retard
第2音節にアクセントがあります。/rɪ/ の母音は曖昧母音で、日本語の『リ』よりも弱く、喉の奥から出すような音です。/tɑːrd/ の /ɑː/ は日本語の『アー』よりも口を大きく開けて発音します。語尾の /d/ は有声音なので、喉を震わせるように発音しましょう。強く発音すると相手に不快感を与える可能性があるので、発音する際は注意が必要です。
専門的な内容に関するご注意
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遅らせる
物事の進行や発達を意図的または結果的に遅くする。計画の遅延、成長の遅れ、技術開発の遅延などに使われる。必ずしもネガティブな意味合いを持つとは限らない。
Heavy rain might retard the construction work on the new bridge.
激しい雨が、新しい橋の建設作業を遅らせるかもしれません。
※ この例文では、自然現象である「激しい雨」が、プロジェクトの進行を「遅らせる」原因となっています。建設現場で、雨が降って作業が進まない様子を想像してみてください。このように、何かの進捗や予定が妨げられる状況でよく使われます。
A sudden illness can retard a student's progress in their studies.
突然の病気は、生徒の学業の進捗を遅らせることがあります。
※ ここでは、「突然の病気」が、学習者の「学業の進捗」を「遅らせる」原因となっています。体調を崩して勉強が手につかない、という状況をイメージすると分かりやすいでしょう。このように、特定の活動や能力の発展が妨げられる文脈で使われます。
To avoid a fire, you should use materials that can retard the spread of flames.
火事を避けるため、炎の広がりを遅らせる素材を使うべきです。
※ この例文では、特定の素材が「炎の広がり」という物理的なプロセスを「遅らせる」役割を果たしています。火災報知器や耐火材などを想像すると、その働きが鮮明にイメージできるでしょう。このように、望ましくない事態の進行を物理的に抑制する意味でも使われます。
遅れた
発達や進歩が標準より遅い状態を指す。学習の遅れ、成長の遅れ、精神的な発達の遅れなど、様々な状況で使用される。この単語自体に侮蔑的な意味合いはないが、使い方によっては相手を傷つける可能性がある。
The little puppy looked a bit retard in its development compared to its siblings.
その小さな子犬は、兄弟たちと比べて少し成長が遅れているように見えました。
※ この例文は、動物の成長や発達が他のものより遅れている状況を表しています。兄弟たちの中で一匹だけ小さく、少し心配そうな飼い主の気持ちが伝わる場面です。
The construction of the new building is a bit retard due to the heavy rain.
その新しい建物の建設は、大雨のために少し遅れています。
※ 建物やプロジェクトなど、具体的な作業の進捗が予定より遅れている状況を表します。雨で作業が止まってしまい、現場監督が困っているような情景が浮かびますね。「due to 〜」は「〜のために」という原因を表す便利な表現です。
This old computer is quite retard compared to modern models.
この古いコンピューターは、最新のモデルと比べてかなり性能が遅れています。
※ 古い機械や技術が、最新のものと比べて性能や機能が遅れている、という状況で使われます。動作の遅いPCを前に、少しイライラしたり、新しいものが欲しくなったりする気持ちが込められています。
コロケーション
経済成長を遅らせる、鈍化させる
※ 経済学やビジネスの文脈でよく用いられる表現です。政策の失敗、資源の不足、あるいは国際的な情勢など、様々な要因が経済成長を阻害する状況を指します。単に『遅れる』だけでなく、『意図せず、あるいは予期せぬ形で遅らせる』ニュアンスを含みます。類義語としては『hinder』や『impede』がありますが、『retard』はよりフォーマルな印象を与えます。
~の進歩を遅らせる、妨げる
※ 抽象的な概念(科学の進歩、プロジェクトの進行など)の遅延を表現する際に適しています。この構文は、具体的な行動よりも、プロセス全体の遅れを強調します。例えば、『Lack of funding retarded the progress of the research.(資金不足が研究の進捗を遅らせた)』のように使われます。類似表現として『slow down the progress of』がありますが、『retard』はより深刻な遅延を示唆することがあります。
~の発達を遅らせる、妨げる
※ 主に生物学、心理学、あるいは社会学の分野で、生物や人間の能力、社会構造などの発達が遅れる状況を指します。例えば、『Malnutrition can retard the development of a child.(栄養失調は子どもの発達を遅らせる可能性がある)』のように使われます。この表現は、正常な発達からの逸脱を示唆し、しばしば長期的な影響を伴います。類義語としては『inhibit the development of』がありますが、『retard』はより強い影響を示唆することがあります。
難燃剤、防火剤
※ 化学物質の一種で、火災の延焼を遅らせたり、防いだりする目的で使用されます。名詞として使われ、形容詞『fire-retardant』としても使われます(例:fire-retardant materials)。建築材料、衣類、家具などに加工され、安全性を高めるために広く利用されています。このコロケーションは、技術的な文脈や安全に関する議論で頻繁に登場します。
