absolve
最初の 'a' は曖昧母音 /ə/ で、口を軽く開けて弱く発音します。「ア」と「ウ」の中間のような音です。アクセントは2音節目の 'zɑːlv' にあります。'l' は舌先を上の歯の裏につけて発音しますが、直後の 'v' の音にスムーズに移行できるよう、軽く触れる程度でOK。最後の 'v' は上前歯を下唇に軽く当てて、息を摩擦させて出す有声音です。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
免除する
責任や義務、罪などを公式に、あるいは道義的に取り除くこと。法的な文脈や、責任を問わないことを表す場合に使う。
After he sincerely apologized, his boss decided to absolve him of the blame for the mistake.
彼が心から謝罪した後、上司は彼をそのミスの責任から免除することにしました。
※ この例文では、誰かが間違いを犯したけれど、謝罪によってその責任(blame)を問われなくなる状況を描いています。「absolve A of B」の形で、「AをBから免除する」という意味合いでよく使われます。ビジネスシーンや、個人的な過ちを許す場面で使われます。
Because her leg hurt, the family decided to absolve Grandma from washing the dishes.
おばあちゃんが足を痛めていたので、家族は彼女を食器洗いから免除することにしました。
※ ここでは、身体的な理由から特定の義務(この場合は食器洗い)を免除される場面を表しています。「absolve A from B」の形で、「AをB(義務や役割)から解放する」という意味で使われます。家族の優しさや思いやりが伝わる、身近な情景です。
The new evidence helped to absolve him of all suspicion.
新しい証拠が、彼を全ての疑いから免除するのに役立ちました。
※ この例文は、誰かが何かを疑われていたけれど、新しい情報や証拠によってその疑い(suspicion)が晴れる状況を示しています。「absolve A of B」の形で、特に法的な文脈や、誰かの潔白が証明されるようなニュースなどで使われることが多い表現です。少しフォーマルな響きがあります。
解放する
束縛や義務から自由にする意味合い。精神的な苦しみや罪悪感から解放される状況にも使える。
After hearing his sincere apology, I decided to absolve him of his mistake.
彼の心からの謝罪を聞いて、私は彼の過ちを許すことに決めました。
※ この例文は、個人的な関係において、誰かの過ちや罪悪感を「許し、解放する」場面を描いています。相手が心から謝罪し、それを受け入れることで、相手がその過ちの責任や罪悪感から解放される、という気持ちが伝わります。'absolve A of B' は「AをBから解放する、免除する」という典型的な使い方です。
The manager decided to absolve his team of all responsibility for the project's failure.
部長は、プロジェクトの失敗に関するすべての責任から彼のチームを解放することに決めました。
※ この例文は、ビジネスの場面で、上司が部下たちを特定の責任から「解放する、免除する」様子を描いています。プロジェクトが失敗したにもかかわらず、チームがその責任を問われないことで、彼らは精神的な重荷から解放され、安堵するでしょう。公式な立場から責任を免除する、という文脈でよく使われます。
New evidence helped to absolve the suspect of all charges.
新しい証拠が、その容疑者をすべての容疑から解放するのに役立ちました。
※ この例文は、法的な文脈で、誰かが疑いや非難、あるいは容疑から「解放される」場面を示しています。新しい証拠が見つかったことで、容疑者の無実が証明され、彼が抱えていた重い容疑や世間の目からのプレッシャーが晴れる様子が伝わります。特に「罪や容疑を晴らす」という状況で非常に自然な表現です。
無罪とする
法廷で罪を宣告しないこと。疑わしい状況や告発された内容に対して、潔白を証明する場合に用いる。
The judge decided to absolve the man of all charges after reviewing the evidence.
裁判官は証拠を検討した後、その男性の全ての容疑を無罪にすると決定しました。
※ この例文は、法廷で裁判官が被告人を「無罪にする」という、`absolve`が最もよく使われる典型的な場面を描いています。証拠に基づいて判断が下される様子が伝わります。`absolve A of B`で「AをBから解放する/無罪にする」という形をよく取ります。
Her boss chose to absolve her of the mistake, understanding it was a first-time error.
彼女の上司は、それが初めてのミスだと理解し、彼女をその過ちから解放することを選びました。
※ ここでは、誰かが犯した「過ちや責任」を「許す、免除する」という、より日常的で人間関係の中での`absolve`の使い方を示しています。初めてのミスだから許された、という情景が目に浮かびますね。法的な罪だけでなく、道徳的な責任や過失にも使われます。
The priest would absolve the repentant sinner during confession.
