obligation
第2音節の 'blɪ' に注意が必要です。'b' の発音後、日本語の『リ』よりも舌を少し後ろに引いて、曖昧母音 /ɪ/ を発音しましょう。また、第3音節にアクセント(強勢)があります。最後の 'tion' は『シャン』に近い音で、口をあまり大きく開けずに発音するとより自然になります。
専門的な内容に関するご注意
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義務
法律、契約、道徳などによって課せられた、果たさなければならない事柄。単に「〜すべきこと」というより、より重く、逃れられないニュアンスを含む。
Even when tired, I feel a strong obligation to walk my dog every morning.
疲れていても、毎朝犬を散歩させるのは、私にとって強い義務だと感じています。
※ この文は、あなたがペットの飼い主として、愛犬のために毎日欠かさず散歩させるという「個人的な義務感」を表しています。たとえ疲れていても「やらなければならない」という気持ちが伝わってきます。このように、義務は法律だけでなく、自分の心からくる責任感に対しても使われます。「feel an obligation to do 〜」で「〜する義務を感じる」という表現はとてもよく使われます。
As a nurse, she felt a strong obligation to help all her patients, even late at night.
看護師として、彼女は夜遅くてもすべての患者さんを助ける強い義務感を感じていました。
※ ここでは、看護師という「職業上の役割」に伴う義務が描かれています。患者さんの命や健康を守るという、責任感の強い仕事では「obligation」がしばしば登場します。特に「even late at night(夜遅くでも)」という言葉が、彼女の献身的な姿勢と強い義務感を際立たせています。「As a ~」は「〜として」という意味で、その立場からの義務であることを示します。
He felt a moral obligation to return the lost wallet to its owner.
彼は、なくした財布をその持ち主に返すことが道徳的な義務だと感じました。
※ この例文は、「moral obligation(道徳的な義務)」という形での使い方です。法律で決まっているわけではないけれど、人として「そうすべきだ」と感じる心の声や良心に基づいた義務を表します。落とし物を拾ったときに「持ち主に返すべきだ」と感じる気持ちは、まさにこの「moral obligation」と言えます。「return A to B」は「AをBに返す」という基本的な動詞の形も確認できますね。
恩義
人から受けた親切や行為に対する感謝の気持ちと、それに応えようとする気持ち。返さなければならない借り、というニュアンス。
I felt an obligation to repay him because he helped me a lot before.
以前彼が私をたくさん助けてくれたので、彼にお返しをする恩義を感じました。
※ この例文は、誰かに助けてもらったことに対する「恩返し」の気持ち、つまり恩義を強く感じている場面を描いています。『repay』という単語で、具体的な行動として「恩返しをする」という気持ちが伝わります。'feel an obligation to do something' は「~する恩義を感じる」という、この単語のとても典型的な使い方です。
After her parents paid for college, she felt an obligation to study hard.
両親が大学の費用を払ってくれた後、彼女は一生懸命勉強する恩義を感じました。
※ この例文では、両親がしてくれた大きな犠牲(学費の支払い)に対し、それに応えようと努力する娘の気持ちが描かれています。親から受けた恩恵に対する責任感や感謝の気持ちとしての「恩義」の使い方がよくわかります。'obligation to study hard' のように、'obligation to + 動詞の原形' で「~する恩義/義務」を表します。
She felt an obligation to help her neighbor who had always been kind to her.
いつも親切にしてくれた隣人を助ける恩義を彼女は感じました。
※ この例文は、日頃の親切に対する感謝と、困った時には助けてあげたいという日常的な「恩義」の場面です。特別な出来事でなくても、普段からの親切に対して感じる温かい気持ちが伝わります。'who had always been kind to her' のように、関係代名詞を使って「どんな人か」を説明することで、より具体的な情景が目に浮かびますね。
責務
役職や立場に伴う当然の義務。職務上の責任、というニュアンス。
Parents have an important obligation to raise their children with love and care.
