excuse
この単語には名詞と動詞で発音が異なる場合がありますが、ここでは動詞の発音について解説します。まず、最初の 'ex-' は、弱母音の /ɪ/ で始まります。日本語の『イ』よりも口を少しリラックスさせ、軽く発音するのがコツです。次に強勢は 'scuse' に置かれ、/ˈskjuːz/と発音します。'sc' は無声音の /s/ と /k/ が組み合わさった音で、日本語の『スク』に近いですが、よりクリアに発音しましょう。最後の 'use' は /juːz/ と発音し、長母音であることに注意してください。全体として、各音を区切らずにスムーズに繋げることを意識すると、より自然な発音になります。
許す
相手の過ちや失礼を大目に見る、または責任を問わないこと。フォーマルな場面や、ある程度の権限を持つ人が使うことが多い。
He was late for our meeting, but I decided to excuse him because he rarely is.
彼は会議に遅れてきましたが、めったに遅れない人なので、今回は許すことにしました。
※ この例文は、誰かの小さな過ちや不注意を咎めずに「許す」という、excuseの最も中心的な使い方を示しています。友人が遅刻してきたけれど、普段の行いを考えて「まあ、いいか」と許してあげる、そんな心の動きが伝わるシーンです。「彼を許す」という決断が明確に描かれています。
May I be excused from the table for a moment?
少しの間、席を外してもよろしいでしょうか?
※ この表現は、食事中や会議中など、フォーマルな場で一時的に席を離れたい時に、丁寧な許可を求める典型的なフレーズです。「私が許される」という受動態(be excused)の形で使われ、「失礼してもよろしいですか?」というニュアンスになります。誰かに許可を求める際の自然な場面を想像できますね。
Please excuse her rudeness; she's been very tired lately.
彼女の無礼を許してください。最近とても疲れているんです。
※ ここでは、誰かの行動(rudeness = 無礼)に対して、その背景にある事情(tired = 疲れている)を説明し、「どうか悪く思わないで、大目に見てほしい」と相手に理解と許しを求める場面を描いています。相手の状況を考慮して「咎めずに許す」という、より深い配慮を伴う使い方です。日常で誰かの不機嫌な態度に遭遇した際に、このように説明することがあります。
言い訳
自分の行動や失敗を正当化するための理由や説明。しばしば、責任逃れやごまかしのニュアンスを含む。
He gave a weak excuse for being late to class again.
彼はまた授業に遅れたことについて、説得力のない言い訳をした。
※ この例文は、誰かが約束や義務を果たせず、その理由を説明しようと焦っている場面を描写しています。先生や上司、あるいは友人が、彼の「weak excuse(説得力のない言い訳)」を聞いている様子が目に浮かびます。「give an excuse」は「言い訳をする」という、名詞の「excuse」を使った非常に自然な言い方です。
There was no excuse for his rude behavior at the party.
パーティーでの彼の無礼な振る舞いには、何の言い訳もできなかった。
※ この文は、誰かの行動が明らかに間違っていて、どんな理由をつけても許されない、という強い非難の気持ちを表しています。パーティーという公の場で、周囲の人がその人の無礼な行動に憤慨している情景が想像できます。「There is no excuse for...」は「〜については言い訳の余地がない」という、責任を厳しく追及する際によく使われる定番のフレーズです。
She used her headache as an excuse to leave the noisy party early.
彼女は頭痛を口実にして、騒がしいパーティーを早めに退席した。
※ この例文は、誰かが何かをしたくない、あるいは何かを避けたいときに、もっともらしい理由を「言い訳」として使う場面を描いています。本当に頭痛だったのか、それともただ帰りたかっただけなのか、少しずる賢い気持ちも感じられるかもしれません。「use A as an excuse」は「Aを言い訳として使う」という意味で、名詞の「excuse」の典型的な使い方の一つです。
免除する
義務や責任を特別に免れさせること。規則や手続きから例外的に外す場合に使う。
The teacher excused me from the homework because I was sick.
