put off 〜
'put' の /ʊ/ は日本語の『ウ』よりも唇を丸めて短く発音します。 'off' の /ɔː/ は日本語の『オ』よりも口を大きく開け、喉の奥から出すイメージで、少し長めに発音します。 'put'と'off'の間を区切らず、スムーズに繋げることを意識しましょう。特に、 't' の音は次の母音に影響を与えるため、意識して発音してください。
延期する
予定されていたことを、意図的に後の日時に変更すること。先送りすることで、ネガティブな状況を避けようとするニュアンスを含む。
We had to put off our picnic until next week because of the sudden rain.
突然の雨のため、私たちはピクニックを来週まで延期しなければなりませんでした。
※ 楽しみにしていた屋外イベントが、急な雨で延期になってしまった残念な状況を表しています。このように、天気や予期せぬ事情で計画が変更になる際に「put off」は非常によく使われます。物事を「後ろに置く」イメージで覚えましょう。
Don't put off your homework until the last minute; it's better to finish it early.
宿題をギリギリまで延期しないでください。早めに終わらせる方がいいですよ。
※ これは、やるべきこと(宿題、掃除、書類作成など)をついつい後回しにしてしまう、私たち誰もが経験する状況です。「〜 until the last minute(ギリギリまで)」はセットで覚えておくと便利です。自分自身への戒めや、誰かにアドバイスする際にも使えます。
The manager decided to put off the meeting until Friday due to an urgent matter.
緊急の用件があったため、部長は会議を金曜日まで延期することに決めました。
※ ビジネスシーンや公式な場で、会議やアポイントメント、締め切りなどを延期する際によく使われる表現です。「due to 〜(〜が原因で)」は、理由を説明する際に便利な少しフォーマルな言い方です。急な変更があった際の、臨場感が伝わりますね。
嫌になる
何かを我慢してきた結果、それ以上耐えられなくなる状態。不快感やうんざりした気持ちが強調される。
I was really put off by the strong smell of that old cheese in the fridge.
冷蔵庫の中のあの古いチーズの強い匂いに、本当に嫌気がさしました。
※ 冷蔵庫を開けたら、期限切れのチーズから強烈な匂いが漂ってきて、思わず顔をしかめてしまった、そんな情景です。何か不快なものに「うんざりさせられる」時に、'be put off by 〜'(〜によって嫌になる)の形でよく使われる、とても自然な表現です。
His constant complaining about everything really put me off during our trip.
彼の何に対しても文句ばかり言う態度に、旅行中ずっと嫌気がさしました。
※ 楽しいはずの旅行中に、友達がずっと不平不満ばかり言っているので、一緒にいるのが嫌になってきた…そんな気持ちを表しています。相手の言動が原因で、自分が「うんざりする」「嫌になる」気持ちを表す、日常会話でよくある典型的な例です。
The difficult rules of the new board game quickly put me off, so I stopped playing.
新しいボードゲームの難しいルールにすぐに嫌気がさし、遊ぶのをやめました。
※ 新しいゲームを買って始めたものの、説明書を読んでもルールが複雑で頭に入ってこず、もうやる気がなくなってしまった、という状況です。ある活動や物事の難しさや複雑さに「やる気をなくす」「嫌になる」時に使え、途中で「もういいや」と感じた時の気持ちが伝わります。
発表を遅らせる
情報やニュースの公開を、戦略的または不可避な理由で遅らせる行為。隠蔽工作とは異なり、一時的な遅延を意味する。
Bad weather forced us to put off the outdoor concert until next week.
悪天候のため、私たちは野外コンサートを来週まで延期せざるを得ませんでした。
※ 雨が降ってしまい、楽しみにしていた野外コンサートが延期になった場面です。`put off` は、天候などのやむを得ない事情でイベントや計画を「延期する」という時に非常によく使われます。`until next week` で、いつまで延期されたのかが明確に伝わりますね。
The teacher decided to put off our class presentation due to a school event.
