mission
第一音節にアクセントがあります。母音 /ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し横に開いて短く発音します。『ション』は、舌先をどこにもつけずに発音される無声後部歯茎摩擦音 /ʃ/ から始まる点に注意。日本語の『シュ』よりも摩擦音を意識しましょう。
使命
達成すべき重要な任務や目的。個人的な信念に基づく場合や、組織から与えられる任務を指すことが多い。例文:a sense of mission(使命感)
The kind teacher felt it was her mission to help every child.
その優しい先生は、全ての子どもを助けることが自分の使命だと感じていました。
※ この例文は、優しい先生が、一人ひとりの生徒の成長を心から願っている場面を描いています。「自分の使命」という、内側から湧き上がる強い思いが伝わります。このように、個人的な強い目的意識や、果たすべき役割を「mission」と表現します。「It is one's mission to do...」は、「~することが(誰々の)使命である」という、よく使う形です。
The astronaut's mission was to explore the unknown planet.
その宇宙飛行士の使命は、未知の惑星を探査することでした。
※ 広大な宇宙を舞台に、勇敢な宇宙飛行士が、誰も見たことのない星を目指す壮大な冒険の始まりです。彼に課せられた、非常に重要で具体的な目標が「mission」として描かれています。組織やチームに与えられた、達成すべき大きな目標や任務について話す際によく使われる表現です。「A's mission is to do B」は、「Aの使命はBをすることである」という、シンプルで分かりやすい表現です。
Their urgent mission was to rescue people from the collapsed building.
彼らの緊急の使命は、倒壊した建物から人々を救助することでした。
※ 災害現場で、救助隊員たちが時間との戦いの中で必死に人命救助にあたる、緊迫した場面です。この「mission」は、非常に切迫した状況で、絶対に行わなければならない重要な任務であることを示しています。困難な状況下で、責任を持って果たすべき重大な役割を表す際にぴったりです。「urgent mission」で「緊急の使命」となり、切迫した状況を表す際によく使われます。
派遣団
特定の目的のために派遣されるグループ。外交使節団や調査団など、公式な意味合いで使われることが多い。例文:a trade mission(貿易使節団)
The government sent a special mission to talk about peace.
政府は平和について話し合うための特別な派遣団を送りました。
※ この例文は、国や組織が特定の重要な目的のために人々(派遣団)を公式に送る場面を表しています。「mission」が「特別な目的を持った人々の集団」という意味で使われているのがよくわかります。国際ニュースなどで耳にすることが多い、とても典型的な使い方です。
After the big earthquake, a medical mission quickly arrived.
大きな地震の後、医療派遣団がすぐに到着しました。
※ 災害や緊急事態の際に、支援のために現場に駆けつける「医療チーム」や「救援隊」を「mission」と呼ぶことがあります。この文では、被災地で助けを必要としている人々を思い、急いで到着した派遣団の姿が目に浮かびますね。緊急時の行動を描写する際に使われます。
Our company sent a small mission to explore the new market.
私たちの会社は、新しい市場を調査するために少人数の派遣団を送りました。
※ この文は、企業や組織が特定のビジネス目的(ここでは新しい市場の調査)のために、少人数の専門家チームを派遣する様子を描いています。「mission」が、具体的な目標を持った専門家集団を指す場合にも使われることが分かります。ビジネスシーンでよく使われる表現です。
派遣する
人や組織を、特定の目的を果たすために送り出すこと。例文:He was missioned to negotiate a peace treaty.(彼は和平交渉のために派遣された)
The government decided to mission a group of doctors to the affected region quickly.
政府は迅速に、影響を受けた地域へ医師団を派遣することを決定しました。
※ 災害が起こり、助けを求める人々がいる中、政府が迅速に専門家を送る様子が目に浮かびます。この例文のように、`mission`は特に政府や大きな組織が「特定の目的のために人やグループを送り出す」というフォーマルな場面でよく使われます。`to mission A to B` (AをBへ派遣する) の形を覚えると便利です。`affected region`は「影響を受けた地域」、つまり「被災地」のような意味です。
Our company will mission an expert engineer to the new factory next month.