先生は私が病気だったので、宿題を免除してくれました。
※ 熱を出して学校を休んだ時、先生が「宿題はやらなくていいよ」と言ってくれた場面を想像してみてください。この文は、病気で大変な時に、宿題という義務から解放されてホッと安心する気持ちを表しています。'excuse A from B' は「AをBから免除する」という、この単語の非常に典型的な使い方です。
The judge excused him from the fine due to his honesty.
裁判官は彼の正直さゆえに、罰金を免除しました。
※ 何か間違いを犯してしまったけれど、正直に全てを話したことで、通常なら支払うべき罰金(fine)を裁判官が免じてくれた状況です。この例文は、正直な行動が評価され、責任から解放される安堵感を示しています。ここでも 'excuse A from B' の形で、「人(A)を罰金(B)から免除する」という核心的な意味が伝わります。
My boss excused me from the meeting because I had an urgent family matter.
緊急の家族の用事があったので、上司は私を会議から免除してくれました。
※ 急な家族の事情ができて、どうしても会議に出られなくなった時、上司があなたの状況を理解し、「会議は出なくていいよ」と言ってくれた場面です。これは、義務的な参加から特別に解放される状況を表します。'excuse A from B' の形で、会議(B)という義務からあなた(A)が免除される様子がよくわかります。日常生活でもよくある状況ですね。
コロケーション
言い訳をする、弁解する
※ 「excuse」は名詞として「言い訳」の意味を持ち、「offer」は「提供する」という意味なので、文字通り「言い訳を提供する」となります。フォーマルな場面で、自分の行動や失敗について理由を述べる際に使われます。単に「make an excuse」と言うよりも、丁寧な印象を与えます。例えば、ビジネスシーンで遅刻の理由を説明する際などに適しています。
薄っぺらな言い訳、信憑性の低い言い訳
※ 「flimsy」は「薄い」「もろい」という意味で、それが「excuse」にかかることで、言い訳の弱さや不誠実さを強調します。相手が容易に見破れるような、苦し紛れの言い訳を指すことが多いです。口語でよく使われ、相手の言い訳を軽蔑するニュアンスが含まれます。例えば、「He gave me a flimsy excuse about missing the deadline.(彼は締め切りに間に合わなかったことについて、薄っぺらな言い訳をした)」のように使います。
弁解の余地なく、言い訳なしに
※ 「without」は「~なしに」という意味なので、「excuseなしに」となります。これは、過ちや失敗を犯した人が、いかなる弁明もできない状況を表します。しばしば、非難や責任追及の文脈で用いられ、その行為が正当化できないことを強調します。例えば、「His behavior was without excuse.(彼の行動は弁解の余地がなかった)」のように使われます。道徳的な非難や法的責任を問う場面でよく見られます。
(人に)失礼をわびる、お許しを請う
※ これは古い言い回しで、フォーマルな状況や、相手に迷惑をかけた際に丁寧な謝罪の気持ちを示す際に使われます。「beg」は「懇願する」という意味で、相手に許しを請うニュアンスが含まれています。現代英語ではやや古風な響きがありますが、演劇や文学作品などで目にすることがあります。例えば、混雑した場所で人にぶつかってしまった際に、「I beg your excuse.」と言うことがあります。
~を口実にして、~にかこつけて
※ これは何かをするための理由や動機を隠して、別の理由を提示する際に使われます。「excuse」はここでは「口実」の意味を持ち、「on the excuse of」で「~という口実で」となります。例えば、「He went to the party on the excuse of visiting his friend.(彼は友人を訪ねるという口実でパーティーに行った)」のように使われます。真の目的を隠したい場合に用いられることが多いです。
言い訳を見つける、理由を探す
※ これは、何かを避けるため、または自分の行動を正当化するために、理由や言い訳を意図的に探す行為を指します。「find」は「見つける」という意味なので、文字通り「言い訳を見つける」となります。例えば、「He always finds an excuse not to help with the housework.(彼はいつも家事を手伝わない言い訳を見つける)」のように使われます。責任を逃れようとするニュアンスが含まれることが多いです。
