deed
母音 /iː/ は日本語の「イー」よりも長く伸ばし、口角を少し横に引いて発音します。語尾の /d/ は、舌先を上の歯茎につけてから素早く離すことで発音します。日本語の「ド」よりも弱く、破裂させないイメージです。有声音ですので、喉を震わせることを意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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偉業
特に歴史に残るような、道徳的に優れた行為や功績を指す。単なる行為よりも、その行為が持つ意義や影響を強調するニュアンスがある。良い意味で使われることが多い。
A young boy helped an old woman carry her heavy bags. It was a truly kind deed.
幼い少年がおばあさんの重い荷物を運ぶのを手伝いました。それは本当に親切な行いでした。
※ この例文では、「deed」が「行い」や「行為」という意味で使われる典型例です。「kind deed」のように、形容詞と一緒に使われることが多いです。「偉業」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、小さな親切も「良い行い(good deed)」としてdeedを使うことができます。この文では、少年の心温まる行動が「良い行い」として描かれています。
The first astronaut to walk on the moon performed an amazing deed for all mankind.
月面を歩いた最初の宇宙飛行士は、全人類のために驚くべき偉業を成し遂げました。
※ ここでは「deed」が「歴史に残るような大きな功績」という意味で使われています。「perform a deed」は「行為を行う」「偉業を成し遂げる」という決まった言い方です。月面着陸という人類の夢を実現した、誰もが認める「偉業」を表すのにぴったりな表現です。
After years of hard work, the scientist finally achieved her great deed.
何年もの努力の末、その科学者はついに彼女の偉業を達成しました。
※ この例文は、「deed」が「困難な努力の末に成し遂げられたこと」という意味で使われる例です。「achieve a deed」は「偉業を達成する」という意味で、目標に向かって粘り強く取り組んだ結果としての大きな成果を指します。科学者が長年の研究を経て、ついに大きな発見や発明を成し遂げた、感動的な瞬間が描かれています。
証書
不動産などの権利を正式に証明する法的文書。権利の移転や所有権の確認に使われる。契約書や権利書といったニュアンス。
The lawyer handed me the deed for our new house, and I felt a wave of relief.
弁護士が私たちの新しい家の権利証を私に手渡し、私は安堵の波を感じました。
※ この例文は、新しい家を購入した際に、弁護士から正式な所有権の証書(deed)を受け取る典型的な場面を描いています。長年の夢が叶い、ついに自分のものになったという喜びと、手続きが完了したことへの安心感が伝わってきますね。「wave of relief」は「安堵の波」で、心がホッと軽くなる様子を鮮やかに表現しています。このように、deedは不動産の所有権を証明する最も重要な書類として使われます。
My grandmother carefully placed the land deed into her old metal safe.
祖母は、その土地の権利証を慎重に古い金属製の金庫に入れました。
※ ここでは、おばあさんが大切な土地の権利証(land deed)を、古いけれど頑丈な金庫にしまう様子が描かれています。「carefully placed」から、その証書がいかに貴重で、大切に扱われているかが伝わってきますね。deedは、万が一の事態に備えて安全な場所に保管されるべき、非常に重要な書類であることがよくわかる例文です。
While cleaning the dusty attic, I found an old deed that showed who owned the farm decades ago.
埃っぽい屋根裏を掃除しているとき、何十年も前に誰がその農場を所有していたかを示す古い権利証を見つけました。
※ この例文は、家の整理中に、昔の所有権に関する古い証書(old deed)を発見する場面です。屋根裏の「dusty(埃っぽい)」という描写から、長い間忘れられていたものを見つけた驚きや、過去へのロマンを感じさせます。deedは「誰が、いつ、何を所有していたか」という歴史的な情報を示す文書としても使われることがあり、その重要性を教えてくれます。関係代名詞のthatが「どのようなdeedか」を説明していますね。
譲渡する
(法律用語として)権利や財産を正式な文書によって譲り渡す。名詞の「証書」と関連し、法的な手続きを伴うニュアンス。
My grandmother decided to deed her old house to her grandson, ensuring his future.
祖母は、孫の将来を確実にするため、自分の古い家を彼に譲渡することに決めました。
※ この例文では、祖母が孫に家を「譲渡する」という、温かい家族の情景が目に浮かびますね。deedは、このように財産や不動産を法的に他人に「譲り渡す」ときに使われる典型的な単語です。大切なものを次の世代に託す、そんな場面でよく使われます。
The city council plans to deed the unused land to a charity for a community garden.
