trust
語頭の /tr/ は、日本語にはない子音連結です。まず、舌先を上の歯茎につけて「トゥ」と発音する準備をしますが、実際には息を強く破裂させて「トゥ」と発音すると同時に、すぐに「ラ」の音に移行します。日本語の「トラ」とは異なり、母音を挟まないように意識しましょう。/ʌ/ は日本語の「ア」よりも口を少し開き、喉の奥から出すような音です。最後の /st/ も子音連結で、無声音ですので、しっかりと息を出すように意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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信頼
人や組織に対する信用、安心感。契約、人間関係、システムなど、幅広い対象に使われる。'have trust in' の形でよく使われる。
I have a lot of trust in my friend; she always keeps her promises.
私は友達をとても信頼しています。彼女はいつも約束を守るからです。
※ この文は、日々の行動を通して築かれる個人的な「信頼」を表しています。友達が「約束を守る」という具体的な行動が、なぜ「信頼」があるのかを鮮明に伝えていますね。'have a lot of trust in someone' は「~をとても信頼している」という、人に対する深い信頼を表す典型的な言い方です。
The small shop gained the trust of the whole town because of its honest service.
その小さな店は、誠実なサービスのおかげで町の人々からの信頼を得ました。
※ ここでは、お店が「誠実なサービス」を通じて地域の人々から「信頼」を「得た」という状況を描写しています。'gain trust' は「信頼を得る」という動的な意味でよく使われ、特にビジネスや公共の場で、地道な努力が信頼につながる様子を表すのにぴったりです。
When he broke his promise again, she lost all trust in him.
彼がまた約束を破った時、彼女は彼に対するすべての信頼を失いました。
※ この例文は、「信頼」が失われる瞬間を鮮やかに描いています。誰かが「約束を破る」という行動が繰り返されることで、相手の「信頼」が完全に「失われる」という感情の動きが伝わりますね。'lose trust' は「信頼を失う」という意味で、信頼関係が壊れる場面でよく使われる表現です。
信用する
人の言葉や行動、能力などを信じること。確信に近いニュアンスを含む。
I trust my best friend with all my secrets.
私は親友にすべての秘密を打ち明けるほど信用しています。
※ この文は、あなたが親友とカフェでおしゃべりしているような、温かい情景を描いています。自分の大切な秘密を打ち明けられるのは、相手に深い信頼があるからこそ。'trust A with B' は「AにBを預けるほど信頼する」という形で、大切なものを任せる、打ち明ける際によく使われる典型的な表現です。
We always trust our doctor's advice about our health.
私たちは健康に関して、いつも医師のアドバイスを信用しています。
※ 病院で先生の話を真剣に聞いている家族の姿が目に浮かびます。健康というとても大切なことについて、専門家である医師の知識と経験を信じて従う様子が描かれています。'trust 人の所有格 + 名詞' の形で、その人の意見や判断を信用する際によく使われるフレーズです。
You can trust him to finish the project on time.
彼はそのプロジェクトを期限内に終わらせると信用していいですよ。
※ これは職場で、同僚が「彼なら大丈夫」と太鼓判を押しているような場面です。誰かの能力や責任感を信じ、仕事を任せられるというニュアンスが伝わります。'trust 人 to do something' は「(ある人が)〜するだろうと信用する」という形で、人の行動や結果を信じる場合によく使われます。
任せる
何かを人に託す、委ねる意味合い。責任や権限を委譲するニュアンスを含む。'trust someone with something' の形で使われる。
I trusted my good friend with my cat while I was away.
私は留守の間、大切な猫を信頼している友人に任せました。
※ 旅行などで家を空ける時、大切なペットの世話を誰かに頼む状況です。「この人なら安心して任せられる」という信頼の気持ちが込められています。「trust A with B」で「AにBを任せる」という形でよく使われます。
I decided to trust the doctor's advice completely for my treatment.
私は治療について、医師の助言に完全に任せることに決めました。
※ 病気になった時、専門家である医師の判断や助言を信じて、治療方針などを委ねる場面です。自分の健康に関わる重要な決断を、その人の専門知識に「任せる」というニュアンスが伝わります。
The manager trusted the new team member to lead the small project.