点火を遅らせる
※ 主に工学や自動車の分野で使用される表現で、エンジンの点火タイミングを遅らせることを指します。これは、エンジンの性能を調整したり、ノッキングを防止したりするために行われます。例えば、『retarding ignition timing』のように使われます。専門的な文脈で使用されることが多く、一般的な会話ではあまり使われません。
使用シーン
学術論文においては、技術的な文脈で「遅延させる」という意味で使用されることがあります。例えば、化学反応の速度を遅らせる物質について議論する際に、 "This substance can retard the reaction rate."(この物質は反応速度を遅らせることができる)のように使用されることがあります。しかし、侮蔑的な意味合いを避けるため、より中立的な "slow down" や "decelerate" が好まれる傾向にあります。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの進行が遅れる状況を説明する際に使われる可能性があります。例えば、報告書で "The lack of resources retarded the project's progress."(リソース不足がプロジェクトの進捗を遅らせた)のように記述されることがあります。ただし、こちらもネガティブな意味合いを避けるため、 "delayed" や "hindered" といった代替表現が推奨されます。
日常会話においては、この単語の使用は非常に稀です。侮蔑的な意味合いが強く、相手を不快にさせる可能性があるため、避けるべきです。もし使うとしても、過去の出来事について話す際に、 "The heavy traffic retarded our journey."(ひどい交通渋滞で旅行が遅れた)のように、遠回しな表現として用いられる程度です。しかし、基本的には使用を避けるべき単語です。
関連語
類義語
何か(計画、進捗など)の進行を妨げる、遅らせるという意味。主にフォーマルな文脈や、目標達成を阻害する要因について言及する際に用いられる。 【ニュアンスの違い】"retard"よりもフォーマルで直接的な侮蔑の意は含まれない。計画やプロセスが遅れる原因となる客観的な障害を指すことが多い。主語は人だけでなく、状況や出来事もなり得る。 【混同しやすい点】hinderは、物理的な障害だけでなく、抽象的な障害(ルール、法律など)にも使える点が"retard"と異なる。また、hinderは他動詞であり、目的語が必要。
予定されていた時間よりも遅らせる、延期するという意味。交通機関の遅延、会議の延期、プロジェクトの遅延など、幅広い状況で使用される。 【ニュアンスの違い】"retard"のような強い否定的な感情や侮蔑的な意味合いは含まれない。単に時間が遅れるという事実を述べる際に用いられる。日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に使われる。 【混同しやすい点】delayは、名詞としても動詞としても使用可能。また、delayは一時的な遅れを意味することが多く、完全に停止させる意味合いは薄い。
速度を落とす、減速するという意味。物理的な速度だけでなく、物事の進行速度を遅らせる場合にも使われる。日常会話で頻繁に使用される口語的な表現。 【ニュアンスの違い】"retard"のような侮蔑的な意味合いは全くない。単に速度が遅くなるという状況を表す。人に対して使う場合は、落ち着いて行動するように促すニュアンスが含まれる。 【混同しやすい点】slow downは句動詞であり、目的語を取る場合は "slow down something" または "slow something down" のように表現する。人に対して使う場合は、命令形や提案の形で使われることが多い。
何か(動き、進歩、機能など)を妨げる、阻止するという意味。フォーマルな文脈で使用され、特に物理的な障害や抽象的な妨げによって進行が困難になる状況を表す。 【ニュアンスの違い】"retard"よりも客観的で、感情的なニュアンスは少ない。進行を妨げる要因に焦点を当て、その結果として遅延が生じることを示唆する。学術的な文章や報道記事などでよく見られる。 【混同しやすい点】impedeは、hinderedよりも強い妨げを表す傾向がある。また、impedeは他動詞であり、目的語が必要。"impede progress" のように、具体的な名詞と組み合わせて使われることが多い。
何か(道、視界、通路など)を塞ぐ、妨げるという意味。物理的な障害物によって通行や視界が遮られる状況や、規則や法律によって行動が制限される状況を表す。 【ニュアンスの違い】"retard"とは異なり、直接的な侮辱の意味合いはない。物理的な障害物や法的な制限など、客観的な妨害要因に焦点を当てる。フォーマルな場面でも使用される。 【混同しやすい点】obstructは、物理的な障害だけでなく、抽象的な障害(法律、規則など)にも使える。また、obstructは他動詞であり、目的語が必要。"obstruct justice" のように、法的な文脈で使われることが多い。
成長や発達を妨げる、阻害するという意味。主に植物や動物の成長、または人の才能や能力の発達を妨げる際に用いられる。医学や生物学の分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"retard"のような侮蔑的な意味合いはない。成長や発達が正常に進まない状態を客観的に描写する。人の成長に対して使う場合は、才能や能力が十分に開花していない状態を指す。 【混同しやすい点】stuntは、名詞としても動詞としても使用可能。また、stuntは、主に成長や発達が阻害されるという特定の状況で使用され、一般的な遅延を意味するdelayとは異なる。
派生語
- retardation
