faith
二重母音 /eɪ/ は「エイ」と発音しますが、日本語の『エ』よりも口を大きく開け、そこから『イ』へスムーズに移行するイメージです。語尾の /θ/ は無声音で、舌先を上下の前歯で軽く挟み、その隙間から息を出すように発音します。摩擦音なので、声帯を震わせないように注意しましょう。日本語にはない音なので、最初は難しいかもしれませんが、鏡を見ながら練習するとコツをつかみやすいでしょう。
専門的な内容に関するご注意
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信頼
人、主義、宗教などに対する確固たる信頼感。根拠よりも感情や精神性に基づくニュアンスを含む。例:have faith in humanity(人間性を信じる)
I have complete faith in him because he always keeps his promises.
彼はいつも約束を守るので、私は彼に全幅の信頼を置いています。
※ この例文は、相手の行動(約束を守る)に基づいて「完全な信頼(complete faith)」を置いている状況を描写しています。友達や家族など、身近な人との間で「この人なら大丈夫」という強い信頼感を表現するのにぴったりです。「have faith in 人」で「人を信頼する」という最も基本的な形です。
We have strong faith that our new plan will succeed.
私たちは、この新しい計画が成功すると強く信じています。
※ この例文は、未来の出来事や計画の成功に対する「確固たる信頼(strong faith)」を表しています。会議室でチームが新しいプロジェクトについて話し合っているような場面を想像できます。「have faith that SV」の形で「〜だと信じる、〜を信頼する」という、未来への期待や確信を表現する際に非常によく使われます。
Even though the exam was hard, she had faith in her own ability to pass.
試験は難しかったけれど、彼女は合格できると自分の能力を信じていました。
※ この例文は、困難な状況(難しい試験)に直面しながらも、自分自身の能力(her own ability)を信じる「信頼」を描いています。スポーツの試合や大切な発表など、挑戦する場面で「自分を信じる気持ち」を表すのに最適です。「have faith in 〜」は、人だけでなく、能力や考え方など、抽象的なものへの信頼にも使えます。
信仰
特定の宗教体系や教義への信念。宗教的な文脈で使われることが多い。例:Christian faith(キリスト教信仰)
She prays every morning with deep faith in God.
彼女は毎朝、神への深い信仰を持って祈っています。
※ 静かな朝、おばあさんが手を合わせて神様に祈っている情景を想像してみてください。ここでは、神様に対する心の底からの信頼や信じる気持ち、つまり「信仰心」を表しています。「faith in God」は、宗教的な文脈で非常によく使われる典型的な表現です。
He never lost his faith in a better future, even in tough times.
彼は困難な時でも、より良い未来への信念を決して失いませんでした。
※ どんなに辛い状況でも、彼は「きっと良い未来が来る」という強い気持ちを失わなかった、という場面です。ここでは「faith」が、希望や確信といった「信念」の意味で使われています。困難な時に、何かに希望を託す気持ちを表現するのにぴったりです。「faith in ~」で「〜への信念、信頼」という意味になります。
The whole community was united by their common faith.
コミュニティ全体が、共通の信仰によって結ばれていました。
※ 村の人々が、同じ考えや宗教的な信条を共有することで、一つに強くまとまっている様子を描いています。「common faith」で「共通の信仰」という意味になり、人々が心を一つにする絆を表すのに使われます。宗教的な集団だけでなく、ある理念を共有するグループにも使える表現です。
約束
忠実さ、誠実さの意。約束や誓いを守り抜くこと。 keep faith with someone(誰かとの約束を守る)
He kept his faith with his friends, even in hard times.
彼は困難な時も、友人との約束(信頼)を守り通しました。
※ この例文は、友達との強い絆や信頼関係における「約束」を表しています。ここで言う「faith」は、単なる口約束ではなく、相手への誠実さや忠誠心が含まれた、より重い「約束」のニュアンスです。「keep one's faith with someone」は、「誰かとの約束や信頼を守る」「忠実である」という意味でよく使われる表現です。
As a team leader, she never broke her faith with her team members.