わが社は来月、新しい工場へ専門のエンジニアを派遣する予定です。
※ 新しい工場が立ち上がり、技術的な課題を解決するために、会社が頼りになる専門家を送り出す場面です。期待と信頼が感じられますね。ビジネスの文脈でも、重要なプロジェクトや海外拠点への人材派遣など、フォーマルな「送り出し」を意味する際に使われる典型的な例です。`will mission`で未来の予定を表しています。`expert engineer`は「熟練した(専門の)エンジニア」という意味で、その人の能力に期待しているニュアンスがあります。
The university decided to mission a research team to the remote island for study.
大学は調査のため、遠隔の島へ研究チームを派遣することを決定しました。
※ 未知の自然や現象を探求するため、大学が専門家たちを人里離れた場所へと送り出す様子が伝わります。知的な探求心と冒険が感じられる場面ですね。学術機関が特定の目的(研究、調査など)のためにチームを送り出す際にも使われる、堅い表現です。`remote island`は「遠隔の島」という意味で、簡単には行けないような場所のイメージです。`for study`は「調査のために」という目的を示します。
コロケーション
事実調査団、真相究明のための派遣
※ 特定の出来事や状況について事実を調査し、情報を収集することを目的とした活動またはグループを指します。政府、企業、NGOなどが、問題や紛争の真相を把握するために派遣することが多いです。単に"fact-finding"と言うよりも、調査の目的と重要性を強調するニュアンスがあります。ビジネスや政治の文脈でよく使われます。
救出作戦、救助活動
※ 危険な状況にある人や物を救出するための組織的な活動を指します。軍事的な作戦だけでなく、自然災害後の救助活動など、幅広い場面で使用されます。緊迫した状況や人命救助という目的が強調される表現です。映画やニュースなどで頻繁に耳にする表現でしょう。
人道支援活動
※ 人道的目的、特に貧困、飢餓、災害、紛争などで苦しむ人々を支援するための活動を指します。医療支援、食糧供給、避難民の保護などが含まれます。政府機関、国際機関、NGOなどが主導して行われます。人道的な理念と具体的な行動が結びついた表現です。
和平使節団、平和維持活動
※ 紛争当事者間の和平交渉を促進したり、紛争地域での平和を維持したりすることを目的とした活動を指します。外交官、政治家、国際機関の代表などが参加し、対話や調停を通じて紛争解決を目指します。国際政治や外交の文脈でよく用いられます。
自殺行為、無謀な任務
※ 成功の見込みがほとんどなく、参加者の生命が危険にさらされる可能性が非常に高い任務を指します。軍事作戦や危険な冒険などで使われます。比喩的に、非常に困難で成功の見込みがない計画や行動を指すこともあります。映画のタイトルなどにもよく使われる表現です。
任務を中止する、作戦を中止する
※ 計画された任務や作戦を、何らかの理由で途中で中止することを意味します。技術的な問題、天候不良、予期せぬ事態の発生などが原因となります。航空宇宙、軍事、ビジネスなど、様々な分野で使用されます。"abort"は「流産する」という意味もあり、計画がうまくいかなかったというニュアンスがあります。
使命感を持って、目的を持って
※ 特定の目的や目標を達成するために、強い決意と集中力を持って行動している状態を表します。個人的な目標から仕事上のプロジェクトまで、幅広い場面で使用されます。"He's on a mission to lose weight."(彼は減量に励んでいる)のように使います。強い意志と目的意識が感じられる表現です。
使用シーン
大学の講義や論文で、研究目的や課題を指す際に使われます。例えば、「本研究のミッションは、〜を明らかにすることである」のように、研究の核心部分を示す文脈で用いられます。また、大学のミッションステートメントなど、組織の理念を表す際にも登場します。
企業の事業目標や組織の存在意義を表す際に頻繁に使われます。「当社のミッションは、顧客満足度を向上させることです」のように、企業全体の目標を共有する場面や、部署ごとのミッションを定める際に用いられます。また、プロジェクトチームが特定の任務を遂行する際の「ミッション」としても使われます。
日常会話では、使命感や責任感を伴う任務について話す際に使われます。「私のミッションは、子供たちを安全に学校へ送り届けることだ」のように、個人的な責任や目標を表現する際に用いられます。また、ゲームや映画などで、主人公が与えられた任務を指す際にも使われます。
関連語
類義語
『課せられた仕事』や『課題』を意味し、日常的な業務からプロジェクトの一部まで、幅広い状況で使用される。可算名詞。 【ニュアンスの違い】『mission』よりも規模が小さく、緊急性や重要度が低いことが多い。より一般的で中立的な言葉。 【混同しやすい点】『mission』が組織的な目標達成を指すのに対し、『task』は個人またはチームが遂行する具体的な作業を指すことが多い。また、taskはmissionほど崇高な意味合いを持たない。