ひどい言い訳、質の悪い言い訳
※ 「poor」は「貧しい」「質の悪い」という意味で、それが「excuse」にかかることで、言い訳の説得力のなさや不十分さを強調します。相手を納得させることができない、または全く受け入れられないような言い訳を指します。口語でよく使われ、相手の言い訳を批判するニュアンスが含まれます。例えば、「That's a poor excuse for being late!(遅刻の言い訳としてはひどすぎる!)」のように使います。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで、自分の意見や研究結果を控えめに表現する際に使われます。例:先行研究との違いを説明する際に、「先行研究では考慮されていない点を考慮することで、〜という結果が得られました。(Excuse the difference, we considered the factor which was not mentioned in previous studies, and obtained the result of ~)」のように使われます。また、議論の余地がある点について言及する際にも用いられます。
ビジネスシーンでは、主に会議やメールで、相手に迷惑をかけたことを謝罪する際に使われます。例:会議に遅刻した場合、「遅れて申し訳ありません(Excuse me for being late.)」と言います。また、相手の発言を遮る際に、「失礼ですが(Excuse me, but...)」と前置きすることで、相手に配慮を示すことができます。フォーマルな場面では、より丁寧な表現が好まれますが、同僚間などでは比較的カジュアルに使われます。
日常会話では、人にぶつかってしまった時や、咳払いをする時などに「すみません(Excuse me)」と使います。また、レストランなどで店員を呼ぶ際にも使われます。相手の注意を引いたり、謝罪したりする場面で頻繁に使われる、非常に汎用性の高い表現です。道を尋ねる際にも、「すみません、〜はどこですか?(Excuse me, where is ~?)」のように使われます。
関連語
類義語
『許す』という意味で、軽い謝罪や失礼を詫びる際に使われる。フォーマルな場面や、相手への敬意を示す際に適している。動詞としても名詞としても使用可能。 【ニュアンスの違い】『excuse』よりも丁寧で、相手に許しを請うニュアンスが強い。特に、会話を遮る際や、聞き返す際に用いられることが多い。 【混同しやすい点】日常会話では『excuse me』の方が一般的だが、目上の人やフォーマルな状況では『pardon me』を使う方が適切。ただし、イギリス英語では『pardon』がより一般的な場合もある。
『許す』という意味で、より深刻な過ちや罪を許す際に使われる。感情的な重みがあり、相手に対する深い思いやりや理解を示す。 【ニュアンスの違い】『excuse』よりも強い許しの感情を表し、個人的な関係において使われることが多い。ビジネスシーンではあまり使われない。 【混同しやすい点】『forgive』は、過去の過ちに対する許しを意味するのに対し、『excuse』は、軽い失礼や迷惑に対する許しを意味する。したがって、謝罪の重さに応じて使い分ける必要がある。
『正当化する』という意味で、自分の行動や意見が正しい理由を説明する際に使われる。論理的な根拠や証拠を示すことが重要となる。ビジネス、学術、法律など幅広い分野で使用。 【ニュアンスの違い】『excuse』が過ちを認めるニュアンスを含むのに対し、『justify』は過ちを認めず、自分の行動の正当性を主張する。自己弁護の意味合いが強い。 【混同しやすい点】『excuse』が通常、謝罪や弁解を伴うのに対し、『justify』は謝罪を伴わない。むしろ、自分の行動が非難されるべきではないと主張する点が大きく異なる。
『免除する』『赦免する』という意味で、責任や義務から解放する際に使われる。法律、宗教、道徳的な文脈で用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】『excuse』よりも形式的で、より重い責任や罪からの解放を意味する。法的な責任や道徳的な罪を免れる場合に用いられる。 【混同しやすい点】『absolve』は、しばしば法的な手続きや宗教的な儀式を伴う。一方、『excuse』は、より日常的な状況で、個人的な関係において用いられることが多い。
