capacity
第一音節の /ə/ は曖昧母音で、日本語の『ア』よりも弱く、口を軽く開ける程度で発音します。第二音節に強勢(ˈ)があります。最後の /ti/ は、アメリカ英語ではしばしば弱い『ディ』のような音になることがあります。/æ/ は日本語の『ア』と『エ』の中間のような音で、口を大きく開けて発音するのがポイントです。
収容力
物理的な空間や、組織・システムなどが受け入れられる量や規模を表す。例:スタジアムの収容力、サーバーの処理能力など。
The small concert hall's capacity was only 500 people, so many fans couldn't get tickets.
その小さなコンサートホールの収容人数はたった500人だったので、多くのファンがチケットを買えませんでした。
※ 人気のコンサートで、会場が小さすぎて多くのファンがチケットを買えなかった、残念な状況です。このように、コンサート会場や劇場、スタジアムなど、人が集まる場所の「収容人数」や「定員」を表すときに 'capacity' は非常によく使われます。物だけでなく、人が入れる最大数を指す典型的な使い方です。
Our small car doesn't have enough capacity for all our camping gear.
私たちの小さな車には、キャンプ用品すべてを載せる十分な積載量がありません。
※ 家族旅行でキャンプに行く準備中、小さな車にたくさんの荷物を積み込もうとしているけれど、どうしても全部は入らない、困った状況を表しています。車やバッグ、箱など、物理的なものが「どれだけの物を入れられるか」という「容量」や「積載量」を言うときにも 'capacity' は頻繁に使われます。'enough capacity for A' で「Aを入れるのに十分な容量」という意味になります。
We need to check the meeting room's capacity before inviting all 30 team members.
チームメンバー30人全員を招待する前に、会議室の収容人数を確認する必要があります。
※ ビジネスシーンで、会議の準備をしている担当者が、予約しようとしている会議室に全員が入れるか心配して確認している様子です。このように、会議室や教室、レストランなどの「収容人数」や「座席数」について話すときにも 'capacity' は自然に使われます。'check the capacity' は、場所の定員を確認する際によく使う表現です。
潜在能力
人が秘めている才能や、物事が持つ可能性を指す。例:潜在能力を開発する、組織の潜在能力を引き出す。
The teacher believed the quiet student had a huge capacity for creative writing.
先生は、その静かな生徒が創造的な文章を書く巨大な潜在能力を持っていると信じていました。
※ この例文は、先生が生徒のまだ見ぬ才能や可能性を信じている温かい情景を描いています。「capacity for ~ing」の形で「〜する能力」という意味を表し、人が秘めている才能や将来性を語る際にとてもよく使われます。静かな生徒が実はすごい才能を秘めている、という物語のような場面がイメージできますね。
When things got tough, he found his inner capacity to never give up.
状況が厳しくなった時、彼は決して諦めないという内なる潜在能力を見つけ出しました。
※ 困難な状況に直面し、苦しい中で、自分の中に秘めていた「諦めない力」を発見する、感動的な瞬間を描いています。「inner capacity」は「内なる、秘めた潜在能力」というニュアンスを強め、逆境を乗り越える心の強さを表現する際によく用いられます。「to never give up」のように、具体的な行動と結びつけることで、その能力が何であるかが鮮明になります。
The manager believes our new team has a great capacity to achieve big goals.
マネージャーは、私たちの新しいチームが大きな目標を達成する素晴らしい潜在能力を持っていると信じています。
※ この例文は、新しいチームが発足し、マネージャーがそのチームの未来に大きな期待を寄せている、前向きなビジネスシーンを想像させます。組織やグループが持つ「可能性」や「能力」を評価する文脈で頻繁に使われます。「has a capacity to do」の形で「〜する潜在能力がある」という表現を覚えましょう。具体的な「big goals(大きな目標)」と組み合わせることで、チームの未来が明るく見えてきますね。
資格
特定の役割や地位に就くために必要な能力や条件。例:弁護士の資格、役員としての資格。
She spoke to the public in her capacity as the new mayor.
彼女は新しい市長としての資格で、市民に語りかけました。
※ 新しい市長が、大勢の市民を前に、その役職の重みを背負って話している情景が目に浮かびます。この文は「〜としての資格で」という、'capacity'が最もよく使われる典型的な形を示しています。公式な立場や役割を明確にする際に非常に役立つ表現です。
He attended the meeting in his personal capacity, not for his company.