マネージャーは、新しいチームメンバーにその小さなプロジェクトを率いることを任せました。
※ 新しいメンバーに、責任ある仕事を任せる状況です。マネージャーがそのメンバーの能力を信頼し、「この人ならできるだろう」と期待して、リーダーの役割を「任せた」ことを表しています。「trust A to do B」で「AがBをするのを信頼して任せる」という形です。
コロケーション
暗黙の信頼、絶対的な信頼
※ 明示的な言葉や行動がなくても、当然のように相手を信頼している状態を指します。家族や長年の親友など、深い関係性において見られる信頼の形です。ビジネスシーンでは、実績や評判に基づいて『暗黙の了解』として信頼関係が成立している場合に使われます。形容詞 'implicit' は『暗黙の』という意味で、言葉に出さなくても分かり合えるような状況を表します。
信頼を裏切ること、背信行為
※ 法的な文脈やビジネスシーンでよく使われる表現で、契約や約束を破り、相手の信頼を損なう行為を指します。『trust』が単なる信用ではなく、法的な義務や責任を伴う場合に用いられます。例えば、弁護士が顧客の情報を漏洩した場合などが該当します。 'breach' は『違反』という意味で、法的・倫理的な規範からの逸脱を示唆します。
遺産信託で暮らす人、苦労知らずのお金持ち
※ 親や祖父母などから遺産を信託され、その運用益で生活する人を指す、やや皮肉の混じった表現です。アメリカ英語でよく使われ、自力で努力せずに富を得た人を指すニュアンスがあります。社会階層や格差を意識させる表現であり、フォーマルな場面での使用は避けるべきです。文化的背景として、アメリカの富裕層における遺産管理の方法が反映されています。
直感を信じる
※ 'gut feeling' は『直感』や『勘』を意味する口語的な表現で、論理的な思考ではなく、本能的な感覚に基づいて判断することを指します。重要な決断を迫られた際に、『理屈では説明できないけど、なぜかそう感じる』という状況で使われます。日本語の『腹が決まる』という表現に近いニュアンスがあります。 'gut' は『腸』という意味で、古くから人間の感情や本能が宿る場所と考えられていたことに由来します。
信頼を築く
※ 時間と努力をかけて、徐々に信頼関係を構築していくプロセスを指します。ビジネス、人間関係など、様々な場面で使われます。一朝一夕にはできない、長期的な取り組みであることを示唆します。類義語として 'establish trust' がありますが、'build trust' はより段階的なプロセスを強調するニュアンスがあります。動詞 'build' は、信頼関係を『建設』していくイメージを表しています。
盲信、無条件の信頼
※ 根拠や証拠を確かめずに、相手を全面的に信頼することを指します。政治の世界では、利益相反を避けるために、資産の管理を完全に他人(受託者)に委ねる制度を指すこともあります。良い意味でも悪い意味でも使われ、文脈によってニュアンスが異なります。 'blind' は『盲目の』という意味で、批判的な思考を停止して信じる状態を表します。
相互信頼
※ 双方向的な信頼関係を指し、お互いが相手を信頼している状態を表します。国際関係やビジネスにおけるパートナーシップなど、対等な関係において重要な要素となります。一方的な信頼ではなく、双方が同じレベルで信頼し合っていることが強調されます。 'mutual' は『相互の』という意味で、give-and-takeの関係性を示唆します。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。特に社会科学系の分野(心理学、社会学、政治学など)で、データや研究結果の信頼性、仮説の妥当性、参考文献の信頼度などを議論する際に不可欠な語彙です。例:『本研究では、参加者の自己申告データの信頼性を統計的に検証した(This study statistically verified the trustworthiness of the participants' self-reported data.)』
ビジネスシーンでは、契約、交渉、チームワーク、顧客との関係など、様々な状況で使われます。同僚や上司、部下、取引先との信頼関係の構築や維持が重要視されるため、「trust」は不可欠な概念です。例:『〇〇社との長期的な信頼関係を構築することが、当社の戦略目標です(Building a long-term trust relationship with 〇〇 Company is our strategic goal.)』。また、社内向けの報告書やプレゼンテーションでも、プロジェクトの進捗状況やリスクに関する情報を伝える際に、「信頼性」や「信用」といった意味で使用されます。
日常生活では、友人や家族、近所の人々との関係において、「信頼」は重要な要素です。相手を信用できるかどうか、約束を守ってくれるかどうか、秘密を守ってくれるかどうかなど、様々な場面で「trust」という言葉が使われます。例:『親友には何でも打ち明けられるから信頼している(I trust my best friend because I can tell her anything.)』。ニュースやメディアでは、政治家の発言や企業の行動に対する信頼性、食品の安全性など、社会的な問題に関連して「trust」という言葉が登場することがあります。
