incapacitate
第3音節 'pæs' に最も強いアクセントがあります。'in' は弱く、'ン'に近い音になる点に注意しましょう。また、'æ' は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。最後の 'teɪt' は二重母音で、'テェイト'と区切らず、一息で発音するとより自然になります。'pæs'の'æ'を意識して発音することで、よりネイティブに近い発音になります。
専門的な内容に関するご注意
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無力化する
物理的、精神的な力や機能を奪い、活動できない状態にすること。事故や病気、または策略によって一時的または恒久的に能力を失わせる状況で使われる。
My high fever completely incapacitated me, so I couldn't even get out of bed for two days.
高熱で完全に動けなくなり、2日間ベッドから出ることさえできませんでした。
※ 【情景】熱で体がだるく、ベッドから起き上がれない辛い状況が目に浮かびますね。 【解説】「incapacitate」は、病気や怪我で体が動かなくなったり、機能しなくなったりする状態によく使われます。この例文では、高熱が原因で「私」が「無力化された(動けなくなった)」ことを表しています。 【文法/ヒント】「so I couldn't even...」は「~だったので、…さえできなかった」と結果を説明する典型的な表現です。
The shocking news completely incapacitated her, leaving her speechless and unable to react.
その衝撃的なニュースは彼女を完全に無力化し、言葉も出ず反応することもできなくさせました。
※ 【情景】突然の衝撃的な知らせに、頭が真っ白になり、何も手につかない、そんな心の状態が伝わります。 【解説】この文では、精神的なショックや感情が人を「無力化する(何も考えたり、行動したりできなくする)」様子を示しています。「incapacitate」は、体だけでなく、精神的な機能が麻痺する際にも使われます。 【文法/ヒント】「leaving her speechless and unable to react」は「~のままにさせた」という意味で、結果や状態を付け加える表現です。
A major cyber attack incapacitated the company's network, causing widespread disruption.
大規模なサイバー攻撃がその会社のネットワークを機能停止させ、広範囲にわたる混乱を引き起こしました。
※ 【情景】サイバー攻撃によって企業のシステムがダウンし、業務がストップしてしまう、緊迫した状況が想像できます。 【解説】「incapacitate」は、機械やシステムが故障したり、外部からの影響で機能しなくなったりする状況でも使われます。ここでは、サイバー攻撃がネットワークを「機能停止させた(無力化した)」ことを意味します。 【文法/ヒント】「causing widespread disruption」は「~を引き起こしながら」と、その結果を説明する形でよく使われます。ニュースやビジネスの文脈で頻出します。
活動停止させる
機械やシステム、組織などの機能を停止させ、動けない状態にすること。故障や損傷、または意図的な操作によって機能を停止させる状況で使われる。
The high fever completely incapacitated him for several days.
高熱が彼を数日間、完全に活動不能にしました。
※ この例文では、病気や体調不良で「体が動かせない、仕事ができない」といった状態を表しています。ベッドで熱にうなされ、何もできない男性の姿が目に浮かびますね。病気によって身体能力が奪われる、という状況でよく使われます。
A sudden power outage incapacitated the entire office building.
突然の停電が、オフィスビル全体を機能停止させました。
※ ここでは、電気系統のトラブル(停電)によって、建物やその中のシステムが「機能しなくなる」様子を描いています。電気がなくなり、パソコンも照明も使えず、誰も仕事ができない状況をイメージしてみてください。物理的な出来事が、何かを機能停止させる典型的な例です。
The strong blow to his head incapacitated the boxer.
