emotion
第一音節の /ɪ/ は、日本語の『イ』よりも口を少し開いて短く発音します。第二音節の強勢(強く発音する箇所)は 'モゥ' にあります。最後の '-tion' は、まとめて『シャン』と発音しますが、舌先を上の歯茎に近づけて摩擦音を出すイメージです。日本語の『ション』よりも息を強く出すとより自然になります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
感情
喜び、悲しみ、怒り、恐怖など、人が心の中で感じる様々な心の動き。理性や思考とは異なる、本能的で個人的な心の状態を指すことが多い。
Her eyes filled with emotion as she read the old letter.
古い手紙を読んでいると、彼女の目には感情があふれていました。
※ この例文は、人が感動したり悲しんだりして、思わず感情が外に現れてしまう典型的な場面を描写しています。特に「eyes filled with emotion」は、言葉にならないほど心が動かされた様子を鮮やかに伝えます。感情が目を通して伝わる、非常に自然な表現です。
The music was so powerful that it stirred deep emotion in everyone.
その音楽はとても力強く、みんなの心に深い感情を呼び起こしました。
※ コンサート会場で、素晴らしい音楽を聴いて心が震えるような情景が目に浮かびます。「stir emotion」は、何か(この場合は音楽)が人の心に感情を強く働きかける、という時によく使われる表現です。心が動かされる経験を伝えるのにぴったりです。
It's important to understand your own emotions and how they affect you.
自分の感情を理解し、それが自分にどう影響するかを知ることは大切です。
※ この例文は、日常生活で誰もが経験する「自己理解」の重要性を語っています。感情は私たちの日々の行動や考えに影響を与えるため、それを理解することはとても大切です。「understand emotions」は、自分の内面と向き合う際によく使われるフレーズです。複数形にすることで、喜び、悲しみ、怒りなど、様々な感情全体を指しています。
感動
強い感情が動かされた状態。映画や音楽、芸術作品などに触れたときに、心が揺さぶられ、深く感じ入るような体験を指す。
The beautiful music filled her with deep emotion.
その美しい音楽は彼女を深い感動で満たしました。
※ コンサートホールで、あるいは家で、美しい音楽に心から感動している女性の姿を想像してください。「fill someone with emotion」は、音楽や景色などが人の心を感情で満たす、つまり感動させるという、非常に自然で典型的な表現です。特に「deep emotion」とすることで、「深い感動」を伝えることができます。
When he saw his daughter win, his face showed pure emotion.
娘が勝利するのを見たとき、彼の顔には純粋な感動があふれていました。
※ スポーツの試合や発表会で、自分の娘が優勝したり、目標を達成したりする瞬間を目の当たりにした父親の情景です。喜び、誇り、安堵など、様々な感情が入り混じった感動が、言葉ではなく表情に強く表れている様子が伝わります。「show emotion」は「感情を表す」という意味で、言葉にならないほどの強い感動が顔や態度に表れる状況でよく使われます。「pure emotion」で、混じり気のない、飾らない感動を強調しています。
It was hard to control my emotion when I saw the amazing sunset.
素晴らしい夕日を見たとき、感動を抑えるのが大変でした。
※ 旅行先の海岸や山頂で、息をのむような美しい夕日を眺めている人を想像してください。その絶景に心が揺さぶられ、思わず涙が出そうになったり、声が出そうになったりするほど強い感動を覚えている情景です。「control emotion」は「感情を抑える」という意味で、感動が非常に強く、思わず涙が出たり声が出たりしそうな状況で使われます。感動が溢れ出すようなリアルな感覚を伝えます。「It was hard to do ~」は「~するのは大変だった」という日常でよく使う便利な表現です。
心を揺さぶる
強い感情を引き起こすこと。人の心を深く感動させたり、強い印象を与えたりする行為を指す。受動態で「感情を揺さぶられる」のように使われることも多い。
The beautiful melody of the song deeply emotioned her, bringing tears to her eyes.
