liability
第一強勢は 'ライ' にあります。二重母音 /aɪ/ は、日本語の「アイ」よりも口を大きく開け、意識して二つの音を繋げるように発音しましょう。'bɪ' の母音 /ɪ/ は、日本語の「イ」よりもやや曖昧で、口を軽く開けて発音します。最後の 'ti' は、アメリカ英語ではしばしば弱い 't' の音になり、日本語の「リ」に近い発音になりますが、舌先を上あごの裏につけることを意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
法的責任
負債や義務を負う状態。契約違反や不法行為によって生じることが多い。賠償責任や債務など、法的な責任を伴う状況で使われる。
After the car crash, the driver worried about his legal liability.
車の衝突後、その運転手は自身の法的責任について心配した。
※ この例文は、交通事故という具体的な状況で「liability(法的責任)」がどのように発生するかを示しています。運転手が事故を起こしたことで、その後の法的な責任(賠償や罰則など)について心配する気持ちが伝わってきます。予期せぬ出来事の後に生じる重い責任をイメージしやすいでしょう。
The company faced a big liability because of the faulty product.
その会社は欠陥品のため、大きな法的責任に直面した。
※ 企業が製造した製品に欠陥があり、それによって誰かが損害を被った場合、会社は「liability(法的責任)」を負うことになります。これはビジネスの世界で非常によくある状況で、製品の品質が会社の責任に直結していることを示しています。'faulty product'(欠陥品)という言葉で、具体的な原因もイメージできますね。
Our insurance policy covers us, so we have no liability for the natural disaster.
私たちの保険は私たちをカバーしているので、自然災害に対する法的責任はありません。
※ 保険は、予期せぬ出来事(この場合は自然災害)によって生じる「liability(法的責任)」から、個人や企業を守るために存在します。この例文では、保険があることで「責任を負う必要がない」という安心感が伝わります。'no liability'のように、責任がないことを表現する際にも使われます。
負債
企業や個人が抱える借金や支払い義務。会計や財務の文脈で、資産の反対概念として用いられる。短期負債、長期負債など。
After losing his job, he realized his car loan became a huge liability.
仕事を失った後、彼は車のローンが大きな負債になったと気づいた。
※ 【情景】職を失い、それまで当たり前だった車のローンが、突然「大きな負債」として重くのしかかる瞬間の不安な気持ちが伝わります。この文のように、個人的な借金や支払い義務が重荷になった時に「liability」が使われます。 【ヒント】「huge liability」で「莫大な負債」というニュアンスになります。
The accountant carefully checked the company's liabilities before the big meeting.
会計士は、重要な会議の前に会社の負債を慎重に確認した。
※ 【情景】企業の会計士が、重要な会議に備えて、会社の抱える「負債」(未払金や借金など)を細かく、責任感を持って確認しているプロフェッショナルな場面です。 【ヒント】ビジネスや会計の文脈では、「liability」は企業が将来的に支払う義務のある「負債」を指す重要な専門用語として頻繁に使われます。複数形「liabilities」で使われることが多いです。
To achieve financial freedom, he worked hard to pay off all his liabilities.
経済的な自由を得るため、彼は全ての負債を返済するために一生懸命働いた。
※ 【情景】経済的に自立したいという強い思いから、彼が抱えている全ての「負債」(借金など)を完済しようと、必死に努力している姿を描写しています。 【ヒント】「pay off liabilities」は「負債を完済する」という意味で、個人の借金から企業の負債まで、幅広く使える表現です。目標達成のための努力が伝わります。
厄介者
組織やチームにとって負担となる人やもの。特に、その存在が問題やリスクを引き起こす場合に用いられる。必ずしも法的責任を伴うわけではない。
The young intern often broke things and asked silly questions, becoming a clear liability in the office.
その若いインターンはよく物を壊したり、くだらない質問をしたりして、オフィスにとって明らかに厄介者になっていた。
※ この例文は、新しく入ってきた人が、期待される働きができず、かえって迷惑をかけている様子を描いています。「liability」は、その人が「足手まとい」や「重荷」になっている状況でよく使われます。ここでは「clear liability」で「明らかに厄介者」であることを強調しています。
This broken machine is a big liability, as we spend too much money on its repairs.
この壊れた機械は大きな厄介者だ。修理に費用がかかりすぎるからだ。
※ 物やシステムが「liability」となるのは、それが維持するのに費用がかかりすぎたり、問題ばかり起こしたりする場合です。ここでは、故障ばかりして修理費がかさむ機械が「厄介者」であることを示しています。「as」は「~なので」と理由を表すときに使われる接続詞です。
His lack of experience was a clear liability when he tried to lead the complex project.