頭部への強い一撃が、そのボクサーを戦闘不能にしました。
※ この例文は、物理的な衝撃によって人が「意識を失う、または動けなくなる」状況を表しています。ボクシングの試合で、パンチを受けてリングに倒れ、立てなくなった選手の姿が目に浮かぶでしょう。誰か(何か)を無力化する、という直接的な行動にも使われます。
コロケーション
重度の機能不全に陥らせる、深刻な行動不能状態にする
※ 「severely」は程度が甚だしいことを表す副詞で、「incapacitate」を修飾することで、単に機能不全にするだけでなく、その程度が非常に深刻であることを強調します。事故や病気などによって、日常生活を送ることさえ困難になるような状況で使われます。例えば、「The accident severely incapacitated him, leaving him unable to walk.(その事故で彼は重度の機能不全に陥り、歩けなくなった)」のように使われます。医学、法律、保険などの分野で、状態の深刻さを明確に示すために用いられることが多い表現です。
一時的に機能不全にする、一時的に行動不能にする
※ 「temporarily」は一時的であることを表す副詞で、「incapacitate」を修飾することで、機能不全や行動不能の状態が一時的なものであることを示します。病気、怪我、薬の副作用などによって、一時的に能力が低下したり、活動が制限されたりする状況で使われます。例えば、「The flu temporarily incapacitated her, forcing her to stay home from work.(インフルエンザで彼女は一時的に体調を崩し、仕事を休まざるを得なかった)」のように使われます。この表現は、回復の見込みがある一時的な状態を指す場合に適しています。
(人が)~することを(病気や怪我などで)できなくする
※ 「from doing something」を伴うことで、特定の行動や活動ができなくなる原因が「incapacitate」にあることを明確にします。病気や怪我だけでなく、精神的な理由で行動できなくなる場合にも使えます。たとえば、「His fear of flying incapacitated him from attending the conference abroad.(彼は飛行機恐怖症のため、海外の会議に出席できなかった)」のように使われます。文法的には「prevent someone from doing something」と似ていますが、「incapacitate」はより深刻な、能力の喪失を伴うニュアンスがあります。ビジネスシーンやフォーマルな場面で、行動制限の理由を説明する際に適しています。
法的に無能力であると認定された
※ 法律用語として用いられ、認知症や精神疾患などにより、財産管理や契約などの法的行為を行う能力がないと裁判所が判断した場合に使われます。この状態になると、成年後見人などが選任され、本人の代わりに法的行為を行うことになります。例えば、「He was declared legally incapacitated due to advanced Alzheimer's disease.(彼は進行したアルツハイマー病のため、法的に無能力であると宣告された)」のように使われます。非常にフォーマルな表現で、法律、医療、福祉などの分野で用いられます。
車両を使用不能にする
※ 車両を物理的に破壊したり、部品を取り外したりして、走行できない状態にすることを指します。軍事作戦や警察活動において、敵の車両や逃走車両を阻止する目的で行われることがあります。例えば、「The police incapacitated the getaway car by shooting out its tires.(警察はタイヤを撃ち抜いて逃走車両を使用不能にした)」のように使われます。口語的な表現としては「disable a vehicle」も使えますが、「incapacitate」はより意図的で、完全に機能停止させるニュアンスが強いです。ニュースやドキュメンタリーなどで見聞きすることが多い表現です。
恐怖が(人を)無力にする
※ 恐怖という感情が、人の思考や行動を麻痺させ、本来持っている能力を発揮できなくさせることを意味します。比喩的な表現で、心理学や自己啓発の分野でよく使われます。例えば、「The fear of failure often incapacitates people from pursuing their dreams.(失敗への恐れは、しばしば人々が夢を追いかけることを阻害する)」のように使われます。この表現は、恐怖がもたらす精神的な影響を強調する際に効果的です。文学作品やスピーチなど、感情に訴えかける文脈で用いられることが多いです。
使用シーン
学術論文や研究発表で、病気や怪我、または心理的な要因によって能力が低下する状況を説明する際に用いられます。例えば、医学論文で「重度の感染症が患者を一時的に無力化する可能性がある」と記述したり、心理学の研究で「強いストレスが認知機能を低下させ、意思決定能力を無力化する」と説明したりする場面が考えられます。