『遅延』『発達遅滞』を意味する名詞。動詞『retard』に名詞化接尾辞『-ation』が付加され、抽象的な概念を表す。医学、心理学、工学などの分野で、プロセスや成長の遅れを指す専門用語として用いられる。日常会話での使用は稀だが、学術論文や技術文書では頻繁に登場する。
- retardant
『遅らせるもの』『抑制剤』を意味する名詞または形容詞。動詞『retard』に『〜するもの』という意味の接尾辞『-ant』が付加された。特に『難燃剤』の意味で用いられることが多い。化学、防災などの分野で使用される専門用語。
- retarded
『遅れた』『遅らせられた』を意味する形容詞または動詞の過去分詞。動詞『retard』に過去分詞を表す『-ed』が付加された。かつては『精神遅滞の』という意味で使用されたが、現在では差別的な意味合いが強いため、使用は避けるべきである。技術的な文脈では、単に『遅延した』という意味で使用される場合もある。
反意語
『加速する』を意味する動詞。『ad-(〜へ)』と『celer(速い)』を組み合わせた語源を持ち、『retard』とは反対に、速度や進捗を速めることを指す。ビジネス、科学、日常会話など、幅広い文脈で使用される。たとえば、プロジェクトの進行を加速させる、車の速度を加速させる、といった具体的な状況で用いられる。
『促進する』『迅速に進める』を意味する動詞。『ex-(外へ)』と『ped-(足)』を組み合わせた語源を持ち、障害を取り除いて円滑に進めるニュアンスがある。『retard』がプロセスを遅らせるのに対し、『expedite』は効率化によって迅速化する。ビジネスシーンやプロジェクト管理などでよく用いられる。
『前進する』『進歩する』を意味する動詞。物理的な前進だけでなく、抽象的な意味での進歩も表す。『retard』が後退や停滞を意味するのに対し、『advance』は積極的な進行や改善を意味する。技術革新、学術研究、個人のスキルアップなど、様々な分野で使用される。
語源
"retard"は、ラテン語の"retardare"(遅らせる、妨げる)に由来します。これは、"re-"(再び、後ろへ)と"tardare"(遅くする)という二つの要素から構成されています。"tardare"自体は、"tardus"(遅い)という形容詞から派生しています。つまり、"retard"は文字通りには「後ろに遅らせる」という意味合いを持ちます。この語源を理解することで、"retard"が単に「遅い」だけでなく、「何かの進行や発達を遅らせる」というニュアンスを含むことが分かります。例えば、日本語で「後退する」という言葉が、文字通り後ろに退く意味だけでなく、進歩が止まる、または悪化するという意味合いも含むのと似ています。
暗記法
元は「遅らせる」意味の穏当な言葉だった「retard」。知能検査の普及とともに、知的発達の遅れを指す医学用語として使われるうち、侮蔑的な意味合いを帯びていった。能力主義的な社会構造の中で、能力の低い人々を嘲笑し排除する言葉へと変質。映画やドラマでのステレオタイプな描写も偏見を助長した。障害者権利運動の高まりとともに、使用を避けるべき言葉として認識が広まっている。言葉の変遷は、社会と人々に与える影響の大きさを物語る。
混同しやすい単語
『retard』と発音が非常に似ており、特に語尾の 'd' の有無が聞き取りにくい。意味は『~とみなす』『尊敬』など、全く異なる意味を持つ動詞または名詞。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。regardはフォーマルな表現で使われることが多い。
最初の音節の母音の音価が似ているため、発音時に混同しやすい。綴りも 're' で始まる点が共通しているため、視覚的にも誤認しやすい。意味は『報告(する)』であり、名詞または動詞として使われる。report はビジネスやニュースなど、幅広い場面で使用される。
『retard』と同様に 're-' で始まる単語で、接頭辞 're-' の発音が似ているため、特に発音に注意が必要。意味は『退却』『撤退』。軍事的な文脈や、比喩的に使われることが多い。語源的には「再び引く」という意味合いがあり、イメージで捉えると覚えやすい。
're'から始まるスペルが共通しており、発音も最初の音節が似ているため、混同しやすい。意味は『関連付ける』『話す』など。relate は人間関係や物語など、幅広い文脈で使用される。語源的には「再び運ぶ」という意味合いがあり、関連性をイメージしやすい。
『retard』とスペルの類似性が高く、特に 're' と 'ward' の部分が視覚的に似ているため、注意が必要。意味は『報酬』であり、名詞または動詞として使われる。reward は努力や成果に対する対価として与えられるものを指す。
最初の音節の発音が似ており、're' で始まる綴りも共通しているため、混同しやすい。意味は『記録(する)』であり、名詞または動詞として使われる。record は事実や情報を保存するために用いられ、音楽やスポーツなど、様々な分野で使用される。
誤用例
While 'retard' can technically mean 'delay' or 'hinder,' its primary and deeply offensive meaning relates to intellectual disability. Using it in a context like project management, even with the intention of 'delay,' risks causing severe offense. The offensive connotation is so strong that the original meaning is almost entirely overshadowed. A safer and more professional word is 'delayed'.
