lapse
母音 /æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を横に大きく開けて発音します。語尾の /ps/ は、息を止めてから「プ」と発音し、すぐに「ス」と続けることで、よりネイティブに近い響きになります。日本語の「ラップ」と発音すると、/ræp/ の音になり、意味が通じなくなる可能性があります。
専門的な内容に関するご注意
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一時的な過ち
うっかりしたミスや、道徳的な逸脱、記憶や集中力の途切れなどを指す。意図的ではない、一瞬の出来事というニュアンスを含む。
During his big presentation, he had a brief lapse and forgot a key name.
大きなプレゼンの途中、彼は一瞬気が緩み、重要な名前を忘れてしまった。
※ 会社での大切なプレゼンの場面です。緊張感の中、一瞬集中力が途切れてしまった「うっかりミス」を表しています。ビジネスシーンやフォーマルな場で、集中力が途切れて起こる小さな言い間違いや物忘れによく使われる典型的な使い方です。「a brief lapse」のように「a + 形容詞 + lapse」で、過ちの程度を表すことが多いです。
Forgetting my best friend's birthday was a huge lapse, and I felt so bad.
親友の誕生日を忘れてしまったのは大きなうっかりミスで、私はとても申し訳なく感じた。
※ 親しい友人との間で、うっかり大切なことを忘れてしまった時の情景です。自分の「気の緩み」や「不注意」によって起こった、少し気まずいけれど許される範囲の過ちを表しています。個人的な関係におけるうっかりした忘れ物や約束の失念など、日常会話でよく使われます。「felt so bad」は「とても申し訳なく感じた」という気持ちを表す自然な表現です。
The soccer player had a brief lapse in concentration and missed the easy pass.
サッカー選手は一瞬集中力が途切れ、簡単なパスをミスしてしまった。
※ サッカーの試合中に選手が簡単なミスをした場面です。プロの選手でも、一瞬の「集中力の途切れ」や「気の緩み」で起こる凡ミスを表すのに最適です。スポーツやパフォーマンス中に起こる、一時的な注意不足による失敗を表す非常によく使われる例です。「lapse in concentration」は「集中力の途切れ」という決まった言い回しなので、この形も覚えておくと便利です。
(状態が)途絶える
習慣、規則、関係などが一時的に中断、停止すること。完全に終わるのではなく、また再開する可能性があるニュアンス。
He felt his concentration lapse during the long, boring meeting.
長く退屈な会議中、彼は集中力が途切れるのを感じました。
※ この例文では、終わりの見えない会議で、眠気と戦いながらも、だんだん話が頭に入ってこなくなる彼の様子が目に浮かびます。「lapse」は、このように「集中力(concentration)」や「記憶(memory)」など、精神的な状態が一時的に途切れる時によく使われます。
My gym membership will lapse next month if I forget to renew it.
もし更新を忘れると、私のジムの会員資格は来月失効します。
※ せっかく始めたジム通いを無駄にしたくないのに、忙しくて更新手続きを忘れそうだと心配している様子が伝わります。「lapse」は、契約や資格、有効期限などが「切れる」「失効する」という意味でも非常によく使われます。手続きをしないと効力が途絶えるイメージです。
The deep silence in the room finally lapsed when the baby cried.
赤ちゃんが泣き出すと、部屋の深い静寂はついに途絶えました。
※ 誰もが息をひそめていた静まり返った部屋で、突然の赤ちゃんの泣き声が響き渡り、張り詰めた空気が一変する様子が目に浮かびます。「silence(静寂)」や「peace(平和)」のような状態が、何らかの出来事によって「途絶える」という状況でも「lapse」は使われます。突然の出来事で、それまでの状態が中断されるイメージです。
(権利を)失効させる
保険や契約などの権利が、一定期間の経過や条件を満たさないことで無効になること。うっかり更新を忘れた場合などに使われる。
My gym membership lapsed because I forgot to pay the fee last month.