チームリーダーとして、彼女は決してチームメンバーとの約束を破りませんでした。
※ この文では、リーダーとしての責任感や、チームメンバーへの忠誠心、信頼に基づく「約束」が表現されています。「break one's faith with someone」は、「誰かとの約束や信頼を裏切る」「不誠実な行動をとる」という意味で使われます。ビジネスの場面や、組織内での人間関係で、信頼が重要視される文脈で使われます。
The hero kept his faith with his people until the very end.
その英雄は、最後まで国民との約束(忠誠)を守り通しました。
※ この例文は、より大きな集団や大義に対する「約束」や「忠誠」を表しています。リーダーや公的な人物が、困難な状況下でも人々への責任や誓いを果たす場面に合います。ここでの「faith」は、国民に対する深い信頼と、それを裏切らないという誓いのニュアンスを含んでいます。
コロケーション
盲信、根拠のない信仰
※ 文字通り『盲目的な信仰』を意味し、批判的な思考や証拠を考慮せずに何かを信じることを指します。しばしば否定的な意味合いで使用され、カルト宗教や政治的な扇動など、理性的な判断を欠いた状態を批判する際に用いられます。形容詞"blind"が、信仰の対象や内容を吟味しない様子を表しています。
~に対する信頼を失う
※ 人、組織、制度などに対する信頼が揺らぎ、最終的に失われるプロセスを表します。単に"disappoint(失望する)"よりも深刻で、以前は確信していたものが崩れ去るような感覚を伴います。例えば、「lose faith in the government(政府への信頼を失う)」のように使われます。ビジネスや政治、人間関係など、幅広い場面で使用されます。
~に対する信頼を回復する
※ "lose faith in"の反対で、失われた信頼を取り戻すことを意味します。困難な状況を乗り越えたり、不正が正されたりすることで、再び希望や期待を持てるようになる状況を表します。例えば、「restore faith in humanity(人間性への信頼を回復する)」のように使われます。こちらもビジネス、政治、人間関係など、幅広い場面で使用されます。
思い切った行動、リスクを承知でする決断
※ 根拠や保証がないにもかかわらず、信じて思い切って行動することを指します。文字通りには『信仰への飛躍』ですが、比喩的に、未知の領域に飛び込むような決断を意味します。ビジネスにおける新規事業への投資や、人間関係における告白など、様々な場面で使用されます。英語圏では、キルケゴールの思想と関連付けて語られることもあります。
誠実に、善意をもって
※ 相手を欺く意図なく、正直かつ誠実に行動することを意味します。法律やビジネスの文脈でよく用いられ、「in good faith negotiation(誠実な交渉)」のように使われます。反対は "in bad faith(不誠実に、悪意をもって)"です。ラテン語の"bona fide"(誠実な)と類似した意味を持ちます。
信念を貫く、希望を捨てるな
※ 困難な状況にあっても、自分の信念や希望を持ち続けるように励ます表現です。宗教的な文脈だけでなく、目標達成を目指す仲間を応援する際など、より広い意味で使われます。やや口語的で、親しい間柄で使われることが多いです。例えば、長期的なプロジェクトに取り組むチームに対して「Keep the faith!」と声をかけることがあります。
信仰の危機、信念の揺らぎ
※ それまで信じていた価値観や信念が揺らぎ、疑念や不安に苛まれる状態を指します。宗教的な信仰だけでなく、人生観やキャリアなど、広い意味での信念体系に適用されます。例えば、「a crisis of faith in democracy(民主主義への信仰の危機)」のように使われます。文学作品や哲学的な議論でよく見られる表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、「信頼性」「妥当性」といった意味合いで使われます。例えば、統計学の研究で「データの信頼性(faithfulness of the data)」を議論したり、哲学の論文で「信仰(faith)に基づく倫理観」を考察したりする際に用いられます。文語的な表現が中心です。
