inducement
第2音節にアクセントがあります。/ɪn/ は日本語の「イン」よりも少し弱く、曖昧な母音です。/ˈdjuː/ の部分は、「デュー」と伸ばすのではなく、唇を丸めて突き出す「ジュー」に近い音を意識するとよりネイティブの発音に近づきます。最後の /mənt/ は「メント」と発音するのではなく、口を軽く開けて「ムント」のように発音すると自然です。
誘因
人を動かすきっかけとなるもの。魅力的な提案や条件、あるいは報酬など、行動を促す目に見える、あるいは目に見えない刺激を指す。ビジネスシーンでは、販売促進のためのインセンティブや、投資を呼び込むための優遇措置などが該当する。
The promise of ice cream was a strong inducement for the kid to finish his homework quickly.
アイスクリームのご褒美は、その子が宿題を早く終わらせるための強力な誘因でした。
※ 宿題を渋っていた子が、親の「終わったらアイスクリームね」という言葉に目を輝かせ、急いで鉛筆を動かす情景が目に浮かびますね。ここでは、アイスクリームという「ご褒美」が、子供の行動を促す「誘い」や「動機付け」になっています。『inducement for A to do B』で「AがBをするための誘因」という形でよく使われます。
The company offered a big discount as an inducement to attract new customers.
その会社は、新規顧客を引きつける誘因として大きな割引を提供しました。
※ 新しいお店やサービスが、私たちを惹きつけるために「初回限定割引」や「特別価格」を提示している場面を想像してください。この『大きな割引』が、私たちがそのサービスを試してみようと思う『誘因』です。ビジネスの場で、顧客や取引先を惹きつけるための条件としてよく使われる表現です。『as an inducement』で「~としての誘因」という意味になります。
A high salary and good benefits were a powerful inducement for him to take the new job.
高い給料と良い福利厚生は、彼が新しい仕事に就くための強力な誘因でした。
※ 転職を考えている人が、提示された新しい仕事の条件(給料や福利厚生)に魅力を感じ、最終的にその仕事を選ぶ決断をする情景です。ここでは『高い給料と良い福利厚生』が、彼の決断を後押しする『強力な要因』や『魅力的な誘い』となっています。人生の大きな決断を促すような、具体的なメリットについて話す際によく使われます。
動機
行動の背後にある理由や目的。単なるきっかけではなく、人が自発的に行動を起こす内的な要因を指す。心理学的な文脈や、犯罪捜査における犯行動機の解明などで用いられる。
The company offered a large bonus as an inducement for employees to finish the project on time.
会社は、従業員がプロジェクトを期限内に終えるための大きな動機として、多額のボーナスを提示しました。
※ 締め切りが迫るオフィスで、皆が集中して働く様子を想像してみてください。この例文では、ボーナスという具体的な「誘い」や「奨励」が、人々を特定の行動(プロジェクトを期限内に終えること)へと駆り立てる「動機」となっている典型的な例です。「as an inducement for X to do Y」の形でよく使われる表現です。
The special discount was a strong inducement for shoppers to buy the new smartphone.
その特別割引は、買い物客が新しいスマートフォンを買うための強い動機となりました。
※ 新製品が並ぶお店で、割引の表示を見てお客さんが「これはお得だ!」と心を動かされ、購入を決める様子が目に浮かびますね。価格の引き下げや特典は、消費者の購買意欲を高めるための「誘因」として、マーケティングや販売の場面で非常によく使われる「inducement」の例です。
Her kind offer to help was the main inducement for him to try learning English again.
彼女の親切な手伝いの申し出が、彼がもう一度英語を学び直す主要な動機でした。
※ 以前英語学習に挫折した人が、親しい友人からの「一緒に頑張ろう」という温かい言葉や具体的な手助けの申し出に勇気づけられ、再挑戦を決意する様子を想像してみてください。この例文では、物質的なものだけでなく、人の気持ちや行動(この場合は親切な申し出)も「inducement」になり得ることを示しています。
おびき寄せ
好ましくない状況や危険な場所へ、人を誘い込むこと。罠や策略を用いて相手を誘導するニュアンスを含む。たとえば、詐欺師が被害者をおびき寄せる、といった状況で使われる。
The new cafe offered a free drink as an inducement for first-time customers.