先月会費を払い忘れたせいで、私のジムの会員資格は失効してしまいました。
※ この例文では、ジムの会員資格が「うっかり更新を忘れて失効してしまった」という、よくある状況を描写しています。ジムに行こうとしたら入れなかった、という残念な気持ちが伝わってきますね。`lapse`は、このように「期限切れや手続き忘れで、自動的に資格や権利が効力を失う」というニュアンスで非常によく使われます。
You must pay your car insurance on time, or the policy will lapse quickly.
自動車保険は期日通りに支払わなければなりません。さもないと、その保険はすぐに失効してしまいますよ。
※ ここでは、自動車保険という重要な契約が失効するかもしれないという、少し緊迫した状況を表現しています。もし保険が失効したら大変なことになる、という危機感が伝わりますね。`or`を使うことで「~しなさい、さもないと…」という警告の意味合いが強まります。保険や賃貸契約など、期日を守る必要があるものによく使われる表現です。
I was worried my passport would lapse before my trip, but I renewed it just in time.
旅行前にパスポートが失効しないか心配でしたが、ギリギリで更新できました。
※ 旅行の計画中に、パスポートの有効期限に気づいて焦る、という具体的な場面です。多くの人が経験するような心配事ですね。ビザや運転免許証など、公的な期限付きの書類が失効する(あるいはしそうになる)際にも`lapse`は自然に用いられます。`just in time`は「ちょうど間に合った、ギリギリ間に合った」という意味で、安堵の気持ちが伝わります。
コロケーション
判断力の誤り、不注意による過ち
※ 一時的な判断力の低下を指し、通常は重大な結果を伴わない軽微な過ちを意味します。ビジネスシーンやニュース報道で、責任者が自身のミスを認める際に使われることが多い表現です。類語として'error in judgment'がありますが、'lapse'はより一時的で偶発的なニュアンスを含みます。例えば、普段は冷静な人が、疲労やプレッシャーで一瞬判断を誤った場合などに適しています。構文は"a/an + lapse + in + 名詞"の形で、名詞はjudgmentの他に、'concentration'(集中力)、'memory'(記憶力)などが用いられます。
時間の経過、時間のずれ
※ ある時点から別の時点までの時間の経過を表す表現です。法律や契約書などのフォーマルな文書でよく用いられます。口語では"time passes"や"time goes by"の方が一般的ですが、より正確で客観的な記述が求められる場合に"lapse of time"が選ばれます。例えば、「契約失効には一定の時間の経過が必要である」という文脈で使われます。構文は"a/an + lapse + of + 時間を表す名詞"の形で、'a lapse of several years'(数年の経過)のように用いられます。
沈黙に陥る、黙り込む
※ 会話や活動が中断され、静寂な状態になることを指します。心理的な描写や、ドラマチックな場面で使われることが多い表現です。例えば、議論が白熱した後、気まずい沈黙が訪れるような状況で用いられます。比喩的に、ある状態から別の状態へ徐々に移行する意味合いも持ちます。例えば、'lapse into unconsciousness'(意識を失う)のように使われます。構文は"lapse + into + 名詞"で、名詞は'sleep'(眠り)、'despair'(絶望)などが用いられます。
(権利・契約などが)失効するのを放置する、更新を怠る
※ 意図的または不注意によって、権利や契約などが期限切れになるのを許すことを意味します。ビジネスや法律関連の文脈でよく用いられます。例えば、保険の更新を忘れて保険契約が失効した場合などに使われます。類語として'expire'がありますが、'let lapse'はより当事者の過失や怠慢がニュアンスとして含まれます。構文は"let + something + lapse"で、'let a subscription lapse'(購読を失効させる)、'let a membership lapse'(会員資格を失効させる)のように用いられます。
道徳的な過ち、倫理観の欠如