親には、愛情と世話をもって子どもを育てるという重要な責務があります。
※ この例文は、親が子どもに対して感じる自然な「義務」や「責任」を描いています。子どもを大切に思う親の温かい気持ちと、それを果たすべき務めが伝わるでしょう。「have an obligation to do」は「〜する義務がある」という、この単語の最も基本的な使い方の一つです。個人的な責任を話す時によく使われます。
It is a citizen's obligation to vote in elections and choose their leaders.
選挙で投票し、自分たちのリーダーを選ぶことは、市民の責務です。
※ この例文は、社会の一員としての「義務」や「責務」を表しています。投票所へ足を運び、真剣な表情で国の未来を考える市民の姿が目に浮かびます。「It is (誰かの) obligation to do」の形は、「〜することは(誰かの)義務である」と、広く一般的に認識されている責務を表現するのに非常に便利です。社会的な役割や義務について話す際によく使われます。
As a manager, I feel a strong obligation to report our team's progress clearly.
マネージャーとして、私はチームの進捗を明確に報告する強い責務を感じています。
※ この例文は、仕事上の役割から生じる「責務」と、それに対する「責任感」を表現しています。会議でチームの状況を説明しようと、真剣に準備しているマネージャーの姿が想像できます。「feel an obligation to do」は「〜する義務を感じる」という意味で、自分の内側から湧き上がる責任感を表現するのに最適です。ビジネスシーンや、自分の役割について話す際によく登場します。
コロケーション
道徳的義務
※ 法律で定められた義務ではなく、良心や倫理観から生じる義務のことです。例えば、「困っている人を助けるのは道徳的義務だ」のように使います。法的拘束力はないものの、社会生活を円滑にする上で重要な概念です。ビジネスシーンでも、CSR(企業の社会的責任)の文脈で語られることがあります。
法的義務
※ 法律によって定められた義務。契約、法令、判例などに基づいて発生します。違反すると罰則が科せられる可能性があります。「契約上の義務を履行する」「納税は国民の法的義務だ」のように使われます。日常会話よりも、法律やビジネスの文脈で頻繁に用いられます。
法的拘束力のある義務
※ 契約や合意などによって生じ、当事者を拘束する義務のこと。「契約は両当事者にとって拘束力のある義務となる」のように使われます。"binding"は「束縛する」という意味で、この義務が容易には逃れられないことを強調します。ビジネスや法律の文書でよく見られる表現です。
義務を果たす
※ "fulfill"は「満たす」「実行する」という意味で、obligationと組み合わせることで、義務をきちんと実行することを表します。「約束を守る」「責任を全うする」といった意味合いが含まれます。ビジネスシーンでは、契約上の義務や任務を遂行する際に用いられることが多いです。類語に"discharge an obligation"があります。
義務を履行する、義務を免れる
※ "discharge"は「解放する」「免除する」という意味で、obligationと組み合わせることで、義務を履行して責任から解放される、または債務などを弁済して義務を免れることを表します。例えば、借金を返済して債務を免れる場合などに使われます。"fulfill an obligation"と似ていますが、"discharge"はより法的なニュアンスが強いです。
義務を負って
※ "under"は「~の下に」という意味で、obligationと組み合わせることで、義務や責任を負っている状態を表します。「契約により義務を負う」「恩義を感じて義務を負う」のように使われます。この表現は、義務の発生原因や背景を説明する際によく用いられます。フォーマルな場面で使われることが多いです。
~する義務はない
※ 特定の行為を行う法的または道徳的な義務がないことを明確に示します。例えば、「会社は従業員の個人的な問題に介入する義務はない」のように使われます。これは、権利と責任の範囲を明確にするために重要な表現です。契約書やポリシー文書などで頻繁に見られます。
使用シーン
