reason
最初の母音/iː/は、日本語の「イー」よりも長く伸ばすことを意識しましょう。舌の位置を高く保ち、口角を少し横に引くと綺麗に発音できます。また、語尾の/ən/は、曖昧母音/ə/(schwa)を含むため、力を抜いて「アン」と「ウン」の中間のような音で発音すると自然です。日本語の「ン」よりも、口を軽く開けた状態で発音するのがコツです。
理由
物事の根拠や原因を指す、最も基本的な意味。なぜそうなったのか、なぜそうするのか、という問いに対する答え。
He was late again. What was the reason for that?
彼、また遅刻だよ。その理由は何だったの?
※ この例文は、誰かが繰り返し同じ行動をした時に、その原因や背景を尋ねる場面を描写しています。待ち合わせに遅れてきた友達を見て、「またか!」と少し呆れつつも、理由を知りたいという気持ちが伝わってきますね。「What's the reason for...?」は、何かの理由を尋ねる非常によく使われる表現です。
The main reason for the school's closure was the heavy snow.
学校が閉鎖された主な理由は、大雪でした。
※ この例文は、何かが起こった具体的な原因を説明する場面です。例えば、ニュースで「なぜ学校が休みになったのか」と報じられている状況を想像してみてください。出来事の『主な理由(main reason)』を簡潔に述べる際に非常に典型的な表現です。「reason for + 名詞」の形で、「~の理由」と説明する際によく使われます。
I don't know the reason why she suddenly decided to move.
彼女が突然引っ越すことに決めた理由が、私には分かりません。
※ この例文は、人の行動や決断の背景にある理由が分からず、少し戸惑っている様子を描写しています。親しい人が予期せぬ行動を取った時に、「どうしてだろう?」と考える、そんな気持ちが込められていますね。「reason why + 主語 + 動詞」の形で、「~がなぜ…したのかという理由」を表現する際によく使われます。
理性
論理的に考え、判断する能力。感情や感覚に左右されず、客観的に物事を捉える力。reasoning(推論)と関連。
Even when he was very angry, he tried to use his reason to stay calm.
彼はとても怒っていましたが、冷静さを保つために理性を働かせようとしました。
※ この例文は、感情的になりそうな状況で、あえて冷静であろうと努める人の姿を描いています。「reason(理性)」は、感情に流されず、論理的に考える力や冷静さを保つ能力を指します。ここでは、怒りという強い感情に打ち勝つために、自分の「理性」を使おうとしている典型的な場面です。日常で「感情的にならないで、理性的に考えて」と言いたい時に役立ちますね。
She used her reason to make a difficult decision, not just her feelings.
彼女は感情だけでなく、理性を使って難しい決断をしました。
※ ここでは、感情に任せるのではなく、頭でよく考えて重要な判断を下す様子が描かれています。「reason(理性)」は、「feelings(感情)」と対比されることで、よりその意味が鮮明になります。人生の岐路に立つ時や、冷静な判断が求められる場面で、感情だけでなく「理性」が大切だというメッセージが伝わります。
We need to use our reason to solve this problem, not just argue emotionally.
私たちは感情的に議論するだけでなく、理性を使ってこの問題を解決する必要があります。
※ この例文は、感情的な口論ではなく、冷静に問題解決に取り組むよう呼びかける場面です。グループでの議論や会議など、複数の人が関わる状況で「感情的にならず、論理的に考えよう」と促す際に「reason(理性)」がよく使われます。集団で建設的な解決策を見つけるためには、個人の感情よりも「理性」が重要だというメッセージが込められています。
論じる
ある事柄について、根拠や証拠を示しながら説明・議論する。相手を説得したり、理解を深めたりする目的で行われることが多い。
She sat quietly, trying to reason through her options before making a choice.
彼女は静かに座り、選択をする前に自分の選択肢について論理的に考えようとしていた。
※ この例文では、「reason through something」で「何かを徹底的に、論理的に考え抜く」という意味を表しています。主人公が一人で真剣に、冷静に物事を整理しようとしている場面が目に浮かびますね。人生の岐路に立たされた時など、私たちが「じっくり考える」際にぴったりの表現です。
The parents tried to reason with their son about staying out late, but he just wouldn't listen.
両親は、遅くまで外出することについて息子を説得しようとしたが、彼は聞く耳を持たなかった。
※ ここでは「reason with someone」という形で使われています。これは「誰かに論理的に話して、理解させようとする」「説得しようとする」という意味です。両親が息子に「なぜ遅くまで出歩くのが良くないのか」を根気強く説明している、そんな家族の日常的な一コマが想像できますね。「でも、聞かないんだよな…」という親の苦労も伝わってきます。
I couldn't reason why he suddenly quit his job, it made no sense to me.