先生は学校行事のため、私たちのクラス発表を延期することにしました。
※ クラスの発表会が、急な学校行事のために延期になった場面です。`put off` は、このように授業や会議、発表など、公式な予定を「遅らせる」「延期する」際によく使われます。`due to ~` は「〜のために」「〜が原因で」と理由を説明する便利な表現です。
The company had to put off the new game's release because of a technical bug.
その会社は技術的なバグのため、新作ゲームの発売を延期しなければなりませんでした。
※ 楽しみにしていた新作ゲームが、開発上の問題で発売延期になった場面です。`put off` は、新製品の発売日やプロジェクトの締め切りなど、ビジネスの発表や計画を「遅らせる」際にも頻繁に登場します。`because of ~` も「〜のために」と理由を説明する表現です。
コロケーション
会議を延期する
※ ビジネスシーンで非常に頻繁に使われる表現です。単に "postpone a meeting" と言うよりも、"put off" は、より口語的で、予定変更のニュアンスが強く出ます。たとえば、"We had to put off the meeting due to unforeseen circumstances."(予期せぬ事態により、会議を延期せざるを得ませんでした)のように使います。類似表現に"reschedule"がありますが、これは「リスケジュール」として日本語でも定着しており、よりフォーマルな印象を与えます。 "put off" は、カジュアルな同僚間の会話や、少しくだけた雰囲気のビジネスメールにも適しています。
何かをするのを先延ばしにする
※ この構文は、特定の行動を意図的に遅らせることを意味します。 "I keep putting off cleaning my room."(部屋の掃除をずっと先延ばしにしている)のように使われます。 "procrastinate" も同様の意味ですが、より学術的で堅い印象を与えます。 "put off" は日常会話で非常によく使われ、心理的な抵抗感や面倒くささといったニュアンスを含みます。また、"Don't put off until tomorrow what you can do today."(今日できることを明日に延ばすな)という諺にも使われています。
人を不快にさせる、嫌な気持ちにさせる
※ この表現は、相手を不快にさせたり、興味を失わせたりする際に使われます。たとえば、"His rude behavior really put me off."(彼の無礼な態度は本当に私を不快にさせた)のように使われます。 "repel" や "disgust" も同様の意味を持ちますが、"put off" は、より穏やかで、日常的な不快感を表現するのに適しています。また、相手の行動や外見だけでなく、場所や状況など、幅広い対象に対して使用できます。例えば、"The smell in the restaurant really put me off my food."(レストランの臭いで、食欲をなくしてしまった)のように使います。
イベントを延期する
※ "put off a meeting"と同様に、イベント開催を延期する場合に使われます。例えば、"They decided to put off the concert until next month because of the bad weather."(悪天候のため、彼らはコンサートを来月に延期することに決めました。)のように使われます。 "postpone"も同様の意味ですが、"put off"は話し言葉でよく使われます。フォーマルな文書などでは "postpone" が好まれる傾向にあります。
後回しにする
※ この表現は、特定のタスクや決定を後で処理することを示します。例えば、"Let's put off this discussion until later when we have more information."(より多くの情報が得られたら、この議論は後回しにしましょう。)のように使われます。"delay" も同様の意味ですが、"put off until later" は、より意図的で、計画的な先延ばしを意味するニュアンスがあります。
費用に躊躇する、費用が高くてためらう
※ この表現は、価格の高さが原因で何かをすることをためらう、あるいは断念することを意味します。例えば、"Many potential buyers were put off by the cost of the new electric car."(多くの潜在的な購入者は、その新しい電気自動車の価格に躊躇しました。)のように使われます。"deterred" も同様の意味を持ちますが、"put off" は、より日常的な会話で使われ、心理的な抵抗感を表すのに適しています。