学術論文や教科書で頻繁に使用されます。特に、法学、倫理学、社会学などの分野で、契約上の義務や道徳的義務、社会的義務といった概念を議論する際に用いられます。例:『The study examines the ethical obligations of researchers when conducting clinical trials.(この研究は、臨床試験を行う際の研究者の倫理的義務を検証する)』
契約書、報告書、社内規定などのビジネス文書でよく見られます。法的義務、契約上の義務、業務上の責任などを明確にするために使用されます。例:『The company has an obligation to protect the privacy of its customers.(会社は顧客のプライバシーを保護する義務がある)』。また、プロジェクトマネージャーがチームメンバーにタスクを割り当てる際に、「〜する責務がある」という意味合いで使われることもあります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュースやドキュメンタリーなどで、政治家や企業などの責任について語られる際に耳にすることがあります。例:『Politicians have an obligation to serve the public interest.(政治家は公共の利益のために尽力する義務がある)』。また、フォーマルな場面で、親が子供に対して「〜する義務がある」といったニュアンスで使うことも考えられます。
関連語
類義語
道徳的、法的、または社会的な責任を指し、果たすべき行為や役割を意味します。フォーマルな場面や、公的な文脈でよく用いられます。例:a sense of duty, civic duty。 【ニュアンスの違い】"Obligation"よりも、より個人的な責任感や道徳的な義務感が強く、個人の内面から生じる義務というニュアンスがあります。また、しばしば愛国心や忠誠心と結びついて使われます。 【混同しやすい点】"Duty"は、しばしば職務や役割に付随する義務を指すのに対し、"obligation"は契約や約束などによって生じる義務を指すことが多いです。また、"duty"は不可算名詞としても使われますが、"obligation"は通常可算名詞です。
ある行為や決定の結果に対する責任、または特定のタスクを遂行する義務を指します。ビジネスや日常生活で広く使われます。例:take responsibility, a sense of responsibility. 【ニュアンスの違い】"Obligation"よりも、より広範で、自発的な要素を含むニュアンスがあります。責任を負うという主体的な行動を伴うことが多いです。また、"obligation"が外部からの強制力によって生じるのに対し、"responsibility"は内発的な責任感から生じることがあります。 【混同しやすい点】"Responsibility"は、義務を果たすだけでなく、その結果に対する責任も含む点が"obligation"と異なります。例えば、"I have an obligation to pay the rent"(家賃を払う義務がある)に対し、"I have a responsibility to take care of my children"(子供たちの世話をする責任がある)のように使われます。
特定の行動方針や目標に献身することを意味します。しばしば長期的な関係やプロジェクトに関連して用いられます。例:a strong commitment, a lifelong commitment. 【ニュアンスの違い】"Obligation"よりも、より自発的で感情的なつながりを含んだニュアンスがあります。個人的な価値観や信念に基づく決意を示すことが多いです。 【混同しやすい点】"Commitment"は、しばしば時間やエネルギーを費やすことを伴うため、単なる義務以上の献身的な意味合いを持ちます。また、"commitment"はしばしば「公約」や「誓約」という意味合いで使われますが、"obligation"にはそのような意味合いは薄いです。
法的または金銭的な責任を指し、負債や義務を意味します。会計や法律の分野でよく用いられます。例:financial liability, legal liability. 【ニュアンスの違い】"Obligation"よりも、より具体的で、しばしば金銭的な負担を伴うニュアンスがあります。また、ネガティブな意味合いが強く、好ましくない状況を表すことが多いです。 【混同しやすい点】"Liability"は、しばしば企業の貸借対照表における負債項目を指すように、特定の状況下での責任を指します。また、"liability"は不可算名詞として使われることが多いですが、"obligation"は通常可算名詞です。