彼がなぜ突然仕事を辞めたのか、私には理解できなかった。全く意味が分からなかった。
※ この文では、「reason why...」の形で「なぜ〜なのかを論理的に考える、理解する」という意味で使われています。友人の行動に困惑し、「なぜ?」「どうして?」と頭の中で理由を組み立てようとするけれど、どうしても納得できないという状況を表しています。突然の出来事に直面し、その理由が分からず戸惑う気持ちが伝わってきますね。
コロケーション
~を説得する、~に理詰めで話す
※ 単に話すのではなく、相手の感情に訴えかけるのではなく、論理的に、理性的に説得を試みることを指します。たとえば、子供が駄々をこねている時に、親が優しく諭すようなイメージです。文法的には、'reason with + 人' の形で使われ、ビジネスシーンや日常生活で頻繁に登場します。'argue with'(言い争う)とは異なり、建設的な解決を目指すニュアンスが含まれます。
~の理由、~の原因
※ これは非常に基本的なコロケーションですが、前置詞 'for' が不可欠です。単に 'reason' だけでは理由を意味しますが、'a reason for' とすることで、具体的な対象に対する理由を明確に示します。例えば、'a reason for his success'(彼の成功の理由)のように使います。'the reason why' も同様の意味で使えますが、'a reason for' の方がより直接的で簡潔な表現です。ビジネス文書やアカデミックな文章でよく見られます。
道理の範囲内で、常識の範囲内で
※ このイディオムは、何かが許容範囲内であることを示す際に使われます。たとえば、'You can ask for anything, within reason.'(常識の範囲内なら何でも頼んでいいよ)のように使います。'reasonable'(理にかなった)という形容詞と関連付けて考えると理解しやすいでしょう。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用できますが、特にビジネス交渉や契約条件の説明などで役立ちます。
~だと信じる十分な理由がある
※ このフレーズは、確信に近い強い確証があることを示唆します。単に「信じる」よりも強いニュアンスを持ち、根拠に基づいた信念であることを強調します。例えば、'We have every reason to believe that the project will succeed.'(プロジェクトが成功すると信じる十分な理由がある)のように使います。報道記事やビジネスレポートなどでよく用いられ、客観的な根拠に基づいた意見であることを示したい場合に適しています。
道理をわきまえる、理屈を聞き入れる
※ 人が頑固な態度を崩し、理性的な議論や説得を受け入れることを意味します。例えば、'He finally listened to reason and agreed to the compromise.'(彼は最終的に道理をわきまえ、妥協に同意した)のように使います。この表現は、対立が解消され、建設的な解決に向かう状況を示唆します。日常会話やビジネスシーンで、交渉や紛争解決の文脈でよく使われます。
~の理由で、~によって
※ ややフォーマルな表現で、法律文書や契約書などでよく見られます。直接的な原因や理由を示す際に使用され、'because of' よりも硬い印象を与えます。例えば、'He was excused from jury duty by reason of illness.'(彼は病気を理由に陪審員の義務を免除された)のように使います。日常会話ではあまり使われませんが、正確かつ厳密な表現が求められる場合に適しています。
理性時代、啓蒙時代
※ 歴史的な文脈で使われることが多く、18世紀のヨーロッパにおける啓蒙思想の時代を指します。理性と科学が重視され、伝統や権威に対する批判が広がった時代です。この表現は、単に歴史的事実を指すだけでなく、理性的な思考の重要性を強調する比喩としても使われます。例えば、'We must return to the age of reason.'(私たちは理性時代に立ち返るべきだ)のように、現代社会における理性的な判断の必要性を訴える際に用いられます。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。「~の理由を考察する」「~の根拠を示す」といった文脈で、客観的な分析や論理的な議論を展開する際に不可欠な語彙です。例えば、社会学の研究で「貧困の理由を多角的に分析する」場合や、医学の研究で「新薬の効果のメカニズムを論じる」場合などに用いられます。文語的な表現が中心です。
ビジネス文書や会議で、意思決定や提案の背景を説明する際に使用されます。「~という理由で」「~を考慮すると」といった表現で、論理的な思考を示すことが求められる場面で役立ちます。例えば、企画書で「市場調査の結果から、この製品の需要が見込めると考えられる理由」を述べたり、会議で「プロジェクトの遅延理由とその対策」を説明したりする場合に使われます。フォーマルな場面で用いられることが多いです。
日常会話で、行動や意見の理由を説明する際に使われます。「~だから」「~なので」といったより口語的な表現の代わりに使われることもあります。例えば、「遅刻した理由を説明する」「相手の行動の理由を尋ねる」といった場面で使われます。ニュース記事やドキュメンタリーなど、ややフォーマルな文脈でも見られます。
関連語
類義語