関連語
類義語
『信じること』、『信念』という意味を持つ名詞。個人的な意見や確信に基づいた信頼を表す。日常会話、宗教、哲学など幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『trust』が相手の誠実さや能力を信じるニュアンスを含むのに対し、『belief』は真実であると信じること、あるいは単なる意見や信念に近い。感情の強さや根拠の有無に差がある。 【混同しやすい点】『trust』は動詞としても名詞としても使えるが、『belief』は名詞のみ。また、『belief』は客観的な証拠がない場合でも使えるが、『trust』はある程度の根拠や経験に基づいていることが多い。
『自信』、『信頼』という意味を持つ名詞。能力や成功に対する確信、または人に対する信頼を表す。ビジネス、スポーツ、人間関係など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『trust』が相手の誠実さや善良さを信じるニュアンスを含むのに対し、『confidence』は能力や力量に対する信頼を意味することが多い。主語が自分自身の場合、『自信』の意味合いが強くなる。 【混同しやすい点】『confidence』はしばしば『in』を伴い、『confidence in someone/something』という形で使われる。また、信頼の対象が人ではなく、計画やシステムなどの場合は『confidence』がより適切。
『信仰』、『信頼』という意味を持つ名詞。特に宗教的な文脈や、根拠のない強い信頼を表す。宗教、精神世界、文学などで使用される。 【ニュアンスの違い】『trust』が合理的な判断や経験に基づく信頼であるのに対し、『faith』はより盲目的で、証拠や論理を超越した信頼を意味する。感情の深さや献身の度合いが異なる。 【混同しやすい点】『faith』は不可算名詞として使われることが多く、特定の宗教や信仰体系を指す場合は可算名詞となる。『have faith in』という形で使われることが多い。『trust』よりもフォーマルで、日常会話での使用頻度は低い。
『依存』、『信頼』という意味を持つ名詞。何かを頼りにすること、またはその対象への信頼を表す。ビジネス、技術、社会科学など、ややフォーマルな文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『trust』が人や組織に対する信頼であるのに対し、『reliance』はシステム、プロセス、データなど、より抽象的なものに対する依存や信頼を表すことが多い。また、『trust』よりも客観的で、感情的な要素が少ない。 【混同しやすい点】『reliance』は通常、『on』を伴い、『reliance on something/someone』という形で使われる。また、『trust』が動詞としても名詞としても使えるのに対し、『reliance』は名詞のみ。やや硬い表現であり、日常会話での使用は少ない。
『保証』、『確約』という意味を持つ名詞。何かを確実にするための約束や保証、またはそれに対する信頼を表す。ビジネス、法律、保険など、フォーマルな文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『trust』が相手の誠実さや能力を信じるニュアンスを含むのに対し、『assurance』は具体的な証拠や約束に基づく信頼を意味する。また、安心感を与えるという側面も強い。 【混同しやすい点】『assurance』はしばしば具体的な行動や書類を伴い、客観的な証拠を示す。『trust』よりも形式的で、契約書や公式文書などでよく用いられる。日常会話での使用頻度はやや低い。
『依存』、『頼ること』という意味を持つ名詞。人や物事に頼って生活すること、またはその状態への信頼を表す。医学、社会学、心理学など、学術的な文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『trust』がある程度の自立性を前提とした信頼であるのに対し、『dependence』はより強い依存関係を意味する。相手なしでは成り立たない状態を表す。 【混同しやすい点】『dependence』は通常ネガティブな意味合いを持つことが多いが、『trust』は必ずしもそうではない。『dependence』はしばしば中毒や依存症などの文脈で使用される。また、文法的に『on』を伴いやすく、『dependence on someone/something』という形で使われる。
派生語
『受託者』や『管財人』を意味する名詞。動詞『trust(信託する)』に、人を表す接尾辞『-ee』が付加され、『信託された人』というニュアンスを持つ。法律や金融の文脈で頻繁に使用され、財産や資産を管理・運営する責任者を指す。
『信頼できる』という意味の形容詞。名詞『trust(信頼)』に、形容詞化する接尾辞『-worthy』が付き、『信頼に値する』という性質を表す。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われ、人や情報、物事の信頼性を評価する際に用いられる。
『委託する』という意味の動詞。接頭辞『en-』は「〜の状態にする」という意味合いを持ち、『trust(信頼)』の状態にすることを意味する。ビジネスや法律の文脈で、責任や任務を人に委ねる際に用いられる。日常会話よりもややフォーマルな場面で使われる傾向がある。