彼は会社のためではなく、個人的な資格でその会議に出席しました。
※ 会議室で、ある人物が会社の代表としてではなく、あくまで個人の意見を表明するために出席している様子が伝わります。「公的な立場ではなく、個人的な立場・資格で」というニュアンスを伝えたいときに 'in one's personal capacity' は頻繁に使われます。公私の区別を明確にする会話で役立ちます。
Because he was under 18, he did not have the legal capacity to sign the contract.
彼は18歳未満だったので、その契約に署名する法的資格がありませんでした。
※ 若い人が、重要な契約書を前にして、しかし法的な制限のために署名できない、少し残念そうな情景が想像できます。「法的資格」や「法的能力」という意味で 'legal capacity' はよく使われます。特定の行為を行うための法的な権限や能力について話す際によく登場する表現です。
コロケーション
профессиональной сфере
※ この表現は、ある人が仕事や職業上の役割において行動することを指します。単に「職業として」という意味だけでなく、「その専門的な立場に基づいて」というニュアンスを含みます。例えば、ボランティア活動に参加する場合でも、医師が医療に関するアドバイスをする場合は 'in a professional capacity' と言えます。ビジネスシーンで頻繁に使われ、フォーマルな印象を与えます。類似表現として 'in one's official capacity' がありますが、こちらはより公的な、組織を代表する立場を強調します。
余剰能力、過剰生産能力
※ これは、企業や組織が実際に使用している能力よりも多くの生産能力を持っている状態を指します。経済学やビジネスの文脈でよく用いられ、需要不足や不況時に問題となることがあります。例えば、工場がフル稼働していない状態などがこれに該当します。比喩的に、人が潜在能力を十分に発揮できていない状況を指すこともあります。
~の才能がある、~の可能性がある
※ この構文は、人が特定の能力や才能、または感情的な反応を示す潜在的な可能性を持っていることを示します。'have the potential for' と似た意味ですが、'capacity' はより内在的な、生まれつきの能力を強調する傾向があります。例えば、「彼はリーダーシップの才能がある」を 'He has the capacity for leadership' と表現できます。教育や人材育成の分野でよく使用されます。
フル稼働で、最大限に
※ これは、機械、施設、または人が最大限の能力で活動している状態を指します。工場がフル稼働している場合や、劇場が満席の場合などに使われます。比喩的に、人が自分の能力を最大限に発揮している状態を指すこともあります。'to the fullest extent' と似た意味合いですが、'at full capacity' は物理的な限界や能力の限界を示唆します。
稼働能力、運転能力
※ これは、機械やシステムが実際に稼働している能力のレベルを指します。企業の生産能力を評価する際や、機械の効率を分析する際に用いられます。例えば、工場の稼働率が80%である場合、'The factory is operating at 80% capacity' と表現します。技術的な文脈でよく使用されます。
~の能力範囲内で、~の許容範囲内で
※ これは、ある行為やタスクが、特定の人物や組織の能力や権限の範囲内であることを示します。例えば、「それは私の権限の範囲内です」を 'That is within my capacity' と表現できます。法的な文書や契約書などでよく使用され、責任の所在を明確にするために役立ちます。
限られた能力、制限された容量
※ これは、利用可能なスペース、リソース、または能力が限られている状態を指します。例えば、コンサート会場の収容人数が限られている場合や、コンピューターのメモリ容量が少ない場合などに使われます。比喩的に、人の理解力や忍耐力が限られていることを指すこともあります。
使用シーン
学術論文や教科書で頻繁に使用される。特に、統計学、心理学、工学などの分野で、「能力」「容量」「処理能力」といった意味で使われる。例:『この研究では、人間の短期記憶の容量(capacity)がどのように影響を受けるかを調査した。』のように、研究対象の限界や潜在能力を議論する際に用いられる。
ビジネス文書や会議で、組織や個人の「能力」「生産能力」「収容能力」を説明する際に使われる。例:『当社の生産能力(capacity)は、現在の需要を満たすのに十分である。』のように、具体的な数量や潜在的な可能性を示す文脈で利用される。人事評価で個人の潜在能力について言及する際にも使われる事がある。
日常会話ではあまり使われないが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、「収容力」「容量」といった意味で使われることがある。例:『このスタジアムの収容人数(capacity)は5万人です。』のように、公共施設やイベントに関する報道で目にすることがある。また、比喩的に「もうキャパシティオーバーだ」のように、個人の処理能力の限界を表す際に用いられることもある。
関連語
類義語
