dread
母音 /ɛ/ は日本語の「エ」よりも口を少し横に開いて発音します。語尾の /d/ は、舌先を上の歯の裏につけて息を止めるように発音し、日本語の「ド」のように強く発音しないのがポイントです。無声音化を意識して、ほとんど聞こえない程度に留めるとより自然になります。日本語話者は母音を伴って「ド」と発音しがちなので注意しましょう。
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恐れる
強い不安や恐怖を感じる。将来起こりうる不快な事柄に対して、身がすくむような感覚を伴う。単にfearよりも強い感情を表す。
He lay awake, dreading the math test he had to take tomorrow morning.
彼は、明日の朝受けなければならない数学のテストを恐れて、横になって目を覚ましていた。
※ この文は、テストが近づくにつれて不安で眠れない学生の気持ちを描写しています。「dread」は、単に「怖い」だけでなく、「その出来事が起こることを避けたい、憂鬱だ」という強い気持ちを表します。ここでは、未来の出来事(テスト)に対して使われています。
She always dreaded the weekly meeting with her strict boss.
彼女はいつも、厳しい上司との週例会議をとても嫌がっていた。
※ ここでは、毎週の会議という定期的に訪れる嫌な出来事に対して「dread」が使われています。上司が「strict(厳しい)」であることから、会議が彼女にとって心理的な負担であることを示唆しています。日常的に避けたい、憂鬱な状況によく使われる表現です。
The little boy dreaded his trip to the dentist because of the needle.
その小さな男の子は、注射のせいで歯医者に行くのをとても嫌がった。
※ この例文では、子供が歯医者での「針(注射)」という具体的な痛みを伴うものに対して、強い嫌悪感と恐怖を抱いている様子がわかります。「dread」は、このように具体的な嫌な経験や、それに伴う不快感を予期して恐れる場合によく使われます。
恐怖
差し迫った危険というより、漠然とした不安や嫌悪感を含む恐れ。具体的な対象だけでなく、状況や感情に対しても抱く感情。
She felt a deep dread about her math test results.
彼女は数学のテスト結果に対して、深い恐怖を感じていました。
※ この例文は、避けることのできない未来の出来事(テスト結果)に対する、漠然とした、しかし重い恐怖や不安を表しています。「dread」は、単なる怖さというより、嫌なことが起こるのではないかという「嫌な予感」や「重苦しい恐怖感」を指すことが多いです。「feel dread」や「a deep dread」のように使われます。
A sudden noise in the dark filled him with dread.
暗闇の中の突然の物音が、彼を恐怖で満たしました。
※ この例文は、具体的な状況(暗闇)や突然の出来事(物音)によって引き起こされる、心臓がドキッとするような強い恐怖感を表しています。「fill someone with dread」は「〜を恐怖で満たす」という、非常に自然で典型的な表現です。ホラー映画のような、一瞬でゾッとする場面でよく使われるイメージです。
He felt a sense of dread before starting the difficult conversation.
彼は難しい会話を始める前に、嫌な予感(恐怖感)を覚えました。
※ この例文は、特定の行動(難しい会話)を始める前に感じる、心理的な重苦しさや避けたい気持ち、つまり「嫌な予感」や「恐怖感」を表しています。「a sense of dread」は「恐怖感」「嫌な予感」という意味で非常によく使われるフレーズです。日常生活で、気が進まないことをする前に感じるモヤモヤした感情を表現するのにぴったりです。
恐ろしい
非常に不快で、避けるべき対象であるさま。悪い結果を招く可能性が高いことや、非常に質の悪いものを指す場合にも使う。
The doctor gave him the dread news about his illness.
医者は彼に、病気に関する恐ろしい知らせを伝えた。
※ 医者から「dread news(恐ろしい知らせ)」を聞かされる、まさにその瞬間の不安な気持ちが伝わる場面です。この「dread」は、聞きたくない、避けたい、非常に悪い知らせであることを強調します。単に「怖い」だけでなく、「嫌な」「忌まわしい」というニュアンスも持ちます。
She felt a dread sense of loneliness in the empty house.
彼女は空っぽの家の中で、恐ろしいほどの孤独感を感じた。
※ 「dread sense of loneliness」で、「心底から嫌な、ひどい孤独感」を表しています。物理的な怖さではなく、精神的な重苦しさや絶望感を伴うような感情に使われます。形容詞の「dread」は、このように抽象的な名詞と結びついて、その状態の「ひどさ」を強調することがあります。
The dread exam made him feel sick to his stomach.