反意語
- distrust
『不信』や『疑念』を意味する名詞および動詞。接頭辞『dis-』は否定や反対の意味を持ち、『trust(信頼)』の反対の状態を表す。日常会話やニュース記事など、幅広い文脈で使用され、信頼関係の欠如や疑念を抱く状況を表す。
『疑い』や『嫌疑』を意味する名詞。『trust』が積極的な信頼を表すのに対し、『suspicion』は根拠に基づかない疑念や不信感を表す。犯罪捜査や人間関係など、特定の対象に対して疑いを持つ状況で用いられる。日常会話から報道まで幅広く使用される。
『疑念』や『疑い』を意味する名詞および動詞。『trust』が確信に近い信頼を表すのに対し、『doubt』は真偽や可能性について確信が持てない状態を表す。日常的な判断から科学的な検証まで、幅広い文脈で使用され、不確実性や疑問を抱く状況を表す。
語源
「trust」の語源は古ノルド語の「traust」に遡り、「信頼、安全、助け」といった意味を持っていました。これはさらに古いゲルマン祖語の「*treuwan」に由来し、「信じる、信頼する」という意味を含んでいます。この語根は、現代ドイツ語の「treu」(忠実な)や英語の「true」(真実の)とも関連があります。「trust」は、もともと「強さ」や「支え」といった物理的な意味合いも内包しており、そこから「頼りになるもの」という概念を経て、「信頼」という抽象的な意味へと発展しました。日本語で例えるなら、「寄りかかれる大木」のようなイメージから、その大木に対する「信頼」が生まれたと考えると理解しやすいでしょう。つまり、「trust」は、単に何かを信じるだけでなく、頼りになる存在への安心感や依存心も含む、深い意味合いを持つ言葉なのです。
暗記法
「信頼(trust)」は社会を繋ぐ不可欠な絆。中世の騎士道では、領主と家臣の信頼が社会を安定させ、アーサー王物語にもその重要性が描かれています。近代では、株式会社や金融機関が投資家や預金者の信頼を得て経済を活性化。しかし、リーマン・ショックは信頼崩壊が世界を揺るがすことを示しました。現代では企業や政府への信頼も重要。倫理的な行動と透明性が不可欠です。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に過去形/過去分詞形の '-ed' が曖昧に発音されると聞き分けが難しくなる。『縛られた』『固定された』という意味で、trust(信用)とは意味が全く異なる。スペルも 'trust' に 'ed' が付いた形なので、文脈で判断する必要がある。
語頭の音が似ており、特に早口で発音されると混同しやすい。意味は『突き刺す』『押し付ける』といった動詞、または『推進力』といった名詞。スペルも 'trust' と 'thrust' で母音が異なるだけなので、注意が必要。trust が精神的な信頼を表すのに対し、thrust は物理的な力を表すことが多い。
発音が似ており、特に語尾の子音群(/st/ と /θ/)の区別が苦手な日本人には聞き分けが難しい。『真実』という意味で、trust(信用)とは意味が異なる。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。語源的には、trust は古ノルド語の traustr(強い、安全な)に由来し、truth は古英語の trēowth(誠実さ、真実)に由来する。
発音が部分的に似ており、特に語尾の母音の響きが近い。意味は『休戦』。スペルも 'tru' の部分が共通しているため、混同しやすい。trust がポジティブな信頼関係を表すのに対し、truce は一時的な敵対関係の停止を表す。
接頭辞 'dis-' が付いた形であり、trust の反対の意味を持つため、意味の混同が起こりやすい。『不信』『疑念』という意味。スペルも似ているため、注意が必要。文脈によっては、'not trust' と 'distrust' のニュアンスの違いを理解することが重要。
語尾の 'ust' の部分が共通しており、発音も似ているため混同しやすい。『錆』という意味で、名詞または動詞として使われる。スペルも文字数が少なく、視覚的に似ているため、文脈で判断する必要がある。trust がポジティブな意味合いを持つ一方、rust はネガティブな意味合いを持つことが多い。
誤用例
「trust」は日本語の『信用する』に相当するものの、ビジネスシーンなどでの軽い同意や確認の場面では、やや重く、相手に不信感を与える可能性があります。より穏当な表現として「take someone's word for it」が適切です。日本人が『念のため』と考える場面でも、英語ではストレートな表現が好まれる傾向があり、trustを使うと相手を疑っている印象を与えがちです。これは、日本の文化的な背景にある『言わなくてもわかる』という前提が、英語圏では通用しないためです。
「trust」は名詞としては『信頼』という意味で適切ですが、動詞として『〜を信頼して…する』という意図で使う場合、「entrust A with B(AにBを委ねる)」という形がより自然です。日本語の『〜に託す』という感覚で「trust to」としてしまうのは、前置詞の誤用です。日本人は「〜に」という助詞に引っ張られがちですが、英語では動詞によって適切な前置詞が異なるため、注意が必要です。また、「entrust」はフォーマルな響きがあり、秘密を打ち明けるような重大な事柄に適しています。