『割り当てられた仕事』や『宿題』を意味し、教育現場や職場などで、特定の個人やグループに与えられたタスクを指す。可算名詞。 【ニュアンスの違い】『mission』よりも個人的な責任範囲が明確で、指示された内容を遂行するという意味合いが強い。命令系統がはっきりしている状況で使われることが多い。 【混同しやすい点】『mission』が自主性や創造性を伴う可能性があるのに対し、『assignment』は通常、具体的な指示に従って実行される。また、assignmentはmissionほど戦略的な意味合いを持たない。
『目標』や『目的』を意味し、達成したい結果や状態を表す。個人、チーム、組織など、様々なレベルで設定される。可算名詞。 【ニュアンスの違い】『mission』よりも抽象的で、より長期的な視点を持つことが多い。『mission』が具体的な行動計画を伴うのに対し、『goal』は最終的な到達点を示す。 【混同しやすい点】『mission』が組織の存在意義や活動の方向性を示すのに対し、『goal』は具体的な成果目標を示す。例えば、会社のmissionは「人々の生活を豊かにする」ことであり、goalは「来年の売上を10%増加させる」ことである、というように使い分けられる。
『目的』や『意図』を意味し、行動や存在の理由を表す。より深く、哲学的な意味合いを持つことが多い。可算/不可算名詞。 【ニュアンスの違い】『mission』よりも個人的な価値観や信念に基づいていることが多い。『mission』が社会的な貢献や具体的な成果を目指すのに対し、『purpose』は個人の内面的な充実感や意味を見出すことを重視する。 【混同しやすい点】『mission』が組織的な活動を指すのに対し、『purpose』は個人の生き方や存在意義に関わる場合が多い。例えば、ボランティア活動のmissionは「困っている人を助ける」ことであり、その人のpurposeは「社会に貢献することを通して自己実現を図る」ことである、というように使い分けられる。
『客観的な目標』や『狙い』を意味し、達成すべき具体的な成果を明確に示す。ビジネスやプロジェクト管理でよく使われる。可算名詞。 【ニュアンスの違い】『mission』よりも具体的で測定可能であり、短期的な視点を持つことが多い。『mission』が長期的な戦略の一部であるのに対し、『objective』は短期的な戦術目標である。 【混同しやすい点】『mission』が組織全体の方向性を示すのに対し、『objective』は特定の期間内に達成すべき具体的な目標を示す。例えば、会社のmissionは「世界中の人々に高品質な製品を提供する」ことであり、objectiveは「来四半期に新製品の販売数を1万個達成する」ことである、というように使い分けられる。
- calling
『天職』や『使命感』を意味し、自分の人生を捧げるべき仕事や活動を表す。宗教的な意味合いを含むこともある。可算/不可算名詞。 【ニュアンスの違い】『mission』よりも個人的な情熱や信念に基づいていることが多い。『mission』が社会的な要請や義務感から生まれることもあるのに対し、『calling』は内発的な動機によって突き動かされる。 【混同しやすい点】『mission』が組織や社会からの要請に応えるものであるのに対し、『calling』は個人の内なる声に従うものである。例えば、医者のmissionは「患者を治療する」ことであり、その人のcallingは「病に苦しむ人々を救いたいという強い願望」である、というように使い分けられる。
派生語
『伝道師』という意味の名詞。元々は『mission(使命)』を帯びて派遣された人を指し、特に宗教的な文脈で用いられます。形容詞としても使われ、『伝道の』という意味になります。語尾の『-ary』は『〜に関する』という意味合いを持ち、使命に関連する人を表します。歴史的・社会的な背景を理解する上で重要な語彙です。
『送る』『伝達する』という意味の動詞。『trans-(超えて、向こうへ)』と『mit(送る)』が組み合わさり、『向こうへ送る』というイメージです。情報や信号、病気などを伝える際に広く使われます。ビジネス文書や科学論文など、フォーマルな場面でも頻繁に登場します。派生語として『transmission(伝達)』があります。
『解雇する』『退ける』という意味の動詞。『dis-(分離)』と『mit(送る)』が組み合わさり、『(集団から)送り出す』『解散させる』というイメージです。会議の解散や従業員の解雇など、組織や集団における行為を表す際に用いられます。ビジネスシーンでよく使われます。
反意語
- inaction