使用シーン
研究論文や学術的な議論で、計画や実験、発表などを延期する場合に使われます。例:『The experiment was put off due to unforeseen circumstances.(予期せぬ事態により、実験は延期された)』。また、ある行動や決定を先延ばしにする傾向を説明する際にも用いられます。例:『Students often put off writing their essays until the last minute.(学生はしばしばエッセイの執筆を最後の最後まで先延ばしにする)』
ビジネスシーンでは、会議、プロジェクトの締め切り、出張などを延期する際に使われます。例:『We had to put off the meeting until next week.(会議を来週まで延期しなければなりませんでした)』。また、顧客からのクレーム対応を先延ばしにすることの危険性を示す文脈でも使用されます。例:『Putting off dealing with customer complaints can damage the company's reputation.(顧客からの苦情への対応を先延ばしにすることは、会社の評判を損なう可能性がある)』
日常会話では、予定や計画を延期したり、何かを後回しにしたりする場合に頻繁に使われます。例:『I had to put off my doctor's appointment.(医者の予約を延期しなければならなかった)』。また、嫌なことや面倒なことを先延ばしにする状況を表現するのにも使われます。例:『Don't put off doing your taxes!(税金の申告を先延ばしにしないで!)』
関連語
類義語
予定されていたイベントや活動を後の日付や時間に延期すること。ビジネス、公式な状況、またはフォーマルな文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】"put off"よりもフォーマルで、通常、より重要なイベントや決定の延期に使用されます。また、延期の理由が必ずしもネガティブなものではない点も異なります。 【混同しやすい点】"put off"はしばしば非公式な状況で使用され、延期の理由が好ましくない、または気が進まないという含みがある場合があります。一方、"postpone"はより中立的です。
何かが予定通りに進まない、または遅れること。交通機関、プロジェクト、またはプロセスに関連してよく使用されます。 【ニュアンスの違い】"put off"は通常、意図的な延期を意味するのに対し、"delay"は予期せぬ状況によって引き起こされる遅延を指すことが多いです。また、"delay"は名詞としても動詞としても使用できます。 【混同しやすい点】"put off"は他動詞であり、目的語が必要ですが、"delay"は自動詞としても他動詞としても使用できます。文脈によって使い分ける必要があります。
決定や行動を、より後の時点まで保留すること。しばしば、敬意や服従の念を示すために使用されます。学術的な文脈や、政府、軍事などの公式な状況で使用されることが多いです。 【ニュアンスの違い】"put off"よりもさらにフォーマルで、しばしば上位の権限や他の考慮事項に敬意を払う意味合いがあります。また、"defer"は通常、より重要な決定や問題の延期に使用されます。 【混同しやすい点】"defer"は"put off"よりも使用頻度が低く、特定のフォーマルな文脈に限定される傾向があります。また、"defer to someone"という形で、人の意見や判断に従うという意味でも使用されます。
必要なことや重要なことを先延ばしにすること。しばしば、怠惰や不安が原因です。日常会話でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】"put off"が単に延期することを意味するのに対し、"procrastinate"は延期する理由がネガティブな感情(嫌悪感、不安など)に基づいていることを示唆します。また、"procrastinate"は習慣的な行動を指すことが多いです。 【混同しやすい点】"put off"は特定のタスクやイベントを延期することを指しますが、"procrastinate"はより一般的な傾向を指します。例えば、「レポートを提出するのをput offした」とは言えますが、「レポートを提出するのをprocrastinateした」とは少し不自然です。