その歌の美しいメロディーは彼女の心を深く揺さぶり、彼女の目に涙を誘いました。
※ この例文は、美しい音楽が人の心を強く動かし、涙がこぼれるほどの深い感動を与える情景を描いています。動詞の 'emotion' は、このように芸術作品などが人の心に強く働きかけ、感情を深く揺さぶる様子を表すときに使われます。この動詞は、少しフォーマルな響きがあり、特に深い感動や感情の動きを表すときに使われます。
The breathtaking view from the mountaintop always emotions me with its sheer beauty.
山頂からの息をのむような景色は、その純粋な美しさでいつも私の心を揺さぶります。
※ この例文は、壮大な自然の景色が、見る人の心を強く揺さぶり、深い感動を与える様子を表しています。自然の美しさや雄大さなど、圧倒されるようなものが感情を深く動かすときに 'emotion' を使うことができます。この動詞は、少しフォーマルな響きがあり、特に深い感動や感情の動きを表すときに使われます。
Her grandmother's old stories of courage often emotioned her, making her feel strong.
彼女のおばあさんの昔の勇気ある話は、しばしば彼女の心を揺さぶり、彼女を強く感じさせました。
※ この例文は、人の言葉や物語が、聞き手の感情に深く訴えかけ、内面を強く揺さぶる情景を描いています。過去の出来事や教訓的な話などが、聞く人の心に響き、何らかの感情や行動を促す場合にも 'emotion' が使われます。この動詞は、少しフォーマルな響きがあり、特に深い感動や感情の動きを表すときに使われます。
コロケーション
感情の波、感情の高まり
※ 「surge」は、津波のように押し寄せる波や、電気の急な流れを意味します。それが感情と結びつくことで、ある感情が突然、そして強く湧き上がってくる様子を表します。喜び、悲しみ、怒りなど、どんな感情にも使えますが、コントロールできないほど強い感情であることが多いです。口語でも書き言葉でも使われ、感情的なシーンをドラマチックに表現するのに適しています。類似表現に 'a wave of emotion' がありますが、'surge' の方が勢いが強いニュアンスです。
抑え込まれた感情、溜め込んだ感情
※ 「bottle up」は、文字通り瓶に詰め込むという意味で、感情を外に出さずに心の中に閉じ込めておくことを指します。長期間にわたって感情を我慢している状態を表し、しばしばストレスや精神的な負担の原因となります。例えば、悲しみや怒りを表現することを許されない環境で育った人が、'bottled-up emotions' を抱えていることがあります。カウンセリングやセラピーの文脈でよく使われる表現です。
むき出しの感情、生々しい感情
※ 「raw」は、生の、加工されていないという意味で、感情が抑制されずに直接的に表出されている状態を指します。悲しみ、怒り、喜びなど、どんな感情にも使えますが、特に強い感情が、理性や社会的な規範によって覆い隠されていない状態を表すことが多いです。例えば、スポーツの試合で勝利した直後の選手の喜びや、悲劇的なニュースを聞いた直後の人々の悲しみなどが 'raw emotion' と言えます。報道や文学作品でよく用いられます。
入り混じった感情、複雑な感情
※ 複数の感情が同時に存在し、互いに影響し合っている状態を表します。例えば、卒業式で感じる喜びと別れの悲しみ、新しい仕事への期待と不安などが 'a mixture of emotions' と言えます。状況の複雑さや感情の揺れ動きを表現するのに適しています。口語でも書き言葉でも使われ、感情の複雑さを強調したい場合に役立ちます。
感情を表に出す、感情を漏らす
※ 意図せずに感情が顔の表情や声の調子、身振り手振りなどに現れてしまうことを指します。普段は感情を隠している人が、ふとした瞬間に感情を露わにしてしまう状況でよく使われます。例えば、ポーカーフェイスを装っていた人が、不利な状況で 'betray emotion' してしまうことがあります。文学作品や映画などで、キャラクターの心理描写に用いられることが多い表現です。
感情に圧倒される、感情でいっぱいになる
※ 感情が非常に強く、理性的な判断や行動が難しくなる状態を表します。喜び、悲しみ、感動など、どんな感情にも使えますが、特に強い感情が、人を支配するほどである場合に用いられます。例えば、長年の夢が叶った瞬間に 'overcome with emotion' することがあります。フォーマルな場面や文学的な表現でよく使われます。