ビジネス文書や会議で、事故や災害、またはシステム障害によって業務が停止する状況を報告する際に使用されます。例えば、報告書で「サプライチェーンの寸断により、生産ラインが無力化された」と記述したり、リスク管理に関する会議で「サイバー攻撃によって基幹システムが無力化されるリスクがある」と議論したりする場面が想定されます。フォーマルな文脈で使われることが多いです。
ニュース記事やドキュメンタリー番組で、事故や事件、または自然災害によって人々が行動不能になる状況を報道する際に使われることがあります。例えば、ニュース記事で「大雪により交通網が無力化され、多くの人が帰宅困難になった」と報道したり、ドキュメンタリー番組で「毒ガスが人々を無力化し、パニックを引き起こした」と解説したりする場面が考えられます。日常会話ではあまり使われません。
関連語
類義語
(人や機械などを)機能不全にする、使用不能にする。身体的または精神的な能力を奪う場合にも使われる。ビジネス、医療、技術分野などで使用頻度が高い。 【ニュアンスの違い】「incapacitate」よりも広い意味を持ち、一時的なものから永続的なものまで、様々な状態を表せる。感情的なニュアンスは比較的少ない。 【混同しやすい点】「disable」は、機械やシステムに対しても使用できる点が「incapacitate」と異なる。また、形容詞形「disabled」(障害のある)は、社会的な文脈で頻繁に使用される。
(人や物を)弱める、力を奪う。体力、精神力、構造的な強度など、様々な対象に使用できる。日常会話から学術的な文脈まで幅広く用いられる。 【ニュアンスの違い】「incapacitate」よりも影響が小さい場合に使われることが多い。また、「weaken」は徐々に弱くなるプロセスを表すことが多い。 【混同しやすい点】「weaken」は、必ずしも完全に機能停止させるわけではない点が「incapacitate」と異なる。比喩的な意味合いで使用されることも多い(例:a weaken argument)。
- immobilize
(人や物を)動けなくする、固定する。物理的な動きを制限する場合に用いられる。医療、軍事、交通などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「incapacitate」よりも物理的な動きの制限に焦点が当てられている。一時的な措置として行われることが多い。 【混同しやすい点】「immobilize」は、必ずしも意識や能力を奪うわけではない点が「incapacitate」と異なる(例:骨折した腕を固定する)。
(人や体の一部を)麻痺させる。神経系の損傷などにより、運動機能が失われる状態を指す。医療、生物学などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「incapacitate」よりも深刻な状態を表し、永続的な機能障害を伴うことが多い。感情的なニュアンスも強い。 【混同しやすい点】「paralyze」は、必ずしも全身の機能を停止させるわけではない点が「incapacitate」と異なる。比喩的に「恐怖で身がすくむ」という意味でも使われる。
- debilitate
(人や物を)衰弱させる、弱らせる。病気、疲労、ストレスなどにより、体力や精神力が低下する状態を指す。医療、心理学などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「incapacitate」よりも徐々に衰弱していくプロセスを表すことが多い。長期的な影響を伴う場合に使用される。 【混同しやすい点】「debilitate」は、必ずしも完全に機能停止させるわけではない点が「incapacitate」と異なる。慢性的な状態を表すことが多い。
(人や物を)不自由にする、麻痺させる。身体的な障害により、正常な活動が困難になる状態を指す。日常会話では比喩的に使われることもある。 【ニュアンスの違い】「incapacitate」よりも深刻な状態を表し、永続的な障害を伴うことが多い。やや古風な表現であり、使用には注意が必要。 【混同しやすい点】「cripple」は、差別的な意味合いを含む可能性があるため、使用する際には注意が必要。比喩的に「経済を麻痺させる」などの意味でも使われる。
派生語
名詞で「能力、収容力」。『cap-(つかむ、保持する)』という語根から派生し、「何かを保持できる状態」から「能力」の意味へ。日常会話からビジネス、学術論文まで幅広く使用。incapacitate はこの capacity を奪うという意味。
形容詞で「能力がある、有能な」。capacity と同じ語根を持ち、「何かを成し遂げる能力を持っている」状態を示す。日常会話で人の能力を評価する際や、ビジネスシーンで要件を説明する際によく用いられる。接尾辞 '-able' は「〜できる」という性質を表す。