『能力』や『力量』という意味で、個人や組織が特定のタスクを遂行できる潜在的な力やスキルを指す。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『capacity』は物理的な容量や潜在的な能力を指すことが多いのに対し、『capability』はより具体的なスキルや実績を伴う能力を指す。例えば、工場の生産能力は『capacity』、従業員のスキルは『capability』。 【混同しやすい点】『capability』は、実際に何かを成し遂げられる『潜在能力+それを実現するためのスキルや手段』を含むニュアンスがあるため、単なる『capacity』を超えた意味合いを持つ場合がある。
『能力』という意味で、何かをすることができる一般的な力や才能を指す。日常会話、ビジネス、学術など、非常に広範な状況で使用される。 【ニュアンスの違い】『ability』は抽象的な『能力』を指し、『capacity』は潜在的な量や規模、『capability』は具体的なスキルを指す。『ability』は、例えば「抽象的な問題解決能力」のように、より広範な概念を指す。 【混同しやすい点】『ability』は、具体的な訓練や経験に基づかない、生まれつきの才能や潜在能力を指す場合がある。一方、『capacity』は、訓練や経験によって向上する可能性のある潜在能力を指す。
『容積』や『容量』という意味で、物理的な空間や容器の大きさを指す。主に物理学、数学、料理などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『capacity』は抽象的な『収容能力』を指すのに対し、『volume』は具体的な『体積』を指す。例えば、液体の体積は『volume』、会議室の収容人数は『capacity』。 【混同しやすい点】『volume』は、音量や書籍の巻数など、物理的な大きさ以外の意味も持つため、文脈によって意味が大きく異なる点に注意が必要。
『潜在能力』という意味で、まだ実現されていない、将来的に発揮される可能性のある能力を指す。ビジネス、教育、心理学など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『capacity』は、現在の収容能力や処理能力を指すのに対し、『potential』は、将来的に開発される可能性のある能力を指す。例えば、個人の学習能力は『potential』、サーバーの処理能力は『capacity』。 【混同しやすい点】『potential』は、必ずしも実現されるとは限らない『可能性』を指すため、『capacity』のように具体的な数値を伴う場合とは異なる。
『余地』や『空間』という意味で、物理的な空間だけでなく、時間的な余裕や可能性を指す。日常会話、ビジネスなど、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『capacity』は、最大収容能力や処理能力を指すのに対し、『room』は、まだ利用されていない空間や余裕を指す。例えば、冷蔵庫の空きスペースは『room』、会議室の収容人数は『capacity』。 【混同しやすい点】『room』は、物理的な空間だけでなく、『改善の余地がある』のように、抽象的な意味でも使用されるため、文脈によって意味が大きく異なる点に注意が必要。
『範囲』や『規模』という意味で、活動、影響、または調査などが及ぶ領域を指す。ビジネス、学術、法律など、フォーマルな場面でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『capacity』は、何かが収容または処理できる最大量を指すのに対し、『scope』は、活動や影響が及ぶ範囲を指す。プロジェクトの範囲(scope of the project)のように使う。 【混同しやすい点】『scope』は、物理的な量よりも抽象的な概念や活動の範囲を指すため、具体的な数値で表される『capacity』とは異なる。
派生語
『能力がある』という意味の形容詞。『capacity』の語源であるラテン語の『capax(受け入れることができる)』に由来し、『-able』が付いて形容詞化。人や組織の能力を評価する際に広く用いられ、日常会話からビジネスシーンまで頻繁に登場。
- capacitate
『能力を与える』という意味の動詞。『capacity』に動詞化接尾辞『-itate』が付加。法律や医学の分野で、人に法的または身体的な能力を与えるという意味で使用される。使用頻度は高くないが、特定の専門分野では重要な語彙。
『無能力にする』という意味の動詞。接頭辞『in-(否定)』が『capacitate』に付加され、能力を奪うという意味になる。事故や病気などで人が一時的または恒久的に能力を失う状況を表す際に用いられ、医療、法律、ニュースなどで見られる。
反意語
『能力の欠如』を意味する名詞。『ability(能力)』に否定の接頭辞『in-』が付いた形。『capacity』が潜在的な能力や許容量を指すのに対し、『inability』は実際に能力がない状態を指す。日常会話でも使われるが、ビジネスや学術的な文脈でも頻繁に用いられる。
『制限』を意味する名詞。『capacity』がある範囲内での許容量を指すのに対し、『limitation』はその範囲を超えることができない制約を意味する。物理的な制限だけでなく、能力や資源の制約など、抽象的な概念にも用いられる。例えば、プロジェクトの『capacity』は人員や予算で決まるが、『limitation』は技術的な制約や法規制などによって生じる。
- insufficiency
