vivid
第1音節にアクセントがあります。母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を左右に少し開き、短く発音します。各音節を区切らず、流れるように発音するとより自然になります。最後の /d/ は、舌先を上の歯茎につけて発音する有声破裂音です。
生き生きとした
色、記憶、描写などが鮮やかで、生き生きとしている様子。感覚を刺激するような鮮明さを表す。
The little girl drew a picture with such vivid colors.
その幼い少女は、とても鮮やかな色で絵を描きました。
※ この例文は、子供が描いた絵が、赤や青、黄色といった色がパッと目に飛び込んでくるような、まぶしいほど「鮮やかな」様子を表しています。「vivid colors」は、絵画や写真、自然の景色など、目に見えるものの色がとても鮮やかであることを表現する際によく使われる典型的なフレーズです。まるで、元気いっぱいの少女が、絵の具を思いっきり使って、見る人を笑顔にするような絵を描いている情景が目に浮かびますね。
I had a very vivid dream last night about flying.
昨夜、空を飛ぶとても鮮明な夢を見ました。
※ ここでは、「vivid」が、起きたばかりでもまるで現実だったかのように「はっきりと、鮮明に」覚えている夢や記憶について使われています。空を飛ぶ夢は、多くの人が一度は見たことがあるかもしれません。その夢が、朝目覚めても細部までリアルに思い出せるほど印象的だった、という状況が伝わります。このように「vivid dream」や「vivid memory」は、心に残る経験を語る際によく使われます。
The history teacher gave us a vivid description of ancient Rome.
歴史の先生は、古代ローマについて生き生きとした説明をしてくれました。
※ この例文では、「vivid」が、話や描写が「生き生きとしていて、まるで目の前で見ているかのよう」に感じられる様子を表しています。先生が、ただ事実を述べるだけでなく、まるで古代ローマの街並みや人々の暮らしが目の前にあるかのように、臨場感たっぷりに話してくれた情景が目に浮かびます。生徒たちはその話に引き込まれ、歴史がぐっと身近に感じられたことでしょう。「vivid description」は、物語や講演、プレゼンテーションなどで、内容が非常に魅力的で分かりやすいときに使われる表現です。
鮮明な
映像や記憶がクリアで、細部までよく覚えている様子。または、想像力が掻き立てられるような鮮やかさ。
The painting uses very vivid colors.
その絵はとても鮮やかな色を使っています。
※ 美術館で、思わず息をのむほど美しい絵画の前に立っている情景です。「vivid」は絵画や写真、映像などの「色」が、目に焼き付くように鮮やかであることを表現するのに最もよく使われます。この例文は、視覚的な印象が強く残る場面にぴったりです。
I had a very vivid dream last night.
昨夜、私はとても鮮明な夢を見ました。
※ 朝起きて、昨晩見た夢がまるで現実のように、細部までくっきりと記憶に残っている情景です。「vivid」は「夢」や「記憶」が、まるで目の前で起きているかのように鮮明であることを表す際によく使われます。夢の内容がはっきりしていて、その印象が強く残っている時に使ってみましょう。
She gave a vivid description of her trip.
彼女は旅行の出来事を鮮やかに描写しました。
※ 友人が旅行の話をしていて、その語り口があまりに生き生きとしていて、聞いている人がまるで一緒に旅をしているかのように感じている情景です。「vivid」は、物語や説明、描写などが、まるでその場にいるかのように「生き生きとしている」「臨場感がある」ことを表現するのに適しています。話を聞いている人が情景をはっきり想像できるような時に使うと良いでしょう。
大胆な
色使いなどが派手で、目を引く様子。鮮やかで強い印象を与える。
She wore a dress with vivid patterns that really stood out in the crowd.
彼女は人混みの中でひときわ目立つ、鮮やかで大胆な模様のドレスを着ていました。
※ この例文では、ドレスの「vivid patterns(鮮やかな模様)」が、群衆の中で「stood out(際立っていた)」とありますね。これは、その模様がただ鮮やかなだけでなく、周りの目を引くほどの「大胆さ」を持っていたことを示しています。ファッションやデザインにおいて、色が「鮮烈で印象的」な場合に「大胆な」と表現されることがあります。
His speech was full of vivid details, making everyone feel like they were there.
彼のスピーチは鮮明で生々しい詳細に満ちており、聞いている人たちは皆、まるでその場にいるかのように感じました。
※ ここでは「vivid details(鮮明な詳細)」という表現が使われています。スピーチの内容があまりにも具体的で、聞く人がその情景を目の当たりにしているかのように感じさせるほど「強烈で印象的」だったことを表します。このように、描写や表現が非常に「生々しい」こと、あるいは「際立って大胆」な内容であることを示す際に使われます。
The director had a vivid vision for the new movie, aiming for something completely unique.