市議会は、使われていない土地を慈善団体に譲渡して、共同菜園を作る計画です。
※ ここでは、市が公共の目的のために土地を「譲渡する」という、少しフォーマルな場面を描写しています。deedは、このように行政機関や組織が、ある目的のために財産を移す際にも使われます。地域のために良いことをする、というポジティブな印象も伝わりますね。
After the sale, the previous owner formally deeded the small shop building to the new proprietor.
売却後、前のオーナーは、その小さな店舗の建物を正式に新しい所有者へ譲渡しました。
※ この例文は、ビジネスや不動産の取引において、建物の所有権が「譲渡される」場面です。特に「formally(正式に)」という言葉が加わることで、法的な手続きを経て所有権が移ったことがよくわかります。deedは、このように契約や取引によって所有権を移転する際に非常に重要な単語です。
コロケーション
善行、良い行い
※ 最も基本的なコロケーションの一つですが、注目すべきは「good」という形容詞が、単に道徳的に正しいだけでなく、「人のためになる」「親切な」という意味合いを強く含んでいる点です。例えば、ボランティア活動や困っている人を助ける行為などが該当します。日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使われますが、やや古風な響きを持つこともあります。類似表現として "act of kindness" がありますが、こちらはより感情的なニュアンスが強いです。
英雄的な行為、勇敢な行い
※ "heroic"という形容詞が示すように、危険を顧みず人命救助を行ったり、社会的に大きな貢献をしたりする行為を指します。物語やニュース記事などでよく見られる表現で、日常会話ではあまり使いません。"brave deed"も同様の意味ですが、"heroic deed"の方が、より大義や社会的な意義が伴うニュアンスがあります。
高潔な行い、気高い行い
※ "noble"は「高貴な」「気品のある」という意味合いを持ち、自己犠牲を伴うような、道徳的に優れた行為を指します。しばしば、社会的な地位の高い人物が行う善行を指すこともあります。やや文学的な表現で、日常会話ではあまり使いません。類似表現として "virtuous deed" がありますが、こちらはより宗教的な文脈で使われることがあります。
行為を行う、実行する
※ 「perform」は、何かを「実行する」「遂行する」という意味の動詞で、「deed」と組み合わさることで、ある行為を行うことを意味します。特に、意識的で計画的な行動を指すことが多いです。例えば、契約書にサインする、約束を果たす、任務を遂行するなどが該当します。日常会話でも使われますが、ややフォーマルな響きがあります。類似表現として "carry out a deed" がありますが、こちらはより具体的な行動を指すニュアンスがあります。
行動によって、実行によって
※ "by"は手段や方法を示す前置詞で、"by deed"は言葉だけでなく、実際の行動によって何かを示すことを意味します。「言葉ではなく行動で示す」というニュアンスを含み、しばしば "by word and deed" (言葉と行いによって) という形で使われます。例えば、「彼は言葉だけでなく、行動によっても私たちを助けてくれた」のように使います。ややフォーマルな表現で、ビジネスシーンやスピーチなどで使われることがあります。
贈与証書
※ 法律用語で、財産を無償で譲渡する際に作成される正式な書類を指します。「deed」が「証書」という意味で使用される、専門的なコロケーションです。口語的な場面ではほとんど使われず、法的な文脈でのみ使用されます。不動産や高額な物品の贈与の際に必要となる場合があります。
一方証書
※ これも法律用語で、一人の当事者によって作成される証書を指します。名前の変更や権利放棄など、一方的な行為を証明するために用いられます。 "poll"は「切り落とされた」という意味で、昔は羊皮紙の端を切り落として区別したことに由来します。日常会話ではまず使われず、法的な手続きにおいてのみ用いられます。
使用シーン
学術論文や法律関連の文献で、「証書」や「行為」の意味で使われることが多いです。例えば、不動産法の研究で「土地の権利譲渡証書 (deed of land)」について議論したり、倫理学の研究で「善行 (good deed)」の重要性を論じたりする際に用いられます。学生が専門書を読む際に遭遇する可能性があります。