特定の基準や条件を満たす必要性を指します。規則、法律、または契約などによって定められた要件を意味します。例:entry requirements, legal requirements. 【ニュアンスの違い】"Obligation"よりも、より客観的で、具体的な条件や基準を満たす必要性を強調するニュアンスがあります。個人的な感情や道徳観とは無関係に、客観的に満たすべき要件を指します。 【混同しやすい点】"Requirement"は、しばしば特定の資格や条件を満たす必要性を指すのに対し、"obligation"はより広範な義務を指します。例えば、"The job requires a university degree"(その仕事には大学の学位が必要である)のように使われます。
強制的な衝動や義務感を指し、強い欲求や必要性に駆られる状態を意味します。心理学や文学の分野でよく用いられます。例:a compulsive behavior, a sense of compulsion. 【ニュアンスの違い】"Obligation"よりも、より内面的で、制御不能な衝動を伴うニュアンスがあります。しばしば強迫観念や依存症に関連して用いられます。 【混同しやすい点】"Compulsion"は、しばしば個人の意思に反して行動してしまうような、強い内的衝動を指すのに対し、"obligation"は外部からの要求や契約によって生じる義務を指します。また、"compulsion"は不可算名詞として使われることが多いですが、"obligation"は通常可算名詞です。
派生語
『義務的な』という意味の形容詞。『obligation』が名詞であるのに対し、こちらは性質や状態を表します。接尾辞『-tory』は『〜に関する』という意味合いを付与し、法律や規則など、守るべき義務の性質を強調します。日常会話よりも、契約書や法律文書、業務指示など、フォーマルな文脈で頻繁に使われます。
『(人に)〜することを義務付ける』という意味の動詞。元々は『縛る』という意味合いがあり、そこから転じて『法的・道徳的に拘束する』という意味になりました。日常会話ではあまり使いませんが、ビジネスシーンで『ご要望にお応えします』のように、丁寧な表現として使われることがあります(e.g., We would be happy to oblige your request.)。
- obliging
『人に親切な』、『快く応じる』という意味の形容詞。動詞『oblige』から派生し、人に何かをしてもらう義務があるかのように、快くそれに応じる様子を表します。日常会話で人の性格や態度を表現する際に使われることが多く、『a very obliging person』(とても親切な人)のように用いられます。
反意語
『自由』という意味の名詞。『obligation』(義務)が外部からの拘束を表すのに対し、『freedom』は自己決定権や行動の自由を意味します。政治、経済、社会、個人の生活など、あらゆる文脈で『obligation』と対比されます。例えば、『freedom of speech』(言論の自由)は、『言論の義務』とは対照的な概念です。
『裁量』、『自由意志』という意味の名詞。『obligation』が外部からの強制であるのに対し、『discretion』は内部からの判断に基づいた行動の自由を意味します。ビジネスや法律の文脈で、特定の規則や義務に縛られず、状況に応じて柔軟に対応できる余地があることを指します(e.g., at one's discretion)。
『免除』という意味の名詞。『obligation』(義務)が課せられている状態からの解放を意味します。税金、法律、契約など、特定の義務から特別に除外される場合に用いられます。例えば、『tax exemption』(税金免除)は、『納税義務』からの解放を意味します。
語源
「obligation」はラテン語の「obligatio」(束縛、義務)に由来します。これは「ob-」(〜に向かって)と「ligare」(縛る、結びつける)という二つの要素から成り立っています。「ob-」は「object」(対象)や「obvious」(明白な)などにも見られるように、「〜に向かって」という意味を持ちます。「ligare」は「ligament」(靭帯)や「alliance」(同盟)などの語源でもあり、「結びつき」や「束縛」といった概念を表します。つまり、「obligation」は元々「何かに対して縛り付けられた状態」を意味し、そこから「義務」や「責務」といった意味に発展しました。たとえば、契約を結ぶことは、お互いを義務で縛り付ける行為と考えることができます。この語源を知ることで、「obligation」が単なる強制ではなく、自発的な合意に基づく「結びつき」というニュアンスも含むことを理解できます。