その監督は新しい映画のために、完全にユニークなものを目指すという、鮮烈で大胆な構想を持っていました。
※ 「vivid vision(鮮明な構想)」は、監督が心の中に非常にクリアで具体的なイメージを描いていることを意味します。そして「aiming for something completely unique(完全にユニークなものを目指す)」という行動が、その構想が単なるアイデアではなく、「常識を打ち破るような大胆さ」を伴っていることを示唆しています。発想や計画が「非常に明確で、かつ型破り」な場合に「大胆な」というニュアンスで使われます。
コロケーション
鮮明な記憶
※ 過去の出来事がまるで今起こっているかのように感じられるほど、詳細で生き生きとした記憶のこと。単に『覚えている』だけでなく、感情や感覚を伴ってリアルに思い出されるニュアンスがあります。例えば、『子供の頃の夏休みの vivid memory が蘇る』のように使います。特に個人的な経験や感情と結びついた記憶に対して用いられることが多いです。
豊かな想像力、鮮やかな想像力
※ 現実にはない情景やアイデアを、まるで目の前にあるかのように思い描く能力のこと。単に『想像力が豊か』なだけでなく、そのイメージが非常に具体的で、五感に訴えかけるような鮮やかさを持っていることを強調します。作家や芸術家など、創造的な活動をする人によく用いられる表現です。例えば、『彼女は vivid imagination で物語を紡ぎ出す』のように使います。
生き生きとした描写、鮮やかな描写
※ ある情景や人物、出来事などを、読者や聞き手がまるで実際に目にしているかのように感じられるほど詳細かつ鮮やかに表現すること。単に『説明』するだけでなく、言葉を通して五感に訴えかけるような臨場感を伝えるニュアンスがあります。小説やルポルタージュなどで、読者を引き込むために用いられることが多い表現です。例えば、『事件現場の vivid description が事件の真相を明らかにする』のように使います。
鮮やかな色彩
※ 非常に鮮やかで、目を引くような色のこと。単に『色が濃い』だけでなく、生き生きとしていて、エネルギーに満ち溢れているような印象を与えます。絵画、写真、ファッションなど、視覚的な美しさを追求する分野でよく用いられる表現です。例えば、『熱帯の花々は vivid colors で彩られている』のように使います。
鮮明な夢
※ 夢の内容が非常にリアルで、まるで現実の出来事のように感じられる夢のこと。単に『夢を見た』だけでなく、五感を通して体験したような感覚を伴う夢を指します。心理学や夢分析の文脈でよく用いられる表現です。例えば、『昨夜、vivid dream を見て、一日中そのことが頭から離れない』のように使います。
生き生きとした証言、鮮明な記録
※ ある出来事や経験について、詳細かつ生き生きと語られた証言や記録のこと。単に『報告』するだけでなく、語り手の感情や視点が反映され、聞き手や読み手に臨場感を与えるニュアンスがあります。歴史的な出来事や個人的な体験について語られる際に用いられることが多い表現です。例えば、『生存者の vivid account が惨状を物語る』のように使います。
鮮やかな対比
※ 二つの要素が互いに際立って異なっている様子。色の対比だけでなく、意見や状況、性格など、抽象的な概念の対比にも使われます。例えば「白と黒のvivid contrast」のように視覚的なものだけでなく、「彼の楽観的な性格と彼女の悲観的な性格のvivid contrast」のように比喩的な意味でも使えます。ビジネスシーンや学術的な文脈でも用いられます。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで、データや現象を説明する際に使われます。例えば、心理学の研究で「被験者の感情反応がvividに表れた」と記述したり、美術史の講義で「絵画の色彩がvividである」と表現したりします。研究対象を客観的かつ詳細に描写する文脈で用いられることが多いです。
ビジネス文書や会議で、アイデアや戦略を強調する際に使われることがあります。例として、マーケティング戦略会議で「顧客のニーズをvividに捉えたキャンペーン」を提案したり、報告書で「市場の変化がvividに現れている」と分析したりします。ただし、より直接的な表現を好む場合もあるため、使用頻度は高くありません。
日常会話では、感動や興奮を伝える際に稀に使われます。例えば、旅行の思い出を語る際に「夕焼けの色がvividだった」と表現したり、映画を見た感想として「映像がvividで印象的だった」と伝えたりします。しかし、より口語的な表現(amazing, beautifulなど)が好まれる傾向があります。
関連語
類義語