新しいカフェは、初めてのお客さんを呼び込むためのおびき寄せとして、無料の飲み物を提供しました。
※ この例文は、新しく開店したカフェが、お客さんを増やすために「無料の飲み物」という魅力的な特典を用意している場面を描いています。ビジネスで新規顧客を引きつけるための「誘い水」や「特典」という意味で、`inducement`が非常によく使われる典型的な例です。 文法ポイント:`as an inducement for (someone)`で、「〜にとってのおびき寄せとして」という意味になります。
Mom offered ice cream as an inducement for me to finish my homework.
お母さんは、私が宿題を終わらせるためのおびき寄せとして、アイスクリームを提案しました。
※ この例文では、宿題をなかなかやろうとしない子供に、お母さんが「アイスクリーム」というご褒美を約束して、やる気を引き出そうとしている場面が目に浮かびます。誰かに何かをしてほしい時に提示する「ご褒美」や「動機付け」として、日常会話でも自然に使われる表現です。 文法ポイント:`as an inducement for (someone) to do (something)`の形で、「誰かに何かをさせるためのおびき寄せとして」という意味になります。
He used a large sum of money as an inducement to join his risky plan.
彼は、自分の危険な計画に参加させるためのおびき寄せとして、多額のお金を使いました。
※ この例文は、ある人が、他の人をリスクのある計画に引き込むために「多額のお金」という誘惑を使っている場面を描いています。`inducement`は、このように少しネガティブな文脈、つまり「誘惑」や「わな」に近い意味でも使われることがあります。 文法ポイント:`use (something) as an inducement`で、「〜をおびき寄せとして使う」という意味になります。
コロケーション
金銭的な誘因、経済的な動機付け
※ これは、金銭的な利益を提供することで、特定の行動を促すことを意味します。例えば、企業が従業員に業績に応じたボーナスを支給したり、政府が特定の産業に補助金を出したりする場合に使われます。'inducement'の中でも最も直接的で分かりやすい例であり、ビジネスシーンや政策決定の文脈で頻繁に用いられます。形容詞+名詞の組み合わせとして、'tax inducement'(税制上の優遇措置)などのバリエーションもあります。
誘因を提供する、動機付けを与える
※ 「~を提供する」という意味の動詞 'offer' と組み合わせることで、「具体的な誘因を提示する」という行為を表します。例えば、企業が新規顧客獲得のために割引キャンペーンを実施したり、採用活動で入社祝い金を提示したりする際に使われます。'provide an inducement' や 'give an inducement' も同様の意味で使えますが、'offer' はよりフォーマルな印象を与えます。動詞+名詞の組み合わせとして、非常に一般的です。
誘因として、動機付けとして
※ 前置詞 'as' と組み合わせることで、「~として」という役割や目的を示すことができます。例えば、「新規顧客獲得の誘因として割引を提供する」のように、ある行動の目的を明確にする際に使われます。'as an inducement to...' という形で、特定の行動を促すための動機付けであることを強調することもできます。フォーマルな文脈でよく使われる表現です。
贈収賄と誘惑
※ 不正な利益供与や買収行為を指します。'bribery'(贈賄)が違法な行為であるのに対し、'inducement' は必ずしも違法とは限りませんが、文脈によっては倫理的に問題がある行為を含む場合があります。この組み合わせは、法律や倫理に関する議論でよく用いられます。例えば、政治家が特定の企業に便宜を図る見返りに金銭を受け取る行為などが該当します。セットで覚えておくと、ニュース記事などを読む際に役立ちます。
投資を促す誘因
※ 投資家が資金を投入するように促すための要素を指します。例えば、高い期待収益率、税制上の優遇措置、経済成長の見込みなどが含まれます。この表現は、金融、経済、ビジネスの分野で頻繁に使用されます。'incentive to invest' とほぼ同義ですが、'inducement' はよりフォーマルで、計画的な誘因を意味するニュアンスがあります。前置詞+名詞の組み合わせとして、覚えておくと便利です。