あの恐ろしい試験のせいで、彼は気分が悪くなった。
※ 「dread exam」は、受けたくない、結果が怖い、非常に嫌な試験を指します。試験自体が物理的に恐ろしいのではなく、それに対するプレッシャーや不安が「dread」という言葉で表現されています。「feel sick to one's stomach」は「胃がむかつくほど気分が悪い」という、強い不快感や緊張を表すイディオムです。
コロケーション
~という考えだけでぞっとする、~を想像するだけで恐ろしい
※ この構文は、何か未来の出来事や可能性について考えるだけで強い嫌悪感や不安を感じる状況を表します。ポイントは「thought of」という前置詞句が続くことで、漠然とした思考や想像が恐怖の対象となっている点です。例えば、「I dread the thought of going back to that job.(あの仕事に戻るなんて考えたくもない)」のように使います。単に「dread something」と言うよりも、思考や想像の段階で既に強い感情が動いているニュアンスが加わります。口語でもビジネスシーンでも使用可能です。
漠然とした不安感、得体の知れない恐怖感
※ この表現は、具体的な対象がはっきりしない、漠然とした不安や恐怖感を指します。原因が特定できない、あるいは説明できないような、心の奥底から湧き上がるような感覚です。例えば、ホラー映画で不気味な音楽が流れるシーンで、観客が抱く感情に近いかもしれません。「I had a sense of dread as I walked down the dark street.(暗い道を歩いていると、漠然とした不安に襲われた)」のように使います。文学作品や心理学的な文脈でよく見られます。
恐怖心を持って、ぞっとしながら
※ 何かを行う際に、強い恐怖や不安を感じながら行動することを表します。この「with」は「~を伴って」という意味合いで、感情を伴った行動を強調します。例えば、「She opened the letter with dread.(彼女は恐怖心を持って手紙を開けた)」のように使います。手紙の内容が怖いと予想される状況などが考えられます。フォーマルな場面でも使用できますが、やや文学的な響きがあります。
考えるのも恐ろしい、考えたくもない
※ この表現は、ある事態を想像することが非常に不快であるため、あえて考えないようにしていることを表します。通常、後に起こりうる悪い結果や、過去の出来事の恐ろしい側面を想像することを避ける際に使われます。「I dread to think what would have happened if I hadn't called the police.(もし警察に電話していなかったらどうなっていたか、考えるのも恐ろしい)」のように使います。口語的で、強い感情を伴う状況でよく用いられます。
恐怖に怯えて暮らす
※ 常に何か悪いことが起こるのではないかと恐れ、不安な状態で生活することを意味します。単に一時的な恐怖を感じるのではなく、長期的な、あるいは慢性的な不安状態を表します。例えば、「They lived in dread of another attack.(彼らは再び攻撃されるのではないかと怯えて暮らしていた)」のように使われます。紛争地域や、虐待を受けている状況など、深刻な状況を描写する際に用いられることが多いです。
不治の病、恐ろしい病気
※ これは、かつて治療法がなく、死に至る病気(例えば、癌や結核など)を指す古い表現です。現代では医学が進歩し、治療可能な病気も増えましたが、依然として深刻な病気を指す際に使われることがあります。ただし、現代では「serious illness」や病名そのものを具体的に言う方が一般的です。文学作品や歴史的な文脈で見かけることが多い表現です。
使用シーン
学術論文や教科書で、特に心理学、社会学、文学などの分野で頻繁に見られます。例えば、「〜という結果をdread(恐れる)する傾向がある」のように、研究結果や将来的な影響に対する懸念を示す際に使われます。文語的でフォーマルな表現です。
ビジネスシーンでは、リスク管理や将来予測に関する報告書、プレゼンテーションなどで使用されることがあります。「市場の低迷をdread(恐れる)」のように、ネガティブな事態への懸念を表明する際に使われます。日常会話よりは、やや硬い印象を与える表現です。
日常会話ではあまり一般的ではありませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、社会問題や個人的な苦悩を語る際に使われることがあります。「将来をdread(恐れる)」のように、漠然とした不安や恐れを表現する際に使われます。フォーマルな響きがあるため、親しい間柄での会話には不向きな場合があります。
関連語
類義語
