keep up
ついていく
速度や進捗について遅れないようにする意味。人、乗り物、技術革新など、様々な対象に使われる。例:Keep up with the news(最新ニュースについていく), Keep up with the pace(ペースについていく)
My little son runs so fast, it's hard for me to keep up with him.
幼い息子がとても速く走るので、彼についていくのが大変です。
※ 元気いっぱいの子供が先に走り、親が少し息を切らしながら追いかける様子が目に浮かびますね。「keep up with + 人/物」で「〜についていく」という、物理的に追いつく場面で最もよく使われる典型的な形です。
It was difficult for me to keep up with the new lessons in math class.
数学の授業で、新しい内容についていくのが難しかったです。
※ 授業や仕事のペース、またはレベルに遅れずについていく場面です。新しいことを学ぶ時に、「理解が追いつかない」という気持ちが伝わりますね。勉強やトレーニングの話題でよく耳にする表現です。
I read the news every morning to try to keep up with current events.
私は最新の出来事についていくために、毎朝ニュースを読みます。
※ 世の中の動きや流行、情報などに遅れないようにする、という場面です。ニュースや技術の進歩、トレンドなど、常に変化する情報に「ついていく」努力を表す時によく使われます。朝のルーティンが目に浮かぶようです。
維持する
ある状態や水準を保ち続ける意味。健康、習慣、関係性など、維持すべき対象は様々。例:Keep up the good work!(良い状態を維持して!→ その調子で頑張って!), Keep up appearances(体裁を保つ)
My grandmother works hard to keep up her beautiful garden.
私の祖母は、美しい庭を維持するために一生懸命働いています。
※ この例文では、おばあさんが庭の手入れを頑張り、その美しさを「維持している」様子が目に浮かびます。「keep up + 名詞」の形で、何かを良い状態に保ち続ける努力を表す、とても自然な使い方です。物理的なもの(庭、家など)の状態を維持する際によく使われます。
I always try to keep up with my classmates in math class.
私はいつも数学の授業でクラスメイトに遅れないように(ついていけるように)頑張っています。
※ この例文は、あなたが数学の授業で、他の生徒の進度や理解度に「遅れないように、同じペースを維持しようと努力している」場面を描写しています。「keep up with + 人/物事」の形で、学習や運動など、特定のペースやレベルに「ついていく」「遅れないように維持する」ことを表す典型的なフレーズです。競争や進捗が関係する場面で非常によく使われます。
My father reads the news every morning to keep up with the world.
私の父は、世の中の動きについていくために、毎朝ニュースを読んでいます。
※ この例文では、お父さんが世界の出来事に「遅れをとらないように、最新の情報を維持している」様子が伝わります。「keep up with + 情報/時事」の形で、ニュースや流行、新しい知識など、常に情報を新しく保ちたいときに使われます。社会やビジネスの動向にアンテナを張る、というニュアンスで使われることも多いです。
継続する
何かを中断せずに続ける意味。特に困難な状況でも諦めずに続けるニュアンスを含む。例:Keep up the fight(戦いを続ける), Keep up the pressure(プレッシャーをかけ続ける)
My little son tried hard to keep up with my quick steps on the street.
私の幼い息子は、通りで私の速い足取りに必死でついてこようとした。
※ お子さんが大人に遅れないように、一生懸命歩く姿を想像できますね。「keep up with A」で「Aに遅れないようについていく」「Aのペースに合わせる」という意味で非常によく使われる表現です。
It's sometimes hard for me to keep up with all the new grammar rules.
私にとって、新しい文法規則のすべてについていくのは時々大変です。
※ 英語学習で、次々と出てくる新しい知識に遅れずについていくことの難しさを表しています。「keep up with」は、情報やトレンド、仕事の進捗などに遅れずについていく、という意味でも頻繁に使われます。
I always try to keep up with my old friends from high school through messages.