ある事象や結果を引き起こすもの。原因、理由、動機など、幅広い意味を持つ。ビジネス、学術、日常会話など、様々な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"cause"は結果に直接つながる要因を指すことが多い。「reason」よりも客観的で、感情的な要素が少ない。しばしばネガティブな結果の原因を指す。 【混同しやすい点】"reason"は行動や判断の根拠となる理由を指すが、"cause"は出来事や現象の原因を指す。例えば、「事故の原因(cause of the accident)」は言えるが、「事故の理由(reason of the accident)」は不自然。
行動や決断を促す内面的な動機。人を動かす隠れた理由や目的を指すことが多い。心理学、犯罪捜査、文学作品などでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"motive"は「reason」よりも個人的な欲求や感情に根ざした動機を強調する。しばしば隠された意図や秘密の目的を含む。 【混同しやすい点】"reason"は表面的で合理的な説明を指すことが多いが、"motive"はより深く、潜在的な動機を指す。例えば、表向きの理由は"reason"、真の動機は"motive"と使い分ける。
過ちや失敗を正当化するための言い訳。責任を回避したり、非難をそらすために用いられることが多い。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"excuse"は「reason」よりも弱々しく、不十分な理由を意味することが多い。しばしば相手に受け入れられない、あるいは信じてもらえないニュアンスを含む。 【混同しやすい点】"reason"は正当な根拠や理由を指すが、"excuse"は不十分で言い訳がましい理由を指す。例えば、「遅刻の理由(reason for being late)」は正当な理由を指し、「遅刻の言い訳(excuse for being late)」は責任逃れのニュアンスを含む。
行動、決定、信念などの背後にある論理的根拠や原理。学術論文、ビジネスレポート、政策提言などで用いられる。 【ニュアンスの違い】"rationale"は「reason」よりも形式的で、体系化された論理的説明を意味する。客観性と合理性を強調する。 【混同しやすい点】"reason"はより一般的な理由を指すが、"rationale"は特定の行動や決定を正当化するための、詳細で論理的な説明を指す。例えば、研究の「理由(reason for the research)」は一般的な関心を指し、研究の「理論的根拠(rationale for the research)」は研究の妥当性を示す論理的根拠を指す。
議論や判断の基礎となる根拠や理由。法的文書、倫理的議論、科学的根拠などで用いられる。 【ニュアンスの違い】"ground"は「reason」よりも客観的で、確固たる根拠を意味する。しばしば法的または倫理的な文脈で使用される。 【混同しやすい点】"reason"は一般的な理由を指すが、"ground"はより具体的で、議論や判断の基礎となる根拠を指す。例えば、「解雇の理由(reason for dismissal)」は一般的な説明を指し、「解雇の根拠(ground for dismissal)」は法的に認められる理由を指す。
派生語
『理にかなった』『妥当な』という意味の形容詞。reason(理性)に『〜のような性質を持つ』という意味の接尾辞『-able』が付くことで、理性によって判断できる、または理性の範囲内にあるという意味合いになる。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われ、reasonable price(妥当な価格)のように具体的なものにも、reasonable argument(理にかなった議論)のように抽象的なものにも適用可能。
- reasoning
『推論』『論証』という意味の名詞。動名詞(または現在分詞)の形である『-ing』が付くことで、reason(理性を用いる)という行為そのもの、またはその行為の結果として得られるものを指すようになる。学術論文や法律文書など、論理的な思考プロセスを記述する文脈で頻繁に用いられる。
- reasoned
『筋の通った』『理路整然とした』という意味の形容詞(または過去分詞)。reasonに『〜された』という意味合いの『-ed』が付加され、理性によって十分に吟味された、または理性に基づいて導き出されたというニュアンスを表す。主に、reasoned argument(筋の通った議論)やreasoned decision(熟慮された決定)のように、議論や決定などの名詞を修飾する形で用いられる。
反意語
- irrationality
『非合理性』『不合理』という意味の名詞。reason(理性)の反意語であるirrational(非合理的な)に、名詞化の接尾辞『-ity』が付いた形。reasonが理性や論理に基づいた思考を指すのに対し、irrationalityは感情や衝動、または論理的根拠の欠如に基づいた状態を表す。学術的な文脈や、人間の行動や社会現象を分析する際に用いられることが多い。
『愚かさ』『軽率な行為』という意味の名詞。reasonが賢明さや分別を意味するのに対し、follyは思慮深さや判断力の欠如を指す。日常会話よりも、文学作品や歴史的な記述など、やや古風な文脈で用いられることが多い。また、建築物などに対して「愚行の象徴」という意味合いで用いられることもある。
