gross
二重母音 /oʊ/ は、日本語の「オ」から「ウ」へスムーズに変化する音です。「グロース」のように伸ばしすぎず、「ウ」の音を意識して短く終わらせましょう。語尾の /s/ は無声音なので、日本語の「ス」よりも息の音に近く、舌先を上前歯の裏に近づけて発音します。また、日本語のサ行のように、母音を伴わないように注意しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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不快な
見た目、匂い、味などが生理的に受け付けないほど不快であることを表す。嫌悪感や吐き気を催すような感覚を伴う場合に使われる。道徳的な嫌悪感にも用いる。
The old leftovers in the fridge looked so gross.
冷蔵庫に残っていた古い食べ物、本当に見た目が気持ち悪かった。
※ この例文は、食べ物が腐ったり古くなったりして「見た目が不快」な状況を表しています。特に食べ物や衛生状態に対して「gross」を使うのはとても一般的で、生理的に受け付けない気持ち悪さを表現する際にぴったりです。
When he burped loudly at the dinner table, it was really gross.
彼が夕食のテーブルで大きなゲップをしたとき、それは本当に不快だった。
※ これは、人の行動やマナーが「不快」だと感じる場面です。公共の場や食事中に、周りの人が聞いたり見たりして嫌な気持ちになるような行動に対して「gross」を使うのは、日常会話でよくあることです。
I stepped in something sticky and gross on the sidewalk.
歩道で何かベタベタして気持ち悪いものを踏んでしまった。
※ この例文は、触覚を通して感じる「不快感」を表しています。道に落ちているゴミや得体の知れないものなど、「触りたくない、気持ち悪い」という状況で「gross」はよく使われます。思わず顔をしかめるような場面を想像してみてください。
ひどい
程度が非常にひどく、容認できない状態を指す。不正行為や過失など、ネガティブな状況を強調する際に用いられる。
The milk in the fridge smelled gross, so I threw it out immediately.
冷蔵庫の牛乳がひどい臭いがしたので、すぐに捨てました。
※ この例文は、食べ物や飲み物が腐って「ひどい臭いがする」「気持ち悪い」と感じる場面を描写しています。冷蔵庫を開けた瞬間に鼻を突くような不快な臭いがして、思わず捨ててしまう、という状況が目に浮かびますね。「smell gross」で「ひどい臭いがする」という、五感に訴える表現ができます。日常でよくある状況なので、イメージしやすいでしょう。
My little brother screamed, "That's so gross!" when he saw a huge, hairy spider.
弟は、大きくて毛むくじゃらのクモを見て、「うわ、めっちゃ気持ち悪い!」と叫びました。
※ この例文は、生理的な嫌悪感、つまり「見た目が気持ち悪い」「ぞっとする」と感じる場面を表しています。大きなクモを見て、思わず声が出てしまう子どもの様子が目に浮かびますね。「That's so gross!」は、何かを見て強い不快感や嫌悪感を抱いたときに、日常会話で非常によく使われる典型的なフレーズです。
It was gross when he picked his nose in front of everyone at the meeting.
彼が会議でみんなの前で鼻をほじったのは、ひどかった(気持ち悪かった)です。
※ この例文は、人の行動やマナーに対して「ひどい」「不快だ」「見ていられない」と感じる場面を描写しています。会議という公の場で、人前で鼻をほじるという、社会的に不適切で不快な行動を見たときの感情が伝わりますね。「It's gross when someone does something...」の形で、「〜するなんてひどい(気持ち悪い)」と、人の不快な行動を表現する際によく使われます。
総計で〜になる
(主に金額が)税金や必要経費などを差し引く前の総額でいくらになるかを示す。名詞として使われる場合のgross(総計)に対応する動詞用法。
The new superhero movie grossed over fifty million dollars on its opening weekend.
新しいスーパーヒーロー映画は、公開初週末に5000万ドル以上を売り上げました。
※ この例文は、映画が公開されてすぐに大成功を収め、たくさんの収益を上げた場面を描いています。映画やイベントの『興行収入』や『総売上』について話すとき、「gross」は非常によく使われる単語です。ニュース記事やエンターテイメント情報で頻繁に耳にする、とても典型的な使い方です。
After selling all my handmade crafts, I happily grossed eighty dollars today!
手作りの品を全部売って、今日私は嬉しいことに80ドル稼ぎました!