※ 道徳的または倫理的な基準から逸脱した行為を指します。公的な人物のスキャンダルや、倫理的な問題を取り扱う記事などでよく見られます。'a moral lapse'は、単なる間違いではなく、倫理観の欠如が原因であることを強調します。例えば、政治家が不適切な行動をとった場合に、「道徳的な過ちを犯した」と表現されます。構文は"a/an + moral + lapse"です。
(悪い習慣や状態に)逆戻りする、舞い戻る
※ 以前の状態や習慣に戻ってしまうことを意味します。特に、改善しようと努力していた悪い習慣や、克服したはずの困難な状況に戻る場合に用いられます。例えば、禁煙していた人が再びタバコを吸い始めることを 'lapse back into smoking' と表現します。心理学や自己啓発の文脈でよく使われます。構文は"lapse + back + into + 名詞/動名詞"で、'lapse back into old habits'(昔の習慣に戻る)のように用いられます。
使用シーン
学術論文や専門書で、注意の欠如や記憶の曖昧さなど、一時的な機能不全を指す際に使われます。心理学の研究で「記憶の減衰(memory lapse)」、医学論文で「投薬の中断(lapse in medication)」のように、専門的な文脈で用いられることが多いです。研究者が実験結果を分析したり、先行研究を引用したりする際に登場します。
ビジネスシーンでは、契約やプロジェクトの管理に関連して、権利の失効や手続きの懈怠を意味する際に使われます。例えば、「契約の失効(lapse of contract)」や「保険の失効(lapse of insurance)」のように、法務や財務関連の文書で用いられることがあります。日常的な業務報告や会議ではあまり使われませんが、リスク管理やコンプライアンスに関する議論では言及されることがあります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、一時的な過失やうっかりミスを報道する際に使われることがあります。例えば、「セキュリティの甘さ(security lapse)」や「監視の不備(lapse in surveillance)」のように、事件や事故の背景を説明する文脈で見かけることがあります。また、健康に関する記事で、運動習慣が途絶えることを「lapse into inactivity」と表現することもあります。
関連語
類義語
『うっかり誤りをおかす』という意味で、小さなミスや過失を指す。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『lapse』よりも深刻さが低く、一時的な不注意によるものというニュアンスが強い。また、『slip of the tongue(失言)』のように、口に出してしまう誤りにも使われる。 【混同しやすい点】『slip』は物理的に滑るという意味もあるため、文脈によって意味を区別する必要がある。また、『lapse』が時間の経過や中断を意味するのに対し、『slip』は瞬間的な出来事を指すことが多い。
『誤り』や『間違い』という意味で、事実や基準からの逸脱を指す。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『lapse』よりも客観的な誤りを指し、道徳的な過ちや怠慢といったニュアンスは含まれないことが多い。単なる事実誤認や計算ミスなどにも使われる。 【混同しやすい点】『error』は可算名詞であり、具体的な誤りの数を数えることができる。『lapse』は不可算名詞として使われることが多い点に注意。また、『error』はシステムのエラーなど、機械的な誤りにも使われる。
『誤り』や『間違い』という意味で、判断や行動の誤りを指す。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】『lapse』よりも個人的な責任が伴うニュアンスが強い。故意ではないものの、不注意や知識不足による誤りを指すことが多い。 【混同しやすい点】『mistake』は可算名詞であり、具体的な間違いを指す。『lapse』は、例えば『時間の経過』を意味する場合など、可算名詞として使われない場合がある。また、『mistake』は人の行為に対する評価として使われることが多い。
『失敗』という意味で、目標を達成できなかった状態を指す。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『lapse』が一時的な中断や逸脱を意味するのに対し、『failure』はより深刻な結果を伴う。プロジェクトの失敗や試験の不合格など、重大な結果を伴う場合に用いられる。 【混同しやすい点】『failure』は名詞としてだけでなく、動詞としても使われる。『lapse』は動詞としても使われるが、『failure』ほど頻繁ではない。また、『failure』はシステムや機械の故障も意味する。