私はいつも、高校時代の旧友たちとメッセージで連絡を取り続けるようにしています。
※ 遠く離れたり忙しかったりしても、連絡を取り合い、友情を「継続する」場面です。特に「keep up with (person)」は「〜と連絡を取り続ける」という意味で、日常会話で非常によく耳にする表現です。
コロケーション
良い調子で仕事を続けてください、引き続き頑張ってください
※ 相手の努力や成果を認め、励ます際に使われる定番のフレーズです。ビジネスシーンから日常会話まで幅広く使われ、相手に肯定的な印象を与えます。単に「頑張って」と言うよりも、これまでの努力を評価するニュアンスが含まれるため、より丁寧で好意的な表現となります。類似表現として "Carry on the good work" がありますが、ほぼ同じ意味で使えます。
(隣人や周囲の人々に)見劣りしないように頑張る、競争して良い暮らしをしようとする
※ 物質的な豊かさや社会的地位において、隣人や周囲の人々に遅れを取らないように努力することを指すイディオムです。アメリカの漫画が起源で、他人と比較して消費行動を煽るような状況を表します。現代では、SNSなどで他人と比較して劣等感を抱く状況など、より広範な意味で使われます。批判的なニュアンスを含むことが多いです。例: "They're always trying to keep up with the Joneses, buying things they can't afford."
体裁を保つ、見かけを取り繕う
※ 実際には困難な状況や問題を抱えているにもかかわらず、表面上は問題がないように振る舞うことを意味します。社会的な立場や名誉を守るために、苦しい状況を隠す場合に使われます。例えば、経営難に陥っている会社が倒産を避けるために、体裁を保つことがあります。"Maintain appearances" とほぼ同義ですが、"keep up appearances" はより日常会話で使われる傾向があります。
(~に)遅れないように情報を把握する、最新の状態を保つ
※ 特定の分野やトピックについて、最新の情報を常に把握しておくことを意味します。ニュース、技術、業界の動向など、変化の速い情報についていく際に重要です。 "Keep abreast of" も同様の意味ですが、よりフォーマルな表現です。例: "It's important to keep up to date with the latest developments in technology."
元気を保つ、気持ちを明るく保つ
※ 困難な状況や苦境にあっても、希望を失わずに前向きな気持ちを維持することを意味します。病気や失業など、精神的に落ち込みやすい状況で、自分自身や他人を励ます際に使われます。 "Keep one's chin up" と似た意味ですが、"keep up one's spirits" はより内面的な心の状態に焦点を当てています。例:"She tried to keep up her spirits despite the bad news."
(誰かを)寝かせない、起こしておく
※ 騒音や話し声などで、誰かが眠るのを妨げる、または遅くまで起こしておくことを意味します。 "Stay up" (起きてる)との関連で、寝るのを妨げるニュアンスを捉えましょう。親が子供を寝かしつけるのを邪魔しないように、静かにする場面などで使われます。例: "Please don't keep the baby up!"
会話を続ける、途切れさせない
※ 会話が途切れないように、積極的に話題を提供したり、相手の話に相槌を打ったりして、会話を円滑に進めることを意味します。社交的な場面で重要なスキルであり、相手との良好な関係を築くために役立ちます。 "Hold a conversation" は、よりフォーマルな場面で使われることが多いです。例: "It can be hard to keep up a conversation with someone you don't know well."
使用シーン
学術論文や講義で、研究の進捗や議論の展開についていく、あるいは既存の知識レベルを維持する必要性を述べる際に使われます。例:『この分野の研究者は、最新の文献を常に *keep up* する必要があります(ついていく)。』また、ある状態や傾向を維持するという意味でも使用されます。例:『実験の結果、被験者の集中力は30分間 *kept up* されました(維持された)。』文体はフォーマルです。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの進捗状況を把握したり、業界の最新動向についていく必要性を述べる際に使われます。例:『営業チームは、競合他社の動きを *keep up* するために、定期的に情報交換を行っています(ついていく)。』また、会社の業績や品質を維持するという意味でも使用されます。例:『当社は、顧客からの信頼を *keep up* するために、品質管理を徹底しています(維持する)。』報告書や会議など、比較的フォーマルな場面で使用されます。
日常会話では、友人との近況報告や、趣味のスキルを維持することについて話す際によく使われます。例:『最近忙しくて、ジムに *keep up* できてないんだ(継続できていない)。』あるいは、相手の状況についていく、つまり理解するという意味でも使われます。例:『話が早すぎて、ちょっと *keep up* できないよ(ついていけない)。』ニュースやSNSなど、様々な場面で頻繁に耳にする表現です。
関連語
類義語
