は良かれと思ってやったが、事態を悪化させた)』のように使われます。ビジネスシーンでも、提案や行動の意図を説明する際によく用いられます。
明確な意図、はっきりとした目的
※ 意図が曖昧ではなく、誰の目にも明らかであることを強調する表現です。契約書や法的文書など、誤解を避けたい場面で特に重要になります。例えば、『The contract stated a clear intention to merge the companies(契約書には会社合併の明確な意図が記載されていた)』のように使われます。口語よりもフォーマルな文脈で使われることが多いです。
意図を表明する、意思表示をする
※ 自分の考えや計画を言葉や行動で示すことを意味します。会議やプレゼンテーションなどで、自分の目標や今後の展望を伝える際によく使われます。『He expressed his intention to retire next year(彼は来年引退する意向を表明した)』のように使われます。単に『intention』を持つだけでなく、それを積極的に伝えるニュアンスが含まれます。
意図を宣言する、公に意思表示をする
※ 「express an intention」よりもさらに強い表現で、公式な場や公の場で自分の意図をはっきりと表明することを指します。政治家が政策を発表したり、企業が将来の計画を発表したりする際に用いられることが多いです。『The government declared its intention to reduce carbon emissions(政府は炭素排出量を削減する意向を宣言した)』のように使われます。よりフォーマルで公的なニュアンスが強くなります。
意図に反して、意に沿わず
※ 自分の意図とは異なる結果になったことを表す表現です。予期せぬ事態や誤解が生じた場合に用いられます。『Contrary to my intention, my words offended her(私の意図とは反して、私の言葉は彼女を怒らせた)』のように使われます。ビジネスシーンでは、計画の変更や失敗を説明する際に使われることがあります。フォーマルな響きがあります。
~するつもりでいる、~する意向である
※ 強い決意や計画を表す際に用いられる表現です。単に「want to do」よりも、より真剣な意図や計画があることを示唆します。『I have every intention of finishing this project on time(私はこのプロジェクトを時間通りに終わらせるつもりでいる)』のように使われます。口語でもビジネスシーンでも使用可能です。
意図がない、悪意がない
※ 行動や発言に特定の意図や目的がないことを示す表現です。特に、誤解を招いた場合や、結果的に良くない状況になった場合に、弁解として用いられることがあります。『I lacked the intention to hurt your feelings(あなたの感情を傷つける意図はありませんでした)』のように使われます。状況によっては、責任逃れと捉えられる可能性もあるため、注意が必要です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、研究の意図や目的を説明する際に使われます。例えば、研究論文の導入部で「本研究のintentionは〜である」と述べたり、実験計画を説明する際に「実験参加者のintentionを測定する」といった形で使用されます。文語的な表現です。
ビジネス文書や会議で、プロジェクトの目的や戦略を明確にするために使用されます。例えば、プロジェクト計画書で「このプロジェクトのintentionは市場シェアを拡大することである」と記述したり、会議で「私たちのintentionは顧客満足度を向上させることです」と発言したりします。フォーマルな場面で使われることが多いです。
日常会話では、フォーマルな場面や、相手に自分の意図を明確に伝えたい時に使われることがあります。例えば、「I have every intention of paying you back.(必ず返すつもりだよ)」のように、約束や決意を強調する際に使用されます。やや硬い表現なので、日常会話では頻繁には使いません。
関連語
類義語
ある行動や計画の背後にある理由や目標を指す。よりフォーマルな文脈で使用され、長期的な目標や公式な計画に関連することが多い。ビジネス文書や公式な声明でよく見られる。 【ニュアンスの違い】"intention"が個人の意志や希望を強調するのに対し、"purpose"はより客観的で合理的な目標を指す。"purpose"は、より大きな計画や組織的な目標に関連付けられることが多い。 【混同しやすい点】"intention"は個人的な願望や計画に使われることが多いが、"purpose"はより公式な、または組織的な目標に使われることが多い。例えば、"My intention is to learn English."(私の意図は英語を学ぶことだ)は自然だが、組織の目的を説明する際には "Our purpose is to provide quality education."(私たちの目的は質の高い教育を提供することだ)が適切。