『不十分』を意味する名詞。『sufficiency(十分)』に否定の接頭辞『in-』が付いた形。『capacity』が十分な許容量を持っている状態を指すのに対し、『insufficiency』は必要な量や能力が不足している状態を表す。資源の不足、能力の不足など、様々な状況で用いられる。
語源
"capacity」はラテン語の「capax」(受け入れることができる、広い)に由来します。これはさらに「capere」(取る、つかむ、保持する)という動詞から派生しています。「capere」は、何かを「手に入れる」という基本的な意味合いを持ち、それが「収容する」「保持する」という概念へと発展しました。「capacity」は、この「capax」に名詞を作る接尾辞「-ity」が付いたもので、文字通りには「受け入れることができる性質」を意味します。日本語で例えるなら、「器」という言葉が近いかもしれません。器の大きさ、つまり「収容力」や、内に秘めた「潜在能力」といった意味合いにつながります。また、何かを「行う資格」という意味も、何かを「受け持つ」能力があるという語源的な背景から理解できます。このように、「capacity」は、何かを「受け入れる」「保持する」という根源的なイメージから、多様な意味へと広がっていった単語と言えるでしょう。
暗記法
「capacity」は単なる容積ではない。中世の修道院では知識の集積を、ルネサンス期には天才の創造性を示した。産業革命以降は経済成長の指標となり、現代ではデータ容量や精神的限界も意味する。変化の時代、「capacity」は個人、組織、社会の対応力を測るバロメーター。その変遷は、人類の挑戦の歴史でもある。
混同しやすい単語
'capacity' と 'capability' は、意味が近く、スペルも似ているため混同しやすいです。'capacity' は『容量、能力』といった物理的、または潜在的な量を指すことが多いのに対し、'capability' は『能力、力量』といった実際に発揮できる能力を指します。日本語でも『キャパシティ』として使われることがありますが、英語でのニュアンスの違いに注意が必要です。語源的には、どちらもラテン語の 'capax'(受け入れることができる)に由来しますが、'capacity' は直接的な量を、'capability' は抽象的な能力を表すように発展しました。
'capacity' と語源を同じくする形容詞で、『広々とした、容量が大きい』という意味です。スペルが似ているため、混同しやすいですが、品詞が異なるため注意が必要です。'capacity' が名詞であるのに対し、'capacious' は形容詞です。例えば、『capacious room(広々とした部屋)』のように使われます。'capacity' は抽象的な『容量』も表しますが、'capacious' は物理的な広さを表すことが多いです。
'except' と 'accept' は、発音が非常に似ており、スペルも 'ex-' と 'ac-' の違いだけなので、混同しやすいです。'accept' は『受け入れる』という意味の動詞で、'capacity' とは意味が全く異なります。'capacity' は名詞であるのに対し、'accept' は動詞であるという品詞の違いに注意しましょう。また、'accept' は後ろに目的語を取る他動詞であることも重要です。
'access' は『アクセス、接近』という意味の名詞または動詞で、発音とスペルが 'capacity' と部分的に似ているため、特に語彙力が不足している学習者は混同しやすいです。'capacity' は『容量』、'access' は『接近』と意味が全く異なるため、文脈で判断することが重要です。'access' は情報技術の分野でよく使われる単語であり、カタカナ英語としても馴染みがありますが、英語での正確な意味を理解しておく必要があります。
'opacity' は『不透明度、曖昧さ』という意味の名詞で、語尾の '-ity' が共通しているため 'capacity' とスペルが似ていると感じるかもしれません。意味も 'capacity' の持つ『不明瞭な能力』のようなニュアンスと結びつけて誤解する可能性があります。'opacity' は主に光の透過性や、概念のわかりにくさを表す際に使用されます。例えば、『the opacity of the government's plan(政府の計画の曖昧さ)』のように使われます。
'escape' は『脱出、逃避』という意味の動詞または名詞で、'capacity' と直接的な類似性はありませんが、スペルの視覚的な印象が似ているため、特に急いで読んでいる時に誤読する可能性があります。'capacity' は名詞であり、'escape' は動詞または名詞であるという品詞の違いを意識することが重要です。また、'escape' は日常会話や映画などでも頻繁に使われる単語なので、意味をしっかりと覚えておくことが大切です。
誤用例
日本語で「収容能力」という場合、「〜を収容する能力」という発想から 'capacity of holding' と表現しがちですが、英語の 'capacity' はそれ自体が「収容能力」という意味を含むため、'of holding' は冗長です。'capacity of + 数' で「〜の収容能力」と表現するのが自然です。これは、日本語の助詞(この場合は「を」)に引きずられて、英語で不必要な動名詞句を付け加えてしまう典型的な例です。英語では、名詞が持つ意味範囲を理解し、簡潔に表現することが重要です。