『退行』や『後退』という意味で、状態や能力が以前よりも悪化することを指す。学術的な文脈や、心理学、医学などでよく使われる。 【ニュアンスの違い】『lapse』が一時的な中断や逸脱を意味するのに対し、『regression』はより長期的な悪化を指す。病状の悪化や、学習の進捗が停滞する場合などに用いられる。 【混同しやすい点】『regression』は統計学で回帰分析を意味することもあるため、文脈によって意味を区別する必要がある。また、『lapse』が道徳的な過ちを意味する場合もあるのに対し、『regression』はそのような意味合いは通常含まれない。
『再発』という意味で、病気や悪癖などが一時的に治まった後に再び現れることを指す。医学や依存症治療の文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『lapse』が一般的な中断や逸脱を意味するのに対し、『relapse』は特定の状態からの回復後に再び同じ状態に戻ることを指す。アルコール依存症の再発や、病気の再発などに用いられる。 【混同しやすい点】『lapse』は必ずしもネガティブな意味を持たない場合があるが、『relapse』は常にネガティブな意味合いを持つ。また、『relapse』は特定の状態からの回復後にのみ使用される。
派生語
『再発』を意味する名詞または動詞。『re-(再び)』+『lapse(逸脱)』で構成され、元の状態から再び逸脱することを表す。病気の再発、悪癖の再発など、ネガティブな状況で使われることが多い。日常会話でも医療・福祉の現場でも頻繁に使用される。
- collapsible
『折りたたみ可能な』という意味の形容詞。『col-(共に)』+『lapse(崩れる)』+『-ible(〜できる)』で構成され、共に崩れやすい、つまり折りたためる性質を表す。日常会話や製品説明で使われる。
- elapse
『(時間が)経過する』という意味の動詞。ラテン語の『ex-(外へ)』+『lapse(滑る)』が語源で、時間が滑り出ていくイメージ。やや硬い表現で、ビジネス文書や学術的な文脈で使われることが多い。
反意語
『継続する』という意味の動詞。『lapse』が中断や停止を示唆するのに対し、『continue』は途切れることなく続くことを意味する。日常会話からビジネス、学術まで幅広く用いられる。例えば、『lapse in concentration(集中力の途切れ)』に対して『continue to concentrate(集中し続ける)』のように対比される。
『維持する』という意味の動詞。『lapse』が(良い状態からの)逸脱を示すのに対し、『maintain』は現状を維持し、悪化させないことを意味する。健康、財産、関係など、様々な対象に対して用いられる。例えば、『lapse into bad habits(悪い習慣に陥る)』に対して『maintain good habits(良い習慣を維持する)』のように対比される。
『持続する』『固執する』という意味の動詞。『lapse』がある状態から別の状態へ変化することを示すのに対し、『persist』は同じ状態を維持し続けることを意味する。困難な状況でも諦めずに続けるニュアンスを含む。学術論文やビジネスシーンでよく用いられる。
語源
"lapse」は、ラテン語の「lapsus」(滑ること、落ちること)に由来します。これは「labi」(滑る、落ちる)という動詞の過去分詞形です。英語の「lapse」は、文字通りには「滑り落ちる」というイメージを持ち、そこから「一時的な過ち」や「(状態が)途絶える」、「(権利を)失効させる」といった意味に発展しました。例えば、階段で足を滑らせて「転倒する(lapse)」様子や、集中力が途切れて「過ちを犯す(lapse)」状況を想像すると理解しやすいでしょう。また、保険の支払いを怠り、契約が「失効する(lapse)」のも、定められた状態から滑り落ちるイメージです。このように、「lapse」は、何かがあるべき状態から逸脱し、一時的に、あるいは完全に失われる様子を表す言葉として使われています。
暗記法
「lapse」は、中世の罪の概念に根ざし、信仰や道徳からの逸脱を意味しました。教会法では共同体の秩序を乱す行為とされ、文学では主人公の運命を左右する一瞬の過ちとして描かれます。現代では、道徳的逸脱から記憶の喪失まで意味が広がりましたが、「基準からの逸脱」という核は不変。政治家の失言や医療現場のミスも「lapse」とされ、個人の責任と社会秩序維持というテーマを内包。西洋社会の道徳観や人間の弱さへの認識を深める言葉です。