司祭は告解の際に、悔い改めた罪人を赦すでしょう。
※ この例文は、`absolve`が宗教的な文脈、特にキリスト教の「告解(confession)」において「罪を赦す」という意味で使われる典型的な例です。神の代理として司祭が罪を赦す場面が想像できます。`repentant sinner`は「悔い改めた罪人」という意味で、この文脈でよく用いられます。
コロケーション
~の罪[責任]を免じる、~を無罪とする
※ この構文は「absolve」の最も基本的な使い方の一つです。法律や道徳的な文脈で、誰かが非難や責任から解放されることを意味します。ポイントは前置詞で、of/from のどちらも使えますが、of の方がややフォーマルな印象を与えます。例えば、裁判で無罪判決が出た場合や、調査の結果、潔白が証明された場合などに用いられます。ビジネスシーンでは、プロジェクトの失敗に対して、特定の担当者の責任を問わない決定を下す際に使われることがあります。
責任を放棄する、責任を逃れる
※ この表現は、誰かが自らの責任を認めず、逃れようとする状況を表します。しばしば、倫理的に問題のある行動や、批判的なニュアンスを伴います。例えば、企業のトップが不祥事の責任を部下に押し付けようとする場合などに使われます。reflexive pronoun(oneself)を使うことで、「自分自身」が責任から解放される行為を強調します。
罪の意識から解放される
※ この受動態の表現は、罪悪感や良心の呵責から解放される心理的な状態を表します。宗教的な文脈で使われることもあります(例えば、告解によって罪が赦されるなど)。文学作品では、登場人物が過去の過ちから解放され、精神的な癒しを得る様子を描写する際に用いられます。罪を犯した当人が、何らかの出来事や他者の行為を通じて、罪悪感から解放されるニュアンスがあります。
借金を帳消しにする、債務を免除する
※ この表現は、経済的な文脈で使われ、借金や債務を免除することを意味します。政府が貧困層の借金を免除する政策や、慈善団体が発展途上国の債務を肩代わりする活動などが例として挙げられます。ビジネスシーンでは、取引先との関係を考慮して、未払いの債務を帳消しにする判断を下す際に用いられることがあります。ただし、安易な債務免除はモラルハザードを引き起こす可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
誓約によって免除する、宣誓によって無罪とする
※ この表現は、法的、宗教的な文脈で使用され、宣誓や誓約によって罪や義務から解放されることを意味します。歴史的な背景を持つ言葉で、現代ではあまり一般的ではありませんが、法廷での証言や、宗教的な儀式などで用いられることがあります。例えば、証人が真実を誓うことで、過去の罪を告白し、赦しを得るような状況が考えられます。
義務から解放する、義務を免除する
※ この表現は、誰かを特定の義務や責任から解放することを意味します。契約上の義務や、社会的な義務など、様々な種類の義務が対象となります。例えば、病気や怪我で働けなくなった従業員を、会社が就業義務から免除するような場合に使われます。また、ボランティア活動などにおいて、参加者の都合に合わせて、参加義務を免除することも該当します。
使用シーン
学術論文や法学の講義などで、「免責する」「無罪とする」の意味で使われます。例えば、歴史学の研究で「過去の政府の政策を歴史的背景から見て、その責任を一部 absolve することができる」といった文脈で用いられます。また、哲学の論文で、「ある行為の道徳的責任を absolve する要因について考察する」といった使われ方も考えられます。
ビジネスシーンでは、契約書や法的文書で、「免責条項」を説明する際に使われることがあります。例えば、「本契約において、不可抗力による損害について、当社は一切の責任を absolve されるものとする」といった条項で使われます。日常的なビジネス会話ではほとんど使われませんが、法務関連の部署では比較的目にすることがあります。
日常会話で absolve を使うことは稀です。ニュース記事やドキュメンタリー番組で、裁判や政治的な文脈で「無罪とする」「責任を免れる」といった意味で使われるのを見聞きすることがあります。例えば、「裁判所は彼をすべての罪から absolve した」といった報道で使われます。一般的には、もっと平易な言葉(例えば、forgive, excuse)が使われることが多いです。
関連語
類義語
(主に法的な)嫌疑や非難から解放する。公式な調査や裁判の結果、潔白が証明される状況で使われることが多い。ビジネスや法律関連の文書でよく見られる。 【ニュアンスの違い】「absolve」よりも形式的で、より深刻な罪や非難に対する無罪を意味する。しばしば、証拠や調査に基づいて責任を免除するニュアンスを含む。 【混同しやすい点】「exonerate」は、しばしば受け身形で使われ、具体的な証拠によって潔白が証明されることを強調する。一方、「absolve」は、必ずしも証拠を必要とせず、より広い意味で責任を免除できる。
- acquit