'Capacity' は能力や才能を指すことが多いですが、この文脈では「アイロニーを理解する**気質**」や「**心の余裕**」といった意味合いで使いたい場合があります。このような場合、'disposition'(気質、性質)や 'inclination'(傾向、好み)の方がより適切です。日本語では「能力がない」と一言で表現できますが、英語ではその背後にあるニュアンスによって適切な単語を選ぶ必要があります。特に、感情や性格に関わる事柄は、より具体的な語彙を選択することが重要です。また、英語では直接的な表現を避け、婉曲的な表現を好む文化があるため、'capacity' のように直接的な単語よりも、'disposition' のような間接的な単語が好まれることもあります。
「もうキャパシティがいっぱいです」という日本語を直訳するとこのようになりがちですが、'capacity' は不可算名詞として、抽象的な「容量」を指すことが多いです。そのため、「脳みそが容量でいっぱい」という表現は不自然です。より自然な英語としては、'I'm at full capacity.'(私は最大限の能力を発揮している/余裕がない)という表現が適切です。これは、「状態」を表すイディオムを覚えることで、より自然な英語表現ができるようになる良い例です。また、英語では自分自身の状態を客観的に表現することが好まれるため、'My brain...' のように主観的な表現を避ける方が、より洗練された印象を与えます。
文化的背景
「capacity(キャパシティ)」は、単に物理的な容積を示すだけでなく、人間の潜在能力や組織の対応力、さらには社会全体の許容度を測る、文化的なバロメーターとしての役割も担ってきました。特に近代以降、技術革新や社会変革の速度が増すにつれて、「capacity」という言葉は、個人、組織、そして社会が変化に対応し、新たな課題を吸収できる能力を指し示す、重要な概念として認識されるようになったのです。
中世ヨーロッパにおいては、修道院や大学といった知的共同体の「capacity」は、知識の集積と伝播の規模を示す指標でした。写本を保管する書庫の大きさや、講義を行うことができる人数の多さは、その共同体の学術的な影響力を測る上で重要な要素となり、「capacity」は知識の許容量と、それを社会に広める潜在能力を象徴していました。ルネサンス期には、芸術家や科学者の「capacity」は、創造性や革新性を表す言葉として用いられ、レオナルド・ダ・ヴィンチのような万能の天才は、比類なき「capacity」を持つ人物として賞賛されました。
産業革命以降、「capacity」は主に生産能力や輸送能力といった、経済的な意味合いを強めていきます。工場や鉄道の「capacity」は、経済成長の速度を決定づける重要な要素となり、「capacity building(能力開発)」という言葉は、国家や企業の競争力を高めるための戦略的な取り組みを指すようになりました。現代社会においては、情報技術の発展により、「capacity」はデータストレージやネットワークの帯域幅といった、デジタルな領域における許容量を示す言葉としても頻繁に使われるようになっています。
さらに、「capacity」は人間の感情や精神的な限界を表す言葉としても用いられます。「I've reached my capacity(もう限界だ)」という表現は、ストレスやプレッシャーに耐えきれなくなった状態を表し、現代社会におけるメンタルヘルスの問題と深く結びついています。このように、「capacity」は単なる物理的な容積を示す言葉から、人間の潜在能力、組織の対応力、社会の許容度、そして精神的な限界まで、多岐にわたる意味合いを持つ、文化的なキーワードとして、私たちの生活に深く根付いているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でもまれに出題
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容、環境問題、社会問題など
- 学習者への注意点・アドバイス: 「収容能力」「潜在能力」など複数の意味を理解。類義語の'ability'や'potential'との使い分けに注意。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で比較的頻出
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(会議、プロジェクト、生産能力など)
- 学習者への注意点・アドバイス: 「生産能力」「処理能力」といったビジネス特有の文脈での意味を把握。'capability'との違いを理解。
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容(科学、歴史、社会学など)。抽象的な概念を表すことが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈での意味を理解。'capacity for'の形で使われることが多い。類義語とのニュアンスの違いを意識。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出
- 文脈・例題の特徴: 社会科学、自然科学、人文科学など幅広い分野
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。「〜の容量」「〜の能力」といった基本的な意味に加え、比喩的な意味も理解しておく。