強力な誘因、強い動機付け
※ 行動を強く促す効果のある誘因を指します。例えば、非常に魅力的な報酬、大きな成功の可能性、または深刻な危機感などが該当します。この表現は、ビジネス、政治、または個人の行動において、強力な動機付けがどのように作用するかを説明する際に使用されます。形容詞+名詞の組み合わせとして、'strong inducement' とほぼ同義ですが、'powerful' はより強い影響力を示唆します。
使用シーン
学術論文や研究発表で、ある現象や行動の誘因や動機を分析する際に使用されます。例えば、経済学の論文で「政府の補助金が企業の投資の誘因となる(inducement)」といった文脈や、心理学の研究で「特定の刺激が被験者の行動の誘因となる(inducement)」といった文脈で使用されます。文語的な表現であり、客観的な分析を必要とする場面で用いられます。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、インセンティブや動機付けといった意味合いで用いられることがあります。例えば、「販売目標達成への誘因(inducement)としてボーナスを支給する」といった文脈や、「従業員のモチベーションを高める誘因(inducement)を検討する」といった文脈で使用されます。フォーマルな場面で用いられることが多く、日常的なビジネス会話ではあまり使われません。
日常生活での会話ではほとんど使用されません。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、事件や事故の背景にある動機や誘因を説明する際に使われることがあります。例えば、「犯罪の誘因(inducement)となったのは貧困だった」といった文脈で使用されます。一般的には、より平易な言葉(motive, reason)が用いられることが多いです。
関連語
類義語
何かを促すための刺激、動機付けとなるもの。ビジネスや政策の文脈で、目標達成のために提供される報酬や特典を指すことが多い。可算名詞。 【ニュアンスの違い】『inducement』よりもポジティブな意味合いが強く、人を積極的に行動させようとする意図が明確。具体的な報酬や利益を伴うことが多い。 【混同しやすい点】『inducement』が必ずしも倫理的に適切とは限らない状況で使われることがあるのに対し、『incentive』はより健全な動機付けを意味することが多い。また、incentiveは「刺激」や「誘因」といった意味合いが強く、具体的な行動や努力に対する報酬というニュアンスが強いです。
行動を起こす内的な理由や欲求。心理学や教育の分野で、目標達成や学習意欲を高める要因として用いられる。不可算名詞。 【ニュアンスの違い】『inducement』が外的な刺激であるのに対し、『motivation』は内的な動機を指す。個人的な願望や価値観に基づいて行動する際に使われる。 【混同しやすい点】『inducement』が具体的な行動を促すために外部から与えられるものであるのに対し、『motivation』は個人の内面から湧き上がる感情や欲求を指す。したがって、直接的な置き換えは難しい。
魅力的な誘惑、抵抗しにくい誘い。しばしば道徳的な判断を伴い、悪いことや禁じられていることに惹かれる感情を表す。可算/不可算名詞。 【ニュアンスの違い】『inducement』が中立的な意味合いであるのに対し、『temptation』はネガティブな意味合いが強い。倫理的に問題のある行動や欲求に駆り立てられる状況で使われる。 【混同しやすい点】『inducement』が必ずしも悪いことではないのに対し、『temptation』は通常、避けるべき誘惑を指す。例えば、「悪魔の誘惑」といった使われ方をする。
- allurement
魅力的な誘惑、人を惹きつける力。美しさや魅力によって人を惹きつける状況を表し、しばしば文学的な表現で用いられる。可算/不可算名詞。 【ニュアンスの違い】『inducement』よりも感情的な響きが強く、視覚的な魅力や美しさによって人を惹きつけるニュアンスが強い。ロマンチックな状況や芸術的な表現で使われることが多い。 【混同しやすい点】『inducement』が具体的な行動を促すための手段であるのに対し、『allurement』は感情的な魅力によって人を惹きつける。フォーマルな場面では『inducement』の方が適切。