『mission(使命)』が積極的な行動を意味するのに対し、『inaction』は『行動しないこと』『不作為』を意味します。接頭辞『in-(否定)』が『action(行動)』に付くことで意味が反転します。ビジネスや政治など、行動の有無が重要な文脈で対比的に用いられます。単なる静止ではなく、本来なされるべき行動が欠けている状態を指すニュアンスがあります。
- abandonment
使命を『放棄』することを意味します。『mission』が何かを達成しようとする積極的な姿勢を表すのに対し、『abandonment』はそれを放棄し、見捨てることを意味します。心理学や法律の文脈で、責任や義務の放棄を指す場合に用いられます。比喩的に、希望や信念を捨てることも意味します。
語源
「mission」は、ラテン語の「mittere(送る、派遣する)」に由来します。これは「missio(派遣、任務)」という名詞になり、さらに古フランス語を経て英語に入ってきました。「mittere」は、何かを特定の場所や目的のために送り出すという根本的な意味を持っています。たとえば、ミサイル(missile)も同じ語源を持ち、目標に向かって「送られる」ものです。ここから、「mission」は単に人を派遣するだけでなく、その人に与えられた「使命」や「任務」という意味合いを持つようになりました。現代では、ビジネスや個人的な目標達成においても、「ミッション」という言葉が、成し遂げるべき重要な目的を指す言葉として広く使われています。何かを「送る」行為が、目的達成のための「使命」へと意味が発展したと考えると、理解しやすいでしょう。
暗記法
「ミッション」は、神や組織から“送られた”特別な任務。中世の宣教師たちは、異教の地で命がけで信仰を伝え、文明を広げました。近代では、国家の威信をかけた探検や宇宙開発も「ミッション」と呼ばれました。現代では、企業の存在意義を示す言葉としても重要です。自己犠牲を伴う、歴史を動かすほどの重大な目的。それが「ミッション」です。
混同しやすい単語
『mission』と語尾が同じ '-ission' であり、スペルが非常に似ているため混同しやすい。意味は『放出、排出』であり、特に環境問題に関する文脈でよく用いられる。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。語源的には、'emission' は 'e-'(外へ)+ 'mittere'(送る)から来ており、何かを外に放出するイメージ。
こちらも語尾が '-ission' であり、'm' と 'o' の違いしかないため、スペルミスしやすい。意味は『省略、怠慢』であり、何かを意図的または不注意に省くことを指す。例えば、『重要な情報の省略』など。発音も似ているため、注意が必要。語源的には、'omission' は 'ob-'(~に反対して)+ 'mittere'(送る)が変化したもので、送るのを止めるイメージ。
『mission』と発音が一部似ており、特に語尾の '-ing' が共通しているため、リスニングで混同しやすい。意味は『行方不明の、欠けている』であり、状態を表す形容詞として使われることが多い。例えば、『missing person(行方不明者)』など。品詞が異なるため、文法的な構造から区別することも重要。'mission'は名詞ですが、'missing'は形容詞です。
語尾の '-sion' が共通しており、発音も似ているため、特にリスニング時に混同しやすい。意味は『視覚、展望』であり、視覚的な意味合いや将来の展望を表す。スペルも似ているため、注意が必要。語源的には、'vision' は 'videre'(見る)から来ており、視覚に関連する意味を持つ。
『mission』とスペルが似ており、語源も共通しているため、混同しやすい。意味は『(公式な)書簡、通信』であり、手紙やメッセージを意味する古風な言葉である。現代英語ではあまり使われないが、文学作品などで見かけることがある。語源的には、'missive' も 'mittere'(送る)から来ており、何かを送るという根本的な意味合いが共通している。
『mission』と語尾が同じ '-ission' で、スペルも似ているため、混同しやすい。意味は『許可』であり、何かをするための許可を与えることを指す。ビジネスシーンや日常生活でよく使われる。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。語源的には、'permission' は 'per-'(完全に)+ 'mittere'(送る)から来ており、完全に送る、つまり許可するというイメージ。
誤用例
日本語の『ミッション』は、ビジネスシーンで『使命』『任務』のような意味で使われることが多く、個人の目標に対しても安易に使われがちです。しかし、英語の『mission』は、個人的な野望やキャリア目標には通常使いません。より適切なのは『ambition』であり、個人の強い願望を表します。『mission』は、企業や組織が掲げる大義や、困難を伴う重要な任務に対して使われることが多いです。日本人が『自己啓発』的な文脈で使う『ミッション』は、英語ではやや大げさに聞こえる可能性があります。