混同しやすい単語
動詞 'elapse'(経過する)の名詞形と混同しやすい。'lapse' は『(一瞬の)誤り、過失、時の経過』などの意味を持ち、特に注意を要するのは『保険などの失効』という意味がある点。一方、'elapse' は時間の経過そのものを指す。発音は似ているが、品詞と意味が異なる。
先頭の 'la-' と 'co-' の部分が、音の響きと文字の見た目で類似しているため、混同しやすい。'lapse' が一時的な中断や過失を意味するのに対し、'collapse' は『崩壊、倒壊』という、より重大な崩れ落ちる状態を表す。文脈から判断することが重要。
'lapse' の複数形 'lapses' と混同しやすい。'laps' は周回、膝の上などを意味する 'lap' の複数形。スペルが非常に似ているため、文脈をよく見て判断する必要がある。例えば、水泳の文脈では 'laps' は周回を意味する。
発音が似ており、特に語尾の 's' の音が曖昧になりやすい。'lapse' は動詞(失効する)または名詞(失効、過ち)だが、'loose' は形容詞で『ゆるい、だらしない』という意味。また、'lose'(失う)との混同にも注意が必要。'loose' は二重母音 'oo' を持つ。
接頭辞 're-' がつくことで、意味が『再発、元の状態に戻る』となる。'lapse' 自体が『(一時的な)過ち、中断』といった意味を含むため、'relapse' は病気や悪癖などが一時的に治まった後に再び現れることを指す。'lapse' と 'relapse' は意味が近いが、再発というニュアンスが加わる。
スペルが 'la...se' と 'clau...se' で一部共通しており、視覚的に紛らわしい。'lapse' が過ちや経過を意味するのに対し、'clause' は『(法律、契約などの)条項、節』を意味する。法律関係の文章では特に注意が必要。
誤用例
日本語では『集中が途切れた』と言う場合、時間的な長さを含意しないことが多いですが、英語の『lapse』は、通常、非常に短い時間的な中断を指します。そのため、より自然な英語にするには『momentary』などの語を加えて、その一瞬の出来事であることを明確にする必要があります。また、動詞の『lapse』は自動詞として『時が経過する』という意味で使われることが多いのに対し、名詞の『lapse』は『(一時的な)中断、衰え』といった意味合いが強く、特に注意が必要です。日本語の『うっかり』というニュアンスを英語にする際には、この時間的な感覚のズレを意識することが重要です。
『lapse』は、道徳的、倫理的な過ちや失敗、または記憶の喪失など、ある種の『逸脱』を意味することが多い単語です。単なるミスやエラーを指す場合は、より一般的な『mistake』を使う方が適切です。日本語の『過ち』という言葉は、比較的広い範囲の誤りを指すため、『lapse』を使うと、意図せず深刻なニュアンスを与えてしまう可能性があります。例えば、ビジネスの場で単なる計算ミスを『lapse』と表現すると、相手に大げさな印象を与え、不信感を抱かせる可能性もあります。英語では、状況に応じて適切な語彙を選択する繊細さが求められます。
『lapse of time』という表現は文法的に誤りではありませんが、非常に古風で、現代英語ではほとんど使われません。より自然な表現は『passage of time』です。『lapse』は、どちらかというと、時間が経過した結果、何かが悪化したり、効力を失ったりするニュアンスを含みます。例えば、『lapse of memory (記憶の欠落)』のように使われます。日本語の『時間の経過』という言葉を直訳的に捉え、『lapse』を使ってしまうのは、日本語の語彙の広さが英語にそのまま対応しない典型的な例です。英語の表現は、より直接的で具体的なイメージを伝えることを重視する傾向があります。
文化的背景
「lapse」は、道徳的、法的、あるいは倫理的な基準からの逸脱、あるいは一時的な判断力の低下を意味し、しばしば個人の弱さや社会の秩序に対する挑戦として捉えられます。この単語は、完璧を求める規範社会において、人間が陥りやすい過ちや失敗を浮き彫りにし、その背景にある複雑な心理や社会構造を映し出します。