(法廷で)無罪を宣告する。刑事裁判において、被告人が罪を犯していないと判断された場合に用いられる。 【ニュアンスの違い】「absolve」よりも法律用語としての色彩が強く、法的な手続きを経て正式に無罪となることを意味する。日常会話ではあまり使われない。 【混同しやすい点】「acquit」は必ず法廷での手続きを伴う。また、必ずしも責任を免除するわけではなく、単に罪を犯した証拠がないと判断される場合もある。一方、「absolve」は、法的な文脈以外でも使用可能。
(個人的な)過ちや罪を許す。感情的な要素が強く、人間関係における許しや寛容を表す。 【ニュアンスの違い】「absolve」が責任の免除に重点を置くのに対し、「forgive」は感情的な癒しや関係の修復を意味する。罪を犯した人を個人的に許すニュアンスが強い。 【混同しやすい点】「forgive」は、罪を犯した人を個人的に許す行為を指し、必ずしも法的責任を免除するわけではない。一方、「absolve」は、個人的な感情とは関係なく、責任を免除する可能性がある。
(権力者が)罪を赦免する。大統領や国王などの権力者が、罪を犯した人を法的に許す場合に用いられる。政治的な意味合いを含むことが多い。 【ニュアンスの違い】「absolve」よりも権威的な行為であり、罪を犯した人の法的地位を完全に回復させる効果がある。しばしば、恩赦や特赦といった形で実施される。 【混同しやすい点】「pardon」は、権力者による公式な行為であり、個人的な許しとは異なる。また、「pardon」は過去の罪を完全に消し去る効果があるが、「absolve」は必ずしもそうではない。
(不正な疑いなどから)潔白を証明する。非難や疑いが不当であったことを明らかにする場合に用いられる。名誉回復の意味合いが強い。 【ニュアンスの違い】「absolve」よりも積極的に潔白を証明するニュアンスがあり、不正な疑いを晴らすために努力する姿勢が含まれる。しばしば、時間や労力を費やして真実を明らかにする状況で使われる。 【混同しやすい点】「vindicate」は、単に責任を免除するだけでなく、名誉を回復することを目的とする。一方、「absolve」は、必ずしも名誉回復を伴わない。
解放する、自由にする。物理的な束縛から解放する意味合いが強いが、比喩的に義務や責任から解放するという意味でも使われる。 【ニュアンスの違い】「absolve」が責任や義務からの解放に特化しているのに対し、「release」はより広範な意味で使用される。物理的な解放、感情的な解放、法的な解放など、様々な状況で使用可能。 【混同しやすい点】「release」は、必ずしも罪や非難からの解放を意味しない。例えば、刑務所からの解放は「release」だが、「absolve」ではない。一方、「absolve」は、常に罪や非難に関連する。
派生語
- absolution
『赦免』『免罪』を意味する名詞。動詞『absolve』から派生し、抽象的な概念を表す名詞化接尾辞『-tion』が付加された。宗教的な文脈(罪の赦し)や法的な文脈(責任の免除)で用いられることが多い。日常会話よりは、ややフォーマルな場面や文章で使われる傾向がある。
『絶対的な』『完全な』を意味する形容詞。元々は『解き放たれた』状態から、『何ものにも制約されない』という意味合いに発展した。日常会話から学術論文まで幅広く用いられ、程度や権威を強調する際に頻繁に登場する。語源的なつながりから、『absolve』が特定の罪や責任から解放するのに対し、『absolute』はより広範な制限や条件からの解放を示す。
反意語
『告発する』『非難する』を意味する動詞。『absolve』が罪や責任から解放するのに対し、『accuse』は逆に罪や責任を問う行為を表す。法的な文脈や日常的な対立場面で対比的に用いられる。例えば、『彼は罪を犯したと告発されたが、最終的には無罪となった(He was accused of the crime, but was eventually absolved.)』のように使われる。
『非難する』『有罪判決を下す』を意味する動詞。『absolve』が赦しを与えるのに対し、『condemn』は罪を宣告し、処罰を科す意味合いを持つ。法廷や倫理的な議論において、両語は対照的な立場を示す。例えば、『世論は彼の行動を非難したが、裁判所は彼を無罪とした(Public opinion condemned his actions, but the court absolved him.)』のように用いられる。
語源
"absolve」は、ラテン語の「absolvere」に由来します。これは「~から解き放つ」という意味で、「ab-」(~から離れて)と「solvere」(緩める、解く)という二つの要素から構成されています。「solvere」は、例えば「solve(解決する)」や「solution(解決策)」といった単語にも見られるように、「結びつきを解く」という根源的な意味を持っています。つまり、「absolve」は文字通りには「何かから解き放つ」ことを意味し、そこから「罪や義務から解放する」「免除する」「無罪とする」といった意味へと発展しました。現代英語における「absolve」は、法的な文脈や宗教的な文脈で、責任や罪から解放されるニュアンスで用いられることが多いです。日本語で例えるなら、「放免(ほうめん)する」という言葉が近いかもしれません。