ビジネスシーンでは、契約や約束に関連して「誠実さ」「信用」の意味で使われることがあります。例えば、契約交渉において「相手の誠意を信じる(have faith in the other party's sincerity)」というように使われます。また、プロジェクトの成功を祈る際に「プロジェクトへの信頼(faith in the project)」という表現も使われます。フォーマルな場面での使用が想定されます。
日常会話では、「信仰心」や「信頼」といった意味で使われることはありますが、頻度は高くありません。例えば、「神への信仰(faith in God)」や「自分自身への信頼(faith in oneself)」といった表現があります。ニュースやドキュメンタリーなど、やや改まった場面で耳にすることがあります。
関連語
類義語
何かを真実だと信じること。証拠が必ずしも十分でない場合でも、確信を持っている状態を指します。日常会話、ビジネス、学術など、幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"faith" はしばしば宗教的な信念や、根拠のない強い信頼を意味するのに対し、"belief" はより一般的な信念や意見を表します。 "belief" は個人的な見解や確信を指すことが多いです。 【混同しやすい点】"belief" は可算名詞としても不可算名詞としても使用できますが、"faith" は主に不可算名詞として使用されます。また、"belief in" という形で対象を示すことが多いですが、"faith" は "faith in" や "have faith" の形で使われます。
誰かや何かに信頼を置くこと。相手の能力や誠実さを信じるという意味合いが強いです。ビジネス、人間関係、日常会話など、広範な状況で使用されます。 【ニュアンスの違い】"faith" が根拠のない信頼や宗教的な信念を含むのに対し、"trust" は経験や実績に基づいた信頼を意味することが多いです。 "trust" は相手の行動や能力に対する期待を含みます。 【混同しやすい点】"trust" は動詞としても名詞としても使用できますが、"faith" は主に名詞として使用されます。 "trust" は具体的な状況や相手に対して使われることが多いですが、"faith" はより抽象的な概念や原則に対して使われることがあります。
自分自身や他者の能力を確信している状態。自己肯定感や安心感に関連します。ビジネス、スポーツ、個人的な成長など、様々な状況で使用されます。 【ニュアンスの違い】"faith" が根拠のない信頼や宗教的な信念を含むのに対し、"confidence" は能力や成功に対する合理的な期待に基づいています。 "confidence" は自己効力感や達成感と関連しています。 【混同しやすい点】"confidence" はしばしば具体的なスキルや状況に関連して使われますが、"faith" はより包括的で普遍的な概念に対する信頼を意味します。 "confidence" は "have confidence in" や "self-confidence" などの形でよく使用されます。
強く確信している信念。個人的な価値観や道徳的な原則に基づいていることが多いです。政治、社会運動、個人的な決断など、重要な選択を伴う状況で使用されます。 【ニュアンスの違い】"faith" が根拠のない信頼や宗教的な信念を含むのに対し、"conviction" は理性的な思考や深い感情に基づいた強い確信を意味します。 "conviction" は行動や態度に強く影響を与えます。 【混同しやすい点】"conviction" はしばしば道徳的または倫理的な問題に関連して使用されますが、"faith" はより広範な概念や存在に対する信頼を意味します。 "conviction" は "strong conviction" や "moral conviction" などの形でよく使用されます。
誰かや何かに頼ること。依存している状態を指します。ビジネス、技術、経済など、依存関係がある状況で使用されます。 【ニュアンスの違い】"faith" が根拠のない信頼や宗教的な信念を含むのに対し、"reliance" は必要性や依存関係に基づいています。 "reliance" は特定の機能やサービスに依存している状態を指します。 【混同しやすい点】"reliance" はしばしば具体的なリソースやサポートに依存していることを意味しますが、"faith" はより抽象的な概念や存在に対する信頼を意味します。 "reliance" は "reliance on" という形でよく使用されます。