『大目に見る』『容認する』という意味で、本来は非難されるべき行為を黙認したり、許したりする際に使われる。道徳的な判断が伴うことが多い。 【ニュアンスの違い】『excuse』が過ちを軽く扱うニュアンスを含むのに対し、『condone』は、本来許されるべきではない行為を、状況に応じて許容するという意味合いが強い。暗黙の了解や、見て見ぬふりをするニュアンスを含む。 【混同しやすい点】『condone』は、しばしば否定的な意味合いで使用される。つまり、本来許されるべきではない行為を許容することに対する批判的な視点が含まれる場合がある。一方、『excuse』は、より中立的な意味合いで使用される。
『緩和する』という意味で、罪や過ち、苦痛などを軽減する際に使われる。状況を改善したり、影響を和らげたりする意図が含まれる。ビジネス、法律、医療など幅広い分野で使用。 【ニュアンスの違い】『excuse』が責任を回避しようとするニュアンスを含むのに対し、『mitigate』は、責任を認めつつも、その影響を最小限に抑えようとする。問題解決に向けた積極的な姿勢を示す。 【混同しやすい点】『mitigate』は、過ちそのものを否定するのではなく、その結果や影響を軽減することに焦点を当てる。一方、『excuse』は、過ちの原因や理由を説明し、責任を回避しようとする。
派生語
- excusable
『許容できる』という意味の形容詞。『excuse』に『〜できる』という意味の接尾辞『-able』が付加。過失や軽微な違反など、完全に非難できない状況を表す際に用いられる。日常会話やビジネスシーンで、責任の所在を曖昧にするニュアンスで使われることも。
- excusing
動名詞または現在分詞。『言い訳をすること』または『〜を許すこと』という行為を表す。動名詞としては、正当化や弁解といった抽象的な概念を指し、学術論文や法律文書でも見られる。現在分詞としては、特定の状況における許容行為を指す。
- excusatory
『弁解的な』という意味の形容詞。ややフォーマルな場面で、弁解や釈明の意図を持つ言動を指す。法律用語としても用いられ、罪状を軽くするような状況を説明する際に使われる。日常会話よりも、報道や法廷などの文脈で現れることが多い。
反意語
『告発』や『非難』を意味する名詞。『excuse』が責任を免れるための弁明であるのに対し、『accusation』は責任を追及する行為を指す。日常会話における口頭での非難から、法的な告発まで、幅広い文脈で使用される。両者は対立する立場を表すため、議論や紛争の場面で頻繁に登場する。
『非難』や『有罪判決』を意味する名詞。『excuse』が過失を認めつつも情状酌量を求めるのに対し、『condemnation』は道義的または法的な責任を厳しく追及する。社会的な不正行為や犯罪行為に対して用いられることが多く、報道や政治的な声明などでよく見られる。より強い非難の意を含む。
- indictment
『起訴』を意味する名詞。『excuse』が責任を回避しようとするのに対し、『indictment』は法的手続きによる責任追及の開始を意味する。法廷用語であり、日常会話ではあまり用いられない。しかし、政治的な不正や企業の不祥事など、重大な犯罪行為に関連して報道されることが多い。
語源
"Excuse"は、ラテン語の"excusare"(弁解する、言い訳をする)に由来します。これは、"ex-"(外へ、〜から)と"causa"(原因、理由)という二つの要素から構成されています。つまり、文字通りには「原因から外す」という意味合いです。この語源から、「言い訳をする」という行為は、問題や非難の原因から自分自身を遠ざけようとすることを意味していると理解できます。たとえば、日本語で「責任を逃れる」という表現がありますが、これと近いニュアンスです。時間の経過とともに、"excuse"は「許す」という意味も持つようになりました。これは、相手の言い訳を受け入れることで、その原因から解放するという解釈ができます。現代英語では、名詞として「言い訳」、動詞として「許す」または「免除する」という意味で広く使われています。
暗記法
「excuse」は単なる謝罪にあらず。中世宮廷では、権力者への弁明として、相手の尊厳を傷つけずに自己弁護する洗練された言葉として発展。シェイクスピア劇では策略の道具にも。現代では、礼儀と信頼のバランスが重要。スラングでは反論や不快感を示すことも。歴史、文学、社会慣習が織りなす、西洋文化の機微を映す言葉、それが「excuse」。言葉の奥深さを知れば、英会話はもっと豊かに。
混同しやすい単語