『mission』は、しばしば政府や組織の『使命』として訳されますが、日常的な政策目標を指すには、やや大仰な印象を与えます。より自然な表現は『aim』や『goal』です。日本語では、政府の政策を伝える際に、重々しい印象を与えるために『ミッション』が好まれる傾向がありますが、英語では平易な言葉で伝える方が、より誠実で親しみやすい印象を与えます。また、英語では名詞の複数形を好む傾向があり(prices, goals)、単数形(price, goal)にすると具体的な特定のもの、というニュアンスが強くなる点も考慮が必要です。
『mission』自体は『任務』という意味ですが、『secret mission』とすると、映画やスパイ小説のような、非常に秘密裏で危険な任務を連想させます。日常的な業務やプロジェクトを指す場合には不適切です。より一般的な『秘密の任務』を指すには、『confidential assignment』が適切です。また、『to do』という表現はやや直接的で、子供っぽい印象を与えるため、『to carry out』のような、よりフォーマルな表現を使うのが望ましいです。日本人は『〜すること』を直訳しがちですが、英語では文脈に合った動詞を選ぶ必要があります。
文化的背景
「ミッション(mission)」という言葉は、単なる任務や課題を超え、しばしば自己犠牲を伴う崇高な使命感や、歴史を動かすような重大な目的を帯びた行為を指し示します。その語源がラテン語の「mittere(送る)」に由来することからもわかるように、誰か(多くの場合、神や国家、組織)によって「送られた」、つまり選ばれた存在が遂行すべき特別な任務というニュアンスが根底にあります。
中世ヨーロッパにおけるキリスト教の布教活動は、「ミッション」という言葉に深い精神性を与えました。宣教師たちは、異教の地に派遣され、言葉も文化も異なる人々に対して、時に命を懸けて信仰を伝えました。彼らの活動は、単なる宗教的な任務を超え、文明の伝播や文化交流の側面も持ち合わせていました。この文脈における「ミッション」は、自己の利益を超越した、人類全体の救済を目指す献身的な行為として捉えられました。映画『ミッション』(1986)は、南米の奥地で布教活動を行うイエズス会宣教師の姿を描き、その献身と苦難を通して、「ミッション」の持つ精神的な深さを強烈に印象づけています。
時代が下り、近代国家が成立すると、「ミッション」は国家的な目標達成のための重要な任務を意味するようになります。探検家による未開の地への探検、科学者による未知の領域への挑戦、そして宇宙開発競争における月面着陸計画など、国家の威信をかけた大規模なプロジェクトは、しばしば「ミッション」という言葉で表現されました。これらの「ミッション」は、科学技術の進歩を促し、人類の可能性を広げる一方で、国家間の競争や政治的な思惑も孕んでいました。映画『アポロ13』(1995)は、月面着陸ミッションの危機を描き、困難な状況下でミッションを遂行しようとする人々の勇気と知恵を描き出しています。
現代においては、「ミッション」は企業活動においても重要な概念となっています。企業は、単に利益を追求するだけでなく、社会貢献や環境保護など、より大きな目的を掲げるようになりました。企業の「ミッション・ステートメント」は、その企業の存在意義や価値観を明確に示し、従業員や顧客に対して共感と信頼を築くための重要なツールとなっています。このように、「ミッション」は、個人、組織、国家など、さまざまな主体が自らの存在意義を問い、未来を切り開くための羅針盤として、その意味を深め続けています。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性あり。文脈から意味を推測する問題が多い。リスニングでも、場面設定の説明などで使われることがある。特に「重要な任務」といったニュアンスで使われることが多い点に注意。
Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)で出現。ビジネスシーンでのプロジェクトや目標に関連する文脈で使われることが多い。「mission statement(企業理念)」などの複合語も頻出。同義語・類義語(goal, objective, task)との使い分けが重要。
リーディングセクションで、アカデミックな文章(歴史、社会科学など)の中で出題される。研究や探求における「使命」「目的」といった意味で用いられることが多い。同意語を言い換えるparaphrase問題に注意。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。抽象的な概念や歴史的な出来事に関連して使われることが多い。文脈から意味を判断する力が重要。比喩的な意味合いで用いられる場合もあるため注意。