光が強く、輝いている状態を表す。物理的な明るさ、色、才能、知性など、多岐にわたる対象に使える。日常会話で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】vividは印象が鮮明で強烈であるのに対し、brightは単に明るい、輝いているという状態を表す。vividは感覚的な鮮やかさ、brightは物理的な明るさに重点がある。 【混同しやすい点】brightは人やアイデアの才能を表すことができるが、vividは通常、才能に対しては使われない。vividは記憶や描写など、より抽象的な概念に適用されることが多い。
多くの色が含まれている、または色鮮やかな状態を表す。物理的なもの(絵、服など)だけでなく、比喩的に人生や性格にも使える。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】vividは印象の鮮明さを強調するのに対し、colorfulは色の豊富さや多様性を強調する。vividは感情や記憶など、より内面的な鮮やかさを表すことができる。 【混同しやすい点】colorfulは必ずしもポジティブな意味合いを持つとは限らない。例えば、「colorful history(波乱万丈な歴史)」のように、ネガティブな状況を指す場合もある。vividは通常、ポジティブな意味合いで使用される。
詳細で生々しい描写を意味する。特に、暴力的な場面や性的な場面など、直接的で露骨な描写に使われることが多い。報道や文学で使用される。 【ニュアンスの違い】vividは印象の鮮明さを意味するが、graphicは描写の生々しさを意味する。vividは必ずしも不快な内容を含むとは限らないが、graphicはしばしば不快感や衝撃を与える。 【混同しやすい点】graphicは、vividよりも強い感情的な反応を引き起こす可能性が高い。graphicな描写は、受け手によっては不快感や精神的な苦痛を与えることがあるため、使用する際には注意が必要。
感情、感覚、活動などが非常に強い状態を表す。物理的なもの(光、熱など)にも、感情的なもの(愛情、憎しみなど)にも使える。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】vividは印象の鮮明さを意味するが、intenseは強さや激しさを意味する。vividは感覚的な印象に焦点を当てるのに対し、intenseは感情や力の度合いに焦点を当てる。 【混同しやすい点】intenseは必ずしも視覚的な鮮やかさを意味するとは限らない。例えば、「intense pain(激しい痛み)」のように、視覚以外の感覚にも使える。vividは主に視覚的な鮮やかさを表す。
人目を引く、印象的な、という意味。外見や行動など、目立つものに対して使われる。フォーマルな場面でも使用可能。 【ニュアンスの違い】vividは鮮明で生き生きとした印象を与えるのに対し、strikingは注目を集める、際立っているという印象を与える。vividは内面的な鮮やかさも表せるが、strikingは外見的な印象に重点を置く。 【混同しやすい点】strikingは、vividほど感情的な深さや感覚的な鮮やかさを伴わない。strikingは、単に目立つことや印象的であることを強調する。
自ら光を放っている、または光り輝いている状態を表す。主に文学的な表現や詩的な表現で使用される。物理的な光だけでなく、比喩的に精神的な輝きにも使える。 【ニュアンスの違い】vividは印象の鮮明さを意味するが、luminousは光り輝いている状態を意味する。vividは色や感覚の鮮やかさを表すことができるが、luminousは光に特化した表現である。 【混同しやすい点】luminousは日常会話ではあまり使われず、より文学的または詩的な文脈で使用されることが多い。vividは、より一般的で幅広い状況で使用できる。
派生語
『生き返らせる』『蘇生させる』という意味の動詞。「vivid」の語源であるラテン語の『vivere(生きる)』に、接頭辞『re-(再び)』が付いた形。死にかけていたものが再び活力を得るイメージで、比喩的にも使われる。日常会話、ニュース記事、文芸作品など幅広い文脈で用いられる。
- vivacious
『活発な』『快活な』という意味の形容詞。「vivid」と同様に『vivere(生きる)』を語源とする。生き生きとした様子、明るく元気な性格を表す際に用いられ、特に人物描写で頻繁に使われる。日常会話や文芸作品に多い。
- vivacity
『活発さ』『快活さ』という意味の名詞。「vivacious」から派生した抽象名詞で、生き生きとした様子や明るい性格という性質・状態を指す。人物評や状況描写に用いられる。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や文芸作品で使われる傾向がある。
反意語