ビジネスシーンでは、契約書や法務関連の書類で「証書」の意味で使われることがあります。例えば、M&Aの契約書で「譲渡証書 (deed of transfer)」という言葉が出てくることがあります。日常的なビジネス会話ではほとんど使われません。
日常会話では「偉業」の意味で使われることがあります。例えば、ニュースで「英雄的な行為 (heroic deed)」を称える場面や、歴史上の人物の偉業を語る際に用いられます。ただし、会話で頻繁に使う単語ではありません。
関連語
類義語
行為、行動。最も一般的な言葉で、特定の目的や意図を持たない行動も含む。日常会話、ビジネス、学術など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『deed』よりも中立的で、善悪の判断を含まないことが多い。『deed』はしばしば重要な、あるいは道徳的な意味合いを持つ行為を指す。 【混同しやすい点】『act』は名詞としても動詞としても使われるが、『deed』は主に名詞として使われる。また、『act』は法律や演劇など、特定の文脈で専門的な意味を持つことがある。
行動、活動。プロセスや連続性のある行動を指すことが多い。ビジネスや政治、スポーツなど、目標達成のための活動を強調する場面で使われる。 【ニュアンスの違い】『deed』が個々の具体的な行為を指すのに対し、『action』はより抽象的で、継続的な活動やプロセスを指す。『deed』は結果に重点が置かれることが多いが、『action』はプロセス自体に重点が置かれる。 【混同しやすい点】『action』は不可算名詞として使われる場合と可算名詞として使われる場合がある。不可算名詞の場合は一般的な行動を指し、可算名詞の場合は具体的な行動や訴訟などを指す。
偉業、功績。並外れた技術や勇気を必要とする行為を指す。スポーツ、冒険、科学技術などの分野で、困難を克服して達成された成果を称賛する際に使われる。 【ニュアンスの違い】『deed』よりもポジティブな意味合いが強く、賞賛や尊敬の念が含まれる。『deed』は単なる行為を指すのに対し、『feat』は困難を伴う成功を意味する。 【混同しやすい点】『feat』は達成された結果に重点を置くため、行為の過程よりも結果の重要性が強調される。また、『feat』は日常会話よりもフォーマルな場面や文学的な表現で使われることが多い。
偉業、功績。英雄的な行為や冒険的な行為を指す。歴史的な出来事や伝説的な物語など、勇気や大胆さが際立つ行為を語る際に使われる。 【ニュアンスの違い】『deed』よりもさらに英雄的で、大胆な行為を意味する。『exploit』はしばしば、困難な状況や危険な状況下での成功を伴う。 【混同しやすい点】『exploit』は名詞として使われる場合と動詞として使われる場合がある。動詞の場合は、資源や人を不当に利用するというネガティブな意味を持つことがあるため、文脈に注意が必要。
業績、成果。努力や才能によって達成された結果を指す。ビジネス、学業、スポーツなど、目標達成を伴う活動全般に使われる。 【ニュアンスの違い】『deed』よりも具体的な結果や成果に重点が置かれる。『achievement』はしばしば、計画的な努力や継続的な努力の結果として得られる。 【混同しやすい点】『achievement』は可算名詞であり、具体的な成果物を指す。また、『achievement』は個人的な満足感や社会的な評価を伴うことが多い。
業績、成果。特定のスキルや能力を習得することによって達成された結果を指す。芸術、音楽、学問など、個人の能力向上を伴う活動に使われる。 【ニュアンスの違い】『deed』よりも個人の成長や能力開発に重点が置かれる。『accomplishment』はしばしば、長期的な努力や訓練の結果として得られる。 【混同しやすい点】『accomplishment』は可算名詞であり、具体的な成果物を指す。また、『accomplishment』は個人的な満足感や自己肯定感を高めることが多い。
派生語
『悪い行い』を意味する名詞。『mis-(誤った、悪い)』が接頭辞として付き、『deed(行い)』を否定的に修飾する。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や、法律・倫理に関する議論で用いられることが多い。意図的な悪事や不正行為を指すニュアンスがある。
最も基本的な動詞の一つで、『行う』という意味。名詞『deed』の語源であり、行為そのものを指す。日常会話からビジネス、学術まで幅広く使用され、非常に頻度が高い。様々な句動詞や複合語を形成し、英語表現の根幹をなす。
動名詞形で『行うこと』、あるいは現在分詞形で『行っていること』を意味する。具体的な行為や活動を指し、日常会話で頻繁に使われる。例えば、『What are you doing?(何をしているの?)』のように、現在の行動を尋ねる際によく用いられる。