暗記法
「absolve」は、中世の教会で罪の赦しを意味した言葉。神の代理である司祭が人々の魂を清め、救済を与える希望の光でした。文学では、主人公が過去の罪から解放され、新たな人生を歩む転換点として描かれます。政治的には、恩赦として社会復帰を促す意味も持ちますが、権力による恣意的な免罪は批判の対象に。現代では、過去の束縛から解放され、未来を切り開く希望の光を象徴します。
混同しやすい単語
『absolve』と『absorb』は、どちらもラテン語起源で、接頭辞 'ab-' (離れて) が共通していますが、動詞としての意味が異なります。『absorb』は『吸収する』という意味で、物理的な吸収(スポンジが水を吸うなど)や、知識・情報などを吸収する際に使われます。発音も似ており、特にアクセントの位置(『absolve』は2音節目、『absorb』は1音節目)に注意が必要です。また、スペルも似ているため、文脈から意味を判断することが重要です。語源的には、『solve(解決する)』と『sorb(吸い込む)』という異なる語根を持つ点に注目すると区別しやすくなります。
『absolve』と『resolve』は、どちらも問題解決に関連する動詞ですが、意味合いが異なります。『resolve』は『解決する』、『決意する』という意味で、問題そのものを解決したり、何かを決心したりする際に使われます。一方、『absolve』は『免除する』という意味で、罪や責任から解放することを指します。発音も似ていますが、アクセントの位置と母音の発音がわずかに異なります。スペルも似ているため、意味の違いを意識して使い分ける必要があります。語源的には、『solve(解決する)』という共通の語根を持つため、関連性を意識すると覚えやすくなります。
『dissolve』は『溶かす』、『解消する』という意味で、『absolve』とは意味が大きく異なります。しかし、どちらも 'solve' という語根を持ち、接頭辞が 'ab-' (離れて) と 'dis-' (分離) であるため、スペルと音の響きが似ており混同しやすいです。『dissolve』は、物質が液体に溶ける様子や、組織・関係などが解消される状況を表します。発音も似ているため、文脈から意味を判断することが重要です。特に、法律や契約関連の文章では、『absolve』が頻繁に使われるため、注意が必要です。
『involve』は『巻き込む』、『関与させる』という意味で、『absolve』とは意味が大きく異なりますが、スペルの一部が共通しており、特に語尾の 'olve' の部分が視覚的に似ているため、混同しやすいです。発音も、音節数やアクセントの位置は異なりますが、母音の発音が一部共通しているため、聞き間違いやすいことがあります。文脈から意味を判断することが重要ですが、特に、否定的な意味合いの文章では、『involve』が使われる可能性が高いため、注意が必要です。
『evolve』は『進化する』、『発展する』という意味で、『absolve』とは意味が大きく異なります。しかし、どちらも 'olve' という綴りを含み、発音も似ているため、特に初学者にとっては混同しやすい単語です。『evolve』は、生物や社会などが時間とともに変化・発展する様子を表します。語源的には、『volve(巻く、回る)』という語根を持ち、『内側から外へ展開する』というイメージです。一方、『absolve』は、『罪や責任から解放する』という意味で、方向性が異なります。文脈から意味を判断することが重要です。
『acquit』は『無罪とする』という意味で、『absolve』と意味が近いものの、法的な文脈でより頻繁に使用されます。『absolve』は、罪や責任から広く解放することを指しますが、『acquit』は、法廷で無罪判決を下すことを意味します。発音とスペルは大きく異なりますが、意味が似ているため、誤って使用されることがあります。特に、法律関連の文章では、正確な用語を使うことが重要です。また、『acquit』は、過去形・過去分詞形が 'acquitted' となり、綴りが変化するため、注意が必要です。
誤用例
日本語の『免除』という言葉から、absolveを使うと『借金がチャラになってラッキー!』というニュアンスに捉えられがちですが、absolveは法的な責任を免除するだけで、道徳的な責任感や罪悪感まで消し去るわけではありません。英語圏では、法的な免除と個人の倫理観は区別されることが多く、特に金銭的な責任においては、absolveされても当人が良心の呵責を感じ続ける、という状況は十分にありえます。安易な『免除=解放』という連想は避けるべきです。
『absolve』は、宗教的な文脈や法的な文脈で使われることが多く、日常的な個人的な許しを表現するには、やや大げさで不自然です。日常的な場面では、シンプルに『forgive』を使うのが適切です。日本人が『免じる』という言葉を安易に使いがちなように、フォーマルな単語をカジュアルな場面で使うのは、英語ではしばしば不自然に聞こえます。語感のレジスターを意識しましょう。