達成しようとする目標や目的を指す。比較的フォーマルな言葉で、努力や方向性を示すニュアンスがある。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"intention"が内的な意思や計画を指すのに対し、"aim"は具体的な行動や努力を伴う目標を指す。"aim"は、目標達成のために具体的なステップを踏むことを示唆する。 【混同しやすい点】"aim"はしばしば具体的な行動計画や努力と結びついて使われる。例えば、"My aim is to improve my English skills."(私の目標は英語スキルを向上させることだ)は、具体的な学習計画や努力を伴うニュアンスを含む。一方、"My intention is to improve my English skills."は、単に英語スキルを向上させたいという意思を示すに過ぎない場合がある。
達成したい具体的な目標を指す。ビジネス、スポーツ、個人の成長など、幅広い分野で使用される。達成可能な具体的な目標を指すことが多い。 【ニュアンスの違い】"intention"が漠然とした願望や計画を指すのに対し、"goal"はより具体的で測定可能な目標を指す。"goal"は、達成するための具体的なステップや期限が設定されていることが多い。 【混同しやすい点】"goal"は通常、具体的な数値や期限が設定された目標を指す。例えば、"My goal is to lose 5 kilograms in 2 months."(私の目標は2ヶ月で5キロ痩せることだ)のように、具体的な数値目標を含むことが多い。一方、"My intention is to lose weight."(私の意図は体重を減らすことだ)は、単に体重を減らしたいという願望を示すに過ぎない場合がある。
達成しようとする具体的な目標や目的を指す。ビジネスや軍事、プロジェクト管理などでよく使われる。よりフォーマルで、組織的な文脈で使用されることが多い。 【ニュアンスの違い】"intention"が個人的な意思や願望を指すのに対し、"objective"は組織やプロジェクトにおける具体的な目標を指す。"objective"は、達成度を測定するための明確な基準が設定されていることが多い。 【混同しやすい点】"objective"は通常、組織やプロジェクトの文脈で使用され、具体的な測定基準や達成目標が設定されている。例えば、"The objective of this project is to increase sales by 10%."(このプロジェクトの目的は、売上を10%増加させることだ)のように、具体的な数値目標を含むことが多い。一方、"My intention is to learn more about project management."(私の意図はプロジェクト管理についてもっと学ぶことだ)は、個人的な学習意欲を示すに過ぎない場合がある。
何かを行うための具体的な方法や手順を指す。旅行、イベント、プロジェクトなど、幅広い場面で使用される。具体的な行動計画を含むことが多い。 【ニュアンスの違い】"intention"が単なる意思や計画を指すのに対し、"plan"は具体的な行動手順やタイムラインを含む。"plan"は、実行可能性や実現可能性を考慮した具体的な計画を指す。 【混同しやすい点】"plan"は具体的な行動手順やタイムラインを含むため、実行可能性や実現可能性を考慮する必要がある。例えば、"I have a plan to travel to Europe next summer."(来年の夏にヨーロッパへ旅行する計画がある)は、具体的な旅行日程や予算、宿泊先などを考慮した計画を意味する。一方、"My intention is to travel to Europe someday."(いつかヨーロッパへ旅行したいと思っている)は、単なる願望を示すに過ぎない場合がある。
意図を持って何かを作り出す計画や設計を指す。製品、建築物、ウェブサイトなど、創造的な活動に関連して使用されることが多い。 【ニュアンスの違い】"intention"が一般的な意図を指すのに対し、"design"は具体的な形や機能を持つものを作り出す意図を指す。"design"は、美的要素や機能性を考慮した計画を意味する。 【混同しやすい点】"design"は具体的な形や機能を持つものを作り出す意図を指すため、美的要素や機能性を考慮する必要がある。例えば、"The design of this building is very modern."(この建物のデザインは非常にモダンだ)は、建物の外観や内部構造、使用されている素材などを考慮したデザインを意味する。一方、"My intention is to build a house."(家を建てたいと思っている)は、単に家を建てたいという願望を示すに過ぎない場合がある。
派生語
- intentional
『意図的な』という意味の形容詞。『intention』に形容詞化の接尾辞『-al』が付いた形。ある行為や行動が意図に基づいていることを強調する際に用いられ、日常会話からビジネス、法的な文脈まで幅広く使われます。意図の有無が問題となる状況で特に重要になります。