『本能』という意味の名詞。reasonが論理的思考や理性的な判断を指すのに対し、instinctは生まれつき備わっている衝動的な行動や反応を意味する。動物行動学や心理学の分野で、理性的な思考を介さない行動原理を説明する際に用いられる。日常会話でも、「本能的に〜する」のように、直感的な行動を表す際に使われる。
語源
"reason"の語源はラテン語の"ratio"(理性、計算、比率)に由来します。"ratio"は"reri"(思う、計算する)という動詞から派生しており、元々は「物事を数え上げ、比較し、判断する能力」を意味していました。これが古フランス語を経て英語に入り、「理由」「理性」といった意味を持つようになりました。つまり、reasonは単なる感情ではなく、論理的な思考や判断に基づいて行動する能力を指す言葉として発展してきたのです。日本語の「道理」や「筋道」といった言葉が、reasonの持つ論理的な側面を捉えていると言えるでしょう。
暗記法
「reason(理性)」は、感情を制御し真実を認識する能力として、西洋で重視されてきました。古代ギリシャでは宇宙の秩序を理解する力とされ、中世では信仰との調和が模索されました。啓蒙時代には社会進歩の鍵と見なされましたが、フランス革命の恐怖政治は理性の限界を示唆しました。現代では絶対的なものではなくなったものの、科学や論理の基盤として、今も重要な役割を果たしています。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に弱形では区別が難しいことがあります。'reason' は『理由』、'season' は『季節』という意味で、文脈が大きく異なります。スペルも似ていますが、語源的には 'reason' はラテン語の 'ratio'(理性)に由来し、'season' はラテン語の 'satio'(種まき)に由来します。発音練習で意識的に区別することが重要です。
語尾の '-son' が共通しているため、スペルと発音の両面で混同しやすい単語です。'reason' が『理由』であるのに対し、'treason' は『反逆罪』という意味で、意味合いが全く異なります。特に、法律や政治に関する文脈では注意が必要です。語源的には、'treason' はラテン語の 'traditio'(引き渡し、裏切り)に由来します。
発音が似ており、特に日本語話者には母音の区別が難しい場合があります。'reason' が名詞(理由)または動詞(推論する)であるのに対し、'resin' は『樹脂』という名詞です。スペルも一文字違いで紛らわしいです。'resin' は、松ヤニなどの天然樹脂や合成樹脂を指します。
スペルが似ており、特に手書きの場合などには 'a' と 'e' の区別がつきにくいことがあります。発音も 'rei' の部分が共通しているため、混同しやすいです。'reason' が『理由』であるのに対し、'raisin' は『レーズン』、つまり乾燥ブドウを指します。語源的には、'raisin' はラテン語の 'racemus'(ブドウの房)に由来します。
"Reason"は名詞として使われることが多いですが、"arise"は動詞であり、"arise in"という句動詞の形で使われることがあります。例えば、「疑問が心に生じる」を英語で表現する場合、"A question arises in my mind."となります。"Reason"と"arise in"は品詞が異なり、文法的な役割も異なるため、混同しないように注意が必要です。
発音が似ており、特に早口で話されると聞き分けが難しいことがあります。'reason' が『理由』であるのに対し、'reign' は『統治』や『支配』という意味で、特に君主や権力者の統治期間を指します。スペルも 'ea' と 'ei' の違いで紛らわしいです。語源的には、'reign' はラテン語の 'regnum'(王国)に由来します。
誤用例
英語では、動詞の不定詞(to + 動詞の原形)を伴って『〜する理由がある』と言う場合、不可算名詞の 'reason' を用いるのが一般的です。これは、特定の具体的な理由というより、漠然とした根拠や判断材料がある、というニュアンスを表すためです。日本語の『〜する理由が**一つ**ある』という直訳に引きずられて 'a reason' としがちですが、英語の慣用表現としては不自然です。日本語の『わけ』に近いニュアンスと考えると理解しやすいでしょう。
『reason』は、出来事や行動の『理由』や『根拠』を指すのに対し、『cause』は、直接的な『原因』を指します。事故の原因を調査している、という文脈では、直接的な引き金となった要因を特定しようとしているため、『cause』を使うのが適切です。日本人は『reason』を『理由』という日本語に安易に結びつけがちですが、英語では『cause』と『reason』を区別して使い分ける必要があります。例えば、『reason』は『He resigned for personal reasons(彼は個人的な理由で辞任した)』のように、行動の背景にある動機や意図を説明する際に適しています。
『It stands to reason』は、確かに『当然だ』という意味を持ちますが、どちらかというと、論理的に考えてそうなるはずだ、というニュアンスが強い、やや古風で硬い表現です。日常会話やフォーマルな場面では、より自然で一般的な『It is only reasonable』や『It is understandable』を使う方が適切です。日本人が『理屈から言えば当然だ』というニュアンスを表現しようとして、直訳的に『It stands to reason』を選んでしまうことがありますが、現代英語では少し時代がかった印象を与えます。