※ この例文は、フリーマーケットやオンラインで手作りの商品を販売し、その日の合計売上を計算して喜んでいる様子を表しています。個人が何かを売って得た『総収入』について話す際にも、「gross」を使うことができます。達成感や喜びが伝わる、身近なシチュエーションです。
Our school's charity fair grossed a thousand dollars for the local animal shelter.
私たちの学校のチャリティフェアは、地域の動物保護施設のために1000ドルを稼ぎました(総計しました)。
※ この例文は、学校で行われたチャリティイベントで、ある目的(ここでは動物保護)のために集められたお金の総額を示しています。イベントや活動によって『総計でいくらになったか』を述べる際に「gross」は適切です。誰かのためになる活動で、目標金額を達成した喜びが感じられます。
コロケーション
重大な過失、著しい不注意
※ 単なる不注意ではなく、結果に対する配慮が著しく欠如している状態を指します。法律やビジネスの文脈で、損害賠償責任を問う際に重要な要素となります。例えば、安全管理を怠り重大な事故を引き起こした場合などが該当します。類似表現に"simple negligence"(通常の過失)がありますが、gross negligenceの方が責任が重くなります。構文は "adjective + noun" です。
総収入、粗収入
※ 税金や必要経費を差し引く前の収入の総額を指します。ビジネスや会計の分野で頻繁に使用され、企業の収益性を評価する際の基本的な指標となります。個人所得の場合も、税金や社会保険料などが引かれる前の金額を指します。対義語は "net income"(純収入)です。構文は "adjective + noun" です。
重大な違反、著しい侵害
※ 法律、規則、倫理などに著しく違反する行為を指します。人権侵害や国際法違反など、深刻な事態を表す際に用いられます。例えば、「重大な人権侵害(gross violation of human rights)」のように使われます。比較的フォーマルな表現です。構文は "adjective + noun" です。
大げさな誇張、著しい誇張
※ 事実を大幅に誇張して伝えることを意味します。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われますが、特にネガティブなニュアンスで使用されることが多いです。例えば、商品の性能を実際以上に良く見せようとする場合などが該当します。構文は "adjective + noun" です。
わいせつな行為、極めて不適切な行為
※ 公然わいせつや同性愛行為など、社会的に許容されない性的な行為を指す、やや古風な表現です。かつては法律用語として用いられていましたが、現代では差別的な意味合いを含むため、使用は避けるべきです。歴史的な文脈で使われることがあります。構文は "adjective + noun" です。
144個の~
※ 主に商業的な文脈で、商品を数える際に「144個」をひとまとめにした単位として使われます。例えば、「a gross of pencils(鉛筆144本)」のように使います。dozen(ダース、12個)の12倍に相当します。少し古めかしい言い方で、現代ではあまり一般的ではありません。構文は "article + adjective + preposition" です。
使用シーン
学術論文や教科書で、データや統計の分析結果を述べる際に使われます。例えば、経済学の論文で「粗利(gross profit)は〜である」と述べたり、心理学の研究で「〜という傾向が全体的に(grossly)見られる」と客観的な事実を説明する際に用いられます。フォーマルな文体で、正確な情報伝達が求められる場面で使われることが多いです。
ビジネスシーンでは、財務報告や業績報告において「総計」の意味でよく使用されます。「売上総利益(gross sales)」や「粗利益(gross profit)」といった会計用語として頻繁に登場します。また、プロジェクトの全体的な進捗やコストを議論する際にも使われることがあります。例:「今月の粗利益は予想を下回っている」のように、客観的なデータを示す際に用いられます。
日常会話では、主に「不快な」という意味で使われることがあります。例えば、食事中に何か不快なものを見たときに「Gross!(気持ち悪い!)」と言うことがあります。ただし、この用法はやや直接的で強い表現なので、使う相手や状況を選ぶ必要があります。また、映画やドラマの中で、登場人物が嫌悪感を表現する際に使われることもあります。
関連語
類義語
強い嫌悪感や吐き気を催させるような状態を表す。食べ物、行為、場所など、幅広い対象に使われる。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"gross"よりも感情的な反発が強く、より直接的な表現。不快感の度合いが高い場合に適している。個人的な感情を表すことが多い。 【混同しやすい点】"gross"は時に「全体的な」「ひどい」などの意味合いでも使われるが、"disgusting"は感情的な嫌悪感に限定される。また、"disgusting"は通常、フォーマルな文脈には適さない。