暗記法
「obligation」は単なる義務ではない。社会、道徳、神との契約…根源的な繋がりを示す言葉だ。封建時代、家臣は領主へ忠誠を誓い、騎士は弱者を守る義務を負った。シェイクスピア悲劇では義務と欲望の葛藤が描かれる。現代では法的、契約的、道徳的義務が存在し、企業は社会的責任を負う。義務は時に重荷だが、社会の一員としての責任、他者への配慮、良心への誠実さを含む。背景を知れば、語彙はさらに豊かになる。
混同しやすい単語
『obligation』と語源が同じですが、品詞が異なります。『oblige』は動詞で「~を義務付ける」「~に恩恵を施す」といった意味を持ちます。スペルも似ているため、動詞と名詞の区別があいまいな学習者は混同しやすいでしょう。特に、『be obliged to do』のような受動態の形で使われると、『obligation』との関連性が分かりにくくなることがあります。語源的にはラテン語の『ligare(縛る)』に由来し、『obligation』が「縛られた状態」を意味するのに対し、『oblige』は「縛る行為」や「縛られた状態にする」ことを意味します。
『obligation』と語尾の『-tion』が共通しているため、スペルを見たときに混同される可能性があります。意味は「廃止」であり、全く異なります。特に、法律や社会問題に関する文章では、『abolition』も頻繁に登場するため、文脈から正確に判断する必要があります。語源的にはラテン語の『abolere(破壊する、取り除く)』に由来し、『obligation』の語源とは全く異なります。
『obligation』とスペルが似ており、特に母音字の並びが近いため視覚的に混同しやすいです。意味は「供物、捧げ物」であり、宗教的な文脈で使われることが多い単語です。日常会話ではあまり使われませんが、文学作品や歴史的な文章を読む際には注意が必要です。発音も『/ɑːˈbleɪʃən/』と似ているため、音声的にも注意が必要です。
『obligation』と語源が同じで、形容詞形です。「義務的な、強制的な」という意味を持ちます。スペルも似ており、意味も関連しているため、理解しやすい反面、名詞と形容詞の使い分けがあいまいな学習者は混同する可能性があります。例えば、『It is obligatory to wear a mask.』という文を『It is obligation to wear a mask.』と誤って書いてしまうことがあります。品詞を意識して学習することが重要です。
語尾の『-gation』が『obligation』と共通しているため、スペルを見たときに混同される可能性があります。意味は「代表団、委任」であり、全く異なります。ビジネスシーンや政治的な文脈でよく使われる単語です。特に、国際会議や交渉に関するニュース記事を読む際には、『delegation』という単語に注意する必要があります。語源的にはラテン語の『delegare(委任する)』に由来します。
『obligation』と語尾の『-gation』が共通しており、さらに最初の音節の母音も似ているため、スペルと発音の両面で混同される可能性があります。意味は「訴訟」であり、法律関係の文脈でよく使われます。特に、契約書や法律に関する記事を読む際には注意が必要です。語源的にはラテン語の『litigare(訴訟する)』に由来します。
誤用例
日本語の『〜しなければならない』という義務感を直訳すると、つい『have an obligation to〜』を使ってしまいがちですが、これは形式的・客観的な義務(契約上の義務など)を表す場合に適しています。相手の好意で勧められたケーキを食べるような状況では、感謝の気持ちから『〜せざるを得ない』というニュアンスを表す『feel obliged to〜』がより自然です。日本人が相手の気持ちを汲み取る文化で育っていることを考えると、このニュアンスの違いは重要です。
『obligation』は具体的な対象に対する義務を指すことが多く、漠然とした『成功』に対して使うと不自然に聞こえます。この場合、彼が成功に対して個人的に強い義務感を持っていることを強調するなら、『sense of obligation』を使う方が適切です。背景として、日本人は『〜すべき』という規範意識が強い傾向にありますが、英語ではより具体的な状況や対象に紐付けて義務を表現する方が自然です。