『excuse』と『exercise』は、どちらもエクサ-という音が共通しており、特に語頭の発音が曖昧になりやすい日本人学習者にとっては混同しやすいです。『exercise』は『運動』や『練習』という意味の名詞、または『運動する』『練習する』という意味の動詞です。スペルも似ていますが、意味が全く異なるため注意が必要です。'exercise' の語源はラテン語の 'exercere'(活発に動かす)に由来し、'excuse' の語源はラテン語の 'excusare'(弁解する)に由来します。
『excuse』の形容詞形である『excusable』は、『許容できる』という意味です。スペルも非常に似ており、意味も関連があるため、品詞を間違えやすいです。例えば、『許されるべき言い訳』を表現しようとする際に、名詞の『excuse』を使ってしまうなどの誤りが考えられます。形容詞か名詞かを意識して使い分ける必要があります。
『accuse』は『非難する』『告発する』という意味の動詞で、『excuse』と語頭の音が似ています。どちらも他動詞として使われますが、意味は正反対です。スペルも似ているため、文脈から意味を判断する必要があります。語源的には、'accuse' はラテン語の 'accusare'(訴える)に由来し、'excuse' とは全く異なるルーツを持ちます。
『excess』は『過剰』『超過』という意味の名詞で、『excuse』と語頭の音が似ています。スペルも似ていますが、意味は全く異なります。『excess』は通常、好ましくない過多の状態を指します。発音記号を意識して、/ɪkˈskjuːz/ と /ɪkˈses/ の違いを明確にすることが重要です。
『execute』は『実行する』という意味の動詞で、『excuse』と発音が部分的(エク)に似ています。特に、早口で発音されると混同しやすい可能性があります。スペルも一部共通しており、意味も全く異なるため、文脈から判断する必要があります。'execute' はラテン語の 'exsequi'(最後までやり遂げる)に由来します。
『exhaust』は『疲れ果てさせる』という意味の動詞、または『排気ガス』という意味の名詞で、『excuse』と語頭の音が似ています。スペルも一部共通しており、特に 'ex' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすいです。'exhaust' の語源はラテン語の 'exhaurire'(汲み尽くす)に由来します。
誤用例
日本語の『すみません』という言葉には謝罪、軽い依頼、意見の相違を和らげるクッションなど、非常に多くの意味が含まれます。そのため、つい『excuse me』を多用してしまいがちです。しかし、直接的な批判の前に『excuse me』を置くと、相手に非常に失礼な印象を与えます。英語では、より間接的な表現(I must say, wasn't quite as...)や、ポジティブな要素に焦点を当てる(I appreciated the research you did, but perhaps the delivery could be improved.)といった言い方を心がけましょう。ストレートな表現を避ける日本的な奥ゆかしさを英語で表現するには、直接的な単語を避ける、婉曲的な言い回しを使うなどの工夫が必要です。
『excuse』は他動詞として使う場合、『(人の行為)を大目に見る』という意味合いが強く、自分の非を認めて謝罪するニュアンスは含まれません。自分の欠席を謝罪する場合には、『apologize』を用いるのが適切です。日本人が『excuse』を謝罪の意味で誤用しやすいのは、日本語の『言い訳』という言葉が、自己弁護と謝罪の両方の意味合いを含むためです。英語では、自己弁護と謝罪は明確に区別されることを意識しましょう。また、『excuse』を名詞として使う場合(e.g., 'I have a good excuse.')は、『もっともな理由』という意味合いになります。
この誤用は、前の例と同様に、日本語の『言い訳』という言葉が持つ多義性に起因します。ここでは、単にトイレに行きたいという状況を伝えるために『excuse』を使うのは不自然です。『excuse』は、何かを中断したり、失礼を詫びたりする際に使う言葉であり、生理現象を説明する文脈にはそぐいません。より自然な表現は、『I need to use it.』や『I need to go.』などです。英語では、状況に応じて適切な表現を選ぶことが重要であり、日本語の直訳に頼ると、かえって不自然な印象を与えてしまうことがあります。特に、体調や生理現象に関する表現は、文化的な背景が大きく影響するため、注意が必要です。