『維持する』という意味で、状態、関係、物理的なものを現状のまま保つ場面で使われる。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『keep up』が努力を伴う維持を意味するのに対し、『maintain』は必ずしも努力を必要としないニュアンスがある。また、よりフォーマルな印象を与える。 【混同しやすい点】『maintain』は他動詞であり、目的語が必要。状態やシステムなど、抽象的な概念を維持する際によく用いられる。一方、『keep up』は自動詞としても使用可能。
『持続させる』、『支える』という意味で、状態、活動、生命などを長期間にわたって維持する場面で使われる。学術的な文脈やビジネスシーンでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『keep up』が現状維持に重点を置くのに対し、『sustain』は未来に向けて持続させるというニュアンスが強い。また、『sustain』はよりフォーマルで、深刻な状況や重要な事柄に対して使われることが多い。 【混同しやすい点】『sustain』は他動詞であり、目的語が必要。環境問題や経済成長など、長期的な視点が必要な場合に適している。また、『sustain injuries』のように、損害や被害を受けるという意味もある。
『保護する』、『保存する』という意味で、貴重なもの、文化、自然などを損なわれないように維持する場面で使われる。歴史、環境、文化に関する文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『keep up』が現状を維持するのに対し、『preserve』は積極的に保護し、劣化を防ぐというニュアンスが強い。また、よりフォーマルで、価値のあるものを対象とする。 【混同しやすい点】『preserve』は他動詞であり、目的語が必要。食品を保存する、歴史的建造物を保護するなど、具体的な対象に対して用いられる。感情や抽象的な概念には通常使われない。
『継続する』という意味で、活動、状態、プロセスなどが中断せずに続く場面で使われる。日常会話からビジネスまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】『keep up』が努力を伴って現状を維持するのに対し、『continue』は特に努力を必要とせず、自然に継続するというニュアンスがある。また、『continue』はより一般的な表現。 【混同しやすい点】『continue』は自動詞としても他動詞としても使用可能。活動が自然に続く場合は自動詞(例:The rain continued.)、何かを継続する場合は他動詞(例:Continue the work.)となる。『keep up』は自動詞の場合、努力して追いつくという意味合いが強くなる。
『追う』、『従う』という意味で、人や指示、流れなどに遅れないように行動する場面で使われる。日常会話、ビジネス、指示・命令など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『keep up』が(特に遅れないように)努力して追いつくニュアンスであるのに対し、『follow』は文字通り後を追う、または指示に従うという意味合いが強い。また、SNSでフォローするという意味もある。 【混同しやすい点】『follow』は他動詞であり、目的語が必要。人、指示、アカウントなど、具体的な対象を追う場合に用いられる。『keep up』は自動詞としても使用でき、その場合は『追いつく』という意味になる。
- sustain oneself
『自活する』という意味で、経済的に独立して生活を維持する場面で使われる。 【ニュアンスの違い】『keep up』が全般的な維持を意味するのに対し、『sustain oneself』は特に経済的な自立に焦点を当てている。よりフォーマルな表現で、経済状況や生活状況について語る際に用いられる。 【混同しやすい点】『sustain oneself』は再帰代名詞を伴う特殊な表現であり、自分自身を支えるという意味合いが強い。他動詞として用いられるが、目的語が常に再帰代名詞である点に注意。一方、『keep up』はこのような限定的な意味合いを持たない。
派生語
『(法律、原則、信念などを)支持する、維持する』という意味の動詞。『up(上へ)』と『hold(保つ)』が組み合わさり、文字通り『高い水準で保つ』というニュアンス。ビジネス文書や法的な文脈でよく見られ、日常会話よりもフォーマルな場面で使用される。精神的な水準を高く保つイメージ。
- upkeep
『維持、管理、保守』という意味の名詞。『up(上へ)』と『keep(保つ)』が組み合わさり、良い状態を保つために必要な行為や費用を指す。家の維持費、機械のメンテナンス費用など、具体的な維持活動を表す際に用いられる。ビジネスや不動産の文脈で頻出。
- keepable
『維持できる、保存できる』という意味の形容詞。動詞『keep』に『-able(〜できる)』が付加され、物理的または抽象的な対象が維持可能であることを示す。食品の保存期間、ソフトウェアの互換性など、様々な文脈で使用される。日常会話や技術的な文書で使われる。
反意語
- fall behind
『(集団、ペース、基準などに)遅れる、後れを取る』という意味の句動詞。『keep up』が『追いつく、維持する』という意味であるのに対し、『fall behind』は逆の状況を表す。学業、仕事、競争など、様々な文脈で用いられ、日常会話でも頻繁に使用される。競争から脱落するイメージ。
『(進歩、発展などが)遅れる、停滞する』という意味の動詞。『keep up』が積極的な努力によって現状を維持するのに対し、『lag』は自然な遅れや停滞を示す。経済、技術、学術研究など、抽象的な概念の遅れを表現する際に用いられる。ニュース記事や学術論文でよく見られる。