強い嫌悪感を引き起こし、遠ざけたくなるような状態を表す。外見、行動、性格など、抽象的な対象にも使われる。ややフォーマルな印象。 【ニュアンスの違い】"gross"よりも客観的な判断が含まれることが多い。感情的な反応だけでなく、倫理的、美的な観点からの嫌悪感も含む。持続的な嫌悪感を示す傾向がある。 【混同しやすい点】"repulsive"は、一時的な感情よりも、対象そのものが持つ性質に対する嫌悪感を表すことが多い。また、"gross"が単なる不快感を表すのに対し、"repulsive"は道徳的な嫌悪感を含むことがある。
人の感情や道徳観を害するような状態を表す。発言、行動、画像など、社会的な文脈で問題となることが多い。フォーマルな場面でも使用される。 【ニュアンスの違い】"gross"が個人的な嫌悪感を表すのに対し、"offensive"は社会的な規範や価値観に反する行為を指す。他者を不快にさせる意図の有無は問わない。 【混同しやすい点】"offensive"は、必ずしも生理的な嫌悪感を伴うわけではない。人種差別的な発言や性差別的な表現など、倫理的に問題のある行為に対して使われることが多い。
不快、意地悪、または危険な状態を表す。人、場所、状況など、幅広い対象に使われる。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"gross"よりも広い意味を持ち、単なる不快感だけでなく、性格の悪さや危険な状況も含む。感情的な表現として使われることが多い。 【混同しやすい点】"nasty"は、具体的な対象だけでなく、抽象的な概念にも使える点が"gross"と異なる。例えば、「nasty surprise(嫌なサプライズ)」のように使われる。
非常に不快な臭い、味、または道徳的に許されない行為を表す。空気、食べ物、犯罪など、具体的な対象に使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"gross"よりも強い嫌悪感を表し、特に臭いや味に対する嫌悪感を示す場合に適している。道徳的な非難の意味合いも含むことがある。 【混同しやすい点】"foul"は、スポーツ用語としても使われる(例:foul play)。また、"foul"は"gross"よりもフォーマルな文脈で使用されることがある。
下品で洗練されていない様子を表す。言葉遣い、行動、服装など、文化的な文脈で問題となることが多い。フォーマルな場面では避けるべき。 【ニュアンスの違い】"gross"が単なる不快感を表すのに対し、"vulgar"は社会的な規範やマナーに反する行為を指す。教養の欠如や品位の低さを暗示することがある。 【混同しやすい点】"vulgar"は、しばしば性的な暗示を含む表現に使われる。また、"gross"が生理的な嫌悪感を表すのに対し、"vulgar"は社会的な不快感を表すことが多い。
派生語
- grossly
『ひどく』『露骨に』という意味の副詞。『gross』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。元の単語の持つネガティブなニュアンスを強調し、不快感や嫌悪感を伴う状況を説明する際に用いられる。例:grossly unfair(ひどく不公平)。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる。
『没頭させる』という意味の動詞。接頭辞『en-(中へ)』が『gross』に付加され、『全体を覆う』というイメージから『人の心をすっかり捉える』という意味合いに発展した。受動態で『be engrossed in〜(〜に没頭する)』の形でよく用いられる。文学作品や学術論文などで見られる。
- grossness
『粗野さ』『下品さ』『ひどさ』という意味の名詞。『gross』に名詞化の接尾辞『-ness』が付いた形。抽象的な概念を表し、不快な性質や状態を指す。例えば、食べ残しの汚らしさや、不道徳な行為のひどさなどを表現する際に用いられる。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や文章で使われる傾向がある。
反意語
『正味の』『純粋な』という意味。ビジネスシーンで『gross profit(粗利益)』に対して『net profit(純利益)』のように用いられ、『総計』に対する『差し引き後』という明確な対比構造を持つ。日常会話でも、例えば『net weight(正味重量)』のように使われる。
『素晴らしい』『上質な』という意味。『gross』が『粗悪な』という意味合いを持つ場合、その対義語として『fine』が用いられる。例えば、ワインの品質を評価する際に、『gross wine(粗悪なワイン)』に対して『fine wine(上質なワイン)』のように表現される。日常会話でも、品質や出来栄えを褒める際に広く使われる。
『洗練された』『上品な』という意味。『gross』が持つ『粗野な』『下品な』といったニュアンスと対照的に、洗練され、磨き上げられた状態を表す。例えば、マナーや趣味など、人の振る舞いを評価する際に用いられる。ビジネスシーンや社交界など、フォーマルな場面でよく使われる。
語源