使用シーン
心理学、社会学、文学などの分野の研究論文や学術書で頻繁に使われます。例えば、「感情と認知の関連性について研究する」「登場人物の感情の変化を分析する」といった文脈で用いられます。講義やセミナーでも、感情に関する理論や研究を紹介する際に使用されます。
ビジネスシーンでは、特に人事、マーケティング、リーダーシップ関連の文脈で使われます。例えば、「顧客の感情に訴えかけるマーケティング戦略」「従業員の感情的知性を高める研修」「チームの感情的な結束力を高める」といった表現で用いられます。プレゼンテーションや報告書など、ややフォーマルな場面で登場します。
日常会話では、自分の感情や他人の感情について話す際に使われます。「今日の試合に感動した」「彼の言葉に感情を揺さぶられた」といった表現が可能です。また、ニュース記事や映画のレビューなど、感情的な出来事や作品について語る際にも用いられます。SNSなどでも感情を表す言葉として使われます。
関連語
類義語
感情、感覚。emotionよりも広い意味を持ち、身体的な感覚(触覚、味覚など)や直感的な印象も含む。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】emotionが比較的強い、一時的な感情を指すのに対し、feelingはより穏やかで持続的な感情や感覚を表す。感情の強さの度合いや持続期間に違いがある。 【混同しやすい点】emotionは具体的な感情の種類(喜び、悲しみ、怒りなど)を指すことが多いが、feelingは漠然とした感情や雰囲気も含むため、文脈によって使い分ける必要がある。例えば、「I have a bad feeling about this」は「emotion」では置き換えられない。
感情、心情、感傷。フォーマルな文脈や文学的な表現で用いられることが多い。個人的な意見や考えが感情と結びついたものを指す。 【ニュアンスの違い】emotionよりも知的、または道徳的な判断が加わった感情を表す。また、集団的な感情や共通の価値観を表す場合もある(例:national sentiment)。 【混同しやすい点】sentimentは「感傷」という意味合いも持つため、感情的に過剰な状態や、過去を美化するようなニュアンスを含むことがある。ビジネスシーンなどでは、感情的な偏りを避けたい場合にemotionを使う方が適切。
(動詞)影響を与える、(名詞)感情、情動。心理学や精神医学などの学術的な文脈で感情を表す場合に使われる。 【ニュアンスの違い】名詞として使われる場合、感情の中でも特に表情や態度に表れるものを指すことが多い。また、動詞として使われる場合は、emotionを誘発する原因や影響を意味する。 【混同しやすい点】日常会話では動詞として使われることがほとんどで、名詞として感情を表す場合は専門的な知識が必要となる。発音にも注意が必要で、「effect(効果)」と混同しやすい。
情熱、熱情。非常に強い感情、特に愛情や熱意を表す。恋愛、仕事、趣味など、対象に対する強い思い入れを伴う感情。 【ニュアンスの違い】emotionよりも強い感情であり、しばしば行動を駆り立てる原動力となる。理性を超えた、激しい感情を表す。 【混同しやすい点】passionは必ずしもポジティブな感情とは限らず、怒りや憎しみなどのネガティブな感情も強く表すことがある。また、性的欲求や衝動を表す場合もあるため、文脈によっては注意が必要。
気分、機嫌。一時的な感情の状態を表し、持続時間が比較的長い。特定の出来事や原因によって引き起こされるとは限らない。 【ニュアンスの違い】emotionよりも穏やかで、漠然とした感情の状態を表す。また、雰囲気や状況が人に与える感情的な影響も指す。 【混同しやすい点】moodは具体的な感情の種類(喜び、悲しみなど)を特定せず、全体的な感情の状態を表すため、具体的な感情を表現したい場合はemotionを使う方が適切。例えば、「I'm in a good mood」は「I'm happy」よりも広い意味を持つ。
感情、感覚。emotionよりも広い意味を持ち、身体的な感覚(触覚、味覚など)や直感的な印象も含む。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】emotionが比較的強い、一時的な感情を指すのに対し、feelingはより穏やかで持続的な感情や感覚を表す。感情の強さの度合いや持続期間に違いがある。 【混同しやすい点】emotionは具体的な感情の種類(喜び、悲しみ、怒りなど)を指すことが多いが、feelingは漠然とした感情や雰囲気も含むため、文脈によって使い分ける必要がある。例えば、「I have a bad feeling about this」は「emotion」では置き換えられない。