『鈍い』『退屈な』という意味の形容詞。「vivid」が鮮やかさや活力を表すのに対し、「dull」は色彩の乏しさ、面白みのなさ、活気のなさを表す。物理的な対象(色、光)だけでなく、人の感覚や知性、状況など、幅広い対象に使用できる。日常会話で頻繁に使われる。
『青白い』『薄い』という意味の形容詞。「vivid」が鮮やかで強い色合いを表すのに対し、「pale」は色味が薄く、生気がない様子を表す。顔色や光、色彩などに対して用いられる。日常会話や描写的な文章で使われる。
『生命のない』『生気のない』という意味の形容詞。「vivid」が生き生きとした状態を表すのに対し、「lifeless」は生命力や活力が失われた状態を表す。具体的な物(死骸など)だけでなく、比喩的に感情や活動の停滞を指すこともある。ニュース記事や文芸作品で使用される。
語源
"vivid"は、ラテン語の"vividus"(生き生きとした、活発な)に由来します。この"vividus"は、さらに"vivere"(生きる)という動詞から派生しています。つまり、「生きる」という根源的な意味合いが、「鮮やかさ」や「活気」といった意味へと発展していったのです。たとえば、日本語で「生きた絵」という表現がありますが、これはまさにvividな絵を指すと言えるでしょう。生命力に満ち溢れ、見る人の心に強く訴えかけるようなイメージです。記憶に定着させるには、「ビビッドカラー」という言葉を思い出すと良いでしょう。生命力あふれる色、つまり鮮やかで生き生きとした色合いのことです。
暗記法
「vivid」は単なる鮮やかさではない。ロマン主義文学では、自然や感情の激しさを描き出す言葉として重用された。ワーズワースの詩が湖水地方の情景を鮮やかに蘇らせるように、シェリーの『フランケンシュタイン』が恐怖を強烈に伝えるように。夢や記憶を「vivid」と表現すれば、感情的な重みや人格への影響を強調できる。現代では広告や政治にも使われ、人々の心を動かす力を持つ。単なる色彩を超え、魂を揺さぶる体験を象徴する言葉、それが「vivid」だ。
混同しやすい単語
『vivid』と『avid』は、最初の母音と子音の順番が異なるだけで、発音が非常に似ています。特に、語頭の/æ/と/ɪ/の区別が苦手な日本人学習者にとっては、聞き間違いやすい単語です。『avid』は『熱心な』という意味で、意味も全く異なります。スペルも似ているため、注意が必要です。語源的には、『avid』はラテン語の『渇望する』という意味の単語に由来します。
『vivid』と『valid』は、語頭の子音が異なるだけで、母音とその後ろの子音の組み合わせが同じです。そのため、発音が似ていると感じる学習者が多いでしょう。『valid』は『妥当な』、『有効な』という意味で、論理や根拠に基づいていることを表します。スペルも似ているため、文脈で判断する必要があります。語源的には、『valid』はラテン語の『強い』、『健康な』という意味の単語に由来します。
『vivid』と『video』は、どちらも『vi』から始まるため、スペルが似ていると感じるかもしれません。また、カタカナ英語の『ビデオ』として馴染みがあるため、『vivid』を見たときに『video』を連想してしまうことがあります。『video』は『映像』という意味で、名詞として使われることが多いです。発音も異なりますので注意が必要です。語源的には、『video』はラテン語の『見る』という意味の単語に由来します。
『vivid』と『vivacious』は、どちらも生命力や活気に満ちた様子を表す形容詞ですが、『vivacious』は人に対して使い、快活で生き生きとしている様子を表します。『vivid』は色や描写などが鮮やかであることを表します。また、『vivacious』は『vivid』よりもスペルが長いため、混同しにくいかもしれませんが、どちらも『viv-』という語根を持っていることを知っておくと、語彙のつながりを理解する上で役立ちます。
『dividend』は、金融用語で『配当金』という意味です。『vivid』とは意味が全く異なりますが、語頭の音が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。特に、金融関係のニュースや記事を読む際には注意が必要です。スペルも異なるため、注意深く読むようにしましょう。語源的には、『dividend』はラテン語の『分割する』という意味の単語に由来します。
『invoice』は『送り状』や『請求書』という意味で、ビジネスシーンでよく使われます。スペルは全く異なりますが、語頭の/ɪn/という音の響きが、『vivid』の最初の音と似ていると感じる学習者がいるかもしれません。特に、早口で発音された場合や、音声があまりクリアでない場合に聞き間違える可能性があります。意味も全く異なるため、文脈で判断することが重要です。
誤用例