- shelve
計画やプロジェクトを一時的に保留すること。中断されたプロジェクトや、将来的に再検討される可能性のあるアイデアについて使用されます。 【ニュアンスの違い】"put off"よりも、完全に放棄するのではなく、一時的に保留するという意味合いが強いです。また、"shelve"は通常、より大きな計画やプロジェクトに使用されます。 【混同しやすい点】"put off"は一時的な延期である場合も、永久的な中止である場合もありますが、"shelve"は一時的な保留を意味します。また、"shelve"は比喩的な表現であり、物理的に棚に置くという意味から派生しています。
一時的に活動やプロセスを停止すること。学校、仕事、またはスポーツなどの文脈で使用されます。懲戒処分や調査の一環として行われることが多いです。 【ニュアンスの違い】"put off"が一般的な延期を意味するのに対し、"suspend"は通常、公式な理由や規則に基づいて一時的に停止することを意味します。また、"suspend"はしばしばネガティブな意味合いを持ちます。 【混同しやすい点】"put off"は、個人的な理由や都合によって延期する場合にも使用できますが、"suspend"は通常、組織や当局によって行われます。例えば、「授業をput offした」とは言えますが、「授業をsuspendした」とは通常言いません。
派生語
『相殺する』という意味の動詞。元々は『put』が持つ『置く』の意味から、何かを別の場所に『置く』ことで、バランスを取ったり、影響を打ち消したりするイメージ。ビジネスや会計の文脈で、損失や費用を補填する際に使われることが多い。
『出力』という意味の名詞および動詞。『put』が持つ『出す』の意味合いが強調され、機械やシステムから『外に出される』ものを指す。IT、工学、経済など幅広い分野で使用され、論文や技術文書でも頻繁に見られる。
『服装一式』という意味の名詞。『put』が持つ『身につける』の意味合いから発展し、全体として『身につけられたもの』、つまり服装全体を指すようになった。日常会話で使われることが多い。
反意語
『前進させる』『促進する』という意味の動詞。『put off』が遅延や延期を意味するのに対し、『advance』は物事を予定よりも早く進めることを意味する。プロジェクトのスケジュールや会議の議題など、具体的な行動や計画に対して使われる。
『促進する』『迅速化する』という意味の動詞。『put off』が遅らせるのに対し、『expedite』はプロセスやタスクを加速させる。ビジネスシーンで、納期を早めたり、手続きを簡素化したりする際に用いられる。よりフォーマルな文脈で使用される傾向がある。
『実行する』『実施する』という意味の動詞。『put off』が先送りにすることを意味するのに対し、『implement』は計画やアイデアを具体的な行動に移すことを指す。ビジネスや政治の文脈で、政策やプロジェクトを実際に開始する際に使われる。
語源
「put off」は、一見すると単純な句動詞ですが、その意味合いは語源を辿ることでより深く理解できます。「put」は古英語の「putian」(押す、置く)に由来し、物理的に何かを特定の場所に置く行為を示します。「off」は「離れて」や「停止」といった意味を持つ前置詞です。この二つが組み合わさることで、「put off」は文字通りには「何かを(ある場所から)離して置く」となります。ここから、「延期する」という意味合いが生まれます。つまり、予定されていたことを一旦脇に置き、後回しにするイメージです。また、「嫌になる」という意味は、何かを「遠ざける」というニュアンスから派生したと考えられます。例えば、不快なものを押しやるように、「嫌な気持ち」を遠ざけるという感覚です。このように、「put off」は、物理的な行為が抽象的な概念へと発展した好例と言えるでしょう。
暗記法
「put off」は単なる延期ではない。中世より、約束を違える行為は社会秩序を揺るがす重罪だった。農作業の遅延は飢饉に直結し、現代では締め切り前の逃避を生む。選択肢過多の現代人は、より良い選択を期待し先延ばしにする。この言葉は、時間管理の甘さ、決断を避ける人間の弱さを映し出す。自らを律し、責任を果たすための警鐘として、この言葉を記憶に刻もう。
混同しやすい単語
句動詞 'put up' は、'put off' と同様に 'put' を含むため混同しやすい。意味は '掲示する'、'泊める'、'我慢する' など多岐にわたる。'off' と 'up' は反対の意味合いを持つことが多いが、句動詞では必ずしもそうではないため、文脈で判断する必要がある。発音も似ているため、特にリスニング時に注意が必要。