派生語
『感情的な』という意味の形容詞。『emotion』に形容詞化の接尾辞『-al』が付加。感情が強く表に出る様子や、感情に左右されやすい状態を表す。日常会話で人の性格や行動を評する際や、文学作品で登場人物の心情を描写する際などに用いられる。ビジネスシーンでは、客観性を求められる場面で『emotional decision(感情的な判断)』のように否定的な意味合いで使われることもある。
『感情的に』という意味の副詞。『emotional』に副詞化の接尾辞『-ly』が付加。感情に基づいて行動したり、感情が強く影響している様子を表す。例えば、『emotionally attached(感情的に執着している)』のように使われる。学術論文では、心理学や社会学の研究で、感情的な要因が行動に与える影響を分析する際に用いられる。
- emote
『感情を表に出す』という意味の動詞。接頭辞『e-(外へ)』と『motion(動き)』が組み合わさってできた語で、感情を外に表出する行為を指す。演劇やパフォーマンスの世界で、役者が感情を豊かに表現することを指すことが多い。また、現代では、オンラインコミュニケーションにおいて、絵文字やスタンプを使って感情を表現する行為も『emote』と表現されることがある。
反意語
『理性』や『論理』という意味の名詞。感情に左右されず、論理的思考に基づいて判断する能力を指す。『emotion』が個人的な感情や主観的な体験に基づくのに対し、『reason』は客観的な事実や普遍的な法則に基づいている。ビジネスシーンでは、『reasoning skills(論理的思考力)』が重視され、感情的な判断を避けることが求められる。学術論文では、哲学や心理学の分野で、『emotion』と『reason』の関係性が議論される。
『無感情』や『無感動』という意味の名詞。感情が欠如している状態や、物事に対して関心や興味を示さない状態を表す。『emotion』が感情の存在を前提とするのに対し、『apathy』は感情の欠如を意味する。心理学では、うつ病や統合失調症などの症状として現れることがある。日常会話では、他人への無関心や社会問題への無関心を表す際に用いられる。
『禁欲主義』や『ストイシズム』という意味の名詞。感情に左右されず、理性によって行動を制御する哲学的な態度を指す。『emotion』が感情の自然な表出を認めるのに対し、『stoicism』は感情を抑制し、冷静さを保つことを重視する。歴史的には、古代ギリシャのストア派哲学に由来し、困難な状況でも感情に動じない精神的な強さを養うことを目指す。現代では、ビジネスやスポーツの世界で、プレッシャーに打ち勝つための精神的な訓練として応用されることがある。
語源
「emotion(感情)」は、ラテン語の「ēmovēre(揺り動かす、かき乱す)」に由来します。この「ēmovēre」は、「ex-(外へ)」と「movēre(動かす)」という2つの要素から構成されています。「ex-」は「外へ、外に」という意味を表し、「movēre」は「動かす」という意味を持ちます。つまり、感情とは、文字通り「心を外へ動かすもの」と解釈できます。何か外部からの刺激や出来事が、私たちの内なる感情を揺さぶり、表面化させるイメージです。たとえば、感動的な映画を観て心が揺さぶられる経験は、まさに「emotion」が作用している状態と言えるでしょう。このように、感情は単なる心の状態ではなく、外部からの影響によって引き起こされる、心の動きそのものを指すのです。
暗記法
「emotion」は単なる心理状態に非ず。西洋では理性と対峙する力として描かれ、ロマン主義以降、芸術や文学で探求されてきた。ヴィクトリア朝では抑制が美徳とされた感情も、現代では自己表現の要。シェイクスピアは感情の奔流を描き、オースティンは繊細な機微を描いた。映画もまた、感情を物語の原動力とする。感情は人を圧倒するが、創造性の源泉でもある。感情を理解し表現することは、豊かな人間関係に不可欠な教養なのだ。
混同しやすい単語