『(義務、責任などを)怠る、無視する』という意味の動詞。『keep up』が注意深く維持するのに対し、『neglect』は必要な手入れや注意を怠ることを意味する。健康管理、仕事の責任、人間関係など、様々な文脈で使用される。日常会話からビジネス文書まで幅広く用いられる。
語源
"Keep up"は、比較的新しい組み合わせの句動詞であり、直接的にラテン語やギリシャ語に遡るような古典的な語源を持ちません。しかし、それぞれの構成要素である"keep"と"up"を分解することで、その意味の成り立ちを理解できます。"Keep"は古英語の"cēpan"(保持する、守る)に由来し、何かを自分の手元に維持するという基本的な概念を表します。一方、"up"は古英語の"upp"に由来し、上方向や高み、あるいは活動的な状態を示す副詞です。したがって、"keep up"は文字通りには「上を維持する」となりますが、比喩的には「速度やレベルを維持する」「遅れないようにする」という意味合いに発展しました。例えば、運動会で友達に「頑張ってついていって!」と応援するイメージです。つまり、現状を維持し、さらに向上を目指すニュアンスが含まれています。
暗記法
「keep up」は単に「維持する」だけでなく、社会への適応を意味します。産業革命期、機械の速度に「keep up」することは生存競争でした。教育現場では「授業についていく」プレッシャーが、消費社会では「隣人より良い暮らし」への競争心理が。「keep up with the Joneses」は、アメリカンドリームの裏にある不安を象徴します。現代ではSNSで加速するプレッシャー。この言葉の裏には、社会規範と個人の葛藤が潜んでいます。
混同しやすい単語
発音が同じであり、意味も一部重なるため混同しやすい。 'keep' は『保つ』『維持する』という意味で、'keep up' は『遅れないようにする』『ついていく』という意味合いが加わる。前置詞 'up' が加わることで意味が変化することを意識する必要がある。
'cope' は『対処する』という意味で、'cope with' のように使うのが一般的。 'cope up' という表現は非標準的であり、'keep up' と混同して誤用しやすい。 'keep up' は速度や進捗についていくニュアンスがあるのに対し、'cope' は困難な状況に対処するニュアンスがある。
'up'という単語が含まれているため、関連付けて考えやすい。しかし、'give up'は『諦める』という意味であり、'keep up'の『ついていく』とは正反対の意味を持つ。'up'が付くことで意味がどう変化するかを意識することが重要。
発音の最初の部分が似ており、特に早口で話されると聞き間違えやすい。スペルも 'kep' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすい。意味は『ケチャップ』であり、食品名なので文脈が全く異なる。カタカナ英語の『ケチャップ』の発音に引きずられないように注意が必要。
'key' と 'keep' の発音が似ているため、聞き間違いやすい。 'key up' は(機械などを)作動させる、興奮させる、という意味があり、'keep up' とは全く異なる。'key up' は比較的新しい表現であり、日常会話では 'keep up' の方が遥かに頻繁に使われる。
'keep' の過去形・過去分詞であり、発音が似ているため混同しやすい。文脈によって意味が大きく異なる。例えば、『I kept a diary.』は『日記をつけていた』という意味だが、'I kept up with the news.' は『ニュースに遅れずについていった』という意味になる。時制に注意して使い分ける必要がある。
誤用例
『keep up with』は、変化や進歩に『遅れないようにする』という意味合いが強いです。話の長さに対応できない、という意味で使うと、話のスピードについていけない、あるいは話のレベルが高すぎる、といったニュアンスに聞こえてしまいます。単に『理解する』という意味で使うなら、『follow』がより適切です。日本人が『ついていく』という言葉を幅広く使うため、直訳的に『keep up with』を選んでしまう誤りです。英語では、物理的な『ついていく』以外に、理解や共感など抽象的な意味での『ついていく』には、より具体的な動詞を選ぶ必要があります。
『keep up』は、何かを維持する意味で使えますが、この場合は、すでに良い状態が続いていることを前提としています。初めて会う人や、相手の健康状態が不明な状況で『keep up your health』と言うと、まるで相手がすでに健康であるかのような印象を与え、不自然に聞こえます。『maintain』は、現在の状態を維持するという意味で、より一般的で丁寧な表現です。日本人が『〜を保つ』という表現を幅広く使うため、『keep up』を安易に選んでしまう例です。英語では、相手の状態を考慮し、より適切な動詞を選ぶ必要があります。
『keep up』は句動詞として、特定の活動や習慣を『続ける』という意味を持ちます。しかし、名詞の前に直接置いて『秘密を続ける』と表現することはできません。この場合、単に『keep』を使って『秘密を守る』と表現するのが自然です。日本人が『〜を保つ』という表現をそのまま英語にしようとする際に起こりやすい誤りです。英語では、動詞と名詞の組み合わせによって、自然な表現が異なります。また、この場合、秘密を『続ける』のではなく『守る』というニュアンスが適切です。
文化的背景