'put off' と同様に 'put' を含む句動詞であり、'着る'、'(電気器具などを)つける'、'(体重が)増える'、'ふりをする' など、意味が多岐にわたるため混同しやすい。特に 'put off' が '延期する' という意味なので、'put on' の '(芝居などを)する'、'ふりをする' といった意味と混同しやすい。'on' と 'off' の意味の違いを意識することが重要。
'put off' の発音と 'proof' の発音が似ていると感じる学習者がいる。特に 'roof' と 'off' の母音の区別が苦手な場合、混同しやすい。'proof' は『証拠』という意味の名詞であり、'put off' とは品詞も意味も異なる。語源的には、'proof' は 'prove(証明する)' から派生しており、'off' との関連性はない。
'put off' の 'off' の部分と 'puff' の発音が似ているため、特に発音練習の初期段階で混同しやすい。'puff' は『(タバコなどを)ふかす』、『(蒸気などを)噴出する』といった意味の動詞、または『ひと吹き』、『パフ』といった意味の名詞であり、'put off' とは意味も品詞も異なる。'puff' は擬音語に由来する言葉であり、語源も異なる。
'put off' が延期や先送りの意味合いを持つため、似たようなニュアンスを持つ 'opt out' (離脱する、参加しない)と意味や使い方が混同されることがある。'opt out' は自らの意思で何かから抜け出すことを意味するが、'put off' は通常、外部の要因によって延期される状況を指す。また、'put off' は人に対して嫌悪感を抱かせるという意味もあるため、意味の違いを理解することが重要。
'off'と'buff'の語尾の発音が似ているため、聞き取りや発音の際に混同しやすい。'buff'は「磨く」「(筋肉質な体つきの)~好き」といった意味合いを持つ単語で、'put off'とは全く異なる意味を持つ。特に'in the buff'というイディオム(裸で)が存在するため、文脈によっては誤解を招く可能性がある。
誤用例
日本人が「put off」を使う際、能動態で「(人)をうんざりさせる」という意味で誤用することがあります。これは、日本語の「うんざりさせる」という表現に引きずられ、「put off +人」という語順で考えてしまうためです。しかし、「put off」は「〜を延期する」という意味が基本であり、「(人)をうんざりさせる」という意味で使う場合は、受動態で「be put off by〜」の形にする必要があります。この背景には、英語では感情の主体が明確であることが求められるという文化的なニュアンスがあります。つまり、「私がうんざりした」という感情の主体を明確にするために、受動態を用いる必要があるのです。能動態で使うと、「私が(何かを)延期した」という意味にしかなりません。
「put off」は「延期する」という意味ですが、ニュアンスとしては「先送りする」「一時的に延ばす」という一時的な延期を表します。一方、「postpone」はよりフォーマルで、延期の期間が不明確、あるいは長期にわたる場合に使われます。ピクニックが雨で中止になった場合、「put off」よりも「postpone」を使う方が適切です。なぜなら、雨が止むまで一時的に延期するだけでなく、場合によっては別日に完全に予定を変更する可能性もあるからです。日本語の「延期」は、英語の「put off」と「postpone」両方の意味合いを含むため、どちらを使うべきか迷うことがあります。ビジネスシーンや公式な場面では、よりフォーマルな「postpone」を使うのが無難です。また、put off は何かを嫌なことだから先延ばしにするというニュアンスを含むこともあります。このニュアンスがそぐわない場合も、postponeを使うべきでしょう。
「put off」を「(人)を邪魔する」「(人)を遠ざける」という意味で使おうとして、不自然な英語になることがあります。この場合、「put off」は「(人)をうんざりさせる」という意味合いが強く、「邪魔する」や「遠ざける」というニュアンスとは異なります。より適切な表現としては、「discourage(やる気をなくさせる)」「deter(思いとどまらせる)」などがあります。日本語の「〜を退ける」という表現を直訳しようとすると、「put off」を選んでしまいがちですが、英語では状況に応じて適切な動詞を選ぶ必要があります。たとえば、相手の申し出を断る場合は「turn down」や「reject」を使う方が自然です。この背景には、英語がより具体的な状況描写を重視する言語であるという特徴があります。日本語では曖昧な表現でも通じることがありますが、英語では意図を明確に伝えるために、より適切な単語を選ぶ必要があるのです。