説得、相手を納得させて行動させること。論理的な議論や感情的な訴えかけを通じて、相手の意見や行動を変えようとする行為。不可算名詞。 【ニュアンスの違い】『inducement』が直接的な利益や報酬によって行動を促すのに対し、『persuasion』は言葉や議論を通じて相手の考えを変え、行動を促す。ビジネスや政治の文脈でよく用いられる。 【混同しやすい点】『inducement』は相手に選択の余地を与えるのに対し、『persuasion』は積極的に相手を説得し、特定の行動を取らせようとする。また、persuasionは説得という行為そのものを指し、必ずしも金銭的な利益を含まない。
(動詞)誘い込む、おびき寄せる。(名詞)誘惑するもの、おとり。魚釣りで使うルアーもこの単語。しばしば罠や危険を伴う誘惑を表す。動詞と名詞の両方で使われる。 【ニュアンスの違い】『inducement』よりも欺瞞的なニュアンスが強く、相手を騙して不利な状況に陥れる意図を含むことがある。ネガティブな文脈で使われることが多い。 【混同しやすい点】『inducement』が中立的な意味合いであるのに対し、『lure』は相手を罠にかけるような悪意のある誘惑を指すことが多い。例えば、「甘い言葉で~を誘い込む」といった使われ方をする。
派生語
『誘う』『引き起こす』という意味の動詞。ラテン語の『中に(in-)』『導く(ducere)』に由来。日常会話ではあまり使われないが、科学論文や法律文書で『帰納する』『誘発する』のように専門用語として用いられる。名詞形の『inducement』よりも使用頻度は高い。
- inductive
『帰納的な』という意味の形容詞。動詞『induce』に『〜の性質を持つ』という意味の接尾辞『-ive』が付いた形。主に学術的な文脈で、『帰納的推論』のように使われる。語源的に『何かを導き出す性質を持つ』という意味合いが強い。
『導入』『帰納』などを意味する名詞。動詞『induce』に名詞化の接尾辞『-tion』が付いた形。科学、医学、電気工学など、専門分野で広く使われる。例えば、医学では『麻酔導入』、電気工学では『誘導』といった具体的な意味で使用される。
反意語
『抑止するもの』という意味の名詞。inducementが『何かをさせるための誘因』であるのに対し、deterrentは『何かをさせないようにするための抑止力』を指す。例えば、犯罪に対する罰則は犯罪の抑止力(deterrent)となる。日常会話よりも、政策や安全保障の議論で使われることが多い。
- disincentive
『やる気をなくさせるもの』という意味の名詞。接頭辞『dis-(否定)』が付き、『incentive(誘因)』の反対の意味を表す。inducementが『行動を促す誘因』であるのに対し、disincentiveは『行動を抑制する要因』となる。例えば、税金の高さは投資に対するdisincentiveとなる。
『妨げ』『邪魔』という意味の名詞。inducementが行動を促進するものであるのに対し、hindranceは行動を妨げるもの。日常会話でも使われるが、ビジネスシーンや契約書などでも『業務のhindranceとなる』のように使われる。
語源
「inducement」は、ラテン語の「inducere」(導き入れる、引き込む)に由来します。これは「in-」(中に、〜へ)と「ducere」(導く)が組み合わさった言葉です。つまり、文字通りには「中に導き入れること」を意味します。英語の「induce」(誘発する、引き起こす)は、この「inducere」から直接派生しており、「inducement」は、その名詞形として、何かを「誘い込むもの」「引き起こす原因」といった意味合いを持ちます。例えば、セールは顧客を店に「誘い込むもの」、つまり「inducement」となります。また、良い条件で仕事を紹介することも、転職を考える人にとっての「inducement(誘因)」となりえます。このように、「inducement」は、人をある行動へと導く力を持つものを指す言葉として理解できます。
暗記法