「lapse」が持つ文化的重みは、中世ヨーロッパにおける宗教的な罪の概念と深く結びついています。教会法においては、信仰からの逸脱や道徳的な過ちを「lapse」と呼び、公的な懺悔や償いを必要とするものでした。この文脈では、「lapse」は単なる個人的な失敗ではなく、共同体の秩序を乱す行為とみなされ、社会的な制裁の対象となりました。文学作品においても、「lapse」は登場人物の運命を大きく左右する要素として描かれることがあります。例えば、シェイクスピアの悲劇では、主人公が犯した一瞬の判断ミス(lapse)が、破滅的な結末を招くことが少なくありません。これらの作品は、「lapse」が人間の弱さや運命の綾を象徴する言葉として、深く根付いていることを示しています。
現代社会においては、「lapse」はより広範な意味で使用されるようになり、道徳的な逸脱だけでなく、記憶の喪失や集中力の低下など、一時的な機能不全を指すこともあります。しかし、その根底には、依然として「基準からの逸脱」というニュアンスが存在し、社会的な規範や期待からのずれを意識させる言葉として機能しています。政治の世界では、政治家の失言や不祥事が「lapse in judgment(判断の誤り)」として報道され、その責任が追及されることがあります。また、医療の現場では、医師の不注意なミスが「lapse」として記録され、再発防止のための対策が講じられます。このように、「lapse」は現代社会においても、個人の責任と社会の秩序維持という、重要なテーマを内包した言葉として、その存在感を示しています。
「lapse」の文化的意義を理解することは、単に語彙力を高めるだけでなく、西洋社会における道徳観や倫理観、そして人間の弱さに対する認識を深めることにつながります。この言葉を通して、私たちは、完璧を求める社会の中で、いかにして過ちを犯し、それを乗り越えていくのかという、普遍的な問いに向き合うことができるのです。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題、長文読解で出題される可能性があります。1級ではエッセイでの使用も考えられます。
1. **出題形式**: 語彙問題、長文読解、ライティング(1級)。
2. **頻度と級・パート**: 準1級〜1級。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、環境問題、歴史など硬めのテーマ。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 主に「(一時的な)中断、衰え、経過」の意味で使われる。名詞と動詞の区別を意識し、具体的な例文で用法を確認すると良いでしょう。
Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)で出題される可能性があります。
1. **出題形式**: 短文穴埋め、長文読解。
2. **頻度と級・パート**: Part 5, Part 7。
3. **文脈・例題の特徴**: ビジネスシーン(契約、プロジェクトの遅延など)。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「(一時的な)中断、失効」の意味で使われることが多い。特に契約や保険関連の文脈で頻出。似た意味の単語(e.g., suspension, expiration)とのニュアンスの違いを理解することが重要です。
リーディングセクションで出題される可能性が高いです。アカデミックな文章で使われることが多く、高度な語彙力と読解力が必要です。
1. **出題形式**: リーディング。
2. **頻度と級・パート**: リーディングセクション。
3. **文脈・例題の特徴**: 学術論文、科学記事、歴史的考察など。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「(道徳的な)過ち、逸脱」の意味合いで使われることもあります。文脈から正確な意味を判断する練習が必要です。類義語(e.g., error, mistake)との違いを意識しましょう。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。文脈把握能力が問われます。
1. **出題形式**: 長文読解。
2. **頻度と級・パート**: 難関大学の長文。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会科学、人文科学系のテーマ。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 多義語であるため、文脈から意味を推測する練習が重要です。名詞・動詞の用法を区別し、様々な例文に触れることで理解を深めましょう。