"gross"は、元々古フランス語の"gros"(大きい、厚い)に由来し、さらに遡るとラテン語の"grossus"(厚い、粗い、未完成の)にたどり着きます。このラテン語は、印欧祖語の根 *greus-(厚い、重い)に由来すると考えられています。初期の意味は物理的な大きさや粗さを指していましたが、そこから「全体的な」「総計の」という意味へと発展しました。例えば、「グロス国民総生産」のように使われます。さらに、未完成で洗練されていない状態から、「不快な」「ひどい」といった否定的な意味合いも持つようになりました。日本語で例えるなら、「大雑把(おおざっぱ)」という言葉が、物理的な意味から転じて、いい加減な様子を表すようになったのと似ています。つまり、"gross"は「大きい」という根本的な概念から、文脈に応じて様々な意味合いを持つようになった単語と言えるでしょう。
暗記法
「gross」は元来「大きい」を意味したが、都市化で不衛生と結びつき嫌悪感が増幅。産業革命以降は過剰な富や堕落を象徴し、道徳的醜さも意味するようになった。映画や文学では悪役を特徴づける言葉として使われ、現代では不正や違反など倫理的に許されない行為を非難する言葉としても使われる。社会の価値観の変化を反映し意味合いを拡大してきた単語である。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の子音がない場合に区別が難しい。 'gross' は形容詞または名詞だが、'grow' は動詞(成長する、育つ)である点が大きく異なる。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。growの過去形 grew, grown は gross と音もスペルも全く異なることを意識すると良い。
スペルが似ており、特に 'gr' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。'gross' は『ひどい、不快な』などの意味を持つ形容詞だが、'grass' は『草』という意味の名詞。発音も 'gross' は /ɡroʊs/、'grass' は /ɡræs/ と異なる。アメリカ英語では、grassは「マリファナ」を指すスラングになる場合があるので注意。
意味が一部関連しており(どちらも不快感や異様さを表すことがある)、スペルも 'gro' が共通しているため混同しやすい。'gross' はより一般的な不快感を指すが、'grotesque' は『グロテスクな、異様な』という意味で、より視覚的な異様さを強調する。語源的には、grotesqueは洞窟や地下墓地で見つかった奇妙な装飾に由来する。
発音記号は全く違うものの(gross: /ɡroʊs/, goose: /ɡuːs/)、日本語話者には母音の区別がつきにくい場合がある。スペルも 'oo' が含まれている点が共通しており、視覚的な類似性がある。 'gross' は形容詞または名詞だが、'goose' は『ガチョウ』という意味の名詞。 'oo' の発音は単語によって異なるため、注意が必要。例えば、'good' の 'oo' は /ʊ/ と発音する。
スペルが長く複雑で、'gr' の部分が共通しているため、全体的な印象が似て見えることがある。 'gross' は『ひどい、不快な』などの意味だが、'grievous' は『悲痛な、重大な』という意味で、より深刻な状況を表す。発音も異なる(gross: /ɡroʊs/, grievous: /ɡriːvəs/)。語源的には、grievous は「重い」という意味のラテン語に由来する。
'gross'と'cross'はどちらも4文字の単語であり、's'で終わるため、スペルミスが起こりやすい。発音も/ɔː/と/oʊ/で母音が似ているため、リスニングで混乱することがある。'cross'は動詞、名詞、形容詞として使われ、意味も「交差する」「十字架」「不機嫌な」など多岐にわたる。文脈によって意味を判断する必要がある。
誤用例
日本語の『グロス』という言葉は、会計用語として『粗利益』を意味することがありますが、英語の『gross』は、会計用語以外では『不快な』『ぞっとする』といったネガティブな意味合いが非常に強い単語です。したがって、利益が出たことを伝える文脈では、通常『significant』『substantial』『considerable』などのポジティブな形容詞を使用します。日本人が無意識に『グロス』を『粗い』という意味で捉え、『全体的な利益』=『gross profit』と直訳してしまうことが原因として考えられます。英語では、会計用語以外で『gross』を安易に利益関連で使用すると、相手に不快感を与える可能性があります。
『gross』は確かに『気持ち悪い』という意味を持つスラングですが、日本語の『キモい!』のような軽いノリで使うと、相手に強い不快感を与える可能性があります。特に、初対面の人やフォーマルな場面では避けるべき表現です。より丁寧な表現としては、『disgusting』『repulsive』などが適切です。日本人は、英語のスラングを字面通りに解釈し、ニュアンスを理解せずに使ってしまう傾向があります。『gross』は、生理的な嫌悪感を伴う強い不快感を表現する際に使用されるため、使用場面を慎重に選ぶ必要があります。