「誘因(inducement)」は、単なる動機を超え、倫理的葛藤や社会の駆け引きを孕む力。禁断の果実のように甘美だが危険な提案、成功への誘惑として現れます。中世の封建制度、産業革命期の懐柔策、シェイクスピア劇、ゲーテの文学にも登場し、欲望を刺激し倫理観を狂わせます。現代広告や政治にも見られ、人々の行動を左右しますが、その倫理性は常に問われるべきでしょう。
混同しやすい単語
『indictment』は『起訴』という意味で、スペルが非常に似ています。特に 'indict' の部分は同じで、末尾の '-ment' が異なるだけです。発音も似ていますが、『inducement』は誘因、動機付けという意味であるのに対し、『indictment』は法的な手続きを表すため、文脈が大きく異なります。注意点としては、スペルの類似性に惑わされず、文脈から意味を判断することが重要です。語源的には、『indict』は『告発する』という意味のラテン語に由来し、法的な意味合いが強いです。
『indigence』は『困窮』という意味で、スペルの一部が似ており、特に最初の 'ind-' の部分が共通しています。発音も最初の音節が似ていますが、『-gence』と『-cement』の部分が異なります。意味は全く異なり、『inducement』が何かを促す動機であるのに対し、『indigence』は貧困状態を指します。注意点としては、スペルの細部に注意し、意味の違いを明確に理解することが重要です。語源的には、『indigence』は『必要とする』という意味のラテン語に由来し、不足している状態を表します。
『incidence』は『発生率』という意味で、スペルと発音の両方が似ています。特に 'ind-' の部分が共通しており、語尾も '-ence' と '-ement' で似た響きを持ちます。意味は、『inducement』が動機や誘因であるのに対し、『incidence』は事件や病気などの発生頻度を指します。注意点としては、文脈によって意味が大きく異なるため、注意深く判断する必要があります。統計や疫学の文脈では『incidence』が使われることが多いです。語源的には、『incidence』は『起こる』という意味のラテン語に由来し、何かが起こる頻度を表します。
『endowment』は『寄付』や『才能』という意味で、スペルと発音の一部が似ています。特に語尾の '-ment' が共通しており、発音も似た響きを持ちます。意味は、『inducement』が何かを促す動機であるのに対し、『endowment』は財産や才能などを与えることを指します。注意点としては、文脈によって意味が異なるため、注意深く判断する必要があります。大学や慈善団体への寄付を表す場合や、生まれつきの才能を表す場合があります。語源的には、『endowment』は『与える』という意味の古フランス語に由来し、何かを与える行為を表します。
『indented』は『字下げされた』という意味で、スペルが似ています。特に 'indent' の部分が共通しており、発音も最初の部分が似ています。意味は、『inducement』が誘因であるのに対し、『indented』は文章のレイアウトを指します。注意点としては、スペルの類似性に惑わされず、文脈から意味を判断することが重要です。文章の書式設定に関する文脈で使われることが多いです。語源的には、『indent』は『歯』という意味のラテン語に由来し、ギザギザの形から字下げを意味するようになりました。
『impediment』は『障害』という意味で、語尾の '-ment' が共通しており、発音も似た響きを持ちます。また、語頭の 'im-' と 'in-' が混同しやすいです。意味は、『inducement』が何かを促す動機であるのに対し、『impediment』は何かを妨げる障害を指します。注意点としては、文脈によって意味が大きく異なるため、注意深く判断する必要があります。発音の類似性にも注意が必要です。語源的には、『impediment』は『妨げる』という意味のラテン語に由来し、進行を阻害するものを表します。
誤用例
『inducement』は、相手を『誘引する』ための魅力的な提案や動機付けを意味します。わずかな金額を提示する場合、皮肉を込めて使うことは可能ですが、文脈によっては単に不適切な提案と解釈されます。この場合、金額の少なさを強調するなら『paltry sum』のような表現がより適切です。日本人が『誘引』という言葉から連想する『おびき寄せる』というニュアンスが、必ずしも金額の少なさを表すのに適さないため、誤用が生じやすいです。英語では、金額の少なさを強調する際には、それを直接的に表現する語彙を選ぶ方が自然です。