『emotion』と『motion』は、最初の母音と子音が異なるだけで、残りの部分の発音が非常に似ています。特に、早口で話されると区別が難しくなります。『motion』は『動き』や『運動』という意味の名詞であり、『動議』という意味もあります。品詞も意味も異なるため、文脈で判断する必要があります。日本語の『モーション』というカタカナ語が『動き』の意味で定着しているため、意味の混同は少ないかもしれませんが、発音には注意が必要です。
『emotion』と『emoticon』は、最初の部分が同じであるため、スペルが似ていると感じやすいです。『emoticon』は『顔文字』という意味で、'emotion' と 'icon' を組み合わせた造語です。意味が全く異なるため、混同しないように注意が必要です。オンラインコミュニケーションでよく使用される単語なので、覚えておくと便利です。
『immersion』は『没頭』や『浸ること』を意味し、『emotion』とはスペルも意味も大きく異なります。しかし、どちらも深い関わり合いを示す単語であるため、文脈によっては意味が混同される可能性があります。例えば、『感情的な没入』のような表現では、どちらの単語を使うべきか迷うかもしれません。スペルと意味の違いを明確に意識することが重要です。
『illusion』は『錯覚』や『幻想』という意味で、『emotion』とはスペルも意味も大きく異なります。しかし、どちらも人の心に関わる概念であるため、抽象的な議論の中では混同される可能性があります。特に、感情が錯覚や幻想に影響を与える場合など、文脈によっては注意が必要です。スペルの違いを意識し、それぞれの単語が持つ具体的な意味を理解することが重要です。
『omission』は『省略』や『脱落』という意味で、『emotion』とはスペルも意味も大きく異なります。しかし、発音記号を見ると/əˈmɪʃən/と/ɪˈmoʊʃən/で、母音と一部子音の構成要素が似ています。そのため、特にリスニングにおいて、注意が必要になります。意味も全く異なるため、文脈から判断する必要があります。
『option』は『選択肢』という意味で、『emotion』とはスペルも意味も異なります。しかし、語尾の '-tion' が共通しているため、スペルが似ていると感じるかもしれません。また、心理学的な文脈では、『感情の選択肢』のような表現もあり得るため、意味の混同もわずかながら考えられます。それぞれの単語が持つ具体的な意味を理解し、文脈に応じて適切に使い分けることが重要です。
誤用例
日本語の『感情』という言葉に引きずられ、『emotion』を名詞として『持つ』という表現にしてしまう誤用です。英語では、感情は『持つ』ものではなく『感じる (feel)』ものとして捉えるのが自然です。また、『strong emotion』という表現自体は間違いではありませんが、より自然な英語では『feel strongly』という副詞句を用いることが多いです。この背景には、英語が感情をより動的なプロセスとして捉える傾向があることが伺えます。日本人が『〜について感情を持つ』という発想をしがちなのに対し、英語では『〜について強く感じる』という表現が一般的です。
『emotion』は、喜び、悲しみ、怒りなど、さまざまな感情を包括する言葉ですが、文脈によっては不適切になることがあります。葬儀という厳粛な場面では、特定の感情、特に『grief(深い悲しみ)』を具体的に示す方が適切です。『emotion』はやや一般的に過ぎ、フォーマルな場面では感情の種類を明確にすることが求められます。また、感情を『show』するという表現も、感情を『display(表に出す)』と表現する方が、より客観的で冷静なニュアンスになります。日本人が感情をストレートに表現することを避けがちなのに対し、英語では状況に応じて感情の質を適切に表現することが重視されます。
『emotion』を動詞化して受動態で使うのは不自然です。日本語の『感動した』を直訳しようとして起こりがちな誤りです。英語では、感情を『与える』側(映画など)が『moving』であり、『感動した』人は『moved』であると表現します。また、『emotioned』という動詞は一般的ではありません。『moved』は、感情が内側から湧き上がり、心を揺さぶられるようなニュアンスを含んでいます。日本人が受動態を多用する傾向があるのに対し、英語では能動態で感情の原因を明確にすることが多いです。また、日本語の『〜される』という表現を安易に英語の受動態に置き換えることは避けるべきです。
文化的背景
「emotion(感情)」という言葉は、単なる心理状態を表すだけでなく、西洋文化においては、時に理性と対立する、制御困難な力として象徴的に描かれてきました。特にロマン主義の時代以降、感情は個人の内面を深く探求するための重要なテーマとなり、芸術や文学を通じてその複雑な様相が表現されてきました。