複雑なプロジェクトを率いようとしたとき、彼の経験不足は明らかな足かせ(厄介者)となった。
※ この例文では、人の「経験不足」という特性が、特定の状況(複雑なプロジェクトを率いること)において「厄介者」、つまり「不利な点」や「弱点」になることを表しています。このように、人そのものではなく、その人の持つ「欠点」や「状況」が「liability」となることもあります。
コロケーション
潜在的な負債、将来的に問題となりうるリスク
※ 企業会計や法務で頻繁に使われる表現です。単なる負債だけでなく、訴訟リスク、環境汚染リスク、契約不履行リスクなど、将来的に金銭的負担につながる可能性のある事柄を指します。形容詞"potential"がつくことで、現時点では確定していないものの、注意が必要なリスクであることを強調します。ビジネスシーンで、リスク評価やデューデリジェンス(企業監査)の文脈でよく用いられます。
法的責任、法律上の義務
※ 法律用語として、契約違反、不法行為、製造物責任など、法律に基づいて負うべき責任や義務を指します。この表現は、単なる道徳的な責任ではなく、法的な強制力を持つ責任であることを明確にします。契約書、訴訟関連書類、法律解説書などで頻繁に見られます。対義語は"legal right"(法的権利)です。
責任を認める、賠償責任を受け入れる
※ 事故や事件などが発生した際に、当事者が自らの過失を認め、損害賠償などの責任を負うことを表明する際に使われます。法的な文脈だけでなく、企業が顧客からのクレームに対応する際など、より広い意味で使われます。「責任を認める」という行為は、単に事実を認めるだけでなく、その後の賠償交渉や紛争解決につながる重要なステップとなります。類似表現として"admit liability"もありますが、"accept"の方がややフォーマルな印象です。
有限責任
※ 会社法における重要な概念で、株主や出資者が、出資額を上限として責任を負うことを意味します。株式会社や有限会社などの法人形態は、通常、有限責任を特徴とします。これにより、事業が失敗した場合でも、個人の財産が保護されるため、起業を促進する効果があります。この概念は、近代資本主義の発展に大きく貢献しました。対義語は"unlimited liability"(無限責任)です。
個人的責任、個人賠償責任
※ 会社の代表者や役員が、会社の行為によって生じた損害について、個人として責任を負うことを指します。通常、会社は法人格を持つため、会社の債務は会社の財産によって弁済されますが、例外的に、代表者個人が責任を負う場合があります。例えば、粉飾決算や違法行為に関与した場合などです。近年、企業のコンプライアンス(法令遵守)意識の高まりとともに、経営者の個人的責任がより厳しく問われる傾向にあります。
責任を移転する、責任を転嫁する
※ ある当事者が負うべき責任を、別の当事者に移すことを意味します。保険契約はその典型的な例で、保険会社は保険料を受け取る代わりに、事故や災害が発生した場合の損害賠償責任を引き受けます。また、企業買収(M&A)の際にも、買収対象企業の負債を引き受けるかどうかは重要な交渉事項となります。責任の移転は、リスク管理の重要な要素であり、契約書や合意書に明確に規定される必要があります。
大きな負債、重大な責任
※ 金額的に大きな負債や、責任の重さを強調する際に用います。企業の財務状況を評価する際や、プロジェクトにおけるリスクを議論する際に頻繁に使われます。例えば、「多額の借入金は、企業にとって大きな負債である」のように使用します。形容詞"major"がつくことで、単なる負債ではなく、経営に大きな影響を与えるリスクであることを強調します。
使用シーン
学術論文や教科書で頻繁に使用されます。特に法学、経済学、会計学分野では「法的責任」や「負債」の意味でよく登場します。例えば、企業法に関する論文で「取締役の責任(liability of directors)」について議論されたり、会計学の教科書で「負債と資本(liabilities and equity)」のバランスシート上の扱いが説明されたりします。また、心理学の研究で、ある行動傾向が「負債」として扱われる場合もあります(例:「認知バイアスは意思決定におけるliabilityとなりうる」)。
ビジネスシーンでは、契約書、財務報告書、保険関連書類などでよく見られます。「法的責任」や「負債」の意味で用いられることが多く、例えば「契約不履行による法的責任(liability for breach of contract)」や「偶発債務(contingent liability)」といった形で使用されます。また、プロジェクトのリスク評価において、潜在的な「負債」を特定し、対策を講じることも重要です。会議やプレゼンテーションでは、リスク管理の文脈で言及されることがあります。
日常会話で「liability」という単語を直接使うことは稀ですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、企業や個人の「法的責任」や「負債」に関する話題に触れる際に耳にする可能性があります。例えば、自動車事故のニュースで「運転手の法的責任(driver's liability)」が問われたり、経済ニュースで企業の「負債」状況が報道されたりする場面です。また、誰かが「厄介者」であるという意味で比喩的に使われることもありますが、やや皮肉なニュアンスが含まれるため、使用には注意が必要です。