『意図的に』という意味の副詞。『intentional』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。動詞を修飾し、行為が意図的に行われたことを明確にします。法律や倫理の議論において、行為の責任や道徳性を判断する上で重要な役割を果たします。学術論文や報道記事でも頻繁に見られます。
『意図する』という意味の動詞。『intention』の直接の語源であり、何かを計画したり、目的を持ったりする行為を表します。日常会話からビジネスシーン、フォーマルな文書まで、幅広く使用されます。未来の行動に対する意思表示として、非常に基本的な語彙です。
反意語
『偶然』や『事故』という意味の名詞。『intention』が計画された行為を指すのに対し、『accident』は予期せぬ出来事を意味します。日常会話では不慮の事故を指し、法律や保険の文脈では責任の所在を明確にするために使われます。意図の有無が重要な対比となります。
『偶然』や『機会』という意味の名詞。『intention』が意図的な行動を伴うのに対し、『chance』は予測できない、偶然の出来事を指します。日常会話では『偶然の出会い』のように使われ、確率論や統計学の分野では、意図的な操作がないランダムな現象を指します。
『意図せず』という意味の副詞。『intentionally』に否定の接頭辞『un-』が付いた形。ある行為が意図的でなかったことを明示する際に使用されます。特に、誤解や過失による行動を説明する際に役立ち、ビジネスや法律の分野で重要となります。
語源
"Intention"は、ラテン語の"intendere"(~に注意を向ける、~を伸ばす、~を志す)に由来します。"intendere"は、"in-"(~へ、~の中に)と"tendere"(伸ばす、向ける)という二つの要素から構成されています。つまり、文字通りには「心や注意をある方向へ伸ばす」という意味合いを持ちます。このイメージは、私たちが何かを意図する際に、目標や目的に向かって意識を集中させる様子と重なります。日本語で例えるなら、「志(こころざし)」という言葉が近いかもしれません。ある目標に向かって心を定める、その心の動きが"intention"の本質を表しています。そこから、「意図」「目的」「本気」といった意味へと発展していきました。
暗記法
「意図」は西洋文化で自由意志と責任の象徴。倫理や法哲学で善悪を分ける鍵となり、中世騎士道物語から法廷ドラマまで物語を左右します。神の意志と人間の自由意志の葛藤、個人の権利と社会的責任の均衡…。現代では、意図は法的責任を問う上で不可欠ですが、証明は困難。心理学や神経科学もその形成を研究中です。倫理、法律、科学で探求される複雑な概念、それが「intention」です。
混同しやすい単語
『intention』と『attention』は、どちらも名詞で、語尾が '-tion' で終わるため、スペルと発音の両方で混同しやすいです。『intention』は『意図、目的』という意味ですが、『attention』は『注意、注目』という意味です。特に、会話の中で発音が似ているため、文脈をよく理解して聞き分ける必要があります。また、スペルミスにも注意が必要です。
『intention』と『invention』も、名詞で語尾が '-tion' であるため、スペルと発音で混同されやすいです。『intention』が『意図』であるのに対し、『invention』は『発明』という意味です。こちらも文脈で判断する必要があります。語源的には、どちらもラテン語に由来しますが、意味の発展が異なっています。
こちらも語尾が '-tion' で終わる名詞であり、発音とスペルが似ているため混同しやすい単語です。『retention』は『保持、記憶』という意味で、『intention(意図)』とは意味が大きく異なります。ビジネスの文脈では、『顧客維持率』などの意味で使われることもあります。発音のアクセント位置も異なるため、注意が必要です。
『intention』と『intension』は、スペルが非常に似ていますが、『intension』は哲学や論理学の分野で使われる専門用語で、『内包』という意味を持ちます。日常会話ではほとんど使われません。発音も微妙に異なりますが、スペルが似ているため、専門分野の文章を読む際には注意が必要です。通常、英語学習者が目にするのは『intention』の方です。
『detention』も語尾が '-tion' で終わる名詞で、発音とスペルが似ているため混同しやすいです。『detention』は『拘留、留置』という意味で、学校では『放課後居残り』の意味で使われることもあります。『intention』とは意味が大きく異なるため、文脈で判断する必要があります。特に、ニュース記事などで使われる場合に注意が必要です。
『intention』と『instant』は、スペルと発音の一部が似ており、特に語頭の 'in-' の部分が共通しているため、混同されることがあります。『instant』は『瞬間』という意味で、名詞または形容詞として使われます。『インスタントコーヒー』のように、日常会話でもよく使われる単語です。意味も品詞も異なるため、文脈をよく理解する必要があります。
誤用例