形容詞で「能力がない、できない」。接頭辞 'in-' が capable に付くことで、意味を反転させ、「能力がない」状態を表す。主に人の性質や状態を説明する際に使用され、フォーマルな場面でも用いられる。
反意語
動詞で「可能にする、できるようにする」。'en-' は「〜にする」という意味の接頭辞で、'able' (可能な) を「可能にする」という意味合い。incapacitate が能力を奪うのに対し、enable は能力を与える、あるいは発揮できるようにする。ビジネスや技術分野で頻繁に使用される。
動詞で「動員する、活動化する」。incapacitate が活動を停止させるのに対し、mobilize は人や資源を活動状態にする。軍事、政治、ビジネスなど幅広い文脈で使用され、比喩的に「意識や感情を動員する」という意味でも使われる。
動詞で「回復させる、復元する」。incapacitate が機能を損なわせるのに対し、restore は失われた機能を回復させる。健康、システム、文化財など、様々な対象に使用できる。特に医療やITの分野でよく用いられる。
語源
「incapacitate」は、何かを「無力化する」「活動停止させる」という意味ですが、その語源はラテン語に遡ります。この単語は、接頭辞「in-」(否定を表す)、語幹「capac-」(受け入れる、収容する、能力があるという意味のラテン語「capax」に由来)、そして動詞化する接尾辞「-itate」から構成されています。つまり、文字通りには「能力を奪う」「受け入れることができなくする」という意味合いになります。「capax」は、さらに「capere」(つかむ、取る)という動詞に関連しており、何かを把握する、理解する能力と結び付けて考えることができます。例えば、容器が何かを収容する能力があるように、人が何かを理解し、対処する能力を奪うイメージです。したがって、「incapacitate」は、単に物理的な活動を停止させるだけでなく、精神的な能力や判断力を奪う場合にも用いられます。
暗記法
「Incapacitate」は、単なる能力低下ではなく、抑圧や支配の歴史を映す言葉。中世の農奴は土地を奪われ、植民地では文化が否定された。現代でも、不正やハラスメント、情報操作が人を無力化する。個人の自由を奪う権力構造と深く結びつき、社会の活力をも蝕む。この言葉の陰には、常に不平等と不正義が潜んでいる。記憶の片隅に、その重みを刻み込んでほしい。
混同しやすい単語
スペルが非常に似ており、特に接頭辞 'in-' が共通しているため、視覚的に混同しやすい。'incapacitate' は『能力を奪う』という意味に対し、'incompatible' は『両立しない』という意味で、意味も大きく異なる。'in-' は否定を表す接頭辞であることを理解すると、意味の違いを覚えやすい。
スペルが似ており、'incapacitate' の形容詞形と誤解しやすい。'incapacitate' は動詞で『~を無力化する』、'incapable' は形容詞で『~する能力がない』という意味。文脈によって品詞が異なるため注意が必要。'capable'(能力がある)に否定の接頭辞 'in-' がついた形と考えると覚えやすい。
'except' と発音が似ており、特に語尾の子音クラスターが曖昧になりやすい。スペルも 'ac-' と 'ex-' の違いのみで、視覚的にも混同しやすい。'incapacitate' は『無力化する』、'accept' は『受け入れる』、'except' は『~を除いて』と意味が全く異なる。'ac-' は『~に向かって』、'ex-' は『外へ』という語源を知ると区別しやすい。
語源が共通しており、スペルも似ているため、意味を混同しやすい。'incapacitate' は『能力を奪う』という動詞であるのに対し、'capacity' は『容量』や『能力』といった名詞である。'capacity' が『能力』を表す名詞であることを理解し、'incapacitate' がその能力を奪う行為を表す動詞であると考えると、区別しやすい。
語頭の 'in-' の音と、語尾の '-iate' のスペルが共通しているため、視覚的・聴覚的に混同しやすい。'incapacitate' は『無力化する』という意味だが、'initiate' は『開始する』という意味で、意味は大きく異なる。'initiate' は新しいことを始めるイメージで、'incapacitate' は能力を失わせるイメージを持つと区別しやすい。
接頭辞 'im-' と語尾の '-ate' が共通しているため、スペルが似ていると感じやすい。また、意味も 'implicate' は『(事件などに)巻き込む』という意味で、間接的に能力を奪うような状況を連想させるため、意味の面でも混同しやすいかもしれない。'implicate' はラテン語の 'plicare'(折り畳む)に由来し、『複雑に巻き込む』イメージを持つと覚えやすい。
誤用例