関連語
類義語
金銭的な負債を指し、返済義務のある金額のこと。ビジネスや会計の文脈で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"liability"はより広範な責任や義務を意味するのに対し、"debt"は具体的な金額に限定される。"debt"は貸し借り関係が明確な場合に用いられる。 【混同しやすい点】"liability"は将来的に発生する可能性のある債務も含むが、"debt"は通常、すでに発生している債務を指す。また、"debt"は可算名詞として扱われることが多い。
法的、道徳的、または契約上の義務を指す。ビジネス、法律、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"liability"が過去の行為の結果として生じる責任を指す場合があるのに対し、"obligation"は将来の行動に対する責任を強調する。また、"obligation"はより自発的な要素を含むことがある。 【混同しやすい点】"liability"は金銭的な負担を伴うことが多いが、"obligation"は必ずしもそうとは限らない。例えば、「道徳的義務 (moral obligation)」は金銭的な負担を伴わない。
ある行為や決定に対する責任、または職務や役割を指す。日常会話、ビジネス、政治など、非常に広範な文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】"liability"は通常、ネガティブな結果を伴う責任を指すのに対し、"responsibility"は必ずしもそうではない。"responsibility"は、良い結果をもたらす可能性のある義務や任務も含む。 【混同しやすい点】"liability"は通常、誰かまたは何かに負う責任を指すのに対し、"responsibility"はより個人的な義務や役割を指すことが多い。例えば、「親としての責任 (parental responsibility)」は"liability"とは言い換えられない。
精神的、感情的、または物理的な重荷を指す。日常会話や文学作品でよく使われ、ネガティブな意味合いが強い。 【ニュアンスの違い】"liability"は法的または金銭的な責任を指すことが多いのに対し、"burden"はより抽象的で感情的な重荷を指す。"burden"は、責任を負うことによって生じる精神的な苦痛を強調する。 【混同しやすい点】"liability"は客観的な責任を指すことが多いのに対し、"burden"は主観的な感情や経験を指す。例えば、「心の負担 (emotional burden)」は"liability"とは言い換えられない。
欠点、弱点、または不利な点を指す。製品、計画、または状況の評価において使用される。 【ニュアンスの違い】"liability"は法的または金銭的な責任を指すことが多いのに対し、"drawback"は特定の状況や選択肢におけるマイナス面を指す。"drawback"は、全体的な評価の一部として考慮される。 【混同しやすい点】"liability"は通常、外部からの強制力によって生じる責任を指すのに対し、"drawback"は内部的な特性や性質によって生じる欠点を指す。例えば、「計画の欠点 (drawback of the plan)」は"liability"とは言い換えられない。
説明責任、責任を果たす義務を指す。ビジネス、政治、教育などの文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】"liability"が過去の過ちや義務不履行の結果として生じる責任を指す場合があるのに対し、"accountability"は将来の行動に対する責任や説明義務を強調する。 "accountability"は透明性や公正さを伴うことが多い。 【混同しやすい点】"liability"は金銭的な負担や法的責任を伴うことが多いが、"accountability"は必ずしもそうとは限らない。例えば、「結果に対する説明責任 (accountability for the results)」は金銭的な負担を伴わない場合もある。
派生語
『法的責任を負う』という意味の形容詞。『liability』の直接的な形容詞形で、責任の所在や義務を伴う状況を表します。契約書や法律文書で頻繁に見られ、日常会話でも『〜しがちである』という意味で使われます。
- liabilities
『liability』の複数形で、会計用語としては『負債』を意味します。企業のバランスシートでよく見られ、企業が外部に支払う義務のある金額を示します。日常会話ではあまり使われません。
- liabilize
(稀な用法)『〜に責任を負わせる』という意味の動詞。法的な文脈や、責任の所在を明確にする必要のある状況で使用されます。使用頻度は低いですが、責任を明確化するという意味合いを強調する際に用いられます。