文化的背景
「reason(理性)」は、西洋文化において人間を人間たらしめる根本的な能力であり、感情や欲望を制御し、真実を認識するための道具として、長きにわたり特別な地位を与えられてきました。啓蒙思想においては、迷信や権威主義からの解放を導く光として崇められ、社会の進歩と個人の自由の基盤とみなされました。
古代ギリシャ哲学において、「reason」はロゴス(logos)と深く結びついていました。ロゴスは単なる論理的思考だけでなく、宇宙の秩序や原理を理解する能力をも意味しました。アリストテレスは、人間が他の動物と異なるのは、このロゴス、すなわちreasonを持つからだと考えました。中世ヨーロッパにおいては、スコラ哲学がアリストテレスの思想を受け継ぎ、理性と信仰の調和を試みました。神の存在や教義を理性的に証明しようとする試みは、reasonの重要性をさらに高めました。しかし、同時に、理性の限界も認識され、信仰の領域は理性では完全に理解できないものとして区別されました。
17世紀から18世紀にかけての啓蒙時代は、reasonが社会の中心に据えられた時代でした。ジョン・ロックやイマヌエル・カントといった思想家たちは、reasonこそが人間の進歩と自由を実現するための鍵であると主張しました。彼らは、迷信や偏見、権威主義的な支配をreasonによって克服し、理性的な社会を築くことを目指しました。フランス革命は、啓蒙思想の理念を具現化しようとする試みでしたが、同時に理性の限界と危険性も露呈しました。革命の過程で、reasonの名の下に多くの人々が粛清され、恐怖政治が繰り広げられました。この経験は、reasonに対する盲信的な信仰に疑問を投げかけ、その限界を認識するきっかけとなりました。
現代においては、reasonは依然として重要な価値ですが、その絶対的な地位は揺らいでいます。感情や直感、経験といった要素も、意思決定や判断において重要な役割を果たすことが認識されています。また、ポストモダニズムの思想は、reasonの客観性や普遍性に疑問を投げかけ、多様な視点や解釈の重要性を強調しています。しかし、reasonは依然として、科学的探求、論理的思考、批判的思考の基盤であり、社会の進歩と個人の自由を守るために不可欠な能力です。現代社会においては、reasonを単なる論理的思考の道具としてではなく、倫理的判断や共感的な理解と結びつけて活用することが求められています。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、稀にリスニング
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも長文読解で登場
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな話題、社会問題、物語など幅広い文脈で使用。理由・原因を説明する箇所で登場しやすい
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞「理由」、動詞「推論する」の両方の意味を理解。reason whyの形や、複合語(reasonableなど)も押さえる。同意語(cause, motive)との使い分けも重要
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5, 6, 7で頻出
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(会議、メール、報告書など)で頻繁に使用。業績悪化の理由、顧客からの苦情の理由、改善策の理由など
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞「理由」、動詞「推論する」の意味を理解。for reason of や reasonable price などのコロケーションも覚える。原因を示す接続詞(because, since, as)との関連も意識
- 出題形式: リーディング、ライティング、スピーキング
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。ライティング、スピーキングでも理由を述べる際に使用
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな論文、講義、ディスカッションなどで使用。科学的な理由、歴史的な理由、社会的な理由など
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞「理由」、動詞「推論する」の意味を理解。抽象的な概念を説明する際に頻繁に用いられるため、文脈から正確な意味を把握する練習が必要。因果関係を表す表現(therefore, consequently)とセットで覚える
- 出題形式: 長文読解、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的な大学でも長文読解で登場
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史、文化など幅広いテーマで使用。筆者の主張の根拠、出来事の原因などを説明する箇所で登場しやすい
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞「理由」、動詞「推論する」の意味を理解。reasoning(推論)、reasonable(合理的な)などの関連語も覚える。文脈から意味を判断する練習が必要。英作文では、理由を明確かつ論理的に説明するために積極的に使用する