『obligation』を否定形で使う場合、『have no obligation』も文法的に間違いではありませんが、やや直接的でぶっきらぼうな印象を与えます。『be under no obligation』の方がより丁寧で、相手への配慮が感じられる表現です。特に、大人の会話では、ストレートな物言いを避け、婉曲的な表現を選ぶことが重要です。これは、日本人が直接的な表現を避ける傾向と似ていますが、英語ではさらに多様な表現方法でニュアンスを調整します。
文化的背景
「obligation(義務)」という言葉は、単なるタスクや責任を超え、社会や道徳、さらには神との間の契約といった、より根源的な結びつきを象徴します。それは、個人が属する共同体、あるいは自身が信じる規範体系に対する忠誠の証であり、その履行は個人の品格や信頼性を測る尺度ともなり得ます。
歴史を遡ると、「obligation」は、封建制度における領主と家臣の関係性において重要な意味を持っていました。家臣は領主に対し、忠誠と軍事的な奉仕を「obligation」として誓い、領主は家臣を保護する義務を負っていました。この相互的な義務関係は、中世社会の秩序を維持する基盤であり、違反は重大な裏切りと見なされました。文学作品においても、「obligation」はしばしば登場します。例えば、騎士道物語では、騎士は弱者を守り、正義を貫く義務を自らに課し、その義務を果たすために困難な冒険に身を投じます。シェイクスピアの悲劇では、登場人物が個人的な欲望と義務の間で葛藤し、その選択が悲劇的な結末をもたらす様子が描かれています。
現代社会においても、「obligation」は様々な形で存在します。法的な義務、契約上の義務、道徳的な義務など、私たちが日々直面する義務は多岐にわたります。企業は株主や従業員、顧客に対して社会的責任(social obligation)を負い、政府は国民の福祉を向上させる義務を負っています。また、家族や友人との間にも、暗黙の了解としての義務が存在し、互いを支え合い、助け合うことが期待されます。しかし、「obligation」は時に重荷となり、個人の自由を束縛するものとして認識されることもあります。特に、現代社会においては、多様な価値観が共存し、個人の自己実現が重視されるため、伝統的な義務観念との間で葛藤が生じやすくなっています。
「obligation」という言葉は、単に「~しなければならない」という強制的な意味合いだけでなく、社会の一員としての責任、他者への配慮、そして自分自身の良心に対する誠実さといった、より深い意味を含んでいます。その背景にある文化的・歴史的な文脈を理解することで、「obligation」という言葉が持つ多面的な意味をより深く理解し、より豊かな語彙力を身につけることができるでしょう。
試験傾向
準1級、1級で語彙問題、長文読解で出題される可能性があります。特に長文読解では、obligationに関連する動詞 (oblige) や形容詞 (obligatory) の意味を文脈から推測させる問題が見られます。リスニングでは、日常会話やニュース形式で、義務や責任に関する話題で使われることがあります。注意点としては、フォーマルな単語なので、くだけた会話ではあまり使われないことを覚えておきましょう。
Part 5 (短文穴埋め問題)、Part 6 (長文穴埋め問題)、Part 7 (長文読解) で出題される可能性があります。ビジネスシーンにおける契約、法律、従業員の義務などに関する文脈でよく用いられます。同義語である responsibility や duty との使い分けが問われることがあります。TOEICでは、obligationの具体的な内容を示す語句(to do something)がセットで出題されることが多いので、注意しましょう。
リーディングセクションで頻出。アカデミックな文章、特に社会科学や歴史学などの分野で、制度や法律、倫理的な義務について議論する際に用いられることが多いです。obligationの定義や、obligationが果たす役割について問われることがあります。ライティングセクションでも、自分の意見を述べる際に、根拠としてobligationの概念を用いることができます。同義語とのニュアンスの違いを理解しておくことが重要です。
難関大学の長文読解問題で頻出。社会問題、倫理、哲学など、やや抽象的なテーマを扱った文章でよく見られます。文脈から意味を推測させる問題や、言い換え表現を選ぶ問題が出題されることがあります。obligationだけでなく、obligatory や oblige などの関連語も覚えておきましょう。また、反意語である option や choice との対比で理解することも有効です。