反意語
『資産』という意味。会計・経済の文脈で『liability(負債)』と対をなす言葉として頻繁に用いられます。企業のバランスシートにおいて、liabilityが企業の義務であるのに対し、assetは企業が所有する価値のあるものを指します。日常会話でも比喩的に『強み』や『利点』の意味で使われます。
『免責』や『免除』という意味。法的責任や義務を免れる状態を指し、『liability』が責任を負う状態であることと対照的です。法律、医学、政治など、幅広い分野で使用されます。
『有利な点』や『強み』という意味。liabilityが『不利な点』や『弱み』となりうる状況において、その反対の立場を表します。ビジネスや戦略の文脈でよく用いられ、競争上の優位性を示す際に使用されます。
語源
liabilityは、古フランス語の「lier(縛る)」に由来し、さらに遡るとラテン語の「ligare(縛る、結びつける)」にたどり着きます。この「ligare」が、英語のligament(靭帯)やally(同盟国)といった単語の語源にもなっています。liabilityは、元々は「法的または道徳的に拘束される状態」を意味していました。接尾辞の「-ity」は、「状態」や「性質」を表す名詞を作る接尾辞です。つまり、liabilityは「縛られている状態」から転じて、「法的責任」や「負債」といった意味を持つようになったのです。例えば、借金は文字通りお金で「縛られている」状態であり、事故を起こした場合は法的責任という形で「縛られる」ことになります。このように考えると、liabilityは「何かによって拘束されている状態」を表す言葉として理解しやすいでしょう。
暗記法
Liabilityは、単なる負債にあらず。産業革命以降、事故や環境汚染の責任を巡る議論の中心となり、企業の社会的責任(CSR)の萌芽を内包する概念へと発展。ディケンズの小説が描く社会の暗部を背景に、「見えざるコスト」を可視化する警鐘として、その重要性を増しました。グローバル化が進む現代では、環境問題や人権侵害に対する企業の責任が問われ、未来世代へのLiabilityを意識することが不可欠です。
混同しやすい単語
『liability』と語尾が同じ '-ility' であり、スペルが似ているため混同しやすい。意味は『能力』であり、責任や負債を意味する『liability』とは大きく異なる。品詞はどちらも名詞。接頭辞 'ab-' と 'li-' の違いを意識し、『ability』は『〜できる』、『liability』は『束縛される』という語源的なイメージを持つと区別しやすい。
『liability』と最初の数文字 'lib-' が共通しており、視覚的に似ているため混同しやすい。意味は『自由』であり、責任や負債を意味する『liability』とは全く異なる。品詞は名詞。語源的には、『liberty』は『自由な状態』、『liability』は『法的拘束力』といったニュアンスの違いがある。
『liability』とスペルが似ており、特に 'liabil-' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。『reliable』は形容詞で『信頼できる』という意味であり、名詞である『liability』とは品詞も意味も異なる。ただし、『liability』が『責任』の意味で使われる場合、『reliable』な人が『liability(責任)』を負う、という文脈で関連性が出てくることもあるため注意が必要。
『liability』の形容詞形であるため、意味的にもスペル的にも混同しやすい。『liable』は『〜しがちである』『〜の責任がある』という意味を持ち、文脈によっては『liability』と置き換え可能な場合もある。ただし、『liability』が名詞であるのに対し、『liable』は形容詞であるため、文法的な構造に注意する必要がある。例えば、『be liable for ...』という形で使われることが多い。
『liability』と文字数が近く、語尾の '-ty' が共通しているため、全体的な印象が似ており、視覚的に混同しやすい。意味は『忠誠心』であり、『liability』の『責任』や『負債』とは全く異なる。品詞はどちらも名詞。発音も異なるため、音とスペルをセットで覚えることが重要。
語尾が '-ility' で共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。『validity』は『妥当性』や『正当性』という意味の名詞であり、『liability』とは意味が大きく異なる。ただし、契約や法律に関連する文脈では、両方の単語が使われる可能性があるため、文脈を理解することが重要。例えば、契約の『validity(妥当性)』が認められない場合、『liability(責任)』を問われる、といった状況が考えられる。
誤用例