『inducement』は、相手が自発的に行動するように働きかけるニュアンスが強い単語です。脅迫に近いような強制的な手段を用いる場合は、『persuasion(説得)』や『coercion(強制)』といった語がより適切です。日本人が『inducement』を『働きかけ』と捉え、その手段の強弱を考慮せずに使用すると、このような誤りが生じやすくなります。英語では、相手の自発性を尊重するニュアンスを持つ語と、そうでない語を明確に区別することが重要です。
『inducement』は、どちらかというと個別具体的な働きかけを指すことが多いです。政府の政策など、より広範で公式な施策を指す場合は、『incentive(奨励策)』という語がより適切です。日本人が『誘引』という言葉を政策レベルでも使えると考えがちなため、このような誤りが生じます。英語では、個別具体的な働きかけと、より一般的な施策を区別して表現することが重要であり、適切な語彙を選ぶことで、より正確な意味を伝えることができます。
文化的背景
「inducement(誘因)」は、単なる動機づけではなく、しばしば倫理的な葛藤や社会的な駆け引きを伴う、より深い人間の欲望や行動原理に訴えかける力として文化的に認識されてきました。それは、禁断の果実を想起させるような、魅力的だが危険な提案、あるいは社会的な成功への近道として提示される誘惑といったイメージを内包しています。
歴史を振り返ると、「inducement」は、権力者による懐柔策や、企業による競争戦略において重要な役割を果たしてきました。例えば、中世の封建制度においては、領主が農民に土地を与える代わりに忠誠を誓わせる行為は、一種の「inducement」と見なすことができます。また、産業革命期には、企業が労働者に高い賃金や福利厚生を提供することで、労働争議を回避しようとする試みも同様です。これらの事例は、「inducement」が単なる経済的なインセンティブではなく、社会的な安定や秩序を維持するための手段として用いられてきたことを示唆しています。
文学作品においても、「inducement」はしばしば物語の核心をなす要素として登場します。例えば、シェイクスピアの『マクベス』では、魔女たちの予言がマクベスを王位簒奪へと駆り立てる「inducement」として機能しています。また、ゲーテの『ファウスト』では、メフィストフェレスがファウストに永遠の知識と快楽を提供する代わりに魂を奪う契約は、「inducement」の持つ魅力的だが危険な側面を象徴的に描いています。これらの作品は、「inducement」が人間の欲望を刺激し、倫理的な判断を狂わせる力を持つことを示唆しています。
現代社会においては、「inducement」は広告やマーケティングの世界で巧妙に利用されています。企業は、消費者の潜在的な欲求を刺激するような広告キャンペーンを展開し、購買意欲を高めようとします。また、政治の世界においても、「inducement」は有権者の支持を得るための重要な手段として用いられます。政治家は、減税や社会福祉の拡充といった政策を掲げることで、有権者の利益を誘導し、投票行動に影響を与えようとします。このように、「inducement」は、現代社会においても、人々の行動を左右する強力な力として存在し続けています。ただし、その倫理性については常に注意深く吟味されるべきでしょう。
試験傾向
準1級、1級の語彙問題で出題される可能性あり。長文読解でも見かけることがある。文脈から意味を推測する問題が多い。会話文での出題は比較的少ない。注意点として、動詞(induce)との関連性を理解しておくことが重要。
Part 5, 6, 7 で見かける可能性はあるが、頻度は高くない。ビジネス文書やメールなどで、相手に何かを促す文脈で使われることが多い。類義語(incentive, motivation)との使い分けが問われる可能性がある。
アカデミックな文章、特に経済学や心理学の分野で出題される可能性がある。文章全体の論理構造を理解する必要がある。同意語・反意語の問題で問われる可能性がある。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。文脈から意味を推測する力が必要。比喩的な意味で用いられることもあるので、注意が必要。