確信や保証を与えること。不安や疑念を取り除くために使われます。ビジネス、法律、保険など、リスクや不確実性に対処する状況で使用されます。 【ニュアンスの違い】"faith" が根拠のない信頼や宗教的な信念を含むのに対し、"assurance" は具体的な証拠や保証に基づいています。 "assurance" は安心感や安全を提供します。 【混同しやすい点】"assurance" はしばしば契約や約束に関連して使用されますが、"faith" はより個人的で感情的な信頼を意味します。 "assurance" は "give assurance" や "life assurance" などの形でよく使用されます。
派生語
『忠実な』という意味の形容詞。『faith(信頼)』という名詞に、『〜に満ちた』という意味の接尾辞『-ful』が付加され、信頼に値する人物や性質を表す。日常会話からビジネス、文学まで幅広く使用され、人、動物、約束、記録など様々な対象に用いられる。
『忠実に』という意味の副詞。『faithful(忠実な)』という形容詞に、副詞化する接尾辞『-ly』が付いた形。手紙の結びの言葉として『Yours faithfully,』のように使われるほか、報告書や記録などにおいて正確さを強調する際に用いられる。日常会話よりもややフォーマルな場面で使用されることが多い。
- faithless
『不誠実な』、『不実な』という意味の形容詞。『faith(信頼)』に、否定を表す接尾辞『-less』が付いた形。信頼がない状態、つまり裏切りや不誠実さを意味する。主に人間関係、特に恋愛や結婚における裏切りを表す際に使われることが多い。文学作品やニュース記事などで見られる。
反意語
- disbelief
『不信』、『疑念』という意味の名詞。『belief(信念)』に、否定や反対を表す接頭辞『dis-』が付いた形。何かを信じることができない状態、または信じることを拒否する状態を表す。日常会話でも使用されるが、ニュース記事や学術論文など、よりフォーマルな文脈でも頻繁に見られる。単なる無関心ではなく、積極的に信じないというニュアンスを含む。
『疑い』という意味の名詞および動詞。faithが確信や信頼に基づいているのに対し、doubtは証拠や根拠が不十分なために確信が持てない状態を指す。日常会話で頻繁に使われる他、科学的な議論や法的な手続きなど、証拠に基づいた判断が求められる場面で重要な概念となる。名詞としては『疑念』、動詞としては『疑う』という意味で使用される。
『懐疑主義』という意味の名詞。faithが何かを盲信することを戒める文脈において、skepticismは健全な批判精神として対比される。学術的な議論や哲学的な考察において、既存の知識や信念体系に対して疑問を投げかける態度を指す。日常会話よりも、より専門的な文脈で使用されることが多い。
語源
「faith」は、ラテン語の「fidēs」(信頼、信仰、忠誠)に直接由来します。この「fidēs」は、さらにインド・ヨーロッパ祖語の語根である「*bheidh-」(信じる、信頼する、確信する)に遡ることができます。つまり、「faith」は、言葉の根源的な部分から「信じる」という核となる意味を内包しているのです。日本語で例えるなら、「信用」や「信頼」という言葉が、単なる事実の認識だけでなく、相手への期待や未来への希望を含んでいるのと似ています。「faith」もまた、単なる知識や情報の受け入れではなく、より深いレベルでの信頼や確信を意味する言葉として、長い歴史の中で使われてきました。
暗記法
「faith」は信頼を超えた、目に見えぬものへの確信。中世では社会秩序を支え、芸術の源泉にも。しかし、異端審問のような悲劇も生んだ。文学では『失楽園』で信仰と自由意志の葛藤が、『緋文字』で信仰の厳格さが描かれる。現代では対象が広がり、科学や社会正義への信頼も含む。フェイクニュースが蔓延する現代こそ、「faith」は試されている。希望を捨てずに未来を信じる心の強さ、それが「faith」だ。
混同しやすい単語
『faith』と『fate』は、発音が非常に似ており、特に母音部分が曖昧になりやすい日本人学習者にとっては聞き分けが難しい場合があります。スペルも 'ai' と 'ate' の違いのみで、視覚的にも混同しやすいです。『fate』は『運命』という意味で、宗教的な意味合いを含む『faith(信仰)』とは全く異なる概念を表します。注意点として、発音記号を確認し、母音の微妙な違いを意識して発音練習することが重要です。語源的には、どちらもラテン語に由来しますが、意味の変遷が異なっています。