反意語
- inaction
『何もしないこと』を意味する名詞。『in-(否定)』が接頭辞として付き、『action(行動)』を否定する。積極的な行動を意味する『deed』とは対照的に、意図的な不作為や、状況を傍観することを指す。ビジネスや政治の文脈で、責任回避や無策を批判する際に用いられる。
『省略』、『怠慢』を意味する名詞。何かを意図的に、あるいは不注意で『行わない』ことを指し、『deed』が積極的な行動を意味するのとは対照的である。契約書や報告書など、重要な情報が欠落している場合に用いられることが多い。責任問題に発展する可能性を含む。
『怠慢』、『不注意』を意味する名詞。本来すべき『deed(行為)』を怠った結果として生じる過失を指す。法律用語としても用いられ、損害賠償責任を問われる場面で頻繁に登場する。意図的な悪意に基づく行為(malfeasance)とは区別される。
語源
「deed」は、古英語の「dǣd」(行為、行動、出来事)に由来します。これはさらにゲルマン祖語の「*dēdiz」(行為、行動)に遡り、インド・ヨーロッパ祖語の語根「*dhē-」(置く、行う)と関連があります。つまり、「deed」の根本的な意味は「何かを行った結果」や「成し遂げられたこと」を指します。現代英語における「偉業」という意味合いは、この根本的な意味が発展したものであり、「証書」の意味は、土地や財産の譲渡という重要な「行為」を記録した文書であることから派生しました。日本語で例えるなら、「行い」や「所業」という言葉が近いニュアンスを持ち、それが特に立派なものであれば「偉業」と表現される、という流れと似ています。
暗記法
「deed」は単なる行動ではない。中世騎士道の物語では、名誉と武勇を示す「deed」が英雄の証だった。土地の権利を定める証書もまた「deed」と呼ばれ、社会秩序を支えた。近代では、慈善活動や社会貢献も「deed」に含まれ、カーネギーのような富豪の社会還元を意味した。現代では、個人の倫理観と責任が問われ、未来への影響を意識させる。言葉だけでなく行動で示すこと、それこそが「deed」の本質だ。
混同しやすい単語
『deed』と『did』は、どちらも短い単語で、母音の音が似ているため、発音を聞き間違えやすいです。『did』は動詞『do』の過去形で、疑問文や否定文を作る際に使う助動詞としても機能します。意味も文法的な役割も全く異なるため、文脈で判断することが重要です。特に、助動詞としての『did』は強調の意味を持つ場合もあるので、注意が必要です。
『deed』と『deal』は、母音の音が異なり(/iː/ vs /iːə/ または /ɛ/)、スペルも似ていますが、『ea』の部分が異なります。『deal』は『取引』、『協定』、『扱う』などの意味を持つ単語で、ビジネスシーンでよく使われます。発音の違いを意識し、文脈から意味を判断することが重要です。また、イディオム(e.g., big deal, good deal)も多いので、一緒に覚えておくと良いでしょう。
『deed』と『dead』は、スペルが似ており、母音の音が若干似ているため、視覚的に混同しやすいです。『dead』は『死んだ』という意味の形容詞、または『完全に』という意味の副詞として使われます。意味は全く異なります。特に、ニュース記事などで『dead』が出てきた場合は、注意して読む必要があります。
『deed』と『deity』は、最初の部分のスペルが同じで、発音も似ているため、混同しやすいです。『deity』は『神』を意味する名詞で、宗教的な文脈でよく使われます。例えば、ギリシャ神話の神々などを指す際に使われます。スペルと発音の違いを意識し、文脈から意味を判断することが重要です。
『deed』は、複数形になると『deeds』となり、『deeds』と『needs』はスペルと発音が似ているため混同しやすいです。『deeds』は『行い』や『行為』という意味の名詞で、『needs』は『必要』という意味の動詞または名詞です。文脈から判断する必要があります。特に、道徳的な意味合いを含む文脈では、『deeds』が使われることが多いです。
『deed』は法律用語としても使われ、不動産の『権利証書』という意味があります。日常会話での『行い』という意味と、法律用語としての意味があるため、文脈によって意味を判断する必要があります。法律関係の文章を読む際には、特に注意が必要です。
誤用例
『deed』は『行為』という意味を持ちますが、契約書への署名のような日常的な行為には通常使いません。『deed』は、歴史的な出来事や、勇気ある行動、または不動産譲渡証書など、重要で公式な行為を指すことが多いです。日本人が『行為』という言葉を安易に『deed』と訳してしまうのは、日本語の汎用性と英語の語彙のニュアンスの違いによるものです。より自然な表現としては『task』や『act』が適切です。