感情の表出は、社会的な文脈や時代によって大きく変化します。ヴィクトリア朝時代においては、感情の抑制が美徳とされ、特に公の場での感情的な行動は慎まれました。しかし、現代社会においては、自己表現の重要性が強調され、感情をオープンに表現することが、健全なコミュニケーションや人間関係の構築に不可欠であると考えられています。このように、「emotion」という言葉が持つ意味合いは、社会の変化と共に、その解釈も変化してきたのです。
文学作品における「emotion」の描かれ方は、その時代の人々の感情に対する理解を反映しています。例えば、シェイクスピアの作品では、登場人物たちが激しい感情に翻弄される姿が描かれ、読者は感情の力強さや破壊力に圧倒されます。一方、ジェーン・オースティンの作品では、感情はより繊細に、そして社会的な制約の中で表現され、読者は感情の微妙なニュアンスや、感情がもたらす人間関係の複雑さに気づかされます。映画においても、感情は物語を動かす原動力となり、観客は登場人物たちの感情に共感し、喜びや悲しみ、怒りや恐れを共有します。
「emotion」という言葉は、しばしばコントロールの難しさと結びつけられます。英語の慣用句には、「overcome with emotion(感情に打ちのめされる)」や「a surge of emotion(感情の波)」など、感情が人を圧倒するようなイメージを表現するものが多く存在します。これは、感情が人間の行動や判断に大きな影響を与えることを示唆しています。しかし、感情はまた、創造性や共感を生み出す源泉でもあります。感情を理解し、適切に表現することは、自己理解を深め、より豊かな人間関係を築くために不可欠なスキルと言えるでしょう。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解、ライティング(エッセイ)。2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。2級でも長文読解で登場の可能性あり。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学、文化など幅広いテーマ。エッセイでは意見を述べる際に感情を表現する語として使用。4. 学習者への注意点・アドバイス: 関連語(emotional, emotionally)の品詞と意味の違いを理解。類義語(feeling, sentiment)とのニュアンスの違いも意識。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。2. 頻度と級・パート: 全パートで登場の可能性あり。比較的頻出。3. 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(顧客対応、従業員のモチベーション、組織文化など)に関連する長文やメール。4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から適切な意味を判断。形容詞 emotional と副詞 emotionally の使い分けを理解。関連語句(customer emotion, employee emotion)をセットで覚える。
1. 出題形式: リーディング、ライティング(Integrated/Independent)。2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。3. 文脈・例題の特徴: 心理学、社会学、歴史、文学など、学術的なテーマの文章。エッセイでは、議論を展開する際に感情の影響を分析する際に使用。4. 学習者への注意点・アドバイス: 同義語(affect, passion, sentiment)との微妙なニュアンスの違いを理解。客観的な文章で感情を扱う場合の表現に慣れておく。
1. 出題形式: 長文読解、自由英作文。2. 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、倫理、哲学、心理学など、抽象度の高いテーマの文章。自由英作文では、自分の意見を述べる際に感情を表現する語として使用。4. 学習者への注意点・アドバイス: 多様な文脈で emotion がどのように使われているかを理解。関連語(emotional, unemotional)との対比を意識。文脈に応じて適切な訳語を選択できるようにする。