恐怖、恐れ。一般的な恐怖感情を表し、対象は具体的なものから抽象的なものまで幅広い。日常会話、ニュース、ビジネスなど、あらゆる場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Dread"よりも一般的な言葉で、感情の強さは中程度。対象が漠然としている場合や、具体的な危険が迫っていない場合にも使われる。"Fear"は名詞としても動詞としても使える。 【混同しやすい点】"Fear"は対象が明確でない場合や、漠然とした不安にも使える点が"dread"と異なる。また、"fear of something"のように前置詞を伴う場合が多い。
不安、懸念。将来に対する心配や、何か悪いことが起こるのではないかという予感を表す。フォーマルな場面や、ビジネス、学術的な文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"Dread"よりも知的で、感情的な激しさが抑えられている。漠然とした不安や、根拠のある心配を表すことが多い。計画や将来に関する懸念など、具体的な事柄に対して使われることが多い。 【混同しやすい点】"Apprehension"は、逮捕という意味もあるため、文脈によっては誤解を招く可能性がある。また、"dread"のような強い恐怖感よりも、穏やかな不安を表すことが多い。
激しい恐怖、戦慄。生命の危機を感じるような、極度の恐怖を表す。災害、戦争、犯罪など、深刻な状況を描写する際に用いられる。 【ニュアンスの違い】"Dread"よりも感情が強く、一時的で強烈な恐怖を表すことが多い。パニックに近い感情を表すこともある。 【混同しやすい点】"Terror"は、テロリズムという意味もあるため、文脈によっては注意が必要。また、"dread"のように持続的な恐怖感よりも、瞬間的な激しい恐怖を表すことが多い。
嫌悪感と恐怖が混ざった感情、ぞっとする感覚。不快なもの、道徳的に許されないものに対する強い嫌悪感と恐怖を表す。映画、小説、ニュースなど、不快な出来事を描写する際に用いられる。 【ニュアンスの違い】"Dread"が漠然とした不安や恐怖を表すのに対し、"horror"は具体的な不快感や嫌悪感を伴う。倫理的な問題や、視覚的に不快なものに対して使われることが多い。 【混同しやすい点】"Horror"は、恐怖だけでなく嫌悪感も含まれる点が"dread"と異なる。また、"horror movie"のように複合語としてもよく使われる。
畏敬の念、畏怖。偉大なもの、神秘的なものに対する尊敬と恐れが混ざった感情を表す。自然、芸術、宗教など、人間の理解を超えたものに対して用いられる。 【ニュアンスの違い】"Dread"がネガティブな感情であるのに対し、"awe"はポジティブな感情も含む。尊敬の念が強い場合に使われる。 【混同しやすい点】"Awe"は、恐怖だけでなく尊敬の念も含まれる点が"dread"と大きく異なる。また、"in awe of something"のように前置詞を伴う場合が多い。
- foreboding
(悪いことの)予感、虫の知らせ。将来に悪いことが起こるのではないかという漠然とした不安感を表す。文学作品や、心理描写でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"Dread"よりも感情の強さは弱く、具体的な根拠がない不安を表すことが多い。運命的な予感や、不吉な予兆を表す場合に使われる。 【混同しやすい点】"Foreboding"は、具体的な根拠がない予感を表す点が"dread"と異なる。また、名詞としてのみ使われることが多い。
派生語
『恐ろしい』『ひどい』という意味の形容詞。『dread』に形容詞化の接尾辞『-ful』が付いた形。元々の『dread』が持つ恐怖の感情が、対象に及ぼす性質を強調する。日常会話で『dreadful weather(ひどい天気)』のように使われるほか、やや誇張した表現として用いられることもある。
- dreadfully
『dreadful』の副詞形で、『ひどく』『恐ろしく』という意味。形容詞『dreadful』に副詞化の接尾辞『-ly』が付加された。程度を強調する際に用いられ、『dreadfully sorry(非常に申し訳ない)』のように、フォーマルな場面でも使用される。
- dreadlocks
レゲエ文化に特徴的な髪型を指す名詞。元々は『dread(恐れ)』+『locks(束)』で、『神を畏れる者の髪』というニュアンスがあったとされる。現在では髪型そのものを指す言葉として広く認知されており、宗教的な意味合いは薄れている。文化的な文脈で頻繁に使用される。
反意語
『dread(恐れ、不安)』とは対照的に、『joy(喜び、歓喜)』は強い幸福感を表す。日常会話から文学作品まで幅広く用いられ、感情のスペクトルにおける対極をなす。dreadが未来に対するネガティブな感情であるのに対し、joyは現在に対するポジティブな感情であるという点で対照的。