『absolve』は『〜を(罪から)免じる』という動詞ですが、宗教的な文脈では『absolution(赦免)』という名詞を使う方が一般的です。特にキリスト教文化圏では、罪の赦しは神や教会からの『恩恵』として捉えられるため、名詞形を使うことで、そのニュアンスがより強調されます。日本語の『罪を免じる』という表現を直訳しようとすると、動詞の『absolve』を選んでしまいがちですが、英語の文化的背景を考慮すると、名詞形の『absolution』がより適切です。
文化的背景
「absolve(免罪する)」は、単に罪を許すだけでなく、道徳的な責任や義務からも解放するという、非常に強い意味合いを持つ言葉です。中世の宗教的儀式に深く根ざし、神の赦しという概念と結びついて、個人の魂を清める行為を象徴してきました。そのため、現代においても、単なる法的責任の免除を超えた、深い精神的な解放や救済を意味することがあります。
中世ヨーロッパにおいて、教会は人々の生活の中心であり、罪の意識は常に人々の心を重く圧し掛かっていました。absolveは、司祭が告解を聞き、神の代理として罪を赦すという儀式の中で用いられた重要な言葉でした。この赦しは、単に地上の刑罰を免れるだけでなく、死後の世界における救済をも意味していました。そのため、absolveされることは、人々にとって希望の光であり、精神的な安寧を得るための重要な手段でした。文学作品においても、absolveはしばしば、主人公が過去の罪から解放され、新たな人生を歩み始めるための転換点として描かれます。例えば、ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』において、ジャン・バルジャンは司教ミリエルに赦され、それまでの生き方を悔い改め、善行を積むことを決意します。この赦しこそが、彼の人生を大きく変える原動力となったのです。
また、absolveは、政治的な文脈においても用いられることがあります。例えば、国家元首が恩赦を与える際、囚人をabsolveするという表現が使われることがあります。この場合、単に刑を軽くするだけでなく、過去の罪を水に流し、社会復帰を促すというメッセージが込められています。しかし、absolveは、しばしば権力者による恣意的な行為として批判されることもあります。例えば、歴史的な汚職事件や不正行為に関与した人物が、政治的な力によってabsolveされた場合、社会的な正義が損なわれるという批判が起こります。このように、absolveは、権力と倫理、そして正義という複雑な問題を孕んだ言葉でもあるのです。
現代社会においては、absolveは、宗教的な意味合いだけでなく、より広い意味で用いられるようになっています。例えば、企業が過去の過ちを認め、社会的な責任を果たすことを宣言する際に、自らをabsolveするという表現が使われることがあります。また、個人が過去のトラウマや罪悪感から解放され、自己を受け入れることを意味することもあります。このように、absolveは、単に罪を許すだけでなく、過去の束縛から解放され、新たな未来を切り開くための希望の光を象徴する言葉として、現代社会においても重要な意味を持ち続けています。この言葉の持つ深い文化的背景を理解することで、私たちは、より豊かな語彙力と教養を身につけることができるでしょう。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題で出題される可能性があり、長文読解でも稀に見られます。主に動詞として使われ、「~を免除する」「~を赦免する」といった意味で用いられます。英作文で使うにはやや硬い表現なので、使用はリーディングに限定するのがおすすめです。類義語(exonerate, acquit)とのニュアンスの違いに注意。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で稀に出題される可能性があります。ビジネスの文脈で、責任や義務を免除するという意味で使われることが多いです。例えば、契約上の責任をabsolveするといったケースが考えられます。頻度は高くないものの、他の選択肢との意味の区別が難しい場合があります。
リーディングセクションで、アカデミックな内容の文章中に出題されることがあります。政治、法律、歴史などの分野で、責任や義務を免除するという意味で使われることが多いです。TOEFLでは同意語・類義語を選択する問題も出題されるため、exonerate, acquit, vindicate などの単語との違いを理解しておくことが重要です。ライティングで使用するにはやや硬い表現です。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測させる問題や、同意語を選ぶ問題として出題されることがあります。政治、社会、歴史などのテーマの文章で、責任や義務を免除するという意味で使われることが多いです。大学受験レベルとしてはやや高度な語彙なので、意味を正確に理解しておくことが重要です。