日本語で「彼の弱点は正直すぎることだ」という場合、liabilityを直訳的に使ってしまう誤用です。Liabilityは通常、法的・経済的な責任や債務を指し、人の性格や性質の欠点を表すには不適切です。この文脈では、'weakness'や'flaw'を使う方が適切です。日本人は、抽象的な概念を具体的な単語に置き換える際に、語義の範囲を誤解しやすい傾向があります。英語では、抽象的な概念にはより抽象的な語彙を用いる方が自然です。
Liabilityは責任を意味しますが、この文脈では「プロジェクトの成功に対する責任」というよりも、「プロジェクトが失敗した場合の法的・経済的責任」というニュアンスが強くなります。成功に対する責任を表現したい場合は、'responsibility'を使う方が適切です。日本人は「責任」という言葉を広く捉えがちですが、英語の'liability'はより限定的な意味を持つことを理解する必要があります。また、日本語の「〜に対して責任がある」という表現をそのまま'liability for'とすると、不自然な英語になることがあります。
Liabilityは「お荷物」「厄介者」という意味で使えますが、この文脈では少し大げさな表現です。ジョークを言うことがチームの妨げになっているという状況であれば、'hindrance'(邪魔になるもの)や'detriment'(不利益)を使う方が適切です。日本人は、ネガティブな状況を表現する際に、つい強い言葉を選んでしまいがちですが、英語では状況に応じて適切な強さの言葉を選ぶことが重要です。特に、ユーモアのセンスは文化によって異なるため、ジョークを言う人を'liability'と表現すると、相手に不快感を与える可能性があります。
文化的背景
「liability(責任、負債)」という言葉は、単なる経済的な負担を示すだけでなく、社会的な信用や道徳的義務といった、より広範な責任概念と深く結びついています。特に、近代資本主義の発展とともに、個人の行動が社会全体に及ぼす影響が可視化されるにつれて、liabilityは自己責任の重みを象徴する言葉として、その重要性を増してきました。
19世紀の産業革命期以降、企業活動が拡大し、大規模な事故や環境汚染が頻発するようになると、liabilityの概念は法的な議論の中心となります。例えば、鉄道事故や工場の爆発事故において、誰が、どこまで責任を負うべきかが争点となり、liabilityの範囲を明確化するための法整備が進められました。この過程で、liabilityは単なる損害賠償の義務にとどまらず、企業が社会に対して負うべき倫理的な責任、すなわち「企業の社会的責任(CSR)」の萌芽を内包する概念へと発展していきました。ディケンズの小説に描かれるような、産業社会の暗部を背景に、liabilityは「見えざるコスト」を可視化する言葉として、社会的な警鐘を鳴らしてきたのです。
20世紀に入ると、liabilityはさらに複雑な様相を呈します。環境問題の深刻化や、グローバル化の進展に伴い、企業が国境を越えて活動するようになると、liabilityの範囲はますます拡大し、その責任の所在を特定することが困難になります。特に、多国籍企業の活動による環境破壊や人権侵害に対して、誰が、どのように責任を負うべきかという問題は、国際的な議論の焦点となっています。liabilityは、単なる経済的な負担を示すだけでなく、企業の倫理観や社会に対する貢献度を測る指標として、投資家や消費者からの注目を集めるようになりました。
現代社会において、liabilityは、自己責任の原則と、社会全体の持続可能性とのバランスを考える上で、重要な概念となっています。気候変動やパンデミックといった地球規模の課題に直面する中で、個人の行動や企業の活動が、未来世代にどのようなliabilityを残すのかを意識することが、ますます重要になっています。liabilityは、過去の過ちから学び、未来への責任を果たすための羅針盤として、私たちの社会を導く言葉であり続けるでしょう。
試験傾向
準1級、1級の語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。特に、契約書や法律関連の文章で出てくることが多いです。注意点としては、名詞としての意味(法的責任、負債)だけでなく、比喩的な意味(負担、不利な点)も理解しておく必要があります。
Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解)で頻出です。財務諸表、契約書、保険など、ビジネス関連の文脈でよく見られます。「liability insurance(賠償責任保険)」のような複合語も覚えておきましょう。選択肢に類似語(assetなど)が含まれる場合があるので注意が必要です。
リーディングセクションで、経済学、法律、社会学などのアカデミックな文章で出題される可能性があります。具体的な例よりも、抽象的な概念の説明で使われることが多いです。名詞としての意味をしっかり理解し、文脈から正確に意味を判断できるように練習しましょう。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。法律、経済、社会問題など、硬めのテーマの文章で出てくることが多いです。文脈から意味を推測する能力が求められます。liabilityの語源(lie:横たわる)を意識すると、イメージがつかみやすくなります。