日本人が『強い意志』を表現する際、形容詞『strong』を安易に『intention』に付けてしまいがちですが、英語では不自然です。英語の『intention』は、どちらかというと『意図』『計画』というニュアンスが強く、単に『意志』の強さを表す場合は、別の表現(例えば'determination', 'resolve')を使うか、あるいは『every intention of』という構文を使用するのが適切です。この構文は『〜するつもりでいる』という意味合いを強め、より自然な英語表現となります。日本語の『〜するつもりだ』という表現を直訳しようとする際に陥りやすい誤りです。
『良い意図で』という日本語を直訳して『with good intentions』としてしまうのは、文法的には間違いではありませんが、やや冗長な印象を与えます。英語では、形容詞『well-intentioned』を使って、『善意の』『良かれと思って』というニュアンスをより簡潔に表現できます。また、文頭に置くことで、その後の行動の動機を強調する効果もあります。日本人は、助詞『で』に引きずられて『with』を使ってしまいがちですが、英語ではより洗練された表現が存在することを意識しましょう。この例では、相手に「良かれと思ってやったのに」というニュアンスを伝えることが重要です。
『intention』は、具体的な行動の背後にある意図を指すことが多い単語です。したがって、言葉そのものに『intention』がある、と表現するのは不自然です。この文脈では、言葉の背後にある『malice(悪意)』の有無が問題になっているため、『His remarks were not made with malice』とするのが適切です。日本人は、『意図』という言葉を広義に捉えがちですが、英語では、行動や発言の背後にある動機をより具体的に表現することが求められます。また、この修正は、よりフォーマルで客観的な印象を与え、ビジネスや学術的な文脈にも適しています。
文化的背景
「Intention(意図)」は、単なる目的意識を超え、西洋文化においては個人の自由意志と責任、そして行動の道徳的根拠を強く象徴する言葉です。特に、倫理学や法哲学の分野で、行為の「意図」は善悪を判断する上で極めて重要な要素と見なされます。中世の騎士道物語から現代の法廷ドラマまで、「意図」は常に物語の核心に存在し、登場人物の運命を左右する鍵となります。
中世ヨーロッパにおいては、「意図」は神の意志と人間の自由意志の間の葛藤として描かれることが多くありました。騎士は、聖杯探求のような高潔な意図を持って旅に出る一方で、個人的な欲望や野心との間で苦悩します。この葛藤は、個人の行動が神の目にどのように映るのか、そしてその意図が最終的な審判にどう影響するのかという、当時の人々の深い関心を反映しています。ダンテの『神曲』においても、地獄、煉獄、天国それぞれの階層は、生前の人々の意図によって決定されます。善意で行われた行為が、結果として悪を生むこともあるという複雑さも、物語の中で繰り返し語られます。
近代に入ると、「意図」は個人の権利と自由を擁護する概念として重要性を増します。啓蒙思想の影響を受け、人々は自らの意図に基づいて行動する権利を主張し、それが社会契約の基礎となりました。しかし、同時に、意図は他者への影響を考慮しなければならないという責任も伴います。例えば、ジョン・スチュアート・ミルの功利主義では、行為の意図だけでなく、その結果が最大多数の幸福に貢献するかどうかが重要視されます。このように、「意図」は個人の自由と社会的責任のバランスを測る上で、常に議論の的となってきました。
現代社会においては、「意図」は法的な責任を問う上で不可欠な要素です。犯罪行為における「故意」の有無は、量刑を大きく左右します。また、契約法においても、当事者の意図は契約の解釈において重要な役割を果たします。しかし、「意図」を客観的に証明することは難しく、しばしば法廷で激しい議論が交わされます。さらに、現代の心理学や神経科学の研究は、人間の意図がどのように形成されるのか、そしてそれが意識的な決定なのか、それとも無意識的なプロセスなのかという問いを投げかけています。このように、「意図」は、倫理、法律、科学といった多様な分野において、未だに探求され続けている複雑な概念なのです。
試験傾向
準1級、1級で語彙問題や長文読解で出題される可能性あり。特にライティングの自由英作文で「intention」に関連する表現(例:intend to do)が使えると高評価につながる。リスニングでは、会話の中で意図を尋ねる場面で使われることも。
Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)で登場する可能性がある。ビジネスシーンでの意図や計画に関する文脈で使われることが多い。類似語(goal, purpose, objective)との使い分けが問われることがある。
リーディングセクションで、アカデミックな文章における筆者の意図や研究の目的を説明する際に登場しやすい。ライティングの独立問題では、自分の意見を述べる際に「intention」を用いて論理展開を深めることができる。
難関大学の長文読解問題で出題されることがある。文脈から意味を推測する問題や、同意語・反意語を選ぶ問題で問われる可能性がある。intend to doの形でも頻出。