文化的背景
「put off 〜」は、単に「延期する」という意味を超え、先送りすることで生じる心理的な抵抗感や、決断を避けることで現状維持を選好する人間の性(さが)を反映する言葉です。このフレーズには、時間管理の問題だけでなく、決断に伴う責任やリスクから逃避したいという、より根深い感情が込められています。
中世の時代から、約束や義務の履行は社会秩序の根幹をなすものでした。約束を「put off」することは、単なる遅延以上の意味を持ち、信頼の毀損や社会的責任の放棄と見なされる可能性がありました。特に、農業社会においては、種まきや収穫の時期を「put off」することは、飢饉や生活の破綻に直結するため、重大な問題でした。このように、「put off」は、単なる時間の遅れではなく、社会的な影響を伴う行為として認識されてきたのです。
現代社会においては、締め切り効果という言葉があるように、締め切り直前になって慌てて作業を始める人が少なくありません。これは、「put off」が持つ心理的な側面、つまり、先延ばしにすることで一時的にストレスから解放されるという誘惑に打ち勝てないことの表れです。しかし、長期的に見れば、先延ばしはストレスの増大やパフォーマンスの低下を招きます。このジレンマは、現代人が常に時間に追われ、多くの選択肢に囲まれている状況と深く関連しています。私たちは、無限に選択肢があるかのように錯覚し、目の前のタスクを「put off」することで、より魅力的な選択肢が現れることを期待してしまうのです。
「put off」の文化的背景を理解することは、単に語彙を増やすだけでなく、時間管理の重要性や、決断を先延ばしにすることの潜在的なリスクを認識する上で役立ちます。このフレーズは、私たち自身の行動を振り返り、より責任ある行動をとるための警鐘として機能するでしょう。また、文学作品や映画において、「put off」がどのようにキャラクターの性格や物語の展開に影響を与えているかを考察することで、この言葉の持つ文化的ニュアンスをより深く理解することができます。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題。リーディング、リスニング両方で登場
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場するが、ややフォーマルな文脈が多い。環境問題、社会問題、科学技術など
- 学習者への注意点・アドバイス: 「延期する」「嫌がる」の意味の使い分けを理解する。類似表現(postpone, delay)とのニュアンスの違いに注意。目的語が具体的な物事か、抽象的な事柄かで意味合いが変わる点も意識。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)
- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 5でよく見られる。Part 7でもビジネスシーンで登場
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文脈(会議、プロジェクト、スケジュール変更など)で頻繁に使用される
- 学習者への注意点・アドバイス: 「延期する」の意味で使われることが多い。動詞句全体で一つの意味を持つことを意識し、前置詞との組み合わせで意味が変わる他の句動詞(phrasal verbs)と混同しないようにする。postpone, delayなどとの置き換え可能性も考慮。
- 出題形式: 主にリーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 学術論文、科学記事など、フォーマルな文脈で使われることが多い。研究、実験、政策などに関する文章で登場しやすい
- 学習者への注意点・アドバイス: 「延期する」の意味合いが強い。類義語(postpone, defer)との微妙なニュアンスの違いを理解する。文脈から正確な意味を判断する練習が必要。アカデミックな文章における使用例を多く学ぶことが重要。
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など、幅広いテーマで登場する。評論文、論説文などの形式が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「延期する」「嫌がる」の両方の意味で使われることを理解する。文脈から適切な意味を判断する能力が求められる。類義語(postpone, delay, deter)との使い分けを意識する。長文読解の中で、文脈全体から意味を推測する練習が不可欠。