文化的背景
「Excuse」は、単なる謝罪の言葉ではなく、相手との関係性を円滑に保つための社会的な潤滑油としての役割を強く帯びています。自己の行動を正当化し、相手の気分を害さないように配慮する、西洋社会における礼儀作法と密接に結びついた言葉です。
「Excuse」の文化的背景を理解するには、中世ヨーロッパの宮廷文化に遡るのが有効でしょう。絶対的な権力を持つ支配者に対し、臣下が自らの行動を弁明する際に、直接的な批判や反論を避け、遠回しに自己の立場を説明する必要がありました。この過程で、「excuse」は、相手の尊厳を傷つけずに自己弁護するための洗練された言葉として発展しました。例えば、シェイクスピアの戯曲には、「excuse」が策略や欺瞞の道具として使われる場面が数多く見られます。登場人物たちは、自らの野心を隠蔽し、陰謀を成功させるために、「excuse」を巧みに操るのです。このように、「excuse」は、表面的な礼儀正しさの裏に隠された権力闘争や人間関係の複雑さを象徴する言葉としても機能してきました。
現代社会においても、「excuse」は単なる謝罪以上の意味を持ちます。ビジネスシーンでは、遅刻やミスを詫びる際に、「excuse」を用いることで、相手への敬意を示し、関係の悪化を防ぐことができます。しかし、過剰な「excuse」は、言い訳がましい印象を与え、信頼を損なう可能性もあります。そのため、状況に応じて適切な言葉を選ぶことが重要です。また、スラングとして「excuse me?」という形で、相手の発言に対する強い反論や不快感を示す場合もあります。この表現は、相手の言葉を受け入れられないという感情を、直接的な言葉を避けて伝えるための婉曲的な表現です。
このように、「excuse」は、歴史的な背景、文学作品における登場例、そして現代社会における多様な用法を通じて、西洋文化における礼儀作法、権力構造、そして人間関係の複雑さを反映する言葉として捉えることができます。学習者は、「excuse」という言葉の背後にあるこれらの文化的背景を理解することで、より深く、そして多角的に英語を理解し、効果的にコミュニケーションを行うことができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、リスニング(会話)。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。2級でも稀に出題。
- 文脈・例題の特徴: フォーマルな場面から日常会話まで幅広く登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(言い訳、弁解)と動詞(許す、容赦する)の区別が重要。類義語(apology, reason)との使い分けも意識。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(読解問題)。
- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 5/6で語彙知識が問われる。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(会議、メール、報告書など)での使用が中心。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「excuse A for B」(BのことでAを許す)のような構文を覚える。動詞の自動詞・他動詞の用法に注意。
- 出題形式: リーディング、リスニング。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。特に歴史、社会科学系の文章。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文脈で、意見や行動の正当性を示す際に使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な意味合いで使われることが多い。文脈から正確な意味を把握することが重要。発音(/ɪkˈskjuːz/)も確認。
- 出題形式: 長文読解、和訳問題、英作文。
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 多義語であるため、文脈に応じた適切な意味を選ぶ必要がある。「excuse oneself」(退席する)のようなイディオムも覚えておくと有利。