『faith』と『faithful』は、語幹が共通しているため、意味が混同されやすいことがあります。『faithful』は形容詞で、『忠実な』、『誠実な』という意味を持ちます。『faith』が名詞であるのに対し、品詞が異なるため、文法的な構造を理解することで区別できます。例えば、『a faithful friend(忠実な友人)』のように使われます。語源的には、『faith』から派生した形容詞であることを理解すると、意味のつながりが分かりやすくなります。
『faith』と『feat』は、発音が似ており、特に語尾の子音の発音が弱い日本人にとっては聞き分けが難しい場合があります。スペルも 'ai' と 'ea' の違いのみで、視覚的にも混同しやすいです。『feat』は『偉業』、『手柄』という意味で、『信仰』とは全く異なる意味を持ちます。文脈を理解し、意味の違いを意識することが重要です。たとえば、「a remarkable feat of engineering(驚くべきエンジニアリングの偉業)」のように使われます。
『faith』と『fifth』は、スペルが一部類似しており、特に母音後の 'th' の発音が苦手な日本人学習者にとっては、発音が混同されやすいことがあります。『fifth』は『5番目』という意味の序数であり、『信仰』とは全く異なる概念を表します。数字に関する語彙であることを意識し、文脈から判断することが重要です。また、'th' の発音を意識的に練習することで、聞き分けの精度を高めることができます。
『faith』と『fake』は、発音が似ており、特に語尾の子音の発音が弱い日本人にとっては聞き分けが難しい場合があります。スペルも 'ai' と 'a' の違いのみで、視覚的にも混同しやすいです。『fake』は『偽物』、『嘘』という意味で、『信仰』とは反対の意味合いを持つこともあります。文脈を理解し、意味の違いを意識することが重要です。例えば、「a fake ID(偽のID)」のように使われます。
『faith』と『fight』は、スペルが似ていると感じる人もいるかもしれません。『fight』は「戦う」という意味の動詞もしくは名詞です。発音も異なりますが、スペルの類似性から、意味を誤って連想してしまう可能性があります。文脈から判断することが重要です。例えば、「fight for freedom(自由のために戦う)」のように使われます。
誤用例
「faith」は日本語の「信頼」と訳されることが多いですが、英語では神や宗教に対する信仰、または根拠のない強い確信を意味することが多いです。この文脈では、彼の勤勉さという具体的な根拠に基づいた信頼なので、「confidence」を使う方が適切です。日本人は「信頼」という言葉を安易に「faith」と訳しがちですが、英語の「faith」はより精神的、宗教的なニュアンスが強いことを理解する必要があります。
この文は、事業の失敗後に「faith」を失った、と表現していますが、これは英語としてはやや不自然です。事業の失敗は、通常、宗教的な信仰を直接揺るがすものではありません。ここでは、目標達成への希望や自信を失ったという意味合いで、「optimism」や「hope」を使う方が適切です。日本人は「faith」を「希望」や「自信」といった意味でも広く捉えがちですが、英語ではより限定的な意味合いを持つことを意識しましょう。また、日本語の「信仰」には、特定の対象に対する盲信的な信頼という意味合いが含まれることもありますが、英語の「faith」は必ずしもそうではありません。
「keep faith with」というフレーズは、約束や義務を果たすという意味で使われますが、やや古風で、日常会話ではあまり用いられません。より自然な表現としては、「She kept her promise.」や「She honored her commitment.」が適切です。日本人は、形式的な英語表現を好む傾向があり、「keep faith with」のようなフレーズを安易に使ってしまうことがありますが、現代英語ではより簡潔な表現が好まれることを覚えておきましょう。特にビジネスシーンやフォーマルな場面では、誤解を避けるためにも、より一般的な表現を使うことが推奨されます。
文化的背景