日本語の『vivid』は『鮮やかな』という意味だけでなく、『生き生きとした』『力強い』という意味でも使われるため、演説など抽象的な内容を修飾する際に誤って使用されることがあります。しかし、英語の『vivid』は主に視覚的な鮮やかさを表し、演説の力強さや情熱を表す場合は『impassioned』や『powerful』が適切です。日本人が『vivid』を安易に使う背景には、日本語の多義性をそのまま英語に当てはめようとする傾向があります。英語では、具体的なイメージを伴わない抽象的な概念に対して『vivid』を使うのは不自然です。
『vivid memory』という表現自体は誤りではありませんが、初体験の記憶など、客観的な事実や個人的な思い出を述べる際には、感情的な色合いが強い『vivid』よりも、単に『clear』を使う方が自然です。日本人は、『鮮明な記憶』という日本語に引きずられて『vivid』を選びがちですが、英語では『clear』の方がより中立的で、幅広い状況で使えます。また、日本文化では、感情をストレートに表現することを避ける傾向があるため、英語でも同様に、より控えめな表現を選ぶ方が無難な場合があります。
この誤用は、日本語の『鮮やかな説明』という表現を直訳した際に起こりやすいです。量子物理学のような複雑な概念を説明する場合には、視覚的な鮮やかさよりも、理解しやすさが重要になります。そのため、英語では『lucid(明快な、分かりやすい)』を使う方が適切です。日本人は、『vivid』を『印象的な』という意味で捉えがちですが、英語では『lucid』の方が、知的で洗練された印象を与えます。学術的な文脈では、感情的な表現よりも、客観的な分かりやすさを重視する英語の特性が表れています。
文化的背景
「vivid」は、単に「鮮やか」という視覚的な意味合いを超え、生命力、情熱、そして記憶に深く刻まれるような強烈な印象を包括的に表す言葉として、西洋文化において特別な位置を占めています。それは、色鮮やかな絵画のように、五感を通して魂を揺さぶるような体験を想起させ、人々の心に深く残る感情や記憶の鮮明さを象徴するのです。
「vivid」が持つ文化的意義は、ロマン主義文学において顕著に表れています。18世紀末から19世紀にかけて、詩人や作家たちは、自然の力強さや人間の感情の激しさを表現するために、「vivid」を頻繁に用いました。例えば、ウィリアム・ワーズワースの詩は、湖水地方の鮮やかな風景を描写し、読者の心に生き生きとした情景を呼び起こします。また、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』では、主人公が体験する恐怖や絶望が、「vivid」な表現によって読者に強烈に伝わります。これらの作品において、「vivid」は、単なる色彩の鮮やかさだけでなく、感情の深さや体験のリアリティを強調する役割を果たしているのです。
さらに、「vivid」は、夢や記憶といった、人間の内面世界を描写する際にも重要な役割を果たします。夢は、現実世界の制約から解放された、自由な想像力の産物です。その夢を「vivid」と表現することで、夢が持つ非現実的な要素と、それが私たちに与える強烈な印象を同時に表現することができます。同様に、過去の記憶を「vivid」と表現することで、その記憶が持つ感情的な重みや、それが私たちの人格形成に与えた影響を強調することができます。このように、「vivid」は、人間の心理や精神世界を探求する上で、不可欠な言葉となっているのです。
現代においても、「vivid」は、広告やマーケティングの世界で頻繁に用いられています。商品の魅力を最大限に引き出すために、鮮やかな色彩や印象的なイメージが用いられ、それらを「vivid」と表現することで、消費者の購買意欲を刺激します。また、政治の世界においても、「vivid」な表現は、人々の感情に訴えかけ、支持を集めるために用いられます。このように、「vivid」は、現代社会においても、依然として強い影響力を持つ言葉として、様々な分野で活用されているのです。それは、単に「鮮やか」という言葉を超え、人々の心を動かし、記憶に深く刻まれるような、強烈な印象を包括的に表す言葉として、その文化的な意義を深め続けています。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題で出題される可能性あり。長文読解で比喩表現として使われることも。ライティングでの使用も効果的だが、不自然にならないように注意。
Part 5(短文穴埋め)やPart 7(長文読解)で出現。ビジネスシーンよりも、一般的な内容の長文で使われる傾向。類似語との識別が重要。
アカデミックな文章で、特に感情や感覚を表現する際に使われる。読解問題で、筆者の意図を把握する上で重要になる場合がある。エッセイで適切な場面で使うと高評価につながる。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。比喩的な意味合いで使われることが多く、文脈から正確な意味を推測する力が求められる。和訳問題で記述させる大学もある。