「keep up」は、単に「維持する」「遅れないようにする」という意味以上の、社会的な連帯感や競争意識、そして自己努力の価値観を内包する言葉です。背後には、集団の一員として、あるいは自己実現のために、一定の基準や速度を保ち続けることへの暗黙のプレッシャーと、それを乗り越えようとする個人の意志が込められています。
このフレーズは、産業革命以降の社会構造と密接に結びついています。工場労働において、機械のペースに「keep up」することは、生活の糧を得るための必須条件でした。遅れを取れば、失業や貧困に直面するリスクがありました。この文脈における「keep up」は、単なる物理的な速度維持にとどまらず、社会経済的な生存競争を象徴する言葉として、人々の心に深く刻み込まれました。また、教育の現場でも、「keep up with the class(授業についていく)」という表現は、学力競争におけるプレッシャーを表しています。能力主義社会において、常に一定水準以上の成績を維持することは、将来の成功への切符と見なされ、「keep up」はそのための努力を促す合言葉となりました。
さらに、「keep up with the Joneses(隣のジョンソン家に遅れを取らないようにする)」というイディオムは、物質主義的な消費文化を象徴しています。これは、隣人や同僚といった周囲の人々の消費水準に合わせようとする傾向を指し、見栄や競争心が背景にあります。このフレーズは、アメリカンドリームの裏側にある、終わりのない競争と不安を浮き彫りにしています。現代社会においては、ソーシャルメディアを通じて、他者の華やかな生活が可視化されやすくなり、「keep up」のプレッシャーは一層強まっていると言えるでしょう。
このように、「keep up」は、単なる日常会話で使われる表現以上の、社会的な規範や価値観を反映した言葉です。このフレーズを理解することは、英語圏の文化や社会構造、そして人々の心理を深く理解することにつながります。学習者は、「keep up」という言葉の背後にある歴史的、社会的な文脈を意識することで、より豊かな語彙力を身につけ、英語コミュニケーションを円滑に進めることができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題(短文空所補充)、長文読解、リスニング(会話文)
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題される。リスニングはすべての級で可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 幅広い文脈で登場するが、ニュース記事やエッセイなど、ややフォーマルな文章でよく見られる。会話文では、近況報告や励ましの場面で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「(遅れずに)ついていく」「維持する」「続ける」など複数の意味があるため、文脈に応じた意味を把握する必要がある。特に「keep up with」の形で使われることが多い。類似表現(maintain, continue, follow)との使い分けを意識する。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(読解問題)。リスニングでの出題頻度は低め。
- 頻度と級・パート: Part 5, 6, 7で頻出。特にビジネス関連の文書でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスレター、Eメール、記事など、ビジネスシーンに関連する文脈で使われることが多い。「最新情報に遅れない」「現状を維持する」といった意味で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンで使われる意味(最新情報を把握する、現状を維持する)を重点的に学習する。「keep up with the latest trends」のようなフレーズを覚えておくと役立つ。類似表現(stay updated, maintain)との使い分けを意識する。
- 出題形式: リーディング(長文読解)。リスニングでの出題頻度はやや低め。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。アカデミックな内容の文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会学など、アカデミックな分野の文章でよく使われる。抽象的な概念や議論を説明する際に使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈における意味(最新の研究に遅れない、一定のレベルを維持する)を理解することが重要。「keep up with the pace of research」のようなフレーズを覚えておくと役立つ。類似表現(maintain, sustain)との使い分けを意識する。
- 出題形式: 長文読解、英作文(自由英作文、要約問題など)
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いテーマの文章で登場する。評論文、物語文、説明文など、様々なジャンルの文章で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈によって意味が異なるため、前後の文脈から意味を推測する能力が重要。「keep up with」の形で使われることが多い。類義語(maintain, continue, follow)との区別を意識し、様々な文脈での使用例を学ぶことが重要。