「trust」は「〜を信じる」という意味ですが、相手の能力や力量に対する信頼を表す場合は、「confident」の方が適切です。「trust」はどちらかというと、相手の人柄や誠実さに対する信頼を意味します。日本人が「お任せします」というニュアンスで「trust」を使うと、相手の能力を疑っているかのような印象を与えかねません。英語では、相手の能力を認める言葉を選ぶことが、円滑なコミュニケーションにつながります。これは、英語圏では能力主義的な考え方が根強く、相手の能力を尊重することが重要視されるためです。
文化的背景
「trust(信頼)」は、単なる信用を超え、社会の基盤を支える不可欠な絆であり、崩れれば社会全体が機能不全に陥る可能性を秘めた、繊細かつ重要な概念です。中世ヨーロッパの封建制度における領主と家臣の関係から、現代のグローバル経済における企業間の契約まで、「信頼」は常に社会秩序と繁栄の鍵となってきました。
中世ヨーロッパにおいて、「trust」は単なる言葉ではなく、騎士道精神の根幹をなすものでした。領主は家臣に土地を与え、家臣は領主に忠誠を誓う。この相互の信頼関係が、社会の安定を保つための基盤となりました。裏切りは最も重い罪とされ、破滅的な結果をもたらしました。アーサー王物語に登場する円卓の騎士たちは、互いへの絶対的な信頼を誓い、その結束こそが王国の平和を維持する力となったのです。しかし、ランスロットの裏切りは、この信頼関係がいかに脆く、国家を揺るがすほどの深刻な事態を招くかを物語っています。
近代に入ると、「trust」は経済活動において重要な役割を果たすようになります。株式会社の登場により、投資家は経営者に資金を託し、経営者は投資家の期待に応えるべく企業を運営します。この関係は、相互の信頼なしには成り立ちません。また、金融機関は預金者からの信頼を得ることで、資金を融資し、経済を活性化させることができます。しかし、2008年のリーマン・ショックは、金融機関に対する信頼が崩壊すると、世界経済全体が危機に陥ることを示しました。この出来事は、「trust」がいかに現代社会において不可欠な要素であるかを改めて認識させることとなりました。
現代社会では、個人間の信頼だけでなく、企業や政府に対する信頼も重要視されています。消費者は企業の倫理的な行動や製品の安全性、政府の政策の透明性を求めています。ソーシャルメディアの普及により、企業の不正行為や政府の不祥事が瞬く間に拡散され、信頼を失墜させるリスクが高まっています。したがって、企業や政府は常に信頼を維持するために、倫理的な行動を心がけ、透明性を確保する必要があります。「trust」は、現代社会において、個人、企業、政府が互いに協力し、持続可能な社会を築くための不可欠な要素なのです。失われた信頼を取り戻すには、時間と努力が必要であり、一度崩壊した信頼関係を修復することは非常に困難であることを、歴史は教えています。
試験傾向
1. **出題形式**: 語彙問題、長文読解、英作文(意見論述)。 2. **頻度と級・パート**: 準1級、1級で頻出。特に長文読解と英作文で重要。 3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、環境問題、科学技術など幅広いテーマ。英作文では意見を述べるときに必要。 4. **学習者への注意点・アドバイス**: 名詞(信頼、信用)と動詞(信頼する)の使い分けを理解。類義語(confidence, reliance)とのニュアンスの違いを把握。
1. **出題形式**: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。 2. **頻度と級・パート**: 頻出。特にPart 7のビジネス関連文書でよく見られる。 3. **文脈・例題の特徴**: 契約、取引、顧客対応などビジネスシーン。 4. **学習者への注意点・アドバイス**: ビジネスにおける「信頼」の意味合いを理解。類義語(credibility, reliability)との使い分けを意識。動詞trustの目的語に注意(人、組織など)。
1. **出題形式**: リーディング、ライティング。 2. **頻度と級・パート**: リーディングセクションで頻出。ライティングのIndependent Taskでも使用。 3. **文脈・例題の特徴**: アカデミックな文章(社会科学、心理学など)。 4. **学習者への注意点・アドバイス**: 抽象的な概念としての「信頼」を理解。学術的な文脈での用法に慣れる。根拠(evidence)に基づいた議論展開で使う。
1. **出題形式**: 長文読解、和訳、英作文。 2. **頻度と級・パート**: 難関大学で頻出。特に記述式の問題で重要。 3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、哲学、歴史など。評論文、物語文両方で使われる。 4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈に応じた適切な意味を把握(信頼、信用、委託など)。多義語としての側面を意識。構文(trust A with B: AにBを委ねる)も押さえる。