dreadが『嫌な予感』を伴うのに対し、『anticipation(期待、予想)』は良いことが起こることを予期する感情を指す。文脈によってはdreadとanticipationは表裏一体となりうるが、感情の方向性は正反対である。ビジネスシーンでは、新製品の発表に対する期待(positive anticipation)といった文脈で使用される。
『dread』が不確実性から来る恐れであるのに対し、『assurance(保証、確信)』は確固たる自信や安心感を表す。dreadが抱かせる不安を打ち消すものがassuranceである。ビジネスや契約の文脈で頻繁に用いられ、リスクを軽減し、安心感を与える役割を果たす。
語源
"Dread"は、古英語の"drædan"(恐れる、畏敬する)に由来します。この"drædan"は、さらに遡るとゲルマン祖語の"*draedan"にたどり着き、これは「曲がる、ねじる」といった意味の語根に関連しています。恐怖で身がすくむ、あるいは恐怖によって心がねじ曲げられるような感覚が、語源的なイメージとして考えられます。現代英語の"thread"(糸)や"threat"(脅威)とも語源的に関連があり、糸のように張り詰めた緊張感や、脅威による心理的な圧迫感が、根底にある共通のイメージとして捉えられます。日本語で例えるなら、「恐れ多い」という言葉が、畏敬の念と恐怖感が混ざり合った"dread"のニュアンスに近いかもしれません。
暗記法
「dread」は単なる恐怖を超え、運命的な破滅への根源的な不安を意味します。中世では神の怒りや裁きと結びつき、人間の無力さを表象しました。ゴシック小説では、ポーの作品のように、登場人物を苛む漠然とした不安として描かれ、倫理的な葛藤や存在論的な不安を象徴します。現代では、環境問題やテクノロジーへの不安として共有され、崇高さの概念にも通じる、畏敬の念と恐怖が混ざり合った感情なのです。
混同しやすい単語
『dread』と『thread』は、母音と子音の順番が似ており、特に語尾の 'd' の発音が弱いと混同しやすい。意味は『糸』や『筋』であり、『dread』の『恐れる』とは全く異なる。綴りも似ているため、注意が必要。語源的には、threadは「ねじる」という意味の古英語に由来し、dreadは「恐れ」を意味する古英語に由来する。
『read』は『読む』という意味で、過去形・過去分詞形の発音は『red』と同じ /red/ となり、『dread』と母音が似ているため、会話中やリスニング時に混同しやすい。文脈で判断する必要がある。スペルも似ており、特に手書きの場合に注意。『read』は不規則動詞であり、現在形と過去形でスペルが同じだが発音が異なる点が日本人学習者には難しい。
『dread』と『dead』は、母音が非常に似ており、特に早口で話されたり、発音が不明瞭な場合に聞き間違えやすい。意味は『死んだ』であり、形容詞として使われることが多い。『dread』は動詞または名詞であり、品詞が異なる点も区別のポイント。また、'ea'の組み合わせは英語で様々な発音をするため、注意が必要。
『deed』は『行為』や『証書』という意味で、『dread』と語頭の 'd' と 'e' の位置が似ており、発音も短母音である点が共通しているため、混同しやすい。特に、フォーマルな場面で使われる単語であるため、誤用すると不適切になる可能性がある。スペルは似ているが、母音の数が異なるため、注意して区別する必要がある。
『threat』は『脅威』という意味で、『thread』と同様に、語尾の子音の綴りが似ており、母音も曖昧な発音であるため、特にリスニング時に混同しやすい。『dread』が個人的な感情を表すのに対し、『threat』は客観的な危険を表すことが多い。語源的には、threatは「圧迫する」という意味の古英語に由来する。
『red』は『赤』という意味で、『dread』と母音が同じであるため、発音の区別が難しいと感じる学習者が多い。特に、過去形の『read』と発音が同じであるため、文脈で判断する必要がある。色に関する単語は日常会話で頻繁に使われるため、正確に発音できるように練習することが重要。スペルも非常に短く、dreadと文字の配置が似ているため、タイプミスにも注意。
誤用例
「dread」は「非常に恐れる、嫌がる」という意味合いが強く、この文脈では相手に不幸な知らせを伝える際の丁寧さや配慮に欠けます。日本語の「恐縮ですが」のようなニュアンスで「dread」を使うと、過度に感情的な印象を与えてしまいます。ここでは「I'm sorry to tell you this」のような、より穏やかで一般的な表現が適切です。日本人は相手への配慮から、ネガティブな情報を伝える際に丁寧な言葉を選びがちですが、英語では感情の強さを示す単語を避けることで、より相手への共感を示すことができます。