『gross』を人の性格を表す際に使うと、不快感や嫌悪感を抱かせるような、下品で不快な性格であることを意味します。日本語の『大雑把』や『おおらか』といったニュアンスで使ってしまうと、相手に誤解を与える可能性があります。性格を表す場合は、『vulgar』『crude』『obnoxious』などがより適切な表現です。日本人は、英語の単語を文字通りの意味で捉え、文脈を考慮せずに使ってしまう傾向があります。性格を表す場合は、より具体的な形容詞を選ぶことで、意図するニュアンスを正確に伝えることができます。
文化的背景
「gross」は、もともと物質的な「大きさ」や「粗さ」を表す言葉でしたが、現代ではしばしば嫌悪感や不快感を伴う、道徳的・倫理的な「醜さ」を象徴します。この変遷は、社会が清潔さや洗練さを重視するにつれて、不快なものに対する許容度が狭まったことと深く関係しています。
中世ヨーロッパにおいて、「gross」は単に「大きい」という意味合いで使われていました。例えば、収穫量の多さを「gross harvest」と表現したり、巨漢の人物を「gross man」と呼んだりすることは、必ずしも否定的な意味合いを持ちませんでした。しかし、都市化が進み、人口密度が高まるにつれて、衛生状態の悪化や伝染病の蔓延が深刻化し、「gross」は不潔さや病気と結びつけられるようになりました。特に、ペストのような恐ろしい疫病は、「gross」な状態、つまり不衛生な環境や腐敗した食物を通じて広がると考えられたため、この言葉は次第に嫌悪感と結びつくようになったのです。
さらに、産業革命以降、大量生産・大量消費の時代が到来すると、「gross」は物質的な過剰さ、ひいては精神的な堕落を象徴するようになりました。例えば、贅沢な生活を送る人々を「grossly rich」と表現することは、単に富の量を表すだけでなく、その富を得る過程や消費の仕方が倫理的に問題があることを示唆する場合があります。映画や文学作品においても、「gross」はしばしば悪役や堕落した人物を特徴づける言葉として用いられ、彼らの外見や行動の醜さを強調することで、その内面の醜さを暗示します。例えば、貪欲な資本家や腐敗した政治家が「gross」な存在として描かれることは、現代社会における「gross」のイメージを強く印象づけます。
現代英語では、「gross」は単なる不快感だけでなく、道徳的な非難や軽蔑のニュアンスを含むことがあります。例えば、「gross injustice(ひどい不正)」や「gross violation(重大な違反)」といった表現は、単に程度の大きさを示すだけでなく、その行為が倫理的に許されないものであることを強調します。このように、「gross」は、社会の価値観や倫理観の変化を反映しながら、その意味合いを拡大させてきたのです。学習者は、「gross」という言葉を使う際には、その背後にある文化的背景を理解し、不快感や嫌悪感の度合いを適切に表現できるように心がけることが重要です。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題。リスニングでの出題は少ない。
- 頻度と級・パート: 準1級以上でまれに出題。級が上がるほど可能性が高まる。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、社会問題など、やや硬めのテーマで登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「総計の」という意味と「不快な」という意味の区別が重要。文脈から判断できるように練習しましょう。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)。
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的よく見られる。ビジネス関連の文章で登場しやすい。
- 文脈・例題の特徴: 売上高や利益などのビジネスシーンで「総計の」という意味で使われることが多い。形容詞としての用法が中心。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「総計の」という意味を確実に押さえること。文脈から意味を推測する練習も重要。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻繁に登場する。
- 文脈・例題の特徴: 研究論文、学術記事など、科学、社会科学、歴史など幅広い分野で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「ひどい」「不快な」という意味だけでなく、「総計の」という意味も重要。文脈によって意味を判断する必要がある。動詞としての用法(~を総計で得る)も稀に出題される。
- 出題形式: 長文読解問題で頻出。文脈から意味を推測する問題が多い。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど出題頻度が高い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など、幅広いテーマで登場する。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「総計の」という意味と「不快な」という意味の両方を覚えること。文脈から適切な意味を判断できるように練習しましょう。派生語(grosslyなど)も覚えておくと役立ちます。