『deed』は『行い』の中でも、特に重要で記録に残るような行為を指します。日常的な親切な行いに対しては、少し大げさな印象を与えます。日本人が『善行』を『good deed』と直訳しがちですが、日常的な親切には『kindness』のような、より穏やかな表現が適しています。英語では、行為の重要度や文脈に応じて言葉を選ぶことが重要です。また、この文脈では、動名詞の helping を名詞的に使う事で、より自然な英語になります。
不動産譲渡証書(land deed)は、通常、専門用語や法律用語で書かれており、一般の人々が容易に理解できるものではありません。日本語の「誰にでもわかるように」という意図を直訳すると、文脈にそぐわない表現になることがあります。英語では、特定の文書の種類や状況に応じて、期待される言語スタイルが異なります。『deed』が不動産譲渡証書を指す場合、専門用語が多用されるのが一般的です。文化的背景として、法的な文書は明確性と正確性を重視するため、平易な言葉遣いは避けられる傾向があります。
文化的背景
「deed」は、単なる行為を超え、特に歴史的な文脈においては、個人の名誉、遺産、そして社会全体の秩序を左右する重大な決断や業績を意味してきました。古英語の「dēd」に由来するこの言葉は、中世の騎士道物語から近代の法的な文書まで、人間の意志と行動がもたらす永続的な影響力を象徴する言葉として使われ続けています。
中世ヨーロッパにおいては、騎士の「deed」は、武勇、忠誠心、そして名誉を体現するものでした。アーサー王物語に登場する円卓の騎士たちは、数々の冒険を通じて勇敢な「deed」を成し遂げ、その名声は後世にまで語り継がれました。これらの物語は、個人の行動が社会に与える影響の大きさを強調し、「deed」が単なる行為ではなく、その人の人格や価値観を反映するものであることを示唆しています。また、土地の所有権を証明する「土地証書(land deed)」のように、法的な意味合いも持ち、社会的な契約や権利を保護する役割を果たしてきました。
近代に入ると、「deed」は、より広い意味で、社会的な貢献や慈善活動を指すようになります。産業革命以降、富を築いた実業家たちが、病院や学校を建設するなどの「good deed(善行)」を通じて社会に貢献する姿は、新たな英雄像として描かれました。アンドリュー・カーネギーのような人物は、「富豪の福音」を唱え、富を社会に還元する「deed」こそが、真の成功であると説きました。このような考え方は、現代の企業の社会的責任(CSR)の概念にも繋がっています。
現代社会においては、「deed」は、個人の倫理観や社会的な責任を問う言葉として、その重要性を増しています。環境問題や人権問題など、地球規模の課題に直面する中で、私たち一人ひとりの「deed」が、未来の世代にどのような影響を与えるのかを意識する必要があります。「言行一致」という言葉があるように、言葉だけでなく、行動によって示すことの重要性は、今も昔も変わらないのです。小さな「deed」の積み重ねが、より良い社会を築くための礎となることを、「deed」という言葉は教えてくれます。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題、長文読解で出題される可能性があります。出題形式は空所補充や同意語選択など。法的文書や歴史的な文脈で使われることが多いです。注意点としては、'good deed'(善行)のようなコロケーションを覚えておくと役立ちます。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解)で登場する可能性があります。ビジネス関連の契約書や報告書などの文脈で使われることがあります。頻度は高くありませんが、'deed of agreement'(合意書)のような複合名詞として覚えておくと良いでしょう。
リーディングセクションで出題される可能性があります。アカデミックな文章、特に歴史、倫理、法律などの分野で使われることが多いです。'a brave deed'(勇敢な行い)のように、抽象的な意味合いで使われることが多いので、文脈から意味を推測する練習が必要です。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。歴史的な出来事や文学作品に関する文章で使われることがあります。文脈から「行為」「功績」「証書」といった意味を判断する必要があります。また、関連語句として'do a deed'(行為を行う)なども覚えておきましょう。