Even if someone is acting foolishly or making mistakes, using 'retarded' as an insult is highly offensive and unacceptable. This is because 'retarded' was historically used as a clinical term for individuals with intellectual disabilities, and its use as a pejorative perpetuates stigma and disrespect. While some might intend it as a synonym for 'stupid' or 'foolish,' the impact is far more damaging. It is crucial to use respectful and accurate language when describing someone's behavior or abilities.
While the dictionary might list 'retard' as a synonym for 'hinder,' the negative connotations associated with the word make it unsuitable for general use. Japanese learners might be tempted to use it if they encounter it in a dictionary and are unaware of its social implications. The word carries a history of discrimination and dehumanization, making its use in any context other than very specific technical or historical discussions deeply problematic. Using 'hinder' avoids any potential for offense and maintains a professional tone.
文化的背景
「retard」という単語は、元来「遅らせる」「遅延させる」という意味を持つ穏当な言葉でしたが、知的発達の遅れを指す医学用語として用いられるにつれて、侮蔑的な意味合いを帯びていきました。この変化は、障害者に対する社会の偏見や差別意識と深く結びついています。
20世紀初頭、知能検査が普及し、人々の能力を数値化して分類することが一般化しました。その過程で、「retarded」という言葉は、知能指数が低い人々を指すラベルとして使われるようになります。しかし、この言葉は徐々に、単なる医学的な記述から、能力の低い人々を嘲笑したり、見下したりするための侮辱的な言葉へと変質していきました。特に学校現場などでは、いじめの道具として悪用されるケースが後を絶ちませんでした。この背景には、能力主義的な社会構造があり、能力の低い人々を排除しようとする無意識の力が働いていたと考えられます。
この言葉が持つ負のイメージは、映画やドラマなどの大衆文化にも反映されています。知的障害を持つキャラクターが、しばしばステレオタイプなイメージで描かれ、「retard」という言葉が、彼らを貶めるために使われる場面も少なくありませんでした。このような描写は、社会全体の障害者に対する理解を妨げ、偏見を助長する要因となりました。近年では、障害者権利運動の高まりとともに、「retard」という言葉の使用を避けるべきだという意識が広まっています。多くの国や地域で、この言葉を公的な場面で使用することが禁止され、より尊重的な表現を用いることが推奨されています。
「retard」という言葉の変遷は、言葉が社会的な文脈の中でどのように意味を変えていくのか、そして、言葉が人々に与える影響がいかに大きいのかを物語っています。この言葉を使う際には、その歴史的背景と、それが持つ侮蔑的な意味合いを十分に理解し、慎重に扱う必要があります。言葉は人を傷つけ、社会を分断する力を持つと同時に、理解を深め、共感を育む力も持っています。私たちは、言葉の力を意識し、より良い社会を築くために、言葉を適切に使う責任があると言えるでしょう。
試験傾向
この単語は英検では出題される可能性は低いですが、もし出題されるとすれば、準1級以上の長文読解において、比喩的な意味合いで使用される場合が考えられます。直接的な意味での出題は避ける傾向にあります。注意点としては、差別的な意味合いを持つため、使用する文脈には十分注意が必要です。
TOEICでは、この単語が直接的に出題される可能性は非常に低いと考えられます。ビジネスの文脈で用いることは適切ではないため、TOEICの語彙選定の基準に合致しません。
TOEFLのようなアカデミックな試験においても、この単語が直接的に出題される可能性は低いと言えます。学術的な文章で使用される頻度は極めて低く、より中立的な表現が好まれます。
大学受験においても、この単語が直接的に出題される可能性は低いでしょう。長文読解で使用される可能性も低いと考えられます。差別的な意味合いを持つため、教育的な文脈での使用は避けるべきです。