「faith」は単なる「信頼」を超え、目に見えぬものへの確信、特に宗教的な文脈において絶対的な献身を意味する、西洋文化において非常に重い言葉です。信仰は個人の内面だけでなく、社会の基盤を形成し、芸術、文学、政治に深く影響を与えてきました。中世ヨーロッパにおいては、キリスト教信仰が社会秩序を支え、人々の行動規範を決定づける絶対的なものでした。教会は単なる礼拝の場ではなく、知識の中心地であり、信仰を通じて人々は世界を理解しようとしました。信仰は時に、異端審問や十字軍といった悲劇を生み出す原動力ともなりましたが、同時に、ゴシック建築の壮麗な大聖堂や、ルネサンス美術の聖なる美を生み出す源泉でもありました。
文学作品における「faith」の扱いは多様です。例えば、ジョン・ミルトンの『失楽園』では、神への信仰と人間の自由意志の葛藤が描かれています。主人公サタンは、神への反逆を通じて自己のアイデンティティを確立しようとしますが、その過程で信仰の喪失と絶望を経験します。また、ナサニエル・ホーソーンの『緋文字』では、ピューリタン社会における信仰の厳格さと、個人の良心との間で揺れ動く人々の姿が描かれています。信仰は、社会的な抑圧の道具となりうる一方で、個人の内なる葛藤を深める要素ともなり得るのです。現代においても、「faith」は宗教的な意味合いに留まらず、人間関係における信頼、自己の信念、未来への希望といった、より広い意味合いで使用されます。しかし、その根底には、常に目に見えぬものへの確信、揺るぎない献身というニュアンスが含まれています。
現代社会においては、「faith」は宗教的な信念だけでなく、科学技術への信頼、社会正義への希望、人間性への肯定といった、多様な対象に向けられるようになりました。しかし、同時に、フェイクニュースや陰謀論の蔓延により、何が真実であるかを判断することが困難になり、「faith」は試練に晒されています。人々は、何を信じるべきか、誰を信じるべきかという根源的な問いに直面し、信仰のあり方を模索し続けています。英語圏では、「Have faith!」という励ましの言葉がよく使われますが、それは単なる楽観的な期待ではなく、困難な状況においても希望を捨てずに、未来を信じる心の強さを意味します。信仰は、時代を超えて、人々に希望と勇気を与え続ける、普遍的な価値なのです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。特に1級で出題の可能性が高い。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、宗教、歴史など幅広いテーマで登場する。抽象的な内容が多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての意味(信頼、信仰)だけでなく、動詞(believe)との関連性を理解する。派生語(faithful, faithless)も合わせて覚える。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
2. 頻度と級・パート: TOEICでは頻度は高くないが、ビジネス関連の長文で稀に出題される。
3. 文脈・例題の特徴: 契約、信用、顧客との関係など、ビジネスシーンにおける信頼の意味合いで使われることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: "have faith in" の形で「〜を信頼する」という意味で使われることが多い。ビジネス文書特有の表現に慣れておく。
1. 出題形式: リーディングセクション(長文読解)
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。人文科学、社会科学系のテーマでよく見られる。
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、文化、宗教、哲学など、抽象的な概念を扱う文章で登場する。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。類義語(belief, trust)とのニュアンスの違いを理解しておく。
1. 出題形式: 長文読解
2. 頻度と級・パート: 難関大学の入試で出題される可能性が高い。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、文化、科学など、幅広いテーマで登場する。抽象的な内容が多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。比喩的な表現や抽象的な概念を理解する能力が求められる。過去問で出題傾向を把握しておく。