『incapacitate』は、病気や怪我などによって『(身体的・精神的に)活動能力を奪う』という意味合いが強く、物理的な行動や活動を阻害するニュアンスが強いです。創造性を阻害するという文脈では、より抽象的な『stifle(抑圧する、窒息させる)』が適切です。日本人が『能力を奪う』という日本語に引っ張られ、直訳的に『incapacitate』を選んでしまうのは、語感のズレを生む典型的な例です。英語では、創造性や感情など、目に見えないものを抑え込む場合は、より比喩的な表現が好まれます。
『incapacitate』は、基本的にはネガティブな状況で使われます。美味しい料理で『身動きが取れない』という状況を表したい場合、日本語の感覚では『incapacitate』が当てはまるように感じるかもしれませんが、英語では不自然です。ここでは、『圧倒される』という意味の『overwhelmed』を使うのが適切です。日本人は、良い意味でも悪い意味でも『〜できない』という状態を同じ単語で表現しようとしがちですが、英語では状況に応じて使い分ける必要があります。また、英語では良い意味で『麻痺する』という表現は、通常、比喩的または誇張表現として扱われます。
『incapacitate』は、人や組織の活動能力を奪うことを意味しますが、抽象的な『評判』に対して使うのは不自然です。評判が傷つく、損なわれるという文脈では、『damage(損害を与える)』や『tarnish(汚す)』が適切です。日本人は、原因と結果の関係を直接的に表現しようとする傾向がありますが、英語ではより婉曲的な表現を好む場合があります。ここでは、スキャンダルが政治家の評判に与えた影響を、直接的に『incapacitate』で表現するのではなく、『damage』で間接的に表現する方が自然です。また、スキャンダルによって政治家が職務を遂行できなくなった、という意味合いを込める場合は、『The scandal incapacitated the politician, forcing him to resign.』のように表現できます。
文化的背景
「Incapacitate(無力化する)」は、単に物理的な力だけでなく、精神的な力、法的権利、社会的地位など、人が本来持っている能力を奪う行為を指し、しばしば抑圧や不当な支配といった負の文脈で用いられます。この語は、個人の自律性や自由を侵害する権力構造と密接に結びついており、その語源を辿ると、中世の封建制度における身分制度や、近世の植民地支配といった歴史的背景が浮かび上がってきます。
中世ヨーロッパにおいては、領主が農奴を「incapacitate」する、つまり、土地を離れる自由を奪い、移動の権利を制限することで、その労働力を搾取しました。これは単に身体的な拘束だけでなく、法的権利を剥奪し、社会的な地位を低めることで、農奴を自立できない状態に置く行為と言えます。また、近世の植民地支配においては、宗主国が植民地住民を「incapacitate」するために、教育機会を制限したり、伝統的な文化を否定したりすることで、精神的な自立を妨げました。さらに、法的・政治的な権利を剥奪することで、植民地住民を意思決定のプロセスから排除し、従属的な立場に置きました。
現代社会においても、「incapacitate」は、様々な形で現れます。例えば、企業の不正行為によって従業員が精神的に疲弊し、本来の能力を発揮できなくなる場合や、ハラスメントによって被害者が自己肯定感を失い、社会生活を送ることが困難になる場合などが挙げられます。また、政治的なプロパガンダや情報操作によって、人々が客観的な判断力を失い、特定の思想に誘導されることも、「incapacitate」の一形態と言えるでしょう。これらの例は、単に個人の能力が低下するだけでなく、社会全体の活力や健全性が損なわれることを示唆しています。
このように、「incapacitate」は、個人の自由や権利を侵害する権力構造と密接に結びついた言葉であり、その背景には、歴史的な抑圧や支配の構造が存在します。この語を理解することは、単に語彙力を高めるだけでなく、社会における権力関係や不平等を認識し、批判的な思考力を養う上で重要な意味を持つと言えるでしょう。現代社会において「incapacitate」という言葉が持つ意味を深く理解することは、自由と権利を守り、より公正な社会を築くために不可欠な視点を提供してくれるはずです。
試験傾向
主に準1級、1級の長文読解、語彙問題で出題。文脈から意味を推測させる問題や、類義語との比較が問われる。ライティングで使うにはやや硬い表現。
Part 5の語彙問題、Part 7の長文読解で稀に出題。ビジネスシーンでの事故や怪我、システムの故障など、機能不全の状態を表す文脈で登場しやすい。類義語との意味のニュアンスの違いを理解しておくことが重要。
リーディングセクションで比較的頻繁に出題される。アカデミックな文脈、特に医学、社会学、政治学などで、能力喪失や機能停止といった意味で使用される。ライティングでの使用も可能だが、フォーマルな文体に適する。
難関大学の長文読解で出題される可能性がある。文脈から意味を推測する問題が中心。医学部や法学部など、専門的な内容の文章で登場することがある。類義語(disable, paralyze)との使い分けも重要。