「dread」は具体的な対象や出来事に対して使われることが多く、漠然とした不安や懸念を表す場合には「fear」の方が自然です。日本語の「~ではないかと危惧する」を直訳的に「dread that...」としてしまう誤りが見られます。「dread」は、例えば「I dread the upcoming meeting with my boss.(上司との今後の会議が恐ろしい)」のように、特定の状況に対する強い嫌悪感を表すのに適しています。「fear」は、より一般的な不安や懸念を示すため、試験の失敗のような抽象的な事柄に対してより適切です。英語では、感情の強さや対象の具体性によって単語を使い分けることが重要です。
「dread」は、極度の嫌悪感や恐怖を表す言葉であり、単に「嫌う」という意味で使うと、相手に強い不快感を与える可能性があります。プレゼントを贈った相手がそれを「dread(恐れる)」というのは、過剰な表現であり、不自然です。日本語の「嫌がる」を安易に「dread」と訳してしまうと、語感のずれが生じます。「dislike」は、より穏やかな嫌悪感を示すため、この文脈では適切です。英語では、言葉の持つ感情的な強さを理解し、文脈に合わせて適切な単語を選ぶことが大切です。
文化的背景
「dread(恐れ)」は、単なる恐怖心を超え、運命的な破滅や不可避な災厄に対する、深く根源的な不安や畏怖を意味します。中世ヨーロッパにおいて、dreadは神の怒りや死後の裁きといった、個人の力では抗えない絶対的な存在から生じる感情と強く結びついていました。この言葉は、人間の無力さや世界の不条理さを意識させる、重苦しい精神状態を表すものとして、文学や芸術において重要な役割を果たしてきました。
特に、ゴシック小説やロマン主義文学において、dreadは重要なテーマとして頻繁に登場します。例えば、エドガー・アラン・ポーの作品では、登場人物たちはしばしば説明のつかない、漠然としたdreadに苛まれます。これは、理性では理解できない人間の心の闇や、抑圧された感情が表面化したものとして描かれています。また、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』では、ヴィクター・フランケンシュタインが自らの創造物に対して抱く感情は、創造主としての責任感と同時に、制御不能な存在へのdreadに満ちています。これらの作品におけるdreadは、単なる恐怖以上の、倫理的な葛藤や存在論的な不安を象徴するものとして機能しています。
現代においても、dreadは社会的な不安や危機感と結びついて用いられることがあります。例えば、環境問題やテロリズムといった、グローバルな脅威に対するdreadは、個人だけでなく社会全体を覆う感情として共有されています。また、テクノロジーの進化に対するdreadは、人間性の喪失やディストピア的な未来への懸念として表現されることがあります。このように、dreadは時代や社会の変化とともに、その意味合いを変化させながらも、人間の根源的な不安や畏怖を表現する言葉として、現代社会においても重要な役割を果たし続けています。
興味深いことに、dreadはしばしば「崇高さ(sublime)」の概念と密接に関連しています。崇高さとは、圧倒的な力や美しさに触れたときに感じる、畏敬の念と恐怖が混ざり合った感情のことです。例えば、巨大な山脈や荒れ狂う海を見たときに感じるdreadは、同時に自然の偉大さや神秘に対する畏敬の念と結びついています。このように、dreadは単なる否定的な感情ではなく、人間の精神を揺さぶり、新たな認識や価値観を生み出す可能性を秘めた、複雑で多面的な感情であると言えるでしょう。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性あり。特に、dreadful(恐ろしい)などの派生語の知識も問われることがある。文脈から意味を推測する練習が重要。
Part 5 (短文穴埋め) や Part 7 (長文読解) で見られることがある。ビジネスシーンでの使用は比較的少ないが、心理的な状態を表す語として登場する可能性がある。類義語との識別がポイント。
アカデミックな文章で、特に心理学や社会学系のテーマで登場することがある。名詞形(dread)と動詞形(dread)の使い分け、および、dreaded(恐れられている)のような受動態の形での出題に注意。長文読解における文脈理解が重要。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。文脈から意味を推測する力が求められる。類義語(fear, apprehension)とのニュアンスの違いを理解しておくことが望ましい。